子供の頃、ゲームが好きだった。私には5つ年の離れた従兄がいて、彼が中々のゲーマーだった。家で遊ぶときは家庭用ゲーム機で、外に遊びに連れていってくれるときも、ゲームセンター。影響をもろに受けた私も小学校入学と同時にテレビゲームデビュー、中学生になるといわゆる、音ゲーにはまりゲームセンターに通うようになっていった。
今回紹介する押切蓮介の『ハイスコアガール』は1990年代のゲームセンターを舞台に、対戦型格闘ゲームに情熱を捧げる少年少女の青春と恋模様を描いた作品である。

最新刊・最終巻のあらすじ・ネタバレの記事はこちら
→【漫画】ハイスコアガール1０巻・最終巻【感想・ネタバレ・考察】ハルオと大野の最終決戦の行方は？～ラストに巻き起こる奇跡

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あらすじ・少しだけネタバレ

1990年代。それは対戦型格闘ゲームブームが到来した時期であった。
小学6年生の矢口春雄（ハルオ）の生きがいはゲーセン通い。自身を『豪指のハルオ』と称し、特に『ストリートファイターⅡ（ストⅡ）』の腕に絶大な自信を持っていたが、ある日、突如ゲーセンに現れた、クラスメイトで優等生のお嬢様、大野晶に圧倒的な実力差を見せつけられて惨敗してしまう。
当初は無口で何を考えているか分からない大野に対し「自身の聖域を荒らした」と快く思わず、対抗意識を燃やすハルオであったが、何度もゲーセンで肩を並べるうちに二人はぶつかり合いながらも徐々に絆を深めていった。

しかし、夏休み明け大野はアメリカへ転校してしまうことになる。
空港まで駆けつけたハルオは大野に、二人で行ったゲーセンで取った指輪を渡す。普段感情を露わにしない大野は号泣しながらそれを受け取った。
そして、涙を流して彼女を見送ったハルオは大野との再会・再戦に向けて強くなることを誓うのであった。

その後中学生になったハルオは『バーチャファイター』『サムライスピリッツ』『飢狼伝説』等の登場でより盛り上がりを見せる格ゲーに熱狂する日々を送っていた。
しかし、中学3年生になり帰国した大野とは思わぬすれ違いが生まれてしまい…。

ラブコメとして秀逸な作品

この『ハイスコアガール』は『格ゲー』『1990年代』というが注目されがちだ。実際に当時のゲームの魅力や時代性を上手く、懐かしく、とても面白く描いている。
しかし、それらの要素を抜きにしても、ラブコメとして非常に秀逸なのだ。
マンガらしい、非現実的な表現・設定・展開はあるものの、キャラクターの心情が上手く描かれており、共感しやすいのだ。メインヒロインの大野なんてほとんど喋らず無表情であるにも関わらず、読者・視聴者は彼女の想いをありありと感じることが出来る。
また、中学生偏から登場し、ハルオに想いを寄せることとなる日高小春については、彼女のその片思いっぷりに読者・視聴者は共にやきもきすること必須だ。

そして、何よりも主人公のハルオが不思議な魅力を持っているのだ。ゲーム馬鹿で執念深く、底意地の悪いところがあるものの、非常に寛大で優しく、行動力がある。
個人的に創作物において主人公がモテることについて、ただのご都合主義で、根拠や納得できる魅力が無い作品が多いと考えているのだが、ハルオについては作中で大野や小春が惹かれていくのも納得ができる。恋愛に対して鈍感なところはあるものの、他のラブコメにありがちな、いわゆる『難聴系主人公』ではなく、二人に真摯に向き合う姿に非常に好感が持てるのだ。

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原作のマンガとアニメの違い、比較は？どちらがおすすめか？

この『ハイスコアガール』は2018年9月から12月までの間にアニメ化された。現在でもNetflixで視聴可能である。マンガ版とアニメ版の違い、それぞれの魅力について紹介していきたい。

アニメ版の魅力～蘇るゲーム映像

まず内容について言うのならば、マンガ版と大きな違いはない。原作の内容を改変したり、大きなエピソードを省いたりするアニメは多いが、『ハイスコアガール』については特にそれがない。むしろ、原作にはなかったちょっとしたシーンを追加して、より分かりやすくしており、テンポも非常に良い。

また、何より当時のゲームの映像を再現しており、「あー、この時代のゲームこんなんだったなー」と非常に懐かしい気持ちになれる。これはやはり、アニメの特権だろう。音が付き動くのはやはり大きい。

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中毒性のあるＯＰとＥＤソング～Sora tob sakanaのOPとやくしまるえつこのED

そして、ＯＰ、ＥＤソングに不思議な中毒性がある。ＯＰのSora tob sakanaの曲（一期の『New Stranger』』と二期の『flash』）は何故か頭にメロディが残ってしまう感じ、ＥＤのやくしまつえつこの曲（一期の『放課後ディストラクション』と二期の『アンノウン・ワールドマップ』）は寂しいような懐かしいような感じ…是非とも聞いて頂きたい。

はまった人、より詳細を知りたい人はマンガ版がおすすめ

アニメを見てはまった人、詳細な内容を知りたい人、当時ゲームにはまっていた人にはマンガ版をお勧めしたい。より細かい当時の流行、ゲームの様子やトリビアが描かれているだけでなく、巻末のおまけマンガでは本編の裏話、こぼれ話が収録されている。このおまけマンガが本編に負けず劣らず面白いので、アニメを見て気に入った人、がっつり内容が知りたい人にはおすすめである。

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10巻、迎える最終回！ラスト・結末はどうなるのか？ハルオと大野の行く末は！？

このハイスコアガール、10巻が最終巻になる。
９巻では各々の想いと決意を持って大阪の『スーパーストリートファイターⅡX』の全国大会へ向かったハルオと大野。
果たして勝者は誰か、そしてハルオと大野は互いの想いをどのように伝えるのか…。

非常に待ち遠しいのである。

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