昨今、芸能人が不祥事を起こすと大変なことになる。まず今後のメディアへの露出が制限されることはもちろん、既に収録された番組から登場シーンがカットされたり他の役者に差し替えられたり、CMのイメージキャラクターを降板することになってとんでもない額の違約金が発生したり…と上げるとキリが無いけど、とにかく関係各所巻き込んでの大騒動となる。
しかし、個人的には一番の不幸は『その芸能人が関わった映画やドラマ等の作品が正当に評価されることがなくなる』という事だと思う。どうしても『あの××した○○が出演している!』という嫌悪感と偏見ありきで作品を観ることになってしまうから。もうそうなってしまうと、作品がどんなに素晴らしくても、その演者の演技が素晴らしくても、決して褒められることはなくなってしまう。
そういった意味ではこの映画『寝ても覚めても』は相当に不幸な作品だということになる。不倫報道で大騒ぎされた東出昌大と唐田えりかが主演…というか、この作品をきっかけに恋愛関係に陥ったというのだから、もはや”いわくつき”と言っても過言ではない映画作品となってしまった。
しかし、この作品について『不倫のキッカケ』『キスシーンが多い上に長い』等という話は聞くが、肝心の映画そのものについての評価をあまり聞かない。
…という訳で、この『寝ても覚めても』は映画としてどうなのか…極力、”東出と唐田の不倫”という先入観を除いて視聴&感想・考察を綴っていきたいと思う。
なお、この作品については『不倫で騒がれた東出と唐田が出ていて、なんか映画賞をいくつか取ったらしい』という位の知識しかなく、あらすじも何も知らない状態で見始めた。
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Contents
あらすじ・ネタバレ(感想混じり)
”お暇感”満載の冒頭…女子大生朝子は不思議な魅力を持つ自由人、鳥居麦と恋をするが、麦は突然帰って来なくなる
物語は大阪、中之島の国立国際美術館で開かれた牛腸茂雄の写真展から始まる。写真展を見に行った泉谷朝子(唐田えりか)はそこで、”クラリネットを壊しちゃった”の鼻歌を歌う男性、鳥居麦(東出昌大)に心惹かれる。
ぼさぼさの髪にだらしがない格好をした、どこか不思議な魅力を持つ麦と少年達が道端で遊んでいたねずみ花火がきっかけでバッチリ目が合ってしまった朝子。麦は朝子に近づき名を尋ね、自身も名乗ると突然朝子にキスをする。それが朝子と麦の馴れ初めだった…。
ねずみ花火で目があって、なぜ、そこでキスをする?とか、恋愛映画を観るにおいて突っ込んだらダメなんだろうなとか思ってたら、麦の友人(かつ遠い親戚で、麦のアパートの大家の息子である)の岡崎(渡辺大知)が突っ込んでくれてちょっと安心した。主人公サイドがクレイジーな場合、脇に常識人がいて観客の代わりに突っ込んでくれるとガス抜きになる。
そして、朝子の友人である島春代(伊藤沙莉)も『この男はあかん。顔はええが、絶対に泣かされるのが目に見えている』と麦の危なさを見抜き、朝子に警告するが、麦に入れ込んでる朝子には当然届かない。…というか、春代が岡崎の大学の後輩だったりと、この世界の狭さ、何と言うか少女漫画っぽい。この関係について、麦も『運命だ』とか言っちゃってるし、全体的に漂う少女漫画っぽさ。
その上、この麦の髪型とか喋り方とか、クラブでDJしているところとか…何か既視感ある。なんだろうな…と思って気付く。この麦のキャラクターってどことなく、ドラマ版の『凪のお暇』のメンヘラ製造機のゴンさんに似ているんだよね。
いや、この映画は2018年の映画で、ドラマ版『凪のお暇』は2019年夏に放送されたので、この『寝ても覚めても』の方が先なのだけど、なんか中村倫也が演じた人たらしのゴンさんと被って見えてしまう…(そして中村倫也のゴンさんの方が可愛らしい)。でも、朝子にクラブで迫って来た男を蹴り飛ばしたり、長身を生かして威圧したりと、そこはかとなく漂うサイコパス感。
しかし、恋は盲目。朝子はどんどん麦にのめり込んでいき、麦の後ろに乗せてもらったバイクで(このへんも”お暇”っぽい)事故っても、転がったまま、それも衆人環視の中でいちゃつく位に周りが見えていない。
その後も、岡崎のアパートで、二人は岡崎と春代、そんでもって岡崎の母親(田中美佐子)も含めて団らんしたり、花火をしたりと”お暇”感のある青春を過ごす。
しかし、麦はある夜、『パンを買いに行く』と言ったきり、翌朝になっても帰ってこない。岡崎は朝子に『麦がふらっといなくなるのは珍しくない』と語るが、麦が好きすぎて依存気味になってしまっている朝子は不安で仕方なく、帰って来た麦に泣いて抱き着く。麦もそんな朝子に『ごめん、仲良くなったおじいさんの家で過ごしてた。大丈夫、遅くなっても必ず帰ってくるから』『俺は朝子の元に必ず帰ってくる』と告げる。
しかし、麦はその半年後、『靴を買う』と言って出掛けたきり、朝子の元に戻ることは無かったのであった…。
ここで入るタイトル『寝ても覚めても』。さて、これはどういう意味を持ってくるのか…。
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東京にいる朝子は麦とよく似たサラリーマンの亮平に出会い動揺する…一方、亮平も最初は挙動不審な朝子に腹を立てるが、次第に惹かれていく
そして、舞台は突然、2年後の東京に。ここで酒造株式会社で働く丸子亮平(東出昌大)が登場する。亮平は会議で出すコーヒーを仕出ししてくれる隣の喫茶店の従業員にコーヒーが入ったポットを返却することになる。そして、コーヒーを取りに来た喫茶店の従業員は、麦との別れの後、傷心のまま上京していた朝子であった。麦そっくりの亮平を見てただただ驚く朝子。
麦と同じ顔をしているものの、性格は真逆でハキハキとした関西弁を語り多弁で快活、出自も全然異なる亮平に落胆してしまう朝子。…私も一瞬、麦が記憶を失って別人として生活をしているという…いわゆる”解離性遁走”的な話なのかと思ってしまったが、どうも麦と亮平は全くの別人らしい。
亮平もいきなり出自や家族構成を尋ねて来たかと思いきや、『バクやん』と言ってきて、逃げるように去っていった朝子を『動物のバク呼ばわりしてきた』と不快感を持つものの、何だか気になって喫茶店で働いているところを覗き見したり、野良ネコにエサをあげる優しい(優しいか?)一面を垣間見たりと『出会いは最悪だったけれど、どんどん好きになっていく』という王道少女漫画パターンで朝子に惹かれていく。
朝子も朝子で亮平を避ける素振りをしつつ、麦と同じ顔をしている亮平がなんだかんだ気になってしまって、突然顔を触ってしまったりと…結構ヤバイ行動を平気で取っている。男の人はボディタッチに弱いと言うけど、いきなり顔面に触れて来る女ってどうなんです??
そんなある晩、の牛腸茂雄の写真展に入場時間オーバーで入れないでいた朝子とそのルームメイトの鈴木マヤ(山下リオ)を助けるために機転を効かせた亮平。亮平はこれを機に朝子と近づこうとするも、朝子は亮平を見るのも辛く、その後三人で喫茶店に入ったものの逃げ出すようにして去り、一人泣きながら夜の東京を歩く。
落胆する亮平であったが、マヤが気を利かせて『朝子に謝る場を作る』という口実で自分達の部屋に亮平を招待することにするのであった。
…いやあ、これ、マヤは亮平に好感を持っているんだろうな。とりあえず、マヤがいい子に見える。
”クッシー事変”をきっかけに、交際を始める朝子と亮平だったが、朝子は一方的に亮平に別れを告げる
そして、亮平は会社の後輩、クッシー…こと、串橋耕介(瀬戸康史)を連れて朝子とマヤの部屋を訪れる。料理は下手だが、お好み焼きだけは得意という朝子がお好み焼きを焼こうとする中、事件が起きる。
女優を夢見て劇団員として舞台に出たり、再現ビデオに出演したりしているというマヤ。しかし、串橋は自分でマヤが出ていた演劇(チェーホフ)のビデオを見たいと言った癖に見ているうちに段々不機嫌になって『帰る』とか言い出す。そして、マヤに理由を問い質されると『演技が中途半端だ、誰の心にも届かない』等辛辣な言葉を吐き捨てる。実は串橋も演劇経験者で、途中で役者を諦めた口らしい。…いやいや、酒に酔ってたとしても、初対面の人間相手にこれは結構な“やらかし”だろう。何年経っても”クッシー事変”とか言われて仲間内で語り継がれてもおかしくないレベル。
すると、それに対して今まで特に言葉を発することなくボーっとしているだけだった朝子が『マヤの演技は私の心に届いた、私はマヤを尊敬するし、その努力は的外れじゃない』と反論。朝子のその言葉に驚きつつ、亮平も逃げるように帰ろうとする串橋に『今帰ったらずっと恥ずかしいままやで、この先マヤがテレビに出るようになったら見かけるたびに恥ずかしくなる』と言って説得する。そして、串橋も『諦めないで役者の夢を追い続けるマヤが羨ましくて暴言を吐いてしまった』と認め、謝罪し、マヤも『批判してくれる人の存在はありがたい』と言って許し、その場は丸く収まるのであった。…うん、まあ、若さゆえの事故だよね、うん…。
”クッシー事変”での毅然とした態度で、ますます朝子のことが気になってしまった亮平だったが、数日後会社までポットを取りに来た朝子は亮平を見ると逃げるように去っていく。逃げるの好きだなー、狩猟本能を刺激したいのか?当然、追いかける亮平は会社の外階段で朝子に追いつき、自身が朝子に惹かれていること、そして朝子は何やら自分のことを怖がっている様だけど、自分は悪い人間ではない…等告げて、『俺のことをちゃんと見てくれ』と言って、告白。朝子を抱き寄せキスし、朝子もそれを受け入れるのであった。だからこういう場所でキスすんなや。
これで想いが通じ合うと思っていた亮平。しかし、その後マヤと串橋も交えてボルダリングをしに行ったり(なぜか都会で男女が遊ぶ場所として多用されがちなボルダリング)しても、朝子は浮かない様子で亮平に対してよそよそしいまま。そして、突然亮平に『無理です』と電話してきたかと思うと、そのまま着信拒否。喫茶店からも姿を消してしまう。
当然、亮平は落ち込むものの朝子を諦める気にはなれない。丁度、その時マヤから劇団の公演(イプセンの『野鴨』)に誘われていた亮平と朝子。亮平はその日の夜公演のチケットをもらっていたのだが、朝子が昼公演に行く予定だったことを思い出し、会社をわざわざ休んで、夜公演のチケットを昼公演に振り替えてもらう。しかし、会場で朝子を探すものの見当たらず、マヤから『朝子はチケットを翌日に変えた』と告げられる。…朝子は亮平が昼公演に来ることを見越して翌日に振り替えたのかな?だとしたら用意周到だな。
亮平は落胆しながらも、そのまま客席について公演を見ようとした…が、その時、劇場を大きな揺れが襲う。
そう、その日は2011年3月11日…東日本大震災が起きた日だったのだ。
…あー、なるほど、そういう事か。亮平が持っていたスマホがやけにぶ厚かったりしたのは、一応伏線だったのね…。
当然、そのまま公演は中止に。亮平は状況がはっきり分からないまま、仕方なく会社に向かって歩く。多くの人々と同じよう、疲れた顔をしながら延々と歩き続けた亮平。すると、そこでバッタリ朝子と出くわした。
…『そんな偶然あるかい!!』とか突っ込んじゃダメ。少女漫画的世界ではこういう”運命”はつきものなのです。そのまま亮平に抱きつく朝子。亮平もそんな朝子を受け入れて抱きしめてやるのであった…。まあ、突然の大地震で心細い中で亮平の存在の有難みが理解できて、そしてぬくもりが欲しくなったのだろう。抱き着く際に『麦』ではなく、『亮平』と呼んだのは評価しよう。
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亮平と幸せな同棲生活を送る朝子…しかし、春代と再会し、麦が俳優として成功していることを聞かされる
そして、話は5年後に。同棲してして猫まで飼い始めた亮平と朝子。二人は幸せに過ごしており、亮平と串橋は仕事にやりがいを持って意欲的に取り組んでいた。マヤと串橋は既に結婚しており、マヤは妊娠していた。…いや、この二人くっつくような予感はしていましたが…。こいつらも『出会いの印象は最悪でしたが、互いにケンカしながらも惹かれあって行きました』という少女漫画界の住人だったらしい。
そして、東北の被災地に向かう亮平と朝子。朝子は被災地ボランティアに精を出しており、亮平もそれに付き合っているのだ。…ここで唐突に”被災地”が出て来たのにちょっと違和感。一瞬ドキュメンタリー風になるし。そして、そこの住民である平川(仲本工事)がちょいちょい下ネタをぶっこんでくるのがなんとも…。
その後、被災地から帰って来た二人。ずっと運転していた亮平は疲れ切っており、朝子は寝っ転がっている亮平の靴下を脱がせて足裏を揉んでやる。『亮平のこと好きやで』と言う朝子は、亮平との絆を深めれば深める程にどこかで麦に罪悪感を持っているのであった…。
そんな中ある休日、亮平と買い物に来ていた朝子は偶然、大阪時代の親友、春代に再会した。春代との再会を喜びながらも、おずおずと亮平を紹介する朝子。
『丸子亮平』と名乗りながらも、麦そっくりな亮平を見た春代はびっくりする。
その後、喫茶店に入った3人。春代は自身がシンガポール人と国際結婚をしたこと、プチ整形をしたこと、夫の仕事の関係で日本に戻って来たこと等の近況を話し、歯医者の予約が入っていた亮平は途中で立ち去った。
亮平がいなくなると、当然春代は亮平が麦とよく似ていることについて言及する。
『麦と関係なく亮平が好き』と言う朝子にホッとする春代。確かに麦と似ていたことが亮平に惹かれたきっかけだったが、今は亮平の中身を愛していたのだ。
だが、朝子は春代から『麦は今、売れっ子俳優になっている』と聞かされて驚く。
…モデル出身で俳優となって、朝ドラに出て人気が出たって…まんま東出じゃん!!というか、そんな大ブレイク俳優なのに全く気付いていなかった朝子は一体…テレビを全然見ない人なのかな?
そして、その後、串橋・マヤ夫妻に春代を紹介する亮平と朝子。ホームパーティー中に煙草を吸いに男性陣が席を立つと、朝子、マヤ、春代の女三人は恋バナに花を咲かせる。すると、そこはお約束の展開…テレビで麦が登場する。
春代は何とか誤魔化そうとするが、朝子はマヤに『あの人と付き合ってた』と言ってしまう。
それを聞かされたマヤは思わず『それって似てなかったら亮平さんを好きにならなかったってこと?』と少し責めるような口調になってしまう…まあ、そういう反応してしまうよね。特にマヤは正義感強そうだから。
すると、朝子は『このことを亮平に言うつもりだ』と言う。春代は『言う必要はない』と言うのだが、朝子は亮平に打ち明けることを決意するのであった。
そして、丁度その頃亮平は会社から大阪本社への異動を命じられており、朝子に『一緒に大阪についてきて欲しい、結婚しよう』とプロポーズする。そこで、朝子は意を決して麦のことを打ち明けた。
だが、亮平は全く驚かなかった。鳥居麦の存在と自分が彼に似ているということはとっくに知っており、朝子がかつて自分を『バク』と呼んで近づいて来たことから朝子と麦の関係について察していたのだ。
『麦と似ていたから朝子と付き合えたのだからメチャクチャラッキーだと思っている』と笑う亮平。朝子はそんな亮平の優しさと懐の広さに感激し、抱き着くのであった…。
心の中で麦と決別した朝子は亮平との大阪での暮らしに向けて準備をする…しかし、そこに突然麦がやって来る…
ある日、大きな自然公園で春代とバトミントンをして過ごしていた朝子。しかし、近くで鳥居麦が撮影をしていると聞き、春代の制止も聞かず麦がいるという方向に向かって歩き出す。…朝子を制止しながらも麦のサインは欲しがる春代さんが可愛い。
しかし、麦の周りは人だかりが出来ている上、麦を乗せた車はすぐに行ってしまう。すると、朝子は去っていく車に向かって後ろから『麦、バイバイ』と叫び手を振る。朝子は麦と決別し、亮平と生きることを決意するのであった…。
その後、大阪への暮らしに向けて準備をする亮平と朝子。二人は大阪で中古の一軒家を購入する。窓から見える川を見つめた朝子は『ここが好き、もっとここが好きになると思う』と幸せな未来に胸を膨らませていた。
だが、ある日の昼間、東京の家で朝子が一人荷造りをしていると突然インターホンがなる。特に何も考えず扉を開けた朝子。すると、そこには麦が一人立っており、笑顔で『アサちゃん、迎えに来たよ』と言う。ビックリして扉を閉める朝子。麦は扉の向こうから『迎えに来たよ、この間車に向かって手を振っているのが見えたよ』と言い続ける。朝子は台所の奥で『何で今なの…?』と震える。
しばらくして、麦は去り、亮平が荷造りを手伝いに来た串橋・マヤ夫妻を連れて帰って来たが、朝子はこのことを言い出せないのであった…。
…怖いわー、麦のサイコパス感がヤバい。来訪者が麦だというのは予想がついていたのだけど、それでも『ひえ』と声が出た。『この映画って実はホラー?』とか思ってしまった。
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再び朝子の前に現れた麦…亮平と麦、朝子が選んだのは…
その後、串橋・マヤ夫妻と春代が翌日大阪に旅立つ亮平と朝子のために送別会をちょっといい感じのレストランで開いてくれたが、朝子は麦の一件もあって心ここにあらず。そして、串橋がお手洗いに立ったその直後。
突然、麦がやってきて空いた席に座る。いきなりの事で皆絶句。そんな中、麦は改めて『戻ってくると約束したからアサちゃんの所に戻って来た』と説明し、『やっぱり待ってたじゃん』と笑う。笑顔の麦と凍り付いた表情を浮かべる亮平。朝子が選んだのは…
朝子は麦の手を取ってそのまま店を出てしまうのであった!うええええ!?えええ?マジかよ…。じわじわ来るのが、トイレから戻って来る途中、麦と朝子とすれ違ったクッシーの表情。麦を亮平と勘違いした様子の串橋は笑顔で二人を見送るのだけど、テーブルに亮平が怒りと絶望の表情を浮かべて座ってるのを見て、『え?あれ??』って顔をするのが何とも…。
そのまま朝子を駐車場に連れて行く麦であったが、仕事の電話がジャンジャンかかってくる中、『自分の代わりはいくらでもいるから』と言ってその場でスマホを叩きつけるようにして捨てる。そして、芸能人としての地位を捨てて、朝子を連れて北海道に行くつもりだと語る。そういえば冒頭で麦の父親が北海道で研究者をしていると語られていたな。それにしてもこのスマホの捨て方といい、やっぱり麦はヤバイ奴だ―。この勢いで突然朝子を殺してもおかしくないよ。
麦の車に乗り込んだ朝子の元に春代からLINEが届く。
『朝ちゃん、やりおったなー。
でも私はこうなるって最初から思ってたで。感謝と愛情は違うんやからな。
人間的には完全にクズだけど、ちょっとだけカッコよくもあった。いつかおばあちゃんにでもなったら笑い話になるとええな。またー』
個人的にこのLINEを送ってした春代にとても好感を抱いた。朝子の行動に一定の理解を示しながらも、擁護は決してしない。しかし、完全な絶縁を言い渡しはせずに『おばあちゃんにでになったら笑い話になるといいな』という未来を語る。この諦観と寛容さと距離感が素敵だなーと思う。
それとは対照的なのがマヤからの電話。『戻って来て、あんなに絶望した亮平さん見たくない』というマヤに対して朝子は『もう戻らないと亮平に伝えて。でも、飼い猫のジンタンは大阪に連れてっ欲しいと伝えて』と言う。すると、マヤは『分かった。でももう二度と私たちの前に姿を現さないで、電話しないで』と怒り、絶縁を申し出るのであった。…まあ、当たり前だよね。こっちが普通。そして、マヤさんもまた痛みを感じているのがありありと伝わって来て胸が痛い。
そして、朝子もそのままスマホを窓から投げ捨てる。…道路にスマホ捨てるな!そして、麦が鼻歌で歌っているのがやはり”クラリネットを壊しちゃった”なのが、朝子が取り返しがつかないものを壊してしまったことを暗示していてぞわぞわする。麦は朝子の居場所を岡崎の母から知ったらしい。ここで岡崎母子の存在が効いてくるのか…。
麦と過ごした時間よりはるかに長い時間を亮平たちと過ごしていたはずの朝子。しかし、朝子は『今までの方が全部長い夢だった』と言い『寝ても覚めても麦への想いは変わらず、自分も成長したようで、結局変わらなかった』と語る。
…ここでタイトルの伏線回収。寝ても覚めてもってそう言う意味だったの!!
そんな朝子に麦は笑って眠るように促す。朝子はそのまま助手席で眠りに落ちるのであった…。
翌朝、仙台につくと、朝子は麦に『亮平の元へ帰る』と言い出す…しかし、大阪の家で亮平は朝子に『帰れ』と言い、追い返す
朝子が目を覚ますと、いつの間にか車は高速を降りたようで、麦は車の外に立っている。麦はここが仙台であることを告げ、堤防のせいで海が見えないことに不満を持っている様だった。すると、朝子は突然こう言い出す。
『やっぱり帰る』…亮平の元へ帰ると言うのであった。
ええええ!!亮平との思い出がある仙台で、目が覚めたのかな?でもお前、『寝ても覚めても麦への想いは変わらなかった』っていったばっかりじゃん。寝て起きたらめっちゃ冷めてるやん。びっくりするなあ、もう。
すると、麦はあっさりと了承し、亮平の元に送ること、あるいは車を譲ろうと申し出る。しかし、朝子は麦の申し出を断り、『免許を持ってないから』と言って車も受け取らない。すると、麦は笑ってそのまま車で去っていくのであった…。
残された朝子は堤防に上り、海を見ながら歩く。そして、そのまま仮設住宅に向かい、ボランティアで親しくなっていた下ネタじじい、平川の元を訪ねる。
平川に事情を話し、大阪までの交通費を貸してもらえないかと助けを求める朝子。平川は朝子に『他の男の〇が入った女なんて許してもらえないだろう』と下ネタ混じりの苦言を呈すが、交通費を貸してくれる。…ここ、今一つ聞き取り辛かったんだけど、なんか下ネタだった気がする。
一方、その頃、亮平は呆然自失状態のままタクシーで大阪に向かう事になり、それを串橋・マヤ夫妻は心配そうに見守る。ショックで言葉も発せない亮平のひざ元に串橋は飼い猫のジンタンの入った籠を乗せてやり、マヤは身重であるにも関わらず、亮平の乗ったタクシーを追いかけ、串橋に止められ、泣き崩れるのであった。…まあ、マヤさんの気持ちは分る。でもどう見ても臨月間近なお腹をしてるのだから、走っちゃダメだよ…。
その後、平川から交通費を借りた朝子はなんとか大阪の家に着いた。しかし、インターホンを鳴らしても誰も出ず、遊んでいた子ども達のボールを拾ってやったりしながら家の前で座って待つ朝子。だが、そこにやって来た亮平は朝子に冷たく『帰れ』と言う。そして愛猫ジンタンも捨てたと言うのだ。自分ひとりでジンタンを飼う余裕が無かったと語る亮平であったが、『先にジンタンを捨てたのはお前だ』と憎しみに満ちた瞳で朝子を睨みつける。『お前を信じる力は残っていない』『一番最悪なことをお前はしたんだ』と朝子に言い放つ亮平。…このセリフ、今の東出の現状に対してブーメラン過ぎて震えるけど、現実と作品とは違うから切り離して考えよう!
ラスト・結末~岡崎母子と再会した朝子は再び亮平の元へ向かう。亮平は『もう信用しない』と言いながらも朝子を受け入れるのであった…
とりあえず家の周辺でジンタンを探していた朝子だったが、何を思ったのか突然、岡崎の家を尋ねる。…おい、ジンタンはどうした。そして、歩いて行けるような距離に岡崎の家があるのか。ちょっと都合が良すぎではないか??
しかし、岡崎はALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹っており、既に寝たきりで母、栄子に介護されていた。言葉を発することは出来ずとも、ちゃんと話を理解することが出来ると言う岡崎に向かって語り掛けていた朝子は自分の身勝手さを思い知り涙を流す。
岡崎の母、栄子に麦との再会をきっかけに亮平を傷付けたことを打ち明け泣く朝子。すると、栄子は自分が麦に朝子の居場所を教えてしまったことについて謝りながらも、『亮平が好きならば大事にすればいい』とシンプルな助言を与える。そして、以前にもしていた昔の恋の思い出話が実は岡崎の父ではなく、別の男性とのことであることを朝子をにそっと明かし、笑うのであった…。中高年女性が過去の恋を語る展開は結構好き。
その後、雨の中傘をさながらジンタン探しを再開する朝子。すると、そこに亮平がやって来て朝子に再び『帰れ』と言う。…本当に愛情がなくなったら、こんな風に朝子のところに来ないよなー。朝子に未練ありありなのがよく伝わってくる。
すると、そんな亮平に麻子は思わず傘を投げ出して駆け寄り、亮平は走って家まで駆け込む。
このシーンは今まで亮平が朝子を追いかける立場だったのが、逆転したのを良く表している。中盤の会社の外階段では亮平が逃げる朝子を追いかけていた。
家の中に入ってしまった亮平に朝子は『謝りたい。謝っても謝りきれない、だから謝らない、一緒に生きていきたい、声を聞きたい、顔を見たい』という率直な思いをドア越しにぶつける。
すると、亮平は扉を開け、ジンタンを朝子に渡すとそのまま2階に行ってしまう。
…分かっていたよー、猫捨てられる人間じゃないよね、亮平。
ドアも施錠されてはおらず、ジンタンを抱いたまま亮平がいる2階に上がる朝子。家の中は全く荷ほどきがされていない。
2階の窓際でずぶ濡れの体をタオルで拭いていた亮平は怒った表情をしながらも、同じくずぶ濡れの朝子に投げつけるようにタオルを渡す。そして、先ほどマヤが早産になりながらも無事に出産を終えたことを伝える…。
マヤさん、早産って、亮平の乗るタクシーを走って追いかけたからだよなー。タイミング的に。やっぱり妊婦は走っちゃダメよ…。
そんな亮平の隣に行った朝子は『亮平は優しい、だけどもう甘えない』と言う。亮平は不機嫌に『お前のことを信用しない』と吐き捨てるものの、朝子が隣に立つことを許す。
窓から見える川は水かさが増して淀んでいる。亮平は『汚い』と言うが、朝子は『でもキレイ』と言うのであった…。
~終わり~
以下、感想と考察
テンポと雰囲気は良いが、少女マンガ的世界観と不条理な恋心をどう評価するか
この『寝ても覚めても』については、もう例の“不倫騒動”もあって、やはり否定的な声が大きい様な気がする。
そんな中、個人的な評価は『傑作とは言えないが、十分に見れる作品かな』と言ったところだ。人にオススメできるほどではないが、『時間と金を返せ!』とまでは思わない。暇を潰す位には使える映画だ。
テンポも雰囲気も悪くなく、前半~中盤まで大して大きな展開もなく、淡々と主人公達の日々が描かれていくのだけどそれほどだれることなく、集中して見ることが出来る。演出も効果的でキャラクターの人となりもよく伝わってくる作りになっており、見終わった後の感想はともかく、とりあえず見ている間に退屈することはない。
では、肝心のストーリーとその結末、そして登場人物達はどうだろうか。ここはかなり評価…というか好き嫌いが別れるところだろう。
あらすじのところでも何度となく言っているが、まず設定から展開まで、何から何まで少女マンガっぽさが滲み出ているのだ。
- 冒頭、麦と朝子が出会って即、キスして付き合う様になるところ
- 亮平が麦と同一人物と思ってしまうくらいに瓜二つだという設定
- 亮平が朝子に対して『第一印象は最悪だったけど、徐々に相手に惹かれていく』みたいなパターンを辿るところ(これは串橋&マヤにも言えることだけど)
- 『運命』『偶然』展開に頼り過ぎるところ…3.11の大混乱中に出くわす亮平と朝子とか、朝子と春代が遊んでいた公園で麦の撮影が行われている
- 行方不明になった元カレ、麦がいつの間にか超売れっ子俳優になっているという展開
別にこれら一つ一つが絶対に起こり得ないという訳ではない。現実でもビックリするような出来事や偶然はある。…でも、この映画はちょっと現実ではありえない、本当に“少女マンガみたい”というべき設定や展開がてんこ盛りなのだ。この映画がコメディやギャグに振り切れていれば特に何も思わないのかもしれないが、如何せん、“3.11”とか“被災地”、そして”ALS”とかのワードを織り混ぜつつ、基本的に真面目な雰囲気が漂っているのでこれらの“少女マンガっぽさ”が際立ってしまう。これを受け入れられるかどうかが肝だろう。
…というか、原作小説は未読なのだけど、2010年に書かれた小説なので、きっと東日本大震災は無関係だったのではないかと思う。それなのに映画で“3.11”や“被災地ボランティア”を入れたのは…ちょっと意地の悪い言い方をすると、海外に向けたパフォーマンスに思えてしまう。被災地の現実を描くのがメインではないのは勿論分かるのだが、なんとも中途半端で、『別にこれ、被災地である必要ないよね』と思ってしまうのだ。それなのに、要所要所で被災地をちらつかせるのは、ちょっとあざといなーと思ってしまうのだ。
そして、キャラクター達の気持ち…特に朝子の行動を理解できるか、そして、亮平の判断に納得し、朝子が受け入れられるエンドをどう感じるか…これも難しいところだと思う。
まあ、まず麦は浮世離れしたキャラクターで、どちらかと言えば破滅のシンボル的な立ち位置なのでおいておくとして、ヒロインの朝子…彼女の行動原理についての考察は後述するけれども、明らかに幸せにしてくれるであろう亮平を差し置いて、危険な匂いプンプンの麦を一度は選んでしまう…これももう、受け入れられない人は受け入れられないだろう。
でも、人間って理性はあるけど、理性が吹き飛んで感情と本能の赴くままに選択をしてしまう瞬間があるのだ。それも人生を分かつ大事な局面で。私は朝子が地に足が着いた幸せを共に築いてくれる亮平ではなく、本能のままに麦を選んだシーンを見た時、浅野いにお氏の漫画、『おやすみプンプン』で主人公プンプンが良き理解者として自身を支えてくれる幸さんではなく、明らかに不幸になると分かっていながら負のオーラを放っている初恋の相手、愛子ちゃんを選んだシーンを思い出した。
そして、一度は自分を捨てた朝子を何だかんだと許し、受け入れてしまった亮平を理解できないという人も少なくはないだろう。
まあ、でもこれも人によるだろうけど『他の男に走られたから即、嫌いになる、完全に情が無くなる』と全員が全員なるわけではないだろう。そんなに簡単に切り替えられないから浮気や不倫された人は苦しむわけだからな…。なので、個人的には亮平が怒り憎みながらも朝子を受け入れる選択をしたのは理解できる。
とにかく、この様な感じで登場人物たちの行動や選択はあまり理性的ではなく、そういう話が苦手な人にはとことん相性が悪い映画だと言えるだろう。
ヒロイン、朝子の行動原理…ある種の希死念慮、破滅願望に囚われている朝子の今後について思う事
でも、これ朝子が希死念慮と破滅願望に囚われた女性だと考えると、ちょっとこれらの行動も納得できるんですよ。
まず、朝子が恋する麦。朝子に対して優しく接しているものの、どこか死や破滅の匂いをまとっており、クラブで朝子に迫って来た男を突然蹴り飛ばす等、暴力性も持っている…分かりやすく言えば危険な男なのだ。
そんな麦に引き寄せられた朝子は春代がどんなに警告したって聞きもしないで、のめりこんでいく。…でも、この頃の朝子って後に亮平と過ごしている時と比べても、圧倒的にイキイキしていて楽しそうなんだよね。まあ、そりゃ恋愛に夢中の時は誰だってイキイキするものではあるけど…。
多分、朝子は危険な麦と過ごす中で、ある種死や破滅と隣り合わせの生活を送ることで”生の実感”を感じることにハマってしまったのではないかと思う。
その分かりやすい例が冒頭のバイク事故だと思う。麦のバイクに乗せてもらっていた朝子はそのまま車に突っ込んで投げ出されるのだけど、麦と朝子は笑ってそのままキスし合う。一歩間違えれば死んでいた…そのことが何よりも生の実感となって鮮烈で濃厚な瞬間を味合わせたのだろう。
だから、亮平から愛情を与えられ、保護され平和に暮らしていた朝子は幸せであることを理解しながらもどこか満たされていなかったのだと思う。きっと退屈だったんだろうな。春代もそれを見抜いていたから『愛情と感謝は違うから』とLINEで言っていたのだと思う。沢山愛情を注いでもらって優しくしてくれてるから朝子もそれに甘えてるし、その愛に応えてやってるけど、麦に向けていたような熱い愛情は持っていなかったのだ。
被災地ボランティアを精力的に行っていた理由について、送別会の時に串橋・マヤ夫妻から問われた時も今一つ明確な答えを言えなかった朝子。恐らく朝子が被災地ボランティアを始めたきっかけも、震災の爪痕が残る被災地で復興を手伝う事で生の実感を得たかったのではないか…等と考えてしまう。もちろん、やらない善よりやる偽善…動機はどうであれ、被災地ボランティアは素晴らしいのだけどね…。
死や破滅といったものに惹きつけられ、そういったものと触れる時にイキイキと輝ける朝子。よくよく考えると亮平と付き合うきっかけになったのも、結局は東日本大震災という非常事態の時だ。
ラスト、亮平との思い出の場所とも言える仙台で死や破滅の象徴とも言える麦と本当に決別した朝子。その理由は明確にされていないけど、東北の現状や堤防の意味もよく分かっていない風の麦を見て、改めて麦が自分とは違う世界の人間だと気付いたのかもしれない。仙台で亮平と”生”や未来に向けたボランティア活動をしていた日々を思い出し、再び亮平と生きていきたいと思ったのかもしれない。確証はないけど、あのまま麦について行ったら朝子は死んでしまっていたのではないかと思う。
でも、これで朝子の性分が本当に直ったとは思えない。やっぱりこの人は死や破滅、そしてそこでのみ感じられる生の実感を求め続けてしまうのではないかと考えてしまう。
そう言った意味では今後の亮平との生活…亮平に愛憎をぶつけられ、疑いを向けられ、そしてそんな亮平を愛して必死に追いすがって生きる方が、朝子にとっては今までの平和な愛情に包まれた生活よりもスリルがあって楽しめるのかもしれない。
一人二役演じた東出昌大の演技力は…キャラクターや演出、他の俳優陣に助けられた作品
ところで、棒読み大根役者として有名な東出だが、この作品では一人二役を演じることになった…その演技力はどうだったのか。
この作品に至っては、かなりマシな部類…決して上手いとは言えないが、特に問題は無かったと思う。
普通に善人の亮平とサイコパスな麦の演じ分けが出来てた。
しかし、それは役に恵まれたという側面が大きいのではないかと思う。作風的にもコメディ色があまり強くなく、淡々と話が進んでいくので後半を除いてそこまで大きな感情表現をする必要が無い。亮平役はただ分かりやすく『関西弁のいい人』という感じなのでそこまで癖のあるキャラではない。そして麦を演じる際は今一つ感情のこもっていない棒読みが逆にサイコパス感を放っていて上手い具合にハマった感じがする。
これは唐田えりかにも言えることで、まださほど演技力が無かったのだろうけど、『ぼーっとして、内心何を考えているのかよく分からない女』といったキャラクター設定に助けられているのだろう。
そして、脇を固める女優、俳優が伊藤沙莉や田中美佐子、瀬戸康史でしっかりと支えられており、演出がいい雰囲気を醸し出しているので、東出と唐田の演技のあらが目立たない作りになっている。これはこれで凄いかもしれない。
そして、この映画『寝ても覚めても』と東出と唐田の不倫の関係をちょこっと考えてみる
で、やっぱり考えたくなってしまうのが、この作品と東出と唐田の不倫の因果関係。役者が映画やドラマの共演をきっかけに交際したり結婚したりというのは珍しいことではない…というか、東出自身、朝ドラ『ごちそうさん』での共演がきっかけで杏と結婚している。
映画を観る前、散々『東出と唐田はこの映画がきっかけで不倫をしていた』『キスシーンが多い、長い、生々しい』と騒がれているのを聞いたので、よっぽど濃厚なキスシーンやベッドシーンがあるのかと思っていた。でも、絡みはキスまでで、そのキスシーンも個人的にはそんなに多くも長くもないような気がする。
どちらかというと回数よりもタイミングの方が気になる。え?そこでするんですか??みたいな。まあ、きっと『言葉よりもキスの方が分かり合える』みたいな感じなんだろう。うん。恋愛至上主義民にはきっと分かるんだろうな。知らんけど。
そう言った点で考えると、この『寝ても覚めても』の全般に漂う、TPOわきまえずに勝手に燃え上がってキスしちゃうような感じ、その雰囲気…何と言うかこのテンション引きずって二人は不倫しちゃったのかなぁ…とも思わなくもない。まあ、まともな神経をしていたら、どんな作品に出ようが下手な不倫なんてしないだろうから、不倫を作品のせいにしたらいけないんだけどね。
…東出の演技がマシだったのはラブパワーのお陰だったりして…。
ちなみに…瓜二つ設定ってどう思いますか?
ちなみに、とても個人的な好みの話なのだけど…もし、『小説、映画、漫画等で苦手な設定や展開は何ですか?』と聞かれたら3位以内に『全く赤の他人なのに、人から間違われる位に瓜二つという設定』と答える。
ちょっと似ているとか、同じ系統の顔…たかじゃなくて、その人ととても親しい人が勘違いする位にソックリ…ということはなかなか起こり得ないのではないかと思う(双子とかならともかくね)…。
まあ、事実は小説よりも奇なりで、現実でも『ビックリするほどソックリな人間に遭遇した』というエピソードを聞くことはあっても、自分自身がそういう経験をしたことがないので今一つしっくり来ない。なので、この『寝ても覚めても』でも、亮平が記憶喪失とか解離性遁走とかでとなく、麦とは全くの別人と分かったときに少々鼻白んでしまった。
二次元の話で『顔が瓜二つ』とやられるとギリギリ自分を納得させられるが、三次元…こういうドラマや映画で一人二役で全くの別人を演じられると『他人なのにこんなに似てるってことある!?』と思ってしまうし、さらに『互いに入れ替わって生活する』とかいう展開になると『んなわけあるかい!』と突っ込んでしまう。…単に自分が人生経験に乏しいだけだろうか…?
ちなみに、そんな私は中学生の時に同級生から『バトル・ロワイアルの途中で死ぬ女の子にメチャクチャ似てる!』と言われたことがあるが、未だにどのキャラクターのことだったのか分からない…誰だよ!