控訴審2回目が終わり、可憐な出で立ちで新証言を繰り出す真珠は徐々に世間からの同情を集め始めていた。
そんな中、久々に真珠の元へ面会に行ったアラタは何気ない思い出話から『止まった時間を動かす』という言葉を口にする。すると真珠は突然動揺し、『僕が待っていたのはアラタだ』と言い出す…。
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真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
戸惑うアラタをよそに、幸せな妄想に浸り涙を流す真珠
アラタの父親の思い出話の中で出てきただけに過ぎない『時間を動かす』という言葉。しかし、その言葉に真珠は食い付き、突然『アラタこそがずっと待っていた人だ』と言い出した。一体どういうことか分からず困惑するアラタに、真珠はさらに『“ここにいたんだ真珠ちゃん”、“捜したんだよー”と言ってみて』と言い出す。アラタは戸惑いながらも言われた通りのセリフを口にする。
「ここにいたんだー」
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「真珠ちゃん捜したんだよー」
すると、真珠の脳内にある光景が広がる。
ランドセルを背負いながら一人歩いている幼い真珠。そこに同級生達が手を振りながら追いかけてくるのだ。幼い真珠は振り返り、喜び涙を流しながら両手で手を振り返す。同級生達はそんな真珠を優しい笑顔を浮かべて取り囲むのだ。
「―みんな、」
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「真珠はここだよ――」
「…早く、早くおいでよ……」
「ずっと、待ってたんだから……」
涙を零しながらそう言って項垂れる真珠。その言葉が誰に向けられているか分からないアラタはただただ戸惑うのであった…。
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真珠の様子に怖気づいたアラタは手紙の主が自分ではないことを暴露してしまう。しかし、そんなアラタに真珠はある爆弾発言をして…
項垂れていた真珠だったが、すぐに顔を上げるとアラタに向かってこう言う。
「ボクを見つけてくれて、……ありがとう、アラタ。」
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どこか憔悴した様な笑みを向けてきた真珠。だが、その真珠の表情を見たアラタは鳥肌が立った。つい先ほどまで何を話しても死んだような眼をして暗い顔をしていた真珠だったが、今は強い光を目に宿している。そして、その眼はアラタだけを捉えていた。真珠が未だかつてないほど自分に強く執着していることに気付いたアラタは本能的に『ヤバい』と感じたのだ。
真珠と距離を取らなくてはいけない…そう考えたアラタは思い切って『実はあの手紙はぶっちゃけ俺じゃねーんだ』『近所の中学生のイタズラで、俺はその後始末を頼まれただけなんだ』と告白する。だが、最初からアラタが文通相手ではないことを察していた真珠は『いまさらだね、だから?』と笑い全く動じる様子を見せなかった。
焦ったアラタがさらに『だから俺はお前の夫ではあるけどお前が待っていた運命の人じゃない』と叫ぶと真珠は薄い笑みを浮かべたまま『あの頃ボクが住んでいたアパートの近くに…』と突然話題を変え始める。
事件当時、古くてボロボロぼアパートに暮らしていた真珠。しかし、その近くで新築住宅が建設中だったという。施工主は赤子を連れた若い夫婦で、工事の進行具合を見に来ていたという。
まだまだ小さい赤子を抱っこ紐で支え、笑顔を浮かべる妻。職人たちに買ってきた飲み物を差し入れる夫…。その”すてきな家族”に”かわいい家”は自分には一生縁がないもの…そう真珠は感じたという。
「面白いから、」
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「基礎の下に”足”を埋めちゃった♡」
真珠は笑顔でそう言うのであった。
突然遺体の隠し場所を暴露した真珠に唖然とするアラタ…しかし、その直後真珠は突然拘禁反応を起こし始める
突然、二人目の被害者の遺体の隠し場所を暴露した真珠。世間話をする様に軽い調子で『あの夫婦は床下に死体があるなんて知らずに済んでるんだろうな』と語る。そして、あまりのことに絶句しているアラタに『昨晩急に思い出したの。アラタは特別な人だから真っ先に教えてあげる』と笑ってみせるのであった。
我に返ったアラタは『”首”はどうなんだ!?』ともう一つの見つかっていない遺体…山下卓斗の父、山下良介の首の在処を尋ねる。だが、真珠は『忘れた』と言い、『ここちょっと息苦しくない?』と言い出す。
アラタはそんな真珠に『黙秘はやめたんだろ?中途半端に隠すぞ印象が悪いぞ、真珠!』と叱るように言う。だが、その時だった。
真珠は突然立ち上がり、壁やアクリル板に触れながらこう言うのであった。
「…何か、ここ、せまく…ない?」
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真珠は突然面会室が狭くなり、押しつぶされていく幻覚に襲われ始めたのだ。
「そっちに、いきたい…!!」
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「出して」
「出してええ」
体をよじり、顔をアクリル板に押し付けながら泣き叫ぶ真珠。立ち合いをしていた井出刑務官は『面会中止!』と叫ぶと『拘禁反応が突然起こった』と言って他の刑務官を呼ぶ。
怯え苦しむ真珠にアラタもアクリル板に張り付くようにして『真珠!』と呼び何とか宥めようとした。すると、真珠は鼻を動かし呟いた。
「…これ、…アラタの匂い……かな?」
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「やっぱりタバコの匂いがすんだね…」
そう笑って少し落ち着きを取り戻した真珠。やってきた刑務官達に抱えられるように連れて行かれるが、アラタを見つめ続ける。そして…
「…絶対に、」
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「絶対に、アラタと一緒にかわいい家で、」
「暮らすんだ…ボク!!」
真珠は苦しみながらも必死に笑みを作り、そう言うのであった…。
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以下、感想と考察
ジャンル、ホラーだっけ…?溢れ出す真珠の狂気に途端にビビり出すアラタ
裁判の傍聴人やアラタと同じく、最近は真珠の”可哀想”な面ばかり見ていたからどうしても真珠に同情してしまっていた。
けど、今回で『あ、そういえばコイツ本当にヤバい奴だった』と思い出したと言うべきか、再確認したと言うべきか…。今までも真珠の怖さが表現される回はあったけど、今回は格別。夜に読むんじゃなかった…。ホラー漫画並の読後感である。
逃げられると追いかけたくなるけど、追いかけられると逃げたくなる…そんな仔犬の様なメンタルをしているアラタ。前話では真珠の心を掴みたくて仕方が無かったのに、今回真珠がグイグイ来ると途端にビビり出して、果ては自分が文通相手ではないことまで暴露してしまった(とっくに真珠は見抜いてたけどね)。
…いや、でも分かるよ。この真珠は怖すぎる。いきなり遺体の隠し場所を暴露しないでくれよ、心臓に悪い。というか何てところに埋めてくれるんだよ…。
でも、もう真珠は止まらない。もう真珠はアラタを離そうとはしてくれないだろう。ラストの『アラタと一緒に可愛い家で暮らす』宣言。心の奥底から本気で必死で言っている真珠の、その切実さからくる表情の醜さ、滑稽さ。そして恐ろしさ。画力が高い人がこういう表情を書くと本当に怖い。
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真珠がここで拘禁反応を起こしてしまった理由について考える
そして、そんな真珠の表情や態度も怖いけど、真珠の拘禁反応(幻覚)の描写がより今回の話をホラーチックにしている。面会室に押し潰される描写、閉所恐怖症の人は読んでて辛くなるのではないかな。
それにしても今まで平然と拘置所暮らしをして来たはずの真珠(何だったら本を読んで勉強したりと極貧だった以前の生活よりも悠々自適であったはず)が何故ここに来て突然拘禁反応を起こしたのか。
それは恐らく心の底から『アラタと一緒に暮らしたい。幸せな結婚生活を送りたい』と願ってしまったからだろう。
きっと今までの真珠はアラタに興味を持って『死刑判決を免れてアラタと共に暮らす』と言いながらも心のどこかでは『人生クソみたいだから死刑になっても構わない』『アラタも本当に心から待ち望んだ人ではないし』という思いがあったのだと思う。だから、この拘置所生活について、食事や差し入れに多少の文句はいいつつも、大きな不満は無かったのだろう。
しかし、今回真珠は心の底からアラタを欲し、アラタと結婚生活を送りたいと願うようになった。だからこそ、拘置所に囚われアラタと隔てられている現状に、急に強いストレスを感じるようになったのだろう。『そっちに行きたい』『出して』というセリフが全てを表しているように思える。
とにもかくにも、アラタを本気で求め、拘置所生活を苦痛に感じるようになった真珠は今まで以上に本気で無罪判決を勝ち取りに行くことだろう。
前半の妄想の意味は…?
しかし、それにしても真珠の前半の妄想パートも気になる。小学生時代、いじめられっ子で友達もろくに居なかったはずの真珠だが、アラタに『ここにいたんだ真珠ちゃん』『捜したんだよ』と言わせて、友人達に優しく取り囲まれる幸せな幼い自分を妄想し涙を流した。これはどういうことだろう。
前回の記事で真珠の生い立ちや秘密について色々と推測してみたけど、やはり真珠は母親の環のことで何か重大な秘密を抱いていて、それゆえに不本意な幼少時代(止まっていた時間)を過ごしたのだろう。
愚鈍ないじめられっ子という幼少期の真珠の人間像はあまりに今の真珠の性格と合わなすぎる。おそらく真珠は母の秘密を守るために素の自分を出さずに弱気ないじめられっ子を演じ続けていたのだろう。しかし、内心はずっとそのことを不満に思い、本当の自分を見てもらいたい、…見つけてほしいと願っていたのではないか。本当は愚鈍ないじめられっ子なんて演じず、素の姿で友達と楽しく過ごす幼少期を送りたかったのだろう。
だから、アラタに『ここにいたんだ真珠ちゃん、捜したんだよ』と言って、“時間を動かして”もらうことで、失われた幸せな幼少期を妄想し、追体験したのだろう。
でも、それを言うのは“待っていた人”であるアラタにしか出来ないことなのだろうな。きっともう、真珠はアラタを離さないように死に物狂いになるはずだ。…果たしてどうなる…?。
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