メロンを討つために動き始めるレゴシとシシ組。そんな中、大学の講師という表の顔を持つメロンは大学でハルと接触しハルに対して執着を持つ。
そんな中、諸事情あって体毛が真っ白になってしまったレゴシはメロンにハメられて警察から追われる身となってしまった。窮地に陥ったレゴシが逃げ込んだ先は何と退学したチェリートン学園であった…。
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→【漫画】BEASTARS(ビースターズ)17巻【感想・考察(ネタバレあり)】ハルに忍び寄るメロンの魔の手~そしてレゴシは全身の毛が真っ白に…!?
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Contents
以下、あらすじとネタバレ(感想混じり)
第152話~肉食と草食が別学に…断絶し空気が悪くなってしまったチェリートン学園
警察に追われる身となったレゴシは真っ白になってしまった毛色が換毛期で元の灰色に戻るまで匿って欲しいとイヌ科701号室の面子に頼み込む。ジャック以外は『レゴシが寂しくなってみんなに会いに来ただけ、下手な嘘を吐いている』と思い、大喜びして迎え入れる。…付き合いの長いジャックはレゴシが言っていることは本当だと分かるんだな。
しかし、レゴシがいない間に学園は様変わりしてしまっていた。
「お前 知らなかったのか」
BEASTARS 板垣巴留18巻 12-13/204
「チェリートン学園は今年から肉食草食完全別学になったんだ」
…確かに8巻の時点で『来年度から肉食と草食でクラス分けをして完全別学とする』って言ってたもんね。実現しちゃったんだ…。
しかし、肉食草食が別学になった学園の雰囲気は良くなるどころか悪化。草食獣がいないのを良いことに肉食獣は学校内であるにも関わらず堂々と”裏市”の話をするようになり、また肉食獣との関りが減った草食獣の生徒は以前よりも肉食獣に対して怯えているような暗い表情を浮かべている。…リアルだな。人種・民族の軋轢を避けるために“棲み分け”がよく使われるけど、それって相互理解の機会を奪ってしまうことになるんだよな…。
更に、ジャックは3年生になって学力上位5匹までしか入れない”特進クラス”に入ったというのだが、学園の空気のせいか、勉強のストレスなのかどこか元気がなかった。
そんな変わってしまった学園をうろついていたレゴシはピナと再会。…ピナ君相変わらずの美少年ぶり…というか美しさに磨きがかかったのは気のせい??
ピナに連れられて演劇部に向かったレゴシ。皆はレゴシを歓迎したものの、何故か勉強会をしている部員達。驚くレゴシに部長になったビルが説明する。今は種族合同の部活は活動停止状態にあり、部員が次のテストで良い成績を取ることが活動再開の条件だと言うのだ。活動再開に向けて団結して勉強する部員達。そんな彼らを統率するビルが思っていた以上に部長らしいことにレゴシは感動する。…キビとタオが仲良く勉強していることに救われる。
するとビルはレゴシにこっそり未だに月に一度は“裏市”に通っていることを明かす。しかし、『演劇部の草食達が好きだからこそ、この秘密を守り通す。それが自分のスタンスだ』と言い切る。かつては互いの主義を巡って殴り合いの大喧嘩をしたレゴシとビル。しかし、今立派に皆をまとめるビルを見たレゴシは『お前はよくやっている』と認めざるを得ないのであった…。
しかし、その頃“特進クラス”に選ばれエリートの道を進んでいるはずのジャックは、部屋で一人、イヌ科にとって猛毒のタマネギを手に取り見つめているのであった…。
…ジャックが、自殺を謀ろうとしているだと!?
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第153話~特進クラスで精神的に追い詰められたジャックにレゴシは…
夜、廊下から共に外を眺めるレゴシとジャック。ジャックは『レゴシの遠吠えを聞いてみたい』と笑う。しかし、ジャックは表面上明るく振る舞っているが幼馴染のレゴシにはジャックが本当は元気がない事が分かっていた。
レゴシが問い質すとジャックは『特進クラスの授業に疲れてしまっているだけ』と言い、特進クラスの実態について語りだす。何と、成績上位者5匹で構成されている特進クラスは5匹ともイヌなのだという。
『イヌは知能が発達する様に作られた唯一の種族だから当然と言えば当然』…そう自嘲気味に語るジャック。そして、特進クラスでは学園の教師すら知らない、”本当の”歴史や獣社会の仕組みを教わり、そのあまりの悲惨さにジャックは押しつぶされそうになっているのだ。しかし、ジャックも他のイヌ達も授業が終われば何事も無かったかのように笑顔で別れるのだ。
「こんなにつらいのに…僕が何も憎めないのはどうして?」
BEASTARS 板垣巴留18巻 34/204
「泣いて逃げ出せないのはなんで?」
「イヌは負の感情を抱かないように作られているからだ」
そう考えたジャックは最近玉ねぎと包丁を持ち歩いて、感情を取り戻すべく強制的に涙を流しているのだという。驚いたレゴシは玉ねぎと包丁を取り出したジャックを止めようとするが、ジャックは玉ねぎを刻みながら泣きながら『このままだとイヌが獣社会を支配し、独裁するようになる』と叫ぶ。合理的な思考をするように作られているイヌは必要とあらば平気で殺戮もする…そうジャックは悲観しているのだ。『ジャックが怒れないのはイヌだからではなくジャックだから』と言うレゴシに『なんでそんなこと分かるの!?』と号泣するがレゴシはジャックの玉ねぎを刻む手を止めて『一緒に育ってきたから』と言う。
しかし、その言葉にジャックが密かにレゴシに対して抱いていたコンプレックスが爆発する。…以前からジャックはイヌの祖先たるオオカミであるレゴシに強いコンプレックスを抱いている描写があったからな。大きな体躯に強い心、そして自由な生き方…自分とはまるで違うレゴシからのその言葉にかえって反感を抱いてしまったジャックは勢いで玉ねぎを飲み込んでしまう。反抗期のつもりのジャックだがイヌに玉ねぎは洒落にならない毒なため、レゴシはジャックの口に手を突っ込んで強制的に吐き出させる。そんなレゴシに対してジャックは苦しみながらもこう思い出すのだ。
いつもそうだ こいつ ずっとそうだ レゴシは傲慢で…強くて
BEASTARS 板垣巴留18巻 43/204
僕を苦しませながらも…生かしてくれる存在で…
小学校時代ジャックとレゴシが喧嘩し、先生から『仲良くしなさい』と言われた時、二人は『できるでしょうか?』と答えた。その時のことを思い出したレゴシは『今だったら”そうですね”』と答えると言う。そんな昔のことを話し合っている内に互いに気がほぐれていくレゴシとジャック。するとレゴシは『ジャックが初めて本音をぶつけてくれたから…』と月夜に向かって遠吠えをする。
世界一格好良い
BEASTARS 板垣巴留18巻 46/204
僕のご先祖
レゴシの遠吠えを初めて聞いたジャックはそう思い。レゴシに特進クラスで教わったことを伝えることにするのであった…。
…ジャックとの友情回。自分の”オリジナル”に当たる存在が身近にいるって結構しんどそうだな。多分このコンプレックスって一生無くならないんだろうけど、それでも何だかんだとすぐに仲直りできるジャックとレゴシの関係っていいな。
第154話~”生命動物”と”自然動物”…ジャックが語る獣人社会の本当の歴史
翌日食堂でジャックはレゴシに特進クラスで習った獣人社会の”本当の歴史”について語る。
大昔、肉食獣がまだ”生命動物”と呼ばれていた頃の話。彼らの当時の体格は平均300㎝、200㎏と現在の肉食獣とは比較にならないぐらい大きかった。彼らは知能や仲間意識こそあったものの非常に凶暴で互いに殺し合い、勝った方が負けた方を食べて暮らしていた。互いの命を食べ合うために”生命動物”と呼ばれた彼らは、その生活のため、数は増えず文明も発展しなかった。
そんなある時、”生命動物”は今の草食獣の祖である”自然動物”に出会った。
意外なことに”生命動物”は”自然動物”を取って食うことはせず、それどころか守るべき対象として認識したという。そして、元々繁殖力が高くて繁栄していた”自然動物”が”生命動物”を受け入れていった結果、獣社会は目覚ましい発展を遂げていった。そして、”自然動物”が生み出す卵や牛乳でタンパク質を取るようになっていった”生命動物”は徐々に気性も穏やかになり、体格も現代のものに近づいて来たという。
しかし、その後…今から100年前に”肉草大戦”と呼ばれる肉食獣と草食獣の大きな戦争が起きた。圧倒的な力を持つ肉食獣を怖れながらも同胞を食われた憎しみを胸に向かってくる草食獣。そんな草食獣に『降伏してくれ、このままだと食べ尽くしてしまう。償いはするから』と訴える肉食獣。戦争が泥沼化していたその時…。
「おっ………っきなクジラが現れて そのクジラが戦争を止めたんだって!!」
BEASTARS 板垣巴留18巻 60/204
「クジラのあまりの巨大さに全部バカバカしくなって草食側が降伏して終戦したの」
真面目に途中まで話を聞いていたレゴシ。しかし、”大きなクジラ”というファンタジーめいた存在が出てきたことに困惑し、微妙な反応をしてしまいジャックを怒らせてしまうのであった…。
一方、その頃…壮獣ビースターのヤフヤは水面の足場に跪き、びしょ濡れになりながら海洋語である相手にこう語り掛ける。
「御年400歳とは思えない見事な潮吹きでございますね」
BEASTARS 板垣巴留18巻 62/204
ヤフヤが今、”首脳会談”をしている相手こそ、ジャックの言う戦争を終結させた巨大なクジラなのであった。『今の獣社会の問題を解決するために、あなたが戦争を終結させた言葉を教えてほしい』…そうクジラに懇願するヤフヤ。しかし、『もっと陸の生物が仲良くならないと教えてあげない』と言って引っ込んでしまうのであった。一方的に”首脳会談”をお終いにされてしまったヤフヤ。ずっと尋ね続けているのに未だに”戦争を終結させた言葉”を教えてもらえないのであった…。
…おおお、この先の展開で”海洋社会”が大きなカギを握るのかな?今まで海洋社会については外国…位の認識しか持っていなかったけど。
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第155話~食べようとした卵から出てきた雛鳥を育てることになったビルは…
現在演劇部の部長となったビル。それは卒業する時にルイが突然指名したのだ。色々と問題を起こし、ルイともひと悶着あったビル。まさか自分が指名されるとは思わず、『なんで!?』と尋ねる。しかし、それに答えたルイの声はやたらと小さく、ビルは未だにルイが自分を指名した理由が分からなかった。
ある日、部活前に軽く腹ごしらえをしようとしたビルはカップ麺(油そば)に生卵を割って落とそうとした。しかし、生卵を割ったビルは悲鳴を上げる。
卵から出てきたのは孵りかけの鶏の雛だったのだ。
ショック卵きたーーーー!!
BEASTARS 板垣巴留18巻 71/204
無精卵として販売されている卵の中に、生産元のメンドリのプライベートの事情で有精卵が混入してしまう事…非常に稀なこのケースは”ショック卵”と呼ばれているのだ。
…うおおおお、これは本当にショック…。生の半孵り卵…バロットが突然出てきたようなもんだもんな。そして、”ショック卵”って響きが地味に面白い。というか本当に細かい設定が凝っているし面白いよな。
しかし、自他とも認める”クズネコ”のビルは『普段卵でタンパク質取ってるんだからこのヒナを食べるのはセーフか?』『食べたらメチャクチャ旨いんじゃないか?』『弱ってそうだしどうせ死ぬだろう』と葛藤する。しかし、その様子をピナに目撃されてしまう。
…ピナ君はどうしてこうも良いタイミングに居合わせるんだろう…。
ピナはビルが雛を食べるのならば『勉強になるし』とその様子を見たいと言うが、同時に『同級生を食べたリズさんが少年院にいるけど、鶏の未熟児を食べたビル先輩が平和な学園生活を送り続けることができるのは不公平』と咎める。そんなピナを前に当然ビルは食べることが出来るはずもなく、ピナと共に雛を救出することになるのであった。
しかし、医務室は丁度サイに踏まれたチンチラの生徒の救出で大騒ぎでとても頼れる様子ではなく、ネットの情報を元に雛を保育しようとするが、どんどん弱っていく。困った二人は同じ鳥類であるハクトウワシのアオバに頼る。アオバの身体で温められたのが良いのか、アオバを母親だと思って安心したのか、雛はどんどん元気になっていく。かくして、雛が外に出しても問題無いくらい成長するまでビルとピナとアオバの三人は雛の世話をすることとなった。
しかし、雛が元気になり情が湧いてくるとビルは一度は食べようとしたことに罪悪感が募っていく。
「なぁ……ごめんな」
BEASTARS 板垣巴留18巻 82/204
「何が…とは言わねぇよ 言葉にした方が失礼になることもあるだろ」
ある晩こっそり雛にそう語り掛けるビル。時々自分のことが怖くなるビルだが、自身を怖れる様子を見せず懐いて来る雛の事を愛おしく思う様になっていた。
その後、ビルはルイの夢を見て、ルイが部長に指名してきた時に何と言っていたかを悟る。
「ネコ科に悪い奴はいない バカだから」
BEASTARS 板垣巴留18巻 83/204
情が移らないようにするため名前をつけなかったビル達。雛が元気になると交番に託すのであった。ビルは別れ際、『顔を覚えておく』と言って雛を見つめ、その様子を瞼に焼きつける。
別にこの体験をしても”裏市”通いはやめるつもりはないビル。しかし、『運悪くあいつが裏市に流れてきたら嫌だから一生トリ肉は食べない、油そばも!!』と言ってピナとアオバに呆れられるのであった…。
…普通に良い話かつビル回。ビル好きだから嬉しい。アオバも久々に見た気がする。
第156話~“メニクの日”で裏市にかつての熱狂を取り戻すメロン
イブキの墓参りに来たシシ組のフリーとドルフ。フリーは最近の”裏市”が荒々しさを失って丸くなってしまったことを『気味が悪い』と愚痴っていた。…イブキさんの戒名が”獅子眼鏡”って直球過ぎる。もうちょっと考えてあげて…。
しかし、今日の”裏市”は”メニクの日”であった。”メニクの日”とは”愛肉の日”。”裏市”で月末の金曜日に設けられる『肉を愛しましょう』という趣旨の祝日である。そして、その日は同時に”裏市”を仕切る4つの組織の縄張り争いの火でもあるのだ。“裏市”に集合したコモドオオトカゲで編成されるドク組、キタキツネのメスで構成されるイナリ組、ヒョウのマダラ組、そしてシシ組…それぞれの組が”メニクの日”では構成員の血を染み込ませた松明を掲げて匂いを放ち縄張りを主張するのだ。
しかし、一度はルイの元で勢いを取り戻したシシ組だが最近ではまた威力が無くなってきていた。そして、現在ではイナリ組が勢力を拡大しているのであった。…イナリ組のボス、カッコかわいい…。女マフィアに眼帯でチャイナ服ってなかなか素晴らしいですね…。
『今最も裏市で信頼が厚いのはメスで編成されたこのイナリ組。シシ組の匂いは弱くなってきている』とシシ組達を挑発する様に言うイナリ組のボス。ドルフに対して『若い雄鹿をボスにしたのは革新的だったけど、優しくなり過ぎた』と指摘する。
すると、そこにやってきたメロンは『シシ組の臭いが弱いのは確かだ』と認め、突然横にいたドルフの首をナタで掻き切る。ドルフは首から大量の血を流し倒れる。
「どうだ?辺り一面…ライオンの匂いで充満してきた」
BEASTARS 板垣巴留18巻 104-105/204
「これで今夜から裏市は…シシ組のものだろう?」
メロンの突然の凶行に一瞬辺りは静まりかえるも、『皆目を覚ませ、肉を愛してるから裏市にいるんだろ!?』という掛け声で群衆は熱狂していく。倒れたドルフを囲んだフリー達シシ組のメンバーは『シシ組!シシ組』というコールを聞きながら呆然とする。
かくしてメロンのこの行動で一晩で“裏市”にかつての熱狂が戻る。その様子を離れた所からゴウヒンが心配そうに眺めているのであった…。
…え?ドルフさん死んじゃったの?うそ…。そして、メロンみたいなサイコパス野郎って『おれ達にできないことを平然とやってのける!そこにシビれるあこがれるぅっ』て感じで妙なカリスマ性あるよね。
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第157話~ルイの存在の大きさを改めて実感したレゴシ…一方、ルイは一人”裏市”に足を運ぶ
ルイは父オズマに婚約者アズキと上手くいっていないことについて咎められる。レゴシやジュノ、そしてシシ組の事などを打ち明けられず誤魔化そうとするルイにオズマはつい『本当の親子じゃないから』と言ってしまう。…オズマパパ、本当はルイの事大好きなのに…。言葉選びを間違えてしまったことを自覚しながらも謝ることができない。そして、そんなオズマにルイも『ご自分が子どもを作れない体だから…』と言い過ぎてしまう。…うわあ、気まずい。
「変わってしまったなルイ」
BEASTARS 板垣巴留18巻 120/204
“裏市”で刻まれた右足裏の『4』という商品番号を失ってから肉食獣への対抗心を失って半端になってしまった…そう父オズマから指摘されたルイは何も言えないのであった。
一方、その頃チェリートン学園に潜伏していたレゴシであったが、無事に換毛期を迎え、真っ白になってしまっていた毛が元の灰色に戻ったため学園から去る事にする。…白レゴシ期間短かったな…。しかし、そこで演劇部がバスケ部に絡まれているところに出くわす。『未だに肉食草食混合でで共存共栄と言いながら部活動をしているなんて気持ちが悪い』『演劇部が強豪だったのはアドラーを演じるルイがいたからに過ぎない』と絡みまくるバスケ部の草食獣達。
…種族合同の部活動の活動休止については演劇部だけじゃなく、野球部とか柔道部とか漫研も反発してたはずじゃあ…広報部とかもさ…。彼らはどうしているのだろう?まだ頑張ってるのかな?屈してしまっっているのだとしたら悲しい。
すると、そこにアドラーの面で顔を隠したレゴシがアドラーのセリフを言いながら(噛み噛みだけど)割って入る。驚いて逃げるバスケ部達。レゴシは『もう正式な部員じゃないから出しゃばるのはどうかと思ったけど…』と演劇部員達に顔を晒し詫びるが、エルスが泣きながらレゴシに抱き着く。
「ルイが現れたのかと思った…」(中略)
BEASTARS 板垣巴留18巻 129-130/204
「ビースターになったルイが…助けに来てくれたのかもって」
学園内も外の街も日に日に緊迫し怖くなっていく…そう不安を訴えるエルス。その様子を見たレゴシは改めてルイの存在の大きさを実感するのであった。
一方、その頃ルイは”裏市”にいた。”裏市”が自身が売りに出されていた幼少期の様な活気と煌びやかさを取り戻している事に驚くルイ。そんなルイは草食獣として危険を守るためにある工夫をしながら歩いていた。
「ま…俺が考えうる中ではこれが一番安全な裏市の歩き方だ」
BEASTARS 板垣巴留18巻 132/204
ルイは売り物を装いながらも”1億円”と書かれた値札を首に掛けながら歩いていた。その高値と右足が義足であることから、肉食獣達は近寄ってこないのあった。…ルイ、頭がいい…。
第158話~ボロボロの2匹なら”ビースターズ”になれる…ルイにそう言うレゴシ
幼少期、同じ”生き餌”として売られていた子供達と身を寄せ合って暮らしていた日々を思い出しながら”裏市”を偵察するルイ。右足の義足と”1億円”の値札が功を成し、肉食獣に絡まれずに済んでいる…と思いきや、そこにやってくるレゴシ。レゴシはビルから『裏市の様子がおかしい』と聞いてたまたまやって来たのだ。…本当にこの二人は縁で結ばれてますね…。
”裏市”はシシ組とメロンと書かれた旗が掲げられ、今まで以上に危険な熱気を漂わせていた。
レゴシの事を鬱陶しく思いながらも、せっかくだからと自身が売られていたタワーの跡地に案内する。既に廃業しているらしく廃墟と化しているタワー。そこでルイは自身の生い立ちをレゴシに打ち明け、『お前に右足を食べられたことで自分は変わってしまった。いっそのこと全部食ってお前にも変わり果ててほしかった』というやるせない思いをぶつける。そんなルイにレゴシもまた『自分もあの食肉で変わってしまった』と言い返し、こう述べる。
「可能性もチャンスも身も心もどんどん削られていく…それでも今の自分が一番」
BEASTARS 板垣巴留18巻 145/204
「”生きる”って…そういうことなのかもって」
…うわあ、このセリフって大人になって若さを失いつつある身としてはかなり刺さるな…。
『ルイさんが変わってしまった責任は俺が取ります』と言うレゴシに困惑し反発するルイ。レゴシはそんなルイに『あのメロンという男を止めないと裏市が悪化して表社会も荒れてしまう、このままでいいんですか?』と問いかける。ルイもどうにかしたいと思ってはいるものの、自分の気持ちを上手く言葉に出来ない。
そして、そのままタワーの頂上にエレベーターで昇ったルイとレゴシ。そこで”裏市”の風景を見たルイはかつて父オズマに引き取られた際、この景色を見せられ『君ならこの世界を変えられる』と言われた時のことを思い出し、その時のオズマの横顔が傍らのレゴシの横顔に重なる。
レゴシはなおも『2匹で手を組んでメロンを捕まえましょう』と誘う。ルイは『前科持ちと義足の2匹で何ができる』『そんなのはビースターの仕事だ』と答える。すると、レゴシは『そう、俺たちはビースターじゃない』と認めながらもこう言う。
「こんなボロボロの2匹だ でも2匹なら…!!」
BEASTARS 板垣巴留18巻 149-151/204
「ビースターズ…なら…」
レゴシの言葉に動揺するルイ。するとタワーのエレベーターの底が老朽化で抜けてしまい、二人は真っ逆さまに落ちてしまう。そして、二人が落ちた先はベッドだった。何者かが生活しているような空間。そこには、ルイの”生き餌”時代の仲間だったウサギとアルパカがいるのであった…。
…ここでレゴシの口から”ビースターズ”という単語が出てくることに感動を覚える。レゴシ、祖父のゴーシャとヤフヤの関係を知っているわけではないだろうに、自然に出てきた感じなのかな…。ゴーシャとヤフヤはなれなかったわけだけど、レゴシとルイが手を取り合って”ビースターズ”になるのだろうか?
第159話~タワーの底に暮らしていたかつてのルイの仲間、キューとサン
タワーのエレベーターから落ちたルイとレゴシ。落ちた先にはルイの”生き餌”時代の仲間であるメスのウサギとアルパカ?のオスがいた。
…オスの方はアルパカでいいのかな?そしてこのウサギ、垂れ耳で鼻が黒いのだけどドワーフロップイヤーかしら?
しかし、2匹はルイに気付かず、アルパカの方がルイを捕え口を塞ぎ、ウサギは耳に隠し持っていた二口の短刀でレゴシに襲い掛かる。レゴシは相手がメスのウサギであることから殴ることも蹴ることも出来ない。『裏市では不法侵入者は片目を抉られる決まりだ』と言って巧みに縄を操りレゴシの首を絞め上げ、ナイフを目に突き刺そうとするメスウサギ。自由が利く足でメスウサギのズボンと下着を下ろすという変態的な攻撃をするも、メスウサギは一切怯まない。
窮地に陥るレゴシとルイ。しかし、間一髪のところでメスウサギがルイを見てかつての仲間であることに気付き、事なきを得るのであった。
ルイがオズマに買われていった後、タワーが廃業するまで生き延びたという2匹。メスウサギの方は足裏の番号のまま、”キュー”、オスアルパカは”サン”と名乗り、今はここを住処にして”裏市”の見世物闘技場でファイトマネーを稼いで生きているという。
サンは相手の弱点を見抜くことに長け、キューは圧倒的な身体能力を持っていると言う。そして、キューはレゴシに対して『動きは悪くないが、メスウサギに対して情けをかけわざと攻撃を外し、殺されかけた』と辛辣な物言いをするのであった。
…よく漫画でも女に対して破廉恥な攻撃をして怯ませる…みたいなのあるけど、本当に戦い慣れしている相手に対しては絶対に通用しないよね…。
第160話~”イマジナリーキメラ”を作り出すことを説くキュー…レゴシの作り出したイマジナリーキメラは…?
レゴシとルイがメロンを追っていると聞いたキューとサン。二人も今メロンのせいで”裏市”が荒れている事は知っていた。
レゴシは自身の戦闘の弱みを初見で見抜いたキューに対して『異種族との戦いの心得を教えて下さい』と懇願する。しかし、『草食獣を憐れむお前が嫌いだ』と一蹴されてしまう。見かねたルイがレッスン代を払う事を提案するが、キューは『金目のものに興味はない』と言って、ある条件を出す。
「たとえばこの場で私を一発全力で殴ることができたら考え直してやるか」
BEASTARS 板垣巴留18巻 179/204
自分と対等に立ち会う気概を持った肉食獣が好き…そう語るキュー。しかし、レゴシは困惑する。それは、キューが女性であり、草食の小動物でウサギであることが原因だが、何よりも『正直可愛いから』であった。レゴシはハル以外に初めて異性に対する魅力をキューに感じたのだ。
…レゴシがハルを好きな理由…他のウサギに対して欲情するのかといった点はやや曖昧だったけど、レゴシはやっぱり草食フェチでそんでもってウサギにしか欲情できないタチだったのか…。
レゴシはためらったものの『キューさんを殴って強い変態オオカミになる』と決意し、再びキューと対戦することにした。
改めてキューと対峙したレゴシはキューが使う二口の短刀と縄に着目する。すると、キューはこう語る。
「闘う時には必須だ 私の戦法…」
BEASTARS 板垣巴留18巻 182/204
「”イマジナリーキメラ(想像上合体獣)”には」
…何か新しい、それもバトル漫画っぽい用語が出てきた!『自分に無いものをイメージで補って戦う』…そう説明するキュー。肉食獣への憎悪と嫉妬を募らせてきたと言う。
「これくらい強力なイマジナリーキメラに必要なのは…」
BEASTARS 板垣巴留18巻 183-184/204
「異種族への思いの強さだ」
するとレゴシはキューの前に大きな鋭い爪を持つ獣(ムキムキででかくなったキュー)の姿が見え、圧倒されるのだ。…なんか強そうなの出てきた。スタンドみたいなのが出てきた!
少し離れたところでレゴシの様子を訝しむルイ。そんなルイにサンが『イマジナリーキメラは対戦相手としか共有ができない』『実際はキューが縄を回して獣体感覚を大きく見せ、短刀で爪を再現している』『自分の生体に強烈なコンプレックスを持っていればいるほど強いキメラを作り出せる』と解説する。…この解説の仕方といい、なんだかバトル漫画っぽくなってきたぞ。
立ちすくむレゴシにキューは『お前に私と同等の執念があるなら見せてみろ』と迫る。そう言われたレゴシは『俺の執念とは?』と考える。肉食と草食の共存、平和…色々な大義が浮かんでくるが、レゴシは自身が一番望んでいる事がハルと結ばれることだということをハッキリと自覚する。
その瞬間、レゴシのイマジナリーキメラが姿を現す。それは、レゴシがそのままウサギになったような姿であった。…え、背は高いけどすごい弱そうなんだけど大丈夫??
何はともあれその状態でキューに殴り掛かったレゴシ。しかし、結局すんでのところで外してしまう。キューは『どうせ外す気はしていた』と言うもイマジナリーキメラを出せたレゴシを評価し『全力で殴られるまでは気が済まないから毎日来い』と言うのだった。そしてもう遅いこともあり、レゴシとルイはサンにタワーに泊っていくように言われる。
タワーの牢屋で一人横になったレゴシはイマジナリーキメラについて考え、自分が出したそれが自身とハルの未来の子どもなのではないかと思い始める。
すると、気付かぬうちにレゴシの傍らにキューが座り込んでいた。驚くレゴシに『隙だらけだ』と呆れるキュー。『キメラの出来は良かったのに何故レゴシが攻撃を外したのか』を考えたというのだ。
「多分…お前がまだ女を知らないからだろ」
BEASTARS 板垣巴留18巻 194/204
そう言うとキューは着ていたジャージを脱ぎ始めるのであった…。
以下、感想と考察
レゴシとルイは”ビースターズ”になれるのか
以前、レゴシの祖父ゴーシャと現壮獣ビースターであるヤフヤが二人で”ビースターズ”として社会を救おうとしていたが叶わなかった事が描かれていたが、奇しくもレゴシもルイに『共にビースターズになろう』と言い出した。これは胸が熱い展開である。
というのも、序盤でルイ(とジュノ)が『ビースターになる』と言ってはいたものの、その後ハルの誘拐事件→ルイがシシ組へ→リズとの決闘でビースターという設定が少々薄れてきていて、さらにルイが卒業間近にビースターの地位を蹴ってしまい、レゴシへの恋を諦めたジュノがその後ビースターを目指しているのかもよく分からなくなってしまった。
ヤフヤという”壮獣ビースター”という存在が出てきたけど、レゴシやルイからは程遠い存在で、何と言うか”ビースター”がどんどん話の主軸から外れて行っている気がしていたので、ここでタイトル通りに”ビースターズ”が主人公の口から出てきてくれたのが嬉しい。正直、『このマンガの着地点ってどこなんだろう』とか思っていたから、『レゴシとルイがビースターズになる』という方向でまとまってくれると嬉しい。
とはいえ、前科持ちのレゴシと一度はビースターの座を蹴ってしまったルイがビースターズになるのは難しそうだけどね。何らかの納得がいく事の運び方になるのか、それとも公的な地位は無いけど『気持ちと誇りの上では”ビースターズ”』みたいになるのか。
大丈夫!?バトル漫画にシフトしない!?
しかし、突然”イマジナリーキメラ”という概念が出てきて正直戸惑った。だってメチャクチャバトル漫画っぽい設定なんだもん。
キューはイマジナリーキメラについて師匠から教わったと言っているけど、絶対にその師匠とやらもこの先出てくるよね。『裏市で戦い方を教えてくれるって??』と思った時に最初に思い浮かんだのはゴウヒンだったけど、ゴウヒン先生は散々レゴシに特訓を課したのにそういった話を全くしてくれなかったから、ゴウヒンではないのだろうな。
そして、『イマジナリーキメラは自分の生体にコンプレックスを抱いているほど強くなる』とか言ってるけど、それじゃあメロンも絶対に強いイマジナリーキメラ作れそうじゃない!?最終的にレゴシとメロンがスタンドバトルならぬキメラバトルをおっぱじめる感じになっちゃうんじゃないかと少々心配だ。このまま、バトル漫画に転向しなきゃいいけど!!
『BEASTARS』19巻の展開、発売日は?
『女を知らないから悪い』みたいな感じでキューにレゴシが迫られたところで終わった18巻。いつ頃19巻が発売なのかは載っていなかった。普通に行けば3か月後の2020年7月8日とかなんだろうけど、このコロナ禍だからなあ…どうなるんだろう。