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以前、ななしなあめ子氏の『不倫サレ日記。～結婚９年目で３３歳子なし兼業主婦が不倫されてみた』を読み、このブログでも紹介した。『サレ』た側のリアルな苦しみが描かれていると感じた一方で、「起こった事全ては描いていない、まだ描けないんだろうな」と感じていた。『夫の実家で焼身自殺しようと考えたこともあった』と描いてはいたものの、夫実家のことはほとんど描かれていなかったので「何か相当嫌な思いをしたんだろうな」と察してはいた。そして、『不倫サレ日記』のメインは不倫発見～離婚までの流れだったのだが、その後もかなり苦しんでいたことはよく伝わってきた。
そのため、『不倫サレ日記』の続編であるこの『不倫サレて離婚しました』をななしあめ子氏が出したと聞いたときに、「描ける位に回復されたんだな」とどこかホッとしたのだ。
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
共に不倫されて夫と離婚したあめ子ともえは正月神社に厄除けに行く
あめ子は正月に、同じく不倫サレて離婚した友人のもえと共に神社に厄除けに行った。女の大厄３年間（３１歳～３３歳）の間に離婚したあめ子ともえ。しかし、二人で手を合わせながらも『夫婦がすれ違ったりトキメキを失ったりするのは仕方がないけど、病めるときも健やかなるときも乗り越えるのが夫婦であるべきで、不倫するのはおかしい』と話し合う。
あめ子と元夫の間にできた”すき間”に現れたのは、元夫と同じ職場の、自称きゃりーぱみゅぱみゅ似の２０歳の女の子、”きゃりーちゃん”だった。あめ子の元夫は”石橋を叩いて渡る”タイプだったのだが、『元夫くんのファンです』と言って何かと甘えてくる”きゃりーちゃん”に落とされてしまったのだ。
そんな夫の変化に気付いたあめ子。元夫のスマホにあったきゃりーちゃんからのメッセージや、避妊具、髪の毛等を見つけ出し、弁護士に相談し、もえに協力してもらってiPhoneのGPS機能を使って追跡して不倫現場に向かったりして証拠を集めた。そして、あめ子は元夫、きゃりーちゃんとあめ子の三人で話す”不倫三者面談”に持ち込み、元夫を殴ったり、きゃりーちゃんに水をかけたりする…という数か月を経て離婚したのであった。あめ子は夫ときゃりーちゃん双方から慰謝料を受け取った。
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あめ子と違い、慰謝料請求をしなかったもえ…あめ子ともえは互いに励まし合う
そして、あめ子に協力してくれた親友のもえは、その直前に自身も夫の不倫が原因で離婚していたのだ。しかも、これまたもえの夫と同じ職場で自称きゃりーぱみゅぱみゅ似の２０歳。
だが、もえは相手を特定し、不倫現場に向かったりもしたが、『離婚したい』という夫に呆れ、『やることはやった』と気持ちを切り替え、慰謝料を求めない代わりに泥沼になることもなくサラッと離婚したのだ。
お互いにロクでもないことに見舞われたあめ子ともえ。厄除けのプランが５千円と１万円のものがあると知り、二人とも効果を求めて高い方を選ぶ。
しかし、その後お守りを買うときは、あめ子が『厄が来たら防御できるように』と厄除けのお守りを買おうとしたのに対し、もえは恋守りを選ぶ。新しい恋を見つけようとするアクティブなもえに驚くあめ子。逆にもえは『私はしばらくいい』というあめ子に『つまらない女』と言う。しかし、互いに軽口を叩きながらも、『不倫にも離婚にも負けずに３０代をがんばろう』と励まし合うのだった。
そう、これは愛した人に裏切られ憎しみを乗り越えて、それでも強く前を向く不倫サレた女達の物語―…
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 14/28
別れた妻にとんでもない要求をするもえの元夫…なんと離婚後、不倫相手と４ヶ月で別れる！？
その後、焼き肉を食べに行ったあめ子ともえ。すると、もえが肉を焼きながら語り出す。
もえの元夫は、もえと離婚後、なんと４ヶ月で不倫相手と別れたという。しかも、その別れた理由は、不倫相手の女の子が職場の別の既婚男性に乗り換えたのだという。
その経緯をわざわざ離婚したもえに電話で愚痴ってきたもえの元夫。『俺とあの子は不倫じゃなく純愛だった』『本人が豪語するほど性生活が“上手くなかった”』等々、延々と語るもえの元夫。『それを私に言うの？』と呆れるもえに更にこう言ってきたのだ。
「あの女と不倫して別れたんだから、あめ子みたいにあの女訴えてくれ！」
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 18/28
これには乾いた笑いしか出てこなかったもえ。あまりのアホさに話を聞いたあめ子は笑いながらも『別れた後でも訴えることはできる』『証拠集めて弁護士の所に行こう』ともえに言う。
だが、もえは『終わったことだしもういい』と答え、それよりも『別れると元夫の何が良かったか分からなくなる』と語り始める。離婚すると妻として夫を”立てる”必要がなくなるためか、夫のダメさを感じられるようになるのだ。これにはあめ子も共感しかないのであった。
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夫の不倫相手、きゃりーちゃんを離婚届の保証人にしたあめ子…
あめ子はもえに『離婚届の保証人を元夫の不倫相手のきゃりーちゃんにした』と語り驚かせる。
それは結婚届けの保証人であった親に離婚届にサインさせたくなかったのもあるが、
「この子は自分の婚姻届けより先に、人の離婚届にサインした人間っていうレッテルを貼りたくって」
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 21/28
そう言ったあめ子にもえは『歪みがやばい』と応えるが、あめ子はそこで気付いたことを語る。
あめ子はきゃりーちゃんに『それだけのことをしたということを理解し反省してほしい』と望んでいた。だが、きゃりーちゃんはそんな態度を欠片も見せず、幼く頼り無げに元夫と談笑しながらサインした。きゃりーちゃんが『なにも分からない、気付けない人間』だと気付いたあめ子。
そして、それ以上にそんなきゃりーちゃんに『ダメだなー』等と言いながら楽しそうに指示する元夫を見て、『何も知らない風の女にものを教え込む…ということを楽しんでいるのだ』と気付き愕然としたのだ。
男の人はそういうのが好きだとは聞いたことはあった。しかし、いざ目の前でそれを見ると、あめ子は『なんかサーッと引くような感じ』を覚えたのだ。交際８年、結婚９年…元夫と自分は一緒に大人になっていったと思っていたあめ子。しかし、『元夫はそういう感じのことをしたかったんだ』と脱力したのだ。
情けなさ、恥ずかしさ、虚しさ、悲しさ、怒り…様々な感情が入り混じった複雑な気持ちを抱えながら、あめ子は思わず『あの結婚生活は無駄な日々だったのか』とため息を吐いてしまうのであった。
明るいもえの言葉に元気付けられたように見えたあめ子だったが…
だが、そんなあめ子にもえは強く言う。
「だめだよそんなこと言っちゃ」
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 25/28
「色々あったけど、バツもついたけど、だから何！？」
もえの力強さ、前向きさに感心するあめ子。もえはあめ子の後ろ向きな性格を注意しつつ、『不倫されて夫の車にGPSを仕掛けて追いかける女はなかなかいない』と評価してくれた。そんなもえの言葉にあめ子は『もえは”陽”が強すぎてたまについて行けないけどためになる』と励まされる。
「キズありだけど一点物ビンテージって思ったら悪くないって思えたよ」
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 27/28
そう言って笑うあめ子。もえも”ビンテージ”という言葉を気に入り、二人は記念にボトルワインを頼み、再び乾杯して楽しく飲んだのであった。
その後 まだまだ大変な目に合うことも知らずに――
不倫サレて離婚しました。１話 ななしなあめ子 27/28
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以下、感想と考察
呆れた不倫夫達の言動
前作、『不倫サレ日記』でも大活躍した親友のもえが再登場。今回はもえの元夫についても語られた。自分が不倫して離婚したと言うのに、不倫相手と別れた愚痴を平然ともえに言えるもえの元夫はどういう神経をしているのだろう…。夜の生活についての不満とか普通言うか？その癖、『彼女とは純愛だった』といいながら、『訴えて慰謝料請求してくれ』とか支離滅裂すぎてヤバい。
そして、もえの夫の不倫相手も自称きゃりーぱみゅぱみゅ似の２０歳という偶然にも衝撃を受ける。なんだこれ、きゃりーぱみゅぱみゅ風評被害過ぎる…。
そして、あめ子の元夫について。前作でも『人間として幼いきゃりーちゃんに恋をする夫に冷めた』という下りはあったが、より突っ込んだ内容を描いた。『若い何も分からない女の子にものを教える自分に酔う男』…うん、いるな。そういう男。
確かにそれをしたいのならば、交際８年、結婚９年でともに一緒に成長してしまったあめ子にはもうできないことだ。前作で言及されてたけど、あめ子ときゃりーちゃんは顔の系統が似ているそうなので、きゃりーちゃんに対しては純粋に『若くて無知そう』な所に惹かれたっぽいな。ただただ気持ち悪いな…。
離婚して終わりではない…不倫サレに待ち受ける困難
離婚後も親友もえから”陽”のエネルギーを受け、前向きになるあめ子。…しかし、ラストのモノローグにあるよう、不倫サレて離婚した傷がそう簡単に塞がるわけもなく、またしがらみも簡単に断ち切れる訳ではない…。
果たしてこの後、あめ子に待ち受ける運命は…！？
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