控訴審三日目。DNA鑑定の結果、三島正吾が真珠の父親ではないことが判明し、『三島正吾が真珠の父親を名乗り、付きまとい、真珠が交際していた男性達を次々と殺害していった』という真珠の証言の信憑性について、弁護人の宮前と桜井検事が争うこととなった。
そんな中、裁判長が『そもそも母親とされている品川環と品川真珠は本当に親子なのか』と疑問を呈すると真珠は態度を一変させ、『もし自分が品川真珠でなかったら裁判はチャラになるのではないか?』と言い出す。そして、裁判長がそれを否定すると急に自暴自棄になり、傍聴席にいた卓斗に対して『お前の親父をぶっ殺したのはボクだ!』と叫びだし…。
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真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
自暴自棄になった真珠について、弁護人の宮前は『被告人にはある種の自殺願望がある』とフォローして場を収めようとするが…
「卓斗くん、ボクが死んだらキミすっきりするでしょ?―ね!」
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傍聴席で硬直する卓斗に向かってそう叫ぶ真珠。法廷の空気は凍り付く。
すると、弁護人の宮前が慌てて裁判長に向かって『被告人は自暴自棄になっております』『この不規則発言には信憑性はありません』と叫び、休廷を求めた。
しかし、裁判長が休廷を言い渡そうとした瞬間、真珠が遮るように『大丈夫です』と言った。
「ボク、全然冷静だから。」
夏目アラタの結婚46 乃木坂太郎 5-6/27
「裁判長さん、このまま続けて下さいよ。」
裁判長はそう言った真珠を黙って見つめ、結果的に休廷はされずに裁判は続けられることになった。
一連の出来事を傍聴席でただ見守ることしかできなかったアラタは隣の藤田にこっそりと尋ねる。裁判を続けるとはいっても、先ほど真珠は卓斗に向かって『お前の親父を殺したのはボク』と叫んでしまった。これでは自白してしまったのも同じで、もう終わりなのではないかと。
だが、藤田は『今のは自白にならないと思う』と答える。先程の真珠の言動の様に脈絡なく発せられたものは”不規則発言”といって速記係が記録することはなく、証拠にならないのだ。
実際、裁判長も真珠に向かって『これから先の発言は記録されますがよろしいですか?』と念押しする。
それを見たアラタは『完全になかったことになるんだ』とホッとするが、藤田は『そんなに都合よくはいかない』と教える。
恐らくこの後、桜井検事は真珠に質問する際に『あなたは先程、自分が殺したと発言しましたが…』等と言って、真珠が殺人を自白したことを記録に残そうとするはすだ。”不規則発言”それ自体が正式に記録とされなくても、結局そうやって間接的には記録として残ってしまう…そう藤田は語る。案の定、桜井検事は真珠の先程の発言を好機として捉えているようで、ニンマリと笑っていた。
すると、裁判長が宮前に先程の真珠の発言の真意を述べる様に言う。桜井検事が真っ先に追及してくることを恐れていたアラタはひとまず”宮前のターン”になったことに安堵する。そんなアラタに藤田が『被告人の発言は弁護人を通すのが原則である』と説明し、先ほどの様なことがあっても冷静にその原則を守る裁判長のことを『基本に忠実でフェアな人』と評すのであった。
宮前は立ち上がると、控訴審二日目にも真珠が『死にたい』と言ったことを持ち出し、真珠に対して尋ねる。
「それに先ほど絞首刑はラクな死に方だとも発言しました!!」
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「―ある種の自殺願望があるのではないですか?」
すると、真珠は昏い表情でこう答えた。
「生きていたくない。」
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その言葉にアラタは少なからずショックを受ける。
死にたいって…俺との結婚はどうなるんだよバカヤロ…!!
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真珠は以前拘置所の面会で『拘置所を出てアラタと一緒に可愛い家に住みたい』という願望を口にした。それなのに死を望むような言動を取る真珠の態度に傷つくのであった。
宮前は真珠のこの発言を受けて、『被告人が”不規則発言”をしたのは、裁判の成り行きに絶望し、あえて死刑になろうとして虚偽の発言をしたのではないか』とフォローしようとした。
だが、それを聞いた真珠は『絶望?』と不思議そうな顔をし、次の瞬間微笑みながらこう言い出したのだ。
「―どころかとっても幸せですよんボク。」
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予想外の真珠の言葉に、またしても法廷に緊張が走るのであった…。
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時間が止まる気がしてよかった…そう一審を黙秘した理由を明かした真珠は、さらに『2年経ったから死刑でいい』と諦めた笑みを浮かべて言い出す
真珠は会いたいと思っていた卓斗に会い、言いたい事を伝えられて満足していると告げる。
「止まっていたボクの時間が、最高のタイミングで動き出したし!」
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困惑した宮前が『”時間”とはどういう意味ですか?』と尋ねると真珠は淡々と語り出す。
拘置所の中は本当に時間が止まっているみたいだった…食べて寝て排泄をするだけ。働く必要もなく、ただ息さえしていればいい。世の中では普通に時間が流れているなか、自分だけ凍り付いた様に同じ毎日を繰り返しているようだった…と。
「一度も口をきかなければ、もっと時間が止まる感じがして案外それも良かったんです。」
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その言葉に宮前は驚愕し、尋ねた。
「まさか、」
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「だから一審は黙秘した…?」
真珠はあきらめた様に『はい』と答えた。傍聴席で藤田は『素晴らしく狂っている』と喜ぶが、アラタは唖然とすることしかできなかった。
そして、真珠は哀しそうに笑いながらこう言うのだった。
「でも、それももう終わり。」
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「2年経ったから。」
裁判長は目を見開き、真珠に”2年”とはどう意味か尋ねた。
しかし、真珠はそれに答えようとはせず、曖昧に微笑み言うのであった。
「……死刑でいいです。」
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アラタを見ても何の反応も示さない真珠。失意に飲み込まれるアラタだったが、突然真珠が…
そのまま真珠は黙り込んでしまい、弁護人の宮前は慌てて『被告人はこのように自殺願望が強い』と弁護する。
アラタは二日目の様に真珠に向かって咳払いし、自分の存在をアピールしようとした。『夫である自分を残して死ぬつもりなのか』…そう焦るアラタはとりあえず真珠と目を合わせることで心境を変えてやれればと考えていたのだ。
すると、真珠は咳払いに気付きアラタの方を振り返る。喜ぶアラタだったがその気持ちは一瞬で吹き飛んだ。
アラタを見た真珠は無表情で、その瞳はどこまでも暗かった。そして、アラタには何も関心がないとでも言いたげにすぐに前を向き直したのだ。
その真珠の態度にアラタは失意に飲み込まれた。
…やっぱ、そうなんだよな…
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俺との「夢」とかそんなものは、お前にとってはアクリル板越しの
蜃気楼みたいなもんだったんだよな…
アラタはただただ絶望する。
だが、次の瞬間だった。
突然真珠が踵を返して傍聴席に向かって駆け出したのだ。
そして、必死の形相で手を伸ばしながら叫ぶ。
「アラター!」
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そんな真珠に傍聴席最前列にいたアラタも思わず立ち上がり叫び返した。
「真珠!」
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そして、傍聴席に飛び込んできた真珠を抱き止めた。
そのまま互いの顔を両手で包み、笑顔で見つめ合うアラタと真珠。傍聴人達はもちろん、宮前も桜井検事も呆気に取られ、刑務官達が慌てて駆けつけようとしていた。だが、裁判長だけは落ち着いた様子で二人の様子を見守っていた。
法廷の騒然とした空気をものともせず、真珠は笑ったまま涙を流し、アラタ顔を撫でながら言うのであった。
「…いる。本当にいるんだ…!!」
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それがアラタと真珠が初めて触れ合った瞬間だった。
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以下、感想と考察
後半は読んでいて涙が出て来てしまった。
真珠の発言した『2年』とは何を指すのか
突然演技を放棄し自暴自棄になってしまったかのような真珠。しかし、あくまで自分は冷静だと主張し、そのうえでただ死刑を望むような言動を繰り返す。真珠が言うことには『もう”2年”経ったから死刑でいい』とのこと。裁判長が2年の意味を尋ねた者の答えようとはしなかった。一体この”2年”とは何を意味するのであろうか?
真珠が3人目の被害者である山下良介の死体を損壊している現行犯逮捕されたのがアラタが真珠と出会った時から大体2年前とされている(1話目参考)。だから、素直に取るならこの”2年”というのは拘置所等で社会から隔絶された時間と取るべきなのだろう(とはいえ、アラタが真珠と出会ってからまた更に時間は経過しているが)。
あるいは、真珠が本当に隠したい何か(例えば三島正吾の死体)がこの2年で消え去っている、あるいは時効が適用されているという推理も出来る。とはいえ特定の何かが2年という期限で綺麗に消えるとも思えないし、例えば殺人の公訴時効制度は既に廃止しており、遡って適用されているので、例えば母、環の犯した殺人の時効を待つ…というのも少しおかしい。
ところで、前回の記事でも書いたが、私は真珠の正体について『何らかの事情で夭折した本物の品川真珠の妹でかつ無戸籍児』だと予想している。そのため、逮捕時は20歳で、アラタと出会った時点では21歳ということになっている真珠だが本当は2~3歳年齢が低いのではないかと考えていた。
前回の記事はこちら
→【漫画】夏目アラタの結婚 最新話・45話【感想・ネタバレ・考察】突然、全てをぶち壊しにするような破滅的な言動を取り始めた真珠に法廷は騒然となる
そのため、この”2年”というのがもしかしたら、成人になるまでの時間を指しているのではないかとも考えてしまう。事件(殺人)時あるいは逮捕時にはまだ18歳で、それから成人するまで生きることが真珠にとって意味があることだったのではないかと。詳細はまだ分からないが、複雑で悲惨な生い立ちであることは確かな真珠だ。”大人”になるということが彼女にとってある種の人生の目標だったのかもしれない。
しかし、もう一つ気になることが出てきたのが、真珠の『時間が動き出した』発言。以前から『止まっていた時間が動き出す』ということに妙な執着を見せていた真珠だが、今回『卓斗君に会えて言いたいことを伝えられた』と言っていることから、やはり卓斗自身に並々ならぬ執着を持っていることが分かった。
何故、ここまで卓斗に興味を持っているのだろう。以前にも軽く考えたけれども、実は卓斗の父、山下良介が真珠の実父(つまり真珠にとって卓斗が腹違いの弟)という可能性があるのだろうか?
良介はサラサラの綺麗な髪質の女性が好みだった→真珠の母、環はまさに髪がサラサラの美女で、それぞ映画『レオン』のマチルダっぽい雰囲気のある女性→良介と環はいい仲になるが、何らかの理由で破局し、真珠が生まれるも真珠は無戸籍児として育つ→その後、良介は妻と出会い、妻に押される形で結婚、卓斗が生まれる→それから10年以上の月日が経って、真珠と良介が接触、良介は真珠が娘だと気付いて支援していたが、殺害されバラバラにされる…。
↑これはさすがに無理がある推測だろうか…。でも、もしそうだとしたら、良介の妻(卓斗の母)が控訴審が近づいて不安定になった理由も、真珠にとって良介の死体(首)が重要な意味をもつのも理解できなくはないが、どうだろう…。
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初めて触れ合ったアラタと真珠…今後の二人の行く末は…!?
それはそうとして、後半の真珠がアラタに向かって駆け出してくるシーンには思わず涙が出てしまった。
一瞬はアラタのことを無視したようにも見えた真珠の態度。しかし、そうではなかったのだ。
今まで何度となく面会し言葉を交わしてきた真珠とアラタだったけど、真珠にとっては全て現実感のないアクリル板越しの交流で、アラタの言う通り、蜃気楼のようなものだったのだ。だから、散々アラタのことを振り回してきたものの、どこまで信じていいか分からなかったのではないだろうか。結婚してもそこに現実的な触れ合いがあるわけではないから、結局孤独感が薄まることもなかったのだ。
だけど、今回全てを諦めかけた時、アラタが自身の存在をアピールしてきた。一瞬冷淡な態度で無視をした真珠だったが、アラタの存在を目の当たりにして、もう孤独に耐えられなくなったのではないか。
思わずもう自分が死刑を免れないと思ったからなのか、それとも衝動的なものだったのか。どちらにせよ、今回は未だかつてないほど、真珠の弱い一面が描かれていたと思う。
そして、心の底からアラタを求めた真珠に対して、アラタは全力で応えた。触れたことで『本当にいるんだ』とアラタの存在を実感することが出来た真珠。公衆の面前で堂々と夫らしい振る舞いをしたアラタ。先の暴言のせいで、世間の真珠に対する風当たりは確実に厳しくなるだろうが、果たして二人の行く末は…。
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