【漫画】あなたがしてくれなくても58話・最新話【感想・ネタバレ・考察】楓に呼び出され、責められ続けるみち。しかし、楓から『たかがレスごときで』と言われると…

あなたがしてくれなくても 8巻表紙

陽一が子供を望んでいないことを黙っていたことが発覚し、みちは陽一に強い不信感を抱き始める。一方、陽一はみちを失うことを恐れ、また子供を持つ可能性について考え始め、今までになくみちを気遣う様になった。しかし、みちはそんな陽一の態度を素直に喜べず、居心地の悪さを感じるのであった。

一方、楓は家出をすることで誠の気を引こうとしたものの、逆に誠が楓に対して愛情を失っていることを理解する結果となり絶望する。そして、まだ誠がみちと浮気をしていると考え、怒りから会社にいるみちのもとに電話を掛けるのであった…。

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Contents

以下、あらすじとネタバレ

夫のことで話したい…そう楓から呼び出されたみちは、恐怖に震えながらも全てを白状し誠心誠意謝ることを決意する

終業後、突然楓からみちの元にかかってきた『新名誠の妻です』という電話。

思ってもみなかった電話に動悸を感じるみち。そんなみちとは対照的に電話の向こうの楓は淡々と『突然のお電話失礼します』と続ける。そして、何とか『はい…』と答えるみちにこういった。

「夫のことでお話ししたいことがあります」
「今からお会いできませんでしょうか?」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

新名さんとのことを知られている…そう理解したみち。頭の中には『どこまで知ってるの?』『会ってどうするつもりなの?』といった疑問で一杯になり、一瞬パニックに状態になる。しかし、何とか気持ちを落ち着けて、どもりながらも『わかりました』と答えて電話を切るのであった。

そのまま項垂れてしまったみちは自分の両手が震えているのに気づく。祈るように手を合わせ震えを止めようとしながらも、こう決意した。

新名さんとのことを聞かれたら本当のことを言おう
そして誠心誠意謝るんだ
それが今私に出来るせめてもの行為だ

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

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喫茶店で相対したみちと楓。楓から『夫の浮気相手はあなたか?』と尋ねられたみちは素直に認める

会社から出たみちは楓に指定された喫茶店に向かった。店の前に来ても手の震えは止まらず、みちの表情は青ざめていた。しかし、深呼吸をして勇気を振り絞り、喫茶店の戸を開けた。

「お待たせしました」
「吉野です」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

そう、みちは店の中で待っていた楓に声を掛けた。そして、物憂げに顔を上げた楓を見て『やっぱりすごくキレイな人だ』と思うのであった。

『失礼します』と言って怯えながら席に着いたみちを楓は硬い表情で見つめ続け、まずは急に呼び出したことを詫びて、『吉野さんにお伺いしたいことがあります』と言った。

そして、冷や汗をかきながら『はい』と答えたみちにこう尋ねるのであった。

「恥ずかしながら夫が浮気をしていたようです」
「お相手はあなたですよね?」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

単刀直入なその質問にみちは一瞬言葉を失い、更に青ざめたものの、力なく答えた。

「…はい…」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

その返事に楓は冷笑を浮かべるのであった…。

最初は冷静であった楓であったが、みちが今は誠と交際していないと答えるとそのことを認められず、みちを責め始める

そして、みちに軽蔑するような目を向けながら楓は更に尋ねた。

「もう一つお伺いしたいです」
「今でも夫と会ってますよね…?」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

だが、その質問に対してみちはハッキリと否定した。

「いいえ…」
「もうご主人とはお会いしてません」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

驚く楓。思わず『嘘つかないで』とみちに言うがみちも『本当です』と訴える。

しかし、納得がいかない楓は『そんなの信じられない』と言い、みちも『そうですよね』と答える。例えそれが真実であったとしても、楓が”浮気相手”であるみちの言葉を信じてくれるはずがないと分かっていた。

「本当に…申し訳ありません」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

そう言って深々と頭を下げたみち。

思ってもいなかったみちの答えとただ謝り続ける姿勢にどうして良いか分からず唇をかみしめる楓。しかし、怒りが収まるわけもなく、みちを見つめてこういうのであった。

「わからない…」
「どうしてあなたなの?」
「あなたの…どこが…?」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

美しく洗練された楓からそう言われて傷つくみち。しかし、ただ『すみません』と言うことしかできない。

すると、業を煮やした楓は机を拳で叩くと『謝って済む問題ではないです!』と叫んだ。そして、

「あなたのせいで…」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

そう言って泣き出しそうになる楓。その声音から、改めて自分がした事の重大さを痛感したみちは目を瞑って頭を下げ続けるのであった…。

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みちと誠が近づいたきっかけが、セックスレスだと知った楓は『たかがレスで』と怒るが…

しばしの間、互いに黙ってしまう楓とみち。

すると、楓が躊躇いがちに『一体何かきっかけだったのか、どっちが誘ったのか』と尋ねた。

それに対してみちはうつむいたまま、正直にこう答えた。

「…わ 私が…」
「主人とのことで悩んでいて…相談にのってもらったのが最初です」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

みちの口から出た“主人”という言葉に、楓は『あなた結婚してるの!?』と仰天する。そして呆れたように大きな溜息をついた。

『何の相談?』と問い質す楓。しかし、みちは性的なことである“セックスレス”だとは答えられず、うつむいたままのみちに楓は蔑むように『どうでもいいわ』と言った。

「夫もバカよね」
「まんまと同情して」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

その楓の冷たい言い方に、みちは思わず拳を握りしめ、うつむいたままであるものの、誠に相談した内容を告げた。

「とても個人的なことですが私と夫が2年ほど」
「セックスレスだったんです」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

だが、それを聞いた楓は自分達夫婦もレスであったこともあって『少しパートナーに応えてもらえないから不倫するのか』『どうしてこんな裏切りを受けなくては行けないのか』と激昂する。

そして、こう叫ぶのであった。

「たかがレスごときで」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

『たかがレスではない…』みちは楓に夫婦生活を拒否される辛さを切実に訴え、そんなみちに楓は…

そう叫んだ楓だったが、みちの目線に気付く。

つい先程まで俯いて震えているだけだったみちが真っ直ぐに見据えてきていたのだ。

先ほどまでとは雰囲気の変わったみちにたじろぎながらも『何?』とつっけんどんに尋ねる楓。すると、みちは表情こそ泣き出しそうなもののハッキリとこう言った。

「たかが…じゃないです」
「体の関係がないことだけが辛いんじゃないです」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

みちは続ける。夜の営みを断られると自分に女性としての魅力が無くなったのかと自信を無くしていくこと。それでも毎晩、淡い期待を抱きながらベッドに入り、そして夫の寝息が聞こえると酷く虚しくなることを。

「ご飯が美味しくないんです」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

友人の幸せを心から喜ぶことができなる。そして全てが色あせて空も青く見えなくなること。一生この生活が続くかと思うと未来が見えないのだと。

みちの切実な訴えに言葉を失ってしまう楓。そして、みちは更に言った。

「…本当はもう気付いているのかもしれません」
「取り戻したかったあの頃はもう戻らない」
「だって…あんなにも愛してくれたパートナーはもういないんだから…!」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

その言葉を聞いた瞬間、楓は内心激しく動揺した。つい先日、夜の公園で誠がもう完全に自分への愛情を失っていることに気付き、一人声を上げて泣いた自分の姿と重なったのだ。

そんな楓に『セックスレスは拒否される側にとっては”たかが”じゃないんです』と改めて告げた。

「心も体も愛されたかったんです」

あなたがしてくれなくても58 ハルノ晴

今にも泣きそうな表情で、しかし真っすぐと楓を見据えてそう言ったみち。

すると、楓は目の前のみちが一瞬誠に見えて激しい動悸を覚えるのであった…。

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以下、感想と考察

今回の話こそが真のクライマックスか…”レス”が引き起こす苦しみをハッキリと口にしたみち

ついに来た、みちと楓の対面、というか対決。ある意味でここがクライマックスなのかもしれないとも思った。

というのも、みちが初めて他者の前でレスの苦しみ、今まで感じ続けていた苦悩をちゃんと言葉にしたからだ。

もちろん、誠には散々悩み苦しんでいることを零してきたわけだけど、彼に対してだって、『レスの苦しみとその本質』にハッキリと述べたことはなかった。まあ、二人は互いに”レス”の苦しみを理解し合っているから今さら言葉に出すまでもなかったというのもあるかもしれないけど、 みちはこの一連の経験の中で自分の苦悩について、当初はただ『セックスレスが辛い』『どうしたらいいのか分からない』位に漠然としか捉えられていなかったのを、ちゃんとここまで言葉にできる位まで消化できるようになったと言えるのではないだろうか。

誠との一連の出来事は人として褒められたものではない。しかし、そういった過ちも含めてこの一連の出来事の中で確かにみちは成長しており、それが今回よく描かれたのだ。

そして、みちはこの発言の中で『あんなにも愛してくれたパートナーはもういないと本当は分かっている』と自分で言っちゃってるんだよな…。みちは楓にセックスレスの苦悩を訴える中で、陽一と自分がもう終わってしまっているとハッキリ口にしてしまっているのである。

もう、陽一との関係を修復するのは無理なんだろうな…。

みちを責めるつもりでいたのに、思わぬ形で返り討ちにあってしまった楓について

そして、怒りをぶつける気満々で来たのだろうに、結局、動揺してそれすら上手くできない楓の様子がリアルで…。そりゃそうだよな。開き直られたりしたら怒りもぶつけやすいだろうに、ただただ謝り倒されると詰っている側が悪いような感じになってしまうし。

そして、楓を傷つけたのがみちの『今はもう誠と関係を持っていない』という発言。元々プライドの高い楓は誠の浮気については『性欲を抑えられずに出来心でやってしまったこと』ということにしようとしていた。今まで尽くしてきてくれた誠が自分への愛情を失っているとか、他の女性に恋をしたとかは認められない。浮気がバレて自分が家出したにも関わらず誠が縋ってこないのは、まだみちと繋がっていてたぶらかされているに過ぎないと思いたくて仕方がなかったのだ。

でもみちからそれはあっさりと否定されてしまった。楓はみちに対して『信じられない』と言ったが、終始下手に出て謝り倒してくるみちの態度からして、本当はみちが嘘を吐いていないと分かっていたのではないだろうか。でも、プライドの高さからそれを認めることが出来ない。みちが現在の誠との関係を否定したあたりから急に楓のみちへの態度がキツくなったのはそういうことだ。この辺りの感情の描き方が本当にうまいと思った。

しかし、頭の良い楓はみちが夫に持っていた不満と悲しみこそが、誠が自分自身に抱いていたものだと一瞬で理解した。そして、誠がみちと浮気したのも、相談女に引っ掛かったという単純なものではなくて、互いにパートナーとのレスという悩み、苦しみを持っているからこそ惹かれ合ってしまったというのも理解できてしまった。(実際にみちと新名の関係も、始まりはどちらかがアプローチしたという感じではなく、自然に展開してしまったような感じだし。)楓としては思わぬ形で痛い所を突かれてしまった形になるのだろう。

みちが語った『取り戻したかったあの頃はもう戻らない。あんなに愛してくれたパートナーはもういない。』がそっくりそのまま今の自分の状況にあてはまってもう何も言えなくなってしまう。楓と誠の現在の状況を全く知る由もないみちは、別に楓を傷つけるつもりでこれを言ったわけではないけれども、オーバーキル過ぎる発言である。

…いや。まあ、とはいえ浮気する方が勿論悪いのだけど。でも、みちと誠の関係って限りなく白側のグレーなんだよな。みちと誠は結局肉体関係は持っていないし、実際にやったこととしてはキスと水族館デート位。だから楓はみちに慰謝料請求も出来ない。まあ、みちの性格からして、楓に払えと迫られたら少額なら払っちゃいそうな気もするけど、先の発言でぐっさりとやられてしまった楓は完全に戦意喪失して、もうそれすら出来ないんだろうな。

二人の対決の結果はどうなるのか。

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