本当の“品川真珠”は乳児の時に夭折し、今の真珠は死んでしまった真珠の代わりとして品川環に産み育てられた妹であった。現在21歳とされている真珠だが本当の生年月日は不明で事件当時、そして現在も未成年である可能性が高い。その事こそが控訴審における真珠の本当の切り札だったのだ。
あまりに酷い真実にアラタは自身の無力さを実感すると共に、真珠を哀れな少女としか思えなくなり、以前の様に一人の女性として見れなくなってしまう。
その事を見抜いた真珠はアラタに激昂し激しく罵るもそれでもなお反論しないアラタの態度に絶望し、せめてアラタに殺してほしいと仄めかすのであった…。
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真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
宮前に真珠の正体と石川県七尾市の乳児の遺体の存在を明かしたアラタ。すると宮前は検察より先に遺体のDNA鑑定をするためにアラタに『もう一度遺体の元に行って髪の毛を取って来てくれませんか』と言い出す。
宮前の所属する『玉森法律事務所』の一室。沈痛な面持ちで煙草をくゆらせるアラタに宮前は愕然とした表情で叫んだ。
「本当なんですか……!その話は…!!」
夏目アラタの結婚55 乃木坂太郎 5/27
アラタは石川県七尾市で見たもの、そして真珠の正体について全て宮前に明かしたのだ。
アラタは『マジっす』と答え、自分が今後どのように行動をすればいいのか宮前に尋ねる。とりあえず警察に連絡して、七尾市の環の故郷の裏山に遺棄されている本物の品川真珠の遺体を回収してもらい、供養してあげたい…そうアラタが語ると宮前はこう言うのであった。
「―それは待って下さい!」
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「検察側より先に、こっちで遺体のDNA検査をしておきたいんです。」
怪訝な表情をするアラタに宮前は説明する。七尾市にあった遺体こそが品川環と三島正吾の第一子であるとあらかじめ証明できれば、検察側が小細工をする余地がなくなるのだと。そして、真珠が未成年であることを証明できればほぼ確実に死刑は回避できると宮前は自信ありげに微笑み、言った。
「もう一度石川へ行って遺体の髪の毛を取ってきてくれませんか、ね?」
夏目アラタの結婚55 乃木坂太郎 7/27
宮前は『アラタが”偶然”手に入れた遺体の髪の毛を、宮前が”念のため”捜査をした』という体裁が必要だと説く。そして、『早く供養してやりたいんだけど…』と渋るアラタに『供養をしてあげたいなら余計に急いで行ってください』と急かす。アラタはトランクに眠っていた乳児の白骨遺体を思い出し陰鬱な気分になるのであった…。
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『真珠は未成年のうちに起訴されることを目指していた』という宮前の推理をアラタは『真珠は誰かに追いついてもらうのを待っていただけ』と否定する
そんなアラタの気持ちをよそに宮前は『未成年だから待てなかったのか!』と一人納得したように言う。アラタが『なんの話だよ?』と尋ねると宮前は『真珠さんが一審の時にやけに早く起訴されたがっていた理由です』と答える。以前、宮前は真珠が一審の時の担当弁護士、竹中に話を聞きに行った際、真珠は早く起訴されたいがために一審の時は完全黙秘を貫いていたということが分かった。宮前はずっとそのことを不思議に思っていたのだが、真珠が未成年のうちに起訴されることを望んでいたのならば筋が通ると語る。例え事件を起こした時に未成年でも起訴時に成人していたら成人として裁かれてしまうからだ。
だが、そんな宮前の推理を聞いたアラタは哀しい表情で否定した。
「…俺には、ずっと待ってたと言ってたよ。」
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「見えない誰かに、手を振って―」
そして、アラタは真珠の子供の頃に思いを馳せる。例えば小学校で、教室の窓から学年が下の生徒達が集団で早い時間に下校をしていたり、運動会で集団を作っている様子を見るときがある。そんな時、真珠は『あの子達が本当の同級生だったんだ』と思いながら見ていたのではないかと。そして、『どうして自分はこんなに前を歩かされているんだろう』と感じていたのではないかと。
「2年待てば、きっと誰か追いついて来てくれる……」
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「そんな風に思ってたんじゃないかな、あいつ。」
アラタのその言葉に宮前はしばし言葉を失い神妙な面持ちになるのであった。
アラタは更に真珠が手紙に興味を持った理由について『30代なのに中学生みたいな字を書くところに惹かれたのでは』と推理する
アラタの言葉にしばし言葉を失っていた宮前だが、その後微笑むと『そこに夏目さんが現れた』と言った。すると、アラタはこう訂正した。
「違う。」
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「あいつから見たら、中学生みたいな字を書く30代の男…だ。」
山下卓斗がアラタの名前を騙って真珠に出した手紙。真珠は沢山届く手紙の中から卓斗の書いた手紙に興味を示した。アラタから見てもその手紙は悪筆なことを除けば特に心を打つような内容ではなく、何故真珠が『会おう』とまで言ったのかがずっと分からなかった。
しかし、真珠の出自を知った今なら理解できた。真珠はきっと手紙の主を『数歳上の姉を演じている自分の様に、能力以上の仕事や責任を負わされている哀れな男』と、ある種自分と同類の人物だと考え会ってみたいと思ったのだろうと。
そう語ったアラタに宮前は『でも一度は夏目さんに会って落胆したものの、結局は夏目さんを選んだわけでしょう?』とフォローした。
そんな宮前にアラタは前回の面会で見抜いた真珠の本当の望みについても明かした。
「それなんだけど……」
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「あいつ、さ 俺に殺してほしいみてえなんだ……」
「真珠にとって特別な誰かって、全部終わらせてくれる奴のことみてえだよ。」
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『真珠は俺に殺されたがっている』と宮前に語ったアラタだが、今までの真珠とのやり取りから真珠の中にまだ生きる希望があること、そしてしぶとく生きようとする真珠のことを自身が深く愛していることに気付き…
真珠の本当の望みはアラタに殺されること…それを聞いた宮前は驚愕し言葉を失う。
するとアラタは2回目の面会で真珠から『今までにした一番悪い事』を尋ねられた時の話を持ち出した。
( →【漫画】夏目アラタの結婚4話【感想・ネタバレ・考察】アラタの家族構成や秘密を探ろうとする真珠にアラタは…!? )
その時、『虐待していた父親を怒りから殺しそうになってしまった』と答えてしてしまったアラタは今となってはそんな話をしてしまったことを後悔していた。
『誰か(姉である本物の品川真珠)の代わりの人生を生きてきた真珠が初めて選ぼうとしているのは死に方だ』…そう皮肉気に宮前に言ったアラタ。
だが、そんなアラタの脳裏にふと、ある時真珠が錯乱し面会が中止になってしまった時、刑務官に連れて行かれる際に真珠が必死の形相で『絶対にアラタと一緒に可愛い家で暮らすんだ』と叫んだ時の様子が浮かんできた。
( →【漫画】夏目アラタの結婚 35話【感想・ネタバレ・考察】強い執着を見せるようになった真珠に戸惑うアラタ…さらに真珠は突然遺体の隠し場所を語り出し… )
アラタは思わず『そう言ったよな…』と呟く。
そして、アラタは桃山の言葉を思い出す。児童相談所に尋ねてきた桜井検事が真珠のことを冷血な殺人鬼と決めつけるのに真っ向から反論した桃山は『あの子の中にはまだ希望が残っている』と必死に訴えた。( →【漫画】夏目アラタの結婚 最新話・37話【感想・ネタバレ・考察】アラタに興味を持って訪ねてきた桜井検事…一方、桃山は真珠に対するアラタのとある本音を指摘し… )
その時ははぐらかしたアラタだったが、今になって『桃ちゃんは正しいよ』と小さく答えた。
そして、自分に言い聞かせるように顔を上げてハッキリとこう言うのであった。
「真珠は心の底では生きようとしてる。」
夏目アラタの結婚55 乃木坂太郎 22-23/27
「だから、俺は惹かれたんだ…!!」
驚いた様に目を見開いた宮前とバッチリと目が合ってしまったアラタ。アラタ自身、自分の口から飛び出した言葉に唖然とするのであった。
宮前はそんなアラタに優しく微笑むと『なるべく早く石川に行って遺体の髪を取ってきてください。僕は起訴後に未成年と分かった判例がないか調べてみます』と穏やかに言った。アラタは呆けたように『ああ』と答え、きっと真珠自身もそういった判例がないか調べていたはずだろうと言った。
そしてアラタは困惑した表情を浮かべながらも改めて言うのであった。
「……そうなんだ…」
夏目アラタの結婚55 乃木坂太郎 25-26/27
「しぶとく生きようとするあいつが…」
「好きだ。」
以下、感想と考察
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真珠の中への生きる希望と、自身の真珠への愛情を再認識したアラタについて
前回の考察でも書いたけど、真珠は希死念慮に憑りつかれながらもアラタと出会い交流したことで生きる欲求も強くなっていた。元々、未成年という切り札を持っていた真珠はやろうと思えばいつでも裁判を覆すことも出来たわけで、行動こそ起こさなかったものの、アラタと出会う前から宮前好みの髪型にしたりして気持ちを繋ぎ止めていたのも心のどこかでまだ生への欲求が残っていたからだろう。
アラタから一人の女性として見てもらえなくなったことに絶望した真珠は再び希死念慮に支配され、アラタへの執着が『拘置所から出てアラタと暮らしたい』から『アラタに殺してもらいたい』にシフトしてしまったけれども、アラタは真珠の中にしぶとい生きる希望があると気付いて、そして自分がそんな真珠に惹かれ続けていたことに気付く。
死刑判決を受けその上希死念慮に囚われつつも、それに抗いしぶとく生き延びようとする女性…そんな真珠にアラタは惹かれ続けていたのだと。
なんやかんや言いつつ、ここ最近は真珠への愛を再認識しがちなアラタ。なんだか少しずつ宮前の態度も軟化してきた気がする。特に今回の宮前は驚愕したり、温かい眼差しになったりと忙しかったな。
アラタが逮捕、起訴される未来しか見えない
…しかし、個人的に今回は“嵐前の静けさ”回だと思っている。というのも嫌な予感しかしないのだ。ハッキリ言ってしまえば、次回以降アラタが逮捕や起訴される未来しか見えないのだ。本物の品川真珠の遺体関連で。
というのも桜井検事は既に『真珠がアラタを使って無罪に繋がる真実を発見させようとしている』というのを見抜いており、アラタにも直接『真珠の指示で証拠を隠滅したり捏造したら起訴する』と警告している。アラタは既に一度、忌引(それも嘘)を使って環の故郷である七尾市で一晩過ごしている(それも野宿)。もうこれだけで結構怪しいし、アラタが七尾市に行った事も検察側は把握しているのではないか。流石に宮前が軽率すぎる。アラタが桜井検事にけん制されたことは聞いているはずなのに、この状況で再度遺体を掘り起こす様に指示するなんて…。アラタの行動が見張られていることを予想することは容易なのに…。
もし、この状況でもう一度あの七尾市徳田の裏山の遺体を掘り起こしに行ったら、最悪尾行されて現行犯で逮捕だろう。宮前に証拠を渡すことも妨害され、当面真珠と会えなくなる可能性が高い。
しかも、その場で掘り起こしたこと自体は誤魔化せたとして、アラタは以前一度掘り起こして再び埋めている。この事が証拠の隠滅、捏造とみなされるだろうし、そうなった証拠の信用性もどうなるのか。
果たしてアラタは無事に証拠を手にすることができるのか(出来ないんじゃないかな)…。
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