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『発達障害』『アスペルガー症候群』『ADHD』…これらの言葉は新聞やネットニュース等で頻繁に目にするようになり、芸能人等でも発達障害であることを公表することも珍しくなくなった。とはいえ、それらが社会に正しく理解されているかというと、決してそんなことはない。まだまだこういった特性を抱える人々にとって、社会は『生きづらい』と言えるだろう。今回、紹介したいのは親子で発達障害と診断された著者が自身の体験、育児の様子を漫画にした『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』だ。まとめたら長くなったので、記事は前編、後編に分けていきたい。
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Contents
以下、各話あらすじ、ネタバレ
1話 うちの子なんかよその子と違う?~長男の成長に疑問を持ちつつも母、モンズは誰に、どこに相談していいか分からない
モンズの長男、そうすけは新生児のときは良くおっぱいを飲みよく寝る育てやすい赤ちゃんだったが、起きているのはおっぱいを飲む時か、おっぱいを欲して泣いている時だけ。泣き声は周囲と比べてかなり大きい方だった。産まれた時から体も大きく、その後もどんどん大きく育っていったが、首の座り寝がえり等の成長は遅かったが、母であるモンズは特に気にしなかった。ハイハイをすることなく10か月でつかまり立ちするようになるも、その頃から噛み癖が出てくる。モンズが怖い顔で叱っても笑いながら噛み続ける長男。モンズは『長男はもしかして人の表情が読めないのでは』と不安になる。しかし、住んでいる場所の立地の悪さや母親であるモンズが人とのコミュニケーションが苦手であることから、他の母子とほとんど交流することのなかったため、他の子どもと比べるということが無かった。
11か月目にモンズが復職したことから長男は職場の保育所に預けることとなった。預けるたびに号泣する長男。しかし、職場の先輩たちにそのことを話しても『そういうものだ』と言われるため、特に気にすることはなかった。
しかし、入園から3か月経ち、保育士の言葉や、同じ月例の子ども達を見て、モンズは『やっぱりうちの子は何か違うのでは』と思い始める。1歳4か月で喋れる言葉は『わんわ(犬)』のみ。偏食で、手を繋げず、抱っこを嫌がり、目が合わない。『自分の育て方が悪いのか』『夫が単身赴任中でワンオペ育児で母と二人きりの生活が悪いのか』と悩むも、どこに相談していいのかも分からない。
そんな不安を抱える中、保育所1年目の冬、長男は水ぼうそうを始めとした病気に掛かりまくる。病院や薬局でも号泣しエビ反りし暴れる長男。保育所に預けることができず、モンズも仕事を頻繁に休まねばならず母子ともにストレスが溜まっていく。満足にやりたいことがこなせない中『実家も遠く夫が単身赴任の中で子育てをしようとした自分の計画性の無さが悪いのか』とモヤモヤするモンズ。しかし、そんな中、長男が『いないいないばあ』をできるようになったことに気付き、感激する。長男がモヤモヤの原因になる一方で、モヤモヤを吹き飛ばし、自身を癒してくれるのも長男だとモンズは悟るのであった。
2話 これって虐待なの?~1歳半健診で医師から心無い言葉を投げかけられたモンズは限界に達してしまう
長男が1歳5か月の頃からモンズは寝不足の状態が続く。何故なら長男のおっぱいへの執着が酷く、昼は1時間に2、3回。夜も6回以上授乳しているためだ。そして保育所ではずっと寝ている長男。
さすがにこの状態は良くないと考えたモンズは保育所にそのことを相談する。モンズ母子の状況に驚いた保育士は、モンズに『断乳』を進める。保育所は自分達も手伝うと言ってくれたが、仕事に支障をきたすことを恐れたモンズは結局保育所の手は借りず、連休中に泣きわめく長男の相手をしながら、乳腺炎で自身も40度の高熱に苦しみながらも断乳を決行し、成功させるのであった。
しかし、断乳の影響か、今度は長男は爪を噛んだり、自身の頭を壁に打ち付けるといった行為を繰り返すようになった。そして夜にいきなり泣き叫び、寝ながらも号泣し、なかなか眠らない。そんな長男にモンズ自身も疲弊していくが、何とか耐えていた。
そんな中、長男を連れて1歳半健診にやってきたモンズ。しかし、他の子どもたちが大人しく座って絵本を読んだり、二語文を喋ったり、子ども同士で対話したりしているのを見て驚愕する。一方、長男は保健師が発達を調べようとしても大人しく座ることすらできず、身体測定も3人がかりで無理矢理抑えてどうにか計測する始末。
そして、医師の診察の順番が回ってきた。夜泣きで苦しんでいたモンズは、そのことを医師に相談しようと現在の状況を説明する。『ひどいときは6時間連続で泣き続けている』という話を聞いた若い男性医師は『お母さんはどういう対応をしているのか』と問う。モンズはそれに対して『あやしたり本を読んだりするが、何しても泣き止まないときは自身もイライラしてしまうので少し放っておいたりもする』と正直に答える。すると、医師はモンズを軽蔑した眼差しを向けて、こう言い放つ。
「放っておく?それじゃ虐待だよ」
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 28/179
「ちゃんと見てあげてくださいね」
それだけ言われて医師の診察は終わってしまう。そのまま保健師との話のために再び待合室で待つように言われたモンズ。『私はこの子を虐待しているの?』とショックを受けたモンズに追い打ちをかけるよう、待合室で癇癪を起し号泣する長男。そして長男の凄まじい泣き方に他の保護者達はモンズと長男を一斉に見る。そのいたたまれない空気は今まで何度も経験していたものの、限界に達してしまったモンズは長男を抱えたまましゃがみこみ動けなくなってしまった。
すると、その様子を見た保健師が駆け寄り、声を掛け、順番を早めてモンズの話を聞いてくれるのであった。
「こんなに泣いてたら今までたいへんだったでしょ。頑張ったね」
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 30/179
「良かったら話聞かせてください」
優しくそう微笑んだ保健師に、思わず泣き出してしまうモンズ。そんなモンズの話をゆっくりとちゃんと聞いてくれた保健師は『一度心理士さんに放談した方が良い』とアドバイスし、予約を入れ、自身の名刺をモンズに渡す。
近所に誰も知り合いがいなかったモンズはそれだけで気持ちが少し楽になるのであった。
3話 私も発達障害だったの?~心理士に長男の発達を診断してもらったモンズはネット上で『発達障害』というものを知る。そして、自分自身がそうであると気づき悩み苦しむ
健診で保健師から紹介された心理士の元へ、1歳8か月になった長男を連れて行くモンズ。健診の保健師もその場にいて、長男の面倒を見てくれる。そして、心理士はその様子を見ながら、モンズの話を聞いて、『長男の発達段階』を見るという。赤ちゃんの頃から今までの様子を尋ねられ答えていくモンズ。積み木ができない、スプーンやコップを掴むのが困難、ジャンプができない…そういった話を聞き、傍らにいる長男を見た心理士はこう診断した。
『1歳8か月の長男の発達は、全体的に1歳程度である』と。
心理士の言葉にショックを受けるモンズ。心理士は療育の施設を紹介するが、家から遠いこと、仕事のこと、暴れるであろう長男のこと、二人目妊娠初期であることを考えてモンズは尻込みしてしまう。しかし、専門の病院だち半年待ちであったり、リハビリも保険が下りないと高額であると聞き、安定期に入ってから勧められた病院に行くことに決めるのであった。
その晩、長男の発達のことでスマホでネット検索をしたモンズは『発達障害』という言葉に行き着く。『ADHD』『アスペルガー』『自閉症』といった言葉に混乱するモンズ。今まで映画やドラマの世界でしか聞いたことのなかったものであったが、調べれば調べるほど長男の特徴にあてはまる。爪噛みも頭を壁に打ち付けるのも発達障害特有の『自傷行為』であったのだ。
その日からモンズは家事や育児そっちのけでパソコンで『発達障害』について調べるようになった。発達障害についてポジティブな話を見つけようとするも、ネットで出てくるのは、いじめ、不登校、事件、事故、虐待…等のネガティブな言葉ばかり。見れば見るほど落ち込み涙を流しながらも、ネット依存症の様になってしまいモンズは検索を止められない。
そして、ネットで発達障害についての本を数冊買ったモンズ。その中に大人の発達障害についての本があったのだが、それを読んだモンズは自身もまた発達障害であったことに気付く。空気が読めず、冗談が通じない。人と目を合わせることができず、気が散りやすく集中力がない。そして整理整頓が苦手…それらの特徴がぴったり当てはまるのだ。そのことに呆然とするモンズに、追い打ちをかけるようにネット上の『発達障害は遺伝する』という説を目にする。
この子が苦しんでるのは私のせいだ…
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 43/179
そう絶望するモンズ。今まで長男の激しい癇癪も『今だけ』と思って耐えてきたが、発達障害ならば治るものではないし、努力したって普通にはなれないだろう。もしかしたらお腹の子も発達障害を持っているかもしれない。
そもそも発達障害者の私に発達障害児なんて育てられないんじゃないかな
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 43/179
ネガティブな方向ばかりに思考が傾いていく。障害が原因の事件事故の報道を見て、思い返したりすると『自分も子どもに何かしてしまうのではないか』と想像してしまうモンズ。そして更に『そんな自分はおかしいのか?こう考えてしまうのは発達障害だからか』と自身の思考内容にすら疑念を持ってしまう。
しかし、そんな状況の中でハッキリ言えるのは『長男のことを愛している』ということ。愛しているからこそ、自分と長男が『発達障害』であることが悔しくて仕方がない。モンズは泣きながら長男を抱きしめ、途方に暮れるのであった。
4話 この子の母でありたい~長男と少し離れ、再会したモンズは長男への愛情を再確認する
二人目妊娠中のモンズは職場への通勤に自転車で片道一時間半掛けており、攻撃的になってきた長男からは頭突きや殴られるようになっていた。そのためか、妊娠2か月目に健診で『流産の傾向がある、無理だろうが安静にして』と言われてしまう。モンズは悩んだ末、次の健診がある1週間後まで仕事を休み、長男を実家に預かってもらうことにする。実家は祖母の介護も抱えていたため頼りたくなかったのだが、事情を話すと両親は飛んできて長男を連れて行ってくれた。
一人家に残ったモンズ。寝ていても『自己管理できなかった』等と自己嫌悪に陥り、何を見ても、食べても気持ちが落ち着かず、結局『発達障害』について考えてしまう。『お腹の子も何か障害があるかもしれない』、『そんなお腹の子を長男と共に育てていけるのか』、『そもそも子供は発達障害の自分ではなく他の人が育てた方が良いのでは』、『お腹の子を産んでもいいのか』等々考えてしまうモンズは、横になりながら発達障害の本を読み、今まで出会った個性的な人(恐らく実は発達障害などの特性を持っていた人)に思い出すのであった。
お腹の子の流産は免れたモンズは、結局仕事を辞めて、実家で暮らすこととなった。モンズは実家で久々に長男と顔を合わせた。しかし、長男はモンズが話しかけても無視する。
『自閉症傾向のある子は母を母として認識していない』という記事を思い出して寂しさを感じるモンズ。
この子と私の関係は「親子」ではなかったのかな…
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 52/179
しかし、モンズは長男が寝た後、実母から長男の様子が昨日とは全く異なっていることを告げられ、『お母さんが来たから嬉しいのだろう』と言われる。その言葉に『私を必要としてくれるのか』と思うモンズ。そして自身も長男と再会して、心の不安が和らいでいることに気付く。普通の母子の関係とは異なるかもしれないが、お互いに必要としあっているということに。
ダメな母だけど、やっぱり私はこの子の母でありたい
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 43/179
そう強く思ったモンズは寝ている長男の手を握り、涙を流すのであった。
5話 思い当たる過去~自身の子ども時代~青春時代を振り返るモンズ『生きづらいけど生きられる』
長男の発達診断をきっかけに、自身が発達障害であることに気付いたモンズ。モンズ自身は乳児のとき病弱で発達は遅めであったものの、特に注視されず、保育園では『いたずら好きな不思議ちゃん』で通っていて、よく激しい癇癪を起していた。小学生に上がると絵は得意だったが、勉強と運動は苦手で、特に、ノートを取る、文字を音にする、音を文字にするのが困難だった。人と目を合わせることも苦手で『人の目を見て話せ』と怒られることも多かった。そして、忘れ物は日常茶飯事。しかし、それでも家族がおおらかでそんなモンズを受け入れてくれていたこともあり、『不思議ちゃんキャラ』で片づけられていたのだ。
だが、それも中学生になってくると状況が変わってくる。モンズ自身が『自分は他の人達と変わっている』と気付き、どうしていいか分からなくなってしまったのだ。同級生たちは同じ制服で同じような髪型をしているため、顔と名前を覚えることができない。そして授業についていけず、行動を否定されることが増えて、イライラすることが増えたモンズ。衝動的に学校を飛び出し逃走するといった騒動を起こすこともあった。しかし、それも『思春期に入った面倒臭い子』と認識されているだけであった。
その後、モンズは周囲に説得され渋々高校に進学するも、馴染めずに退学。そして専門学校に行くため一人暮らしを始め、引きこもりがちになるもなんとか卒業する。しかし、その後仕事を始めるも長続きせず、単発の仕事を繰り返す日々を送った。
この頃になって『自分が不器用である』と理解したモンズは女性雑誌等を読んで『皆から好かれるスマートな女性になりたい』と研究する様になった。モンズは空気を読むのは苦手だが、何かやらかしてしまった時、原因は分からなくとも『やらかしてしまった』ということだけは周囲の反応から理解できるので、いたたまれなくなることが多かったのだ。
周囲に上手く馴染むために、マニュアルや周囲の人の会話の定型文を真似るも、イレギュラーな事やトラブル対応は苦手。職場でもオフの場での会話が苦手で、タメ語が話せず常に敬語で、同僚たちとも距離を縮めることができない。そして相変わらず物忘れやケアレスミスが多く、上司から叱られ人格否定されることが続き、そのためモンズは何事に対しても淡白な反応しか出来なくなった。しかし、空気を読もうとするため挙動不審になることも多く、結果的にモンズは『真面目で淡白だがうっかりもので挙動不審』な大人となった。
予定の変更が苦手である故、ネガティブなイメージトレーニングをする癖がついてしまったモンズ。そうしないと期待が裏切られた時にパニックを起こしてしまうからだ。本当はネガティブではなく、明るく自由に生きたいと思っているのだが、どうしてよいか分からない。
そんな日々を送っていたものの、縁があって夫と出会い結婚。自身の性格から子どもは強く望まなかったが、結婚3年目にめでたく授かったのだ。そして、自身と息子の障害に気付くことになる。
よく発達障害児たちは『宇宙人みたいで何を考えているか分からない』と言われるが自身が発達障害であるためか、発達障害児の気持ちが分かる時がよくあるモンズ。最初に発達障害と気付いたときは絶望的になったものの、落ち着いた今では『絶望するほど不幸ではなく、生きづらいが生きられる』ということに気付いたのだ。そのため、今も周囲に迷惑をかけていると思いつつ、日々生きているのであった。
6話 ようやく出会えた理解者~地域の『療育・福祉格差』に絶望するモンズ、しかし、なんとか理解者に出会い救われる
長男と共に実家で暮らすことになったモンズ。落ち着いたので、実家近辺の療育施設を探すことにした。しかし、支援センターで保健師にモンズが今までの経緯を説明するも、『言葉が多い子なんて沢山いる、大丈夫』と笑って流されてしまう。モンズは驚き、『前に住んでいた地域の先生に療育を勧められた』『発達が遅い子のための支援施設に通いたい』と主張するも、『そんな施設はない』と断言されてしまうのであった。
一応、支援センターの一角で週に一度『発達が遅い子の集まり』があると聞いたモンズはそのまま保健師に案内してもらうことになった。そこの先生に相談すると、長男の様子から月1回のペースで開かれる『ひまわりさん』という集まりに参加することを勧められる。
自由遊び、歌、手遊び、リズム体操、運動、身体測定等プレ幼稚園の様な活動を主にする『ひまわりさん』。しかし、半年ほど通ったものの、長男は号泣し全く馴染むことができなかった。
それでも『ひまわりさん』に通い続けていたモンズは、ある日、『今日心理士の先生が来ているから話をしてみないか』と勧められる。以前住んできた地域で、心理士に長男の発達診断をしてもらったモンズは現時点の長男の発達を教えてもらおうと心理士のいる部屋を訪れる。
しかし、期待とは裏腹に心理士の態度は消極的で、モンズが発達障害児によく見られる『つま先歩き』を長男が行うことを相談しても『そんなの今の時期が寒いから』と片付ける。そして長男について『男の子だからやんちゃなだけ。昔からそういう子は多い』と言い、モンズに対しては『無理にでも笑っていればお母さんは元気になれる』と言うだけだった。モンズは納得できず、モヤモヤするだけであった。
前に住んでいた地域との、福祉・療育面での格差に愕然とするモンズ。しかし、今の時期でもできる療育はあるはずだと通える範囲にある施設・病院を自ら調べる。そして、小児の言語療法をやっている病院を見つけ、予約を入れた。
初診を担当した小児科医からは『言葉の発達が遅いのは引っ越しや保育所を辞めたストレス』と言われ、モンズは落ち込む。しかし、2回目の診察をした女性医師は、注意深く長男の様子を観察し、モンズの話もよく聞いてくれた。
そして、『目も合わないし発達の遅れが気になる』と言い、『つま先立ち歩きはしているものの、長男の歩き方は特に問題ない』と告げる。
質問に答えを返してくれる!やっと話を聞いてくれる人に出会えた
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 76/179
医師の態度に感動するモンズ。医師は『言語発達遅滞』と長男に診断を下し、言語リハビリを始めることとなった。
言語リハビリに対して、当初は場所見知りを起こしてリハビリ室にも入れなかった長男。しかし、担当の言語聴覚士は長男にペースを合わせ、小さいことでも褒め、聞き取りにくい長男の言葉を理解してくれる。結果、長男も『自分の気持ちを理解してくれる』と感じたようで、言語聴覚士に懐き、言うことを聞き、自分の気持ちを告げられるようになっていった。また、モンズも言語聴覚士から長男への接し方を学ぶことが多く、不安な事を相談し的確なアドバイスをもらえるようになった。
リハビリの効果自体はすぐに出るわけではなく緩やかだ。しかし、長男に安心して学べる場ができ、理解して支援してくれる人ができたことに喜ぶモンズ。そして、モンズ自身も一緒に長男の成長を見守り考えてくれる人ができて心強かった。しかし、それにしても言語リハビリに辿り着けるまで数か月かかった事について、地域によって福祉の差があるという現実に唖然とするモンズであった。
7話 そして次男誕生
二人目を妊娠中に自身と長男の発達障害に気付いたモンズ。『次の子も発達障害ではないか』と考えてしまう妊娠生活は暗いものだった。何か予防できることはないかとネットで調べ、電化製品や精製された砂糖、塩を避ける等をしていた。
しかし、出産時はお腹の子以上に長男のことが心配であった。モンズは帝王切開で8日間入院する予定だが、その間実家の両親が長男の面倒を見ることになる。長男が少しでも楽しく待てるようにおもちゃやDVDを用意し、毎日長男に『自身が赤ちゃんを産みに病院に泊まること』『その間、じいちゃんばあちゃんとお風呂に入り、眠ることになること』を丁寧に語って聞かせるのであった。
そのかいあってか、入院当日は笑顔でバイバイできた長男。モンズは病院の個室で子育てから解放され自分の時間を持てることに喜びを感じ、改めて『育児の辛さは24時間子どもと向き合ってなくてはならないこと』であると実感する。
翌日、帝王切開であっという間に次男、あゆむを出産したモンズ。『全てがさくっと終わって感動がない』『こんな感じなのに次男を愛せるのか』と心配していたが、助産師が次男を連れてくると、とても可愛く感じ、その後の授乳や世話も苦にならなかった。モンズは産後で体はぼろぼろだったものの、心の方は産前よりもスッキリしていた。次男を見て、長男の生まれたばかりの頃を思い出し、改めて長男の成長を感じたモンズは実家に電話し、長男の様子を尋ねた。すると意外なことに長男はとても良い子で過ごしているという。モンズはそのことにホッとしつつも、どこか寂しさを覚えるのであった。
そして、退院し次男を連れて実家に戻ってきたモンズ。『長男はスルーするのだろうか』と予想していたモンズだったが、長男は『ママ』と言って笑顔で出迎えた。そして、『あむむ(あゆむ)』と自分の名前もまだ言えないのに、次男に興味を持ち、名前を呼ぶ長男にモンズは『私が思ってる以上にお兄ちゃんになっていたんだ』と驚き喜ぶ。
この先どうなるか分からず不安は尽きない。しかし、モンズは今はただ、次男の誕生と長男の成長が嬉しかった。
嫌なことばかり考えてごめんね。二人ともありがとう。お母さん頑張るよ
生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 91/179
そう、二人の寝顔を見ながらモンズは誓うのであった。
~続く
以下、感想と考察
頑張りすぎじゃないか、作者よ
嫌味でもなんでもなく、『昼は1時間に2、3回の授乳、夜も6回以上授乳して、朝は3時に起こされる毎日』を疑問に思うことなく何ヵ月も続けた作者はすごいと思う。普通なら耐えられなくて爆発してしまい、周囲に不満をもらしたりして、そこで障害が発覚したり、周囲からサポートをもらえたりするのだろうけど、なまじ耐えられてしまったのが不幸というべきか…。
発達障害の特性もあり、人に頼ることが苦手なのだろうが、見ているこっちが『そんなに頑張らないでー』と叫びたくなる。断乳も保育士さんに甘えても良かったんじゃないかなー。私自身も乳腺炎で40度以上の高熱を出したことがあるのでその辛さが分かる。乳腺炎を起こしながらワンオペで癇癪を起す1歳半の子の相手をする…うん、本当に地獄絵図だよ。
そして、 人の家庭に口を出すつもりはないけど、夫が単身赴任でめったに帰ってこないって、いくらなんでも大変すぎやしないか?
合間のおまけマンガで、一時的に夫は単身赴任から帰ってきて、『少しは育児が楽になる』と喜んだモンズ。二人目を妊娠するも、『夫がいれば乗り越えられる』と思っていたところで、夫は『また異動になった』とだけ告げて、そのまままた、ほとんど帰ってこなくなるという…。夫の職種的に単身赴任先について行くということが不可能なのだろうか?夫が不在過ぎて見ていて本当に不安になる。ちゃんと子どものことを夫に相談したり愚痴を聞いたりしてもらえていたのだろうか?いや、人の家庭に口出すのは良くないか…。二人目を流産しかけたのを機に実家に相談して、そのまま実家で暮らす流れになって本当に良かった。いくらなんでも抱え過ぎだろう。
小児科医、保健師、心理士でも発達障害への理解が無かったりする現実
2話目に出てくる小児科医。作者から夜泣きについて結構具体的な話を聞いて、長男の様子を見ても発達障害であることを見抜けず、母親であるモンズの対応を一方的に『虐待』だと断じる。…この医者なんなの、殴りたくなる。ただでさえ乳幼児の子育て中は些細な言葉がナイフの様に突き刺さるのに、こんなこと言われたら泣いてしまうのは当然だろう。というより、『泣き続ける子どもにイライラしたとき、少し放っておいて、冷静になって様子を見る』ってそんなに悪い選択じゃないと思うんだけどな。下手に構って癇癪を起されたり、親が耐えられなくなって手を上げてしまうよりはよっぽどマシだと思うけど。
そして、この医師だけでなく実家のある市の支援センターの保健師や心理士が全く発達障害について理解がない様子は見ていて本当にゾッとする。この作品は一昔前の話ではなく割と最近の話を描いているのだけれど、『専門家の人でもこんなに理解がないものなの!?』と恐怖すら覚える。作者の実家がある地域がどこなのかは分からないが、地域によって福祉・療育の格差はこんなにあるものなのか。 『つま先立ちは寒いから』『男の子なんてこんなもん』と若い保健師も比較的年配の心理士もそう言い放つ様子から、この地域の行政サービス内では子どもの発達についての知識が前時代のままアップデートされていないことが窺われる。 保育園事情とかならまだ事前に調べようもあるが、『福祉・療育』なんて中々調べる機会なんてないし、事前に調べても分かることなんて限られているのではないだろうか。幸い作者は前に住んでた自治体で長男の発達診断を受けていたから、『自分で医療機関をあたる』という選択肢を持てたけど、こういったいい加減な地域の保健師や小児科医、心理士の言葉を鵜呑みにして子どもの障害に気付きそびれる親も少なくないのだろうと思うと何とも言えない気持ちになる。
インターネット検索の害悪
発達障害についてインターネット検索を止められなくなり、ネガティブな情報を目にして精神的に病んでしまうのは『母親やめてもいいですか』の発達障害児の母親、かこと同じ。ネットって怖い。私自身の長女もちょっとした病気・障害があるのだが、主治医から『ネット検索は極力しないように』と言われていた。今思うと従っておいて良かったと本当に思う。きっとネット検索して悪い情報ばかり目にしたらドツボにハマっていたから。
そして、発達障害児についての『母を母と認識していない』という言葉。『母親やめていいですか』の主人公のかこも傷付いたフレーズでもあるこれ。発達障害だと人の区別が苦手で、親とその他の人の違いを理解するのが健常児よりも遅いというやつなのだが、遅いだけで理解出来るようになることが多い。でも上記の言い方だとネガティブなインパクトが半端ない。対面で主治医から説明を受けるのと、紙面やネットの画面越しに目にするのでは、同じ症状についても受ける印象が大分変わってくる。特にネットの情報はいたずらに不安を煽るものが多いから。
子育てについて、ネットで色々と調べられるのは便利だけど、一方で不確かでネガティブな情報が多いのでやはり注意したいものだ。
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前半では自身と長男が発達障害であることに絶望したモンズ。しかし、後半では…
前半では自身と長男が発達障害であると知り、絶望し悩むモンズ。しかし、理解者を得て次男の誕生や長男の成長に喜びを感じ、前向きになれるようになった。後半ではどうなるか。おって後編の記事を書いていきたい。
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