【小説】十二人の死にたい子どもたち【感想】タイトルに反してライトな読後感


Warning: Undefined array key 4 in /home/yage/nekokurage.com/public_html/wp-content/themes/first/functions.php on line 501

Warning: Undefined array key 6 in /home/yage/nekokurage.com/public_html/wp-content/themes/first/functions.php on line 506
諸事情あってしばらく入院してました。入院中、身動きが取れず出来ることと言えば、スマホをいじるか本を読むかくらい。
そんな中で、読んだ一冊が、この『十二人の死にたい子どもたち』(冲方丁)。どうやら2019年1月に実写映画化される模様。元々著者のマルドゥック・スクランブルシリーズが好きなので、読んでおいて損はないと思い、読むことに!

Contents

十二人の死にたい子どもたち 冲方丁 あらすじ

『集団安楽死』
インターネットを通じて知り合った12人の少年少女は各々の事情を抱えながらも『安楽死する』という同じ目標を掲げ、とある廃病院に集まった。
本来ならすぐに実行されるはずであったが、それを阻んだのは彼らの目の前にあった、存在しないはずの『十三人目の死体』であった…。
どうやら誰かに運び込まれて来た様子の十三人目。
一体誰が、何のためにそのようなことをしたのか。そして十三人目にどう対処すべきか。
少年少女達は各々ぶつかり合いながら議論を重ねていく。そして導き出された結論は…。

以下、感想(+ちょっとだけネタバレ)

本書のジャンルはミステリー。登場人物が12人と多いこともあり、序盤は「誰が誰だっけ?」と、冒頭の一人ずつやってくるところの描写を何度か確認してしまった。しかし、キャラ付けがしっかりされているので、割りとすぐ全員の設定、立ち位置が把握できた。
マルドゥック・スクランブルシリーズの癖のある文体を覚悟していたのだけれど、本書はあっさりした文体で読みやすい。

スポンサーリンク

十二人の少年少女達の『死にたい理由、背景』について

マルドゥック・スクランブルのヒロインが背負う過去、設定、描写があまりに悲惨で重かったこともあり、
「ああ、12人も死にたい子供が出てくるってことは、それだけヘビィな話が出てくるってことだろうなー。」
と覚悟して挑んだ本書。
…ああ、覚悟する程でも無かったと読んでほっとした。
ほっとするというのも変な表現かもしれない。少年少女達の自死を望む理由が決して軽い訳ではないのだから(一部、そんな理由で?と批判されてしまうような子もいるだろうが)。
本作では、彼らが抱えるものが明らかにされるものの、悲惨さを強調したり、深追いする描写がないので、あっさり読めるのだ。
なのでタイトルに反して、読んで気分が沈むということは無い。
それは筆者の表現力が不足している訳なのではなく、本作がエンターテイメント性に重きを置いているからだと理解できる。

迎える結末について

本作はミステリーだが、『根本を覆す大どんでん返し』みたいなものはなく、迎える結末もまあ、大方の予想を裏切らないものだ。
しかし、ラストのある二人の対話にはニヤリとさせられた。なんだか楽しそうじゃない…と。

スポンサーリンク

『死にたい』と『生まれてこなければ良かった』

ややネタバレになってしまうが、『死にたい』と『生まれてこなければ良かった』という思いは必ずしも一致しない。この二つの思いの間には大きな隔たりがある。自殺を考えるとき、この2つの隔たりが大きなターニングポイントになるかもしれない。
ややブラックなものを読みたい。でも読後感が良いものがいい…
そう考えている人にはオススメできる一冊だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください