互いに配偶者との”レス”で悩んでいた吉野みちと会社の同僚の新名誠は相談し励まし合ううちに『体の関係は持たない』という条件で交際を始める。しかし、すぐに交際は終了しそれぞれ夫婦関係を見直すことを決意するのであった。
みちの夫の陽一はみちの心が自分から離れつつあることに気付き、焦る。一方、みちは偶然誠の楓と遭遇してしまったことで、今さら誠との浮気について後悔の念と罪悪感を抱き苦しんでいた。そんな中、陽一はみちが離婚しづらくなるようにすべく、あえて分譲マンションの購入を提案し出すのであった。
そして、誠はみちとの浮気の件でけじめをつけるべく、転職活動を始める。薄々誠の浮気に気付いていた楓はそんな誠の態度を不審に思い、ついに『浮気相手は吉野さんなの?』と問い質すのであった…。
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
真実を告げずにみちを庇う態度を取り続ける誠に、楓は泣き崩れてしまう
以前に誠が言っていた、会社で好意を寄せ心の支えになっていた人とは”吉野さん”なのか…?
突然楓にそう問い質された誠は驚き固まるが、顔を伏せてこう答える。
「……ごめん それは…」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
誠のその返答は更に楓を傷つけた。楓は『なんで言えないの?ちゃんと言ってよ!』と座っていたソファから立ち上がり、誠のシャツを掴む。
しかし、それでも黙り続ける誠に楓はついに泣き出してしまった。
「どうして…」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
「私より彼女をかばうの…?」
そう言ってその場に崩れ落ちてしまう楓。思ってもみなかった楓の反応に誠は呆然とするが、結局そのまま沈黙を貫くのであった…。
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マンションの見学予定を入れた陽一と乗り気になれないみち。陽一が子供部屋のことを考えてくれたことに喜ぶみちだったが、新たな不安の芽が…
翌日は休日だった。華がついに引っ越し先を決め、みちは引っ越しの準備を手伝いに行く約束をしていた。出かけようとしたみちを陽一が呼び止めこう言った。
「来週さ 例のマンション見学行こうぜ」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
陽一は既に来週の日曜日に見学の予約を入れているという。出不精で面倒くさがりな陽一がマンションの購入に積極的なことに驚くみち。来週の日曜日は特に予定もない。しかし、みちは憂鬱な面持ちでこう答える。
「…私」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
「やっぱり行けない」
「急に決められないよ」
そんなみちに陽一は『別に絶対買うわけじゃない、ただの見学』と言うが、みちは『でも…』と言い淀む。そして、『でも、何?』と陽一に聞かれるとみちは『ううん』と誤魔化そうとした。
みちは昨晩の陽一とのやり取りを思い返す。
急に分譲マンションの購入を提案し出した陽一だったが、見せてきたチラシは2LDkで、陽一はそれを夫婦それぞれの個室にしようとしていた。将来子供ができて子供部屋が必要になる可能性を全く考慮していなかったのだ。そして、みちがそのことを指摘すると気まずそうに黙り込んでしまった。
もし本当に分譲マンションを購入するなら子供のことをきちんと話し合ってからにしたい…そう考えるみち。しかし、子供を望む自分と違って陽一が子供を持つことを諦めていたとしたら…みちは陽一の真意を確認することが怖くて切り出すことが出来なかった。
だが、そんなみちに陽一はハッキリと言った。
「子供部屋のことだろ?3LDKにすればいーじゃん」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
思ってもいなかった陽一の言葉にみちは『え』と声を上げた。陽一はみちが何で悩んでいたかちゃんと分かっていたのだ。
陽一が子供のことをちゃんと考えていてくれたこと、そして自分のことを気遣ってくれたことにホッとし暖かい気持ちになるみち。
その時、陽一のスマートフォンに電話が掛かってきた。かけてきたのは陽一の母親で、陽一は『来週?無理。マンションの見学に行くから。いや、見に行くだけだって、はいはい』と言いすぐに切った。みちが『お義母さんどうしたの?』と尋ねるとこう答えた。
「いや マンション見に行くって言ったら他の部屋が空いてるか聞いといてくれって」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
「前に俺らの近くに引っ越したいって言ってたからさ」
そんなこと今まで陽一から聞いていなかったみちはギョッとする。陽一は淡々と『大丈夫、母さんには他の部屋は完売したからって後で言っておくからさ』と言うが、みちは不安になるのであった…。
華の荷造りを手伝いにいったみちは、華からあるコンプレックスについて指摘され衝撃を受ける
華のマンションに到着したみちは早速荷造りを手伝う。華の服を畳んでいたみちはそこにトランクスが紛れているのに気づき華に声を掛けた。トランクスを見た華は『あいつか』と顔を顰め『捨ててください』と言う。華は彼氏達に部屋に絶対に私物を置いていかないように言っており、その約束が守れない相手とは別れるという。
『複数の彼氏と付き合い続けるために色々と気を使っている。バレたら”彼氏ズ”全員失うかもしれないから』『ここまで来るために時間も労力も相当使った』そう堂々と言い切る華にみちは『もし本当にバレてしまって彼氏達を全員失うのは怖くないの』と純粋な疑問をぶつける。
すると華は正直に『そりゃ怖いですよ』と答えるが同時に『でも、いつも失うことを覚悟している』とも言った。
そんな華にみちは『華ちゃんは強いな』と純粋に感心し、『でも仮に今の彼氏を全員失ったとしても華ちゃんだったらまたすぐ次の人が見つかりそう』と言った。華が『先輩もすぐに見つかりますよ』と返すとみちはこう言った。
「まさか!私はきっと旦那さん失ったら一生一人だよ~」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
すると、華はみちを見つめ納得したように言う。
「あー なるほど」
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
「先輩の遠慮がちな自信のなさって そっからきてるんですね」
華の言葉に衝撃を受けて固まるみち。そんなみちに華は『覚悟を決めた女ほど強い生き物はいない』『私みたいに』と微笑みかけるがみちはしばらく固まったまま動けなくなるのであった…。
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『陽一を失ったら一生独身のままかもしれない』…それが自分の自信のなさの原因だと気付いたみち。一方、誠は楓に家出されてしまう
華のマンションから帰る途中、みちは華から言われた言葉についてずっと考えていた。
そうかも だって
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
陽ちゃんを失ったら
私 一生独身かもしれない
駅でエレベータに乗り込もうとしたみちだったが、そこは既にカップルたちで一杯で思わず『どうぞ』と引いてしまい、階段を上ることにした。
もう誰からも気にかけてもらえず
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
死ぬまで独身かもしれない
そんなことを考えながら階段の前に立つみち。そこには誰もおらず、ただ階段が長く長く続いていた。そんな階段を見つめながらみちはふと思うのであった。
それでも 一人で立って生きていけるかな…?
あなたがしてくれなくても53 ハルノ晴
一方その頃、マンションの部屋で一人でいた誠のスマートフォンにメッセージが届いた。メッセージは楓からで『しばらくホテルに泊まります』というものだった。昨夜の誠の態度に失望した楓は家出してしまったのだ。
そのメッセージを見た誠は曖昧な笑みを浮かべるのであった…。
以下、感想と考察
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どう考えても新たな火種になる予感しかない、陽一の母の存在…3LDKの余った部屋に住み着きたがる可能性が大
何が何でもみちをローンで縛り付けたい陽一はいつもだったら決して見せない積極さで早速マンション見学の予約をしてしまう。でも、子供について曖昧に誤魔化した昨夜と違って、ちゃんと子供が生まれる可能性を考慮した3LDKの部屋を見ると明言。この陽一の態度にみちは不安がなくなり、ホッとしたその矢先、突然陽一の母親から電話が着て、夫婦がマンションの見学を予定すると聞くや否や、自分も同じマンションにすみたがり始めた。
新たな火種発生である。
陽一も前々から母親に言われてたらしいのにそれを一切みちに伝えていなかったって本当にどうなのだろう。多分、みち以上に陽一の方が母親との近居を面倒くさがっていて、視野に入れていなかったからなのだろうけど、陽一の性分からして、あまりに母親から強く言われたら断る方が面倒くさいと考えて受け入れちゃいそう。
陽一の母親自体、まだ作中でハッキリ描かれていないのでどんな人柄なのか分からないのだけど、みちにばっかり子供をせかしたりするなどしているし、ちょっとウザくて過干渉なイメージを描いてしまう。いわゆる”家庭版”的な、”トメ”的な性格をしている人なら
陽一達と同じマンションに住みたがる
→陽一が『ほかの部屋はもう売れてしまった』と答える
→みちと陽一が住もうとしている部屋が3LDKだと知る
→そこに住みたがる
→陽一が断れず、なし崩し的に同居になる
みたいな展開になりそうで…。別にみちのことはそんなに好きじゃないけど、この展開はあまりにクソ過ぎるから、やっぱりマンションの購入になる前に、みちにはちゃちゃっと陽一と別居してほしい。まあ、前回から別居フラグは立っている感じもするからな。
露呈したみちの『陽一と別れない理由』
それにしても、みちと陽一の関係はいつの間にかもう修復不可能なところまで来てしまったのではないかと思う。
というのも、今回みちが陽一と別れない根本的な理由があまりにお粗末なものであることが露呈してしまったからだ。
以前からみちが陽一から別れられない理由については、華に『お気に入りだったバッグがボロボロになっても捨てられない状態』と指摘させる等して、作中を通して『とうに夫婦のあり方が変質してしまっているのに、過去の幸せだった頃の思い出や情によってみちは陽一と別れられない』ということが暗に示され続けていた。
そして、みちは序盤ではこの変質してしまった陽一との関係を元にするべく、お洒落したりと努力を重ねていたけど、叶わずに新名誠と浮気。その後、結局新名とは別れ陽一との関係修復をしていくことを選び、陽一と向き合ったりもしたけど、なんやかんやしてるうちにそもそもみち自身が陽一への関心を失ってしまった。
でも、みちは別に陽一とは別れようとはしない。まあ、単に同居する分には陽一との暮らしはそんなに不便なものではないし、陽一も以前よりもみちに気遣いできるようになったから分からなくもなかったのだけど。
だが、今回みちが陽一と別れない一番の理由が惰性や陽一への情なんかでもなく、『陽一と別れた後、他にパートナーが見つからないことを恐れているだけ』ということが露呈してしまった。
これもう、惰性と情で夫婦生活を続けているというのよりももっとお粗末だと思う。だって、陽一や陽一との暮らしでもなく、”既婚者”という身分にしがみついているだけだもん。
そして、そこには華が暗に指摘した通り、みちの女性としての自信の無さから由来しているものなのだろう。よくよく考えたら、美人でお洒落な楓を見ただけで、頑張り始めていたお洒落をすぐにやめてしまうのは流石に過剰反応過ぎる。陽一に魅力の無さを指摘されると言い返せないなど、みちは妙なところ劣等感が強い。
陽一の回想で出てきた学生時代のみちは眼鏡にショートカットと非常にボーイッシュで、陽一と付き合い始めてから女性らしい恰好をするようになった。みちは陽一が最初の彼氏でそのまま結婚したような形なのだろう。それがどうした、別にいいじゃんという感じなのだが、その恋愛経験の無さが『私は陽一としか付き合ったことがない』→『陽一以外の男性が私を選んでくれるはずがない』という思考回路に繋がっているのかもしれない。まあ、陽一と付き合うより前に何かほかにもコンプレックスを抱くようなきっかけはあるのかもしれないが。
でも、みちはほんの一瞬だけど誠と付き合った時期があって、陽一以外の男性と付き合う経験や恋をする楽しさを思い出したりもした。このことが遅ればせながらみちに何か自信のようなものを持たせ、変える可能性もあるんじゃないかと思う。
それに今の社会、離婚して一生独身だって普通に暮らして生きていける。みちもなんとなくそれは理解しているから階段を見つめながら『一人で立って生きていけるかな?』と思った時の表情がそれほど暗くなかったのではないかな。
楓の問いにハッキリ答えなかった新名だけど、これ浮気相手がみちだと認めたようなものだよね…
楓から浮気相手が吉野さん(みち)なのかと問い質された誠。すぐに吐いてしまうのかと思ったけど、意外にも誤魔化すことを選択した。お前が重んじていた誠実さ、フェアさはどこにいった。個人的に新名さんの株は(元々高くなかったけど)落ちる一方だ。
そのうえ誤魔化したとはいっても、明言は避けてるだけで、もうバレバレ。この前もみちの名前を出された瞬間スープ零したりしてるし、もはや肯定してるも同じ。もうハッキリ認めるか否定するかどっちかにせいや。
ラスト、楓から家出を告げるメッセージを受け取った時も、何わろてんねん!としばき倒したくなる顔をしてたけど、この笑みは本当に何なんだろう。諦めとも取れるし、今度は自分が楓を引っ掻き回す側になったことを喜んでいるようにも見えてしまう。誠は一体何を考え、どんな行動を取るつもりなのだろうか…?
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