【漫画】モンキーピーク12巻・最新刊・最終巻【感想・ネタバレ・考察】岩砕山山頂…ラスト生き残るのは?そして結末は…真のヒロインは佐藤さん

モンキーピーク12巻 表紙

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前の巻の記事はこちら→【漫画】モンキーピーク11巻【感想・ネタバレ・考察】相次ぐ死者と新キャラ、田畑~そして岩砕山頂上で待ち受けていたのは…

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Contents

あらすじ・ネタバレ(感想混じりです)

第111話 山頂②~制御不能な真の猿はナタの猿を殺害する

岩砕山に登った早乙女と林を待ち受けていたのは多くの社員達を虐殺した”最初の猿”こと”ナタの猿”であった。その姿を見た早乙女は激昂するがそれを林が『責任は取るから今はやめて』と制止する。そして猿に『沢山の人を殺した』と詰る早乙女に『あなただって人を殺してるんでしょ』と噂を持ちだし黙らせようとする。しかし、それに『違う』と佐藤が声を上げる。佐藤は以前の早乙女との対話から本当はバイク事故の時早乙女が運転していなかったことを見抜いていた。そして、バイク事故を持ちだした林に『汚いやり方だ』と怒り、言うのだ。

「私はこいつを信じるよ。早乙女は誰も殺していない」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 11/203

佐藤の言葉に怯んだ林であったが、『安斎とあの猿(真の猿)を殺すまで待って欲しい』と早乙女、佐藤、田畑に言うのであった。林と”ナタの猿”はこの岩砕山の頂上で真の猿と安斎と戦うつもりなのだ。”ナタの猿”は安斎が逃げられないよう三ツ倉口へ降りるハシゴを落した。そして、安斎は助けが来るのをただ待つ男ではない。また、”真の猿”も傷を負わされた復讐に必ずやって来る…そう林は予測しているのだ。

しかし、部外者であるためか、田畑は怖がりながらもどこか明るく、”ナタの猿”が持っている火縄銃と、身体に巻き付けている火薬を見て、『スゴイ』とはしゃぎ、林から近寄らないようにと怒られるのであった。

だが、早乙女は岩肌に血が付着しているのに気付く…その時だった。

突如、早乙女の頭上から”真の猿”が現れたのだ。とっさに火縄銃を構える”ナタの猿”であったが、”真の猿”に払い落とされ、揉み合いになる。そして、”ナタの猿”はナタを取り出し振りかざそうとするも、いともたやすく”真の猿”に持ち上げられてしまい、先がとがっていた、山頂であることを示す木の看板にそのまま串刺しにされ、殺されてしまうのであった。

慌てて、”ナタの猿”が落とした火縄銃を拾い、”真の猿”めがけて構えた林。しかし、”真の猿”はそれを見て逃げ出す。怯えながら『仲間じゃないのか』と問う田畑。それに対し、林は壮絶な表情で『トオルがいない今は”真の猿”は制御不能』だと言う。

「あれは…もう―岩砕山の”伝説の魔猿”よ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 24/203

…ここに来て急激にヒロイン感を出してきたね、佐藤さん。

そして、まさか”ナタの猿”がそのご尊顔を見せることなく殺されてしまうとは…意外。

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第112話 山頂③〜トオルの友人であった田畑は林の脇腹をナイフで刺す

どこから来るか分からない“真の猿”に警戒する早乙女、佐藤、林、田畑。すると突然佐藤の目の前にやってくる。すんでのところで早乙女が鎖で“真の猿”の動きを止め、林が火縄銃を向けるが、またしても“真の猿”は岩場のどこかに逃げる。速すぎて早乙女も林も手の打ちようがない。

すると、“真の猿”に傷を負わせた早乙女が『俺はここだ』と挑発する。そして、岩場から飛び出してきた“真の猿”に噛まれそうなところを早乙女は鎖で何とか食い止める。そこを林が火縄銃で狙いを定めたその時だった。

田畑が林の脇腹を持っていたナイフで刺したのだ。林は立っていた岩場から転がり下り、それを見下ろしながら田畑は笑って言う。

「本物の猿は助ける。トオルとの約束なんだ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 39/203

自身がトオルの友人であることを明かした田畑。遠くにいるであろうトオルに向かって『来てやったぞ、出て来いよ』と叫ぶ。(この時点でトオルは安斎に殺害されているのだが、それは安斎以外知らない)林は生きてはいるものの重傷のようで起き上がれない。そして、早乙女は“真の猿”に押されて噛み付かれそうになる。だが、次の瞬間銃声が響き、“真の猿”は早乙女から離れる。

そこには拳銃を手にした安斎の姿があった。そして、安斎はそのまま何度も“真の猿”目掛けて発砲する。銃弾を浴びながらまたしても逃げようとする“真の猿”。だが、そこで力を振り絞って起き上がった林が火縄銃を撃った。

すると、“真の猿”は激しく吹き飛び、倒れ、大量の血を流して動かなくなるのであった。

だが、動けなくなってしまった林に駆け寄る早乙女と佐藤に安斎は拳銃を向けて言う。

「全員集合…か。まさか猿まで一緒とはな…」
「動くな」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 46/203

第113話 山頂④〜田畑を崖下に蹴り落とした安斎は薬害を隠蔽した理由を語る…そして、“真の猿”はまだ生きていて…

左手に日本刀を巻き付け、右手で拳銃を向ける安斎に重傷を負った林も火縄銃を向けるが、安斎から『発砲したばかりで弾が入っていない』と見抜かれていた。出血が多いため、そのままグッタリしてしまった林は駆け寄って来た早乙女に『安斎を殺して』と懇願するのであった。

すると、岩陰にいた田畑が安斎に『その日本刀は?』と尋ねて、一般登山客であるかのように振る舞って『一緒に下山しましょう』と背後にナイフを隠し持ちながら笑顔で近づく。

だが、安斎はあっさりとそんな田畑の胸を日本刀で突き刺す。田畑の話を全部聞いていたのだ。そして、そのまま安斎は田畑を山頂から崖下に蹴り落とすのであった。

その様子に唖然とする早乙女と佐藤。早乙女は安斎に言う。

「て…てめえ…“猿”になりやがったな」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 54−55/203

その早乙女の言葉に安斎は笑う。

「そう、これが本当の私だよ…正義の為ならなんでもやる、恐ろしい獣さ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 55/203

そして、林に代わって佐藤が薬害の件を問いただすと、『薬害で死んだ8人の犠牲者より藤谷製薬の社会価値の方が高いと判断したから、薬害を隠蔽した』と語り、優秀な研究者達を殺した猿達薬害被害者を『猿と変わらない知能』と吐き捨てる。

だが、そう言った安斎は先ほどまで倒れていたはずの“真の猿”が血溜まりだけを残して姿を消したことに気づく。

『猿は逃げたわけではなく、まだここにいる』…そう悟った早乙女と安斎は自然と背中を合わせて、来たる“真の猿”の襲撃に構える。

一方、佐藤は怯えていたが上着のポケットに入っていた遠野の遺品であるメガネに触れ、涙を流し震えながらも決意する。

戦わなくちゃ、私も

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 62/203

そして、遠野だったらどうするかを考え、ふと看板に串刺しにされて死んでいる“ナタの猿”の死体に目を留める。そして、看板を石を叩きつけて折り、落ちて来た“ナタの猿”の死体が身につけていた火縄銃の火薬を手にするのであった。

その時、早乙女目掛けて下から“真の猿”が飛び出して来た。

…これが早乙女と安斎の最後の共闘。考え方、理念が違うが、闘いの場になると不思議と息が合っていた二人。この二人が分かり合っていたら物語は全然違っていたと考えると少し切ない。

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第114話 佐藤〜生きていた宮田、そして佐藤は火薬を持って猿に突進して…

早乙女目掛けて飛んできた“真の猿”に日本刀を振りかざした安斎。しかし、かわされた上、左腕を爪で引っ掻かれてしまう。そして、舌打ちして拳銃を向けた安斎に“ナタの猿”が刺さったままの看板を叩きつけ、その衝撃を受けた安斎は倒れてしまいすぐに立ち上がれない。

そんな安斎にトドメを刺そうとする“真の猿”に今度は早乙女が背後から飛びかかり、動きを止めようと猿に鎖を巻き付け自身は崖下に飛び、安斎に拳銃で“真の猿”を撃つように叫ぶ。だが、安斎は失神しており動かない。早乙女が“真の猿”に鎖で引き上げられてしまいそうになったその時。

何と、宮田が下からやってきて早乙女に力を貸した。そして、ビックリする早乙女に言うのだ。

「ボーッとするなっ!!やるぞサッチー!!」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 80/203

友の生存に涙した早乙女は力を振り絞り、鎖を梯子に括り付け、“真の猿”の動きを止める。そして、上にいる安斎に再び『やれ!!』と声を掛ける。しかし、意識を取り戻したての安斎はまだ動けない。

すると、火縄銃の導火線と火薬を持った佐藤が立ち上がる。

「やれる…やれる…っ、私はやれる!!」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 85/203

自身を鼓舞するようにそう叫んだ佐藤は火薬に火をつけて猿に突進するのであった。そして、崖下にいる早乙女と宮田には爆発音が聞こえるのであった。

…6巻で飯塚達に『あんたは出来る女だ』と心の隙間に付け入られ山小屋に火を放ってしまった佐藤が自身の力で本当に『出来る女』になった瞬間だろう。しかし、それが遠野と同じ、特攻だというところがどこか悲しい因縁を感じる。

第115話 林〜右腕を失った佐藤とトドメを刺された真の猿…そして林はあることを早乙女に託して死亡する

佐藤の捨て身の特攻で、“真の猿”は右側頭部を吹き飛ばされた。だが、佐藤は右眼が傷付いた上、右腕が吹き飛ばされてしまい、それに気付いた佐藤は絶叫を上げる。(このシーンは中々ショッキング)

ダメージで動けない“真の猿”を鎖で引き摺り落とす早乙女と宮田。“真の猿”はあっさり落ちてきて、そのまま崖下に落下。動かなくなる。

「猿は…死んだ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 95/203

そして、山頂に戻った早乙女と宮田は右腕を失い苦しむ佐藤を見て、止血をしようと急ぐ。痛みに呻きながらも佐藤は早乙女と宮田に猿がどうなったかを尋ねて、二人が『頭が砕けて死んだ』と言うと笑いながら涙を流すのであった。

「よかった…やった…やったよ…遠野」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 97/203

そして早乙女は佐藤の止血をしながら宮田にどうやって生き残ったのかを尋ねる。宮田は崖から落ちた時にちょうど警察の人の死体の上に落ちたのだと言う。(安斎が殺した救助隊員の死体である)宮田の幸運さに驚く早乙女は佐藤の止血を終えると林の元に行き、“真の猿”が死んだことを告げる。すると、林は苦しげに早乙女に父である長谷川部長がしていた社員のランク付について語り出す。

長谷川部長は『必ず殺すS』『出来たら殺すA』等とランク付けしていたが、早乙女は特殊だったと言う。(SとA以外にもどんなランク付けがあったのか、具体的にもっと知りたいところである)

「語り部。出来るだけ…生き残らせる“Z”」
「あなたよ…早乙女君」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 100/203

自分たちの目的は“岩砕山の猿の伝説”が何百年も語り継がれるよう、この事件について何百年と語り継がせることだったと言う。そして、この悲劇と『悪人には必ず報いが来る』というストーリーを後世に語り継いでほしいと早乙女に言うのだ。長谷川部長は『馬鹿だけど真っ直ぐ』と早乙女を気に入っていたという。そして、早乙女達に飲ませた毒の名が“セロキトトキシン”であると告げた、『人工呼吸等で呼吸さえ確保していれば死なない』と説明し、グッタリする。

そんな林を『傷は浅くない』と励ます早乙女だが、林は血を吐きながら哀しそうに笑う。

「私の飲んだ毒は助からない」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 104/203

早乙女達に毒入りチョコを食べさせた時、林と長谷川部長が食べたチョコには毒が入っていないのではなく、また全然違う、助からない毒を食べていたのだという。(11巻で長谷川部長、死ぬ間際に林に『生きろ』って言っていたのは何だったんだろう…あと数時間生きろって意味かい)

自分はこの山で死ななきゃいけないと言う林は愕然とする早乙女に最期に笑って言うのであった。

「そ…そんな顔しちゃダメ…早乙女くん…」
「笑って」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 105/203

そう言い残して林は絶命するのであった…。

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第116話 早乙女①〜一人だけ生き残って都合の良いシナリオを語ろうとする安斎だが、宮田が機転を効かせて…

林の亡骸を泣きならが抱きしめる早乙女。佐藤を介抱している宮田もその死を知って愕然とする。だが、宮田は毒が効いてきて呼吸が困難になる。そんな宮田に右腕を失い動けない佐藤が『これで救助を呼んで』と無線を差し出す。

だが、それを先ほどまで動けなかった安斎が奪い取る。林の話を聞いていた安斎は『私こそが語り部に相応わしい』と笑い、日本刀と拳銃を宮田達に向ける。

そして『薬害事件を逆恨みしたテロリスト達が起こした大量殺人』として“多少”脚色すると言う。

「リーダーとして最後まで戦い勝利した“英雄安斎”の物語だ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 115/203

…このときの安斎さんの顔、最高にイッてしまっている。どうした。

そして、そのために『唯一の生き残りになる』と宣言する。

そんな安斎に宮田は『途中の警官達を殺したのも安斎か』と問う。『俺だ』と平然と言う安斎。宮田に『俺達も殺すのか』と聞かれると『もちろん』と平然と答える。頭上にはヘリコプターが飛んでいるものの、状況がわからず警戒しているためかすぐに着陸する様子は見せない。そのため安斎は早乙女から『林さんやこの山で死んだすべての人のために思い通りにさせない、一緒に下山して裁かれるべきだ』と言う早乙女のことを鼻で笑うのであった。

だが、突然宮田が笑い出して言う。

「お前は英雄になんかなれない…絶対にな」
「お前は“悪”だ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 122/203

そして、手にしていた無線を見せるのであった。

実は宮田は警察官の死体の上に落ちたとき、その警察官が持っていた無線を拝借しており、ずっと無線を繋いでいたのだ。安斎に色々と問うたのは殺人の言質を取るためで、そのやり取りは無線の向こうの警察に筒抜けだったのだ。

そして、無線から警察官は安斎に『武器を捨てて投降しなさい』と告げた。宮田は安斎に『諦めろ』と笑う。安斎の負けが確定したのだ。

だが、パニックを起こした安斎は宮田に銃口を向ける。早乙女が安斎に飛びかかったものの、宮田は肩に被弾してしまう。倒れ、痛みにもがく宮田。

そして、全てを失った安斎は『殺してやる馬鹿どもが』と絶叫する。

すると、そんな安斎に早乙女は冷静に言うのであった。

「決着をつけるぞ、安斎」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 128/203

…宮田、幸運な上、ナイスすぎる。

第117話 早乙女②~自分が生きてここにいる意味を理解し早乙女は安斎に立ち向かう

『タイマンだ』と言う早乙女に『クズらしい言いっぷり』と言いながらも安斎は日本刀を捨てて応じる。

そのまま殴り合いになる早乙女と安斎。だが、圧倒的な体格差で早乙女のパンチは安齋に効かず、逆に腹部に安斎の強烈なパンチを食らった早乙女は倒れてしまう。

『なんでこんなことになった』『皆殺しだ』『チクショウ』そう叫び泣きながら早乙女を蹴りまくる安斎。早乙女は痙攣して動かなくなり、安斎は宮田と佐藤の方に近づいていく。

気絶した早乙女の意識は中学三年生の頃、ユージに誘われてバイクに乗る直前まで飛ぶ。だが、すぐに意識を取り戻し、林の亡骸を見た早乙女は立ち上がる。

あの時死んでいたのが俺だったなら…

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 142/203

そう思いながら叫ぶのだ。

「俺の…意味は“ここ”だっ」
「この時の為に俺は生き残ったんだ!!」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 143/203

そして、『宮田と佐藤は殺させない』と安斎に宣言する。

そんな早乙女を見て、早乙女がまた“あれ”…自身も一緒に相手と崖下に落ちようとしているのではと思った宮田。すると佐藤に「私はいいから行け」と宮田に言い、宮田は近くにあったナタを安斎の背中めがけて投げつけた。

すんでのところでナタを避けた安斎。だが、それを早乙女がキャッチして、安斎に振り下ろしたのであった…。

…ずっとユージの死から『自分の生きる意味』について悩んでいた早乙女が吹っ切れて覚醒した瞬間。非常に主人公らしい。

第118話 選ばれし者~致命傷を負った安斎は逃げようとした田畑に投石を命中させ、幻を見ながら死亡する

ナタを持って向かってくる早乙女に構える安斎。だが、早乙女はフェイントを掛けてきており、ナタを投げ出し安斎にタックルをかます。

『アメフト出身の私にタックルだと』とバカにする安斎。しかし、信じられない力で早乙女は体格差を覆し、安斎を持ち上げ、宮田の制止を聞かないで、そのまま安斎を抱えたまま崖下に飛び降りるのであった。

安斎とともに梯子にぶつかりながら落ちていく早乙女。安斎の体をクッションにするような形で落下したのだった。しかし、落下の衝撃で動けず声も出ない。

一方で、下敷きにされていたはずの安斎は頭から流血しながらもすぐに立ち上がり、立ち上がれない早乙女は見上げることしかできない。

だが、安斎は早乙女に向かってこう言う。

「山は…私よりお前を選んだ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 160/203

安斎の背中には梯子の欠片が深く突き刺さっており、大量に出血していたのだ。

すると安斎は大きな石を手に取る。動けない自分にトドメを刺そうとしていると思った早乙女。だが、安斎は下の方へ構える。

安斎の目線の先には実は生きていた田畑がおり、岩砕山から逃げようとしていたのだ。

安斎がしようとしていることを悟った早乙女は目で止めるように訴えたが、安斎は『最後までお前とは分かり合えん』と笑う。

「これが…私の――正義だぁああ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 163-164/203

そう叫んで田畑の頭部に投石した安斎。石は狙い通り田畑の頭を吹き飛ばした。『パスが通った』と涙を流しながら笑う安斎は『私は間違ってない』と言いながら倒れ込む。

そして、アメフトの仲間達から胴上げされるという幸せな幻を見ながら絶命する。涙を流し幸せそうな笑みを浮かべた安斎の亡骸を見て、早乙女もまた涙を流すのであった。

…安斎さんも亡くなった。悪役だったはずだけど、私は何故かこの安斎さんが憎めなかった。最期に幸せな夢を見られて良かったと思う。

第119話 山~生き延びた早乙女はかつての父の言葉の意味を知る。そして、早乙女と佐藤は恋人同士になる

ヘリコプターから救助隊員が下りてきた。呼吸困難に陥った宮田に人工呼吸をし続けていた佐藤は『毒の名前はセロキトトキシンで人工呼吸が必要な状態』であることを告げ、下に落ちた早乙女も毒に侵されていることを告げる。そして言うのであった。

「私は…毒を食べていない」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 172/203

…あのチョコのシーン、佐藤は林に悪態を吐いた後食べた物だと思っていた、食べていなかったのか…ビックリ。でも、確かにチョコ以降、苦しくなっていく早乙女に対して佐藤はあまり変わっていなかった。

そして崖下からヘリが着陸した様子を見ていた早乙女は『宮田も佐藤さんも助かる』とホッとしていた。だが、自身は体力が残っておらず、安斎と共にここで死ぬのか…と思っていた。

最後の力を自分ではなく田畑を殺害するのに使った安斎の亡骸を見ながら早乙女は『こいつなりの”正義”があった、凄い男だった』と敬意を示す。そして思うのであった。

俺も…この山でみんなと一緒に
もう…眠っていいよな

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 175/203

すると、暗闇の中『稜』と呼ばれる幻を見る。そこには亡き父やユージ、そして死んでいった社員達の姿があり、『ここはまだ頂上じゃない』『まだやれる』と口々に励ます。

諦めるな――
登れ

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 177-178/203

目を開ける早乙女。そこには美しい山脈が広がり、その奥には富士山が見えるのであった…。

数か月後、そこには街の中の公園で眼帯姿の佐藤と共にベンチに腰掛ける早乙女の姿があった。佐藤は『このHP知ってる?』と言って『岩砕山猿伝説』というHPをスマホで見せる。これはオルフィジン被害者の会が作ったHPで、寄付金を集っており、既に2億円近く集まっている。この岩砕山の事件については犯人グループに同情する世論があるのだ。『部長はここまで計算していたのでは』と推測する佐藤。

『これだけあれば薬害被害者も少しは楽になれる』とどこか安心した様に言った早乙女は佐藤に岩砕山から富士山が見えたことについて語る。

「”登れ”っていうのは”生きろ”って事だったんだ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 182/203

早乙女は父が自分に『世界が広いこと』『そして前に進むことの大切さ』…それを語りたかったということに気付いたのだ。

すると、そこに宮田がやって来る。顔に傷が残っているものの元気そうな宮田は、早乙女と佐藤が手を重ね合っているのに気付き、『えー!』と叫ぶ。赤面する早乙女と佐藤。宮田はそんな早乙女の肩を抱き、早乙女は自然な笑みを浮かべる。宮田は二人を体験記を書くために呼び出したのだ。

…猿伝説のHPには”警告”が書かれている。それはこういうものだ。

猿を怖れよ 猿はまだいる
警告する 猿を怖れよ

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 186/203

そして、山奥に血に塗れたナタが二丁置いてある。

猿はまた現れる

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 188/203

第120話 エピローグ~猿の現れない世の中を祈り、犠牲者の死を無駄にしないために本を書くことを決める早乙女、宮田、佐藤

喫茶店で早乙女、宮田、佐藤は事件の体験記を書くための話し合いをしていた。

『主人公はサッチーだ』と言う宮田の意見に困惑する早乙女は、最近やっと歩けるようになったばかりだ。左足だけで5箇所骨折し、足の指は3本切断した早乙女は歩けるものの足はまだ痛み、走ることはもう難しい。

改めて『良く生きてた』と語り合う3人。佐藤も『右手と右目で済んだのは幸運だった』と笑う(右目は失明したと思われる)。

例の被害者の会のHPの警告にある『”猿”はまだいる、また現れる』という言葉を見た早乙女はこれを『悪は必ず亡ぶ』という万人に向けたメッセージだと解釈した。そして、『俺たちが生き残った事に意味があるなら、山で死んだ皆の死にも意味がある』と言う。

「あの死を無駄にしてはいけない」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 195/203

『あなたが生き残った事には意味がある』…かつて林に言われた言葉を思い出す早乙女。早乙女の言葉に宮田も佐藤も同意し、『悪いことをしてはいけない』というメッセージを込めようと言い合う。そして、タイトルを『猿山』にすることを決める。

「俺たちはあくまで語り部…全員が主人公だ」

モンキーピーク12巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 199/203

あの山での全ての犠牲が無意味にならないように…そして、”猿”の現れない世の中であるように…早乙女、宮田、佐藤はそう、強く願うのであった…。

―終わり―

以下、感想と考察

真ヒロインが佐藤さんだった件

11巻くらいからヒロインっぽさを増してきた佐藤。遠野に命をつないでもらったため、死ぬことはなさそうだし、今までヒロインだった林は黒幕。「ひょっとして早乙女とくっつく?イヤ、それはないかな?」とか思ったらくっついた。

火薬を持って猿に特攻をかましたのはその後の傷も含めて非常に驚いた。

でも、ラスト右手右目を失っても佐藤さんが幸せそうでよかった。あの世で遠野も喜んでいると思う。早乙女は鈍感そうだから、素直に気持ちを言って甘えてほしい。

しかし、謎が沢山残る

とはいえ、謎が残ったまま終わった。結局”真の猿”の正体が何だったのかもよく分からないし(そもそも本当に死んだの?エピローグで”真の猿”について全く語られていない)、どうして”真の猿”がトオルのいう事を聞くのかもよく分からないで終わった。

今回は第1部…そしてなんと続編、モンキーピーク第2部が!?

だが、実はこの『モンキーピーク』はこれで終わりではなく、これはあくまで『第1部完』…つまり第2部、続きがあるのだというのだ。一体どういう風に続くのか、そして、そこで今回残った謎は明かされるのか!?

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