【総評】架刑のアリス【全11巻】

架刑のアリス1巻表紙

Warning: Undefined array key 6 in /home/yage/nekokurage.com/public_html/wp-content/themes/first/functions.php on line 506

架刑のアリス、最終巻のネタバレ、感想記事はこちら
【漫画】架刑のアリス11巻・最終巻【感想・ネタバレ・考察】あっさりしたラスト~ステラが選んだのは月兎か是乃か?

こんばんは、猫くらげです。

通勤、帰宅の合間、手持ちの小説がない時はRenta!で面白い漫画を探しています。恥ずかしながら私は無料会員(ケチ)で、無料で読めるのは多くて最初の3巻位までなのですが、大体はそれで満足しちゃいます。

しかし、ごくたまに、「課金しても続きが読みたい!」と思える作品があります。

その一つが今から紹介する『架刑のアリス』です。

Contents

架刑のアリス 由貴香織里 あらすじ

主人公は世界有数の財閥、久遠寺家の養女であり9人兄弟の四女、星(ステラ)。彼女は血の繋がらない長兄・是乃(ゼノ)に思いを寄せながら何不自由なく暮らしていた。久遠寺家では月に一度、家族全員で「いかれたお茶会(マッド・ティー・パーティー)」を開き親睦を深めるしきたりがあったが、是乃(ゼノ)の19歳の誕生日でもあるその日のお茶会の最中に、久遠寺家の当主である母・織雅(オルガ)がとんでもないことを告げた。

「今から兄妹全員で殺し合いをしてほしいの。最後の1人になるまでね。生き残ったたった1人が久遠寺家を継ぐ者になるのよ」・・・と。

和やかだった茶会は一転、襲い掛かる兄弟も現れ、是乃は重傷を負ってしまう。混乱の中、星(ステラ)のなかで眠っていた狂気の人格『血塗れのアリス』が目覚める。星(ステラ)は「愛するもの」と、生命(いのち)を賭けて残虐なサバイバルゲームに身を投じていくのであった・・・。

ざっくりした言い方をしてしまえば、アリスのコスプレをした美少女が、サイヤ人よろしく、危機に陥ると金髪碧眼になって銃火器でバンバン敵をなぎ倒していくお話です。

感想

最初、作者名も確認せず読み始め「あれ、この絵の感じどこかで見たことがある・・・あ、もしかして由貴香織里では!?」と途中で気付きました。

由貴香織里先生と言えば、『天使禁猟区』や『伯爵カインシリーズ』で有名な大作家です(機会があればこの二つについても語りたい)。絵柄と雰囲気をライトにしていたのですぐに気付けませんでした。

はっきり言ってしまうと、設定自体に目新しさはありません。親しい者同士殺し合うといった展開(いわゆる「デスゲーム系」)は昨今食傷気味ですし、童話モチーフのキャラ付けも珍しくはないですから。

しかし、それでも飽きさせずに読ませるのは、培ってきた実力なのでしょう。面白いです!

しかし、面白いからこそ、気になる点がいくつかあります。以下です。

気になってしまうところ

スポンサーリンク

戦闘能力の設定が分かりづらい

バトルに重きが置かれる作品において、各人の能力の設定、バランスは重要ですよね。

この作品の能力の中心になるのが戦魂(ラルヴァ)というものです。兄弟各人の中に眠れる力であり、主人公のそれは銃火器の扱いに優れた戦闘狂の『血塗れのアリス』です。

しかし、単純な能力というわけではなく、主人公とは異なるバックボーンや記憶を持つ全くの別人格、守護霊のような存在です。そして、主人公は危機に陥ると金髪碧眼のアリスに変身するのですが、そこのところの描写が曖昧で・・・。というのも、はっきりと「アリスに体を乗っ取られている」という描写がされていると思えば、戦っていても言動は主人公そのものだったり。もちろん、バトル物で「主人公が能力や裏人格に飲み込まれたり、それに抗ったりする」描写は定番中の定番なのですが、「今どっちが喋ってるの??」状態に陥ることが多いのです。主人公のステラに比べてアリスの方が口が悪く乱暴なのですが、主人公自身もやや口が悪いので尚更。

一方で、他の兄弟達の戦魂はどうかというと、前半は『切り裂きジャック』『赤ずきん』等、それらしいのですが、途中から『火や水を操れる』『傷がすぐ治る』等で別人格に侵されている描写も無くなっていき、設定にブレを感じます。

また、久遠寺家以外でも衝撃波を出したり、電撃出来たりする様な人物が多数存在するため、戦魂の特殊性が薄れてきてしまうのも気になります。
最終巻に至っては、戦魂(ラルヴァ)自体が主人格のキャラクターが出てきたりするので、かなり曖昧な概念になってしまいます。

他の兄弟間の戦闘が無い

『兄妹全員で殺し合い』と謳っている割りに、『主人公VS兄弟の誰か』の戦いしかありません。主人公は一応、殺し合いを嫌い、戦いを回避しようとしているのですが、他の兄弟、母親に仕掛けられるというパターンが続きます。せっかくの9人兄弟なのだから、他の兄弟間の戦闘を描く余地はあったのではないかと勿体なく感じられます。また、兄弟同士共闘することもあまりないのです。それゆえ、戦闘シーンのシチュエーションに趣向を凝らしているものの、ワンパターンになりがちです。

スポンサーリンク

生かされない設定と明らかな矛盾

詳細は各巻の記事で書きますが、元々由貴香織里先生の作品は設定が過積載なものが多いです。ゆえに活かされなかったり、いつの間にか消える設定が多いです。それは分かっていたので良いのですが・・・8巻で驚くような設定の矛盾が出てきます。とある兄弟の過去の設定なのですが、作者本人はともかく編集者やアシスタントが気付いて指摘しなかったのでしょうか。

→【漫画】架刑のアリス8巻【感想・ネタバレ・考察】甦る四男、海(マレ)!?そして三男、太陽(ソル)との死闘~設定の大きな矛盾あり

また、これも由貴香織里先生の作品あるあるなのですが、設定過積載ゆえに、やはりあるキャラクターの設定が二転三転して、なんかもう分からなくなってしまっています。『天使禁猟区』の吉良先輩みたいな感じ…というとファンは分かってくれるかもしれないけど。

絵の崩れ

由貴香織里先生の絵は繊細で美しいのですが、中盤以降から絵が明らかに雑になっています。前半、登場人物はそれぞれ違うタイプの美形に描き分けられているのですが、徐々に男性キャラの顔が簡素になってきています。また、時々体のバランスもおかしい。③で述べた設定の矛盾もそうですが、先生本人が不調あるいは描く環境に問題があるのではと心配になります。
最終巻になってもそれは改善されませんでした…。いや、最終巻は一応気合が入っているのか、美しく描かれているシーンもあるといえばあるのですが。

スポンサーリンク

その割にあっさりと終わるラスト

そして、これは良し悪しなのですが、由貴香織里先生作品にしてはあっさりと終わります。最後まで設定過積載なのは変わらないのですが、引きがあっさりしているというか、ちょっとはっきりしないまま終わる部分があるんですよね。まあ、話の大筋は解決しているからいいのか。

まとめ~それでも十分楽しめる本作

・・・長々とダメ出ししておいてなんですが、それでも十分面白いですよ!

個人的に由貴香織里先生の作品には『生クリーム、アイス、ソース、果物、その他諸々が沢山入ったパフェ』のイメージを持っています。やや胃もたれするものの、掬うと『うわーい、こんなのも入ってた!』と盛り上がり最後まで楽しめるような。色々と突っ込みどころはあるのですが、話の筋はしっかりしていて、キャラクターが魅力的、何よりも勢いがあります。由貴香織里先生のファンはもちろん、ゴシック好き、童話モチーフ、アリスモチーフ好き、デスゲーム系の話が好きなジ人には自信を持って進められます。

【漫画】架刑のアリス11巻・最終巻【感想・ネタバレ・考察】あっさりしたラスト~ステラが選んだのは月兎か是乃か?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください