【漫画】凪のお暇7巻・最新刊【感想・ネタバレ・考察】突然現れた慎二、母に全て打ち明けることにした凪…そして凪は北海道に帰ることに!?

凪のお暇7巻表紙

従妹の結婚式のため母、夕が上京することになり、凪は”スナックバブル”の仲間達と共にお暇生活を隠すための作戦を立てる。その結果、”スナックバブル”の常連、桃園が彼氏のフリをして東京を案内するという完璧な作戦が出来上がった。

しかし、従妹の結婚式当日、結婚式が終わっても来るはずの桃園が一向にやって来ず、凪は母のペースに飲み込まれ苦しむ凪。そして、ついに桃園がやって来たかろ思いきや、そこにやって来たのは桃園ではなく元カレの慎二だった…。

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【漫画】凪のお暇6巻【感想・ネタバレ・考察】お暇生活が終わる!?ついに、母、夕が上京!?

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Contents

以下、あらすじとネタバレ

37話~ケガをした桃園の代わりにやって来た慎二…慎二のハイスペックぶりに大はしゃぎする母、夕を見た凪は… 

桃園ではなく慎二がやってきた事に動揺する凪。すると慎二は人の良い笑顔を浮かべながら『今日の事色々変更があったからメールしたんだけど…』とさり気なく助け船を出す。結婚式中は携帯電話の電源を切っていた凪は慌ててトイレに行って携帯電話を確認する。すると、そこには桃園からの着信とメールが大量に来ていた。

事の経緯はこうだった。今日の作戦のために気合を入れようとした桃園は”レンジャージャンプ”(以前慎二と共に語り合った戦隊ものの真似)をした結果、なんと足の骨を折ってしまったのだ。その上、凪に連絡しても結婚式中のために出ない。困った桃園は”スナックバブル”のママに相談したところ、慎二が凪の元カレであると聞いて、『凪の母の対策マニュアルをデータで渡すから、俺の代わりにあいつを母親から救ってやってくれ』と突然電話してきたのだ。

正直助ける義理なんてないと思った慎二。しかし、同時に”凪の製造元”に興味を持ち、やって来たのだ。

状況を理解した凪であったが、散々練って来たシミュレーションが白紙になってしまったことにショックを受ける。そして、『慎二がいくら人心掌握に長けていても母を懐柔することは不可能』と不安を抱きながらトイレから戻って来た。

しかし、意外にも母は慎二に打ち解けた表情を見せており凪は少し驚く。そして、慎二は当初の東京観光の予定を水族館に勝手に変えてしまう。凪は『水族館だと間が持たなくて会話をせざるをえなくてボロが出やすくなる』と反対するが慎二は『大丈夫だって』と強引に押し切る。

その後、水族館で母と会話する慎二はさり気なく自身が”東京住まいの車持ち”、”実家も東京で金持ち”、”中高大一貫校のエスカレーター式の高学歴”、”次男”という事をアピールする。その様子に凪は『うちのお母さんはそんな上っ面のスペックに釣られない』と緊張する。

しかし、思いの他それを聞いた母ははしゃぎ始め、凪は『あれ?』と困惑する。『きっとこちらを油断させてアラを探しているに違いない』と警戒するものの、母は上機嫌で凪と慎二と三人で記念写真まで撮る。そして笑顔で『この写真をご近所さんに送りたい』とまで言うのだ。

そんな母の姿に凪は愕然とする。何故なら母は凪が幼い頃から『観光地で写真ばかり撮るのは誰かに見せたいと言う邪念から来るもので下品。思い出は心に焼き付けるもの』と言い聞かせてきたのだ。しかし、そう言った母は今『娘とその彼氏と東京で3人で遊んだ』という写真をはしゃぎながらご近所さんに見せようとしているのだ。

凪は”スナックバブル”のママの言葉を思い出す。それは、”バブル”のみんなと桃園とで母の対策を考えていた時のことだった。桃園が出す案をことごとく否定する凪にママは『本当に母はそこまで清廉潔白で厳しくて死角がない超人の様な人間なのか?』と疑問を呈する。

「頭の中で勝手におっきくなっちゃってない?なんていうかアレね」
「無敵なのね 仮想敵だから」

凪のお暇6巻 コナリミサト 19-20/162

ママの言葉を思い出した凪は混乱する。そんな凪に母は嬉しそうに『さっき新しい仕事が決まって聞いたけれども、あの彼を逃したらダメよ』と言う。

スペックの高い彼氏という分かりやすいものに目が眩み、娘の新しい仕事について特に尋ねることもしない母。そんな母を見た凪は『いつも母は清廉潔白で正しくて、その言いつけを守らない自分が失敗すると思い込んでいたけれども、実は母も大して一貫性の無い人だったのではないか』と気付き始める。そして、ふと母に『もし私が彼と結婚したら東京に来たい?』と尋ねてみた。

すると、母は口では『え~~』と言いながらも大喜びをし、それを誤魔化す様にトイレへと逃げ込んだ。残され呆然とした凪は傍らの慎二にこう言う。

「どうしよう慎二」
「うちのお母さんてごく普通の人間なのかもしれない」

凪のお暇6巻 コナリミサト 25-26/162

そして、『何言ってるんだ?』と呆れる慎二に『母が誰かに乗っかって泳ぎたいと思うような普通の人だと思わなかった』と正直に言うのであった。

そんな凪に慎二は『自分にとって唯一無二の親でも他人から見たらどこにでもいる普通の人。親もしょせん人間なんだって認めて見くびって見限ることが厄介な親とやっていくコツだ』と淡々と言う。それが外に家庭を持つ父と整形依存症の母を持つ慎二の信条だった。

しかし、それを聞いた凪は『相手が人間ならなおさら見くびって見限ることなんて出来ない』と答え、トイレから戻って来た母に『今日の話は全部嘘。あの人は私の彼氏じゃないし、仕事も決まっていない、お母さんのことをどこにも連れていってあげられない』と正直に打ち明けるのであった。

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38話~母に全てを打ち明けた凪…友人達に囲まれた凪を見た母は去っていくが…

突然今までのことが全部嘘だと母に告げた凪。慎二が慌てて取り繕うとするが、凪は慎二についても『昔ちょっと付き合ってただけっぽい人で今は一切関係ない人』と言い、慎二も硬直してしまう。そして、『東京暮らしを続けたいがために、お母さんに嘘をついてやり過ごそうとした』と正直に言うのであった。

そして、凪は『ここで母としっかり向き合わないと私は一生変われない。お母さんには家で全て話す』と言って慎二を残して母をアパートに連れて行くのであった。

一人車に乗った慎二は凪の事を『どうしてそんなに頑なで世界に対して”誠実”なのだろう』と不思議に思い、家出してしまった兄、慎一の事を思い出す。凪や兄のことを”群れからはぐれたイワシ”みたいだと感じる慎二だったが、『その先を見てみたい』と思いこっそり凪のアパートに向かうのであった。

そして、凪のアパートに連れられてきた母、夕はそのオンボロっぷりにショックを受ける。更に何もない殺風景な狭い部屋を見て『どうしてこんなことに…説明して』と言う母に凪は自分の本当の姿を説明し出す。

その様子をみすず、うらら親子と吉永のおばあさんは隣室から伺っており、慎二とゴンも窓から覗き見る。

早速凪に対して母は『そのみっともない頭はなんなの?』『前は立派なおうちに住んでいたのに』と激昂し始める。昔は母から強く言われるとすぐに泣いてしまっていた凪。しかし、今、母がどこにでもいるただの人間だと知った今は怖いと感じながらも冷静でいることが出来た。

そして、『前に住んでいた部屋は立地も間取りも良かったが、本当は事故物件だから安く住めていただけ』『月1の仕送りもカツカツでキツかった。給料の額はサバを読んで伝えていた』『ちゃんとしなきゃと思い詰めた結果、過呼吸になって倒れて会社を辞めた、そして全てを捨ててここに来た』と全てを伝えた。

それを聞いて母は『そんな事一言も言わないでずっと大丈夫って言ってたじゃない』と驚く。そんな母に凪はこう言うのだった。

「だってお母さん」
「大丈夫な私のことしか許してくれないじゃない」

凪のお暇6巻 コナリミサト 43/162

涙ながらに訴えた凪。お母さんが私と同じ人間なら分かってほしい…そう思ったのだ。しかし、

「何それ」
「あなたがこんな汚い部屋で一人でみじめなのはお母さんのせいってこと?」

凪のお暇6巻 コナリミサト 44/162

自分が非難されたと感じたのか、母は『進路も住まいも仕送りも凪が勝手に決めてやったこと、お母さんはいつも自由にしていいよと言ってたはず』と言い返す。さっきあれほど凪の事を否定してきたのに、早速矛盾する。母のその態度に凪は『いつも自分の望む方向に人を誘導するくせに、やり方がせこい』『自分だって人に乗っかって泳ぎたいと思っているあさましい人間のくせに』と暗澹たる気持ちになっていく。『お母さんはいつもそう』と言い出す凪。その様子を見守っていた慎二は凪が母の纏う負のオーラに引き込まれそうになっていることに気付き心配する。

その時だった。隣室で様子を窺っていたうららが耐えられなくなり呼び鈴を鳴らし『一緒にお餅を食べよう』と押しかけて来る。凪の母にうららは『自分は凪ちゃんのお友達です。凪ちゃんに意地悪を言わないでください』と叫び、みすずと吉永も止めに入ってくる。さらにそこに、”スナックバブル”のママ、ロン、ジェーンまで心配のあまり押しかけてきて、部屋は一気に賑やかになる。

皆の優しさを感じ取った凪は正気に戻り母にこう告げるのであった。

「お母さん私 汚くてせまい部屋で一人みじめなんかじゃないよ」
「大好きな人達でぎゅうぎゅうでいっぱいだよ」
「これが私なのだから」

凪のお暇6巻 コナリミサト 49/162

そして、改めて『まだここにいたい』と言うのであった。そんな凪を見守っていた慎二は『はぐれたイワシは新しい群れを見つけて楽しくやってるんなら良かった』と感じる。慎二とゴンがのぞき見していることに気付いた吉永は二人にバター餅を渡し『ここからは婦人会だから』と帰るように言うのであった。

その後、母は凪の部屋には泊まらず凪が予約したホテルに泊まると言う。『お母さんがいたら邪魔でしょう?』と言う母に何も言えない凪だったが、慌ててあるものを渡す。それは二つのぬか漬けのパックであった。一つは実家のぬかで作ったもので、もう一つは凪が新しく作ったぬか漬けだ。『私なりの新しいぬか漬けも食べて欲しい』…そう凪が渡すと母は『分かった』と受け取って去るのであった。

『やっぱり母とは分かり合えないのか…』そう思っていた凪だったが、翌日母からメールを受け取る。メールで母は『色々あり過ぎて一晩考えても上手く気持ちがまとまらない』というものの、同時に『あなたの周りにあんなに人がいるのを初めて見た。凪に良い友達が沢山できてお母さんは本当に嬉しい。』『凪の新しいぬか漬けおいしかったです』と書かれていた。そのメールを見て涙を流した凪は『まるごと母と分かり合う事が出来なくてもいつかもしかしたら…』と思うのであった。

…しかし、その二週間後、凪は暗い目をしながら北海道でただただ雪かきをしていた。『きっとどこかで選択肢を間違えてしまったのだろう』…そう凪は自身の”バッドエンド”について考えるのであった…。

39話~母がケガをしたと聞いて北海道に向かった凪だったが…!?

延々と雪かきをして、頑固な”根雪”と戦い続ける凪。何故凪は北海道に戻って来てしまったのか…。それは約2週間前、母親に全てをさらけ出した日の翌日のことであった。突然祖母から『母、夕が東京から帰る途中で足を酷く痛めてしまった。夕も辛そうだし、凪に自身の病院の送迎などを手助けしてほしい』と電話が掛かってきたのだ。

心配した凪は『ちょっと様子を見に行くだけ』と北海道に行くことを決意。”っスナックバブル”のママからは『そのまま母親から逃れられなくなるのでは?』と心配されるが、凪は『この間本音で話せるようになったから大丈夫』と答える。そして、アパートやスナックの仲間達に見送られて北海道に旅立ったのであった…。

しかし、『もしかしたら、あれが”今生の別れ”になってしまったのかも』と思う凪。凪は実家に着いた瞬間、母のケガが聞いていた程重くない事に気付いた。しかし、祖母に歓待され、そして当初お願いされていた祖母の病院への送迎以外の雑務を任され始め、帰る時期を完全に逃してしまい、もう2週間も実家で過ごしているのだ。

そして、凪が帰れない理由はもう一つあった。それは母、夕の態度であった。本音をぶつけた事が原因なのか夕は今までの様な圧を凪にぶつけることは無くしおらしい態度を取るようになっていた。『本当にごめんね、凪は早く東京に帰りたいよね。お母さん足を早く治す様にするから』と申し訳なさそうに言う母は驚く程小さく弱弱しく、何だか可哀想に思えて放っておけないのだ。

寂しくなった時は坂本に電話する等して何とか前向きな気分を保とうとする凪。しかし、祖母が凪に見えるように地元の求人のチラシをコタツの上に置いているのを見て、『このままじゃ本当に東京に帰れなくなる』と焦り始める。

そもそも凪はあまり地元に良い思い出が無かった。特に高校時代は肌荒れが酷かったことから自信が無く、級友達とろくに挨拶すら出来なかったのだ。そして、昼休みは”別のクラスの誰かとお弁当を食べている”という体で誰もいない旧校舎の階段の踊り場で一人お弁当を食べ、特に冬場は寒かったために階段をダッシュしてやり過ごしていたのだ。御近所さんからは未だに『あの頃は肌荒れが酷かったけど、今は肌がキレイになったね』等と言われてしまう地元での暮らしは凪にとって決して気分のいいものではなかった。

そんなある日、凪はショッピングモール”EAON”で高校時代の級友3人に遭遇してしまう。その3人、広瀬、本庄、岡田は凪の高校のクラスでのヒエラルキートップトリオだったのだ。隣の高校のサッカー部のエース達と付き合っていた3人は何とそのまま結婚し、同じタイミングで子どもも生み、いまでもつるんでいるのだという。仕方なく広瀬達とお茶をすることになる凪。互いの近況を語る中で、広瀬達は凪にこう言い出す。

「私達心配してたの」
「”あの”大島が東京で働いてるって聞いて」

凪のお暇6巻 コナリミサト 73/162

そして広瀬達は『今だから言うけどあんたが旧校舎の階段で一人でゴハンを食べてるのはみんな知っていた伝説だった』と笑う。『東京でいい階段の踊り場があった?』とあからさまディスる広瀬達を前に凪は『この人たちに悪意なんてない、ただ無邪気なだけのはず』と自身に言い聞かせるが…

それにしょせん東京で暮らしたことのない田舎者のお山の大将達に何言われても響かないっていうか

凪のお暇6巻 コナリミサト 74/162

気が付くとそう思って冷ややかな笑みを浮かべていることに気付いた凪は自身が相当な”意地悪フィルター”で広瀬達を見ていることに愕然とするのであった。

帰宅した凪は地元にいることで見たくない自身の”根雪”…自身の根っことも言える本性を突き付けられることに恐怖を感じる。『このままではお暇生活でのみんなとの出会いが帳消しになって昔の自分に戻ってしまうのでは…』と戦慄する凪。しかし、そんな凪の元に坂本から荷物が届く。そこには”ズカイプ”というア無料ビデオ通話プリが入ったノートパソコンとポケットWi-Fiが入っていた。坂本のメモの指示に従ってパソコンを起動すると、早速坂本が”ズカイプ”で電話を掛けてきた。

久々に坂本を見て感動する凪。凪の実家にガラケーの電波が来ないと聞いていたことから、凪と連絡を取れるように手配してくれたのだ。坂本の手厚さに凪は思わず『どうしてこんなに手厚いことを…』と問う。

すると、坂本は笑顔で『ただ私が大島さんの顔を見て話したかったから』『ともだちだから』と答える。それを聞いた凪は思わず涙を流す。かつてSNS等のインターネットの繋がりをしんどく感じていた凪だったが皮肉にも今は”ズカイプ”を一筋の光の様に感じるのであった…。

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40話~母の過去と現状を知ってしまった凪は母に対して”恋”の様な強い想いを持ち始めてしまう…

坂本と”ズカイプ”で繋がれたことで少し前向きになれた凪は『少しでも工夫して楽しく過ごせたら…』と思い、部屋を模様替えしたりぬか漬けをオリーブオイル漬けにする等してみる。

すると、その様子を見た祖母は『凪は偉いね、色々と工夫して』と褒めるが、同時に『夕とは大違い。夕は一度も部屋を模様替えしようとしたこともないし、ハイカラなことはしない』と母、夕を貶す。

祖母の言動に居心地の悪さを感じる凪。昔は厳しい母と違い何かと褒めてくれる祖母が好きだった。しかし、社会人経験を積んで戻って来た凪は『おばあちゃんは母を落すために自分を褒めているに過ぎない』と気付いてしまったのだ。実際に、祖母は凪のアレンジしたぬか漬けを褒めはしたものの一切箸を付けず、足を怪我している母に『近所の連中がうるさいから寄り合いに顔を出せ』と雑用を押し付ける。『実はおばあちゃんは結構邪悪なのでは』と凪は思い始めるのであった。

そして母に付き添って近所の寄り合いに顔を出した凪は更にいたたまれなくなる。

母はお暇前の私に酷似してる
べったり笑顔を貼りつけて
誰にも大事にされてない感じとか

凪のお暇6巻 コナリミサト 83/162

会話では自己主張せずに『わかるわぁー』というおざなりな返事しかせず、足を怪我しているにも関わらず、雑用を押し付けられる。慌てて母の雑用を代わってやる凪は母の実態を知れば知るほど辛くなっていくのであった。

そして、子供の頃はただのおじさんおばさん達が酔っぱらう場だと思っていたこの寄り合いも大人になった今は彼らのヒエラルキーや力関係が垣間見え複雑な気持ちになる。

そんな中、一人の少年が寄り合いの場にやって来る。彼の名前は岩井勝(いわいまさる)。凪の近所に住む少年だった。幼少の頃の”マーくん”しか知らない凪は凛々しい高校生になった勝を見て驚く。一方、勝も凪を見て『根雪の…』と呟く。

勝は母親から自転車の鍵を借りに来ただけの様だったが、去り際に凪が持っていた空いたビール瓶のケースを運んでくれるのであった。

その後、凪はおばさん達の会話から勝はサッカー部で活躍しており、おまけに高身長で格好いいことから評判の少年だということを知る。寄り合いから去った勝は多数の友人達に囲まれており、その様子を見た凪は『眩し過ぎる。ああいう子がずっと地元で輝き続けるのだろう』と感じてしまう。一方、母の夕は相変わらず皆から雑用を押し付けられており、凪はそんな母が『この地元で恐らく48年間もあぶれ続けた人なのだ』と気付き胸が苦しくなるのであった…。

一方、その頃東京では慎二が小中高大エスカレーター式の学校の同級生の友人達との飲み会に会社の後輩の市川円を連れて行っていた。あくまで市川を『ただの後輩』と言い張る慎二に男友達2人は『嘘つけ』『お前の好みのタイプだ、歴代彼女と似ている』と絡み、『正直前回BBQに連れて来た子は慎二っぽくなかった』と凪について言及する。それを聞いた慎二は思わず男友達が蒼ざめるほど顔をしかめてしまったが、『いや、でも分かる』と納得するのであった。

以前、BBQに連れて来た凪は慎二のこの友人達の小中高大エスカレーターでずっと一緒だったことによる結束の強さや、漂う裕福さに選民意識を刺激され怖気づいてしまっていた。一方、市川は臆することなく慎二の女友達とも打ち解けていた。

市川の方が自分らしい…そう思いながらも慎二は『凪が社会人になってこの友人達とのコミュニティーから離れて空気を読まずに選んだ初めての恋の相手だった』と気付くのであった…。

そして、北海道にいる凪は母のことを坂本に相談する。

「恋みたいって思うんです最早」

凪のお暇6巻 コナリミサト 90/162

四六時中母の事を考えるようになってしまった凪。母と言う人間の実態を知れば知るほどいじましさといとしさがごちゃ混ぜになり、何かしてあげたくなってしまうのだ。すると坂本は『あながち間違いでは無いのでは』と指摘する。『母親は子供にとって初恋の相手の様なもので吸引力が強いのは仕方ない。気を確かに保って』と言うのだ。

坂本から電話を切った凪は気分転換のために部屋のベッドの位置を動かす。すると、以前ベッドを置いてあったところに床下収納がある事に初めて気付いた。そして、そこには『大島夕の夢ノート』と表紙に掛かれた古いノートが隠されていたのだ。

『なにこれ』と驚きながらノートを開く凪。そこには”夢ポエム”とでもいうべき、若かった母の思いや将来への夢が綴られており、中には一枚の写真が挟まれていた。その写真は東京タワーをバックに若い母と天然パーマの男性が写っていた。その自分と同じ髪質の男性を見て思わず自身の髪に手を当てながら硬直する凪。すると、いつの間にか祖母が後ろに立っており、『夕はまだそんなものを持っていたのか』と言うのであった。

「そう夕はね 昔少しだけ東京で暮らしてたんだわ」
「夢のためだって言ってここを飛び出して」

凪のお暇6巻 コナリミサト 95/162

今まで母から一度もそんな話を聞いた事の無かった凪は驚く。祖母は『夕はそこで悪い男に騙されて20歳の時にとんぼ帰りしてきた』と語る。母、夕は昔から凪に『父親は蒸発した』と言っていたがそれは嘘だったのだ。

『夢を持って東京に飛び出した母は、自分を妊娠したから夢を諦めてここに戻って来ざるを得なくなった』…そう理解した凪はただただショックを受けるのであった。

その後、凪はアパートの面子と”ズカイプ”で和やかに通話するが仲の良いみすず・うらら母子を見て辛くなってしまう。努めて明るく振る舞う凪であったが、ゴンは凪の様子がおかしいことに気付き、『この後俺ともちょっと話そう』と声をかけ、改めて二人きりで話す事となった。

自室でスマートフォン越しに凪の顔を見たゴンは『直接顔を合わせていないからいつものように頭が真っ白にならない』とホッとし、凪の悩みを聞こうとする。『お母さんと何かあった?意地悪されてる?』と尋ねるゴンに凪は慌てて『全然そんな事はない』と答えて自身の心情を吐露し出す。

凪は以前、ゴンから『きらいなものをきらいと口に出していいんだ』と言われたことで道が拓けた気がしていた。そして、母に対しても自分の気持ちを伝えることも出来た。しかし、

「私お母さんが人間だって知らなければ良かった」(中略)
「お母さんがいっそ純度100の悪者だったらよかった」
「そしたらどんなにって」

凪のお暇6巻 コナリミサト 100/162

食材をリメイクするのが好きな凪は、今も余ったみかん、餅、白あんで作った”みかん大福”を食べている。しかし、ここに戻って来た凪は母がぬか漬けや餅にひと手間を加える余裕も無かったことを知ったのだ。厳しく抑圧して来る母に苦しんできた凪だったが、母の弱さや過去を知った事で憎むことも出来なくなってしまった。

そんな凪のあまりに暗い目を見たゴンはいても立ってもいられず、気がつけば北海道行きの飛行機に乗っていた。何故自分がこんな事をしているのか分からずに混乱するゴン。そこでエリィが言った『屋根よりも高いアレ』というものについて考え、”鯉のぼり”の事だと気付く。

あ そっか これが

凪のお暇6巻 コナリミサト 102/162

ゴンは自分が凪に恋をしていることにやっと気付いたのであった…。

40.5話~凪への恋心に気付いたゴンは北海道に到着したものの…

自分が凪に恋をしていることにやっと気づいたゴン。しかし、北海道に着いたはいいものの、そもそも凪の実家の住所を知らなかった。みすず・うらら母子が手紙を出す為に実家の住所を凪から聞いている事を思い出したゴンはみすずに電話しようとするが電波の状態が悪く、スマホを振り回した挙句手からすっぽ抜けてしまう。そして、スマホは車道に落ち、走っていた車に轢かれて壊滅的に壊れてしまうのであった。

一方その頃慎二は桃園から電話で『凪が北海道に行ってしまって戻ってこない』『ゴンが痺れを切らして北海道に向かった』と聞いて驚く。まるで少女漫画の様なゴンのフットワークの軽さに『尊い』とすら思ってしまう慎二。そして、桃園は”スナックバブル”で聞いた凪の”ズカイプ”のIDを慎二に教える。

実は市川の家にいた慎二は、その後すぐに桃園との電話を切り上げる。市川は慎二が桃園の事を”ももち”と呼んでいたこともあり、『ももちって誰ですか?』とあからさまにやきもちを焼く。そんな市川を『真っすぐで可愛い』と思う慎二は水族館での凪の態度を思い出し、『何をしてもどうせ届かないし響かない』と凪の事を考えるのをやめようと決め、凪の”ズカイプ”のIDをメモした紙を握りつぶすのであった。

そして、北海道にいるゴンはスマホを修理しようと店に入るも、スマホは修復不可な状態で、買い替えを勧められるが、値段の高さに躊躇する。飛行機代でお金を使ったばかりのゴンはこの後どうしていいかも分からずとりあえず、ネカフェで宿と食事を確保することにする。

そこでゴンは『自分は生き方もぼんやりしていて社会性もない』と痛感し、『俺が我聞くんだったらパパッと解決してすぐに凪ちゃんの家まで行けたのか』と考え、初めて”やきもち”という感情を知る。そして、『凪ちゃんを独り占めしたい』とハッキリと感じ、以前自分が慎二に『凪ちゃんも我聞くんも好きだから3人でそういうことをすればいい』と提案したことがどれだけとんでもないことだったのか今になって気付くのであった。

その後、ゴンがネカフェのソフトクリームとエスプレッソコーヒーで”即席アフォガード”を作っていると、通りがかった少女が突然ゴンの腕に抱き付き、『お兄さん、ひとくちちょうだい』甘えてきた。少女が自身に何を求めているのか一瞬で察してしまうゴン。しかし、以前エリィに言われた『ゴンは目の前にいる人には誠実だが目の前にいない人には不誠実』という言葉を思い出し、『ゴメンね』と少女に断る。

そして、ゴンは『凪ちゃんが暗い目をしてませんように』と願うが、その頃凪は夕の”夢ノート”に落ち込んでいるのであった…。

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41話~母への罪悪感で身動きが取れなくなる凪であったが、慎二との通話で変わることを宣言する

母、夕の”夢日記”を見てしまったことで今度は母に対して強い罪悪感を持つようになってしまった凪。具体的な目標が書かれているわけではない、漠然とした”夢”がふわふわと綴られる”夢日記”を読むたびに『私が誕生したことでお母さんの夢や可能性が潰れてしまったのだ』と思うのだ。

罪悪感から追い詰められた凪は夜な夜な自室でこっそりウイスキーを飲むようになってしまい、祖母からの“家族の愛・絆アピール”や地元で働いて欲しいという無言の圧力にも精神を削られて行く。この状況が良くないとわかっていながらも凪は逃れることが出来ないのであった。

そんなある日、いつもの様に雪かきをしていると凪は勝から『もう根雪には挑まないの』と声を掛けられた。母親に凪のことを聞いて幼い頃に遊んでもらったことを思い出したという勝。凪が『サッカー頑張ってて偉いね』と誉めると『根雪と戦う凪ねねの方が偉い』と言う。元気を無くしている凪が『根雪は思ったより頑固だったからもう挑まないかな』と言うと残念そうにする。

「凪ねねがすごい果敢だったから いつか根雪バーンって砕けんじゃないかって」
「したらそれ見たいなって思って見てた」
「いつも」

凪のお暇6巻 コナリミサト 131/162

勝はそのまま友人達に呼ばれて行ってしまうが、それを聞いた凪は何とも言えない気持ちになるのであった。

その晩も一人自室でウイスキーを飲む凪は昼間の勝の言葉を思い出し『根雪が固いのだから仕方がない』と自身に言い聞かせるも、何かスッキリしない気持ちに苛まれる。また、視界の隅にある“夢ノート”の存在も罪悪感を煽ってくる。

『辛い』と感じた凪は思わずパソコンで『人生 辛い』で検索し、出てきた掲示板を読むものの結果的に余計に落ち込んでしまうのであった。

一方その頃慎二は市川と食事をしていた。『みんなに八方美人と言われて辛い』と語る市川を励まし、『生きづらい思いをしているのだろう』と同情する慎二。しかし、同時にいつも同じ話をする市川に内心『この話何度目?』『かわいそうな自分がかわいいと思っているんじゃないか』と思ってしまうが、当然市川に対してそんなことは言えないのであった。

その後、帰宅した慎二は市川に気を遣った疲れから『雑に扱っても良いヤツと喋りたい』と凪の”ズカイプ”に申請を送る(凪のIDのメモは結局捨てずにとっておいたのだ)。てっきり凪から拒絶されるものだと思っていた慎二だが、あっさりと承認され、ダメ元で『今から話せる?』とメッセージを送る。すると、すぐに『うん』と返ってきて更にその場で凪から電話が掛かって来る。

”ズカイプ”越しの凪はウイスキーで既にかなり酔っぱらっており慎二は驚くが、そんな慎二に凪は『慎二にも協力してもらったのに実家に戻ることになってしまった』『毎日悩んで腐っている』と現在の状況を語る。すると、慎二は市川にぶつけられなかった言葉をぶつけるように凪に向かって『かわいそうな自分に酔ってる』と辛辣な指摘をする。

しかし、意外なことに凪は平然と慎二の指摘を受け入れる。

「うんそうだよ かわいそうな自分に酔っ払ってる」
「だってかわいそうな自分って超かわいいもん」

凪のお暇6巻 コナリミサト 142/162

あまりにあけすけな凪に言葉を失う慎二。だが、凪は同時に『このままじゃダメだと分かっている。だからもうこんな風に酔っ払うのはおしまい。今日はその弔い酒』と言い切り、慎二に愚痴り絡む。凪がここまで酔っ払っているのを初めて見た慎二はそのみっともなさに呆れるものの、そんな凪と会話するのが意外と楽しいことに気付く。しかし、その後凪は一方的に愚痴るだけ愚痴ってすぐに寝落ちしてしまい、慎二はまたしても腹を立てるのであった…。

番外編1~家計簿アプリを見た凪は驚き、慎二との思い出を振り返る…

それは凪が北海道に帰る以前のお話。凪はアパートでみすず・うらら母子から”LINE家計簿”の話を聞いていた。このアプリを使えばカレンダーと連動させて収入支出を管理できるとみすずが実演して見せ、その便利さに倹約好きな凪は感動し、『いつかまたスマホを持ったら使いたい』と強く思うのであった。

そもそも凪はOL時代アナログで小まめに家計簿を付けていた。しかし、家計簿を記帳すると決めた日に限って慎二がやってきて、何かと話しかけたりちょっかいを出してくる。挙句の果てに抱き付いてきてそのまま…という事が多かったのだ。

その事を思い出した凪は『やっぱり慎二は”そういうこと”をしたいだけの人だったんだ』とうんざりするが、そんな凪にみすず・うららは『日頃のお礼をしたい』と”LINE家計簿”のおかげで浮いたお金で買ったイチゴたっぷりタルトを出してくる。感動した凪は『LINE家計簿万歳』と心の中で叫びながら、タルトに舌鼓を打ち、慎二のことなどキレイに忘れるのであった。

番外編2~キャバクラで家計簿アプリを勧められた慎二は凪との思い出を振り返る

行きつけのキャバクラ嬢の杏から”LINE家計簿”を勧められた慎二。強引にスマホにインストールされ、『さわりだけやってみる』と言うものの、すぐにその便利さに感心する。クレカと連動させることができ、銀行の残高も一目で分かる”LINE家計簿”に『家計簿ってもっと面倒くさいイメージだったのに』と昔凪が必死に記帳していた様子を思い出す。

慎二は必死に計算している凪をからかうのが好きだった。あまりちょっかいを出すと凪が不機嫌になるのでやめようと思うものの、結局いつも抱き付いてしまうのだった。

そんな日々を思い浮かべ『あの頃は青かった』等と思う慎二。まるで嫁の様にお金の使い方を正してくれる”LINE家計簿”のおかげで無駄な出費が減り、貯金がはかどるのであった。

…その事をキャバクラで杏達に伝えた慎二。すると、杏達は『LINE家計簿でお金が浮いたなら…』と高いお酒を持ってくる。慎二は断ることが出来ず、”LINE家計簿”で浮いたお金は杏達の元で使うことになるのであった…。

以下、感想と考察

母に自分の気持ちを打ち明けることができた凪

桃園の代わりにやって来た慎二のおかげで上手い事母を騙すことに成功した凪。しかし、その過程で凪は母が今までイメージしていたカンペキ超人などではなく、ただの普通の人間であることに気付き、だからこそ全てが嘘だったことを告げ、自分の気持ちを打ち明けることにした。

何と言うか、慎二のハイスペックさを見せつけて、『東京に来たい?』等と聞いたりと、母親に対してそこまで上げといて落とすのはどうかと思うけど…まあ、ドラマ版のぶっ壊し展開に比べれば幾分かマシか。

しかし、凪が本音を打ち明けたところでそれを母が素直に受け入れるはずはないと予想はしていたけど、あの母の『は?全部私が悪いの?』みたいな冷たい表情が何と言うか、中々堪えるものがある。でもリアルなんだよな。あの手の親って自分が子どもを抑圧している自覚が無いどころか、『ダメな子どもに悩まされている親』みたいな被害者意識を持っているから…。

凪と母親の様子を見守る慎二の回想に荒れた部屋に顔を殴られた風な女の人がいたけど、慎二のお母さんかな?慎二の家庭も相当に闇が深い。

結局、その場ではアパートの住人や”スナックバブル”の人々の明るさによって母は撤退。これはこれでハッピーエンドっぽかったけれども、当然そうは行かず、凪は北海道に戻ることになってしまうのであった…。

祖母の邪悪さと地方特有の固定化されたヒエラルキーの呪縛

そして、今回地味に嫌な感じがするのが凪の祖母。

この邪悪さがリアル。クマの耳が付いたような形の帽子と小柄さで凄く可愛らしく見えるけど、中身は相当にエグイ。昔から凪のことを褒めてくれる存在だったのだが、大人になった凪は『祖母が自分を褒めるのは母を貶すためだった』と気付いてしまう。…これ、現実でもありがち。『何かを褒める時に必ず何かを貶す人は落とす方に快感を得ている』というのは金言だと思う。後、写真に写った凪の父親を爪でカリカリひっかき続ける様子とかも地味に怖い。

思えば、凪が北海道に戻るキッカケになったのは母の足のケガだけど、帰ってこいと言ったのは祖母なんだよね。闇が深い。

そして、地元の同級生や近所の寄合の様子も嫌な感じ。こういう”地方”の描かれ肩って少なくないけど、現実でも人の出入りが少ない地方だとこんな感じで昔からのヒエラルキー、力関係がずっと引き継がれるのかな?世の中にはギャグじゃなくて本当に『おめえ、どこ中だよ?』とか言う人が存在するらしいし。

”根雪”との戦いの行方は?気になる『凪のお暇』8巻の発売予定日は?

表面的な積雪を取り払っても消えることのない頑固な根雪。それを表面的に変わろうとしても残ったままの自身の原点になぞらえる凪。やるせない地元での日々をその根雪との格闘に当てることになる凪を秘かに応援する新キャラ勝。果たして凪は根雪を取り払うことができ、無事に東京に戻って来れるのか?

気になる8巻の発売予定日は2020年11月18日。

でもコロナ禍ですからね…。多少遅れる可能性はあるよな…。

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