【漫画】生きづらいと思ったら親子で発達障害でした(後編)【感想・ネタバレ】~次男も発達障害?長男の進路に悩んだモンズがした決断は…

生きづらいと思ったら親子で発達障害でした 表紙

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モンズの長男そうすけは成長するにつれて、噛みつく、激しい癇癪を起こす、自傷行為を繰り返す様になり、モンズは『うちの子はよその子達と何か違うのではないか』と思い、そんな長男の育児に疲弊し追い詰められていく。
そして、長男は1歳8か月のときに心理士の発達診断を受け、『発達が1歳程度と遅れている』と診断され、そこでモンズは長男だけでなく自身も『発達障害』であったことを知りショックを受ける。
自身が『生きづらさ』を感じていることもあり、長男の将来を悲観し絶望したモンズ。しかし、信頼できる医療機関や言語聴覚士と出会い、また二人目の妊娠・出産を通してモンズは子供たちへの愛情を再確認し、前向きに頑張っていくことを自身に誓うのであった。

前編の記事はこちら
【漫画】生きづらいと思ったら親子で発達障害でした(前編)~息子と自身が発達障害…悩み苦悩しながらも生き方を模索する母親【感想・ネタバレ】

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Contents

以下、各話あらすじ・ネタバレ

8話 白黒つけたらスッキリした~病院で診断を受けに行くモンズ

自身が発達障害であるということに気付いたものの、まだ病院で診断は受けていないモンズ。病院で診てもらおうかどうか悩んでいた。集中力と落ち着きがないモンズは、『薬を飲むと頭がすっきりし、仕事や家事、そして車の運転がスムーズにできる』という話を聞き興味を持ったのだ。特に現在、実家のある田舎で暮らしているため車の運転ができた方が便利なものの、注意力に自身が無いためモンズはペーパードライバーのままでいたのだ。

そしてモンズは病院を調べ、予約のために電話をするも、『授乳しているのならば薬が処方できないので診ることはできない』と断られてしまう。納得できなかったモンズは市役所で相談のパンフレットを集めたが、どこに相談すればいいか分からない。モンズは悩んだ末、地域包括支援センターに電話相談し、直接センターに行き親身に相談に乗ってもらい、新しくできたという個人病院を紹介してもらい予約を入れた。

病院に行くと非常に混雑しており待たされたものの、医師は一時間ほどモンズと対面し、経歴を聞き、『ADHDで間違いないでしょう』と診断を下した。そして、授乳中は使えないと前置きをしたうえで、投薬治療で使う薬は『コンサータ』と『ストラテラ』であると説明し、モンズに薬のパンフレットを渡す。

モンズが車の運転と薬の関係について質問すると、医師は『薬で運転が安定する人はいる。縦列駐車やバックでの車庫入れが上手くなる例がある』と答えてくれた。更に医師は授乳中でもイライラを止めることができる漢方薬を処方できると教えてくれたが、子どもへの影響を心配したモンズは『今はやめておきます』と答えた。

結局、薬の処方はしてもらわなかったものの、『ADHDと診断されたこと』『医師と話ができて、いざという時は薬という手段があることを知れたこと』で気持ちがすっきりしたモンズ。ふと、『自分は障害者になったのか』と考える。だが、生活に支障…障害はあるものの、何とか生きている。モンズは『健常、障害関係なく自分は自分』という結論に達する。そして、『せっかくADHDと診断されたのだから、自分の特性を調べて対策・予防を立てていこう』と考え、ワクワクすらしてくるのであった。

良かった。私はADHDの私が嫌いじゃないみたいだ。

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そしてその後、少しずつ練習をして薬に頼らなくても『走りやすい道を選ぶ』『駐車場も停めやすい場所を選ぶ』などの工夫をして、車の運転はできるようになったのであった。

9話 無理も妥協もしない~公園デビューしたモンズ母子…しかし困難がいっぱい待ち受ける

実家に引っ越してから1年弱経ち、次男も3か月になったことから、モンズは『公園デビュー』に挑戦することを決意した。自身がコミュニケーションが苦手で、かつ長男が癇癪持ちであることから今まで避けてきたのだ。

そして公園でフレンドリーな親子に出会ったモンズ。それをきっかけに『公園デビュー』を果たし、同年代の子やママ達と遊ぶようになった。長男は大勢の中で一人遊びをすることが多かったが、公園に誰もいないと『お友達がいない』と言うなど他の子達をちゃんと意識している様で、モンズはそのことをうれしく感じる。

その後、更に週1回開かれる就学前の幼児の集まりに参加するようになったモンズ母子。しかし、そこで長男は毎回トラブルを起こし、他の子ども達から避けられるようになってしまう。他の子達に興味はあるもののどう接していいのか分からない長男は最後は必ず癇癪を起こし、モンズは行くたびに落ち込みながらそんな長男を抱えて途中退場するのであった。

そんなある日、他のママから地域の在宅児対象の運動会に誘われたモンズと長男。長男は毎日楽しそうに練習し、運動会を楽しみにするようになった。しかし、当日会場は大混雑で運営から具体的な指示のアナウンスもなく混乱しており、『人込み』や『予測できない状態』が苦手な長男はパニックを起こし大泣きをしてしまう。仕方なく列から離れ、隅っこで見学するモンズと長男。そして長男が落ち着き、参加するというので『箱でできたソリに子どもが入り、それを親が引っ張て走る』という競技の列に並んだモンズと長男。しかし、いざ順番が回ってくると『箱の中のタオルの上に土足で乗る』という行為に長男は抵抗を持ち固まってしまう。運営スタッフからも冷たく急かされたことからモンズは『今はできない』と判断し、長男を連れて戻ろうとしたが、その瞬間長男は大きな癇癪を起こし泣き叫んでしまう。そして、驚いたように一斉にこちらを見る他の母親達の様子にいたたまれなくなったモンズは逃げるよう長男を連れて運動会から立ち去った。

泣き叫び続ける長男を後部座席に乗せ車を走らせるモンズもまた大粒の涙を流していた。『事前にもっと運動会のことを説明できていたら長男は楽しめたのではないか、自分のフォローが足りなかったのでは』と自分を責めるモンズ。家に着いてもその後長男は6時間泣き叫び続け、モンズはそんな長男を見つめながら考える。

やっぱりこの子は他の子と違うのかな?同じようにさせようとするのは親のエゴ?かわいそう?迷惑?

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そして、『もう外に出たくない』と酷く落ち込むのであった。

しかし、それでもまた長男を連れて外に出掛けるモンズ。何故ならこの先、他人と関わらず一人だけで生きていくなんてことはできないからだ。だから、必要最低限のコミュニケーションのスキルをちゃんと学ばなくてはならない…モンズはそう考える。この先も沢山トラブルや傷付くことがあるだろうが、それから逃げることはできないだろう。『人で受けた傷は人にしか癒せない。だから少しでも人と関わる力をつけてあげたい』そう強く思うのだ。
無理はしないが妥協もしない…そう思いながらモンズは今日も子ども達を連れて外に出るのであった。

10話 次男の療育スタート~次男にも発達の遅れが見られるように…

一方、次男あゆむも首の座りやお座りが遅く、1歳健診の時点で歩けず這えず、寝返りもちゃんとできないことから『発達の診断を受けるように』と言われる。長男以上に発達が遅い次男の様子に悩むモンズ。その後、病院で発達診断を受けた次男は1歳0か月からリハビリを開始することになった。

『へこむけれども想定内』『道が開けてよかった』そう自身に言い聞かせようとするモンズであったが、次第に不安定になりイライラが止まらなくなってしまう。仕方なくモンズは『イライラを止める漢方』を処方してもらったが、子どもの世話に追われ食前ときちんと飲めないこと、また不味いことから余計にストレスが溜まってしまう。モンズはとうとう夜も眠れず泣き出してしまったり、壁に頭をぶつけ、髪の毛をむしる等の自傷行為を繰り返す様になってしまった。

そして、ある晩、急に溜め込んだストレスが爆発したモンズ。『もういやだ、どうにでもなれ』と思ったモンズが取った行動は、『ホテルの予約を取る』といったものだった。金銭的な余裕がなく、長男の癇癪を気にしていたモンズは子どもが生まれてからどこにも遊びに行っていなかったのだ。
翌日、息子を2人と共にホテルに言ったモンズはそこで沢山遊び、好きなものを好きなだけ食べて、ホテルで爆睡。息子たちも遊び疲れたためか夜泣きもしなかった。結果、漢方が無くても非常にスッキリし、ストレスを発散できたモンズ。散財したことに罪悪感を持つものの、治療費と思うことにするのであった。

ストレスを解消できたモンズは、次男のリハビリに通い始める。次男は場所見知りと人見知りが酷いため、心配していたモンズであったが、担当の先生が次男の好きなタイプ(ちょいぽちゃで、穏やかかつクールな熟女)であったこともあり、順調にリハビリはスタートする。月2回のリハビリをするにつれて、母親のモンズから離れて坂道の上り下りをしたり、車のおもちゃに乗ったり、ボールプールに入ったりとできることがどんどん増えていく次男。なんと1か月で寝がえりをし、つかまり立ち、伝い歩きができるようになり驚くモンズ。次男はすぐに指差しもするようになるのであった。

『体の発達が進むと心の発達も進んでいく』と言った先生の言葉通り、次男は長男とおもちゃの取り合いをするまでに成長する。息子たちが喧嘩をする様子を見て『療育のチャンスだ』と喜ぶモンズ。早速長男と次男の間に入り、『貸し借り』の仕方を教えてみた。すると、長男は自分から『かして』と言えるようになり、次男と息が合えばスムーズにおもちゃの貸し借りができるようになったのだ。

次男は1歳3か月になるも未だに言葉は出ず、物に掴まらないで歩くことはできない。もしかしたら長男より個性の強い子であるかもしれないと考えるモンズ。もし成長してそれがハッキリしたらまた不安になったりへこんだりするかもしれない。しかし、そのときは皆で温泉にでも行って気晴らししようと思うと、少し気が楽になるのであった。

11話 我が家の対処法~モンズは長男への対応、接し方を研究していく

言葉の発達が遅い長男に対して、言語聴覚士の『伝わるのが楽しくなれば、もっと伝えたいと思うようになって自然と言葉が出てくる』という アドバイスを参考にモンズは『伝わる』という気持ちを大事にしている。『言葉』にこだわらず、簡単なジェスチャーで意思疎通をすることを取り入れているのだ。

また、言語聴覚士の長男への接し方を観察して取り入れたモンズ。動作をするときは長男の反応が無くても言葉をかけて、目線を合わせない長男に対して物の名前を言う時にその物を長男の目の高さに持っていくように工夫をする。そして『繰り返し教えて記憶に定着させるのが良い』と教わり、反応が無くても長男に話しかけ続けた結果、2歳過ぎに長男は一気に話せる言葉が増えるのであった。

そして、最大の悩みである癇癪については『予防することが大事』であるとモンズは学ぶ。事前に分かること(その日の予定、会う人、やること等)は何でも伝えるようにしておくと長男は安心するのだ。
そして、実際に癇癪を起こしてしまった時は暴れたもケガしないように危険なものを撤去する。本人を安全な所に移動するのは却って癇癪が酷くなるので基本的にしない。そして落ち着くまでは下手に構わず様子を見て、落ち着いてきたら優しく声掛けをして『怒っていないこと』を伝える。そして抱っこできそうなら抱きしめてあげると落ち着き、しばらくして話ができる状態になったら『癇癪の原因を代弁してあげる』ことで気持ちを整理してあげて、それから解決方法を提示してあげるのだ。

次に長男の『吐き癖』に困っていたモンズ。何度注意しても治らなかったが、言語聴覚士から『吐いていい場所を教えてあげるといい』とアドバイスされ、『お風呂場や洗面所ならば吐いても良い』と教えると長男の吐き癖は無くなり、更にうがいまでできるようになった。この考え方は落書き等にも応用できるとモンズは発見するのであった。

そしてこの頃、長男の食事中の食べ歩きと徘徊癖にも悩まされていたが、主治医の先生から『お盆やランチョンマットなどで長男の食事を分かりやすく仕切ること』『座って食べやすい環境を作ってあげること』をアドバイスされる。
そのアドバイスから長男と一緒に新しい椅子を買いに行き、長男に好きなイスを選ばせたモンズ。長男は自分で選んだイスを気に入り長く座っていられるようになり、食事の際はお盆を使うと『自分の分』という認識ができたようで食べ歩きと徘徊癖は数か月で落ち着いた。しかし、猫背が酷いことに気付いたモンズはその後長男を理学のリハビリにも通わせるようになった。

また、危険なものに興味を持つようになった長男。これについては危ないものにシンプルに『×マーク』をつけると効果があった。そして苦手なことについては少しずつできそうなことことから手取り足取り一緒に行い、少しでもできたら褒めるといった『小さい課題で繰り返し成功体験を積ませて自信を持たせる』といった地道な努力が功をなしていく。

最後に一番助けになった教材が『こども○ャレンジ』であった。長男はDVD等の映像から情報を得ることが向いていたようで、完全には理解していないものの、人との関わり方やボタン掛けやトイレトレーニングなどの日常の動作に興味を持ち少しずつできるようになっていった。当初は使いこなせていなかった知育玩具も半年から1年遅れだが使いこなせるようになっていったのであった。

12話 長男の療育先探し~支援センターの教室を出されてしまった長男…特別支援学校への入園を検討するが…

長男を連れて支援センターで月1回の『ひまわりさん』という発達が遅い子向けの教室に通っていたモンズ。しかし、ある日突然『今日で卒業でいいですか?』と保健師から言われ、モンズは驚きながらも『最近小さい子が増えたから3歳になる長男は学年的にも卒業なのか』と思い了承してしまう。しかし、その後、他の同学年の子達は何も言われておらず、長男だけが卒業を打診されたことを知る。 同じ地区から通う子が増えたため、古株の長男を出すという、子ども達の発達のレベルを度外視した運営側の都合による判断だったのだ。 モンズは安易に流されてしまったことを後悔する。『ひまわりさん』は長男が集団行動を学べる唯一の場所だったのだ。

数か月後、この出来事を主治医に相談したモンズ。すると主治医も驚いたようで、その場で支援センターに電話し、週1回開かれている教室『チューリップ』に通えるように手配してくれたのであった。
週1回の『チューリップ』に通う様になったモンズと長男。『チューリップ』は3、4歳の診断のついた子ども達が多く、トイレの練習や工作をして過ごす。しかし、『ひまわりさん』を出されてから数か月間が空いていたこともあり、長男は以前の様に癇癪を起こすようになり馴染むことができない。

そんな長男の様子に今後のことで頭を悩ませるモンズ。家計的に翌年から再び働きに出たいと考えていたが、この調子では保育園は難しそうだ。そして今いる地域では公立の幼稚園は4歳からしかやっておらず、私立の幼稚園は3歳から通えて少人数制で手厚いと評判だが金銭的に難しかった。

そのことをまた、主治医に相談したモンズ。すると主治医は『つくし幼稚園は考えていないのか』と言い、モンズがその幼稚園を知らないと答えると驚くのであった。『つくし幼稚園』は病院から車で10分位の距離にある特別支援学校であるという。『チューリップ』に通っている同学年の子達も入園する予定だと聞き、モンズは『なぜ、市の人も周囲の人も教えてくれなかったのだろう』と疑問を持つ。しかし、体験入学がなんと2日後に開かれると聞いてモンズは慌てて申し込むのであった。

当日『つくし幼稚園』の体験入学へ行くと、こどもに先生が一人ずつ付き相手をしてくれて、モンズ達親は落ち着いて入園説明を受けることができた。施設は大きく、体育館、室内プール、図書館等の設備も豪華であることに圧倒されるモンズ。更に個人面談で『学費は基本無料』であることが分かりモンズは『ここに入れるほかない』と喜ぶ。しかし、喜んだのもつかの間、モンズは『つくし幼稚園は保護者も一緒に通園する必要がある』と告げられ、困惑する。それと同時に今まで誰もモンズ母子に『つくし幼稚園』を進めなかったのは、モンズがずっと『働きたい』と言っていたからだと気が付くのであった。

面談を終えて長男を迎えに行くと、癇癪を起こすことなく先生と一緒に待っており、むしろ先生から離れたがらず号泣した。今まで何件か保育園やこども園の体験入学をしたものの、どこにもなじめず癇癪を起こし30分もいられなかった長男。よほど『つくし幼稚園』の体験入学が楽しかったのだろうと思うモンズ。『つくし幼稚園』は設備も先生も良く通えない距離ではない。しかし、母親であるモンズも同伴しなくてはならないとなると、次男は別に保育園に預けなくてはならない上、モンズも働けなくなるので出費だけが増えることになる。それに他の母子や先生たちとの付き合いが生まれることが不安であった。特別支援学校である『つくし幼稚園』に入るには医師の診断が必要で、主治医は園に入るために診断書も書いてくれるという。しかし、モンズはそれを『息子を障害児にしたくてがんばっているみたいになっていないか』と自分の考えに自信が持てなくなってしまう。
願書提出期限まであと3か月…モンズは悩むのであった。

13話 未来は怖いけど~発達外来で長男の診断をしてもらったモンズは将来に対して不安を持つが…

半年前、いつも行っている病院の主治医から本院の発達外来で長男を一度見てもらった方が良いと勧められたモンズ。本院は地域最大の総合病院で予約を入れるも、半年待ちであった。そして、とうとう本院で長男を診てもらう日がやって来た。担当した医師は難しい顔をした中年男性で母親であるモンズの話を聞きながら長男の様子をしっかりと観察し、モンズにこう告げる。

「この子は自分の世界を強く持ってるね」
「この子には言葉で言っても届かないですよ。自分の世界に住んでるからね」
「周りが合わせてあげるしかないね」

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今は正確な診断はつけられないが長男は『自閉症スペクトラム』の可能性があると語る医師。そして医師はモンズに理解するのは難しいだろうが…と前置きしたうえで『2つのこと』を実践するように言う。

「一つは共感の言葉。これが大切です」
「2つ目は彼を合わせさせるのではなく、まわりが彼に合わせてあげてください」

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医師の2つ目の言葉に『すべて長男のペースに周りが合わせてしまって、そのまま大人になってしまっても大丈夫なのか』と素直に疑問を口にしたモンズ。しかし、医師は『お母さんが今それを理解するのは難しいだろうが、それで良い』と告げる。また医師は『今の段階では分からないが支援学校や支援級に通う可能性がある』と語りまた半年後に予約を取ることになった。
そして最後に医師はモンズに対してこうハッキリ言うのであった。

「これは育て方とか環境とかお母さんがADHDとかのせいじゃないですからね」

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医師の言葉に少し救われたような気もするモンズ。長男の診断が出てスッキリした一方、将来のことが頭をよぎる。支援学校の可能性があるといわれた長男。モンズ自身は苦労しながらも何とか社会人をしているが、もしかしたら長男は社会に出ることができないかもしれない。もし普通学級に入れたとしても、苦しむことは多く、自分よりも苦労するかもしれない…そう考えて涙が止まらなくなってしまう。

今は幼く周囲のサポートがあり、同じ学年の子と一緒に遊ぶこともでき、日々、笑って過ごせている長男。しかし、成長するにつれて孤立してしまうかもしれない。

どうしよう、未来が怖い…
もうこのまま時間が止まってしまえないいのに。このままでいいよ。癇癪ぐらい私が受け止めるよ。大人になんてならなくていい…

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眠る長男を見つめそう考えたモンズだったが、ふと昔も同じようなことを考えていたことに気付く。
それは長男が生まれたての赤ちゃんだった時のことだった。あまりの可愛さにこのまま時間が止まればいいなと思っていたのだ。
でも…と思うモンズ。もしあのまま時が止まっていたら、長男と会話することも無く、次男も生まれず、お兄ちゃんらしい振る舞いをする長男の姿を見ることも無かったのだ。

『大丈夫』…そう考えようと決めたモンズは明るい未来を想像してみる。IQの高い人にはアスペルガーの人が多いという話から、モンズは長男が頭がよく育ち、何かの才能を開花させ、社会的な成功を収める様を思い描いてみる。そして老いた自分が高級介護付き老人ホームで毎日おいしいご飯を食べている姿を想像して『今できることを頑張ろう』と気持ちを落ち着けるのであった。

ラスト・最終話・14話 今日が無くて明日はない~長男の進路についてモンズが下した結論は…

特別支援学校である『つくし幼稚園』に体験入学してから数か月たった。モンズは主治医や知人、色々な人に相談したが未だに長男の進路を決められずにいた。

もし普通の保育園やこども園に長男を入れたとしても、何かと癇癪を起こして怒られたり、隔離・放置されるかもしれない、あるいは逆に腫れもの扱いされ甘やかされすぎたりしてしまうかもしれない。そういった未来は避けたいモンズ。『どこか良い園はないか』と探すが近辺に長男に合いそうな保育園やこども園は無い。発達外来の医師の『本人に周りが合わせるべき』という言葉を思い出すもモンズはどうしたらよいか分からない。

悩むとまた『子どものいじめ・自殺』といった嫌なニュースを思い出してしまうモンズ。長男がこのまま自分の気持ちを伝えられないまま大人になってしまったらそれらが他人事ではなくなると思っている。『発達障害は生まれつきだから親の育て方は関係ない』とよく言われる。しかし、だからといって彼らに支援をすることが無駄かというとそんなことはないだろう。『生まれ持ったもの半分、育った環境半分なのではないか』モンズはそう考える。

そんなある日モンズは実母から、高校生の時に自殺した中学の同級生A君の母親と会ったことを聞かされる。そしてA君の母親が『あの子もスーちゃん(モンズ)みたいに自由にさせれば良かった』と語っていたと知り、モンズは驚く。発達障害、ADHDの特性を持っていたことから中学校に馴染めずトラブルを起こすことで有名だったモンズ。A君にモンズの様な特性があったのかは分からない。しかし、もし彼に何らかの『支援』があったら未来は違ったのかもしれない。自分の特性を知り、困難なことを共に考えてくれる人がいたら…と。A君のことを深く知っている訳ではなかったが、モンズは彼と長男を重ねて考えずにはいられなかった。

決めた。やはりうちの子は今、支援が必要だ。支援学校の幼稚園に行こう

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長男を『つくし幼稚園』に通わせると決意したモンズ。『つくし幼稚園』には親も付き添わなくてはならないので、モンズは働けなくなる上、次男を保育園に通わせなくてはならない等、金銭的に厳しくなる。しかし、『今日がなくては明日はない』『まず支援学校に通わせて、地盤を固めてからその先の進路を考えていこう』と考え、早速『つくし幼稚園』の願書を取りに行き、次男の保育園を探し、幼稚園の面接を受けた。

そして『つくし幼稚園』の合格発表の日。合格者発表の掲示板にはモンズの長男の名前があった。受かったことにホッとしつつも『おめでたいのか?』と一瞬思ってしまったモンズ。しかし、すぐに『3歳まで無事に育って社会デビューできること』『そしてそれをおめでたいこととして学校が祝ってくれている』と思いなおす。

「そうすけ、おめでとう」

生きづらいと思ったら親子で発達障害でした モンズースー 170/179

長男と向き合い、そう声を掛けたモンズ。長男がここでのびのび出胃腸できることを祈るのであった。

~終わり~

以下、感想と考察

ハードな子育て描写に胸を締め付けられる

前編の記事でも同様のことを述べたが、作者の子育ての様子がハード過ぎる…。
【漫画】生きづらいと思ったら親子で発達障害でした(前編)~息子と自身が発達障害…悩み苦悩しながらも生き方を模索する母親【感想・ネタバレ】

『私、こんなに大変!辛かったの!!』みたいな書き方は一切せず、『こんな感じでした』とさらっと描かれているのが尚更恐ろしい。
二人目妊娠して流産しかけるまで、夫が単身赴任の中、ワンオペで癇癪持ちで暴れる長男を育てながら、働く。その後、実家に身を寄せることになるも、両親は祖母の介護をしているので、あまり両親に甘えられる状態ではない。そして、次男もまた発達に問題が出てくる。また、地域の支援センターなどはイマイチあてにならない。長男が成長し公園デビュー等関わる人が増えるとそれはそれで他の子と比べてしまったり、他の子と長男がトラブルを起こすことも増え、作者の心労が無くなることはない。

結果、作者で主人公であるモンズはストレスを溜めて夜中、髪をむしって、壁に頭をぶつける様になってしまう。この辺りの描写もやはり、サラッと描かれているのだけれども、考えれば考えるほどヤバい状態である。ホテルで散財してストレス解消できるなら、いくらでも散財しなさいと言いたくなってしまう。 でも一方で『金銭的に余裕がない』『節約しなくてはならない』という様な描写もある。…人様の家庭に口出しするべきではないのだろうが、『妻が妊娠出産して、子どもが障害を持っているということを考慮せず異動させられ、なおかつ単身赴任が当然で、妻子が異動先について行けず(作者があえて付いて行ってない可能性もあるが)、かつ生活が楽ではない職場(金銭的に苦しいのは給料の問題じゃない可能性もあるが)』で働く作者の夫は何なんだろうと考えてしまう。失礼極まりないが。そして、作中、この夫が作者の相談に乗ったり精神的に支えたりしているような描写もない。本当に存在感が無いのだ。もはや母子家庭に近い。そういったところでも、作者の育児はかなりハードだろう。心配すらしてしまう。

『診断』はレッテル貼りか、それとも救いか?

子ども達に『発達障害』という診断が下りてホッとする反面、『自分は積極的に子どもを障害児にしようとしているのでは』と苦悩するのは『母親やめていいですか』の主人公で作者のかことおなじだ。進んで子どもに『発達障害』というレッテルを貼り、それを免罪符にしてしまっているのでないかと。

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しかし、人間は正体が分からないものやことに恐怖を感じるようにできている。 『これは育て方とか環境とかのせいではない』と言われる発達障害について、しっかりと診断が下り、正しい知識を身につけることは徒に自身や子供を責めることを防ぐことができるのだ。そして母親であるモンズも自身が『ADHD』という診断を受けたことでホッとする。不安定な状態で何にも所属できないことは心細い。そして、病名を知ることで自身の特性を理解できるのだ。レッテル貼りというと悪い意味になりがちだけど、正しいレッテルを持ち、それを正しく理解すれば自他と適切な向き合い方をすることができるのだ。

コネクションと情報の大切さ

前半記事でも述べたが、地域によって福祉の質がまるで異なる現実が描かれている様が怖い。6話目でも著者の実家のある市の保健師や心理士がかなりいい加減である様子が描かれていたが、12話ではいい加減な基準で地域センターの療育教室でいきなり卒業を言い渡される。
しかし、それ以上に驚くのが、相談をした主治医の先生が電話をするとあっさりもう一つ上のクラスである『チューリップ』に通えるようになったというエピソード。これって運よくそういう気配りをしてくれる人が担当医だったから出来たことで、そういったコネが無かったら『チューリップ』に通わせてもらえていたかどうかも怪しい。
また、支援学校である『つくし幼稚園』について、作者は近隣の幼稚園や保育園を調べていたのに、そんなにいい条件の所を見落としていたのが怖い。これもまた主治医の先生がいたからギリギリ知ることができたのだ。市の人は教えてくれなかったのは自分が働くといっていたからだと作者は結論付けているが、それでも腑に落ちない。単純に市の職員がいい加減だっただけだと思う(市の職員や公務員に限った話ではないが、真面目な地域や人はとことん真面目でしっかりしているが、いい加減な地域や人は信じられないほどいい加減なのだ)。今では大体のことがネットで調べられるが、やはりまだネットでは得られない情報もある。そういったときに物を言うのはやはりコネクションなんだろうな…と思うのである。

配慮を求めることは『特別扱い』で悪いことなのか?

13話目で発達外来の医師から『彼を合わさせるのではなく、まわりが彼に合わせてあげてください』と言われ困惑してしまうモンズ。『それって甘やかしではないか?そのまま大人になったら本人が困るのでは?』と思ってしまうのだ。

例えばYahoo!ニュース等で発達障害等の記事で『発達障害児に理解と支援を』といったものがあると必ずと言っていいほど『特別扱いをしろって言うのか』『周りの迷惑を考えろ』『だったら社会に出るな』等と噛みつく人が出てくる。確かに世の中には過剰な配慮を求める当事者・家族も一定数いるかもしれない。しかし、大半はそうではなく『ただ社会生活を送りたい、送れるようになりたい』と望んでいるだけなのだ。杓子行儀な規律に合わないからといって『周りとは違う特性の持ち主』を切り捨てても何もならないどころか、総じてみると社会にとってマイナスにってしまう。限度はあるが、周囲が協力してある程度の工夫をするだけで子供がのびのびとできる環境を整えられるなら、それに越したことはないだろうと思うのだ。

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まとめ~発達障害の子を持つ親、また発達障害等の特性を持つ人のタメになる本

なかなか衝撃的なタイトルだが、陰鬱になることはなく、淡々と作者の経験が綴られている。発達障害、自閉症児等の親目線で描かれた作品は他にもあるが、本作品は作者自身もADHDといった特性を持っているため、『発達障害児たちは恐らくこんな感情を抱えて、こんな風に感じている』といったことを代弁もしていることが特徴だろう。作者が何よりも『気持ちを伝える』ことの大切さを重んじているからだ。

そして、発達障害児を持つ不安と、そして自身が特性を持っていることで感じた苦しさ、『生きづらさ』を素直に表現している。これは同じような境遇の人ならば、かなり共感できるのではないだろうか。
しかし、不安に押しつぶされそうになりながらも作者は立ち止まらず試行錯誤を重ねる。子どもに対する接し方で効果があったものを非常に分かりやすくまとめている。伏せ字を使っているものの、こどもチャレンジなど、具体的な商品名を出してくれているのに好感が持てる。もちろんこれらは作者流のやり方で発達障害はそれぞれ違うので、皆に効果があるわけではないだろうが、参考にできる部分は多いのでお勧めできるのだ。

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