『これ以上救助を待っても無駄、自力で下山するしかない…』そう考えた藤谷製薬の社員達は、偶然出会った登山家、八木の指導の元、三ツ倉小屋を目指した。先行していた早乙女達は八木に教わった投石方法で猿の撃退に成功する。
一方中岳小屋から遅れてやってきた安斎達は互いに疑心暗鬼になっており、その最中、南が佐藤と遠野に猿と闘うことを強制し、佐藤を殴りつけ、反撃された南がなんと滑落ししてしまう。この事で佐藤は強いショックを受け、それを目撃していた飯塚と藤柴は佐藤と佐藤を庇おうとする遠野を”同盟”に加えコントロール下においた。
その後、三ツ倉小屋に到着した一同であったが、猿と共にいる、謎の日本刀を構えた人物から『二人だけ逃がしてやる』『今夜山小屋を襲う』というメッセージを受け取るのであった…。
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Contents
現時点での生き残り
早乙女稜(主人公)…営業23歳。強い正義感と高い運動神経を持っているが足に酷い凍傷を負っている。
宮田…営業23歳 早乙女の中学生時代の同級生で友人。早乙女の良き理解者で冷徹なやり口の安斎に強く反発している。
林…庶務21歳 茶髪ボブヘアーの女性。優しく穏やかだが芯が強い。日本刀の男との対話を提案する。
安斎…法務34歳 大学時代アメフト部に所属しており、体格が良く体力戦闘力に優れる。責任感が強く冷静な一方、冷徹で社員の命に優先順位をつけている。
佐藤…経理31歳 黒髪ロングヘアーの女性。生真面目で責任感が強かったが水泥棒の濡れ衣を着せられ拷問に掛けられたこと、故意ではなかったとはいえ南の死の原因を作ったことで心身ともに非常に消耗している。南の死の真相を知る飯塚に支配されている。
遠野…開発室A28歳 小柄で眼鏡をかけた男性。頭の回転も速く知識も豊富だが行動力を欠き、そのことを佐藤に指摘され反省している。佐藤が南を殺したことを庇い、飯塚の支配下にある。
飯塚…開発室A26歳 藤芝と『同盟』を結び、彼女を使って早乙女を陥れたり、食料を隠れ食いしたり暗躍している。現在は”南の死”をだしに、佐藤と遠野も支配下に置いている。
藤柴…庶務24歳 お団子頭の女性。飯塚と『同盟』を結んでおり、いいように利用されている。当初は他者を利用し陥れる行動に罪悪感を持っていたが次第に麻痺している。
田中… 開発室Aリーダー48歳 矢ノ口落としで一時は行方不明になったものの、中岳小屋で皆と合流した。小心者で炭酸飲料を出来心で盗んだ際、佐藤のリュックサックに隠した。
八木兄(満)…一般の登山客だが妹の薫が猿に殺害されたことで、藤谷製薬の社員達と力を合わせ猿を殺すことを決意。山に詳しく知識技術を藤谷製薬社員に伝授する他、高い運動神経と戦闘能力を持つ。
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現時点生死不明
氷室…営業部長43歳 猿の仕業に見せかけ、自身の汚職を知り揺すってきていた経理の辻を殺害。安斎に拷問に掛けられ左足の小指と薬指を失っている。現在は追放され、皆と逆方向に向かっているはず…。
長谷川人事部長…50歳で登山に詳しい人格者だったが、宮田達と共にカニ歩きで猿の襲撃に遭った際、姿を消し現在行方不明になっている。安斎は日本刀の男の正体が長谷川なのではないかと疑っている。
以下、あらすじとネタバレ
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第51話 三ツ倉小屋①~『2人だけ逃がしてやる』という猿の言葉に悩む社員達…そんな中、田中が抜けがけし、1人で行ってしまう
『今夜襲う、二人だけ逃がしてやるから日が落ちる前に逃げろ、残りは全部殺す』…その日本刀の男からのメッセージに動揺する藤谷製薬の社員達。宮田、早乙女は『誘き出して殺す気だ』と主張するが、田中や藤柴は『もし本当だったら…』『今夜攻めてくるって』と期待と恐怖で揺れる。すると黙っていた遠野が口を開く
「“三面包囲”ってヤツですね」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 10/209
孫子の兵法だと語る遠野。『敵を攻めるときにはわざと一ヶ所逃げ道を用意する』『四面を包囲すれば囲まれた者は必死に反撃するからだ』と。
遠野は『逃げるものを倒す方が猿の損害も少なくて済む』『猿は最初から自分達を少しずつ殺す作戦だった』そう主張する。遠野の言葉に説得力を感じる社員達。宮田は『今夜猿を迎え撃ち、明日強行突破するべきだ』と改めて叫んだ。
だが、それに対して安斎が『2人だけ行かせるのもアリだと思う』と異議を申し立てる。
「強行突破の戦力にならない2人を行かせればいいじゃないか」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 13/209
安斎の言葉に絶句する社員達。その相変わらずの冷徹さに宮田は怒りを滲ませる。
しかし、意外なことに早乙女が安斎のその意見に同意する。『みんなと同じペースで歩けない自分は足手まといになる』『ゆっくりしか歩けないが明日の朝には下山できるだろう』と言う早乙女。そして、安斎は“もう一人”として心身ともに消耗している様子の佐藤も下山させるべきだと主張する。
だがその時、藤柴が叫び声を上げる。
なんと田中が日本刀の男達の方、出口の方に向かって走っていたのだ。『抜けがけしやがって』と怒りパニックになる飯塚と藤柴を安斎は『様子を見よう』と制止した。
社員達が固唾を飲んで見守る中、田中は何やら日本刀の男と話をしたようで、そのまま道を通され走り去っていった。
『ほら、本当じゃん』と叫ぶ藤柴に宮田は『見えないところで殺すつもりに決まっている』と返すが、猿の意図が分からずに困惑する。
早乙女は『無理に行く必要はなくなった』と留まることにした。もし田中が無事に下山できれば明日の早朝にはヘリが来るはずである。皆は『明日の朝、11時までヘリが来なければ田中が殺されたとみなし、強行突破する』ということを決めるのであった。そして、再び山小屋の探索に戻った。
2階の探索担っていた早乙女、宮田、林の元に着いてきた八木は『裏切り者は誰かを考えていた』と言い、『あの手紙は罠』と前置きしてこう言う。
「「行け」と言いながら自分では行かない奴」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 25/209
「そいつが“裏切者”だ」
その八木の言葉に少し考え、ハッとする早乙女達。それに当てはまるのは…安斎だった。
第52話 三ツ倉小屋②~食料を独占しようとする飯塚、そして土を掘って水を獲る社員達
驚きながら『安斎は猿と戦ってた』と否定する宮田。しかし、八木から『戦ってるフリでは』と言われ、『安斎はアメフトでクォーターバックをしてたはずなのに猿への投石を外し続けている』と早乙女と宮田は思い出す。八木も『中岳小屋で安斎は猿を逃した』と語った上で、『そもそも登山計画は誰が立てたのか』と尋ねる。社長が亡くなった今、正確なことは分からないが、安斎に疑いを持った宮田は『集団レクリエーション登山なんて体育会系な発想は安斎に違いない』『そもそも安斎の選択は最悪な結果を招き、皆を恐怖で支配した』と言い始める。
「ヤツだ、ヤツが猿の仲間だったんだ!!」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 31/209
そう叫ぶ宮田を『証拠はないんだから』と慌てて諌める林。早乙女は『距離を取って様子を見よう』と提案する。
しかし、その会話を藤柴が盗み聞きをしていた。1階の探索を担っていた飯塚、遠野、佐藤(ぼんやりとしゃがみ込み動かない)のところに戻り、先ほど聞いた会話を伝えた藤柴は『安斎さんが本当に猿の仲間だったら』と不安そうな顔をする。飯塚も『この点については宮田達と力を合わせる必要がある』と思案する。
そして、それぞれ見つけたものを報告し合う。掃除用の重曹がある他は食料になりそうなものは塩とお酢だけだった。しかし、以前の様に毒が入っている可能性がある。少し考えた飯塚は『後で誰かに毒見させればいい』と言って遠野にお酢の瓶をリュックに隠し持つように指示する。『見つけたものは全員で平等に分配するはずでは?』と困惑する遠野に、飯塚は『佐藤の人殺しを隠してるくせに小さい正義感を出すな』と凄む。そして自分達4人が”チーム”であると強調して言う。
「リーダーは俺!!従えよ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 36/209
結局遠野は飯塚に逆らえずリュックにお酢を入れてしまうのであった。そして、その直後、『話がある』と飯塚たちの元に宮田がやって来た。
山小屋の外に社員全員を呼び出した八木はなんと『水を探す』と言い出す。尾根と尾根の間にあるもの三ツ倉小屋の土を掘れば水分が出る可能性があると。足の悪い早乙女に見張り役をさせて、他の皆でスコップで土を掘ることとなった。本当に水なんて出るのかと不満を言いながら土を掘る飯塚。他の社員達も必死に掘る中、藤柴が悲鳴を上げた。虫が出たのだ。
しかし、その虫を八木は素早く捕まえる。
「貴重なタンパク源だ。みなさんも虫を見つけたら捕まえておいて下さい」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 42/209
虫を食べるのか…とぞっとする飯塚と藤柴。その後、土を掘り続けても水は出てこず、飯塚はまたしても不満の声を上げるが、八木は『土が水分を含んで黒ずんでいる』と言う。湿った土をシーツに詰め、安斎と宮田に絞る様に指示する八木。するとわずかながら、水が出てきた。決して効率がいいとは言えない方法だが、これで多少は水を手に入れることが出来るのだ。
『虫と泥水でいい夕食になりそうだ』と皮肉を言いながらも笑う安斎。すると、そんな安斎に宮田が『一つお願いがある』と真面目な顔をして言い出すのであった。
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第53話 三ツ倉小屋③~安斎を山小屋に入れないことを決めた一同、そして虫を煮て食べることを提案する八木
『社員達で話し合った結果、もう安斎を受け入れることはできない』…そう皆を背後に従えながら安斎に告げた宮田。『追放まではしないが山小屋に入らないでほしい』と。今まで逆らう様子を見せなかった飯塚も『残念ですがずいぶん嫌われちゃったみたいですね』と宮田に同調する姿勢を見せる。もしもちょっかいを出すなら武力行使も辞さないという覚悟も見せる宮田を見て、黙ったままの安斎はある光景を思い出していた。
それは大学時代、アメフト部でキャプテンをしていた頃のこと。チームメイト達からこう言い放たれたのだ。
「俺達…もうあんたには従えない」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 52/209
「あんたのせいで負けたんだ!!」
その時のことを思い出し、思わず目を瞑る安斎。宮田は『水や食料は分け与えるが、猿に殺された登山者の死体が寝ているテントを片付けて、夜はそこで寝てくれ』と言う。
その言葉を聞いて『あの時と同じか』と呟いた安斎は壮絶な笑みを浮かべ、その様子に固まる宮田に『いいだろう』『いざとなったら助けてやる』と言い、再び土を掘る様に皆を促すのであった。
その後も皆で土を掘り続けた結果2リットル近い水を得ることが出来た。約束通り安斎にも水を渡した宮田。『さようなら』と言う宮田に『またな』と笑う安斎。皆が見守る中、安斎は一人テントに向かっていった。
山小屋内に戻ると八木は土を掘っている最中に見つけた虫、”ゴミムシ”を塩ゆでして食べることを提案する。『味は分からないが栄養価は高いはず』『1人2匹ある』と笑顔で語る八木。しかし、藤柴は吐き気を催してしまい耐えられずその場を逃げ出した。
尻込みする皆をよそに食べてみる早乙女。その表情は苦痛に耐えているかの様だった。しかし、林、宮田も『生き残るため』と続いて食べ始めた。
その様子を見ていた飯塚は『やっぱりお前らとは合わない』と吐き捨て、藤柴と共にトイレの中に入る。そして、藤柴に隠し持たせていた最後の桃缶を共に食べる。桃の匂いに顔をほころばせる飯塚に藤柴は不安げに『今夜猿が攻めて来るけどどうするの?』と尋ねる。
『持ち駒の遠野と佐藤をどう使うか』と言う飯塚を不安げに見つめる藤柴。しかし、飯塚はそんな藤柴の頭をポンポンと叩き、笑顔で言うのであった。
「俺とお前2人で生き残ろう」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 64/209
藤柴はそれに笑顔で『うん』と答える。
一方、残されたメンバー達は八木が提案した猿を倒すための作戦を聞いていた。その作戦を聞いた早乙女と宮田は士気を上げるのであった。
「この山小屋で猿を殺す!!」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 65/209
そして外でテントの死体をどかしていた安斎はこれから来る夜を見据えるのであった。
第54話 三ツ倉小屋④~一人テントで過ごす安斎が見る夢、そして早乙女達は猿を撃退する準備をするが…
1人テントで過ごす安斎は山小屋内で皆が何かをする音を聞きながら横になりぼんやりと考える。
『誰を見捨てるか』と。
既に猿が複数、集団であることが分かっている。もし山小屋が猿の集団に一度に襲われたら流石に全員を助けることはできない。
”利益”になる者を優先的に助けなければ
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 69/209
”利益になる者”として八木、宮田、飯塚を考える安斎。逆に疲れの目立つ佐藤と足を負傷した早乙女は優先順位が低いと考える。『冷静に非情に考えねばならない』と思う安斎。それこそが一人でも多く生き残らせるために必要なのだと。
私が絶対正義だ
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 70/209
そう自分に言い聞かせ安斎は目を閉じる。
だが、それに誰かが反論する。『そんなのはきれいごとで、お前は連中が足手まといだと思っている。一人だったら確実に生き残れると考えているのだ』と。
その誰かが更に言う。『どうせ連中を助けたとしても嫌われ憎まれるだけで誰も感謝などしてくれない。見捨てるべきだ、いや、いっそお前が手に掛けるか』と。そして、驚き目を開けた安斎を嗤う。
「お前も気付き始めているのだろ?」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 72/209
「お前はむしろ猿に近い」
その声の主は猿だった。慌てて安斎は飛び起きる。
だが、いつの間にか猿は姿を消す。自分が夢を見ていたことに気付いた安斎は気持ちを落ち着かせ『自分は猿にはならない』と誓うのであった。
一方、その頃何やら音がする2階の様子を飯塚が見に行く。すると2階には幕の様に布団が吊るされており、その下には熊よけの鈴がついている。
『猿が2階に上がって来たらこの布団の迷路で足止めして布団越しに杭で一突きにする』そう飯塚に説明する宮田。奥にある窓の方は沢山のロープを張り巡らせており、『猿が窓から侵入した場合はこのロープで身動きを取れなくさせて杭で突く』という。
宮田の語る作戦に理解を示しつつも『もし小屋に火をつけられたらどうするんだ』と尋ねる飯塚。それに対して八木は『小屋が燃えれば街から見えるので、救助隊が来るようなことを猿はしないだろう』と答えた。『ふーん』と答えながらもどこか不満げな表情を浮かべる飯塚。するとロープの設置作業を手伝っていた佐藤が『見張りをしてくる』と立ち上がり去っていった。
外で見張りをしていた藤柴に交代すると言う佐藤。藤柴は見張りが何かあった時に知らせるための笛を渡しながらも疲労が目立つ佐藤に『大丈夫ですか?』と尋ねる。『大丈夫、行って』と佐藤は答え、藤柴は山小屋の中に入っていった。
すると山小屋の中から遠野が出てきて佐藤に『大丈夫ですか』と声を掛ける。だが、佐藤はそんな遠野に怒りを爆発させる。
『本当は心配なんてしてないくせに今さらいい子ぶらないでよ!!』『どうせ今夜みんな死ぬんだから』と。
佐藤の剣幕に驚きながらも『みんなで戦えば…』と言う遠野。しかし、佐藤は遠野の眼鏡を指で掬い上げながら笑いながら吐き捨てる。
「あんたが戦う?出来もしないこと言わないでよ坊ちゃん……」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 81/209
「みんなが死んで一人になっても、あんたは何もしないよ」
その言葉に立ち尽くす遠野に佐藤は『一人になりたいから帰って』と言い背中を向ける。悄然としながら山小屋に戻っていく遠野。
しかし、佐藤は一人になるとうずくまり『どうすればいいの』『お母さん助けて』とボロボロ泣き出すのであった。
そして山小屋に戻った遠野は小屋のキッチンに置いてあった圧力鍋を見つけ何やら考えるのであった。
その頃、またトイレで二人で密談する飯塚と藤柴。宮田達は猿と本気で戦うつもりだが、二人はとても猿と闘う気にはなれない。『どうしよう』と狼狽える藤柴に、飯塚は『いつでも逃げ出せるように準備しろ』と悪そうな笑みを浮かべる。
また、林は外で星空を見て『キレイ』とうっとりとした笑みを浮かべており、八木、宮田、早乙女は来る猿との決戦に武器を手に取り自らを奮い立たせるのであった…。
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第55話 三ツ倉小屋⑤~爆弾を作る遠野、そして自分達だけが助かるため佐藤を唆して山小屋に火をつけさせようとする飯塚と藤柴
山小屋の2階、布団の迷路の奥で杭を構えて猿がやってくるのを待つ一同。しかし、遠野だけが圧力鍋を抱えている。さらに持っていたスマホ(カメラとして利用するため持ってきたもののためSIMカードは入っていない)を分解している。
なんと、山小屋のキッチンにあった圧力鍋、重曹、酢、ガスボンベ、ライター、オイルを使って爆弾を作ったのだ。
「至近距離で爆発させれば猿を殺せます」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 91/209
遠野の言葉に驚くも期待する一同。しかし、遠野が『問題は爆発までの正確な秒数が分からないこと』と言うと落胆を見せ、佐藤は『本当に役に立たない』と吐き捨てる。『使える』と言う宮田、早乙女に対し『危なくて使えない』と主張する佐藤。そのやりとりを見て、『こんなんじゃ猿に勝てない』と考えた飯塚は藤柴に『あの作戦で行こう』とアイコンタクトを送った。
飯塚は突然『1階の様子を見て来る』と言い、宮田と八木の制止を振り切り、『佐藤と藤柴もついてこい』と1階に連れ出した。
『一体何?』と困惑する佐藤に飯塚は『チャンスをあげよう』と笑ってこう言った。
「お前が猿を殺すんだ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 95/209
そして驚く佐藤に『連中の作戦には納得できない』『もっと確実な方法がある』と言い、こう続ける。
「この山小屋ごと猿を燃やしちまえばいいんだよ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 96/209
飯塚の説明はこうだ。猿が2階に上がるのを確認したら階段に火をつける。社員達は窓から逃げる。そして同じように逃げようと窓から出てきた猿を杭で攻撃し、閉じ込めたまま焼き殺すのだと。その上、山小屋が燃えれば下の街からも良く見えて救助隊がすぐに来るのだ…と。
飯塚の説明に、藤柴はさも初めて聞いたように『猿を殺し損ねても助けが来るなんて最高じゃん』と演技をする。ぼんやりとした頭で作戦を聞いた佐藤は『助けが来る…』と呟く。
更に飯塚と藤柴は畳みかける様に”南の死”を持ちだす。『南を殺してしまった負い目を抱えているけど、ここで猿を殺して皆を救えば胸を張って下山できる』『あんたは出来る女、だろ?』そう佐藤に訴える飯塚。
皆に濡れ衣を着せられ拷問され、さらに南の死の原因を作ってしまったことで心身ともに消耗し、自尊心を傷つけられていた佐藤に飯塚のその言葉は非常に甘美に響く。冷静に考えれば穴が沢山あるこの作戦を『出来るわ』と引き受けてしまった。
そんな佐藤にオイルとライターを渡し、階段近くの手洗い場の棚の下に潜む様に促す飯塚。佐藤は棚に入る前にはっとして『みんなへの説明は?』と尋ねるが飯塚は『猿の仲間もいるかもしれないから上手い事やる』と言って丸め込む。
…佐藤が棚に隠れたのを確認した飯塚は藤柴に『行くぞ』と言って立ち去る。二人は2階に戻り、作戦を皆に伝える気などさらさら無いのであった。
一方、その頃2階で待機していた早乙女、宮田、八木たちは飯塚、藤柴、佐藤が帰ってこないことに動揺していた。『探しに行きます』と言う遠野を八木がもう少し待つように制止する。
だが、次の瞬間、窓から猿が現れた。報せの笛を思いっ切り吹く林。その笛の音は洗面所に隠れる林、そして山小屋の外に掘った穴の中に潜んでいた安斎にも聞こえるのであった…。
第56話 死の館①~部屋に入らず屋根に上っていく猿、そして小屋に入ってきた安斎を猿だと勘違いして階段に火を放ってしまう佐藤
猿が来た…!!杭を構えて戦闘態勢に入る早乙女達。しかし、猿は窓からロープの罠を見たためか、中に入ろうとはせず屋根に上ったようだ。
すると窓が突然割れる。猿が投石してきたのだ。猿の攻撃が読めない中、遠野は杭を捨て圧力鍋の爆弾を抱きしめるが、早乙女は『まだ早い、それはとっておきだ』と言って制止する。
『飯塚さん達(飯塚、藤柴、佐藤)はどこに行ったんだ』と宮田は焦る。これでは布団の迷路の鈴が鳴っても猿なのか飯塚達なのかが分からないのだ。
『とにかく今はこの5人(早乙女、宮田、八木、林、遠野)でやるしかない』と冷静に言う八木。
「鈴が鳴ったら突く!!それで行きましょう」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 115/209
そう言う八木に遠野は『そんな…』と呟くがそれ以外どうしたらいいか分からないのであった…。
一方、その頃手洗い場に潜んでいた佐藤は恐怖と緊張で息を荒くしながらも『自分ならできる』と言い聞かせていた。幼少期から母に『男に負けるな』と言い聞かせられてきた佐藤は男である飯塚、そして男に媚を売る女、藤柴にも”負けたくない”と強く思っていた。
すると誰かが山小屋に入って来る音に気付く。『猿だ』と身を固くした佐藤。足音は階段の方に向って行き、佐藤は自身の役目を果たす時が来たと緊張する。
その頃、2階では布団の迷路の鈴が鳴り、誰かが入ってきたと中にいた早乙女、宮田、八木、林、遠野は杭を構える。
そして、その何者かが部屋まで入ってきたところを宮田、そして八木が杭で突きさそうとした。しかし、それは布団で巻き取る様にして防がれてしまう。
入ってきたのは猿ではなく、スコップを持った安斎だったのだ。
『やっぱり猿の仲間だったのか』『お前を小屋に入れるのを許可した覚えはない』と激昂する宮田。
安斎は淡々と『加勢に来ただけだ』『猿と戦っていたんじゃないのか』と言う。
だが、次の瞬間、安斎はあることに気付いて『いかん』と叫ぶ。
1階と2階を繋ぐ階段…そこに安斎を猿だと勘違いした佐藤がライターとオイルで火を放ってしまったのだ…。
第57話 死の館②~燃える山小屋の2階に閉じ込められてしまった社員達…窓から逃げようとするもそれを外から猿が阻む
飯塚と藤柴に騙された佐藤は、自分がしていることが皆を窮地に陥れたことも知らずに『燃えろ燃えろ』と笑いを浮かべながら階段をどんどん燃やしていた。
当然そんなことを知る由もない2階の早乙女、安斎、宮田、八木、林、遠野の6人は『猿が火をつけてきた』と思いパニックになる。
『外に』と林が窓を指さし、皆は煙から逃げる様に窓から出ようとするが、猿の侵入を阻み身動き取れなくさせるために張ったロープのせいで窓まで行けない。
さらに、猿が窓越しにロープで身動きが取れない早乙女を槍を突いてきた。早乙女はそれを間一髪で避けるも、自分達が作った罠が裏目に出ていることを悟った一同は動揺する。
杭で槍の猿に反撃しようとする早乙女と宮田。しかし、全然命中しない。社員達は煙にいぶされ苦しむ。一か所だけ窓が開いていることもあり、2階の部屋は煙突の様に煙が集まっているのだ。『とにかくロープをなんとかしなくてはならない』と早乙女、宮田、安斎がロープを切り始めるが、視界が悪いうえ、槍の猿が時折攻撃してくることもあり全然進まない。
このままじゃ――
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 138-139/209
絶対的に不利だ
なんとか……なんとかしないと
そう思った遠野は突然皆に『後ろの部屋に避難して』と叫び、自作の爆弾を窓の近くの壁に叩きつけた。慌てて後ろの部屋に走る一同。
…しかし、何も起きない。『おかしいな』と言う遠野に安斎が『あれが爆弾なのか?いつ爆発するんだ?』と尋ねるが遠野は『こうなってしまうともう分からない』と答え、安斎は怒りの表情を浮かべる。
そして、皆が待機している部屋には煙が充満し、もういられなくなってしまった。安斎から『なんとかしろ!』と怒鳴られた遠野は叫び声を上げ泣きながらいつ爆発するか分からない圧力鍋の爆弾を抱え、『今のうちに早く逃げて』と叫ぶ。だが、みんなどうしていいか分からず困惑する。
すると、安斎が早乙女に声を掛ける。
『自分達2人で同時に出よう。猿は1匹しかいないからどちらかは助かる、それしかない』と。一瞬で安斎の提案に同意した早乙女は宮田と林の制止を振り切り、安斎と共に窓に走る。…だが、安斎も早乙女も途中で足を止めた。
……ヤベェ
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 147-148/209
全滅する
窓の外…そこには猿が3匹もいたのであった。
第58話 死の館③~自分の行動力の無さに歯噛みする遠野、早乙女を猿に向かってぶん投げる安斎
燃える山小屋から逃げようにも、唯一の出口となる窓には3匹も猿がいる。出られずに立ち尽くす社員達は煙に巻かれていく。
この状況を打破するのに遠野の作った爆弾が頼りになるのだが、その爆弾は爆発する様子を見せない。遠野は中に入っている重曹と酢酸がうまく混ざっていないことが原因と考え、『ベコベコという音がするはず』『横に強く振らなきゃいけない』と言いながらも『実験してないから確実なことは言えない』と嘆く。
『爆弾がダメだとますますピンチだ』という早乙女の言葉を聞いて『ゴメン』と俯く遠野。佐藤が『役に立たない』と吐き捨てたことを思い出し震える。
仕方なしに窓の猿に向かって特攻をかけた早乙女、宮田、安斎。安斎は持っていたスコップを槍の様に投げる。しかし、それは弾かれてしまう。猿のうち一体は楯の様な板を持っていたのだ。更に”槍の猿”が槍を繰り出してきて早乙女達は後退るしかなくなる。
だが、そこに杭を持った八木が突進してくる。八木の鋭い突きに”槍の猿”はわずかながらに退く。とはいえ、状況が改善したわけではなく、山小屋の2階には煙が充満していき、ついに林が倒れてしまう。
『やっぱり外には出られない』と絶望する社員達。そんな中、爆弾を抱えた遠野はただ震える事しか出来なかった。
ダメだ…また僕は何も出来ない…
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 158/209
死を間近に感じた遠野の脳裏に浮かんだのは小学校の同窓会の風景だった。
「そーいえばあんたってさ、昔から本当に口だけだったよね」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 159/209
そう言って苦笑を浮かべたのは小学校の同級生だった女性だ。同窓会後、繁華街を歩いていた遠野達。すると酔った同級生の一人が外国人のグループと何やらトラブルになり口論になったのだ。いかつい外国人グループにどうして良いか分からない遠野達。すると、同級生の一人の女性が遠野に『あんた英語得意だったよね』と言い、他の同級生達も『止めてやってくれ』と言い出す。しかし、英語力はあったものの、恐怖と具体的にどうしてよいか分からず、遠野は動けなかった。
すると、同級生の一人が笑顔で突然外国人の一人に『オーケイオーケイ」と言って抱き着いたのだ。最初は困惑し怒る外国人達だったが、笑いながら『オーケイ』と言いハグを続ける彼に戦意を喪失したのか、そのまま去っていった。その同級生は同窓の中で一番勉強できない奴だった。
『本当に”大野”は頭がいいだけで何もしないよな』そう言って呆れた表情を浮かべた同級生達。その言葉に立ち尽くしてしまった遠野はそのまま歩き出した同級生達に着いて行くことも、『”大野”じゃなくて”遠野”だ』と名前の間違いを訂正することもできなかった。
そして僕は今日も何もできない
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 164/209
そうやって遠野が落ち込んでいる中、突然安斎が早乙女に『お前が行け』と言って、なんと早乙女を窓にいる猿に向かって放り投げる。”槍の猿”の持つ槍で背中がわずかに傷付けられながら、猿に思いっきりぶつかる早乙女。すると、そこに安斎が思いっきり体当たりをするのであった。
第59話 死の館④~猿に人質に捕られてしまう佐藤…そして遠野はある決意をする
早乙女を窓の外にいる3匹の猿に向かってぶん投げ、猿が怯んだその瞬間に体当たりをかました安斎。その勢いで”槍の猿”は転落し、ギリギリで踏みとどまった”楯の猿”も安斎に殴られ、それを盾で防いだものの転落していった。
だが、安斎が振り向くと立ち上がれずにいた早乙女が”ナタの猿”に襲われそうになっていた。慌てて助けようとする宮田だが間に合いそうにない。
その時、”ナタの猿”の側頭部に杭が突き刺さる。八木が投げたのだ。
だが、”ナタの猿”は一瞬動きを止めたものの杭を抜き取り、そのまま下に降りていった。安斎は『逃がすか!!』と叫びスコップを回収してそのまま下に降りていく。
安斎に投げられた際に背中を”槍の猿”の槍で傷つけられた早乙女は痛みにうずくまり、まだ立ち上がれない。心配する宮田に『俺はいいから猿を追え』と言う。宮田と八木も屋根から下にジャンプしていった。
だが、その時下から悲鳴が響き渡る。
なんと、3匹の猿は下にいた佐藤を人質に取ったのだ。『なんで猿が外にいるの』と呆然としながら猿達に捕らわれる佐藤。まだ2階の窓から出ていなかった林と遠野もそれを知って呆然とする。特に動揺する遠野。早乙女も屋根から下に下り、林と遠野もそれに続こうとする。
だが、遠野は『佐藤を助けるためには奇襲した方が良いのでは』と思いつく。と同時に『余計なことして足手まといになるのでは』とためらう。失敗したくないし、黙って見ていればいい…そんな思いが胸をよぎるが、遠野は声に出して叫んだ。
「正解は一つだ!!見て見ぬフリは罪だ!!悪だ!!」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 182/209
『こんなグレーな人生でいい訳が無い』…涙を浮かべながら遠野は亡き、同僚で親友だった馬場とのやりとりを思い出す。
ある日、会社の自販機の前のベンチに座り、共に休憩していた遠野と馬場。すると憂鬱そうに馬場は口を開いた。『薬害の件、裁判では藤谷製薬は何も知らなかったとなっているけど、本当は開発室Bのリーダーである黒木さんは知っていたのではないか』と。だが、遠野は馬場に『最終報告書には知らなかったとなっている』と返す。そして、『それが正解でいいのか』と言う馬場に『知っていたと立証するのは困難だし、グレーかもしれないが黒ではない』と答える。あくまで薬害騒動に関係があるのは開発室B。遠野と馬場が所属するのは開発室Aで直接関係は無いのだ。
どこか納得していない様子であるものの馬場は『何もしないことが正解なのか』と言い、遠野も『どうで報われないのだから何もしなくていいんだ』と答えた。
今度こそ…”正解”を出すんだ
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 182/209
”ナタの猿”は人質に取った佐藤の首を軽く流血する様にナタで傷付ける。どうしたらよいか分からず杭を構えたまま動けない宮田と八木。どうやら猿達は佐藤を人質にこのまま逃げようとしているようだ。
だが、安斎は『猿を倒すチャンスなのだから佐藤を見捨てて攻撃するべき』と主張する。その提案に仰天する宮田。
その時、猿達の背後に建っていた三ツ倉小屋がとうとう音を立てて焼け崩れた。涙を浮かべながら振り向いてその様子を見た佐藤。だが、山小屋の残骸の下から誰かが立ち上がるのに気付く。
『僕は”正解”を知っている』…そう言ってその人物は炎の中から近づいてくる。
「逃げないことだ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 188/209
衣服が燃えていることにも構わず猿と佐藤の元に背後から近づいて来たのは、爆弾を抱えた遠野であった…。
第60話 燃える館~爆弾を抱えて捨て身で猿にしがみ付いた遠野…そして爆弾は爆発し…
燃え落ちた山小屋の中から爆弾を抱えて現れた遠野。『あの火の海を突っ切って猿の裏側に回ったのか』と八木も驚愕する。これで早乙女達と遠野で3匹の猿を挟む形になったものの、猿達は佐藤を人質にしている。『戦力にならない佐藤は見捨てるべきだ』と主張する安斎に『そんなことできるか』と宮田が叫ぶ。
すると、遠野が今まで見せたことがない勢いで『佐藤さんを離せ、みんな吹っ飛ぶぞ』と叫び凄む。佐藤は呆然としながら遠野に『なんで?』と尋ねた。すると遠野はこう答える。
「……分からない、でも……」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 193/209
「あなたには生き残って欲しい…」
その言葉に涙を流した佐藤。遠野は『その人を離すか、みんな死ぬかだ』ともう一度猿を脅した。
だが、その時”槍の猿”が遠野の脇腹を槍で突き刺した。そのまま崩れ落ちる遠野。佐藤はその様子を呆然と眺めながら涙を流し、宮田は『遠野さん』『ちくしょう!』と叫ぶ。
倒れながらも遠野は『爆弾が作動する前に「べこっ」というはずなのにおかしい』と考えていた。ペットボトル、酢酸、重曹、スマホに入っていたリチウムイオンバッテリー、オイルとガス、そして圧力鍋で作った自作の爆弾は上手く作成できたはずで、内蔵したペットボトルが膨張し、「ベコっ」と音がしたら5秒くらいで結構な威力で爆発するはずなのだ。
槍で刺された痛みに苦しみながら、『作り方を間違えたのか』とガッカリする遠野。
本当に僕は最後まで使えない
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 198-199/209
ゴメンなさい
遠野の意識が遠のきかけたその時、『ベコっ』と圧力鍋の中から音がした。そして鍋の中からどんどんベコベコという音が鳴り始める。
力を振り絞って立ち上がった遠野は『みんな逃げろ!!』と叫び、猿に向かって爆弾を抱えて突進する。そして、そのまま”槍の猿”の背中にしがみついた。
「これが”正解”だっ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 202/209
「爆発するぞぉお!!」
猿も突然のことに佐藤の体を離す。どんどん逃げる社員達。しがみつかれた”槍の猿”は山小屋の中に入るが、遠野はしがみついたまま離れない。
「理系をなめるなあああああ」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 204/209
涙と鼻血を流しながら叫ぶ遠野。
次の瞬間、轟音が鳴り響き、山小屋は爆散した。
爆弾の威力に吹き飛ばされた佐藤は頭を抑えながらなんとか起き上がり、ハッとして遠野の姿を探す。
「……遠野?」
モンキーピーク6巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 208/209
「遠……」
振り向いた佐藤の目に飛び込んだのは木っ端みじんに砕け、燃え上がる山小屋の姿であった…。
以下、感想と考察
意外だった遠野の死
遠野の死がショック…。”知識・参謀役”、”解説要員”としてもっと長生きするかと思っていたのに…。後半から突然回想が始まって死亡フラグが一気に立って、そのまま爆散していったしまった。南無三。
佐藤に対して『あなたには生き残って欲しい』と言っていたけど、これは異性としての好意を抱いていたというよりは、必死に生きようとする姿勢に敬意を抱いていた感じだろうか。
安斎の闇堕ちフラグについて
フラグと言えば、安斎にも”闇堕ちフラグ”が立った感じ。猿の夢、『お前はむしろ猿に近い』って…。確かに早乙女を猿に向かってぶん投げちゃうところとか、猿っぽいっちゃ猿っぽい。でも安斎、確かに冷徹だけど、社員を助けるために行動しようとしているだけ飯塚や藤柴よりかなりマシだと思うのだが。そして、今回の山小屋の戦い見て思うけど、早乙女と安斎がお互いに歩み寄って協力した方が生存率が上がるのでは…?
やっぱりちょっと怪しい林
やっぱり怪しい林。日本刀の男の『2人だけ見逃す』のメッセージについて、八木は『「行け」と言いながら自分では行かない奴が怪しい』と言ったけど、やや強引に”交渉”と言いながら メッセージを受け取る方向に持っていった林も実は怪しいのではないか。
そんでもって猿の襲撃前に『星キレイ(うっとり)』とかしてる場合じゃないだろう。なんだ、その余裕は。もしこれ黒幕とかじゃなかったら結構な天然だと思うのだが。山小屋が燃えてパニックになった皆に『外へ!』と言って窓から逃げる様に促したけど、そんな風にしたら外にいる猿に串刺しにされるのは当然で(まあ、誰もそれでは死ななかったわけだけど)、やっぱりちょっと怪しいなあと思ってしまう。
こういうパニック系の漫画で『実はヒロインが黒幕』というのはかなり使い古されているのでそれはちょっと嫌だなあと思うのだけど。
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