【漫画】夏目アラタの結婚 13話【感想・ネタバレ・考察】死刑囚マニア、藤田と対話したアラタはある決心をする

アラタに内密で彼の同僚である桃山香を面会に呼び出した真珠。その目的はアラタがタイプだと語った桃山を観察し、彼女になりきる事であった。

桃山から『真似をしないで』と言われた真珠は態度を豹変させ、桃山の結婚観や真珠への好奇心や見下しについて辛辣な指摘をして攻撃的な言動をした。しかし、最後に”理想の相手”について素直に本音を語った桃山に対して真珠はそれまでの言動を後悔し落ち込む様な様子を見せて立ち去るのであった…。

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真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
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Contents

以下、あらすじとネタバレ

真珠と面会するために拘置所に来たアラタ…桃山と宮前はアラタに見つからない様に立ち去る

桃山と宮前が真珠と面会していたその頃、拘置所のロビーでアラタは激しく苛立っていた。久しぶりに真珠の面会に来たというのに、先客がいて会えなかったのだ(拘置所の面会は1日1組まで)。腹を立てたアラタは真珠と面会したのが誰なのか待ち伏せして確認しようとしていた。

しかし、真珠との面会を終えた桃山と宮前はアラタの姿を見つけると『ヤバイ』と物陰に身を隠す。桃山が真珠の面会に来たことはアラタに秘密にしているのだ。二人はアラタが受付に真珠への差し入れを渡しに行ったのを見て、その隙に立ち去るのであった…。

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真珠と面会出来なかったアラタは受付に真珠への下着とTシャツの差し入れを渡すが拒否されてしまう

受付に真珠への下着とTシャツの差し入れを渡したアラタ。アラタはわざわざこのために、真珠と年齢が近い周防沙菜(最初の被害者、周防英介の妹)と連絡を取って選んでもらったのだ。

ところが、アラタの差し入れは拒否されてしまう。『ただのブラとパンツとTシャツなのに何で?』と困惑するアラタ。真珠から早く婚姻届けを書いて持ってくるようにせっつかれているアラタはそれを誤魔化し機嫌を取るために差し入れを持ってきたのだ。しかし、そんな見え透いたご機嫌取りは通用しないことも分かっている。この先どうするべきか悩むアラタ。その時であった。

「あの…ワイヤーの入ってないスポーツブラとかなら通りますよ?」

夏目アラタの結婚13 乃木坂太郎 8/27

突然、アラタにそう声を掛けてきた見知らぬ中年男性。『パンツはフリル等がない派手ではないもの、Tシャツは無地で透けない厚手のものなら通りやすい』『中は少し寒いからブランケットもみんな喜ぶ』…そう詳しく説明を続ける男性にアラタは『ひょっとして反社会勢力の人?』と警戒する。すると、男性は笑って否定し、こう言うのであった。

「――実は私、なんというか…死刑囚アイテムコレクターでしてね。」

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死刑囚アイテムコレクター、藤田の言動に不快感を持つアラタであったが、一方自分も彼と大差ない事に気づく

死刑囚アイテムコレクターという言葉に困惑するアラタ。男性は藤田と名乗り、裁判の傍聴は勿論、死刑囚と文通や面会したり彼等が描いた絵を集めるのが趣味だと語る。アラタが持ってきた差し入れを見た藤田は『女性ですか?』と言い、さらに『品川ピエロですか?』と尋ねてきた。

藤田の鋭さにギョッとしたアラタだったが、『結婚詐欺を働いた女友達です』と嘘を吐く。 すると藤田は『やっぱり違うか、残念!』と肩を落とす。藤田は“品川ピエロ”に強い関心を持っており、どうにかしてツテが出来ないかとアラタに声を掛けたと言うのだ。

藤田に不快感を抱き黙るアラタ。そんなアラタに藤田は『“品川ピエロ”を法廷で見たが、歯並びが汚く臭って来そうな女だった』と一方的に話続ける。内心ムッとしたアラタが『今はサッパリして可愛くなってるかも』と反論するも、『あの歯並びでそれはない』と否定し、それでもなお『近年一番インパクトのある殺人鬼だから何か気持ちの悪いアイテムを手に入れたい』と下卑た笑いを浮かべた。

ウンザリしたアラタはその場を立ち去ろうとした。だが、藤田は今現在二人の死刑囚と文通しており、仕事でムシャクシャした時等にストレス解消のため彼等の面会に来ると言い、『リアル召喚モンスター』とまで言う。『飽きたら連絡を絶てばいいだけ、相手は死刑囚だから追ってこれないし後腐れない』『面会終了間際に寂しそうに次の約束を取り付けてくるのが切なくていい』と語り続ける藤田。アラタは藤田の発した『リアル召喚モンスター』という言葉を聞いて愕然する。それはかつてアラタ自身が真珠と面会をする直前に思っていたこととよく似ていたのだ。

アラタは藤田に向き直り、『そんな事をやっていて嫌にならないのか』と尋ねた。すると、藤田は少し哀しそうに『なりますよ』と答えた。

「何回か会ってるとね、情もわいてくるんですよ、死刑囚相手でもね。」
「昔の同級生に少し似てたりして、力になってやりたいなとか…何やってんのかな俺…なんて。」

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しかし、そんな気持ちも『しょせん相手は人殺し』と長続きはしないと語る藤田。『自分みたいな卑しい人間に弄ばれるのも死刑囚達の罰の一つだ』…そう考えているというのだ。

アラタは藤田のその言葉を聞いて愕然とする。

…俺だ。
これは全部俺自身の気持ちだ…このおっさんも俺も…何も変わりゃしねえ。

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自身が藤田と同じく中途半端な好奇心と同情心で真珠と接してきた事を自覚させられたアラタ。それを見透かしていたからこそ、真珠は婚姻届を持ってくるように迫るのだ。

上っ面だけの恋の駆け引きゲームを演じたところで真珠はこれ以上乗って来ることはないだろう…そう悟ったアラタは『もう婚姻届を書いて籍を入れるしか真珠と繋がる事は出来ないのか』と悩む。

そして、数日後、真珠の元にアラタからの差し入れが届く。藤田の助言を聞いたアラタが差し入れたのは色気のないスポーツブラ。それを手に取った真珠は思案顔をするのであった…。

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アラタ好みになろうとする真珠にアラタは『男に合わせる女は嫌いだ』とハッキリ告げた

さらにその数日後、真珠と面会したアラタは開口一番、真珠の一審での態度について言及する。一審であれば裁判員裁判で一般人の心証さえ良ければ有利な状況に持っていけたはずなのに、真珠はボサボサの長い髪に汚い服で、いかにも人殺しといった出で立ちで臨んだ。『死刑にしてくれと言ってるようなものだった』と真面目な表情で言うアラタ。

しかし、アラタのそんな話を真珠は真面目に聞くつもりがなく、『婚姻届を持ってきていないから帰る!』と言い、『二審のためにキレイになれっていうんでしょ』と冷笑する。宮前にも心証を良くするように言われており、現在の髪型も宮前の趣味だと自嘲気味に語る真珠。

「男ってのはすぐに女を変えたがるよね。アラタもそうなんだ?」

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だが、アラタは真面目に『長い髪の放置後』『いじめられっ子のデブ』『ガリガリのショートボブ』『太ったピエロ』…と歴代の真珠の姿を挙げ、『本当のお前はどれだ?』と尋ねる。

アラタのその言葉に真珠は少し驚くものの、アラタが事件前の自身の姿を写真で見たことを察し、『ボクがチョーカーをしてた理由分かる?』と尋ねる。そして、黙って見つめ続けるアラタに『元カレの周防英介の趣味!』と笑って言う。

周防英介は映画『レオン』が好きで、真珠にヒロイン(ナタリー・ポートマンが演じた12歳のヒロイン、マチルダ)の様にすることを求め、実際に真珠は上手く似せることができ周防は興奮していたという。

そして、真珠は黙ったままのアラタに『アラタの趣味は?少しぽっちゃりのゆるふわ内巻きの髪?伸ばそうか?』と言い、『拘置所だと歯の矯正は出来ないから手で隠す様にしようか?』と尋ねる。だが、アラタはこう答えた。

「その歯だけは、絶対にいじるんじゃねーーぞ!!」
「品川真珠じゃ、なくなっちまうからよ!」

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アラタの言葉に驚き言葉を失う真珠。そんな真珠にアラタは真珠が今まで一度も口元を隠したことが無かったことを指摘し、『歯並びなんて気にしないのが真珠だ、そういう卑屈じゃないところが好きだ』と真っすぐに見つめて言う。

今まで真珠に対して腹の探り合いや機嫌を取ることばかりを考えて来たアラタ。しかし、もうそれはやめることにしたのだ。

…これからは、本気で愛せる何かを…お前の中から捜し出す!

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『男に合わせる女は嫌いだ』…アラタは真珠にそう笑いながら言うのであった…。

以下、感想と考察

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死刑囚マニア、藤田のリアル

死刑囚アイテムコレクターを自称する新キャラ、藤田さん。…いるよね、こういう人…どうしても殺人事件とか死刑囚ってその存在自体がインパクトがあって不思議な吸引力があるから。故ジェイソン・モスも好奇心から複数の殺人鬼たちと文通をし、殺人鬼たちを手玉に取ることに陶酔をしていたわけだしね…。

冴えない風貌の藤田さん…仕事でムシャクシャした時に死刑囚と面会し、彼らが寂しさから次の面会を縋って求める様子に快感を覚えるという、中々闇の深さを感じさせるキャラクターだ。でも、なんか分かる気がする。そういう、闇ってあるよね、人の心には。

その癖、ただ殺人鬼たちを弄ぶだけではなく、自分のその歪みを認めていて自己嫌悪に陥ったり、死刑囚達に情を抱いてしまったりと人間らしい複雑な感情も併せ持つ。何だかリアルで発言に説得力があった。今回一回限りのキャラクターなのかな?

真珠と本音で向き合う事を決めたアラタの格好良さ

そして、そんな藤田との出会いをきっかけに真珠への姿勢を反省したアラタは本音で向き合い、真珠に”愛する何か”を見出すことを決意する。

前回、アラタが好みだと挙げた桃ちゃんになりきろうとした真珠だったけど、今回の発言からして、今までもずっと、付き合う男性の好みに全力で寄せて行ってたし、実際に相手の男も女を自分色に変えたがる人ばかりだったんだろうな…。現実でも『相手を自分色に染めたい』『相手の好みに寄せる』って程度の差あれけっこうある話だろう。でも、真珠の場合は相手の関心を得るためにかなり極端だったのだろうな。

そんな中、ハッキリと『男に合わせる女は嫌い』と言い切り、その上、今まで散々真珠が容姿において”マイナス”と否定され続けてきた歯並びについて『それがないと真珠じゃなくなる』『その歯並びを隠そうとしないところが好きだ』と言ったはかなり格好良かった。…もう真珠も桃ちゃんになろうとなんてしないだろうな。

…ちなみに、最初の被害者である周防英介さんだけど、なんか『レオン』のマチルダ風の格好を真珠にさせて興奮していたとか、何とも生々しくて…おおう…みたいな声しか出ない。いや、マチルダって結構根強いファンが多くてコスプレ的なことをする人も多いのだけど、12歳なんだよね…。最初の頃に真珠は『ロリコンに言い寄られる』みたいなことを言っていたものの、あまり具体的な”ロリコンエピソード”はなかった。でも今回の発言で周防英介さんがややそういう傾向があったのかなー…なんて思ってしまったりもする。まあ、マチルダは結構大人っぽいし、そこまで”ロリ”って感じでもないかもしれないけど…。

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