【漫画】不倫サレ日記。~結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた【詳細なあらすじ・ネタバレ】~日常が崩壊する様を綴ったノンフィクション

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『離婚しよう』『こんな生活続けてても不毛だろ』
33歳子なしの兼業主婦ななしなあめ子は交際8年、結婚9年目になる夫から、ある日一方的に離婚を突き付けられる。しかし、そこには若い女の影が…。『離婚』『再構築』『別居』等、どういった行動をとるべきか迷いながらも、あめ子は夫の不倫の証拠をかき集めていくのであった…。
そんな、ななしなあめ子氏の漫画『不倫サレ日記。結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた』の詳細なネタバレ・あらすじを紹介していきます。

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Contents

不倫サレ日記。結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた…の登場人物

ななしなあめ子

フリーランスの仕事をする兼業主婦。作中冒頭では32歳。交際8年、結婚9年目になる夫とは徐々に共に過ごす時間が減っており、そのことを寂しく感じてはいたものの、夫婦とはそういものだと思い、特に疑問は抱いていなかった。

夫ときゃりーちゃんの不倫にショックを受け、憤り、軽蔑し、嘔吐するほど気持ち悪さを感じるが、夫とは最後まで『再構築』…離婚せずにやり直すことを望む。

最終的に夫ときゃりーちゃんから慰謝料をもらい離婚するも、その後もしばらく不倫のフラッシュバックに悩まされる。しかし、周囲の人たちに支えられ、少しずつ前を向けるようになる。

あめ子の夫。33歳会社員。周囲からは浮気しないタイプと言われており、本人も浮気はしないと言っていた。ゲームが好きで家事はほとんどしない。
当初は不倫している事実を隠したまま、一方的にあめ子に離婚を告げ、話し合おうともしないまま、あめ子に家を出ていくように迫る。

実の兄から叱られたことから、あめ子との話し合いに応じ慰謝料も支払うが、最後まで反省した様子は見せなかった。

小林小春・きゃりーちゃん

あめ子の夫の不倫相手。夫の会社の受付嬢で20歳。受付嬢にしては派手な髪色をしている(毛先をピンク色に染めている)。自称『きゃりーちゃん』。あめ子の印象としては『年相応の笑顔の可愛い女の子』。モエからは『垢ぬけない』『”きゃりー”になりきれていない芸人』と評されている。LINEで半裸の画像をあめ子の夫に送りつけたりしている。

あめ子と直接話し合った際には、謝罪の言葉を口にし、慰謝料を用意してくるものの、謝罪は表面的なものであり、あめ子が問い質しても『不倫が悪いこと』『自分達の行動がいかにあめ子を傷付けたか』等をあまり理解していないようで、最終的に泣き出す等、かなり幼い性格をしていることが明らかになる。また、慰謝料として用意したお金が金融機関で借金して作ったものであることを語り、あめ子と義兄を驚かせた。

モエ

あめ子の親友。以前結婚していたものの、夫に不倫された挙句、『モエが原因の性格の不一致』ということで離婚されたという苦い経験をしている。自分と同じように夫に不倫されたあめ子に協力することを誓う。自身の経験からあめ子に適切なアドバイスをするほか、自身の兄と共にあめ子の夫の車を追跡し続け、あめ子の夫がきゃりーちゃんと共にラブホテルに入る様子を動画で集める等、証拠集めに尽力した。

気が強く大胆で、ときにあめ子に対して辛辣な物言いをするものの、あめ子の気持ちに寄り添い続け、あめ子が離婚した後も彼女を見守り続けた。

義理兄ちゃん(義兄)

あめ子の夫の兄。妻と共にあめ子によくしていた。不倫騒動に際して実弟の不倫に対して驚くも、あめ子の味方になることを決意し、夫を叱り、あめ子と話し合う様に説得した。また、あめ子と夫・きゃりーちゃんとの話し合いに同席し、あめ子を支えた。話し合いの後は最後まで事の重大さを理解していない様子の夫に代わり、あめ子に謝罪をした。

兄嫁ちゃん(義兄嫁)

あめ子の夫の兄の妻。義兄と共にあめ子によくしてくれており、普段から『困ったことがあったら相談してね』と声を掛けていた。不倫騒動に際しては、あめ子の味方になり、気持ちに寄り添う。あめ子が離婚した後も心配してあめ子の元を尋ね続けており、あめ子が他に良い人を見つけ結婚して子どもを持つことを望んでいる。

以下、あらすじ・ネタバレ

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付き合って8年、結婚して9年…32歳のあめ子は突然夫から離婚を切り出される…しかし、そこには女の影が…

32歳フリーランスのあめ子と33歳会社員の夫。付き合って8年で結婚し、それから9年経っている。17年という長い歳月の中で、少しずつ一緒に出掛けたり手を繋いだりする頻度が減り、会話や共に過ごす時間も減っていっていた。
とはいえ、年に一度の海外旅行を互いに楽しみにしているなど、関係は決して険悪ではなかったため、少し寂しく感じながらもあめ子は『夫婦なんてそんなものだ』と特に疑問や不満は持っていなかった。

しかし、ある日突然あめ子は夫から『離婚しよう』と切り出される。

「こんな生活続けても不毛だろ。いい加減終わりにすべきだと思う」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 10/224

しかし、このときあめ子はこの夫の言葉を『ただの喧嘩』『ぶつかり合えば仲直りできる』と考え本気とは捉えていなかった。そして、夫もそれ以降もいつも通り家に帰ってきていつも通りご飯を食べる。だが、『一週間後には住むところを決めてくれ』等と離婚が決定事項の様な発言をしてくる。あめ子はそんな夫の態度に『何かおかしい』と思いながらも夫の本音を探ることに恐怖を感じ躊躇ってしまい『考えておく』と濁すことしかできないのであった。

しかし、ある夜あめ子が仕事から帰る際夫に電話をした時のことだった。『まだ仕事中』と答えた夫の声にあめ子は気付く。

こっこの声は…セックス前の甘ったれた声だ…!

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 13/224  

夫の浮気に勘づいたあめ子。女がいると思うと、最近飲み会や携帯をいじる頻度が増えたこと、香水や髪形の変化、そしてあめ子への唐突な離婚宣言、それらの全てに納得がいく。
しかし、一方で『夫は30代の冴えないおっさんだよ』『本人も周りも浮気することはないと言っていた』『そんなことをする人じゃない』と浮気を否定したい気持ちもあった。真実を知るのが怖かったのだ。

そんなあめ子だったが、夫が帰宅してお風呂に入っている隙に意を決して夫のスマホを見ることにした。『大丈夫、夫くんは浮気なんてしない。これを見て疑いが晴れれば…』そう思ってLINEの画面を開いたあめ子の目に飛び込んできたのは…。

『もう会いたくなった』
『わたしも会いたい🖤一緒に寝たいよ、さみしい』

…等といった『こばやし こはる』という人物とのやりとりであった。

ショックでその場で嘔吐してしまったあめ子。あめ子は二人で17年間積み上げてきたものが一瞬で崩れ去って行くのを感じたのであった。

そして夫が眠ったのを確認すると、あめ子はLINEのやり取りを写メし、夫の持ち物を探り始めた。すると夫の鞄からコンドームが出てくる。あめ子との間では使うことのないものだ。さらにローションまで出てくる。

ざけんなよ、人が働いてるあいだに子作りかよ。なにが仕事忙しいだよ、嘘つき!!

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 22/224  

泣きながら激昂したあめ子は『恵まれない子供でもできればいい』とコンドームに爪楊枝で穴をあけるが、思った以上に大きく穴が開いてしまい動揺するも、どうせ使うのは暗がりだからと穴をあけたコンドームを夫の鞄に戻した。

この晩、あめ子が見つけた証拠は以下だった。
①女とのLINEのやり取り
②コンドーム二つとローション三つ
③大人のおもちゃ2種類
しかし、証拠を見つけたものの、あめ子はその後どうしたらよいか分からず、眠れぬ夜を過ごすのであった。

弁護士から提示された『離婚』『再構築』『別居』の三択…浮気相手を特定したあめ子は、親友モエに相談する

LINEのやり取りなどを抑えたものの、次にどう行動して良いか分からなかったあめ子は『弁護士10分無料相談』に電話してみた。
単刀直入に『主人が浮気をしている証拠を見つけたがどうして良いか分からない』と電話口で弁護士に伝えたあめ子。今の状態を正直に細かく説明した。

すると弁護士はまず、『相手の女性の住所・名前・職場を把握する必要がある』と告げる。現在持っている証拠も法廷では弱いものであるから、相手の女を特定するのも兼ねて探偵を雇った方が良いという。金銭面から『探偵』という言葉にたじろいでしまうあめ子。そして、そんなあめ子に弁護士は電話口で尋ねる。

『それと奥様はどうされたいですか?』
『離婚したいですか?再構築していきますか?』
『離婚しないで別居して生活費をもらい続けることもできます。証拠次第で相手の女から慰謝料を取ることも可能です』

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 26/224  

あめ子はその弁護士の言葉に固まってしまう。『離婚』『弁護士』『慰謝料』…そういった今まで関係なかったはずの言葉が急に身近になったばかりのあめ子は、『自分がどうしたいのか』がよく分かっていなかったのだ。今は分からない…あめ子はそう答えて、10分間の無料相談は終わったのであった。

弁護士が提示した『離婚』『再構築』『別居』の3択…どれも嫌だと素直に思ったあめ子。『いつからこんな選択肢だけになってしまったのか』と嘆く。幸せなとき、笑いあった日々が確かにあったはずなのに…と。
しかし、あめ子は『女ができたからこうなったのだ!』とすぐに怒りを胸に気持ちを切り替え、早速自力で夫の浮気相手を探るべく行動を取った。

浮気相手『こばやし こはる』はアッサリと特定できた。夫の会社に派遣の受付嬢『小林小春』がいることをネットで簡単に調べることができたのだ。更に、SNSを調べると簡単にアカウントが見つかった。なんとあめ子達の隣町に住んでいるうえ、年齢は20歳。『きゃりーちゃん』と自称している。
自分と12歳と一回りも年下の女と夫が浮気をしている…その事実に『まじキモい』とあめ子はまたしても嘔吐してしまうのであった。

SNS上には20代の若々しい女の子が楽しそうに笑っている。『もっと年相応の相手がいるだろうに』『普通のキラキラした恋ができるだろうに』『なぜ、既婚者の私の夫が相手なのか』色々と考えてしまうあめ子。しかし、

「人のものに手を出すなんて、浅はかで卑しい女」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 34/224  

SNSの画面も証拠として保存しながら、あめ子は『この女を一生許さない』と心に誓うのであった。

そして、あめ子は夫の不倫のことを親友であるモエに打ち明けることにした。モエは結婚していたが夫が職場の若い女と不倫し、その上『モエが原因の性格の不一致』ということで5か月前に離婚されたばかりであった。
『今、うちでもモエと全く同じことが起きている』…そう喫茶店で告げるとモエは驚き、考え込んでしまった。

モエが元旦那に不倫サレ苦しんでいる様子をずっとそばで見てきたあめ子。そんなモエにこんな相談をするのがどんなに残酷なことか分かってはいたが、あめ子は他に頼れる人がいなかった。

しかし、モエはあめ子の手を取り、『辛かったね』と言ってくれた。そして、『自分は疲弊し元旦那を追求することなく別れてしまったが、あめ子はあめ子のしたいようにした方が良い』と言い、『あめ子はどうしたいのか』と尋ねた。
それに対してあめ子は正直に、今どうしたいか分からず混乱していると答えた。

「でも、このまま嘘をつかれたまま別れるのだけは嫌」
「戦おうと思ってる」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 39/224

そう言ったあめ子をあめ子らしいと笑うモエ。モエは『私にできることなら何でもする』とあめ子に協力することを誓ってくれたのであった。

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夫の不倫相手、『きゃりーちゃん』に直接会いに行ったあめ子は今後の方針を決める

早速モエに浮気の証拠や相手の女、『小林小春』、自称『きゃりーちゃん』の情報を見せるあめ子。LINEのやり取り(きゃりーちゃんが夫に送付した半裸画像等)のエグさに顔をしかめるモエであったが、きゃりーちゃんが『受付嬢』であるということに目を付けて、あめ子にこう言い出す。

「ねえ、見たくない?この子」「いるんでしょ?受付に。見に行こうよ!」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 41/224

モエの言葉に驚くあめ子だったが、すぐに同意し、『夫の忘れ物を届けに行く』という体で夫の会社に向かう。建物の前ではモエが見守っている。
そして、あめ子が建物に入りエントランスに向かうと笑顔のきゃりーちゃんがそこに立っていた。『主人に忘れ物を届けに来た』と笑顔できゃりーちゃんに告げたあめ子。ご主人様をお呼び致します…というきゃりーちゃんに、あめこは『お姉さんから渡してもらえればよい』と言い、『ななしなの妻です』と名乗る。すると、きゃりーちゃんは一瞬間があったものの、すぐに笑顔を浮かべて『渡しておきます』と答えるのであった。

そんなきゃりーちゃんに対して『笑顔が可愛い子だ』と素直に感じたあめ子。しかし、あめ子もまた笑顔を浮かべながらこう思うのであった。

この子は結婚している上司に手を出して、平気な顔して笑っている最低の人間…
彼女は私を見てなにを思っているのだろう…

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 46/224

『ババアって思われてるよ』
そうあめ子に辛辣に言い放つモエ。二人は再び喫茶店で話し合っていた。20歳と若いきゃりーちゃんは自分のことを無敵だと思っている。きっとあめ子を見て、『女として終わっている、このババアになら勝てる』と感じ、また『奥さんには絶対にバレていない』と思っているに違いないと。

モエの言葉にショックを受けつつも、納得するあめ子。10年位前、不倫をしていたあめ子とモエの知人が同じようなことを言っていたのを思い出したからだ。

『ああ、これは本当によくある話なのだ』…改めてそう感じたあめ子。そしてそんなあめ子にモエは、あめ子の夫もまたきゃりーちゃんと同じレベルに下がっていると指摘する。楽しくて自分達を無敵だと思い込み、バレているなんて夢にも思っていないのだと。

しかし、現実は違う。あめ子には不倫された経験のあるモエがいる。先回りして対策できる。
『知らないふりしていつも通り振舞い、泳がせて不倫の証拠を掴もう』そう方針を決めたあめ子とモエ。そして、モエはあめ子に『今は辛いだろうが、どういう形であれひと段落したら、笑って肉でも食べに行こう』と微笑みかける。
そんなモエにあめ子は心から感謝し、『小娘にはできない戦い方をしてやる』と決意するのであった。

親友モエとともに証拠を集めるあめ子…しかし、心労と夫の心無い言動によるショックで倒れてしまう

夫の不倫が発覚した日から食事も喉を通らず、夜も眠れなくなってしまったあめ子。しかし、ひっそり一人で泣けるし、証拠集めのために動けると不眠症を前向きに捉えることにした。夕食後、真っ直ぐに寝室に向かう夫。夫は寝るまできゃりーちゃんとLINEのやり取りをするのだ。そしてあめ子は夫が完全に寝るのを待って、ベランダから抜け出し夫の車に乗り込み、きゃりーちゃんの髪の毛を採取したり、小型レコーダーを仕込んだりする(ただし、吐き気がするため音声を聞くことは出来なかった)。

また、 iPadと同期した iPhoneを車のトランクの下に仕込み、 iPad で iPhone を追跡することで夫の車の位置を把握できるようにした。そして、モエとモエの兄に夫の車を追跡してもらったのだった。上手く追跡できなかったり、モエと予定が合わなかったりする日もあったものの、回数を重ねた結果、あめ子とモエはある一つの法則を見つけ出すことに成功した。

それは、『土曜日の昼、古いラブホでフリータイムの始めから終わりギリギリまで過ごしている』というものであった。

『不倫はパターン化するから、次の土曜日も必ず二人は行く。そこで証拠を押さえる』と言うモエ。それに対し、あめ子は自分も乗り込み正面からぶつかりたいと答える。知らないふりして証拠集めを続けるのに疲れてしまっていたのだ。しかし、モエはそんなあめ子を諫める。正面から乗り込んでも失敗すれば言い逃れされてしまう、だから証拠を集めないといけないのだと。『今は私が動く』と言い切ったモエは、目の下にクマを作っているあめ子に『今は休んだ方が良い』と言うのであった。

離婚を言い渡されてからも、あめ子は今まで通り家事と仕事をこなしていた。土曜日の朝、夫に朝食を出すと、夫はあめ子に『いつになったら家を出ていくんだ』と尋ねてきた。それに対して『いくらなんでも一方的過ぎる』『話し合いたい』と答えたあめ子。すると、夫は『話し合いたくない』『俺とあめ子は元々合わなかった』と皮肉気な笑いを浮かべる。17年も一緒にいたのに…と唖然とするあめ子。すると夫は追い討ちを掛けるように笑いながらこう言い放つのであった。

「もう限界なんだ、うんざりだ」
「よかっただろ子供いなくて。手遅れになる前で」

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その言葉にあめ子は涙をこぼす。あめ子は子どもを望んでいたが、『うるさいだけだ』と夫が望まなかったのだ。それなのに周囲はあめ子にばかり色々と言ってきた。しかし、最終的に夫は『35歳になったら一人なら子どもを産んでもいい』とあめ子に言ったのだ。

『その言葉を信じていたのに』『私はもう33になるのに』そう泣きながら夫に訴えるあめ子。しかし、夫は『だからその前に終われて良かっただろ』と家を出ようとする。そして、さらに引き留めようとするあめ子に対して恫喝するのであった。

「これ以上話したらお前のこと嫌いになるぞ」
「今、お前になんの感情もない。愛も情も尽きた」
「あるのは無だ」

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そう言って立ち去る夫にあめ子は恐怖すら覚えた。しかし、それでも『嫌いにならないでほしい』という気持ちもあった。鏡を見ると夫と交際してから17年…ずいぶんと老け込んだ自身の姿がそこにある。夫とどう向き合えばいいか完全に分からなくなったあめ子は家から出ていく決意をし、荷造りを始めるのであった。

しかし、荷造りの最中、あめ子はベッドからコンドームを見つける。『うちのベッドでもシタの!?』とショックを受けるあめ子。すると、その瞬間、腹部に強い痛みを感じ、あめ子は倒れてしまうのであった。

そして、病院のベッドで点滴を打たれ寝かされるあめ子。あめ子は寝不足、食欲不振、脱毛に加え、とうとう不正出血を起こしてしまったのだ。荷造りも証拠集めも何もできていないことに焦る。しかし、そんなあめ子にモエはLINEで『ゆっくり休むように』『モエが絶対に証拠の写真を撮ってくる』と約束するのであった。

その後、病院から帰ったあめ子が家で安静にしていると夫が帰宅してくる。『体調が悪くて病院で点滴を打ってきた。安静にするように言われた』とあめ子が告げ、夕飯を作っていないことを詫びると、夫は冷笑を浮かべてこういうのであった。

「ここにいるってことは大丈夫なんだろ」

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その言葉の冷淡さにまたしてもショックを受けたあめ子。もう夫は自分のことを見ていないのだ…そうハッキリ感じたのであった。
しかし、そんなあめ子を励ますようにモエから『ラブホの写真が撮れた』とLINEが来るのであった。

喫茶店でモエと会ったあめ子は彼女が撮った証拠の写真を見て驚く。そこにはラブホの料金表と共に写る夫の車の画像があった。ナンバーもしっかり写っている。さらに、モエはラブホから出てきて車に乗り込む夫ときゃりーちゃんの姿を動画に収めていたのであった。

『ありがとう』そう言いながら涙を流し崩れ落ちるあめ子。そんなあめ子に対し、モエもまた涙を流しながら『これで戦うことができるよね?』と言い、あめ子を抱きしめた。安心したからか、大泣きしたからか、モエの優しさが嬉しかったからか、その晩あめ子は久々にぐっすり眠れたのであった。

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証拠を持って弁護士事務所を訪ねたあめ子、しかし証拠が弱いと言われてしまう…

集めた証拠を持って弁護士事務所にやって来たあめ子。『離婚』と二人への『慰謝料請求』を求め、調停でも裁判でもして『長期戦』に持ち込み、相手を長く苦しめたいと弁護士に注文する。しかし、弁護士は意外なことを告げる。

「…うーん、無理だね」「この証拠では弱すぎますね」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 86/224  

思ってもいなかった言葉に驚愕し動揺するあめ子。そんなあめ子に弁護士は丁寧に説明する。『相手にも弁護士が付くことを考えると、この証拠だと言い逃れされてしまう』と。

まず、モエが撮った写真。少しボケてしまっているため、夫を攻める材料になるが、きゃりーちゃんについては言い逃れされてしまう可能性があり、五分五分であるという。一般的に探偵の使うカメラはプロ仕様であり撮られた写真の写りが良く証拠として強くなる。モエは素人にしてはかなり頑張ったのだが、それでも証拠としては弱いのだ。

そして、次にLINEのやり取り。ただ親密に連絡を取り合ったり、会ったりしただけでは不貞行為としてみなされないと言う弁護士。きゃりーちゃんが夫に送った半裸の画像も証拠としてはとても弱いという。
それに対し、『夫ときゃりーちゃんのラインの中では「会いたい」「ヤりたい」という言葉が沢山ある』と主張したあめ子。『「家に寄りたい♡」「ペロペロご奉仕したい♡」なんて、家で性行為した証拠になるのではないかと』しかし、弁護士は淡々と答える。

『こういった「~したい」は”願望でしかない”』『これだと”妄想”ということで言い逃れされてしまう可能性がある』と。「ペロペロご奉仕したい♡」「入れて欲しい♡」「Hしたい」も証拠にはならない。「昨日のホテルでのセックスとても気持ち良かった」などの浮気を認める内容になって、やっと少しは証拠としてマシなレベル…特に女を訴えるためには鮮明なツーショット写真や、浮気を認める音源や一筆が無いとダメだという。そして、『いつから、誰と、どこで、何かいくらい、肉体関係を結んだか』を把握しなければいけないと教えられるのであった。

弁護士から話を聞いたあめ子とモエは今まで以上に証拠集めに力を入れる。モエも新しいデジカメを購入した。しかし、あめ子は証拠欲しさに常軌を逸した行動を取るようになる。

世間が『ゲス不倫ブーム』になったためか、夫がスマホを手放さなくなってしまい苛立ったあめ子。内容証明を送りつけるためにも、きゃりーちゃんの住所を知りたかったあめ子は夫の会社にある目ぼしい車にGPSを取り付けてパソコンで追跡することを繰り返す。しかし、結局どれもきゃりーちゃんの車ではなかった。

そして、ある晩夫の車がラブホではなく田んぼの真ん中に停車し続けているのを把握したあめ子はそこに乗り込もうとする。慌ててモエが近くまで一緒に行くのだが、あめ子はモエの車に積んであったゴルフクラブを持って、カーセックスに及んでいるであろう夫ときゃりーちゃんを殴りに行こうとするのであった。そんなあめ子を必死に止めるモエ。暗闇では写真も取れぬ上、あめ子が逃げようとした二人に轢かれるかもしれない。そもそもゴルフクラブで殴ったらあめ子が加害者になってしまう。
だが、あめ子は『轢かれても加害者になってもいい』と叫ぶ。証拠が思うように集まらないことに苛立っていたのだ。夫ときゃりーちゃんにおちょくられているような気がしていた。このまま不倫を無かったことにして、あめ子に非があるから離婚だと嘘を吐いて逃げようとしているのが許せなかった。

しかし、そうしているうちに夫の車は動き出してしまう。『帰るっぽいからこのまま追跡してきゃりーちゃんの住所を特定しよう』と冷静に言うモエ。我に返り落ち着いたあめ子はそんなモエに泣きながら謝る。モエは『気にすんな』と言ってくれた。だが、あめ子の口から出た言葉は意外なものだった。

「もういいや」「…もう、やめよう」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 104–105/224

嗅ぎまわり続け、心身ともにボロボロに疲れてしまったあめ子。もう体力も気力も限界に達していたのだ。そして、あめ子はスマホを取り出し、『兄嫁ちゃん』の連絡先を表示させるのであった。

義兄夫婦に夫の不倫を打ち明けたあめ子~味方になってもらい、初めて夫と話し合うが…

『困ったことがあったらなんでも相談してね』
どうしようもできなくなったあめ子の脳裏をよぎったのは、よくしてくれている義兄夫婦(夫の兄夫婦)の存在であった。
兄嫁ちゃん(義兄嫁)のその言葉を思い出したあめ子は、意を決して彼女に電話し『義理兄さんと一緒に時間を作って欲しい』と頼んだ。

そして、義兄夫婦の家にやってきたあめ子。二人とその娘、姪っ子のなーちゃんはあめ子を迎え入れ、『なにかあった?家を建てる?それともついに子ども?』とにこやかに尋ねる。しかし、あめ子は単刀直入に『夫くんが不倫した』と告げる。義兄夫婦は仰天し、娘を離れた場所にやるのであった。

落ち着いたところであめ子は義兄夫婦にこれまでの経緯を話し、証拠の数々を見せる。『あいつが…嘘だろ』と呆然とする義兄、証拠を見て『真っ黒だ』と呟く義兄嫁。そんな二人にあめ子は『夫くんが話し合いに応じないのでこのまま離婚になると思う』『相手の女を訴えたいが証拠が弱くて負けてしまうかもしれない』『夫くんは離婚後、離婚後付き合ったことにして、不倫相手を連れて挨拶に来ると思うから、真実を知っていて欲しかった』と告げる。
しかし、そんなあめ子に対して義兄嫁は『あめ子ちゃんはどうしたいの?』と尋ねた。するとあめ子は泣きながら言った。

「私は離婚したくないです」「でももう無理だと思います」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 112/224  

それがあめ子の正直な気持ちだった。『今の夫くんは自分の知っている夫くんではない、変わってしまった。あんな人ではなかったのに』『もう嫌だ、全部無かったことにしてやり直したい』…そう泣き崩れてしまったあめ子。すると別室にいた姪っ子のなーちゃんが、どうしたの?と駆け寄りあめ子のことを慰め始める。そして、なおも泣き続けるあめ子を今度は義兄嫁が『辛いよね』と涙を流しながら出し決める。義兄一家の優しさを噛みしめながら、あめ子は結婚は二人だけの問題ではない、二人だけの繋がりではないのだと改めて実感するのであった。

なーちゃんが昼寝をし、あめ子が落ち着いたところで再び話し合いは再開した。すると、義兄はあめ子に『兄である自分から弟に話してもいいか』と提案してくる。『きゃりーちゃんを訴えるつもりなので先に知られて逃げられては困る』と答えるあめ子。それに対して、義兄嫁が『証拠が弱くて調停で負ける可能性があるなら、先にちゃんと話し合う様に夫を叱った方が良いと思う』と言った。『しっかり弟を叱るから任せて欲しい』という義兄。

そんな義兄夫婦にあめ子は『義兄と夫の話し合いの後、ここに不倫相手を呼んでいいか』と尋ねる。呼んだところで来るのかと言う義兄に、馬鹿そうなので来るだろうと答えるあめ子。そして、あめ子はまた自分の心の内を吐露する。

夫の不倫を知った時、あめ子はまず自分自身を責めた。『私が悪いから、私のせいで夫は不倫したのだ』と。きっと不倫された人の多くはそう思うだろうし、一部の人達もそうやって責めてくるだろう。実際にあめ子は自身を振り返って100点満点の妻ではなかったと思っている。子どもがいない空虚さを埋めようとしていたこともあって、仕事や家事や勉強と常に忙しくしていたのだ。

しかし、夫ときゃりーちゃんのLINEのやり取りを見返すと肉体関係に発展するよりかなり前から親密なやりとりをしていたことが分かる。そして、夫ときゃりーちゃんは部署こそ違えど、毎日顔を合わせて簡単に密会できる環境にあったのだ。そこから分かることは『あめ子がどういった行動を取っていようが、遅かれ早かれ二人はヤっていただろう』ということである。

それでもきっと二人は不倫について『あめ子が悪い』と主張してくるだろう。『あめ子が歳を取って可愛げが無くなった、胸が垂れた、寂しい思いをさせたのが悪い』『奥さんが夫さんに寂しい思いをさせているから私が慰めただけ、私はただ夫さんが好きだっただけ』等と。

私は私の名誉のために、きちんと不倫があったことを認めてほしい」
「どうせ調停でも五分五分の戦いになるんです。だったら玉砕覚悟で連れ出します」
「今まで陰でコソコソした分、表に引っ張り出してやります」

不倫サレ日記。 結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた ななしなあめ子 120-121/224  

人の家に上がり込んで人の旦那に股を開く女だと紹介してやる。恥をかけばいいのだ…そう笑って見せるあめ子。
そして、『きちんとした謝罪があるなら内容証明の発送はやめる』『しかし示談として慰謝料を請求する。納得しないようなら即訴える』と義兄夫婦に告げる。ご迷惑をかけますがよろしくお願いします…そう頭を下げたあめ子に、義兄夫婦は『あめちゃんにとっての最善を尽くす』と約束するのであった。

夫と話し合い、怒りをぶつけるあめ子、しかし…

義兄夫婦に相談したことで気持ちが楽になったあめ子。少しずつ食事もとれるようになり、他の友人達にも夫の不倫を打ち明けられるようになった。夫ときゃりーちゃんがホテルに行く前の晩の夕食を臭いのきついものにするといった嫌がらせをし、それを友人達と笑いのネタにする等、心に余裕ができた。引っ越しや内容証明の準備など、するべきことも見えてくる。

しかし、一方で夫に対する気持ちは複雑であった。少なくとも今の夫は好きではない、キモいとすら感じている。しかし、離婚したいかといわれると、分からなかった。今まで助けてくれた義兄夫婦や結婚を祝福してくれた友人、そして双方の両親のことを思うと簡単に『離婚』とは思えなかったのだ。引っ越し先を決め、荷物を運び出し続けていても、あめ子は『再構築』を希望していた。しかし『離婚』に転んでもいいように心の準備もしていた。そして、義兄が夫と話をする日がやってくる。

義兄と夫の話し合い当日、家で夕食を作るあめ子。一緒に食卓を囲むのはこれが最後であった。約2時間の話し合いを終えて帰ってきた夫はなぜか子供みたいな顔をしており、義兄の言葉で少しは眼が覚めた様子であった。
酒を飲みながら食事を始めた二人。するとあめ子はなんと結婚式のDVDを流し始める。
困惑する夫。テレビに映し出される若いあめ子と夫はとても幸せそうであった。

酒が弱いのに飲み続けるあめ子は夫に言う。『この頃の私、よく似ていると思うんだよね、誰かに』テレビに映る若いあめ子は顔立ちがきゃりーちゃんによく似ているのだ。それに対して、夫が『確かに似ている』と答えた次の瞬間、

「ふざけんなよ!!」

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あめ子は夫の顔に物を投げつけ、ビンタをした。

「全部知ってるからね。女連れ込んでたのも、週末ラブホテル行ってるのも。なんで?なんでこんなことしてるの?」
「私の知ってる夫くんはこんなことする人じゃない!!」

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涙を流しながら服を掴み上げるあめ子に夫は『寂しかった』と答える。『あめ子はガツガツしているが、あの子はコツコツ頑張る子だ』『やりたいこと見つけてやりたい仕事をしているあめ子はいつも忙しそうで、あの子とは同じペースでいられる』そう言って真っすぐあめ子を見つめる。

あめ子は夫のその言葉に激昂する。夫は家のことを一切しなかった。そのくせあめ子には『努力が足りない』と言ってきていたのだ。『また全部私のせいにするのか』と言って夫を殴るあめ子。夫はそれでもなお『あの子のことが好きなんだ』とあめ子に言う。
『何回私のことを殺せば気がすむんだっ』あめ子はそんな夫を何度も何度も殴りつけた。

しかし、ひとしきり夫を殴ったあめ子は今度は一転して『ごめんなさい』と泣きじゃくりながら謝罪の言葉を延々と述べ続ける。

「さみしい思いをさせてごめんなさい。ガツガツしててごめんなさい。一緒のペースで過ごせなくてごめんなさい」
「もうしないよ。仕事も辞めるよ。だから、だからもう一回やり直させてよ」

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しかし、夫は謝りつつも『お前とはもう無理』とハッキリ言う。『やり直したい。何もなかった頃に戻りたい』と泣き崩れるあめ子。あめ子が戻りたいのは結婚生活中でも不倫前でもない。傍らのテレビの画面の中にいる、幸せそうに周囲から祝福されるウェディングドレス姿の若いあめ子であったのだ。

その後のことを覚えていないあめ子。翌日目を覚ますと夫のスマホはトイレの便器の中に捨てられ、あめ子の手の平と夫の頬は真っ赤に腫れ上がっていた。

慌てて夫の手当てをするあめ子。自己嫌悪に陥るあめ子に、悪いのは自分だからと言う夫。不倫前の様に話せるようになった二人であったが、あめ子は夫婦として終わったと感じていた。

その後、あめ子は夫と今までのことを少しずつ話し合った。『何故不倫したのか』あめ子がそう尋ねると、夫はあめ子に持っていた不満を告白する。イビキがうるさいと言われるのが嫌だった、韓流ドラマにハマったのが嫌だった。そして、一番のきっかけは『あめ子が誕生日を忘れたこと』であった。あめ子はそのことについて謝り倒したし、夫自身も何度もあめ子の誕生日をすっぽかしていたのだが、どうしてもそのことが許せず、それで離婚を決意したのだという。

一方であめ子も夫に言う。夫は『あめ子がガツガツしていて常に忙しそうで寂しかった』と言うが、あめ子をそうさせたのは夫だった。夫は共働きなのに家事を一切やらず、それはあめ子の親が入院して大変な時も変わらなかった。『今は大変なんだから少しは手伝ってほしい』そうあめ子が言った時、夫はこう言い放った。

「お前はお前の好きで仕事してるんだろ」
「俺は俺で頑張ってるんだから、お前はお前で頑張れ」

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夫のその言葉にさすがに怒り不満を言ったあめ子。しかし、夫はそんなあめ子に『お前は文句ばかりだ』とため息をつき、突然指をさす。『人を指さすとき人差し指は相手を向いているが、残りの4本の指は自分の方を向いている。相手に文句を言う人間は、その文句の4倍直す点があるんだ』会社の研修でそう教わったという夫。『俺は何を言われても変わらない。嫌ならお前が変われ』夫はそうあめ子のことを突き放した。そのとき、あめ子はもう二度と弱音を吐かないと心に決めたのだ。

『仕事、家事、趣味、勉強、全部頑張ったのは夫が望んだからなのに、それをガツガツしていると評して、コツコツした子が良いなんてあんまりだ』というあめ子。しかし、夫はきゃりーちゃんについて『いい子なんだ』と言う。『いい子は不倫なんてしない』とあめ子は言い返し、夫にちゃんときゃりーちゃんを話し合いの場に連れてくるように念を押す。証拠は揃っており、きゃりーちゃんを訴える準備をしていると告げ、『続きはそのときに話そう』と言ってあめ子はその場を立ち去った。

あめ子は夫との関係を思い返す。どこかですれ違い、溝が生まれてしまっていたのだろう。そして、近くにいすぎたがゆえに色々なことが当たり前になり互いに気遣いができなくなった。そして、その隙間を別の誰かに埋められてしまったのだ。『よくある話だ』…そう、またしてもあめ子は思うのであった。

きゃりーちゃんと対面したあめ子。しかし、彼女のあまりの罪の意識の無さに…

きゃりーちゃんとの話し合いは義兄の家で行われることになった。義兄を通して事前に『弁護士を通すこと』『きちんとした謝罪があれば示談で済ませること』『あめ子が求める慰謝料の額』の3つを告げていた。

そして、あめ子自身が最も強く求めるものは『不倫を認めた上での心からの謝罪』であった。

そして、話し合い当日、きゃりーちゃん…小林小春が夫に連れられ義兄宅にやってくる。義兄夫婦はあめ子に『何かあったら声を掛けて』と言い隣の部屋で待機してくれていた。
一人で夫ときゃりーちゃんと対峙するあめ子。しかし、きゃりーちゃんは自らあめ子に謝罪しようともせず、ただ恋人の様な雰囲気を出して夫を見つめるばかりである。仕方なく、あめ子がテキトウな挨拶をすると、そこで初めて『この度は本当にすみませんでした』と口にする。しかし、その眼は全然反省しているように見えず、キラキラしてさえいる。『この女はなにしに来たのだろう』と思うあめ子。

なんで人の道を外れたことをしているのに、このふたりは幸せそうなの?

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耐えきれず隣室の義兄夫婦に助けを求めたあめ子。『二人の恋人っぽい雰囲気に何も言えなくなる』『謝罪は口にするも悪いとは思っていない』あめ子のその訴えに義兄も話し合いに同席することになった。

義兄の仕切りの元、話し合いが再開する。あめ子はまずきゃりーちゃんと話したいと告げ、夫は席を外した。しばらくだんまりを続けるきゃりーちゃんであったが、『夫さんから不倫がバレて奥様がとても悲しんでいると聞ききました』『それでとても悪いことをしたなぁと思って…』と語り始める。それを聞いてあめ子は思わず、『ちょっと待って』『それがなければ、悪いとすら思わなかったってこと!?』と叫び声を上げる。
あめ子のその言葉におずおずと『それでとても反省した』というきゃりーちゃん。あめ子は唖然とする。それよりも前にもっと色々と考えられなかったのかと、あめ子と夫の家の玄関にある結婚式の写真などを見ても何も感じなかったのかと、それともむしろ『妻よりも自分が選ばれた』と優越感に浸っていたのか…そうあめ子は疑問を口にする。

するときゃりーちゃんは必死な表情を浮かべて、『自分は夫さんと奥様に別れてほしいとは思っていなかった、望んでいない』と言う。それに対し、あめ子が『じゃあ、何故不倫をしたのか』と尋ねると『自分が一方的に好きだっただけ』『こんなことになったのはうれしくもないし望んでいない』と答える。

『でもあなたはずっと夫とセックスし続けたよね』『朝から晩までLINE送り続けたよね』『週末はラブホのフリータイムでずーっとし続けたよね?』『それで家庭を壊す気がなかった?自分が何をしてきて、何を言ってるか分かってる?』あめ子が言い募ると、きゃりーちゃんは『そんな…』と涙をこぼす。『泣くな!』そう怒鳴りつけるあめ子。

「今、泣く権利がある、泣いていいのは私だけなんだから」

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そう言って自身も大粒の涙を流すあめ子。何を言っても要領を得ない、あまりに幼いきゃりーちゃん、そしてそんな彼女が好きだという夫が理解できず、もはやどんな感情を持てばいいかも分からなかった

馬鹿馬鹿しくすら感じ始めたあめ子はもう、苛立ちを隠すことなくきゃりーちゃんにぶつける。『自分から近づいたわけではない』『自然とこうなってしまった』と言うきゃりーちゃんにあめ子は『自然な不倫ってなんだよ』『幼稚園児ですら人のものは取ってはいけないと分かっている』と詰る。そして、家のベッドでセックスをしたこと等について、口汚く罵倒する。ヒートアップしていくあめ子を義兄が慌てて制止し、きゃりーちゃんにももっとちゃんと話をする様にと言う。

するときゃりーちゃんは『きちんと申し訳ないと思っているので、それを形にしてきました』と言って封筒に入ったお金を差し出した。驚くあめ子と義兄。すると、きゃりーちゃんは全身を震わせながら言う。
『奥様が弁護士を通して慰謝料を請求すると聞いたが、貯金もなく金融機関でお金を借りてきました』と。きゃりーちゃんは大粒の涙をこぼし始めた。

あめ子は愕然とした。目の前で泣いているきゃりーちゃんは不倫した事ではなく、借金をしてしまったことに耐えられず泣いているようにしか見えない。本当にバカな女だと呆れたあめ子。そして、若い女の子にこんなことをさせた夫はもっと馬鹿だと心の底から思うのであった。

借金をしたというきゃりーちゃんだったが、それでも請求額には足りなかった。『足りない分もきちんと支払う、信じてほしい』と訴えるきゃりーちゃんに、あめ子は『自分の夫を寝取った人間を信じられるか』と一蹴する。そして、封筒をきゃりーちゃんに返し、請求額を下げることを告げると、あめ子はコップの中の水をきゃりーちゃんにぶちまけた。

顔に水をかけられ項垂れるきゃりーちゃんに『値下げ代』だと言うあめ子。
あめ子は決してきゃりーちゃんを許した訳ではない。きゃりーちゃんは絶対自分が悪いとは思っていないし、バレてお金を請求されて怯えているだけだ。しかし、あめ子はもう少しでもきゃりーちゃんと関わりたくないと強く感じていた。
義兄もあめ子と同じように感じていたようで、きゃりーちゃんが一旦退室した後、『謝罪ではなく支払いの様だ』と述べたあめ子に同意する。

するとそこに夫が『もう入って良いか』と戻ってくる。そんな夫にあめ子と義兄はきゃりーちゃんがお金を借りてきたことを慌てて告げる。すると夫は『自分も借りようかと思ったが、金利が高くてやめた』と平然と言ってのける。またもや仰天するあめ子と義兄。『ちゃんと謝罪して誠意を見せようとした』という夫に、誠意ある謝罪とはお金を借りることなのか…とあめ子は混乱する。

「本当に申し訳ないことをしたと思ってる、ごめん」

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あめ子のことを真っ直ぐ見据えながら、そう淡々と言う夫を見てあめ子ははっきりと理解する。『夫ときゃりーちゃんは、なにもわかってない』と。

あめ子と夫は沢山の人達に祝福され、支えられてここまでやってきたのだ。周囲の人々と積み重ねてきた時間等、二人だけではない大切なものが沢山ある。しかし、夫にはもう周りも見えていないのだろうか。

そして、あんな人間として幼いきゃりーちゃんが好きだと言う夫にはしかできず、そんな夫と結婚した事すら情けなく恥ずかしいと思うあめ子。このままだと17年間という一緒に過ごした歳月も汚れてしまう気がするので、自分から『お前なんて願い下げだ』と言いたかった。しかし、あめ子は夫にこう言うのであった。

「でも病めるときも健やかなるときも色々なことを乗り越えるのが夫婦でしょ?今回のことも乗り越えたい」
「今なら大きな喧嘩でしたって、すみませんでしたって私も頭下げる。」
「私は再構築していきたい」

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しかし、夫は笑い声を上げながら、『もう無理だろ』と言うのであった。がっくりするあめ子に対して、妙にスッキリした顔で慰謝料は払うと宣言した夫。あめ子は夫が『慰謝料を支払ったら本当に終わりだと思っている』ということに気付き、『しあわせになってね』という陳腐な言葉をかけるのであった。

その後、義兄があめ子と夫ときゃりーちゃんの3人に対して今後のことを語り、不倫した二人に対して何か説教をしていたのだが、あめ子の頭には入って来ず、また二人もちゃんと聞いてる様子はなかった。そして、二人は当然の様に夫の車に乗り込み、きゃりーちゃんは慣れた手つきで助手席に座った。その車のローンを必死に返したのに…そう思い返すあめ子。自身に残ったのは家事で疲れた手と心の痛みだけ…そう思うとまた、涙がこぼれてきた。
そんなあめ子に『弟がごめん』と謝罪する義兄。あめ子は顔を覆いながら義兄はなにも悪くないということしかできなかった。

ラスト・結末…夫と離婚届を提出しに行ったあめ子…そして、その後

それから慰謝料の支払いを待って、あめ子と夫は離婚届けを出すこととなった。あの話し合いの後、あめ子は体調を崩しながら一人暮らしを始める。結婚生活のことを考えてしまい、フラッシュバックで動けない日も会った。
体調の悪さから内科を受診したあめ子。診察してくれた女医に夫の不倫で離婚したことを告げた。すると女医は笑顔を浮かべながらこう言う。

「私も不倫で離婚してるの」「よくある話よ」

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『よくある話』…あめ子自身もそれは分かっていた。その後も病院で採血をした看護師やタクシーの運転手、果ては新聞の勧誘のお兄さんからもそれぞれにあった『不倫の話』を聞かされる。テレビでも有名人の不倫が報じられている。『自分の様な辛い思いをしている人が日本に何人くらいいるのか』そう思いを馳せるあめ子。

しかし、結婚生活は終わったが、結婚生活で得た縁は繋がっていた。義兄嫁はあめ子の元を様子を見に訪ねに来てくれていたし、一緒に怒ってくれる胸痛の友人達や遠方から応援してくれる友人達。あめ子は沢山の人に支えられてなんとか生活していく。

そして、離婚届を出す日がやって来た。久しぶりに会った夫は別人の様で、会話も続かない。あめ子は吐き気を覚え、『17年間の思い出が不倫の吐き気に変わってしまった』等と恨みつらみを吐露しながら、実際に嘔吐してしまう。保証人の一人がきゃりーちゃん…小林小春であったこともまた吐き気を誘ったのであった。そして、離婚届を提出すると、それは淡々と受理された。

『これから祝賀で焼き肉に行く』とあめ子が言うと、夫は『仕事に行く』という。『いつもそればっかりだった』あめ子がそう笑うと夫は『そうだな』と淡々と答える。そして、あめ子が立ち去ろうとすると、夫が後ろから何かを言った。その声は周囲の音にかき消され、あめ子は聞き取ることができない。今までは聞き返していた小さな声。しかし、もう聞き直す必要はないのだ。何故なら、二人はもう終わったのだから。

結婚生活の中で何度選択肢を間違えたのか…そう振り返ると後悔ばかりだ。しかし、それでも前に進むしかないと思うあめ子。

「最後、最低にしてくれてありがとう!」

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そう振り返らず告げてあめ子は歩き出す。これからも立ち止まる日はあるかもしれない。それでもいつか、この経験を笑えるように、前だけを向いて生きていこうと決意して。

それからしばらく経ったある日。あめ子は友人に喫茶店に呼び出された。俯き涙を流す友人。
『主人が不倫をしていて、離婚になるかもしれない』
『子どもも小さいのに、家に帰ってこない、女に貢いでいる』…そんな話に耳を傾けたあめ子は言う。『よくある話だよね』と。しかし、でも…と続ける。

「よくあってたまるか!!」

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~終わり~

まとめ

不倫『サレ』る側のリアルな苦しみを描いた本作。巻末ではこの作品が遺書として描かれたことが明かされる。離婚してからも長い間フラッシュバックに悩まされるた作者、あめ子は夫の実家の前で焼身自殺をするつもりだったのだ。しかし、やはりモエを始めとする周囲の人に支えられて立ち直ることができたようだ。最終的には『結婚してた頃に戻りたいとは思わない』『離婚して良かった』と思えるようになったという。最終的にこの作品は『遺書として』ではなく『幸せになるために』描かれたものとなったのだ。

色々と思うところがあったので、感想は別記事にしています。

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【漫画】不倫サレ日記。~結婚9年目で33歳子なし兼業主婦が不倫されてみた【感想・ネタバレ】~『サレ』た側のリアルと『誠意』について考える

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