夏休みのアニメの思い出~楽しかった『子供アニメ大会』、トラウマとなった『BSアニメ特選』~『老人Z』『 KEY THE METAL IDOL 』『ぼくの地球を守って』

ぼくの地球を守って

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夏休みが楽しみだった。そんなのみんな一緒だと言われてしまうかもしれない。夏休みは学校生活からの解放、親の実家、親戚宅への帰省、旅行、祭など心踊るイベントが多い。しかし、そんな中、私が何を楽しみにしていたかと言うと、アニメだ。夏休みの午前中に放送される、アニメ達であった。

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正統派な楽しみ、『子供アニメ大会』

私が子どもだった頃、夏休みの午前中は大体アニメ(再放送)をやっていた。それも複数の局で。そんな中で『夏休みのアニメ』で真っ先に浮かぶのはテレビ朝日の『子供アニメ大会』だ。これが始まると『…ああ、夏だ』と感じていた。

子供アニメ大会…テレ朝のこの枠は『スラムダンク』とか『クレヨンしんちゃん』とか、特撮等、テレビ朝日系列のアニメを主に放送していた。『地獄先生ぬ~べ~』もやっていた気がする。大体学校のプールの時間と被っており、プールに心底行きたくなくなっていたのが懐かしい。というかこれを見たいがためにサボったのも一度や二度ではなかった。ただ、『スラムダンク』は最後まで行かずに夏休みが終わって、翌年また最初から放送される…というのを繰り返していた気がする…。テレビ朝日以外でも、日テレでは『タッチ』、TBSでは『コジコジ』等が時々再放送されていた記憶がある。とにかくアニメ好きにはたまらない時間だった。

トラウマ製造機だった『BSアニメ特選』

しかし、それ以上に印象に残っているのは、BSアニメ特選の方だ。子供アニメ大会が地上波でやった子供向けアニメが放送されるのに対して、BSアニメ特選の方は「どうみても子ども向けじゃねぇだろ!」みたいなアニメがかなり多かった。

『ああっ女神さまっ』や『ここはグリーン・ウッド』のOVAバージョン等はまだ子どもながらに楽しんで見れた。問題はトラウマレベルのエログロ描写のあるアニメも普通に混ざっていたことだろう。子供アニメ大会が光だとすれば、BSアニメ特選は正に闇の記憶。夏休みは毎年、この『BSアニメ特選』になんらかのトラウマを植え付けられた気がする。タイトルが分かるものだけで、『老人Z』『KEY THE METAL IDOL』、そして『ぼくの地球を守って』だ。

『老人Z』~老人を乗せた超高性能介護用ベッドが暴走する!?実は先見の明がある名作

老人Z

寝たきり老人の高沢喜十郎は厚生省が高齢化社会への起死回生策として押し出そうとしている最新型の看護ベッド型ロボット『Z-001』(という名の高性能マシン)のモニターに選ばれる。食事、入浴、排泄処理、娯楽、通信…『介護』の全てを担うことができる夢の様なロボット『Z-001』。しかし、高沢をボランティアで介護していた女子大生の晴子は、人間味の感じられないロボットによる看護に疑問を呈し、また機械に繋がれ変わり果てた姿となった高沢にショックを受け、厚生省と『Z-001』から救い出そうとする。老人ハッカー達の助けも借りて、『Z-001』に繋がれた高沢に干渉することに成功する春子。しかし、高性能コンピュータを内蔵する『Z―001』は 、内部に故人である高沢の妻、ハルの人格を作り出し、高沢と共に思い出の熱海の海を見るために暴走し、街を破壊しながら熱海に向かっていってしまう…。

まず、寝たきりで排泄もままならない老人の姿が容赦なく描かれているのが幼かった自分にはショックだった。そして、老人(やや痴呆が入っている感じ)がボランティアで世話をしているヒロインを『はるこさぁーん』と呼ぶ声も何だか怖かった。看護ベッド(Z-001号)沢山の管に繋がれている姿も中々グロテスク。

しかし、大人になって見返すと、『高齢化問題』『介護問題』を割りとしっかり扱っていて、その先見の明に驚く。このアニメ映画は1991年公開…今からなんと約30年も前の作品なのだ。『厚生省』という言葉に少々古さを感じるものの、今見ても遜色ない作品だ。
ちなみに、メカニックデザインと原作・脚本は大友克洋、キャラクター原案は江口寿史と豪華。通りで迫力があるわけだ。クライマックスはちょっと『AKIRA』っぽい。

『 KEY THE METAL IDOL 』~どう考えても長期休みの午前中にやるべきではないアニメ

KEY THE METAL IDOL

主人公、兎季子(通称、キィ)は自分がロボットだと思い込んでいる17歳の超能力少女。祖父から『友達3万人作れば人間になれる』と言われ、それを果たすべくアイドルになることを目指すが、陰謀に巻き込まれていく…という筋書き。

まずオープニングからして怖かったな。今見ると雰囲気あって良いのだけど。

アダルトビデオの撮影シーンみたいなのが普通に出てきたり、AV業界の人間が、上京仕立てで無知&感情が乏しい主人公キィを騙して脱がせようとするのも衝撃的だった(キィは17歳なのに…)。

また、キィがアイドルのライブを見に行った際、突然渡そうと用意していた薔薇の花、一輪をライブ中のアイドルに向かって投げてしまい、それがアイドルの胸に刺さってしまうシーンがショック過ぎてテレビの前から動けなくなってしまったのを覚えている(キィがそういった行動を取ったのは理由があるっちゃあるのだけど…)。その後もエログロが普通に続き、子どもながらに『あ、これ子どもが見ちゃイケないやつなんじゃ…』と気付き、とても複雑な気持ちになった。隣で母親も一緒に見ていたのだが、母が『これ、見せるべきじゃないんだろうけど、ここまで一緒に見てしまって、今さらどうしたらいいか分かんない…』といった感じで困っているのが伝わってきて、一層気まずくなった。

『BSアニメ特選』は『特選』と言うけど、一体誰がどの層を狙って『特選』していたのだろうと今でも不思議に思うのだ。

『ぼくの地球を守って』~超名作なのだけど、シリアスかつヘビイ

超能力を持つ異星人だった前世の記憶を取り戻した少年少女達を描く少女マンガの名作SF…なのだけど、当日幼稚園生か小学校低学年だった私には色々とショックを受ける展開が多かった。

まず序盤からして、主人公の女子高生の亜梨子に何かと絡んでくる隣家の小学生の男の子、輪がなんだか不気味に感じられた。亜梨子が好きだから絡んでいるのは分かるのだけど、なんだか…。そして、亜梨子が輪を預かっている時に言い争いになった末、誤ってベランダから転落させてしまうシーンに心底ビビった。その後、それをきっかけに前世の記憶を取り戻した輪が、前世自身の恋人だった木蓮の生まれ変わりである、亜梨子への執着を深めて、ケガをさせた負い目に付け込む様も怖かった。前世の記憶と共に超能力も取り戻した輪が、超能力を使って大人達をフルボッコにするシーンも恐ろしい。

そして、輪の前世…戦災孤児だった紫苑の養親となった優しいおじさんのラズロと猫人間のキャーがあっさり事故死して、紫苑がまた天涯孤独に逆戻りしたのもショックだったな…。横で見ていた母親に『ねえ、死んだの?えっ、本当に死んじゃったの?』と繰り返し尋ねた。

とにかく子どもが見るにしてはシリアスでヘビイな話が続くため( ゚д゚)という顔をしながら半ば放心状態でテレビの前に座り込んでいた記憶がある。
いや、名作なんだけどね!

中学生になって原作漫画をちゃんと読んだときは、その内容の深さ、壮大さに感動した。
アニメは短く、原作漫画の大部分(前世パート)を端折っているのだが、原作の雰囲気世界観をよく表している。エンディングの『時の記憶』は名曲。まあ、もし原作通りにやっていたら、複雑過ぎる人間関係にそれはそれでもっと ( ゚д゚) となっていたのだろうな(特に前世、紫苑と木蓮の間に起こった事件とかね)。

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まとめ~今は無き『夏休みの午前中のアニメ』に思いを馳せる

この記事で3作品しか挙げていないが、3作品しかトラウマ作品が無いわけではない。ただ、他は断片的なシーンの記憶しかなく、題名が分からないのだ。かなり怖い思いをした作品はもっとある。

それにしても、今は地上波では夏休みでも昔のように午前中にアニメをやったりはしていないようだ。Eテレの番組編成がやや変則的になって、多少アニメ映画をやる位だ。特に民放は平日でも土日でも午前中はワイドショーが固定されていて、昔程再放送枠も無いので、流す余地はないのだろう。そのため、ザッピングして『ああ、夏休みだなぁ』と感じることはもうないのだ。

あのダラダラとアニメを見て過ごす夏の午前。その楽しみがない今の子ども達はちょっと可哀想だなーと思うのだ。

2件のコメント

  1. 夏休み冬休みの午前中はアニメ特選、平日の午後6時〜7時の衛星アニメ劇場もあって、BS放送のアニメ全盛期でしたね。
    アニメ特選で記憶にあるものだと、アニメ三銃士『アラミスの冒険』や、トルコ人形劇『魔法の指輪』でしょうか。
    衛生アニメ劇場とも混じりますが、共作含め、海外製アニメも積極的に放送されていましたよね。
    止め絵多めで仄暗くてビュービューみたいな音が始終している感じの……趣旨のよくわからないアニメがあった記憶。

    記憶の彼方にあった老人Zを知れて良かったです! お邪魔しましたm(_ _)m

    1. くみこ 様

      お返事遅くなり申し訳ありません。
      アニメ特選は中々にカオスでしたよね…。子供向けかと思うと急に「え…」となるものも流してきたり。衛星アニメ劇場も懐かしいですね。
      分かってくれる方がいて嬉しいです。

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