表紙はノーマンを抱きしめるエマと二人を引っ張り上げるレイ。本編の内容を窺わせてくれるタイプの表紙は好き。
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→【漫画】約束のネバーランド17巻【感想・考察(ネタバレあり)】ついに女王、五摂家を襲撃するノーマン達食用児軍とギーラン卿軍…その結果は…!?
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Contents
前巻までのあらすじ
ノーマンと再会したエマとレイは『 鬼の頂点(あの方)と約束を結び直して “人間の世界”に逃げよう』 と主張するが、 W.ミネルヴァとして食用児達を束ね、鬼殲滅を目指してきたノーマンは今さら計画を変えることは出来ず、『自分達が鬼の王家・五摂家を殺す前に戻って来れたら考え直す』と言った。
その後、エマとレイは”七つの壁”の向こう側を目指し、結果的にエマがある条件と引き換えに鬼の頂点(あの方) と”約束”を結び直すことで『食用児全員で人間の世界に行くことが可能となった。
しかし、すでにノーマン達は王都を襲撃し、鬼の女王、貴族達を殲滅し、王都にも毒をバラまいてしまったのであった…。
第153話~『一緒に生きよう』というエマとレイの手を取るノーマン…しかし
女王、五摂家、そしてノーマン達がいる儀祭の間に辿り着いたエマとレイ。しかし、時は既に遅くエマ達の前には無数の鬼達の死骸が広がっていた。
呆然とするエマとレイにノーマンは淡々と女王や五摂家達とギーラン卿達を殺し合わせた末、殲滅したことを告げる。
だが、それでもエマは”約束”を結べ『皆で人間の世界へ逃げられる』と主張し、笑って『今からでも鬼を絶滅させるのをやめよう』とノーマンに諭す様に言う。
それに対してノーマンは冷たく『もう遅い』と切り捨てる。何千年と続いていた王政が崩壊し、統治能力がある鬼達がいなくなったのだ。鬼社会は深刻なダメージを受け、和平も望めない。既に絶滅の一歩手前なのだ。
「絶滅しかないんだよ、エマ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 17/208
「邪魔をしないで」
そう言ってエマを睨むノーマン。
しかし、エマはハッキリ『嫌だ』と言う。この状況でなお、『嫌』というエマにヴィンセントやシスロ達も驚く。すると、エマは『戦わなくてもいい状況で殺戮や戦争をする意味が分からないし嫌だし、ノーマンを殺戮者にするのはもっと嫌だ。方法を探そう、考えよう』と言い続ける。そして、苛立ちを隠せない様子のノーマンに更に言う。
「決めたの もうノーマンに自分を殺させない ノーマンを一人行かせないって」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 19/208
そして、『ノーマン自身本当は殺戮や絶滅なんて望んでいないのに、頭がいいからみんなのために確実な道を選ぼうとして苦しんでいる、嘘吐きだから自分にまで嘘を吐いて何かを隠してる、そして何かに怯えている』と言うのだ。
「私には今のノーマン」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 21/208
「怖くて震えてる小さな子供に見える」
そして、その言葉はノーマンに突き刺さる。Λでいつ訪れるか分からない出荷(死)に怯え、得体の知れない薬を飲まされる恐怖に怯えていた。孤独な日々の中それでも耐えられたのはエマやレイとの再会を信じていたからだった。しかし、ある頃から発作に苦しめられるようになり、『手段を選んでいられない』と思うようになったのだ。
『自分は強い、大丈夫、勝てる、闘える』…そう自分に言い聞かせてこれまで食用児達をまとめ計画を進めてきたノーマン。自身の弱さや恐怖を認めるわけにはいかなかったのだ。そんな自身の弱さや怯えを指摘するエマにノーマンは戸惑い、後退りながら『ここまで来たのだから引き返すつもりはない』『来ないで』と言う。しかし、エマは『行かせない』と近づいて来る。
エマの言葉を聞いたノーマンは自身が鬼は勿論、まだ見ぬ人間世界や失敗してエマやレイや仲間達が死んでしまうことに強い恐怖を抱いており、鬼の絶滅という確実な道を選んでいるという事を自覚する。
そんなノーマンの手を取ったエマは『ノーマンは強くて優しいけど、同じくらい臆病で傲慢』と叱るように言い、『守ってくれなくてもいい。私たちを信じて苦しみを一緒に背負わせて。一人じゃない』と語り掛ける。そして、レイもやってきて『かっこつけんな。家族で兄弟で親友だろ。水臭い』『お前はどうしたいんだ、ノーマン?』と言うのであった。
なおも『もう遅い、もう戻れない』というノーマン。すると、エマとレイは『城下に撒いた毒の事も、ムジカ達を殺そうとしたことも、地下で鬼達に実験を繰り返していたことも知っている』と告げ、その上で『遅い事なんてない、一緒に何とかしよう』と励ました。
「一緒に生きよう!ノーマン!!今度こそ!!」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 28/208
ノーマンに向かって手を差し伸べたエマとレイ。『二人と一緒に生きたい』…そう強く感じたノーマンは二人に抱き着いた。しかし、泣きながら『無理なんだ』と言うのであった。
「僕らは…もう長くは生きられない…生きられない」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 30/208
「……けて 助けて エマ…レイ」
…ノーマンはボロボロと泣き出すのであった。
なかなかに辛い153話。胸が痛む。しかし、率直に『ノーマンは怯えている子供みたい』といった核心を突くセリフを吐けるのが、やっぱり主人公だよな、エマ 。そしてレイの『家族で兄弟で親友』というセリフもいいな。”どうするべきか”ではなく”どうしたいのか”というのをしっかり聞こうとするのも。
そしてラムダ組が飲まされている薬…この薬が原因でΛ組は発作が起きるようだけど、これ、何のために飲まされていた薬なんだろう?用途が知りたいぞ。
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第154話~Λ組の命を救える可能性があることを告げるエマとレイ…しかし、女王が突然起き上がり…
ノーマンは泣きながらエマとレイに『自分達はΛで受けた投薬のせいでもう長く生きられない』と告げた。この言葉にエマとレイは勿論の事、Λ組が驚愕する。Λ組…ヴィンセントやシスロはGF(グレイスフィールド)出身で特上の”標本(サンプル)”とされていたノーマンは投薬の実験対象ではないと思っており、またノーマン自身が投薬実験を受けていないと語っていたのだ。
しかし、ノーマンは『頼れるリーダーであるために気遣いされたくなくて嘘を吐いていた』と打ち明け『本当にごめんなさい』と謝る。
そして、隠していたことを全て吐き出したノーマンは『王や貴族を殺したことに悔いはないけど、これ以上鬼を殺したくないし絶滅はやめたい。城下に撒いた毒の始末をつけたい』『自分を含めたΛ出身者の命を諦めたくない』という本当の望みを語った。
するとレイは『分かった任せろ』と力強く答え、エマも『一緒に全部何とかしよう』とノーマンを抱きしめる。
「ふざけるな 今更何なのだ…!」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 37/208
そう突然言ったのは怒りに震えるヴィンセントだった。自分は命なんて惜しくない、鬼の絶滅こそが全ての救済だ…そう訴えるヴィンセント。『後には退かぬと言ったのに、ただ降りるだけじゃなく我々の目的を阻むのか!!』そう縋る様に叫ぶのであった。しかし、
「もう十分だろ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 38/208
そうヴィンセントを制止したのは同じくノーマンを支え続けていたシスロであった。シスロはノーマンの本当の気持ちに薄々気付いていたという。しかし、それでいてノーマンの能力や度量に甘えて責任を負わせ続けていたと語る。『自分達はボスを復讐の道具として利用していた。ボスも一人の人間なのに』…と。
「ボスはボスの好きにしていい」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 40/208
「絶滅やめるならやめようぜ」
『復讐よりボスの方が大事。ボスについていく』…シスロのその言葉にバーバラも頷き、ジンも同意しているようだった。ヴィンセントは納得いかないようであったが、何も言い返せない。
すると、エマが『Λ出身者の発作について救う手立てがあるかもしれない』と語りだした。城下町でドンとギルダと合流した時、二人からΛ出身者が投薬実験の影響で発作が起きることを聞いたエマとレイ。そして、ドンがあることに気付いたというのだ。それは同じΛ出身のはずのアダムがΛを出てから今までの2年間、何の処置も施していないのに一度も発作を起こしていないという事だった。
『アダムの体にΛの皆の命を救う突破口がある』…そう気付いたドンとギルダはジン達を先にアジトに返し、アジトのいた医療に明るいアンナ達に調べるようにお願いしたという。
しかし、レイが『王兵の大群がアジトを探しているから、早くアジトに戻った方がいい』とアジトが危機に瀕していることもノーマン達に告げる。城下の毒はドンとギルダ、そして”邪血”のムジカやソンジュが被害を抑えていることを告げ、ノーマン達をアジトに向かわせようとしたその時であった…。
突然、ノーマンの背後で顔が潰れた鬼の女王、レグラヴァリマが立ち上がり、ノーマンに襲い掛かったのであった…。
…そうだよね。こういうボス的な存在って、倒しても一度は復活するのがデフォだよね…。ボス戦は2回戦ありがち。
ノーマンさらっと『王や貴族を殺したことには悔いは無い』と言ってる…正直だな。ヴィンセントが忠誠心強すぎてノーマンの宗旨替えで激怒するのは予想できていたことだけど …それにしたって …シスロ、人間出来過ぎじゃない??30代位の貫禄がある。
そしてドン!!何と素晴らしい事に気づいたんだ!!やっぱりドンとギルダは”特上”とはいかずとも”上”になるだけのことがあるんだな…。というか、現在の2人って農園の判定的に”特上”になるのでは?そして、あまり絶望的な展開にしないのが、この作品の良い所。
第155話~まさかの人物が再登場!?復活した女王は異様な風貌をしており…
その頃、城下町では毒によって退化させられ、”野良鬼”状態になった鬼達が他の鬼を襲い始めていた。銃や弓で暴走した鬼を引き留めるドン・ギルダ・アイシェ。そんな中、ソンジュは”野良鬼”に自分の腕を切って投げるようにして食わせる。”邪血”の体質になっているソンジュの腕を食べた”野良鬼”は瞬く間に鎮静化し、元の姿に戻るのであった。
そして、ムジカも自身の血を『これを飲めば皆元に戻るし、退化することもない』と言って民衆達に配って回るのであった。
一方、その頃儀祭の間では突然起き上がった女王にノーマンが食われそうになっていた。間一髪でノーマンを突き飛ばしたシスロ。しかし、代わりにシスロは左足を食いちぎられてしまう。
シスロの肉を食った女王は当然再生…するのだが、様子がおかしい。ただ再生するのではなく、体が歪んだり言葉にならない声を発し、そして周囲にある毒に汚染された鬼の死骸まで食い始めたのだ。ボコボコに膨れ上がりもはや人型ですらなくなった女王を見たレイは『バグってやがる』と呆然とする。ノーマンは『核は間違いなく破壊した、この目で確認した』と困惑するが、それを聞いたレイはこう推測する。
「女王(ヤツ)は「核を壊しても死なない」のか、もしくは」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 65/208
「「王あるいは王族には核が複数存在する」のか」
この状況に対してノーマンは冷静にヴィンセントにシスロ達を連れてアジトに戻る様に指示する。自身は戦闘能力の高いザジとこの場に残ると言う。ヴィンセントは戸惑うもののノーマンに『早く!』と言われ、シスロとバーバラ、そして巨大食用児達を連れて儀祭の間から立ち去るのであった。
すると、異形と化した女王はノーマンに手を伸ばしてくる。それをザジが切り落としたその時だった。
「エマ レイ ノーマン」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 67/208
「お久しぶり」
女王の体から突然クローネの顔が出てきたのだ。
呆然とするエマ達。すると女王の身体からクローネだけでなく、ギーラン卿、イヴェルク公、そして食用児達の顔が出てきて喋り出したのだ。そう、彼らは今まで食べられてきた者達なのだ。ノーマンも何が起きているか分からずただ固まる。
すると、無数の顔の塊が割れ、中から髪も目も鼻も口も無い、のっぺらぼうの顔をした女王が歩み出て来るのであった…。
ソンジュ …自分の腕を切って投げるとか豪快だなー。そして、あっという間に元に戻る鬼にせよ、切った腕がすぐに生えるソンジュにせよ、体便利過ぎない?グールより強いよね。
…かつてギーランの配下が『王の血は別格』と言っていたけどいくらなんでも強すぎないか。
そして、女王からクローネの顔が出てきた時、呼んでてメチャクチャ変な声出たわ。嘘だろ!?え???女王、クローネ化するの??まさかのクローネがラスボスなの??と一瞬凄く混乱したのだけど、そうじゃなかった。…死んでからしばらく経った者達が生前の顔で、それもある程度意思を持っている様に喋って来るって結構怖い。普通にホラー。
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第156話~前以上に強力になって復活した女王…エマ達の窮地に駆け付けるムジカとソンジュ
クローネやイヴェルク公にギーラン卿…死んだはずの者達の顔が膨れ上がった女王の身体から出て来たかと思うと、今度はその中から顔の無い、のっぺらぼうの女王が出て来た。状況が分からず困惑するノーマンとレイ。エマは今の女王がクヴィティダラの寺で見た鬼と似ていることに気付く。
すると女王はエマ、レイ、ノーマンのGF第3プラントの特上3人が揃っているのを見て『うれしや、あやつの言う通り皆生きていた』『Λの食用児もGFの脱走者も皆手に入る』と言う。”あやつ”という言葉にハッとするノーマン。
そして、恐るべき速さでザジに接近して喰らおうとする。ザジはすかさず刀で女王を真っ二つに切り裂くものの、女王は一瞬で再生し、ザジを吹っ飛ばすのであった。衝撃で気絶してしまうザジ。その様子に愕然とするノーマン。顔が無く目も無い女王。もし核が無いならどこを攻撃すれば良いのかも分からない。
一方、エマとレイは女王が自分達を識別した様子から『見えている、目も核も無いとは限らない』と考え、銃弾を浴びせることで女王の弱点のヒントを得ようとした。
しかし、女王が放つ圧倒的な気迫にエマもレイも恐怖を感じ動けなくなってしまう。そんな二人に女王が迫ったその時。
女王の体に突き刺さる槍。壁を突き破ってソンジュとムジカが助けに来たのだ。
エマはソンジュから持たされていた発信機で女王が復活した際に危機を知らせていたのだ。毒に侵された城下は粗方落ち着き、既に民衆だけで対処できる状態になったという。助けに来てくれたことに涙を浮かべて感謝するエマ。
変わり果てた女王レグラヴァリマを見たソンジュは『内実ともに化け物になり果てた、和平も交渉も見込めない』と戦う姿勢を取る。女王はどうやらソンジュと旧知の仲の様で『”邪血”と脱走者の奪回も出来る吉日だ』と喜ぶ。
だが、そんな女王にソンジュは『俺達もケリをつけに来た』と言う。ムジカとソンジュは700年もの間、女王から逃れるために当てもない旅を続けていたのだ。…もう十分に逃げ回った…そう考え、覚悟を決めるムジカとソンジュ。
「終わりにしましょう」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 88/208
「女王あんたは今日ここで俺が殺す」
それぞれの決意を告げるムジカとソンジュ。それを聞いた女王は嘲笑う様にこう答えるのであった。
「殺す?お前が?私を?」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 90/208
「げに愚かな弟よ」
…ソンジュ、女王の弟だったのか!!そして、女王の言った『あやつ』 …いやな予感しかしない。
第157話~女王の弟であったソンジュの過去
ソンジュは女王レグラヴァリマの末の弟であった。幼き頃、ソンジュは先生(教育係、家庭教師の様なものか?)と共に人間を狩りに行った。致命傷を負ってもなお、生きようとする人間に驚きトドメを刺せないでいる幼いソンジュに先生は『それが命、そして命を狩るということでございます』と教え諭した。
『この世の全ては神がつくった尊い命で、我々は命を狩り合って命を繋いでいる』『命は神から借りているものに過ぎない。だから自分の命にも他の命にも敬意を払いなさい』『奢らずに分け合いなさい』『それこそが繁栄への正しい道理』…そう語った先生は父王や姉のレグラヴァリマの手によって処刑されてしまったが、最後にソンジュに『王の子たるものそれを決して忘れてはなりません』と言い残したのであった。
ソンジュが女王の弟という事に驚くエマ達。女王レグラヴァリマはソンジュを『古き信仰に囚われて、”邪血”を連れて逃げた裏切り者』と吐き捨てる。
それに対してソンジュは『私欲のために守るべき道理に背き、”約束”によって全てを歪めて、その上”邪血”を独占して抹消しようとした、あんたらが裏切り者だ』と言い返す。
そんな中、ムジカが女王の体の秘密について語る。
「女王レグラヴァリマには核が2つある」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 99/208
「1つ目の核を潰した今 2つ目の核で復活したのよ」
王族には稀にそういう子供が生まれてくるという。しかし、弟であるソンジュはその形質を持ってはおらず、他の鬼と変わらないという。
槍を構えて女王に対峙するソンジュ。元々化け物じみていた姉であったが、2つ目の核の力で復活した女王はより一層凄まじいオーラを放っていた。しかし、先ほどの奇襲の際、女王は腹をわずかに庇ったことから、腹部に第2の核があると推測して素早く近づき切りかかった。
しかし、ソンジュの槍が女王の腹を切り付けた途端、そこからねばついた液が絡まりソンジュは身動きが取れなくなってしまう。それはギーランの配下が持っていた粘着の体質であった。
慌てて槍を離して女王から離れたソンジュだったが、女王は槍を投げ返し、ソンジュの左腕が切り落とされてしまう。
ソンジュの読み通り、第2の核が腹部にあることを認めた女王。しかし、『それが何だ』と言う。大量の鬼の死骸を食べた女王は圧倒的な力に満ち溢れており、『思わず笑みがこぼれる万能感』を得ているという。そして、今は食べたものの記憶・力・全てを自由に引き出せるというのだ。万能感に酔いしれる女王は世界は全て自分のものだと宣言する。
「妾は誰より食うて誰よりも強い!!」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 108/208
しかし、そう言いながらも女王は『まだ足りぬ』という焦燥感にも苛まれていた。今この場には”邪血”のムジカとGFの”特上”3人がいる。女王は向きを変えてムジカとエマ達の方に向って行く。ソンジュは急いで左腕を再生させてムジカに『下がれ!』と叫んだ。
だが、ムジカは怯える様子もなく迫って来た女王から逃げようともしなかった。真っすぐ見つめるムジカに女王は『なんだその顔は』と尋ねる。すると、
「可哀想に」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 110/208
「あなたはなぜそんなにもひもじく飢えているの?」
…詳しくは語られていないが、描写的に先生もイヴェルク公の讒言で処刑されたっぽいな。死んでもイヴェルクは悪い奴。でもこういう奴が出世するのが世の常。
そして食った相手の記憶まで引き出せるって凄すぎない、便利過ぎない??
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第158話~自身の生まれて来た意味を知るムジカ…そして過剰摂取で崩れゆく女王
そして、今度はムジカの過去が明かされる。生まれながらに他の鬼達と異質であったムジカ。食べたものの形質に影響されない代わりに、人肉を食べなくても知性と人型を保っていられた。そんなムジカは”奇跡の子”として崇められる時もあれば、”代用肉”として狙われることもあった。そのうち、自身の血で上に苦しむ村々を救う様になっていった。
しかし、女王と五摂家に捕らえられたムジカは家族や仲間を食い殺され、一人牢に閉じ込められた。そして、女王の弟であるソンジュに連れ出され、二人で700年もの間逃げ回っていたのだ。
その間、ずっとムジカは『私は何者?何のために生きているのか?生まれてきてよかったのか』…そう思い続けてきたのだ。
そして、今女王と向かい合うムジカ。ムジカから親や仲間、そして全てを奪った女王に言いたいことやぶつけたい想いは沢山あったはずであった。しかし、今の女王を見たムジカにはただ憐みの気持ちしか浮かんでこなかった。誰より豊かで何でも手に入るはずの女王が酷く飢えているのが分かったためだ。
慌ててムジカと女王の間に割って入るソンジュ。女王は『妾が飢えているだと?』と言うが、ムジカは改めて『あなたは飢えている。いくら食べても満たされない。憐れだわ』と言い放つ。女王が際限のない欲望に囚われて神や世界への敬意を失った結果。自らを破滅に導いて来たと言うのだ。
ムジカの言葉を『くだらない』と一蹴する女王。『欲望は美徳だ。皆、欲望のために動く。欲こそがすべてを動かす力』『生まれた時から周りとは違った私は誰よりも特別なのだ』と主張する。
そんな女王にムジカはこう告げる。
「いいえ あなたは既に破滅している」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 121/208
「もう死んでいるのよ」
ムジカの言葉に激昂した女王。『ほざけ!』と叫んでムジカに襲い掛かったその時であった。
女王の体が爆ぜてドロドロに溶けだしたのだ。悲鳴を上げて崩れ落ちる女王。
「過剰摂取(たべすぎ)よ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 123-124/208
「あなたの細胞はもうとっくに限界なのよ」
第2の核には特別な力があるわけではなかった。1つ目の核が潰された直後の瀕死の状態で無理矢理大量の死体…それも毒に侵された死体を食べた女王。食べたものの全てをそのまま引き出せたのは単にそれらを十分に消化できていなかったからなのだ。
すると、再び女王の身体から食べられた人や鬼の顔が無数に浮かび上がり、それぞれが怨嗟や恐怖の声を上げる。急に彼らの意識と記憶が流れ込んで来た女王は苦しみ始めるのであった。
一方、ムジカは過去の事を思い出していた。かつて助けた村でムジカは『あなたはずっとあなたでいられて羨ましい』と言われたのだ。食べたものの形質を取り込むことができる他の鬼達。それは万能の能力とも思えるがそうではないのだ。何者にでもなれるが、同時に何者でもない。長く生きられるが飢えと退化を怖れ続けなければならない。『どこまでが自分で、自分が何者で、どうなりたいのか』…それが分からなくなってしまうというのだ。
ずっと自分が生まれて来た意味を考えて来たムジカ。そして、エマ達と出会い、それに気づいたのだ。
「私は我ら種族(おに)を変えるために生まれてきたんだ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 128/208
「そして今こそ鬼世界は変わる時なのよ」
無数の顔に埋もれてしまった女王は叫びを上げていた。浮かんだ顔は『私はクローネ』等と名乗るものの、肝心の女王は『私は誰だ?』ともう分からなくなっていた。そんな女王にムジカは告げる。
「あなたは食べた命に食い潰される」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 129-130/208
「さようなら レグラヴァリマ女王陛下」
…女王、正統派なラスボス感があるな。純粋に欲望のためだけに突き動かされる悪役。ムジカとレグラヴァリマ…どちらも生まれた時から人とは違う境遇だったのだけど、見事に明暗が分かれている。他者とは違うその理由を考え続けたムジカと、より強大な力を求め続けたレグラヴァリマ。
そして、クローネの次に名前を言った女の子。『私はミシェル』…と言っていたけど誰やねん??と思ってしまった。3巻の17話のドンとギルダの回想にもいるのね…エマ達より年長の女の子で出荷されてしまった子なのか。
第159話~本当は人間を食べたいソンジュは葛藤するも、エマ達を見送る
走馬灯を見る女王レグラヴァリマ。
地位に名誉に富に美食。強さも賞賛も求めるままに手に入れて来た。しかし、割れた器に水を注ぐ様に、何をしてもレグラヴァリマの心が満たされることは無かった。ムジカに『本当は何が欲しかったの?』と問われたものの、それが何だったのか分からない。そして、それが手に入れば本当に満たされたのかさえも。空腹に苦しむ女王は”特上”の3人に手を伸ばす幻覚を見ながら息絶えるのであった…。
今度こそ女王を倒したことにエマとムジカ達はホッとする。気絶していたザジは意識を取り戻し、ムジカも『これでもう追われることはない』とホッとし、家族や仲間、そしてかつて救った村の人々を思い浮かべるのであった。
そんな中、ソンジュは複雑な思いでいた。女王も五摂家も死んだ今、鬼社会は大きく変わることになる。そんな大それたことをし、さらに鬼の頂点とも”約束”を結び直したエマ達人間に驚くソンジュ。しかし、それ以上に『このままエマ達が”約束”を履行して人間の世界に行ってしまったら一生人間を食べることが出来なくなる』と焦りを感じていたのだ。
…本当はソンジュは腹いっぱい人間を食べたいんだよね。でも、先生の教えを守るソンジュは『神が作り出した命を狩猟と言う形で頂く』という教えを守っていたため、農園育ちのエマ達を人工物とみなして食べることはしなかったのです(復習)。ソンジュの本当の望みはエマ達が農園の外で繁殖して、それを狩って食べる事だったんだよね。
そんな中、レイが『これからどうする?』と言い出す。王のみならず五摂家という統治機能を失った鬼社会…当然和平なんてできる状態ではなく、各地で混乱や暴動…下手をすれば戦争だって起きかねない。
するとエマが『次の王に女王の弟であるソンジュがなることはできないか?』と尋ねる。しかし、ソンジュは『自分は政治知識もコネもないうえ、反逆者なので王兵や民はついてこない』と答える。
だが、ムジカは『鬼の問題は私達でなんとかするから、考えがある』と、エマ達にアジトに急ぐよう言うのだ。
ムジカはこの騒動をあくまで鬼同士の内乱だったことにして収めようというのだ。『大切なのは憎しみの炎を大きくさせない事』と言うムジカ。…うん、その通りだな。納得。
ムジカに抱きつき『ありがとう』と言うエマ。レイも『恩に着る』と礼を言う。それを見ていたソンジュが『やはり…』と葛藤しながら槍を握る手に力を込めたその時であった。
そんなソンジュにもエマは強く抱き着いて来たのだ。動揺するソンジュ。
「ソンジュもありがとう」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 147/208
ハウスを出てからの2年間、エマ達は色々な体験をし、何人かの鬼とも出会った。そんな中で鬼について、自分達について、そして食べる事、命を奪う事について考え続けたというエマ。時には”死”についても考えたという。当然、家族や自身が死んだり食べられたりするのは嫌だった。しかし…
「想像したの もし私が死んだら…もし私が死んだらね……」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 148-149/208
「ソンジュとムジカになら食べられてもいいって思った」
エマの言葉に絶句するソンジュ。エマは『鬼を殺したくないと思えたのはムジカとソンジュに出会えたから。ここまで来れたのは二人と出会って助けてもらったから』と言い、もう一度『ありがとう』と言うのであった。
「本当にありがとうございました」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 150/208
最後にそう言って去っていくエマ達。エマ達が立ち去ったのを見たソンジュは『あー俺の馬鹿野郎』とまだエマ達を食べなかったことを後悔していた。そんなソンジュを笑いながらもムジカは『エマ達には鬼社会をまとめる考えがあるといったけれども本当はなにもない、どうしましょう』と言う。すると、ソンジュは『無茶だがアテがなくもない』と言うのであった。
そして、アジトに急ぐエマ、レイ、ノーマン、ザジ。ノーマンは予想外にアジトに王兵が向かっている状況について『まずい』と言う。ノーマンは女王の言葉から、王兵を動かしているのがラートリー家、現当主のピーター・ラートリーだと確信したのだ。
走馬灯2回目だったな、女王。核の数だけ走馬灯見るのか。 そしてソンジュは『アテがなくもない』と言うけど本気で”アテ”って何だろう。誰か鬼で統治できそうな人っていたっけ。思い当たらないのだけど。
あと、第2の核で復活した女王がクヴィティダラの寺で見た鬼と似ているのは何か意味があるはずだよね。今後伏線回収が来るのかしら?
…そしてピーター・ラートリーさん、久々の登場だ…。
第160話~なんとピーター・ラートリーは女王に全てを話し、自ら鬼の兵を率いてアジトを捜索していた
ここで復習。鬼と人間の世界の調停役であるラートリー家。前当主であったジェイムズ・ラートリーは調停役として鬼達に食用児達を供給する一方で、食用児達が未来を選べるように…と”w・ミネルヴァ”の名前で各農園の蔵書に脱出のヒントを与えたり、各地にシェルターを作ったり、人間の世界に行けるエレベーターを用意したりしていた。
しかし、ある時、弟であるピーター・ラートリーに裏切られてしまい、協力者共々処刑されてしまったのである(ただし、明確に死んだ描写はない。マンガ的にちゃんと死んだシーンが無い限りは生きている可能性が高い)。
現当主であるピーターは食用児の犠牲は必要と考える人間で、脱走したエマ達を処分するためにエマ達が潜伏していたシェルターを配下を使って襲撃したりしている。また、本来なら”特上”として出荷されるはずだったノーマンを”新しい父親”を名乗って引き取り、標本(サンプル)としてΛ(ラムダ)7214農場に送り込んだ人物なのだ。
今までも独自にエマ達、脱走した食用児を捕えようとしていたラートリー家。しかし、同時にGFからの食用児達の脱走やΛの崩壊の裏に、前当主であるジェイムズ・ラートリーが絡んでいたことはとんでもない”不祥事”で、とても女王達や鬼社会に対して公にすることはできなかったのだ。
『ラートリー家は鬼達と手を組むことができない』…そう考えていたノーマンはラートリー家が脱走者の始末に対して小規模かつ秘密裏にしか動けないと考え、王都を攻め落とすことを優先して計画を立てていたのだ。そして、実際にノーマンの読み通り、ラートリー家は脱走者の捜索に当たって大々的には動けずにいた。
しかし、ノーマンが王都を襲撃する直前、ピーターは思いもよらない行動に出た。何と、全てを女王レグラヴァリマに報告したのだ。
止めようとする配下たちにピーターは『もはや水面下で事態を収拾させることは不可能だ』と告げた。そして、ピーターは脱走した食用児(ノーマン)が『ラートリー家が鬼達に真実を言えず身動きが取れない』という事を計算して行動していることを見抜いていたのだ。
だからこそ、ピーターは捨て身の賭けに出たのだ。
「これ以上食用児の好きにさせてたまるか」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 160/208
そして、ピーターは女王に全てを明かした上、協力まで求めたのだ。
「此度派兵した誅伐軍の半数を我々にお貸し下さい」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 161/208
「必ず脱走者全てを捕え 陛下の御前に献上します」
一歩間違えれば女王の不興を買い、殺されてもおかしくない行動だった。しかし、ピーターには考えがあった。
女王も五摂家もΛや各地の農園の崩壊は賊徒による盗難であり、先代バイヨンの猟場で起きた事件もただの事故だと思っていた。五摂家の者達が全てを知れば、自身の領内にあった農園の損失分を取り戻そうとし、特に猟場で家族を失っているドッザ家、バイヨン家、ノウム家は怒り狂って”仇”の身柄を手に入れようとするだろう。しかし、ピーターはあえてそれを女王にだけ伝え、『兵を貸してもらえるなら、捕えた食用児全てを女王陛下に献上する』と約束したのだ。ピーターはレグラヴァリマ女王が理や義、そして一時の感情ではなく”我欲”を優先すると考えたのだ。
そして、結果的に女王はピーターの思惑通り、2000もの兵を貸し与えたのだ。
ピーターの賭けが成功したことを察したノーマンは非常に焦る。今までアジトの場所をかく乱するためにわざと偽の痕跡を残してきたものの、ピーターは誅伐軍に『痕跡から導き出せる場所と逆方向の位置を探せ』と指揮したのだ。
そこで、急ぐエマ達はドンとギルダと合流する。気まずそうな顔をするノーマン。ノーマンはドンとギルダを騙してムジカ達を探させ、殺そうとしたのだ。
しかし、ドンとギルダはノーマンを一切責めることはせず、『心配かけやがって』『おかえり』と迎え、ノーマンも『ただいま』と答えるのであった。
そして、ドンとギルダの陰にいるアイシェにノーマンは鬼語で何かを伝え、アイシェは驚いた顔をし、強く拳を握る。
エマとレイはとりあえず現状を把握するためにも、自分達を王都まで馬で送り、アジトに危険を知らせるために先に帰っているオリバー、ジリアン、ザック、ナイジェル達と合流することを目指した。
しかし、先にアジトに到着したジリアンは呆然とアジトの中を見渡していた。
「誰もいない…」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 171/208
荒れたアジトの中、そこには誰もいなかったのだ…。
…”時すでに遅し”状態。”七ひきの子山羊”みたいな感じで誰かひとり位残っていたらなー…とか思うけど。
ピーターさんも女王との交渉が上手い。この人もノーマンとまで行かずとも頭が良いという設定なのかしら。ノーマンを一切責めないドンとギルダは聖人。
そしてアイシェ…鬼語でノーマンに何を言ったのだろう。あえて鬼語で伝えたのだから、エマ達には伝えられないことを言ったのだろうけど。アイシェが動揺していることからしても、嫌な予感しかしない。
第161話~連れ去られてしまった子供達…そして最終決戦の地はまさかのGF(グレイスフィールド)
その日もアジトは平和で、GF、GP出身者たちは発作に苦しむΛ組を救うためにアダムの体を調べていたところであった。しかし、そこにピーター・ラートリーが率いる2000もの鬼の軍勢が雪崩れ込んで来たのであった…。
アジトに急ぐエマ達。すると、途中の道で先に行かせたはずのヴィンセント・シスロ・バーバラ達が待っていた。彼らはノーマンに先に行くようにと言われていたが、ノーマンが心配で指示を守れなかったという。
『せめてもっと安全な場所で…』と言うノーマンだったが、ヴィンセントは『ボスがすぐに追いかけるといっていたから待っていた』と返すのであった。
ノーマンが女王を倒したことを告げるとヴィンセント・シスロ・バーバラは喜ぶ。
そして、アジトに急ごうとしたその時だった。
アジトの方向から必死の形相でオリバー達が馬を走らせやってきたのだ。
「大変だ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 181/208
「みんな…アジトが…!」
急いでアジトに戻ったものの、既に襲撃済みであったことを説明するジリアン。エマ達を王都に送る途中に見た兵は一部に過ぎず、総数が2000近いと語る。
そして、アジトにいた食用児達は一人残らず全員連れ去られたと告げた。
呆然として聞くエマ達。
だが、ジリアンとナイジェルはアジトで待ち伏せしていた少数の鬼を制圧し、連れ去られた食用児達の居場所を吐かせたという。
「みんな今”移送”されているの」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 184/208
「食料として処理されるためにここから一番近くて守備も堅固な高級農園…」
「GF農園(グレイスフィールドハウス)に」
驚くエマ。一方、ノーマンは納得する。まだ女王や五摂家達が討たれたと知らないピーターは、女王の腹心であるイヴェルク公の管轄下のGFにとりあえず隠すつもりなのだ。
しかし、ヴィンセントを始め多くは”2000の鬼の兵”という情報に動揺していた。2000は王都の城内にいた鬼の7倍。そして、王都襲撃はギーラン卿の勢力がいたからこそ可能だったのだ。現在、こちらは10余人しかおらず、最大の戦力であった、ザジ・シスロ・バーバラは手負い状態だ。『もう勝ち目はない』…そう皆が思ったその時。
「行こう GFへ」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 186/208
「迷うことない みんなを助けに行こう」
迷うことなくハッキリそう言うエマ。周りは『でも』『どうやって』と戸惑うが、エマは『”できない、どうしよう”と考えるより”できる!どうやろう”と考えた方が良い』と言う。そして『みんながいればなんとかなる。今までも世界を変えて来た。あと一歩だ』と皆を励まし鼓舞する。…エマ、主人公の鑑だな。
すると、それを聞いたノーマンは思わず笑い出した。ノーマンが声を出して笑うのを見たΛ組は驚く。…そういえば、Λ組はノーマンが笑うのを見たことがないのだ。ノーマンは『エマが言うと本当にできる気がしてしまう』と笑って言う。レイもユウゴやルーカスのことを思い出しながら『今までも失敗や後悔があったけれども、それを怖れるだけでは何も見えなくなる』と言う。
そして、先ほどまで暗い顔をしていた者達も『これから殺すならまだみんな生きているはずだ』『GFならミネルヴァさんが遺したデータに設計図があった』と前向きに計画を立てはじめる。
その様子を見たノーマンは『エマはこれまでもこうやってここまでたどり着いたんだ』と納得し、GFでエマとレイと3人で過ごしていた日々を思い出す。
一人じゃない
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 190/208
だから人間(ぼくら)は強いんだ
そう心の底から感じる事ができたノーマン。
そして、皆は計画を練り、GFの近くまでやって来るのだった。
「泣いても笑ってもこれが最後」
約束のネバーランド 18巻 出水 ぽすか (著), 白井 カイウ (原著) 192/208
「行こう!家族(みんな)が待ってる!!」
エマがそう叫び、皆はGFに向かうのであった…。
エマの言動が主人公の鑑。シスロやバーバラはかなりの重傷を負っているけど(シスロに至っては左足食われている)大丈夫か?…まあ、きっとヴィンセントが何とか応急処置をしたのでしょう。そして、ヴィンセントが心配していた程ノーマンにキレてなくて良かった。ヴィンセントが描いていた完全無欠のボス像は崩れてしまったけど、それでもノーマンへの信頼が無くなったわけではなさそうで安心。
…でも女王を倒してことを告げた時、シスロやバーバラは笑っているのにヴィンセントだけ笑顔が口元までしか描かれていないのが気になる。何か含みがあるのかな??
以下、感想と考察
悪役である女王レグラヴァリマやピーター・ラートリーに思うこと
悪役ってざっくり『私利私欲のまま、悪い行動をして来た同情の余地なし)』と『自分なりの理想や正義を求めた結果、悪事に手を染めてしまった(同情の余地あり)』の2パターンに分けることが出来るけど(もちろん、この中間もあるけど)、女王は完全に前者だったな。ただし、同情の余地は無いけどどこか憐れでもあった。ムジカと同じく生まれながらに他の鬼とは違った女王レグラヴァリマ。しかし、ムジカの様に『他者と自分が違う意味、生まれてきた意味』を考えず、ただ欲望のままに持てる力を行使し、他者を蹂躙してきたのだ。分かりやすい悪役だったと言えるだろう。
となると、もう一人のボスと言えるピーター・ラートリーはどうなんだろう?一応、『人類と鬼との調和のため』という建前はあるのだけど一方的に食用児に犠牲を強いているのでこちらもやっぱり同情はできない…。
というか、ピーター・ラートリー、久々の登場過ぎて『そういやいたな、こいつ』みたいに思ってしまった。
そろそろラスト?20巻で完結?イザベラは生きてる?
そして、やっぱり18巻のこの展開はどう見ても物語を畳にかかっている。切りよく20巻くらいで完結させるのかな。しかし、それにしてはまだまだ物語で明らかにされていない謎や解決されていない謎も多い。
人間が女王や五摂家を倒してしまったため、鬼社会の混乱は必須。ソンジュが何かしらのツテを持っている様だけどどんなツテなのか全然明らかになっていない。クヴィティダラの寺で見た鬼と関係があるのだろうか?その辺りもまだまだ描かれる余地がある。
そして、ラートリー家や農園…ハウスやママ達(飼育監)もまだまだ謎に包まれている。イザベラが現在どうなっているか分からないし、フィルの安否も不明(漫画の法則的にハッキリと死が描かれていないキャラクターは生きている事が多いけど)。グランマも顔すら出てきていない。そもそもW・ミネルヴァこと、前ラートリー家当主であるジェームズ・ラートリーも本当に死んでるか怪しい。…あと、個人的に気になるのは最近全然出てこないキャロルがエマに似ているところ…これってただ似ているだけで特に何の伏線でもないのかな?
大体、“人間の世界”がどういう世界なのか全然分からない。現実の人間社会なのか、もう少しファンタジー的なフィクションの世界観なのか。作中出てくる人間世界の機器やミネルヴァのペンからして実際の人間社会並以上に技術が発展しているみたいだけど。そして、本当に食用児達は受け入れてもらえるのか。この子達、体に個体識別番号が刻まれてるし、戸籍とかも無いだろうしどうするんだろう…とか考えてしまう。『人間の世界に行きました!終わり!!』とはならずに人間の世界に行ったあとの冒険も描かれるのだとしたら20巻では終わらないか…。
というか、エマが鬼の頂点と結んだ約束の対価が気になる…。
まとめ~女王を倒したエマ達は仲間を助けるためGFに戻って来る…次巻19巻の発売予定日6月4日
女王と倒したエマ達であったが、その間にアジトに残してきた仲間達がピーター・ラートリー率いる2000もの鬼の兵に連れ去られてしまった。仲間達が連れられた先はなんとかつてエマ達が育ちそして脱走したGF!奇しくもフィルと約束した通り2年の歳月を経てエマ達はGFに最終決戦のために向かうのであった…。
とても先が気になるのだが、次巻19巻の発売日は3か月後の6月4日。極力ネタバレを食らわない様に頑張って待ちたいと思う。
次の記事はこちら
→【漫画】約束のネバーランド19巻【感想・考察(ネタバレあり)】ついにクライマックス…グランマとなったイザベラはエマ達に…!?
「呼んでてメチャクチャ変な声出たわ。嘘だろ!?え???女王、クローネ化するの??まさかのクローネがラスボスなの??と一瞬凄く混乱したのだけど、そうじゃなかった。」
上記等の感想は、最後にまとめてほしいです。
合間合間に挟まっていると、読みたくなくても目に入ってしまって、内容が途切れるので、、
貴重なご意見ありがとうございます。
確かに読みにくいですね…その場のノリとテンションで書いてしまったので、感想は各話末にまとめました。他の記事も少しずつ修正します。