前巻では『岩砕山』にて八木兄が社員達を囮にし、2体の大猿を倒す。そして、その正体が人間であったことも明らかになる。しかし直後、『真の魔猿』が現れ八木兄は崖の下に落とされ、殺害されてしまう。魔猿はそのまま姿を消すが、それと同時に衰弱していた藤柴が倒れ込んでしまい…。
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→【漫画】モンキーピーク8巻【感想・ネタバレ・考察】明らかになる八木の真の目的…そして、伝説の本物の猿が現れる…!?
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→モンキーピーク、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり
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Contents
あらすじ・ネタバレ
衰弱死してしまった藤柴
貴重な物資と豊富な山の知識を持った八木兄が崖下に落とされて殺されてしまった。皆が唖然とする中、瞳を開いたまま倒れ込む藤柴。皆が必死に声を掛けるも、その呼吸は既に止まっていた。途方に暮れる一同の中、安斎は冷静に状況を分析する。まだ猿が近くにいること。昼間の雨で全員濡れていること。現在は夜の9時でこれから寒さが増す中でどうやって乗り切るか…。
すると、氷室が『藤柴の遺体を崖から落とそう』と提案する(無駄にゲス顔で)。藤柴を落とせば、全員座ることが出来るという。反発する他のメンバー。
しかし、安斎は彼らを制止し、氷室の意見を支持。更に『藤柴の服を脱がせて風除けに利用する』と言い出す。安斎の発言に動揺するメンバー。特に林は、なんでそんなことを言えるのかと安斎に食って掛かるが、安斎に威圧されてしまう。そして、安斎は同じ女性である林と佐藤に、藤柴の服を脱がせるように強制する。安斎の腕力を前に逆らうことが出来ない早乙女、宮田、林、佐藤は仕方なく従い、それぞれ藤柴の遺体に別れと謝罪を告げ、崖の下に落とすのであった。
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突然の銃声とモールス信号
狭い崖のスペースでうずくまり寒さをしのぐ6人。すると突然下の森から銃声が聞こえる。しばらく銃声が続いた後、今度は明かりが点滅する。それはモールス信号であった。ボーイスカウトに入っていた弟と共に学んだことがある林が信号を読みといた。
『…下は安全』『下山しろ』
繰り返されるメッセージに、喜ぶ宮田。しかし、安斎と早乙女はこれを『警察にバレないように一同をおびき寄せる罠』だと考えた。特に安斎は下で合図を送っているのは例の日本刀の人物ではないかと推測する。落胆しながら崖の上で一晩過ごすことにした一同。
一方下の森では、安斎が推測した通り日本刀の人物が、切り捨てた警察官達の遺体の横で、崖に向かって合図を送っていたのであった。
見えてきた猿達の正体~彼等は薬害の被害者か?
藤柴が着ていた服で風をしのぐ一同。飢えと寒さが限界まで来ており、生き延びるためには明日には山を越えなければならない…。そんなことを語り合っている最中、せめて猿の目的を知りたいという宮田。
すると安斎は八木兄が倒した猿の正体であった、女子大生登山家『水口さなえ』を以前から知っていたという。『水口さなえ』は藤谷製薬薬害疑惑の被害者の会の一員であったという。法務の安斎は3年前の説明会で当時高校生だった彼女が感情的に真実を知りたいと主張していたことを覚えていた。結局薬害疑惑は潔白で、第三者委員会も責任を認めなかった。もし、この事件の犯人は薬害被害者の会が引き起こしているのだとすれば、それは逆恨みでしかないが…
「被害者団体の行き場の無い怒りが狂気の殺人計画を産み出した…これは怨念」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 41/210
安斎のその言葉に皆、愕然とする。被害者の会のリストに載っていたのは58世帯。親類縁者を見積もれば200人。『猿』もそこまで増殖する可能性があると言う安斎。被害者の会の人間たちは藤谷製薬の人間を深く憎んでいると言う。現に既に40人以上殺されているのだ。すると、それまで黙って聞いてきた早乙女が口を開いた。自分自身が恨まれるのは慣れていた早乙女。しかし、
「岡島さんも長谷川部長も遠野さんも八木さんも…っ」
「こんな死に方でいいはずがない!!」「猿は絶対許さねぇ…」「生きて帰れば…俺達の勝ちだ!!」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 45-46/210
そう叫び、決意するのであった。
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岩砕山を登り、反対側から下ることにする一同。八木のコレクションを見つける。
その後、猿の襲撃は無かった。今まで襲ってきた猿と、八木兄を殺害した猿は別物だと推理する早乙女と安斎。中身が人間だった今までの猿と異なり、夜目が効かず、灯りがないと襲ってこれないのではないかと考えた。『あの猿』は本当の怪物なのか…。それは分からないものの、もしそうであれば日が昇る前に動き出した方が良い。そう判断し、一同は出発することにする。登山7日目、皆体力の限界を迎えていたが、必死で岩を登る。すると、先頭の宮田が広い足場に到着し、あるものを見つける。
それは八木のリュックだった。思わぬ獲得物に喜ぶ宮田。すると後から来た林が背後の岩肌に何かが隠されているのを発見する。細かな岩石を取り除いて見る一同。するとそこには遺体と食料、複数の衣服が隠されていた。喜びつつも疑問を持つ一同。これらは一体何なのか。早乙女は推測する。恐らくこれは八木兄妹のコレクションだったのではないかと。山で拾ったものを集め、また食料等の必要なものを備蓄する場所だったのだ。それを証明するかのように、氷室が八木兄のリュックの中から、先に猿に殺された八木妹の指を見つける。
食料に水、避妊具にエアクッションにコレクション。この場所は八木兄妹の楽園だったのだ。
(生前藤柴のみが、この兄妹の関係の異常さに気付いていた。)
兄妹で死体を見ながら愛し合う…悪趣味の極みだと吐き捨てる安斎。しかし、藤谷製薬の社員たちは最後まで彼等に助けられたのだ。
潜んでいた飯塚は一人反対側から下山する。
一方、崖から落ちて死んだように見せ掛け、岩肌の隙間に潜んでいた飯塚。飯塚は一人ほくそ笑んでいた。一同が出発してから一時間。その後ろを日本刀の人物と猿一体が追い掛けていったのを確認して、彼等と反対側へ下山することを決意する。早乙女や安斎達を囮にして、その間に自分だけ生き延びようと考えているのだ。途中で八木兄の遺体を見つけるも、冷静に衣服をあさり、そこからドライフルーツを獲得する。それを頬張りながら藤柴の遺体も目にするが、特に感慨は無い。
しかし、飯塚は森を進む中、迷子になってしまう。悪態を付きながら進む中、木の幹にテープが巻き付けられているのを発見する。それは道の目印だった。
「本当に俺はツイてる!!このまま降りて行けば助かるぞ」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 97/210
「ぜってー俺ヒーローだ!!」「TVに引っ張りだこ間違いなし!!」
歓喜しながら走る飯塚。すると思いもよらない相手が木陰から出てきた。
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長谷川部長と出くわした飯塚。飯塚は長谷川部長に殺される
それは長谷川部長だった。互いに驚く二人。しかし、親しげに飯塚の肩を掴んだ長谷川部長はおもむろに飯塚の胸をナイフで刺した。
「俺は猿の仲間なんだ」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 101/210
淡々と語る長谷川部長。一昨日山小屋を襲撃した猿の内一匹の正体が長谷川部長だったのだ。痛みに耐えながらも逃げる飯塚。しかし、すぐに追い付かれてしまう。咄嗟に、同盟を組もうと長谷川部長に提案するも、飯塚は呆気なく崖から蹴り落とされ死亡した。
飯塚を葬った長谷川部長は考えていた。もう7日経過し、機動隊も動き出した。
「一刻も早く連中に追いつき…導く正しい結末へ」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 105-106/210
長谷川部長は決意するのであった。
長谷川部長と合流する社員たち
飯塚を殺害した長谷川部長は慣れた様子で岩砕山を登る。長谷川部長はロープウェイ駅で早乙女達社員を待ち伏せしていたのだが、当てが外れたのだ。一同がこの先、「金魚岩」辺りの登山道に出ると予想する。
一方、早乙女達は苦戦しながらも岩砕山を下っていた。どうにか進むと目印の様なものが見えてきた。登山道に出ることができたのだ。そして、その先の光景に早乙女は見覚えがあった。「金魚岩」だった。そして、その先で早乙女の父は命を落としたのだ。
その時、おおーいと呼ぶ声が聞こえる。長谷川部長だった。長谷川部長が猿の仲間と知らない一同は彼との再会に驚き喜ぶ。早乙女と宮田は歓喜のあまり涙を流した。
安斎に今まで何処にいたのか尋ねられた長谷川部長。しかし、詳しい話は後だと言い、『猿が来ること』『下で複数の機動隊員の死体を見たこと』を告げ、先を急ぐように皆を促す。その時、佐藤は長谷川部長の右手の袖に血がついていることに気付くのだった。
驚き言葉を失う佐藤。安斎にどうしたと尋ねられるも言葉を濁す。そんな佐藤の様子を訝る安斎。安斎は長谷川部長に機動隊の死体の件について尋ねる。長谷川部長は『森の中で迷っているときに機動隊員の死体と共に猿を見た』『気付かれず逃げることができた』と答える。その後、金魚岩を縦一列になって進む一同。岩を乗り越えながらどうやってここに来るまでの経緯を語る長谷川部長。さりげなく他に生き残りがいないのか早乙女達に問う。他に生き残りがおらず、恐らく社員が37名殺されていると答える安斎。津山事件を越える被害者数になることも告げる。そして、無事に金魚岩を乗り越えた一同の前に『ノコ身渡』が現れた。
滑落したら即死、ノコ身渡で猿と日本刀の人物に襲われる
ノコギリの刃のように尖った岩場が続き、滑落すれば即死の難所。こんな所歩けるのかと士気を下げる皆を、早乙女は父親背負いながら歩いた経験があるので大丈夫だと勇気づける。安斎の案で全員の体をロープで繋いで進むことになった。父親のことを想いながら先頭を進む早乙女。すると後続が止まったのかロープがつっかえる。振り返る早乙女。硬直する後続の社員達の先に見えたのは、例の日本刀の人物だった。更に佐藤が下の方の岩肌に、例の猿(魔猿)がいることに気付く。魔猿は凄い早さで岩をよじ登って来る。魔猿に向かって投石する佐藤。しかし、早乙女は戦ってはいけないと制止、急いで先に逃げることを主張する。パニックになりながら先へ急ぐ一同。しかし、慌てた最後尾の氷室が落ちてしまう。前にいた安斎が急いでロープで氷室を引っ張り上げようとするが、その反動で今度は安斎の前にいた佐藤がバランスを崩して滑り落ちてしまう。皆でなんとか落ちた氷室と佐藤を引っ張り上げようとする。しかし、背後には『日本刀』が迫ってきていた。
近付いてくる日本刀の男。安斎は意を決して石を投げる。しかし、至近距離だったにも関わらず外してしまう。この距離で、この大きさの的でなぜ外してしまったのか…。動揺する安斎。彼の脳裏には学生時代、アメフト部の主将だったときに部員から浴びせられた『あんたのせいで負けたんだ!!』という罵声と部員達の顔が蘇っていた。しばし固まっていた安斎。しかし、佐藤の悲鳴で我に帰る。佐藤の近くまで魔猿が迫っていた。すると早乙女が宮田と部長に崖にしがみ着くように指示する。そして、早乙女はロープを命綱にして自ら崖に飛び降り、その勢いで魔猿に強烈なドロップキックを喰らわせる。魔猿は崖の下に落ちていった。
魔猿と日本刀の人物を待ち伏せして反撃することにした一同だが…
しかし、崖から転げ落ちたにもかかわらず魔猿は生きていた。やはりバケモノなのだろうか。一方、日本刀の人物は動かなくなった。訝る一同。安斎は彼は魔猿とタイミングを合わせて攻撃をしかけるつもりなのだと推測する。一同は猿が離れているうちに先に進むべきだと判断する。しかし、安斎は内心、先ほど投石を外したことを引きずっていた。
先に進んだところで、早乙女は岩肌に身を隠し、皆で猿達を待ち伏せて逆に襲撃することを提案する。以前ここに来たことがある早乙女は、待ち伏せに適した場所を知っていたのだ。皆で潜み、各々攻撃の準備をする。狙いは日本刀の男だ。そんな中、長谷川部長は今のうちにトイレを済ませたいと言い、その場を離れる。長谷川部長を疑っている佐藤は引き留めようとし、安斎も自分も共に行くと言うが、長谷川部長は断り一人その場を離れる。
長谷川部長は日本刀の人物達に待ち伏せされていることを伝えようとしていたのだ。
安斎が自身を疑っていることに気付いた長谷川部長はナイフを取り出すが…
しかし、そこに安斎がやってくる。一人になるのは危険だと言い、連れションしましょうと隣にやってくる。
「緊張してますね」「出てませんよ?小便」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 185/210
安斎が自身を疑っていることに気付いた長谷川部長。さりげなくナイフを取り出したその時、
頭上からポールを振りかざした氷室が飛び降りてきたのだった。(珍しく氷室が有能、活躍する。)
待ち伏せの準備をしていた早乙女、宮田、林、佐藤は突如響き渡る長谷川部長の叫びに驚き、悲鳴がした方向へ走る。
早乙女達がそこで見た光景は、頭から血を流し倒れる長谷川部長と、彼を見下ろす安斎とナイフを手にした氷室の姿だった。
誤解する早乙女達、安斎・氷室と決別することに
事情を説明しようとする安斎。しかし、早乙女は激昂し安斎を殴り蹴り付ける。安斎はそんな早乙女に反撃し、ポールを早乙女の左の足先に突き刺してしまう。その様子を見た宮田が安斎に投石しようとする。しかし、安斎の動きの方が早く、宮田は安斎にポールの先で顔面を深く切りつけられてしまう。
流血沙汰の大惨事。うずくまる早乙女と宮田。安斎は自身も鼻血を垂らしながら、一同に冷静になるように言い、事情を説明しようとする。『長谷川部長は猿の仲間で、右手の袖が血が付いているのは道中誰かを殺した証拠だ』と。しかし、氷室に頭を殴られた長谷川部長は既に血塗れで、右手の袖の血痕も最早分からない。
氷室も慌てて『安斎から長谷川部長が怪しいから少し間を空けて様子を見に来る様に言われたこと』『長谷川部長がナイフを隠し持っていて安斎を殺そうとしたこと』を告げる。
しかし、起き上がった長谷川部長は『トイレに行ったら突然殴られた』と言う。なおも皆を説得しようとする氷室を安斎が制止する。長谷川部長が猿の味方だと皆に証明しようにも、右手の袖の血痕は最早判別不明で、長谷川部長が持っていたナイフも氷室が取り上げてしまったため、それが長谷川部長のものかも分からなくなってしまった(氷室は人望も信用も無いし)。そして、血塗れで傷付いていたのは長谷川部長の方だ。いくら説得しようとしても、状況は安斎と氷室にとって不利だ。
「バカどもめっ…っ!」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 198/210
安斎は吠えた。それはかつて自身を責めたラグビー部の部員達に言ってやりたかった言葉だった。それから、スッキリしたように安斎は笑った。多数決でまた負けてしまったと。そして、氷室を連れて早乙女達から離れる決意をする。これだけ騒いでしまったら猿達への待ち伏せは無意味だと言って。宮田から八木兄のリュックを奪い取り、氷室を連れて先に行ってしまった。
「仕方ない…俺なりの正義を貫いた結果がこんな事になるとは…残念だよ」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 200/210
そう、空虚な笑みを残して。
残され傷付いた早乙女は悔しさと怒りで慟哭する。宮田もまた歯を食い縛るしかなかった。長谷川を介抱する林。長谷川部長の右手袖の血痕に気付いていた佐藤は戸惑うばかりであった。左の足先を刺されたものの、既に凍傷を負っている早乙女は靴を脱ぐことは出来ない(脱いだら最後靴を履けなくなる恐れがあるため)。宮田も深く顔面を傷つけられてしまった。
この先どうするか、このままここで猿達を迎え打つのか…林が尋ねると、長谷川部長は『安斎と氷室を先に行かせてはならない』と言う。『安斎と氷室は敵』『先に下山されたら我々が猿の仲間に仕立て上げられる』と主張する長谷川部長。安斎達への憎しみに支配されている早乙女と宮田は、信頼する長谷川部長のその言葉を鵜呑みにしてしまう。
「ブチのめす…」
モンキーピーク9巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 207-208/210
「ブチのめして喋れねえようにして警察に引き渡す」
「追うぞ!!」
こうして長谷川部長に騙された早乙女達は真の敵と目的を見失ってしまうのであった…。
以下、感想と考察
飯塚、藤柴の卑怯者コンビの死亡
他の社員を欺き食料、水分をこっそり摂取したり、佐藤を唆して山小屋に火を付けさせたり等、陰で卑怯に立ち回っていた飯塚と藤柴。あっさり、死亡した。てっきり佐藤に罪を告発されたり、何らかの復讐されたりするのかと想像していたのだが、藤柴に至っては純粋に衰弱死。まあ、直前に精神的に依存していた飯塚が岩砕山から滑落死した様に見せ掛けたことが大きいのだろうが。そして飯塚の死はある意味王道。卑怯者の死としてふさわしい死に様と言えるだろう。罪を藤柴に上手いこと擦り付ける等巧妙に立ち回っていた飯塚の所業は、誰にも知られることなく彼の死と共に葬り去られたのだ。
死して明かされる八木兄妹の変態性、サイコパスっぷり
岩砕山で八木兄妹の楽園を見つけた社員達。…まあ、山小屋で出会った当初から笑顔で親切なのに、異様なドライさで傍観者を決め込み、社員達が猿に虐殺されるのを楽しんでいる様子さえあった八木兄妹。ある意味、猿より不気味な存在だったと言える。二人とも笑顔がなんか乾いていて怖かった。
そもそも八木兄が社員達に協力してくれていたのも、妹が殺されたからに過ぎない(しかも、社員達を救おうとしたのではなく、彼等を囮にして、復讐のために猿を殺害するのが真の目的だった)。生前藤柴が八木兄妹が『普通の兄妹じゃない』と二人の距離感の異様さを指摘していたが、誰も意に止めることはなかった。まあ、それどころじゃないし。岩砕山で、彼らがどう過ごしていたかはエアクッションと避妊具から御察し。しかも死体まであるし…(多分この死体は8巻の八木の回想で出てきた、猿に殺された男性の死体だと思われる)。社員達は余裕が無いので割とスルーを決め込んでいるが、本来ならもっとドン引きする所だろう。二人の他の所業や真の目的も今となっては分からない。そもそも本当に兄と妹だったのかも…。
やはり猿の味方だった長谷川部長…彼の目的は?
安斎が以前から予想していた通り、猿の味方だった長谷川部長。平然と飯塚を殺害してみせた。大した装備も無く軽々と岩砕山を登る等、一体何者!?という感じである。しかし、長谷川部長の目的は何なのだろうか?あえて早乙女達と合流し、共に行動する長谷川部長。『正しい結末へ導く』と言っているので、ただ単に社員達を殺すことを目的としている訳では無さそうだ。生存者のうち、早乙女、宮田、林は20代前半とかなり若く、薬害騒動にはほぼ関わりが無いので彼らのことは生かすつもりなのだろうか?人事部長として彼らの生殺与奪を握るつもりなのだろうか。嫌すぎる。
日本刀の人物の正体は林の弟か?
しかし、またしても林のセリフから『弟』のことが語られた。こんな風に存在が強調されると、やはり怪しく感じる。しかも、今回はボーイスカウトでモールス信号を理解しているということも分かった。今まで日本刀の人物の正体は長谷川部長と推測することができたが、今回はっきりと別人と分かった。日本刀の人物は林の弟なのだろうか。そろそろ正体が判明しそうだ。
猿と薬害疑惑の被害者の会が関係していた…というのは容易に予測できたことなので、別にそこに今更驚きはない。
正しい判断をしたものの、悪者になってしまった安斎
学生時代アメフト部の主将としてチームを引っ張るも、その厳しさと結果を残せなかったことから部員達に責められたことが心の傷となっている安斎。以前からその描写はあったものの、至近距離で日本刀の人物への投石を外したことと、早乙女達に長谷川部長への正当防衛について事情を聞いてもらえず一方的に責められたことで、その傷口が開き遂に爆発してしまう。
学生時代の経験って意外と引きずってしまうから、気持ちは分からなくもない。以前から独りよがりで、自身が正しいと思い込み、結果冷徹な振る舞いをしてしまう安斎。しかし、冷静さ判断力の高さ、忍耐強さと責任感は本物で。悪人ではないだけに彼が悪者扱いされるのは読者として複雑な気持ちになる。特に、今回は完全に安斎の判断の方が正しいと分かってしまうから。(私は安斎さんが結構好きなのか、今回彼のセリフの引用が多いな。)
長谷川部長に騙されてしまう早乙女達
一方で主人公の早乙女達は安斎と氷室を信用せず、以前から慕っていた長谷川部長を信じてしまう。さりげなく長谷川部長に煽られ誘導されて、『安斎と氷室が先に下山してしまうと自分達が悪者にされる』『安斎達は敵』と思い込み、目的が『安斎達をぶちのめして警察に引き渡すこと』になってしまう。これは長谷川部長の思うつぼで非常に危険だ。読者は早乙女達の方こそ敵の手のひらで踊らされていることが分かるので、非常にもどかしい気持ちになる。…しかし、佐藤はいち早く部長の袖の血痕に気付いたこともあり、安斎達と共に行くのかと思われたが、迷った末行かなかった(乗り遅れただけにも見えなくはない)。よくよく考えると安斎には誤解され尋問を受ける等ろくな目に合っていないので、それが原因だろうか。果たして佐藤のこの判断は吉と出るのか凶と出るのか…。
モンキーピーク10巻、発売日と今後の展開は?
モンキーピーク10巻の発売日は、ベルアラートの予想では2019年5月12日頃ではないかとのこと。
早乙女達に暴力を振るい、別行動を取った安斎と氷室。そして彼等を敵とみなし、追い掛けることを決意した早乙女達。しかし、早乙女達は猿の味方である長谷川部長に騙されていて…。クライマックスに突き進んでいくモンキーピーク。10巻が待ち遠しい。
→【漫画】モンキーピーク10巻・最新刊【感想・ネタバレ・考察】衝撃の真実が次々明かされ、急展開を迎える~罪を犯す安斎、本性を現す林、そして慟哭する早乙女…