【漫画】血の轍5巻【感想・ネタバレ・考察】垣間見えた静子の過去。遠くに逃げたい吹石…静一が選んだのは…

血の轍5巻表紙

前巻、4巻で更に支配、束縛を強めようとしてきた母、静子。しかし、主人公、静一は同級生の吹石由衣子と恋人関係になり、彼女との交際を通して自身の言葉を取り返した。そして、夕暮れの河原で静一は、吹石との密会現場を目撃し取り乱す静子に『お前なんかいらない』と初めて反抗の意思を見せたのであった
…押見修造の『血の轍』最新刊・5巻の感想・ネタバレを書いていきたい。

前巻の記事はこちら→【漫画】血の轍4巻【感想・ネタバレ・考察】吹石の愛が静一を救う!?正面衝突をする毒母、静子と吹石!!そして静一が選んだのは…

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あらすじ・ネタバレ

あっさり引き下がった静子…吹石の家に泊まることとなった静一

お前なんかいらない…。
そう静一に言われた直後、静子は不気味な様子で右手の中指の爪を噛み砕いたかと思えば、泣きながら例の不思議な微笑みをたたえて立ち去っていった。
静一と吹石は河原の茂みの中でしばらく警戒していたものの、静子は本当にいなくなったようだ。

「あのお母さん、こわい。」
「あのお母さんといたら、長部がおかしくなっちゃう。だから…逃げなきゃ」

再びそう言う吹石。そして、静一に、静子は前からあんなにおかしいのか?と尋ねる。前は違った…そう答えようとして、色々と振り返る静一。しかし、様々な母の表情を思い返して、分からなくなってしまう。そんな静一に、吹石は自身が実母と決別していることを語り、お母さんがいなくても生きていけると言う。そして、戸惑う静一を、家族に内緒で自身の部屋に泊めると言い、自宅へ連れ帰るのであった。

吹石の部屋に隠れる静一

吹石の自宅へたどり着いた二人。吹石の自宅は一軒家で、彼女の部屋は外階段とベランダに直通した二階にあった。部屋に通された静一は、可愛らしい部屋と甘い香りにぼーっとしてしまう。吹石の家は父と祖母が居るが、父は今夜は飲みに出かけ、祖母も間もなく眠ってしまうという。大人に内緒で密室で二人きりになる静一と吹石。吹石は静一のためにおにぎりを作る。喜んで食べる静一を吹石はかわいいと言い、静一は照れてしまう。その後二人はCDを一緒に聞く等として過ごす。楽しみながらも互いに頬を赤らめながら緊張している二人。静一は吹石に風呂に入るか尋ねられるが、彼女の家族に見つかることを恐れ、断る。了承した吹石は風呂に入るため、部屋を出ていった。
一人残された静一は窓の外を眺める。見慣れない景色がそこには広がっていた。

血の轍5巻の帯
血の轍5巻の帯 初恋相手との長い夜が始まると書いてある…

吹石と同じベッドで眠る静一、吹石とキスをする

お風呂から上がって部屋に戻ってきた吹石は部屋着姿だった。ショートパンツで、太ももがあらわになった吹石の姿に動揺する静一。

「そろそろ、ねようか。」「どこでねる?」

そう尋ねる吹石に、静一は床でいいと答えるが、吹石からは『床だと父親が入ってきたときに見つかりやすい』と指摘されてしまう。

「ベッドで、いっしょにねよっか。」

赤面しながら、目を伏せてそう言う吹石に、更に動揺した静一は言葉を返せない。そのまま、吹石は灯りを消してベッドに入ってしまう。
静一は吹石と同じベッドに入ることになった。
狭いベッドでは互いの体が触れてしまい、静一の意識は否が応でもそこに行ってしまう。鼓動が鳴り止まない。静一は仰向きの姿勢で平静を装っていたが、突然吹石が手を握ってきた。驚き、吹石の方を見る静一。吹石は真っ直ぐ静一を見ながら彼に尋ねた。

「私のこと…好き…?」
「ずっと…捨てない…?」

その瞬間、静一の脳裏には静かに涙を流しながら微笑む母、静子の姿が浮かんだ。
「…うん。」
そう答えた静一に、吹石は無言で瞳を閉じて、キスを求める。少しずつ距離を縮める静一と吹石。目の前の吹石に興奮する一方で、静一の脳裏には、様々な母、静子の姿が浮かんでいた。
そして、吹石の唇にキスした瞬間、自分の中の何かが弾ける様な感覚に包まれた。
静子の顔を思い浮かべながら、脈打つ何かを感じた静一の意識は途切れてしまうのであった。

目覚めた静一は、自身の体の異変に気付く

幼い静一に靴を履くように促す母、静子。いいところにお出かけすると言う。静一が行き先を尋ねるも、前を向いて笑うばかりで答えない。楽しげに歌うのであった…。
そんな幼い頃の光景を夢見ていた静一。目を開けると吹石の寝顔があった。静ちゃん…。一瞬、静子に呼び掛けられた気がした静一は飛び起きる。もちろん、それは幻聴であった。
そんな静一に起きた吹石が、今日は第二土曜日で学校が休みであることを告げ、今日も一日一緒に過ごそうと言う。

尿意を催した静一は、吹石が見張る中、トイレに向かう。すると自身の下着が汚れていることに気付く。

「あのとき…なんか出た…」
「なに…?なに?なに?」

静一は吹石とキスをした時に、精通していたのだ。しかし、静一にはそれが何であるのか分からなかった。そのまま、性器に触れた静一。それを弄り続けると快感を覚え、静一は興奮していく。しかし、母、静子の笑顔が思い浮かび、反射的に性器を手放す。恍惚感と罪悪感の狭間で興奮したまま立ち尽くす静一。その時、トイレの向こうから吹石と吹石の父の会話が聞こえる。トイレに来た父を追い払う吹石。二人は隙を見て、吹石の部屋に戻る。

雨の降るなか、再び一緒にベッドに入る静一と吹石。風呂に入っていない静一を頭が臭いとからかいながらも、強く抱き締める。ベッドの中で抱き合う二人。

「もっかい…キスしよ…」

そう言って吹石は唇を近づけてくる。静一と吹石の唇が触れ合いそうになったその刹那、家の中に呼び鈴が鳴り響く。

「…誰か来た。」

離れる静一と吹石。来客には吹石の父が対応しているようだが、玄関から吹石父が呼び掛ける。

「由衣子ーっ!由衣子ちょっと来いー!」
「友達の…長部くんのお母さんが、聞きてえことあるって言ってっから!!」

静子がやってきたのだ。吃音とパニックを起こしかける静一に、吹石は静一に部屋を出てベランダに隠れるように指示し、玄関へと向かうのであった。

吹石の家にやってきた静子。吹石父娘に思いを訴える

静一はベランダから玄関の様子を伺った。吹石の父が『静一が昨夜からいなくなってしまっているというが、何か知らないか』と吹石に尋ねる声が聞こえる。それに対して知らないと答える吹石。
静一が陰から覗くと、玄関の前で、ずぶ濡れの状態で立っている母、静子の姿が見えた。静子が『昨夜吹石と静一が川原で一緒にいたこと』を言い、その後どうしたのかを尋ねる。何も知らない吹石父は驚く。しかし、由衣子はしらばっくれて『川原でたまたま会っただけ』『静一君はひとりで帰った』と返した。

「私は知りません。」
「おばさんのせいじゃないんですか?静一君が帰ってこないのは。」

娘の発言に吹石父は驚き、静子に謝る様に言う。しかし、静子はそうね…と吹石の発言を肯定する。

「全部、そうね…全部私のせいね…」
「私は…ダメなんです。どうしても…ダメなんです。」
「どうしても受け入れられない。あなたみたいな子が静ちゃんをたぶらかしているって考えただけで…頭がおかしくなりそう。」

泣きながらそう言う静子の発言に、え…?と動揺している様子の吹石父。一方吹石は何も言わなかった。すると、静子は一転して、

「ごめんなさい。ごめんなさい…。私が悪いのに…ごめんなさい…」

そう吹石父子に謝罪を続ける。そして静子は『いかに自分が静一に辛い思いをさせてきたか』を語り始める。
いつも家に従兄が遊びに来ていたこと。それを断ることが出来ず、友達との約束をすべて断らせていたこと。それを本当は哀しく情けなく思っていたこと…そういった悔恨の念を述べ続ける。

「ごめんね…?ごめんね静ちゃん…?ママ…ママのせいで…」
「私…私はいらない子だから…愛して…もらえなかったから…」
「静ちゃんには…私がもらえなかったぶんも…たくさん愛してあげたかったんです」
「それを…あの人達は過保護ってバカにして…私を…私のこと…誰も見てくれなかった…!」

そういって地面に膝をついてしまう静子。吹石の父があわてて玄関から飛び出してくるが、静子はそのまま語り続ける。

「パパだって…結局あの人達の味方…!口だけで何もしてくれない…!」
「それでも私は…静ちゃんのために…静ちゃんがいてくれたから…生きてこれたの…他に生きてる理由なんて無い…」
「…でも…でも…それが…静ちゃんを苦しめているなら…」

「私の生きてる意味は…何…?」

そしてそう言ったまま崩れ落ち、跪きながら静一の名を呼び、号泣し始めた。吹石の父が駆け寄り、落ち着くように言い、静子が右手中指から出血していることに気付き、大丈夫か尋ねる。すると、静子は落ち着き、顔を上げる。

雨に濡れて涙を流す静子の横顔はとても美しく、見とれてしまう静一。
ママ…思わずそう、呟いていた。

吹石父は静子に指を手当てするから家に上がる様に言うが、静子は『静一を探すから』と断る。『もしかして昨夜からずっと静一を探し続けているのか』と尋ねられると、はい…と静かに答える。吹石の父は心配したように警察に届けることを勧めるも、静子はもう少し自分で探してみると言う。

「…本当に申し訳ありません。お騒がせしてしまって…」
「…由衣子さん。ごめんね。」
「失礼します。」

そう言うと、傘も差さず静子は去って行った。吹石父が傘を渡そうとしたが、静子は振り返ることも無かった。

そんな静子の様子に静一はショックを受け、ベランダにしゃがみこんでしまうのであった。

吹石父に見つかる静一。吹石と静一は家を飛び出す

静一が呆然とベランダでしゃがみこんでいると、扉が開く音がした。吹石が戻ってきたのだ。大丈夫、行ったよ…そう言って静一を部屋に入れて、抱きしめる。

「こわかったあ!ほんとにこわいよ。あのお母さん。」
「かわいそう長部…」
「私が、守ってあげるからね。」

そう言って微笑む吹石。しかし、静一は何も言えなかった。

そのとき、凄まじい形相をした吹石の父が部屋に飛び込んできた。

静一と吹石を見て、怒りながら、娘を問い詰める吹石の父。吹石は父を部屋から追い出そうとするが、父は当然引かない。激しい口論になる。

「うるっさいんなあ!!出てけよ!!私が何しようと勝手だがん!!」
「父親ヅラしないで!!クズのくせにっ!!」

そう叫んだ吹石に、父親は激昂し顔を歪めながら怒鳴った。

「…バカヤロー!!親に向かって!!!こんな…男連れ込んで…!!」
「母親と一緒だいなあ!!!」

その父の言葉に黙り俯く吹石。すると、なんと足元にあったCDプレイヤーを持ち上げ、父の頭目掛けて投げつけた。
鈍い音と共に、頭を押さえ尻もちをつく吹石の父。

「長部!逃げよ!!」

泣きそうな顔で吹石はそう叫び、唖然として立ち尽くしていた静一の腕を引き、ベランダに飛び出すのであった。

鉄橋の下で抱き合う二人…しかし、静一は吹石を置いて静子の元へ帰っていく…

大雨の中、吹石の家を飛び出した二人は鉄橋の下に隠れていた。部屋着のまま裸足で飛び出した吹石は寒さで震えている。静一が自分の着ているジャージを吹石に着せようとすると、吹石は断り、後ろから抱きしめるように静一にねだる。
鉄橋の下で座り込みながら、吹石を後ろから抱きしめる静一。
しばらくそうしていると吹石は静かに泣き出した。泣きながら、自分のことを嫌いになったかと静一に尋ねる吹石。そんなことはないと答える静一に吹石は言う。

「…長部、私を連れてって。遠くに…」

涙を流しながらそう言う吹石と見つめ合う静一。吹石はそんな静一にいきなりキスをした。そして、静一の手の平を自身の胸にあてがう。その感触に衝撃を受ける静一。興奮しながら静一へキスし続ける吹石。静一の上に横たわる様にして、恍惚とした、しかし切実な表情を浮かべて静一に言った。

「長部…きて…」「はやく」

その瞬間、静一の脳裏に幼少期から今までにかけての様々な静子の姿が蘇る。そして、自身が真っ二つになるような感覚に陥り、突然口を大きく開けて、硬直してしまう。

その姿勢のまま、涙を流し続ける静一。彼はひたすら母、静子の顔を瞳を思い浮かべていた。異変に気付いた吹石が、大丈夫だからと言い静一を抱きしめたが、静一はそんな吹石を押しのけて立ち上がる。

そして自身の靴を脱ぎ、どもりながら吹石に履いて帰る様に言う静一。そして、そのまま吹石に背を向けて歩き出す。慌ててどこに行くのか尋ねる吹石に静一は言う。

「ごめん…もう…やめる」

振り返りもせず、そう言った静一を吹石は理解できない。

「…え?…何…を?」
「だって…一緒に…一緒に…逃げようって…私…」
「…どうして?どうして?」

泣きながらそう言う吹石に、静一もまた涙を流す。しかし、そのまま振り返ることなく、雨の中外に向かった走り出したのであった。

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以下、感想と考察

計算高い静子の行動

雨の中、ずぶぬれ、サンダル姿で吹石家を訪ねた静子。ボロボロの状態で、一晩中静一を探し回っていたと吹石父に語るが、恐らく嘘だろう。前日のあの状況的に静一の居場所として真っ先に思い浮かぶのは吹石の家だろう。静一が吹石の家にいることを分かったうえで、敢えて一晩置いて吹石の家を訪ねることで、問題を大きくしようとしたのだろう。直情的なようで、静子は意外と計算高い。
吹石父への告白も、絶対に静一が近くにいるということを分かって聞かせるつもりでやってるし、吹石父を巻き込んで味方に付けるための行動だろう。あんな風に言われたら、今後吹石父が娘と静一の交際を応援することは出来ないだろう。静子、さりげなく由衣子が静一をたぶらかしたとまで言っているし。やはり大人として、吹石より一枚上手なのだ。

そしてある程度本心を語り、反省している姿を見せることで静一の心を再び掴んだ静子。今まで伯母やしげるの来訪を断れなかったことの後悔を語っていた。これもある程度までは本心だろう。しかし、2巻の感想で考察した通り、静子自身が伯母やしげるの来訪を口実にして、静一を支配していた節もあるので額面通りに受け取ることも出来ないのである。静子の心は複雑怪奇なのである。

関連記事→【漫画】血の轍2巻【感想・ネタバレ・考察】あらわになる毒母、静子の異常さ

静一の精通の描写について

静一は吹石とのキスで精通を経験する。精通の時期は人それぞれなので、そこに何か言うべきではないのだろう。問題は、中学3年生にもなった彼が、全くそういった性的な知識を持っていないことではないか。自慰行為というものの存在すら今まで認識したことが無いようである。

作中の舞台は90年代半ばである。漫然と生きていても中学三年にもなれば、周囲の友人、メディアや雑誌、漫画、小説等から何となくそういった知識を得ていくものだろう(それが正しいかどうかは別として)。
しかし、静一の人間関係は基本的に母、静子や従兄なのしげるばかりで、友人達との付き合いもあったようで、関われるのは学校内のみに限定されており、そういった深い話をする様な仲にはなれていなかったのだろう。彼の世界は非常に狭いものだったのだ。そして、母、静子が静一を性的なものから遠ざけていた可能性も高い(近付けようとする親も中々いないだろうけど)。1巻で、テレビのリモコンの操作権限は静子が握っているような描写もあるし。
なんにせよ自慰行為に及んだり、吹石と触れ合う時に静子の姿が浮かんでしまい、ブレーキが掛かってしまうのは異常だろう。1巻では『ちょっと過保護で仲が良いだけの母子』として、わりと普通に見えていた静子と静一の関係や静一を取り巻く環境が、巻を重ねる毎に、やはり異様で根深い問題を抱えていることが分かり、その描写が非常に上手いのだ。

大人びているようで、やはりまだ子どもであった吹石

賢く、行動力と静子の本質を見抜く鋭さを持つ吹石。しかし、彼女も所詮、中学3年生。やはり、まだまだ未熟だ。静一に静子から逃げることを提案するも、出来ることといえば自身の部屋にこっそり匿う位。結果、静子に先手を打たれて不利な立場になってしまう。父親からの信用も失い、今後、静一との交際を反対されてしまうだろう。まあ、仮に静子の来訪より先に父親や家族に先に打ち明けていたとしても、どのみち長くは持たなかっただろうけど。

そして、吹石自身も家族の問題を抱えていた。4巻で父と母が離婚していて、母がいない、父親とは不仲であると静一に打ち明けていた吹石。この5巻では、父親と言い合う最中、母が男を作っていたことが判明。そして、静一のことで父親から『母親と一緒だ』と詰られ、更に傷付く。
吹石は静一との恋愛にのめり込むことで現実から逃げ出したかったのだろう。前巻、4巻でも愛や恋人関係について夢見ている様子であったし。しかし、静一はそんな吹石を置いて静子の元へ戻ってしまう。果たして今後の静一と吹石の関係はどうなってしまうのか…。

少しずつ明らかになる静子の過去

自分はいらない子であった。そして、自分が得られなかった愛情を静一には与えたかった…吹石父子にそう語った静子。1巻でしげるを突き落とした後のうわ言や、静一に『いらない』と言われた直後の様子から、幼少期に何らかの心の傷を負っていることは容易に想像できていたので、やはり…という感じ。
自分の家族から十分な愛情を与えてもらえなかった様子の静子。一郎と結婚したものの、彼は自分の実家を優先してばかりで、静子と向き合うことは少なかったのだろう。静一が生まれてから尚更(そいうえば、静子と一郎は間に静一を挟まないときですら、パパ、ママと呼び合う。珍しいことでは無いとはいえ、なんだかなあ…)。静一が生きがいになってしまうのは仕方がないことだし、静一に愛情を与えたかったという彼女のその言葉に、嘘は無いのだろう。
そして、やはり夫の親族から『過保護』と言われていたことを気にしていたことが明らかに…。しげるを崖から突き落としたのにも、やはりこの言葉が関わっているのだろうな…。

巻末には小学校2年生の時の静一の作文と静子の手紙

今まで巻末のおまけは静一の幼い頃の写真で、そこからも静一の家の異様さを僅かに感じ取ることが可能であった。

巻末の家族写真への考察について

最新刊、5巻では写真ではなく、静一が小2の時に学校で書いた作文が載っている。題名は『ぼくのお母さん』。内容自体は母、静子への日頃の感謝を書いたもの。やや、甘えん坊で幼い男の子が書いた…位のもので、この作文自体にはそこまで違和感がない(静子のスキンシップの多さは昔からなんだなーと思う位だ)。

気になるのは作文脇に花丸と共に書かれた先生のコメント。
『お母さんは、本当にせい一くんのことが好きなんだね』
静一が幼稚園児の頃は、心配で毎日教室の後ろに立っていたという静子。小学校に上がってからはどうだったのだろう。いきなり子離れできるとは思えない。
先生のこのコメント、他意は無いのかもしれないが、もしかしたら静子への皮肉がこもっているのではないのかな…と思ってしまうのだ。

そして、静子が静一へ書いた手紙(作文用紙に書かれているがこれも学校の課題の一環だろうか?)。『静一』という名の由来が掛かれている。どうやら自分の名前が好きではなかった様子の静子。今回の『いらない子』発言も併せて考えると何とも言えなくなる。そんな彼女が息子の名前に『静』を入れた理由が簡潔に書かれている。この手紙も一見すると微笑ましいものだけど…最後の『これからも、ずっとママに見まもらせてね。』が空恐ろしく感じられる。本来ならそんなにおかしな表現でも何でもないのにね…。

押見修造氏とふみふみこ氏の対談~血の轍について語る、作者押見修造

最新6巻が出る直前に、ORICON NEWSでふみふみこ氏の対談が掲載された。

ふみふみこ&押見修造対談(前編)平成を震撼させた事件を体験した「キレる10代」の物語と親子関係

ふみふみこ&押見修造対談(後編)『らんま1/2』的な世界観への憧れと個性教育への絶望

ともに『家族』をテーマにした作品を描いている二人。かなり貴重な話が載っている。『血の轍』について自身が潜在的なマザコンであり、母親を『性的な対象』として見ていた罪の意識を見極めようとして描いていると語る押見氏。この作品を描き始めた頃は日常生活に支障をきたすレベルで吃音症状が悪化してしまったという。なんというか凄まじい。『血の轍』を描き終えたら引退するかもと語る押見氏。そういえば、描く世界観がどんどんシリアスなものになっていっているよな…。
この対談、面白いのでファンの方は是非読んでいただきたい。

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まとめ~6巻はどうなる?静子は真実を語るのか

吹石を置いて、静子の元へ戻ってしまった静一。巻末の予告では『心が殺される…』『逃れる術は尽きた!?』という物騒な言葉が…。一方で静子が

「静ちゃんと2人で、お話しするから…ぜんぶ。」

というシーンも。

『血の轍』5巻は2019年8月末頃刊行予定である。先が気になってしょうがないのである!!

次の記事はこちら→【漫画】血の轍6巻【感想・ネタバレ・考察】静一に強烈な洗脳を施す静子!!しかし、遂にしげるが意識を取り戻して…!?

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