【漫画】モンキーピーク10巻【感想・ネタバレ・考察】衝撃の真実が次々明かされ、急展開を迎える~罪を犯す安斎、本性を現す林、そして慟哭する早乙女…

モンキーピーク10巻表紙

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前巻では一時行方不明になっていた長谷川部長と合流した早乙女達。しかし、長谷川部長は実は猿の仲間で早乙女達と合流する直前に飯塚を殺害していたのだった。その後、猿や日本刀の男からの襲撃に応戦しつつ『ノコ身渡』まで進んだ一同。しかし、安斎は長谷川部長を怪しみ、それを察した長谷川部長は安斎を秘かに殺そうとするも、氷室と手を組んでいた安斎に行動を読まれており、返り討ちに遭い負傷する。
長谷川部長の悲鳴を聞き現場に駆け付けた早乙女達は、長谷川部長の主張を信じ、安斎と氷室の言い分を聞かずに一方的に非難。そのことに激怒した安斎は早乙女の左足と宮田の顔面を傷付け、一同からの決別を宣言。物資を奪ったうえで氷室と共に先に行ってしまう。安斎の行為に怒り狂う早乙女は長谷川部長に煽られ『安斎たちをブチのめす』と誓うのであった。

登場人物紹介はこちら
→モンキーピーク、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり

前巻の記事はこちら→【漫画】モンキーピーク9巻【感想・ネタバレ・考察】ついに犯人の正体が分かる!?騙される早乙女達と決別する安斎

最新刊・最終巻の記事はこちら
【漫画】モンキーピーク12巻・最新刊・最終巻【感想・ネタバレ・考察】岩砕山山頂…ラスト生き残るのは?そして結末は…真のヒロインは佐藤さん

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Contents

あらすじ・ネタバレ

第91話 第三勢力~実は上手く立ち回っていた氷室

氷室と共に岩砕山を登っていく安斎。氷室の発した『同盟』という言葉に前日の出来事を思い出す。

前日、二人きりになった際に氷室から『同盟』を持ちかけられていた安斎。卑怯な上、辻を殺している氷室のことを安斎は当然信用できるわけもなく、その提案を一蹴しようとするが、そんな安斎に氷室は衝撃的なことを言う。

『自分は実は猿と手を組んでいる』と。

驚く安斎に氷室は説明する。安斎に一度は追放され、一人逆方向に下山した際に猿と遭遇してしまった氷室。しかし、猿…猿の被り物の中に入っていた人物は氷室を殺さず、『社員達に合流し、全体の進みを遅らせて、かつ内部に猿の仲間を増やせば生かしてやる』と言われたというのだ。

勿論、氷室は猿の言うことを信じてなどいない。しかし、『猿を利用して生き残る他ない』と考えており、一番強くて頭が良い安斎と同盟を組もうと考えたのだ。

安斎は他の社員のことを一切考えていない氷室を『ゲス』と罵り、一度は『同盟』を断る。しかし、長谷川部長との一件で早乙女達を決別したことから、氷室と『同盟』を組むことを決意したのであった。

二人で岩場を登っていく中、氷室は『何故、長谷川部長を生かしたのだ』と安斎に尋ねる。実は長谷川部長を返り討ちにした際、氷室が部長にとどめを刺そうとするのを安斎が制止していたのだ。猿の仲間である長谷川を殺し、少しでも猿の勢力を減らすべきだと考えていた氷室。しかし、安斎は『私は猿にはならん』と答えるのであった。

『左足のモモに何かを巻く』というのが猿の仲間のサイン…そのサインがあるものを猿は襲わないという氷室。安斎が長谷川部長に殺されるのを待ち長谷川部長と手を組むという選択肢もあったが、氷室は安斎の方が勝つと踏んで安斎の方についたのだという。開けた足場にたどり着いた安斎と氷室。

「俺達は”第三勢力だ”」「この同盟…上手く行くかもな!!」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 20/211

嬉しそうにそう言った氷室と対照的に、安斎は神妙な面持ちで無言のまま、なお目前に広がる岩砕山の荒涼とした景色を見つめるのであった。

一方、壮絶な面持ちで安斎と氷室の後を追う、早乙女達。 『安斎と氷室は敵』『先に下山されたら我々が猿の仲間に仕立て上げられる』という 長谷川部長の煽りもあり、早乙女と宮田は安斎と氷室への憎しみを口にしながら前に進んでいく。すると前方から金属音が鳴り響いて来ることに林が気付く。

そして、しばらくすると早乙女達の頭上に複数の金属の梯子が降ってくるのであった。

第92話 逆層~氷室と『同盟』を組んだ安斎は早乙女達の行く手を阻み始める

落ちてくる複数の金属の梯子から身を守る早乙女達。奇跡的に誰も負傷せずに済んだものの、見上げた先には安斎と氷室の姿があった。氷室はこの先にある『逆層スラブ』を登るのに必要な梯子を下に落とすことで、早乙女達の進路を阻んだのである。

これで早乙女達は自分達に追いつけず、逆に猿に追いつかれることだろう…そう嬉しそうに語る氷室。しかし、早乙女達から憎悪の眼差しを向けられた安斎は

お前はむしろ猿に近い

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 34/211

…そう、猿に指をさされ言われているような気になり苦悩するのであった。

そしてその場を足早に立ち去って行った安斎と氷室。残された社員達は絶望する。架かっていた梯子が落とされたうえ、目の前にある岩の出っ張りは逆になっていたのだ。

それが『逆層スラブ』だと説明する長谷川部長。あまりにも滑落者が多いがゆえに梯子がかけられたのだと語る。その言葉に一同は絶望を覚えるが、長谷川部長は『ここに留まっていても何も始まらない』となんとか3点確保で登って行こうと発破をかける。しかし、『逆層スラブ』の特殊な形状と疲労から指先に力が入らず、社員達は苦戦する。そこで早乙女があることを閃く。

「…良いこと思いついたぞ。”エサ箱の猿”さ。分かるだろ?」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 42/211

岩の割れ目に手を突っ込み、拳を握る。そうすれば拳は岩から抜けなくなるので、指先に力が入らず握力が失われていても、岩に張り付いて登ることが可能だ。しかし、それには痛みが伴い、そして同時に拳を犠牲にすることを意味する。早乙女の提案に怯む一同。しかし、他に方法は無いため、痛みに耐えながらその方法で『逆層スクラブ』を登っていくのであった。

第93話 幻~警察の救助隊と遭遇した安斎と氷室…しかし、救助隊は二人を”テロリスト”だと判断する

一方、前方を進んでいる安斎・氷室もまた疲弊していた。特に安斎は急激に集中力が低下し、嘲笑や罵倒といった幻聴に悩まされ始める。学生時代アメフトをやっていた安斎は非常に体格が良く、筋肉量が多いが、一方それは他の社員達より必要なエネルギーが多いことを意味する。安斎自身、そのことをよく理解していた。

『それなのに、常に食料や水も他の社員達と同量、公平に分配してきた』
『誰よりも献身的に行動してきた』『それはリーダーとしてふさわしい振舞いだった』『常に正しいはずだった』

しかし、早乙女達は安斎のことを理解しようとはせず、疑惑や憎しみの眼差しを向けてきた。脳裏に浮かぶその面々は、次第に献身的に指導してきたのに、最終的に安斎を罵り嘲笑してきた学生時代のアメフト部のメンバーたちの姿に変わっていった。幻聴に対して突然怒鳴り、言い返し始めた安斎の様子に氷室は驚き心配するのであった。

そのとき、突然前方から物音がする。銃を所持し、ヘルメットをかぶった制服姿の三人の男性が現れたのであった。

警察の救助隊を名乗る三人の姿に歓喜する氷室。しかし、警察官たちは安斎と氷室に銃を向け、『動くな』『武器を捨てろ』と迫る。彼らの警戒するような態度に困惑する安斎と氷室。『我々を助けに来たのではないのか?』『何故銃を向けるのか?自分達は藤谷製薬の社員だ』そう尋ねた安斎に警官の一人が言い放つ。

「じゃあ何故ハシゴを落とした?」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 64/211

言葉を失う、安斎と氷室。
猿からの犯行声明を受けていた警察。そして、まだ後方に社員がいるにも関わらず氷室が梯子を破壊したことをこの警察の救助隊は見ていたのだ。そのため、救助隊は安斎と氷室を『テロリストの仲間』だと判断したのだ。

『腹ばいになって手足を広げろ』
銃を突き付けられ警察官からそう言われた安斎と氷室は仕方なくそれに従う。警察官は無線で『岩砕山山頂直下で容疑者2名の身柄を拘束した』と無線で本部に知らせるのであった。

第94話 逆鱗~精神的に追い詰められた安斎はなんと、警察の救助隊を皆殺しにする

警察の救助隊に『テロリストの仲間』だとみなされてしまった安斎と氷室。銃を突き付けられ、岩場に腹ばいになって手足を広げたまま、安斎は必死になって考える。『このままでは猿の仲間だと思われてしまう』『しかし、弁明できる』…そうどの様に事情を説明しようかと考えていた安斎に、不運が重なる。

「そのリュック…八木のじゃないか!!」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 70/211

警察官の一人が八木の『山仲間』で、安斎が背負っているリュックが八木のモノであることに気付いたのだ。既に遺体を発見しているのか、八木の死亡を把握している様子の警察官たち。事情を説明する様に迫る警察官。

八木を殺害したのは猿で、安斎が殺した訳でも荷物を奪ったわけでもない。事情を説明しようと考える安斎。しかし、その瞬間、憎しみに燃え上がる早乙女達の顔が思い浮かぶ。

『もし早乙女達が口裏を合わせて、安斎が八木を殺害したと証言したら…?』
『自分は梯子を落とした氷室と共に行動していた』
…疲弊した頭で、自分がどれだけ不利な状況にいるのかを安斎は理解した。恐らく誰も自分の言葉を信じてくれないだろうと。

気が付くと安斎の意識は学生時代、アメフト部の主将だった頃に飛んでいた。主将だった安斎は当初の作戦に無かったパスをし、その結果失敗、チームは試合で敗北してしまう。試合後、チームメイト達から何故パスをしたのかと詰め寄られ、それが『正しいと判断したから』と答える。しかし、チームメイト達は『自分のパス記録の更新のためだ』『安斎のワンマンプレイにうんざりしていた』『いつも自分だけは正しいという態度が気に食わない』と口々に安斎への不満を叫び出す。

「あんたはジャマだ!!あんたはなぁ…自分が思ってるほど賢くな無ぇよ」
「バーカ」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 79/211

激昂してチームメイトを殴り飛ばす安斎。気が付くと、警察官に飛び掛かり、殴り倒していた。そして、そんな安斎に加勢するよう、他の警察官にポールを突き刺す氷室。警察官を崖から落しながら、安斎は考え、そして笑うのであった。

この山に私の味方はいない。いや…どこにもいない…あるのは敵だけだ。
私は、猿だ。

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 84-86/211

第95話 山頂直下①~一線を越えて豹変する安斎

救助隊の警察官3人を殺害し崖から落とし、物資を奪った安斎と氷室。食料だけでなく暗視ゴーグル等の道具も手に入れた。
安斎は冷静に考えをめぐらす。以前猿がヘリコプターを落したことから、山登りに強い3人の警察官が山頂を抑えるため先遣隊として派遣されてきたのだと推測する安斎。

『先遣隊3人が死亡したことで、警察は山頂がテロリストに制圧されたと考えて迂闊にヘリを飛ばしてくることが出来なくなった』『本隊、対テロ部隊がやってくるまではまだ時間がある』そう判断する。

そして救助隊の持っていた食料を氷室と分け合うが、今までと違って安斎は『半分』ではなく、『7:3』で自分の方が多く取ると主張する。安斎の変化に戸惑う氷室。そして、食事の最中、安斎が左臀部を銃で撃たれていることに気付く。救助隊と揉み合う中に撃たれていたのだが、安斎はアドレナリンのせいか気付かなかったという。しかし、安斎はケガよりも『警官と争った証拠が残ってしまっていること』を懸念する。そして、

警官を殺した猿とその仲間が銃を奪い、安斎と氷室はそれに応戦した。そして安斎は銃で撃たれて負傷した』
『そして、早乙女、宮田、林、佐藤は猿との戦いで死んだ』

…そういうシナリオを考える。そして、そのために警官の銃に長谷川部長の指紋を付けようと言い出すのであった。

「長谷川に全ての罪を被せて殺す!!他の連中も死ねば何も喋らん」

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そう不敵に笑いながら語る安斎に、氷室はたじろぐのであった。

一方その頃早乙女達はなんとか、『逆層スクラブ』を乗り越えることが出来た。山頂が見えてくる中、早乙女は涙を流す。そこは早乙女の父が早乙女を庇って命を落とした場所なのであった。泣き崩れる早乙女を慰めようとする宮田、しかし、彼はそこで警官の遺体と、警察本部からの音声を受信しているトランシーバーを発見するのであった。

第96話 山頂直下②~警察本部とトランシーバーを通して通話する一同…そして毒入りチョコを皆に食べさせた林

警官の遺体の腰についているトランシーバーは警察本部からの音声を受信していた。『班長である自分が話す』と言い、駆け寄りトランシーバーを手にした佐藤。佐藤が語り掛けると無線の相手は『誰だ?』と尋ねる。こちらの音声が相手に伝わっていることに歓喜する一同。しかし、佐藤が『自分達が藤谷製薬の社員であること』『助けて欲しいこと』を伝えるも、相手からの応答が途切れる。

苛立つ佐藤に、早乙女は『自分達が猿の仲間だと疑われているのではないか』と指摘する。早乙女の言葉に愕然とする一同。しかし、すぐにトランシーバーから『現在救助隊がそちらに向かっている』『その場を動くな』という指示が下り、宮田はついに助けが来る…そう涙を流すのであった。

だが、長谷川部長は『猿が来る、まともにやりあっては助からないので登って逃げよう』と提案する。そして『安斎を先に行かせるのはマズイ』と指摘する。
しかし、それに対して佐藤は『警察の指示に従うべき』と主張し、自らの血に塗れた手の平を見せて『もう自分達に登る力は残っていない』と言うのであった。
…警察の遺体の転がっていることから警察がやってくるまで、そう時間はかからない。そして既に連絡手段を手に入れた。そして警察が殺害されていることから上に猿がいることが推測できる…。

『今は無事下山することを考えるべき』『安斎達とは救助後、暖かい部屋でコーヒーでも飲みながら弁護士同伴で戦えばいいのだ』
そう、提案する佐藤。佐藤は今まで口に出して来なかったものの、合流した当初から長谷川部長の袖に血痕が付いていることに気付いており、内心疑っていた。

反論の余地がない佐藤の主張に、『さすが班長だ』と皮肉ともとれる誉め言葉を口にする長谷川部長。一同は警察の救助を待つことにする。助かることに安堵しつつも早乙女は8年前同様、岩砕山の山頂まで行けなかったことをどこか残念に思うのであった。
『腹が減った』と呟く長谷川部長。すると、唐突に林が立ち上がり、『皆に隠していたことがある』と個包装のチョコレートを差し出す。驚く一同に林は『手作りで不格好だったから、数も少ないから本当の最後の最後に食べようと隠していた』と語る。ひどい…と言いつつもありがたがりながらチョコレートを受け取り食べる宮田と早乙女。佐藤も内心、『ブリっこしやがって、ちゃっかり食料を隠し持っていたなんて…』と悪態をつきながらチョコレートを食べる。その様子を見て林は嬉しそうに『良かった』とほほ笑んだ。

「毒入りのチョコ、喜んでもらえて」
「私は猿の仲間です」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 126/211

第97話 山頂直下③~猿の仲間であることを皆に告白する林と長谷川部長

林の唐突な告白を当初はジョークとして流そうとした早乙女と宮田。すると林と目配せした長谷川部長も立ち上がり言う。

「俺も猿の仲間だ。今まで信じてくれてありがとう」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 132/211

状況を飲み込めない早乙女と宮田に対し、佐藤は先刻、氷室が頭上から梯子を落としてきた時、長谷川部長が林をとっさに抱いて庇っていたことを思い出し、納得する。

「この計画は私が立案した」「藤谷製薬は罰を受けるべきなんだ」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 134/211

安斎に気付かれた時は焦ったが、早乙女に助けられた…そう語る長谷川部長に『ウソだ…』と呟くことしかできない早乙女。そんな早乙女に部長は『愚直』『お前の長所でもあるが単純すぎる』と言い捨てた。

早乙女は長谷川部長に掴みかかり叫ぶ。『なぜなんですか。信じて慕っていたのに』と。しかし、長谷川部長は冷静な態度のまま早乙女にこう言うのであった。

「あと4時間程でお前らは死ぬ」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 137/211

林が早乙女、宮田、佐藤の3人に食べさせたチョコレートには遅効性の毒が入っており、あと4時間ほどすれば効果が出て死に至るのだという。

長谷川部長の襟首を持って崖際まで追い詰めた早乙女。『なんでこんな事したんだ』と怒り泣き叫ぶ早乙女に、長谷川部長は『計画を完遂したら喜んで殺されてやる』と答える。そして、

「安斎と氷室だけは絶対に殺す!!」
「そのために是非みんなに協力してほしい」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 141/211

『安斎と氷室の殺害に協力さえすれば、チョコレートに入っていた毒の名前を教える』『毒の名前さえ分かっていれば、4時間以内に下山して治療すれば助かる可能性がある』…そう交換条件を早乙女達に持ち掛ける長谷川部長と林。
その言葉に当然早乙女は『人殺しの手伝いをしろというのか!?』と激昂する。しかし、『あの二人を殺させてくれ』と必死に懇願する長谷川部長と『すべての責任は自分達が負う』『せめて黙って見ていて』と硬い表情で言う林の態度に、長谷川部長を掴む手を放し、泣き崩れるのであった。そして、宮田と佐藤は何も言えずに立ち尽くすことしか出来ないのであった。

第98話 山頂へ①~長谷川部長達と山頂を目指す早乙女達…動機を語り始める部長と林

その頃先に進んでいた安斎と氷室。安斎に頼まれた氷室は安斎の左臀部に撃ち込まれていた銃弾を取り出す。痛みに耐える安斎。銃弾は無事に取り出すことが出来た。

これで安斎の体内から警察官と争った痕跡が無くなったことになる。傷口をガーゼとタオルで圧迫した安斎は氷室に、もっと先まで登り、『決戦の場所』として、早乙女達を始末するために、より良い場所を探すことを告げるのであった。

一方、その遥か後方で、林に毒入りチョコを食べさせられた早乙女、宮田はうなだれていた。佐藤はトランシーバーで警察本部と連絡しようとするも、応答が全くないことに苛立つ。やはり社員の中にテロリストの仲間がいると思われており、疑われているのだろうと結論付ける。そして、実際にテロリストの仲間がいた訳なのだ。
長谷川部長と林は既に山頂に向かって歩き出している。佐藤はしゃがみこんだままの早乙女と宮田に『長谷川部長と林について行って、岩砕山を登るしかない』『行こう』と声を掛ける。

以前、孤立していた時に『早乙女君が生き残った事には、絶対に何かの”意味”がある』…そう優しく言ってくれた林の姿を思い浮かべた早乙女。 涙を流し続けながらも、佐藤の言葉に、そうだな…と呟き、立ち上がるのであった。

長谷川部長と林の後を追う早乙女、宮田、佐藤の3人。『何故4時間と遅効性の毒を選んだのか』『藤谷製薬は罰を受けるべきとはどういう意味か』『何故長谷川部長が計画を立てたのか』…疑問を口にしながら歩いているうちに、すぐに長谷川部長と林に追いついた。

『私達が死ねば毒の名前は分からず、早乙女達は死ぬことになる』『だから私たちが死なないように気をつけて欲しい』と冷たい目で言い放つ林。そして、長谷川部長は5年前の薬害事件について語りだす。

”オルフィジン薬害疑惑”…それがジェネリック医薬品製造販売を主力にしていた小さな製薬会社であった藤谷製薬に出た薬害疑惑であった。
安価な抗生剤として一般細菌感染症に対して幅広く処方されたオルフィジンの副作用として8名が死亡、50名が後遺症を負った。原因は東南アジア産のデンプンに混入していたアミノ酸が胃粘膜保護剤と反応し、更に変性してアミノ酸と結合して神経毒が生成されたことであったが、これについては『予見不可能』だったとして、藤谷製薬は無罪となったのだ。

しかし、藤谷製薬はこのことを知っていたのだと言う林。そして、そのせいで自分の弟達が被害に遭ったのだと語る。

『見ろ!!』突然叫び前方を指さす長谷川部長。その先には安斎と氷室の後ろ姿があった。その姿を長谷川部長と林は壮絶な表情で睨みつける。

「安斎…見つけたぞ!!」「全てを知り隠蔽した男」
「ヤツだけは絶対に許さん」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 167-168/211

第99話 山頂へ②~語られる5年前のオルフィジン薬害疑惑の詳細…そして例の猿と日本刀の男”トオル”の危険性

藤谷製薬が生産していたジェネリックの抗生剤『オルフィジン』…しかし、その添加剤として使用されたデンプンの中に混入していた微量のクララトシン酸がある種の胃粘膜保護剤に使われていた添加剤等と反応したことで神経毒が発生。それによって頭痛・嘔吐・手足の痺れ・麻痺等の症状が出て8名の死者と数多くの被害者を生み出した。

裁判では『藤谷製薬が添加剤として使用されたデンプンにクララトシン酸が混入していたことを認識していたか否か』が争点となった。結果、判決は『認識していなかった』『予見することは困難であった』として藤谷製薬が完全勝訴、無罪となった。混入が初期生産分の数%に過ぎず、また藤谷製薬側も抜き打ちの品質検査を実施するなどしていたことから過失責任も否定されたためだ。

しかし、これは嘘であったと語る長谷川部長と林。安斎を中心とする少人数の社員が前社長の指示下で記録の改ざんや破棄を行い、口裏合わせや訴訟対策を徹底した結果だという。

藤谷薬品は危険なクララトシン酸の混入を知った上で販売を続けていたと語る林。

「私の弟達は二人とも被害にあった。一人は死に、一人は植物状態…」
「許せるワケがない」

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そう涙を流しながら憤る林。
このことについては証拠はないが、酒に酔った前社長が全てを長谷川部長について語ったのだという。
笑いながら、『マスコミにはリークは無しだよ』『もっとも、もう証拠は無いから安心だけど』と言って。

『裁判で勝てない以上、我々が罰を下すしかなかった』という長谷川部長。岩砕山の鬼猿伝説を知っていた長谷川部長は少人数で優位に立ち、恐怖心を利用するために、計画にこの場所を選んだのだ。そんな長谷川部長に、早乙女は『あの例の猿はなんなのか』『あの猿は人なのか、それとも本物の化け物なのか』と尋ねる。

『あれは特別だ。当初は使う予定はなかった』そう答える長谷川部長。林も『あの猿は自分達には制御できない』『一人の男の言う事しか聞かない』と語る。

あの猿は日本刀の男…”トオル”の言う事しか聞かない。そして”トオル”は暴力や殺人を好んでおり、長谷川部長の指示に従うことなく警官や無関係の人間まで殺しているというのだ。

そういった話をしながら登り続けていた一同。鎖場にたどり着くも、岩場の形状から安斎達の姿を見失ってしまった。そして、上から不穏なガンガンという響いてくる。また梯子を落としてくるのか…と宮田は警戒する。
様子を見るためにもまずは自分が先頭を行くという長谷川部長。
早乙女はそんな長谷川部長の後ろ姿を見て、彼が大量殺人の黒幕であるにもかかわらず、未だに憎むことが出来ない自分に戸惑うのであった。

安斎の姿を探しながら、皆より先に鎖を手繰りながら登っていく長谷川部長。すると突然、鞭の様に一本の鎖が長谷川部長の身体に打ち据えられる。悲鳴を上げる長谷川部長。

驚いた一同が上を見ると、鎖を構えた安斎がそこに立っていた。『待ちくたびれたよ』と不敵な笑みを浮かべながら。

第100話 待ち伏せ~安斎の鎖攻撃と氷室の投石…崖の下へ消えて行った宮田

容赦なく長谷川部長に鎖を打ち続ける安斎。ただ耐え続けるしかない長谷川部長。こんな岩場で滑落しては命はない…早乙女達は圧倒的に不利な立場にあった。
そして、追い打ちをかけるように、氷室が上から投石をしてくる。早乙女達はなすすべがない。

先頭の長谷川部長は鎖から手を放し、岩壁にしがみついて耐えている。『部長は殺人鬼』『しかし、見殺しにできない』そう強く思った早乙女は部長を助けるために上へ急いだ。だが、安斎から鎖を打たれ、バランスを崩し、手元の鎖を手放してしまい、岩場を滑り落ちてしまう。

すると宮田が、そんな早乙女を全力で受け止める。崖のぎりぎり、間一髪のところで踏みとどまった早乙女と宮田。『無茶しやがって』『お前まで落ちたらどうする』そう早乙女が言うと、宮田は『俺だってやればできる』と笑ってみせるのであった。そして、唐突に早乙女に言った。

「お前は立派な男だ」
「それを…中高…そして…会社でも疎遠にしててゴメンな」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 203/211

突然の謝罪の言葉に驚く早乙女。宮田はずっと心に引っかかっていたのだと言う。そして、安斎の鎖攻撃をどう躱そうか話し合っていたその時、

氷室の投げた石がすごい勢いで宮田の左側頭部に衝突。一瞬意識を失い、体のバランスを失う宮田。宮田の名を叫びながら手を差し伸べた早乙女。意識を取り戻した宮田はその手を掴もうとするも、間に合わず…

宮田はそのまま、崖の下に消えて行った。

呆然と崖の下を覗き込む早乙女。しかし、荒涼とした岩場が広がるばかりで宮田の姿を見つけることは出来ない。

「宮田あああああ」

モンキーピーク10巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 208/211

ただただ、早乙女の慟哭が響き渡るだけであった。

以下、感想と考察

やはり林は猿の仲間、黒幕だった…明かされた薬害事件の真相

林はなんと、猿の仲間、黒幕だった…っていったいどれくらいの人が驚いたのだろう。もう今までビンビンにフラグが立っていたので、『あ、うん、ですよね…』位にしか思えない。散々『弟が』発言が繰り返されてきたし、なんか異様に丈夫だし、運良すぎるし…ねえ。弟が二人いたのが意外といえば意外だったけど。

そして、猿たちの動機はやはり、『薬害事件』。藤谷製薬で働き続けてきた長谷川部長は10巻の内容的に純粋に義憤に駆られて薬害被害者側の立場に寄り添って、この計画を立てたという事か…。しかし、『薬害事件』の事実を知り、隠ぺいに携わったのは安斎をはじめとするごく少人数。殺害された社員達の殆どは何も知らないわけで、特に若い社員に至っては入社すらしていなかった者もいるわけで…。さすがに理不尽すぎやしませんかね?

猿は一枚岩ではない

氷室は皆から追い出されて一人さまよっていた時に、猿に 『社員達に合流し、全体の進みを遅らせて、かつ内部に猿の仲間を増やせば生かしてやる』 と言われたと主張し、安斎を仲間に引き入れた。氷室が嘘をついている可能性もあるが、嘘をついてまで安斎達の所に戻ってくる理由がよく分からないし(猿に遭遇しなかったのであれば、そのまま下山した方が良かっただろう)、やはり氷室は猿と遭遇し、猿は氷室を見逃したのだろう。

一方で猿の仲間だという長谷川部長と林は『安斎と氷室は絶対に殺さなければならない』と考えている。氷室を絶対に殺そうとするなら、皆から追い出されて孤立していた時にこそ殺害するべきだっただろう。その方が確実だし。しかし、その時、猿はそれをしなかった。長谷川部長&林と氷室を見逃した猿の間では少し、目的がずれているのかもしれない。

そして、長谷川部長と林の口から語られた、真の猿と日本刀の男”トオル”の危険性(日本刀の男は林の弟ではなかったのか…予想が外れた、残念!)。長谷川部長の統制下から離れてしまっているというこの二者の今後の行動も読めない。氷室に条件を持ちかけた猿が、どのような立場にいるのかも分からないが、この猿内部の方向性の違いも、今後の展開にきっと関わってくるのだろうと予想する。

暴走する安斎

『私は猿にはならん』って、人殺しはしないって宣言していたのに…色々な鬱憤が爆発してあっさりと警官を殺害してしまった安斎さん。もう後戻りは出来ない。唯一の仲間は辻殺しの犯人、クズ天パの氷室。色々と問題点はあったものの、本人の自己申告通り、『真面目に、忍耐強く、献身的に誰よりも行動し、公正・公平を心掛けて行動』はしていたので、残念。9巻末で早乙女達が少しでも彼の言い分を聞いていたらきっと未来は違ったのだろう。学生時代の心の傷がまさか、ここで大爆発。

真面目な人ほど爆発した時、怖いとはいうけれども。その上、2巻後半から早乙女を縛り上げ、笑いながら痛めつけると言うサディストな面も見せていたし…。

…『真面目で、忍耐強く、献身的で、公正・公平で頼れる、でもちょっぴり繊細なサディスト』。なんか言葉にすると物凄いキャラだな、安斎。

宮田死亡?

唐突で雑な死亡フラグの後、本当に崖の下に消えて行ってしまった宮田。主人公の親友ポジション…ということで、どこかで死ぬのかな…と思ってはいたけれども、死亡フラグが本当に雑だし唐突だし、そこがちょっと不満。何故、いまここで、過去のことを謝罪するの?
死体の描写が無いが、場所が場所なだけに、これは流石に死亡してしまったのだろうか…。

というか宮田に石をぶつけた氷室が本当に嬉しそうで…なんていい笑顔しているのだ。お前、どんだけ宮田のこと嫌いなんだ。イケメンへの憎しみ半端ない。昔さらさらヘアのイケメンに天パのことででもイジメられたの?

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モンキーピーク11巻、発売日と今後の展開は?

モンキーピーク11巻の発売日は、2019年8月頃とのこと。
明かされた犯人、長谷川部長と林達の動機、暴走し殺人も辞さなくなった安斎と氷室。動きが読めない『真の猿』と日本刀の男『トオル』。そして、親友宮田を失った早乙女…。ストーリーはクライマックス。果たして物語はどのような結末を迎えるのか。

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