12巻で無事完結した『モンキーピーク』。しかし、そのアナザーストーリー…”外伝”としてこの『モンキーサークル』が存在している。今度の舞台は山ではなく、樹海…果たして、そこで紡がれるもう一つの”鬼猿”伝説とは…!?
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Contents
登場人物
詳細はこちら
→モンキーサークル、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり
シマ
主人公。バイト代欲しさに”リョウちゃんねる”の撮影の荷運びのバイトに応募してきた。明るく正義感のある性格。
リョウ
”リョウちゃんねる”で年2億稼ぐ動画配信者。一見爽やかなイケメンだが動画で稼ぐことしか考えていない自分勝手な性格。
みかん
リョウの相方の動画配信者。動画内では幼く無邪気なキャラを演じるツインテールの可愛らしい外見の女性だが、本性はワガママで横暴な性格。
チョウ
フリーターの男性。キャップを後ろ向きに被る。シマと同じく荷運びのバイトに応募してきた。落ち着いた頼りがいのある性格で、この森に何やら因縁を持っている。
マッシー
”リョウちゃんねる”のスタッフ。眼鏡の男性。撮影役とするとともに、演出等も考える。
ダイブツ
”リョウちゃんねる” のスタッフ。色黒で高身長の屈強な体格をしている男性。冷静で肝が据わっている。
マリ
”リョウちゃんねる” のスタッフ。マッシュルームボブヘアのずんぐりした体型の女性。内気だが気配りのできる性格。
えーご
”リョウちゃんねる” のスタッフ。やや小太りの男性。臆病でネガティブな性格で、リョウやみかんからは馬鹿にされている。
隊長
森のガイド役として雇われた男性。顔に傷があり、頭にはバンダナを巻いている。森の知識を持っており、みかんに好意を抱いている。
カトー
”リョウちゃんねる” のスタッフ。眼が寄っている。
以下、あらすじ・ネタバレ
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第1話~“猿人”の噂を追い求め森にやってきた動画配信者達だったが、クマに襲われてしまい…
鬱蒼と木々が生い茂る森…その樹海に10人の男女が足を踏み入れていた。彼らは動画配信者、リョウが率いる“リョウちゃんねる”のスタッフ達だった。彼らは『猿人が出る』『数年前にキャンプに来た人たちが行方不明になっている』という噂のあるこの森でスクープ映像を撮るためにやってきたのだ。主人公のシマはこの撮影の荷運びのアルバイトに応募してやってきた。
しかし、蓋を開けてみれば“リョウちゃんねる”はヤラセ前提で、リョウはシマに『猿人の真似をしろ』と契約にない仕事を求め、失敗するとシマを責める。リョウの相方であるみかんもカメラの前では幼く怖がりな美少女を演じているが、シマのミスで撮影が止まると煙草を吸いながら『こいつクビにしていいんじゃない?』と吐き捨てる。そんな横暴な二人をシマと同じ荷運びの仕事に応募してきたチョウが『そんな言い方はないだろう』と諫めるが、シマ自身は全く落ち込むこともなく『”出来ない”のは嫌です、やらせて下さい』と頑張ろうとしていた。
しかし、カメラ係でスタッフ内のブレーンでもあるマッシーは失敗を繰り返すシマを見て猿人役をスタッフのカトーに変えることに決め、カトーに草むらに潜むように指示するのであった。残念がるシマであったが、同時に遊びであると思っていた”動画配信”が真面目に撮影されていることに驚き関心もする。リョウはこの動画配信で年に2億円稼ぐ有名人で、今回の撮影には普段のスタッフだけではなく、荷運びにシマとチョウを雇い、またこの森に詳しい隊長もガイドとして雇っているのだ。
猿人役をカトーに代えた一同は撮影を再開させる。リョウが怖がるみかんを連れてカトーが潜む草むらまで進んでいく…そのシナリオ通りに撮影は続いていく。ところが、途中で草むらに潜んでいたはずのカトーが木の陰から手を伸ばしてきた。『出てきてどうするんだ!』と怒るリョウ。ところが…
「あ゛た…たす…け…」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 21/179
木の陰から出て来たカトーはなんと、巨大なクマに肩を噛まれていたのだ。予想だにしていなかった光景に悲鳴を上げる一同。ガイド役の隊長が『走ったりしてクマを刺激してはダメだ!』というものの、皆は一目散に逃げだしてしまう。シマもカメラを回したまま動けなくなってしまったマッシーを連れて車まで逃げ込む。
しかし、2台ある車のうち、前に停めている車の鍵はカトーが持っていた。仕方なく後方の車に9人で乗り込む一同。車を発射させたくても、前の車が邪魔で動かせない。そんなところにクマがやってきて、車に乗りかかってきた。
一同は更にパニックに陥り、リョウとみかんは日頃からバカにしている小太りのスタッフ、えーごに『外に出てクマの注意を引け』と迫るなど、車内は混乱する。
そのときであった。
突然、車のボンネットに衝撃が走った。…なんと、太い木の棒を持った大きな猿がどこかから車のボンネットに飛び降りてきたのだ。
第2話~クマを撃退した謎の猿人…一同は撮影の続行とカトーの捜索を決意する
突如、車のボンネットの上にやってきた”猿人”。ただ驚く一同の前で、その猿は吠えるクマの顔面を木の棒でしたたかに殴りつけ、威圧。すると、クマは猿に怖気ついたように、そのまま逃げ去ってしまった。そして、猿もまたすぐに森の奥に立ち去ってしまった。
しばらく、呆然とする一同。すると、我に帰ったリョウがマッシーに『撮ったか?』と確認する。しかし、あまりの出来事に固まってしまっていたマッシーは動画を撮れておらず、音声しか取れていなかった。すると、リョウは『バカ、音声なんかじゃダメだ!』と怒り、謝るマッシーを罵倒する。
そんな中、シマが『そんなこと言ってる場合じゃない、カトーさんを助けなきゃ』と言い出す。リョウは『死んでるに決まっている』と吐き捨てるが、チョウも『クマは我々を追って来たから、カトーくんは生きているかもしてない』と言う。しかし、怯え切っているみかんは『車出して逃げよう、前の車を押してどかそう』と主張し、運転席にいるリョウに判断を仰ぐ。
するとリョウは突然笑い出した。
「帰れるワケねぇだろォ!!大スクープだ!!撮るんだよぉ!!」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 42/179
もし、先ほど見た猿人の映像をカメラに収めることが出来たら、世紀の大発見…ネット配信なんて次元じゃない程の大金を手に入れることが出来る…そう言うのだ。リョウはみかんにも『お前もスターになれる』と言い、撮影の続行を主張するのであった。リョウの主張にスタッフ達は戸惑う。
すると、そんな空気の中、隊長が『ここからは命がけになるから、今までと同じ日当だったら働かない。雇われガイドの自分にいくら払うか』と言い出した。
その言葉にリョウは悩みながらも最終的に『50万円出そう』と約束する。
「荷物持ちのお前らもだ」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 45/179
「1日50万プラス猿の撮影に成功したらボーナス1人200万だ!!」
その金額に驚く一同。皆は迷いながらもリョウの言葉と報酬に押されて、とりあえず『車を降りてカトーを捜して、もう一台の車のキーを回収する』ということに決めるのであった。
しかし、そうは言ってもどこに先ほどのクマや猿が潜んでいるが分からない状態だ。リョウは真っ先にえーごに『車を出ろ。行かなきゃグループを追放する』と脅す。えーごは渋々従おうとするが恐怖で震え、中々車のドアを開けられない。すると、見かねたダイブツがドアを開け、外に出て周囲を確認する。ダイブツは周囲に危険がないことを確認し、皆は恐る恐る車から出るのであった…。
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第3話~大木に磔にされた血塗れのカトーを見つける一同…しかし、マッシーも落とし穴の杭に貫かれてしまい…
猿の撮影とカトーの捜索のために車を出た一同。先ほど猿の姿を撮り損ねたマッシーにリョウは『今度はちゃんと撮れ』と念押しする。すると、マッシーはマリとえーごに一台ずつ予備のカメラを持たせるのであった。
再びカメラを回し始めるマッシー。リョウはへこんだ車を見せて『猿人が本当に出ました』と言い、『クマに襲われて行方不明になってしまったカトーを捜しに行きます』と告げる。みかんはカメラが回っているにも関わらず、恐怖で強張った表情で涙を流し続けている。隊長がとりあえず沢の方向に向かう事を提案し、一同は撮影しながら沢を目指すこととなった。
すると、隊長が血の付いた折れた枝が落ちているのを発見した。それがカトーのものか、それとも猿がクマのものなのかも分からないが、やはり沢に何かがあると確信する一同。その時、ダイブツがあるものを見つけ、それを見たリョウが悲鳴を上げて転んでしまう。
そこには、腹を引き裂かれて死んでいるクマの姿があった。
強烈な臓物の臭いにみかんは吐いてしまい、シマもまた鼻をつまむ。こんなことをするのはあの猿しかいないだろう。
「…このサイズの熊を…こんなに出来るのか…」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 61/179
呆然とそう呟くダイブツ。
すると、リョウが血の付いた足跡を見つける。『足跡を撮れ!』とはしゃいだように言うリョウにシマは『カトーさんを探すのが先でしょう』と言うが、リョウは『それより猿だ!』とダイブツを先頭にして、足跡を辿っていく。草むらの中、今度は川の様に血液が垂れているのが見えるが、リョウは『この先に猿がいるはずだ』と先を急ぐ。
そして、血を辿って来た一同は一本の大樹の前までやって来た。『立派な木だ…』と視線を上げるリョウ。しかし、ふとスニーカーが目に入る。
なんと、血塗れのカトーが4本の木の棒で大樹に磔にされていたのだ。
目の前の光景を理解した一同は悲鳴を上げる。リョウもまた恐怖しながらもマッシーやえーごに『撮れ!』と命令する。
その時であった。突如、マッシーが回していたカメラの映像が激しく乱れ、空を向く。
…撮影に必死になっていたマッシーは隠されていた落とし穴に落ちてしまったのだ。そして、その落とし穴の中には無数のとがった木の杭が敷き詰められており、マッシーは串刺し状態になってしまっていた。
『マッシーさん?』『大変だ!』と皆が叫ぶ中、状況が飲み込めないマッシーは『ダイジョウブ…』と言いかけたまま、絶命するのであった…。
第4話~カトーとマッシーの死…猿の知恵と周到さに怯えながらも追いかける一同
落とし穴の中で絶命してしまったマッシー。シマは慌てて救急車を呼ぼうとするが、樹海の中で電波が届かない。そんな中、ダイブツが木に登って磔にされていたカトーを下ろす。カトーも既に死んでいた。
すると、リョウはシマに落とし穴のマッシーが持っているカメラを回収する様に指示する。そこには今までの映像が収められているのだ。
『取れたら10万ずつやる』というリョウの言葉にシマはチョウとダイブツの手を借りて、命がけでマッシーのカメラを回収した。しかし、マッシーの遺体まで回収することは出来そうになかった。
ショックで吐き続けるみかんを慰め続けるスタッフのマリが泣きながら『誰がこんな罠を仕掛けたの?』と問うと、リョウは『猿しかいないだろ!』と苛立たし気に答える。
そして、隊長はこう言うのであった。
「熊の腹を割いて内臓を取り出し、ワザと血の跡を残して俺達をここへ誘導」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 78/179
「目立つところにカトーを磔にし俺達の視線を上げさせておいて落とし穴にハメた」
「もし本当にあの猿がやったとしたら これは…かなりの知能だぞ…」
すると、今度はシマが突然叫び声を上げる。マッシーが最期まで撮っていた動画を確認していたシマだったが、落とし穴から皆を見上げるように撮った動画に、木の上から一同の様子を窺う猿の姿が映っていたのだ。
それを見たリョウは猿の逃げた方向を指さし、皆に『追うぞ!』と叫ぶ。シマが『警察を呼ばないと…』と言うとリョウは『警察呼んだら金は払わない』と黙らせ、猿を探し始める。リョウはカメラを回し『マッシーが死にました、絶対に仇を討ちます!』と言いながら森を進んでいく。チョウに『猿は学習している、一度引き返した方がいい』と言われても『チキンは無視します。リョウちゃんねるはガチなんで』と聞こうともしない。
しかし、猿は結局見つからないまま、一同は沢に出た。とりあえず皆は一旦休憩することに決め、リョウはカメラを止めるのであった。
スタッフ2名を失った“リョウちゃんねる”のメンバー達。休憩中も陰鬱な空気が漂っていた。みかんは不機嫌そうに煙草を吸い、マリは念のためにと沢の水を水筒に汲む。隊長は悩ましげに地図を眺めていた。そして、リョウは映像を確認して猿がほとんど撮れていないことにガッカリしていた。
シマはチョウと『やはり引き返すべきでは…』と話し合っていた。その時であった。
突然岩の裏からマリの悲鳴が響き渡る。慌ててシマ達が駆け寄るとマリは左足を抑えている呻いていた。マリのそばには大きな石が転がっていた。
すると、何故か崖の上にいるリョウが『落石があった。猿の仕業かもしれない』とぎこちない笑みを浮かべ、マリもまた力なく『うん』と言う。マリの左足は骨折していた。
その様子を見たチョウはリョウに『引き返すしかない、いいな』と告げた。リョウは不服そうなものの『仕方ない』と諦め、一同は車まで戻ることを決める。
ところが、そんな中で隊長が気まずそうにこう言い出したのだった。
「ここは…どこだ?」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 92/179
なんとガイドである隊長が現在地がどこであるか分からなくなってしまったのだ…。
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第5話~ただ襲ってくるだけでなく、殺人を楽しむ猿に戦慄する一同
ガイド役の隊長はこの森の知識を持っていたが、リョウ達がやみくもに猿を追いかけたため、正確な現在位置が分からなくなってしまったと告げる。
『この森に詳しいって言ってただろ!』『最悪!』と責めるみかんに隊長は地図を片手に『大体の位置は分かってる』と慌てて言い、『こういう時は焦らず遠回りでも確実なルートを選ぶべきだ』と川沿いを下って目印になる橋まで行って、そこから車のある場所に向かうことを提案する。
そんな中でダイブツがマリの骨折してしまった左足に添え木を当て、自身が背負っていくと言い出す。シマが『自分が荷運びの役だから背負います』と言うとダイブツは憮然としてマリを背負って言う。
「マリは荷物じゃない」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 99/179
それを聞いたシマは自身が失礼なことを言っていたことに気付き、謝罪する。マリもまたそんなダイブツに背負われながらごめんなさいと呟くのであった。
その後、隊長について沢を下っていく一同。リョウはカメラを回して『マリが猿に石を落されて骨折してしまいました』と喋り続けている。チョウはそんなリョウを見て『こんな時まで撮影するなんて』と呆れる。すると、えーごがこっそりとシマとチョウにこう言うのであった。
「石が落ちてきたって…それ…本当に猿がやったのかな?」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 101/179
えーごはリョウが動画を盛り上げるためにわざとマリをケガさせたのではないかと言いたいのだ。事故当時の不自然さを思い出したシマとチョウ。スクープを撮る事しか考えていないリョウであればやりかねない…二人はカメラに向かって語り続けるリョウを見て戦慄するのであった…。
しかし、沢を下り続けていた一同をまたしても困難が襲う。呆然と立ち尽くす一同。その足元には滝が激しい音を立てて流れている。…そう、彼らは滝の上流にいたのだ。
『滝の上流に出たことで正確な場所が分かった』とホッとして言う隊長に、みかんが『場所が分かってもこんな所をどうやって降りるんだよ!』と激怒する。すると、隊長は慌てて『迂回すれば滝を下れる道がある』と答えるが、そんな隊長にみかんは顔をしかめて言う。
「本当にあっちから降りられるのか先に言って見て来い!!」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 105/179
そして、みかんは目の前にある高い岩場を指さし、そこに上って様子を見るように言う。そんなみかんの注文に隊長は戸惑い、見かねたシマが『俺も一緒に行きます』と名乗り出た。しかし、隊長はそれを断り『俺一人で行く』と言う。
「安心しろみかん 俺がきっちりお前を家に帰してやる」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 106/179
そうみかんににじり寄って笑う隊長。隊長はみかんに気があり、良い所を見せたいのだ。
そして、一人で岩場を登り始めた隊長。それを皆で後ろから眺める中、みかんは『アイツ、アタシの事エロい目で見てきてキモイ』と陰口を叩く。隊長は順調に岩場を登っていく。
その時であった。突然、岩場の反対側から猿が姿を現した。隊長は咄嗟に岩場から飛び降りようとした。しかし、猿はそんな隊長の背中を掴み、そのまま持ち上げ隊長を岩に叩きつけた。そして、血を流し絶叫する隊長を何度も何度も繰り返し岩に叩きつけるのだ。その光景に皆は悲鳴を上げるも動けず誰も助けにいけない。
「な…なんてこった あの猿…!!」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 112/179
「遊んでいやがる」
わざと一撃で殺さず、痛めつける…猿はただ人を殺すのではなく、それを楽しんでいるのだ。
そして、皆が震える中、リョウが一人『すげえ』と呟きながらカメラを回し続けるのであった…。
第6話~ガイド役の隊長を失ってしまった”リョウちゃんねる”は帰る事を決めるが遭難してしまう
猿は隊長を繰り返し岩に叩きつけた後、まるで飽きたかのように動かなくなった隊長を茂みに向かって放り投げ、一同を一瞥して岩場の向こうに消えて行ってしまった。
絶望の叫びを上げるシマ。他の皆は呆然と立ち尽くしたり、震えて涙を流したりしていた。
そんな中、リョウだけが『世紀の大スクープが撮れた』とはしゃいでいた。チョウが『よくそんな事が言えるな』と諫めるがリョウは耳を貸さず、えーごに『岩に残ってる猿の体毛を取ってこい』と命じる。
ところが、普段従順でリョウの言う事を何でも聞くえーごが、リョウを睨み返し動こうとしない。そんなえーごにリョウが凄むと、チョウが『取りに行く必要はない、帰ろう』と諌め、こう言う。
「猿の方からまた来てくれるさ」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 120/179
「俺達を襲いにな」
皮肉げな笑みを浮かべたチョウは、猿が隊長を弄ぶようにして殺したことを挙げ、『猿にとって自分達はいい“オモチャ”なんだ、これからも襲われる』と言い、怯える一同に『猿のテリトリーであひらこの森から早く変えるべきだ』と訴える。
チョウのその言葉は説得力があり、流石のリョウも震え上がり、隊長を殺す猿の姿をカメラに収められたこともあり、『よし…帰ろうか』と言い始める。そして、来た方向を目指し、とりあえず森に入って下っていくことを決めるのであった。
かくして、ガイドである隊長を亡くした“リョウちゃんねる”のメンバー達は手探りで森を進んでいく。正確な道も分からず、ちょっとした物音にも怯える。そして、何よりも慣れない樹海の道に皆は疲労を溜めていく。
そんな中、シマはチョウに『チョウさんはひょっとして猿の事を知ってるんですか?』と尋ねる。チョウは猿の学習能力や執念深さを怖れる発言を度々しているのだ。
すると、チョウは『2年前にヤツを見たことがある』と暗い表情で答える。それを聞いたシマは非常に驚いたものの、それ以上は聞けないのであった…。
そして、一同はその後も歩き続けたものの、道を見付けることができないまま日が暮れてしまった。みかんは『道はどこ!?全然着かねぇじゃん』と泣きながら叫び、左足を骨折しているマリも口では『大丈夫』と言いながら苦痛に顔を歪ませる。
すると、マリを背負うダイブツが口を開いた。
「ここまでだ」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 130/179
「夜がくる ここで朝を待とう」
ダイブツはここで野宿することを提案したのだ。それを聞いたみかんは『イヤ』と震えながら反対し、リョウも『ライトを使えば歩ける』と主張する。しかし、チョウはライトが一つしかないことを告げ、『ダイブツの言う通り夜の森は危険で何より皆疲れている』とダイブツの意見に賛成する。
猿が潜む森で野営しなくてはならない…その事実に皆は恐怖と緊張で身を硬くするのであった…。
第7話~野営することになる一同…そこでチョウが2年前の出来事を皆に打ち明ける
野営することに決めた”リョウちゃんねる”一同は焚火を囲うも、猿の影に怯えており、その表情は暗い。今自分達がどこにいるのかも分からないのだ。
そんな中、リョウが明るく『明日になれば道も見つかる、帰れる、大丈夫』と皆に言うが、それを台無しにするようにえーごが『カトーさんもマッシーさんも隊長さんが死んで…次は誰だろうね』と皆の不安を煽る発言をする。リョウはそんなえーごを叱りつけるが皆は再び怯え切ってしまう。
すると、シマはチョウに『”2年前に猿に会ったことがある”と言ってたのは本当ですか?』と尋ねる。それを聞いた皆は驚き、チョウは少しずつ、”2年前の出来事”について語り出すのであった…。
今でこそフリータをしているチョウだが、実は2年前までは某番組制作会社に勤めていた。そして、そこで『グラビアアイドルに森を探検させる』という深夜番組の企画が持ち上がり、撮影地にする予定だったこの森にチョウと同じ会社の水口、岡、関根の4人で3泊4日のロケハン(事前の現地調査)にやってきたのだ。
主な目的は危険はないか、美味しい”画”が撮れそうかを調べることだったが、ロケハンは特に問題なく2日が過ぎた。そして、3日目。退屈したチョウ達はネットでこの森について『巨大猿を見た』というカキコミがされていたことから面白半分に”ワナ”を仕掛けることにした。
その”ワナ”はシンプルなもので、木から肉を吊るし、下に木の杭を敷いた落とし穴を用意しておくといったものだった。昼間は全く変化がなかったのだが、夕方、突如落とし穴の方から物音がした。驚いたチョウと関根がテントから出て落とし穴の方を確認すると、落とし穴に何かが落ちた形跡があり、中の杭には血がべったりとついていた。しかし、仕掛けていたカメラは壊されていて何も映らなかった。チョウと関根が『クマか?』と話し合っていたその時。
テントのある方から『うわああ』という悲鳴が響き渡る。慌ててチョウと関根がテントに戻ると、そこにはいたはずの水口と岡野の姿がない。その後、チョウ達は警察に通報し、警察や地元の人で数日間捜索がなされたが、水口と岡の痕跡は何も見つからなかった。チョウ達は警察に落とし穴を見せたが警察はロクに調べもせず『熊だろう』と断定し、逆に無許可でワナを作ったチョウ達を叱り、証拠となりえた落とし穴は埋め戻されてしまったのだ。
『数年前にキャンプに来た人たちが猿に襲われ行方不明になった…』その噂はチョウ達のことだったのだ。
チョウの打ち明け話に絶句する一同。チョウはこの出来事にショックを受け仕事を辞めてフリーターになった。しかし、どうしても水口と岡の最後の叫び声を忘れることが出来なかった。そして、この”リョウちゃんねる”のこの森での取材のバイト募集を見て『この森へもう一度だけ戻り真実を探ろう』と決めたのだ。
今日の出来事から『やはりあれは”猿”の仕業だった』と確信したというチョウ。そして、マッシーを殺した落とし穴を見て『猿は自分達が2年前に作った落とし穴から学習しているのではないか』と猿の学習能力について語る。
すると、話を聞いていたえーごが暗い笑みを浮かべながら突然こんなことを言い出す。
「これは”猿の復讐”だ」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 147-148/179
「僕達を車から森へ誘い出し…一人…一人…また一人―…」
「猿は今…復讐を楽しんでいるんだね」
えーごの不吉な発言に一同は凍り付く。そのタイミングで強い風が吹き、焚火が弱まってしまう。リョウはえーごに薪を持ってくるように命じるが、えーごは『自分で行けば?』と冷たく答える。そんな中、シマとダイブツが率先して薪を集め、そんな二人をチョウが手助けする。3人が薪を集めて火にくべたため、焚火は大きくなり、皆はホッとするのであった。
ところが、突然シマが焦った表情で『猿は夜行性でしたっけ?』と皆に尋ね出した。その問いにハッとするチョウとダイブツ。もしも猿が夜行性であれば夜目が利かないということになる…つまり、裏を返せば焚火等で明るくしてしまうと、猿に居場所がバレてしまうのだ。
すると、頭上の木から葉が落ちて来る。シマとダイブツが顔を上げると、そこには木の枝の上に潜む猿の姿があった。
叫び声を上げるシマ。次の瞬間、猿は一同の元に下りてきたかと思うと、持っていた木の棒でみかんの腹を思い切り突いて吹っ飛ばすのであった…。
第8話~猿と戦うシマとダイブツ
思い切り猿に木の棒で腹を突かれたみかんは吹っ飛び、うめき声をあげて倒れる。
一同は悲鳴を上げ、特にえーごはパニックを起こして一人森の暗闇の中に逃げていく。しかし、猿はえーごの事を追う様子は見せない。
それを見たシマは『やはり猿は暗いと見えない、火から離れて暗い森に逃げ込もう!』と皆に叫び、倒れているみかんを助けに行く。
すると、そんな中、ダイブツが一人猿に向って行く。慌ててマリが止めようとするが、猿の前で拳を構える。そんなダイブツに猿もまた襲い掛かる姿勢を見せる。
そして次の瞬間、猿がダイブツに飛び掛かった。しかし、ダイブツは猿の顔面を右腕で強く殴りつけ、猿を吹っ飛ばしたのだ。驚く一同。その隙にチョウとシマが慌てて焚火を消す。
だが、猿はすぐに体勢を立て直すと凄まじい力でダイブツに掴みかかり、ダイブツは地面に押し倒され、今にも噛みつかれそうになる。
ダイブツが窮地に陥ったその時、シマが猿が持っていた木の棒で猿の後頭部を打ち付け、猿をダイブツから引き離した。
その隙に起き上がったダイブツと木の棒を構えたシマ…二人を見て分が悪いと感じたのか、猿は暗闇の方へ立ち去って行った。
焚火も消え、辺りは真っ暗になった。息を切らすシマとダイブツ、腹部の痛みに呻くみかん…唯一、リョウだけがカメラを見て喜んでいた。
「逃げていきやがった!!ハハ!!勝ったぞ」
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 174/179
「スゲー!!スゲーぞダイブツ!!」
そう言ってダイブツを褒めるリョウ。しかし、ダイブツは肩に引っ掻き傷を負ってしまっていた。
そして、シマとダイブツはあることを確信していた。…これで終わりなはずがないと。
陽が昇れば”猿(ヤツ)”はまた来る!!
モンキーサークル1巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 176/179
猿による惨劇はきっとまだまだ続く…”リョウちゃんねる”の一同は不安な面持ちで森の闇を見つめるのであった…。
以下、感想と考察
B級ホラー感全開の”モンキーサークル”
『モンキーピーク』の”正統外伝”と銘打たれるこの作品。登場人物は完全にモンキーピークとは関係の無い人達ばかりで、舞台は山ではなく、森。原作者も画も一緒だが、”動画配信者”という今風な設定や典型的な“イキった陽キャ”感のあるリョウの存在のせいか、『モンキーピーク』よりもB級ホラー感がある。別にけなしている訳ではない。これはこれで好き。マンガの絵が”●REC”の点いたハンドカメラの様子になるのもいい感じ。
しかし、既に10人中、3人が死亡している。これはダメな『カメラを止めるな!』状態。『カメラを回すな!』だ。さっさと逃げろと言いたいところだが、それを言ったらホラーやサスペンスは成立しなくなってしまう。
…果たして何人生き残れるのか??
この猿と”岩砕山”の猿の関係は?
この『モンキーサークル』の良心的な所は『モンキーピーク』の”正統外伝”と言いながら『モンキーピーク』を知らなくても読めるところだと思う。
しかし、『モンキーピーク』を読んでる身としてはこの2作品の関係が気になる所。…だってこの森に出てくる猿人って”岩砕山”に出てくる猿と見た目そっくりなんだもん。夜目が利かず基本的に夜に行動しないのは”真の猿”と同じ…つまり、人ではない、本当の猿ということだろう。
詳細はこちら
→モンキーピーク、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり
果たして、この森の猿と”岩砕山”の関係は…??
次の記事はこちら
→【漫画】モンキーサークル2巻・最新刊・最終巻【感想・ネタバレ・考察】絶望と惨劇の樹海…迎えるラストは…!?そして、3年後の話とは…?