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Contents
以下、あらすじとネタバレ
31話 凪、終わりの足音を聞く~お暇はもう終わり!?坂本の就職と恋、市川のアプローチを受け止める決意をした慎二…順風満帆な凪も再就職を目指す!?
本格的な寒さがやってきた。朝、寒さをしのぎながら凪はふと、時間がそれだけ経ったのだと実感し、実家のものとは別に自身で新たに作り始めたぬか漬けを食べながら『このお暇の終わりの足音が聞こえた』と思う。
坂本といつもの公園で話した凪は、坂本から『転職が決まった』と報告を受ける。この間の企業とは全然違い、今度はちゃんとしたクリーンな会社だ。坂本はそれを、あの怪しい企業に共に行った日に凪が『たまには後ろを向かなくちゃ自分がどこにいるのか分からなくなっちゃう』と言ってくれたおかげだと語る。自分が今どこにいるのかちゃんと見た上で、力まずに面接に臨んだから合格できたのだと。
そう言って凪の手を取る坂本。その時、凪は坂本の腕にいつものパワーストーンのブレスレッドがないことに気付いた。凪がそれを指摘すると坂本は『最近付け忘れてしまうことが多い』と答えた。坂本の石への依存がなくなったのだと気付いた凪は自然と笑顔になった。
さらに、それだけでなく坂本は彼氏もできたと言い、凪に紹介する。相手はなんと先の怪しい企業に坂本を誘った東大の先輩、沖田。凪は一瞬ギョッとするも、沖田もまた坂本に説得されあの怪しい企業から転職。そして、交際に至ったのだと言う。『大島さんがいなかったら二人とも転がり落ちてしまっていた。私たちの救世主です』と凪にお礼を言う坂本と沖田。『恐れ多い』と目の前の東大カップルに恐縮しながらも、凪は坂本と沖田のカップルを祝福するのであった。
…そう、時と共に諸々変わっていくのだ。その頃、会社でLIMEに残された凪とのやりとりを見つめていた慎二。すると、市川がやってきて忘年会のことを相談してきた。慎二はそんな市川に『LIMEの連絡先を交換しよう』と提案する。赤面し、喜ぶ市川を見た慎二は『ちょい前から感じてたけどコイツ俺のことを好きな空気めっちゃ出てるよな』と思う。見た目もドストライクな市川だが、もう社内恋愛はしたくないと考える慎二。しかし、嬉しそうに『我聞さんの(水族館のイワシのアイコン)が私のに入りました』と告げた市川を見て、そんな逡巡は吹き飛ぶのであった。
そして、凪はうららの母に教わって運転もどんどん上達していた。運転中、『転職エージェントの人にお願いして本格的に就活しようと思う』とうららの母に語る凪。『うららちゃんのお母さんのおかげで車の運転の練習を経て、選択肢は自分次第で増やせると実感できた』…そうお礼を言った凪に照れた様子のうららの母は『下の名前のみすずと呼んで欲しい』と言い出した。凪はうららの母…みすずとまた一つ親しくなれたことを嬉しく思うのであった。
そんな風に和やかに会話していると、みすずは車が凪が最も苦手としている右折の合流交差点、それも交通量も多く強引なドライバーも少なくない所に来てしまったことに気付き、慌てる。だが、凪はなんなく、スムーズに右折していった。驚くみすずに凪は『このお暇で勇気を出せば人は温かく受け入れてくれることに気付いた』と笑顔で語り、みすずもそれに微笑むが何か引っかかるものを感じるのであった。
凪は”スナックバブル”のバイトの方も順調で、以前だったら対応できなかった桃園のムチャブリにも応じられるようになっていた。『こっちが心を開けば楽しく日々を送れる』と考える様になり一発芸すらするようになった凪に驚くママ。そんなママに凪は『本格的に就職活動を始めようと思っている』と告げ、キラキラした眼差しで『スナックバブルで働けたことが財産となった』と語る。笑顔の凪に『あらそう?』と答えたママはどこか困惑しているのであった。
そして、転職エージェントに依頼をすることにした凪。凪の担当になったのは縁田(へりた)という非常にアクの強い顔をした中年女性であった。凪の名前を『大沼』等と間違え、履歴書の上にお冷の水滴を垂らしたりする縁田に違和感を覚える凪。しかし、『親身をモットーにしている』と言う縁田に『一見軽薄そうだけどきっと根っこは優しい人に違いない』と信じる事にした。
ある日、アパートで車から降りたみすずは吉永のおばあさんに『大島さんのドライブ講習?』と声を掛けられた。ちょうど練習を終え、凪と別れたばかりだったみすずは凪の運転の上達具合を尋ねる吉永に『凪さんは勤勉で覚えも早く、運転は上々』と答えたものの、『こんな言い方していいか分からないけど』と顔を曇らせて言った。
「悪い意味でこなれてきたっていうか」
凪のお暇6巻 コナリミサト 22-23/162
「ああいう時って事故が一番多いから、私 心配で心配で」
みすずは例の右折の合流交差点で凪がスムーズに入っていったものの、あまり減速しなかったことが引っ掛かっていた。
一方、その頃、スナックバブルでも同じようにママがロンとジェーンに『凪が心配だ』と口にしていた。『仕事に慣れて楽しいだけでは』と言うロンとジェーンに『あれは達観ぶっているだけ』と言うママ。『焦って畳み込もうとしているだけ』『ああいうときに判断を間違える』というものの凪に自覚が無いのもあり、指摘し辛いのだ。
「あーもどかしい!!こんなときぶしつけに」
凪のお暇6巻 コナリミサト 23-24/162
「土足で踏みこんでつっこんでくれる子がいればいいのに」
しかし、その頃”忘年会会場の下見”を口実に市川と仕事後に待ち合わせていた慎二は既にLIMEの凪の連絡先を削除していたのであった…。
転職エージェントの縁田との話を終えて帰宅した凪は異様に疲れていた。縁田は自分語りをするばかりで、さっそくメールで送られてきた転職先候補には凪が希望した条件以外のものが大量に入っていた。疑問に思いながらも、『視野を広く持てという事なのかも』と前向きに考えようとする凪。すると胃が妙に痛くなる。胃に優しい”土鍋まるごとにがり湯豆腐”を作り『順風満帆』と自身に言い聞かせぬか漬けと共に食べる。
…凪はその新しく自分でつけたはずのぬか漬けの味が実家のぬか漬けに酷似してきたことに気付かなかった。
そして北海道では凪の母、夕が東京に行く日まであと何日かをカレンダーを見て数えているのであった…。
「会えるのが楽しみだわ、凪♡」
凪のお暇6巻 コナリミサト 28/162
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32話 凪、花を編む~何かに焦っていることに気付いた凪は自身が母親の影響から逃れられていないことに気付き部屋を飛び出してしまう
前向きな気持ちで冬の日々を送る凪。転職エージェントの縁田の勧めた通り、転職を目指して”視野を広くもって”様々な職種の色んな会社の面接を受けていた。
しかし、当然すんなりと行くはずもなく、希望の企業の面接に落ちる凪。凪を担当する縁田は『企業に見る目がない』と怒り、凪を『貴重な人材』と持ち上げるものの、未だに凪の名字を『大隈』等と間違い続け、すぐに自分語りを始める。そんな縁田を宥め、感謝を伝える凪。縁田の仲介したいくつかの会社の最終面接にこぎつけたのだ。そこは前職よりも条件が下で職種も希望したものではないが凪は自身が職務経歴書の年表にろくに書けることがないことに気付き、改めて自身の市場価値の低さを認めたのだ。
しかし、それでも凪は落ち込まない。街を歩きながら思う。
このお暇で学んだこと
凪のお暇6巻 コナリミサト 35-36/162
自分探しってきっと自分の置き所探しなんだって
それを知れたから私は大丈夫
(凪のお暇 完…そして流れるスタッフロール)
『渡らないの?』そう声を掛けられて我に帰った凪。目の前にはいつの間にかゴンがいた。凪は立ち止まって空を見上げてボンヤリしていたのだ。仕事が決まりそうな凪は『長かったお暇もおしまいだ』とゴンに告げる。ゴンはそんな凪に違和感を覚え何か言おうとするも、自覚無しに恋をしているがゆえに以前の様に話すことができず、古着屋で働くエリィの元に行って泣きつくことしか出来なのであった。
そして、凪はアパートに戻ってうららと共に毛糸の指編みで花の形のタワシを作る。もうすぐ仕事が決まりそうだという凪に『今までみたいに遊べなくなるんじゃないか』と落ち込んだ様子を見せるうらら。凪はそんなうららを可愛く思い、就職後もちゃんと一緒に遊ぶと約束する。
ふと、自身が指編みで作ったタワシの一部がツレてしまっていることに気付いたうららは凪が『くくっちゃえば見えないし大丈夫』と言ったにも関わらず『一から編み直す』と全部ほどいてしまった。『せっかくここまで編んだのに』と言う凪にうららは『編み直す手間より、見るたびに直しておけばよかったと後悔する方が嫌』ときっぱりと言った。
そんなうららを眩しいと思った凪は『うららちゃんには無限の可能性がある』と言って、様々な職種を挙げて『これからが楽しみだと』語る。だが、そんな凪にうららは『それは乱暴じゃない?若いからって可能性は無限大じゃないよ』とバッサリ切り捨てた。凪はその言葉にビックリしながらも『私よりは無限大だよ。28歳の自分は自身に折り合いをつけていかなきゃいけない』と語って誤魔化すのであった。
夜、部屋に一人になった凪は、自身が働く未来図を全然想像できないこと、それなのに畳みかけようとしていることを認めた。しかし、自分が何に焦っているのかもよく分からなかった。そして、今日うららに言った『若いから可能性が無限大』というのは母、夕が自身に言っていた言葉であることに気付く。さらに、自身が一から漬けたぬか漬けを食べているつもりで、実家のぬか漬けを食べていたことに気付いた凪。
自身が母の影響から逃れられていないこと、そして焦って何かを見失っている事に気付いた凪は動転して、部屋の外に飛び出し座り込んでしまった。そしてたまたま通りがかった吉永のおばあさんに『部屋にいたくなくて家出みたいなことをしている』と説明した。『一人暮らしの家出なんてレアものね』と笑った吉永のおばあさんはそんな凪を”レイトショー”と称して自室に誘うのであった。
33話 凪、映画を観る
202号室の吉永のおばあさんの部屋に人生初の”家出”をした凪。相変わらずお洒落で趣味を極めた吉永の部屋に感心する凪。なんと吉永のおばあさんのベッドがドラえもん風に押入れを改造したものであると知って更に感動する。そして、吉永は胃痛を抱える凪の為にコーヒーではなく鰹節の出汁を用意してくれ、その美味しさに感動し、言うのであった。
「豊かですよね」
凪のお暇6巻 コナリミサト 58/162
水谷豊?とキョトンとする吉永のおばあさんに凪は『初めて部屋を見た時から、日々を工夫して心地よく生きている人なのだと感心していた』と言った。すると吉永のおばあさんは凪の”家出”の原因が”親との確執”だと言い当てる。そして動揺する凪にそれ以上理由を聞こうとはせず、映画を選ばせ”レイトショー”を開始するのであった。
大画面のスクリーンで見る映画に圧倒されながら凪は吉永に『どうして映画が好きなんですか』と尋ねた。すると吉永は笑いながらこう答える。
「ほんの数時間着席してるだけで誰かの人生を視姦できるのがたまらない快感なの」
凪のお暇6巻 コナリミサト 61/162
その答えにギョッとする凪に『人生は映画そのもの』と語るのであった。
「脚本・監督・カメラ・演出主演諸々全て自分。地球上の生物の数だけつねにロードショー中よ」
凪のお暇6巻 コナリミサト 61/162
こうしている間にもどこかの誰かの何かが始まってたり始まってなかったりする…そう言う吉永。
その頃、慎二は飲み会の帰り他の社員達と共にタクシーに乗り込む中で秘かに市川に小指を握られていた。また、ゴンはエリィに『ある人と目が合うと上手にお喋りできない』『胸がぎゅっとする、病気かも』と相談し、話を聞いたエリィはゴンが恋をしていることに気付くもシャクに障り『絶対に教えてやらない』と胸に誓っていた。
吉永の言葉に『ドラマティック』を返す凪であったが『自分が主演の映画があったらつまらないだろう』とこぼす。だが、吉永は凪に『大島さんがそのジャンルを粋だと思っているのだからそれでいいじゃない』と言った。同じものを見てもどう感じるかは人それぞれ、その人が粋だと思う方向に寄っていくと語るのだ。
しかし、吉永はそう言いながらも見ていると胸が差し込む映画があると言う。
「それはね」
凪のお暇6巻 コナリミサト 67-68/162
「見えない大きな力に体裁を整えさせられた映画」
コンプライアンスや大人の事情で捻じ曲げられて畳みかけられた映画のことだと言う吉永に、凪は『私はそんな映画見たくないです』と膝を抱えて俯いてしまった。
自身を母や周囲の空気に体裁を整えられた上、六畳一間でぐるぐる回ることを繰り返すつまらない映画だと感じた凪。そんな”映画”をもう見たくないと思いながらも『降りるのはムリですか』と吉永に尋ねた。
すると吉永はあっさり言った。
「そんなの簡単よぉ」
凪のお暇6巻 コナリミサト 70/162
「ただ停止ボタンを押してディスク入れ替えちゃえばいいのよ」
「六畳一間のミニシアターの特権よ。好きにやっちゃえばいいのよ」
そして、驚く凪に更に言うのであった。
「突然のジャンルの鞍替えで名作を生む監督は多いわ」
凪のお暇6巻 コナリミサト 71/162
抑圧されたものが解放された時のエネルギーの強さを語った吉永のおばあさんは『今後の大島さんの映画、ワクワクする』と笑う。その言葉に勇気づけられた凪。『今後の私の映画はぬか漬けと闘う展開』と言い、吉永を驚かせながらも、そのまま朝まで一緒に映画を観続けた。
朝、吉永と共にラジオ体操をした凪は引っ越したばかりの時にラジオ体操をした時に『新しい朝が来た』と思ったことを思い出し、吉永に話した。
そんな凪に吉永は『私が選んだ者達を豊かと言ってくれて嬉しかった』と言い、『新しい朝は何度でも来るわ』と語ったかと思うと、突然愕然として崩れ落ちた。驚き駆け寄った凪に吉永は『映画で相容れないくだりがあって、それはババアがしたり顔で何かうまいことを言うシーンなのに』『それを今自分がやってしまった』と嘆くのであった。そんな吉永に寄り添いながらも凪は『今、それぞれの朝が来ているのだろうか』と考える。
その頃、ゴンは酔い潰れたエリィから、『あんたの病気のヒントは屋根より高いアレ』と言われるも、それが鯉…”恋”の事だとは気付けない。そして、慎二は市川と寝た後であった。
そして、凪は転職エージェントの縁田に『せっかく紹介してもらったけど、もう少し時間を掛けて考えたい』と伝え、なおも名前を間違い続ける縁田に『大島です』と笑顔できっぱりと訂正した。そして改めて互いに『よろしくお願いします』と言い合うのであった。
その後、笑顔で縁田と別れた凪。しかし、残された縁田は『転職エージェントの利益は顧客の転職先の年収からのパーセンテージ』『大島様には何卒大企業に転職してもらわなくては』と非常に悪そうな笑みを舌を突き出しながら浮かべるのであった。
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34話 凪、母を思う~凪の母、夕の抱える闇が垣間見える
スナックバブルのママに吉永の『人生は映画』という言葉について語った凪。『人生は映画』について、ママ、ロン、ジェーン、桃園と語り合いながら凪はふと、むかし母、夕に言われて納得できなかった言葉を思い出した。
それは『自分を中心に世界が回ってると思ってはいけない』という言葉であった。『そんな考えは傲慢でお母さんは嫌い』と凪に語った母。しかし、凪は内心『何を見てどう感じてどう動くかは自分次第なのに』と思っていたのだ。そのことを凪が皆に語ると、ママが『お母さんはどんな映画を上映中なのかしら』と言った。そんなことを考えたこともなかった凪は『あの人の映画なんて想像がつかない』と言うのであった。
…大島夕、48歳は雪の積もった北海道の小さな町をバス停に向かって歩き、ふと足元にあった父、母、子を模した雪だるまを見て優しく微笑んだ。
それぞれの職場に向かうため近所の女性陣と共にバスに乗り込む夕。皆の話題はもうすぐ行われる凪の従妹の黒沢優の東京での結婚式。黒沢がその場にいないこともあり『夢の国で挙式すると言ってたのに結局違った』『黒沢さんは見栄っ張りだがケチだ』…等々悪口で盛り上がる女性陣。そして、バス停に着き誰かが降車すると今度はその降りた人物の悪口になる。最後まで乗っていた夕はそんな皆の悪口を笑顔で聞き続けていた。
職場のクリーニング店に到着した夕はやっかいな仕事を同僚に押し付けられる。その同僚が仕事をサボって不倫をしていることを夕は知っている。しかし、『ちゃんと、ちゃんと』と意識し気にせず真面目に仕事をこなす。
仕事から帰れば実母(凪の祖母)の悪口に付き合う。『凪がいてくれたら』という実母に夕は『凪には自由にやってほしいから、そんなことを言わないで』と言う。
内心、実母のことを『老いても稚拙で自分が世界の中心だと思っている傲慢な人』だと思っている夕。自分が裏では『夏はとうもろこし畑、冬はクリーニング屋とツテで食いつなぐ、偏屈な実母を抱えた薄幸な女』と言われていることも知っている。この田舎特有の閉鎖的な空気にうんざりしながらも思うのだ。
どこか遠くに行ってしまえたらなんて思うけど
凪のお暇6巻 コナリミサト 92/162
どこにも行けないことを私はちゃんと知っている
だからどこにも行かない
定期的に開かれるご近所の飲み会合に顔を出す夕。そこでは女たちだけが台所で働き、男達は何もせず酒を飲むだけ。昔はその男女差を理不尽に感じていたが、今はもう慣れてしまった。そこで子供たちが人生ゲームで遊びだし、夕達女性陣は昔自分達も遊んだものだと懐かしむ。だが夕は内心ダンナや子供たちの出来を競い合う女たちを見て『今でもあの狭い盤上にいるのではないか』と考えてしまうのだ。
そして女性陣の話題は夕の娘、凪に移る。『凪には東京で自由にやらせている』『彼氏にも会ったことがない』と干渉していない、理解がある親のように笑顔で言う夕に近所の周囲の女たちは言う。
「だからだめなんだわ大島さんはー」
凪のお暇6巻 コナリミサト 97/162
彼女達のダメ出しに笑顔で相槌しながら、夕は心の中で凪に話しかける。『あなたはこんなとこにいてはダメ、遠くに逃げてね』『そして安定した職について幸せな結婚をして遠くに逃げて』…
お母さんをこの地獄からちゃんと連れ出してね
凪のお暇6巻 コナリミサト 98/162
隙を見て凪に電話を掛けに席を立った夕。すると女性陣達は『昔人生ゲーム中に子供が産まれるマスが止まったのに、こんなのいらないと子供を表すピンを放り投げた人がいた』『そしてそれは夕で、普段大人しいのにその時の様子はおっかなかった』と思い出す。
バス停の近くにあった、親子を模した雪だるまは誰かに激しく踏みつけられ、潰されていたのであった…。
35話 凪、策を練る~従妹の結婚式のため、上京する際に凪の彼氏に会いたいと言い出した母に凪は頭を悩ませる
スナックバブルでのバイト中に母からの着信に嫌な予感がしつつも出る凪。母、夕は『凪の従妹の優の結婚式のため上京する際、凪の彼氏に会いたい』と言い出し(前話の近所の女性達からの言葉の影響)、凪はそれを断れなかった。
電話後、ママ、ロン、ジェーン、桃園の前で絶望し苦悩を吐露する凪。母、夕には仕事を辞めて越してきたことは適当にぼかしながらなんとか告げられたものの、彼氏(慎二)と別れたことだけはどうしても言えないのだ。出費を覚悟で都内の三ツ星ホテルに母を泊まらせる等して、アパートに来させず現在のお暇ライフがバレない様にしようと画策していたのにも関わらず、『彼氏に会いたい』という母の一言で全てが崩れてしまったと嘆く凪。『この現状を知られたら北国強制送還コース』と叫ぶ。
そんな凪にママが『あんたと母親の関係はおかしい』とバッサリ言った。凪と母の関係が一方的なものであることを指摘した上で提案する。
「とりあえず彼氏の代役立てるってのはどう?」
凪のお暇6巻 コナリミサト 105/162
『ちゃんとした職に就き、凪の性格と事情を知り、話を合わせてくれ、調子が良くて根はイイ奴』…そう言うママ。
皆はいつの間にか桃園を見つめていた。
慌てて『めんどくさいし巻き込まれたくない』と叫ぶ桃園。しかし、ロンとジェーンは『凪を救えるのは桃園しかいない』と畳みかけ、なんと桃園が彼氏のふりをすることに決まったのだ。
翌日、換気扇の掃除をともにしながらそのことをうららとその母、みすずに打ち明けた凪。凪が率直に『もし娘からそういう嘘を吐かれたらどう思うか』と尋ねるとみすずは『娘にそういう嘘を吐かせた自分を責める』と答えながらも同時に『それはあくまで私の場合』と、各家庭に部活の様な『代々積み重ねてきた関係性がある』と語った。しかし、その上で『でも、そんな部でも革命を起こしちゃえばいい』『私とうららは凪さんの味方だ』とみすずは微笑む。そしてうららも『凪と離れたくない』と言う。
このお暇を通して会った人達と私はまだまだ離れたくない
凪のお暇6巻 コナリミサト 110/162
そんな二人を見て凪は強くそう思うのであった。
家でぼんやり過ごしていたゴンは隣の凪の部屋からドアの開く音を聞き外に飛び出す。凪は結婚式に来ていくドレスを買うために出掛けようとしていたのだ。凪と話しながら謎の胸の痛みに『本当に何なんだろう』と思うゴン。しかし、『この髪型で似合う正装が分からない』『出費が痛い』と悩む凪を見て良いことを思いついた。ゴンは凪をエリィの働く古着屋に連れて行ったのだ。
古着屋にドレスも置いてあることに驚く凪。凪はエリィに古着の醍醐味を教えてもらい、『ピタッとくる奇跡の一枚』を見つけ出した。ちょっと変わったデザインのオールホックのドレスであったが、シルエットがキレイで、エリィに似合うヘアアレンジも教えてもらう。
ドレスを試着し髪型を変えた凪を見て、ゴンは思わず大声で『かわいい!!』と叫ぶ。エリィはそんなゴンを見て、ゴンの恋の相手が凪であることに気付く。
凪は古着屋の店長が『ゴン割引』をしてくれたこともあり破格の価格でドレスを買うことができた。凪は『ここ最近周りの人の恩恵を受けてばっかり』『なんでみんなこんなに優しくしてくれるんだろう』と口にする。それを聞いたゴンはこう答える。
「そんなのみんな、凪ちゃんのことが好きだからだよ」
凪のお暇6巻 コナリミサト 118/162
ゴンのその言葉に凪は照れ、嬉しいと素直に口にした。
凪と別れた後、ゴンは今日凪に対して口にした『かわいい』も『好き』も凪が言って欲しそうだから言ったのではなく、自分が言いたいから口から出たことに気付く。『凪ちゃんといると俺変だ。今までと全然違う感じになる』そう悩むゴン。上から鯉のぼりが落ちてきても、それが”恋”であるとはまだ気づかないのであった。
そして、スナックバブルでは桃園が作成したという分厚い『大島凪・母対策マニュアル』を持ってきていた。『会話のフローチャート』『付き合ってから今までのエピソード』等、かなり綿密に作り込まれたマニュアルに驚く凪達。そのうえ、もし、母がどうしても凪の部屋に行きたがったら『半同棲している』という設定で桃園の家に招くと言う。そこまでしてくれるという桃園の厚意に感謝しかない凪。ロンとジェーンも色々と案を出してくれる。凪は改めて『絶対ここにいたい』と思うのであった。
その頃、慎二はやっとタロさんと仕事の話をしていた。タロさんから用意したプランを検討すると言われ喜ぶ慎二。ここまでこぎつけるまでが大変だったのだ。すると、スナックバブルの常連でもあるタロさんは『ボーイの凪ちゃんの母親が厄介な人で、お客さんの子が彼氏のフリして母親に会うという作戦を立てている』と慎二に話す。
それを聞いた慎二は自分が凪と長い事一緒にいたのに、親のことを一度も聞いてなかったことに気付き、思う。
俺は、俺達はもっと話すべきことがあったのかもしれない
凪のお暇6巻 コナリミサト 124/162
少し切なく思った慎二。しかし、市川に会うとそんな想いはすぐに吹き飛ぶのであった…。
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36話 凪、タイトルマッチに挑む~母のペースに乗らない様に努める凪だったが…そしてピンチのところに駆けつけたのはなんと…!?
ついにやって来た母、夕とのタイトルマッチの日…従妹、優の結婚式の日。ドレスアップした凪をうららはキレイと言ってキラキラした眼差しを送り、吉永のおばあさんは火打ち石を打って縁起を担ぐ。みすず、うらら、吉永に見送られ凪は結婚式会場のホテルに向かった。
久々のヒールやホテルの雰囲気に怖気づきそうになる凪だが、今日この日のために積み重ねた特訓(桃園と恋人らしく振る舞う練習)や応援してくれる皆の顔を浮かべ自身を奮い立たせる。
そして、北海道のご近所のおばさん達とやって来た母、凪と再会する。
吸引力、すっごー
凪のお暇6巻 コナリミサト 132/162
母、夕を前にすると、凪はいつも全神経と視点が一点に絞られ、母しか見えなくなってしまう。だが、凪は吉永が言った『人生は自身が主演・監督の映画』という言葉を思い出し、ピントを広く、音声をサラウンド…意識を母だけでなくご近所のおばさん達に広げ、積極的に彼女達と会話をすることで母から意識を反らすことにした。スナックバブルで培った会話のキャッチボールの技術が活かされたのだ。そして、会場の席に着いても母のペースに乗らないように努める。
そして、新郎新婦…花嫁ドレスに身を包んだ従妹の優が入場した。久しぶりに会う優が美しい花嫁となり、そして伴侶を見つけ出したという事実に凪は純粋に感動する。そして、式場のキャンドル等の小物が優の手作りと知り、そのアットホームな温もりに和むのであった。
凪が高砂に行くと新婦の従妹の優は笑顔で歓迎してくれた。こっそりと『本当は友達と身内のみで小さく挙げるつもりだったのに、母が見栄を張り近所のおばさん達も呼ぶことになってしまった』『母が夢の国で挙式するとか言ってしまったから、こじんまりした式で恥ずかしい』と凪にこぼした優。だが、凪は『こういう式大好き』『手先が器用な優が作ったキャンドルも素敵だ』と心の底から伝える。
そんな凪に優は子供の頃、二人で色んなものを手作りし遊んでいたことを懐かしそうに語った。思い出した凪は温かい気持ちになると同時に『あんなに仲良く遊んでたのに、なんで疎遠になっちゃったんだっけ』と思う。
そして、思い出す。それは夕の母と凪の母の関係が険悪になったからで、凪は母から優と遊ばないように無言の圧力を掛けられたのだ。凪は改めて『母と二人きりになってはいけない』と思うのであった。
しかし、そんな思いとは裏腹に凪は式後、母、夕と喫茶店で二人きりになってしまう。式が予想より早くお開きになり、桃園がまだ来ないのだ。『桃園さん早く来て』と念じる凪。
この人は昔から本当は私に言って欲しい言葉があって、それを私がなぞると花が咲いたみたく笑うんだ
凪のお暇6巻 コナリミサト 144-145/162
昔、優と疎遠になった時も凪は母の笑顔見たさに思ってもないのに『優ちゃんのことあんまり好きじゃない』と言った。本当は嫌なのに、母が笑顔の底で望む、“意地悪にみちみちた”言葉を吐き続けてしまう凪。心の底から良い式だと思っていたのに、母が思っているように優の式を『貧乏臭い』と言ってしまう。
私のタイトルマッチの相手はこの人じゃない
凪のお暇6巻 コナリミサト 146-147/162
この人の笑顔が見たくてすり寄っちゃう自分だ
そう思いながらも母が望む振る舞いを止められない凪。『髪型素敵ね』と顔を撫でる母が本当は凪の今の天然パーマを心底嫌っていることが分かるから『維持費が大変だから切っただけ。本当はお母さんみたいなサラサラ真っ直ぐの髪の毛が…』そう言いかけ泣きそうになる凪。すると、後ろから突然頭を誰かに鷲掴みにされる。
「どうもお。初めまして、桃園です」
凪のお暇6巻 コナリミサト 148/162
桃園が来た、助かった…そう思い顔を上げた凪は『ん?』と声を上げる。
「今日はよろしくです。おかーさん」
凪のお暇6巻 コナリミサト 148/162
そう言って笑ったのは、桃園ではなく、慎二だったのだ…。
番外編~安良城ゴンは減らない~エリィとゴンの過去…凪に恋するゴンにエリィは…
エリィがゴンと出会ったのはエリィが上京したてで受かれてた頃。小さなクラブで出会ったゴンは別れ話で揉めた美容師の女の子に、髪型を女性器の形に刈られていたのだ。面白い人だと思いゴンとつるむようになったエリィ。ゴンにハマって自滅しゾンビの様になる老若男女を見て、こうはなるまいと思った。
のに、うっかりハマったドブ歴史
凪のお暇6巻 コナリミサト 153-154/162
だってこいつ吸っても吸っても減らないから
うっかり吸って吸って吸って
そんで気付いた
あ、こいつ ないから減らないんだって
一時期はゴンの優しさに依存してしまったエリィだったが、ゴンと一定の距離を置いて関係を保てるようになった。ゴンの”被害者達”はゴンをひどいと嘆くが、どこか浮ついたような彼らは消費されたのではなく、消費した側なのではないかとエリィは思うのだ。
その日、エリィの古着屋の店長は、以前ゴンの友達(凪)に割引してあげたことを理由にゴンを一日だけ働かせようとした。すると、店に人が殺到して大行列ができてしまい、ビックリした警察官が駆け付ける事態になってしまった。商品は売れまくり、店長は疲れながらもゴンとエリィに奢ると言い、3人は回転寿司に行くことになった。
『凪ちゃんの割引分働けて良かった』と言うゴンに『病の相手によくやるわ』とエリィが笑うと、ゴンは『なんで病の相手が凪ちゃんって分かったの!?』と驚く。ゴンは以前エリィが言った『屋根よりも高いアレ』というヒントをもってしても、まだ自分が凪に恋をしていると気が付かない。
『凪ちゃんのことを考えると何かが減る?』…そうエリィが尋ねるとゴンは『すごい減ってる気がする』と答えた。
「じゃあやっぱり」
凪のお暇6巻 コナリミサト 158/162
「屋根より高いアレだわ」
そこまで言って、やはりそれが『恋』だとはゴンに教えてやらないエリィ。『減るならこいつにもちゃんとあるんだ』…そう思ったエリィはほんの少し安堵もしたけれども、少し切なく悔しく感じるのだった。
以下、感想と考察
坂本さんは就職に彼氏、慎二は市川と付き合い始める等、変化が起こる7巻
本格的な冬がやってきて、坂本さんは就職して更に彼氏もでき、慎二は市川ととうとう関係を持つ。そして凪も何かに焦って”畳み込もう”とし転職を目指すのであったが、それではダメだと気が付き、とりあえずお暇生活を継続させる決意をする。
凪、痛い目見る前に軌道修正できて良かった…。それにしても転職エージェントの縁田さん、あくどい顔をすると妖怪みたいで怖い。まあ、これからは凪の要望通りの転職を探してくれそうだからいいけど…。
桃園を名乗った慎二の目的は?助けるため、復縁狙い?
桃園さん、ちょっと嫌な奴だと思いきや、凪の彼氏役を引き受けてくれるなんて割といい人。そんでもって設定を作り込んで資料にして来るとか結構マメなんだな…。しかし、現れたのは慎二で…結局凪のピンチを助けたかったのか、はたまたドラマ展開の様にどさくさに紛れて凪との復縁狙ったか…。でも凪との復縁狙いだったら『桃園です』なんて名乗らないから前者かな?というか市川と付き合い始めただろお前。桃園に代役頼まれたのか、自ら買って出たのか果たして
母、夕の原作マンガとドラマ版の違い、比較
原作マンガの方でもいよいよ母との対決がやってきた!しかし、この母、夕は原作とドラマ版では雰囲気が結構違うなー。ドラマ版だと目力が強くて、なんだかんだ凄む事で凪に言うことを聞かせている感じ。一方、この原作の方だと、本当に凪そっくりでフワフワと優しそう…だからこそ、得体の知れなさが半端ない。凄んだり脅したり貶したりすることなく凪をコントロールする様子が怖い…。雪だるまを踏み潰したっぽいのも。多分、周囲の空気を読みまくり抑圧されたが故の心の闇なんだろうな。ニコニコして、『だから大島さんはダメなんだ』と周囲に下に見られるとこなんて凪にそっくりで。『どこにもいけないことを知っている』というのも、以前の凪が言っていたことだし。あのまま、凪が自分を良くあるし続けたら本当に夕みたいになっちゃうんだろうな。
まあ、金銭をむしり取って来るドラマ版もそれはそれで怖いのだけど。
『凪のお暇』7巻の発売日の予定は?
凪のお暇、次の7巻の発売予定日はベルアラートによれば2020年4月10日頃とのこと。
原作マンガの方が凪も芯がしっかりしているから、ドラマ版ほど悲惨な目に合わないだろうけど、果たして母、夕と元カレ慎二(桃園ということになっている)とのデートはどうなるのか…。
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