【ドラマ】全裸監督1話「裏の世界」【感想・ネタバレ・考察】セールスマンがAV監督になるまで

全裸監督

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Netflixオリジナル作品が熱い。190ヵ国、一億人以上会員がいるNetflixは、オリジナル作品に掛ける制作費用も潤沢で、1兆円以上あると言う。その上、作品の完成度も高く、話題になるだけでなく、『ROMA/ローマ』の様にヴェネチア国際映画賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞等総なめする作品も数々生まれている。そして、Netflixは日本でも様々な作品を生み出している。アニメ作品が多い印象があるが、ドラマ作品も複数ある。

そして、そんなNetflixが日本から全世界190ヵ国に発信された衝撃作が、この『全裸監督』である。英題は『THE NAKED DIRECTOR』。日本のバブル期を駆け抜けた実在のAV監督村西とおるの半生を虚実織り混ぜて描いたドラマである。村西とおるを演じるのは怪優、山田孝之。

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Contents

あらすじ・ネタバレ

お荷物社員だった村西はセールスマンとしての才能を開花する

1980年、札幌。村西とおる(山田孝之)は、実母(余貴美子)と妻、小学生の娘と息子を養うため、高額な英語教材エンサイクロペディアを売るビアンカ・インターナショナルのセールスマンをしていたが、全く売り上げることが出来ず漫然と日々を送っていた。

そんなある日、村西は部長から『このままの営業成績ではクビだ』と宣告される。あまり落ち込んだ様子を見せない村西に『不思議なやつだ』と部長は呆れながらも、優秀なセールスマンの先輩社員・小野(板尾創路)に学ぶよう指示し、村西は小野に教えを請い、営業に付いて回ることとなった。

『正気かっ』が口癖で『カモメのジョナサン』を愛し、映画を見てサボる等自由奔放で掴み所が無い小野はなかなか営業のコツを教えてくれず、村西は困惑するのであった。

ある日、村西は小野が見守る中、団地へ飛び込み営業し、そして見事なまでに全滅した。そんなグダグタな村西を見た小野は『正気かっ』と笑顔の怪しさ等をダメ出しし、団地の公園でセールスのコツを語るのであった

『褒めて口説くんだよ。相手は全員上玉の女だと思え』
『まずは褒めて褒めて心を開かせろ。褒めまくれ!そこに最高の口説き文句を情熱的に突き刺せ!女をいかせるつもりでやれ。これがセールストークのコツだ』

そう村西に語った小野はいきなり村西をヤクザ(吉田鋼太郎)の家にセールスに行かせる。一人取り残された村西は失禁するほど恐ろしい目に遭い、時折地雷を踏みながらも、ヤクザを褒めちぎり『これから海外との取引も増える任侠社会は右手にガン、左手にイングリッシュ』と説得する。そして、ヤクザがフィリピン人と思われる男性と握手している写真を見つけた村西は更に『英語ができれば現地に行った時に女性と愛のコミュニケーションが交わせます!特にフィリピンでは効果バツグン!』とヤクザの関心を引き、テンションを上げて見事に契約を勝ち取るのであった。外で待っていた小野は村西を笑顔で労い、『自分に合った相手を狙え』と更に村西に助言した。

しかし、その日を境に村西はセールスの才能を開花させ、小野の助言が必要ない位に、ありとあらゆるタイプの人間に合わせた自尊心をくすぐる、情熱的なセールストークを展開出来るようになった。

『この時が最後のチャンスです!』
『私はあなたの人生を諦めて欲しくないのです!』

団地の集会所で住民達に向けて集団セールスするまでに成長した村西。
村西の情熱的なセールストークは多くの人の心に響き、営業成績はうなぎ登り。
ノルマ表は壁をはみ出て天井にも続く位となった。

しかし、『営業成績第一位!』と村西が社内で皆に祝福されるなか、一位の座を奪われた小野は一人背を向け煙草を燻らせているのであった…。

その日、帰宅した村西は家族にも成績第一位とその賞品の立派な置時計を自慢し、子どもたちにもおもちゃを買い、立派な家にも引っ越そうと約束し家族を喜ばせる。
しかし、妻との性生活は上手くいっているとは言えず、仕事が順調な村西を妻は褒め労わるものの、どこか不満げであった。

小野の裏切りと会社の倒産、そして妻の不倫…全てを失った村西

ある朝、いつも通り出社した村西。しかし、会社の前にはパトカーが止まり、オフィスには警察官がおり、物々しい。なんと、会社の売上金が全て盗み出されてしまったのだ。金庫の前には『カモメのジョナサン』。犯人は小野だった。

失意の中、家の方向に戻ってきた村西。家の目の前にある理容室に入るも、気分が乗らず帰宅することにした。しかし、玄関には見知らぬ男物の靴があり、妻の姿も見当たらない。嫌な予感を抱きつつも、村西は物音のする二階に息を潜めながら向かう。

すると、そこでは妻と郵便局の配達員の男が激しく抱き合っていたのだった。パニックを起こしながらも口に手を当てその様子を隠れ見る村西。だが、積極的に男を求め、自身に見せることの無い乱れた姿の妻に動揺した村西は階段まで戻るが滑り落ちてしまい、帰宅していたことが妻と男にバレてしまう。その勢いで、部屋に踏み込み男を殴り倒した村西。そして、妻に掴みかかり、『なんて女なんだお前は、みっともない』と叫ぶ。しかし、妻は反省するどころか、村西を突飛ばし『みっともないのはあんたでしょ』と叫び返す。そして、『アンタで満足したことがない』と言うのだ。

そう叫んだかと思えば号泣し始めた妻に村西は何も言えず呆然とする。そして、妻は娘と息子を連れて家を出て行ってしまうのであった。

やけ酒を煽っていた村西はラブホの盗聴テープを売るチンピラ、トシと出会う

仕事も家族も失った村西。ある日、スナックで一人やけ酒を煽っていたが、そこで他の客とトラブルを起こしていたチンピラのトシ(満島真之介)を意図せずして助けてしまう。

人懐こいトシは恩人である村西に話しかけてくる。そんなトシを鬱陶しく思いながらも、村西はトシにトラブルの原因を尋ねた。するとトシはボストンバッグから大量のカセットテープを出して見せる。

トシはラブホテルで盗聴器を仕込み、そこで繰り広げられる情事の音声を録音、販売していたのだ。トラブルの相手は“ハズレ”を掴んだだけで、“人妻の不倫もの”が人気だと語るトシにトラウマをほじくりかえされた村西は思わず彼の顔面を鼻血が出るほど殴り付けてしまったが、村西の事情を知ったトシは笑ってそれを許す。そして、『自分は人生の全てを家族に捧げてきた』と項垂れる村西にこう言ってのけるのだ。

「そりゃあ、あんたが悪いな

全裸監督1話 「裏の世界」

『女房を満足させられなかったのだから』…その言葉に驚く村西にトシは更に『性欲には表と裏がある。裏の欲望を満たさなくてはならない』と語る。そんなもの隠しているのだから分かりようがないと吐き捨てる村西に『お礼と言っちゃなんだが、見せてやろうか、裏の世界を』と笑うのであった。

ラブホテルに村西を連れてきたトシはリネン室に向かうと隣の部屋に慣れた手つきで盗聴器を仕込み、録音の手筈を整える。そしてヘッドホンを村西に渡すのであった。ヘッドホンを装着した村西はそこから聞こえる生々しいやり取りに驚愕する。そしてコンセントカバーを外すとそこからは男女の情事を覗き見ることができた。

男女の会話から、女が人妻で夫とは得られない快楽を男に求めていることが分かり、見知らぬ女に妻の姿を重ねた村西は興奮していく。そんな村西をニヤニヤと眺めていたトシ。しかし、村西は突然ヘッドホンを外したかと思うと、カセットテープのインデックスに『英会話教材のセールスマンの妻と見知らぬ男』と、聴いた者の想像力を掻き立てる様なタイトルを書き込む。そして、『これを売る』と言い出すのだ。

トシはそう簡単に売れるものではないと呆れて笑う。しかし、日を改めて、スーツを着込んだ村西がアダルトショップに、セールスを掛けるとカセットテープは面白いくらい大量に売れる。村西が優秀なセールスマンであったことに驚くトシ。一日2本売れればいい方だと言うトシに村西は『一日目標60本』と言い出す。

それを聞いたトシは『俺と組むってことか?あんたこの世界に入る覚悟はあるのかよ』と凄む。しかし村西はトシを真っ直ぐ見返し、言う。

「売りたいんだ、人間の性欲を

全裸監督1話 「裏の世界」

そしてアダルトショップの店内にあった本について尋ねる。それは”ビニール本”…通称”ビニ本”、ビニールで包み中身が見えない様にすることで想像力と購買意欲を掻き立てるという新手のエロ本であった。“ビニ本”が月100万冊以上売れていると聞いた村西は表情を一変させる。『エロは金になる』と言うトシに村西は『“ビニ本”の仕入れをしたい』と申し出る。

トシに車で送られる村西。『もう後戻りできないぞ』とトシは言うが、村西の決心が揺らぐことはない。村西は車を降りて消費者金融に向かうのであった…。

以下、感想と考察

序盤からとんでもない勢い

もう最初からぶっ飛んでいる。冒頭に今後の展開のダイジェストの様なものが流れるのだが、もうそれだけで、「えっ?えっ?」となる。そして、展開に無駄がない。更に俳優も豪華。序盤だけしか登場しないのに、板尾創路が演じる、村西を才能を開花させると共に、地獄をも見せる先輩社員の小野の存在感が凄い。

また、何より全てにおいて生々しい。不倫現場で口に手を当て震えながら声を押さえる村西の背後に子どもが描いた『ママとパパ』の絵が貼られているのがまた、なんとも…。

でもそんな中、何が一番凄いって、山田孝之の演技だと思う。序盤のうだつの上がらない様子から成績トップの自信に溢れたセールスマン、そして職と家族を失い自暴自棄になった男…それらの姿全て、説得力があるのだ。…『セカチュー』で『助けてくださいっ!』と叫んでいたあの爽やかな少年がこうなるだなんて誰か想像できていただろうか…。

『裏の世界』…“エロ”の世界に踏み込んだ村西

こうして、壮絶な天国から地獄の体験を経て、“エロ”の世界に足を踏み入れた村西。“ビニ本”の可能性に目をつけ、その仕入れを始める。果たしてそれは吉と出るか、凶と出るのか…。

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