【漫画】あなたがしてくれなくても54話・最新話【感想・ネタバレ・考察】意を決して子供の話を陽一に切り出したみち。そして、誠は家出した楓の元を訪ねるが…

あなたがしてくれなくても 7巻表紙

みちの心が自分から離れつつある事を察知した陽一は、みちに分譲マンションの購入を提案し始めた。その目的はダブルローンでみちと自身を縛り付けるためであった。
みちは珍しく将来のことを真面目に考えているような陽一の態度に一瞬は喜んだものの、子供が生まれる可能性を考慮していない間取りを提案してきたことに不安感を抱く。

一方、誠は楓に『浮気相手は吉野さん(みち)だったのか』と問い詰められる。しかし、誠は浮気相手がみちであることを認めず、またみちへの好意をハッキリと否定しなかった。そんな誠の態度に失望した楓はホテルに家出してしまい…。

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Contents

以下、あらすじネタバレ

子供をどうするかしっかり話し合うため、みちは『今日帰って来たら話がしたい』と陽一に切り出す

2年もの間、陽一とのセックスレスに悩んできたみち。色々と試行錯誤した結果、最近は“一時休戦”…一度セックスレス問題から離れ、仕事の昇進試験やお洒落等新しいことに目を向け、解放された気分になっていた。

しかし、突然陽一が分譲マンションの購入を提案してきたことで、将来子供を持つか否か考えざるを得なくなってしまった。

それはセックスレスとは切り離せない問題で
結局 セックスレスという呪縛から逃れることはできないんだ

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

みちは深い水底に沈んでいくような暗澹たる気持ちになるのであった…。

憂鬱な気分で目覚めたみち。隣で目覚めた陽一はみちの不安を知る由もなく、まだ眠っていた。

リビングに行きコーヒーを入れていると目覚めた陽一がやってきてソファに座る。みちは陽一にもコーヒーを淹れてやると、こう切り出す。

「陽ちゃん…今日帰ってきたら話がしたいんだ」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

『何の話?』と尋ねる陽一にみちは『マンションの事』と答える。陽一はちょっと考えてから『分かった』と返事する。陽一がすんなり応じてくれたことにホッとするものの、みちは激しく動悸していた。

言っちゃった…
これでもう
今までみたいに逃げられない

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

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誠はホテルに家出した楓の元に向かうが楓は部屋から出てこなかった…誠は何故自身がみちを庇ってしまうのかその理由を考えるが…

一方、その頃…誠は家出した楓が泊まっているホテルにいた。楓がいるはずの1121号室の前まで来た誠はドアをノックし言う。

「楓…俺」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

しかし、部屋の中から返事はなく、誠は落胆しながらもすぐに踵を返し去ってしまう。そして、室内のドアの前で聞き耳を立てていた楓は去っていく誠の足音に悲しそうに俯くのであった…。

ホテルから出て高架沿いの道を歩く誠は楓から浮気の件を問い詰められたあの晩について思い返す。

誠は楓から『相手は吉野さん(みち)なのか』と問い詰められても明かさず、また『まだ想っているの?』と聞かれた際もハッキリと否定することが出来なかった。そんな誠の態度に楓は『どうして彼女をかばうの?』と泣き崩れてしまったのだ。

しかし、誠としてはみちのことを想い、庇っている自覚は無かった。

ただ、自身との交際を終了させて家庭を再構築することを選んだみちに迷惑を掛けたくなかっただけ…そう誠は自身に言い聞かせる。

それにもし俺が彼女をかばったとして
その先に何があるっていうんだ
もう違う道を行ってるんだから

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

痛みに耐えるような表情を浮かべた誠。高架を走る列車を寂し気に見上げるのであった…。

みちは意を決して陽一に『陽ちゃんは本当に子供が欲しいの』と尋ねる。誤魔化そうとした陽一だったが、ついに『子供は欲しくない』という本音を明かす

夜。先に帰宅していたみちは不安そうな面持ちで料理を作っていた。

もし陽一が子供を欲しくないと言ったら…そんな想像をして怖くなるみち。だが、そんなみちとは対照的に陽一はいつも通りの様子で帰宅し、『疲れた』と言って早速ソファに腰かけ寛ごうとする。

みちはソファのところまで行き、陽一に『お疲れ』と声を掛ける。しかし、どう切り出していいのか分からなかった。

すると、意外にも陽一の方から『マンションのことで話があるんだろ?』と言って来た。みちが緊張しながら『うん』と答えると、陽一は『俺もあってさ』と言う。

そして、陽一はローンについて話し出す。今が超低金利で税金の控除もあること、そのため頭金を入れずにローンを組んだ方が得らしいこと…陽一は調べたことをみちに説明する。

だが、みちは遮るように言った。

「…陽ちゃん」
「私 今のままマンション買えないよ」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

『何で?』と尋ねる陽一にみちは『家は一生の買い物だから、まずは私たちの人生プランについて話し合うべきだと思う』と答える。”人生プラン”という言葉にピンと来ていない様子の陽一にみちは『子供のこととか』と言う。

「子供なら3LDKにしたから いいじゃん」

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そう言って終わらせようとする陽一。だが、みちは『そうだけど…』と口ごもりながらも意を決して陽一に尋ねた。

「陽ちゃんは本当に子供が欲しい?」
「これって大事なことだから正直に言ってほしい」

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少し驚いたような表情になった陽一だったが、いつものように『いつかは…』としか言わない。しかし、みちは『いつかっていつ?』『私は近いうち、2~3年後には欲しいと思ってる』と言い、『陽ちゃんは具体的にいつ欲しいのか教えて?』と追及する。

すると、陽一はそのまま黙り込んでしまい、みちは『どうして黙っているの?』と内心不安になった。しかし、気まずさに負けず、改めて陽一に言うのであった。

「お願い教えて」
「陽ちゃんの本当の気持ち」

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すると、陽一は俯きながら観念したかのように答えた。

「子供は…欲しくない」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

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陽一に嘘を吐かれていたことにショックを受けるみち。陽一は『本当の気持ちを言ったらみちが離れていくと思っていた』『みちと一緒にいたい』という正直な気持ちを打ち明けるが、みちの心には届かず…

陽一のその答えにショックを受けるみち。動揺しながら『それは近いうちには欲しくないってこと?』と聞くが、陽一は気まずそうに『いや…』と答える。

その陽一の態度から彼が子供自体を望んでいないことを理解したみち。陽一はそのまま俯いて黙ってしまう。

「…ずっと嘘をついてたんだ」
「どうしてそんな大事なこと今まで黙ってたの…?」
「何で!?私が子供欲しいって知ってたよね!?」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

怒りで震えながら陽一を詰るみち。しかし、心の中で『そうか、やっぱりそういうことだ』と納得もする。

以前から母親(陽一の母)から陽一とみちの近くに引っ越してきたいと言われていた陽一。しかし、陽一は母と近居する気なんてさらさら無いにも関わらずハッキリ断りもせずに『とりあえず今はなだめておけばいい』と言っていたのだ。それを思い出したみちは思うのだ。

私はずっとその場しのぎで 
なだめられてただけだったんだ

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

耐えられず涙が溢れ出すみち。そして陽一の不誠実さに改めて失望するのだった。

何でそんなことが出来るの? 
夫婦ってそんなものなの? 
私たちってその程度で…

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

みちは両手で涙を拭う。すると、そんなみちの左手を陽一は優しく握り、言う。

「だって言ったら」
「俺から離れていくだろ…?」
「俺はみちと一緒にいたくて結婚したんだよ」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

陽一もまた泣き出しそうな顔をしてみちを見つめていた。

涙を流しながら陽一を見つめ返したみち。しかし、自身の手を陽一の手から抜くと、黙って背を向け立ち去ろうとする。

「みち…!」

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

みちの態度に呆然としながらも呼び止めた陽一。だがみちはそのままリビングから出ていってしまうのであった…。

衝動的に家を出て電車に乗ったみち。奇しくも隣の車両には誠がいて…

そのまま衝動的に家を出てしまったみちは着の身着のまま駅まで来ていた。ぼんやりとした頭のまま、とりあえず友人の綾乃の家に泊めてもらえないかと考えるみち。

フラフラとホームに向かって歩くみちは改めて先程の陽一とのやり取りについて考える。

今まではどんなにケンカしてすれ違っても、陽一とは同じ目的地…子供がいる未来に向かっていると思っていた。だからこそ、セックスレスになってもどうにか解決しようと頑張って来たのだ。

でも 最初からそうじゃなかったの?
じゃあ私あんなにあがいて
どこに向かってたの…?

あなたがしてくれなくても54 ハルノ晴

人のまばらな電車に乗り込んだみちはまた泣き出してしまう。

…奇しくもその隣の車両には誠が乗っているのであった。

あなたがしてくれなくても 7巻表紙

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以下、感想と考察

ハッキリと意思表示をせずになあなあにして相手が諦めるのを待つ陽一の不誠実さ。そして、それに耐えられなくなったみち

前回、陽一が義母が近居を望んでいることを突然明かし、そのことについて『適当になだめておけばいい』と語った際に不安な顔をしたみち。私はてっきり、みちはなし崩し的に義母と近居あるいは同居になることを恐れていたのかと思っていたけどそうではなかった。

みちは陽一の態度…義母と同居する気なんてないくせにハッキリと断ることもせずに、期待させたまま先延ばしにして、相手が諦める(諦めざるを得なくなる状況になる)のを待つ…そんな態度に不信感、いや嫌悪感を抱いたのだろうな。

これ、こどもの件に置き換えると、本当は子供なんて欲しくないのに、みちが逃げないようにするため、『いつか作ろう』と言い続けて、みちが出産不可能な年齢にするまで待つってことだし。

…考えれば考えるほどヤバい。そりゃ流石にみちも家出するわな。子供についてはどうしても意識に男女差が出てしまうものだろうけど、陽一は今一つ自身がどれだけ不誠実なことをしてきたかという自覚はないのだろうな。

…まあ、でも、ちゃんと本当は子供を欲していないこと、そしてみちを失いたくないがために嘘を吐いてしまっていたことを伝えられたのは良かった。陽一もちゃんと成長はしているんだな…と思えた。

誠はやはりみちに未練ありあり?隣の車両で泣いているみちを見つけたらどうするのか?

そして、誠。…ノックして声掛けたら速攻帰るって流石に早すぎだろうが。5分位待てや。楓がただトイレに入っているだけとかだったらどうするんだよ。まあ、楓も楓でドアの前で聞き耳まで立ててたくせに居留守使ってそんでもって誠が立ち去ると寂しそうな顔をしてるのは…自分でもどうしたらいいか分からなくなっているのだろうな。

それにしても、やっぱり何だかんだとみちに未練たらったらの誠。今回の独白からすると、みちへの恋心を抑えているのは『みちが家庭を再構築することを選んだから、迷惑を掛けたくなかったから』というそれだけの理由に過ぎない。つまり、逆にみちが陽一に見切りをつけたら(と思わせるような言動を取ったら)再びぐいぐいみちに迫る気がする。前から大人しく見えて結構ぐいぐい来る人だったからな、誠…。

奇しくも同じ電車に乗り合わせた誠とみち。やっぱりこのまま遭遇するのだろうか?

遭遇してしまったら、誠はみちのことを放っておけなくなるだろうし、みちもみちで弱っているから誠にあっさりとほだされそうだ。このまま家に帰れないだろうから誠と一晩過ごすことになるかもしれない。…ワンナイトしなければいいけど。わざわざ作品冒頭で”体の関係は持たない”というのを強調しているくらいなのだから、ここでそういった展開にはなってほしくない。

果たして…。

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