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兄弟姉妹同士のデスゲームも佳境に入り、残すはステラと幼い末っ子・五男のメルムのみとなった。苦しむステラに是乃(ゼノ)は共に久遠寺家を逃げ出そうと誘う。しかし、月兎を人質に取られたステラは久遠寺家に残り、メルムと戦う覚悟を決める。メルムの能力は死者の魂を蘇らせ、人形に命を吹き込むこと。地下の霊廟で際限のない攻撃に消耗するステラ(=アリス)に、今度はメルムの力で蘇った、次男、志度(シド)が襲いかかる。
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Contents
以下、ネタバレ
対メルム戦~メルムの最期
末っ子、五男のメルムの能力は『死者の魂を蘇らせる』『それを人形や死体に吹き込む』というもの。次男、志度(シド)のみならず、三女、紅亜(クレア)、双子の三男、四男の太陽(ソル)と海(マレ)まで蘇り、ステラに襲いかかる。
メルムの能力について、院長が『神にも等しい力』と言っていたことを思い出すステラ。
メルムの出自は、養子として集められ、戦魂を宿している他の兄弟姉妹達と異なっている。かつてのアリスと同じく闘技場で神となる儀式を受けたものの、戦魂として他者に宿ることが出来ず、直接織雅の子宮から肉体を作り出され、産み出された子ども…それがメルム。つまり、戦魂そのものが人格なのだ。
蘇ったのは兄姉達は非常に強靭な肉体となっていて、ステラは苦戦するも、ソルとマレを撃破。一方、シドはしつこく恨み言を述べながらステラへの攻撃を繰り返す。『無念を残した魂ほど、はっきりとした意識を持っている』と語るメルム。しかし、それに対してステラは、
「あんたは確かに人形やぬいぐるみを操るだけの人形使いじゃなかったみたいだね」「でもその力が『神』の力とは思えない」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 29/181
そう言って、立て続けにシドとクレアを撃破する。
戦いながらステラは気付いていた。自分達で終わりを選んだ双子のソルとマレの魂はそこにはなく、心優しかったクレアの魂も安らかに眠ることを望んでいた。メルムは哀れな魂を引きずり出して死体を操るゾンビ使いに過ぎないのだ。
ドームから出て来て降参するように見せ掛け、死者を蘇らせる歌を歌おうとしたメルムの喉元を掴み、頭に銃を突き付けたステラ。
しかし、メルムは人形に仕込んでいたレコーダーから録音していた歌を再生し、地下に眠る大量の死者を蘇らせる。そして、『織雅が当主の座を譲る気がないこと』そして院長と共謀して『新しい当主の座を乗っ取るつもりである』ことを告げる。
「ごめんね…おままごと楽しかったよ…ステラちゃん…」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 46/181
涙を流しながらステラはそう言ったメルムの頭に弾丸を打ち込むのであった。
一方、その頃、織雅は秘密の自室で霊廟の様子を気にしつつ、長女、荊(イバラ)に絵を描かせていた。(死者復活にいないな…と思っていたら、何で生きているの?)ステラに心臓を潰されていたものの、院長が力を尽くし延命させ、絵を描かせていたのだ。(なんか酷い。)
対六道戦~過去と決別するアリス
メルムが最期の力で蘇らせた黒兎達のスペアの遺体を倒しつつ、ステラが向かったのは地上ではなく、より地下にある神殿だった。そんなアリスの前に三本柱の二人、三國と六道が立ちはだかる。
六道は、かつてアリスに戦闘の仕方を教授した、因縁のある人物。そんな六道にアリスは自分を受け入れてくれたステラのために、過去を捨てて戦うことを宣言する。
(やや分かりづらいがこの戦闘においては会話しているのも戦っているのも、ステラではなく完全にアリスである。)
実力を完全に解放した六道と戦うアリス。昔六道から教わった通り、視覚に捉われず気配を頼りに戦い、アリスは六道に勝つことが出来た。
六道に『何故三本柱となり、永い時を生きることを選んだのか』と尋ねるアリス。しかし、六道は答えない。そんな中、ステラ(=アリス)に三國が襲いかかろうとするも、同時に大量のゾンビ化した黒兎達が雪崩れ込んで来た。その混乱に乗じて屋上に潜んでいた長男、是乃がステラを救出。なおもステラを捕らえようとする三國を六道が電撃攻撃で抑える。ステラは是乃と地下の神殿へと向かった。
是乃に連れられ織雅の元へ向かうステラ~久遠寺家の成り立ちを知る
鷲宮教団でに世羽(ヨハネ)に捕らえられている父、細零(サザレ)の指示を受けて、ステラを地下の神殿へと導いた是乃。
迷宮の先にあったのは、かつてアリスが迷い込み、ジャバウォッキーと出会った花畑であった。色んな人々の思念や哀しみが流れ込んできて困惑するステラ。花畑の真ん中には無数の人間の体で出来たような巨大な柱があり、土の下からは脈打つ血管のような熱が感じられた。そこには、織雅とその召し使いのマジェンタ、そして人質に取られた月兎がいた。是乃は柱の陰に潜み、ステラは一人でやってきたふりをする。
織雅は、『月兎が自身の実子であること』をステラに告げる。驚くステラ。そんなステラに織雅は久遠寺家の成り立ちを語る。(なお、唐突に説明が始まる。)
『「交わりし大地の心臓」を掘り出し、太古からそれを操る一族として存在していたのが久遠寺家であったこと』『久遠寺家はその不老長寿や特殊な能力を恐れられ、権力者達に何度となく滅ぼされそうになってきたこと』『しかし、その都度、神体(交わりし大地の心臓)が不安定に揺れ動いたため、権力者達は久遠寺家を滅ぼすのを止めて協定を結ぶことにしたこと』(ハッキリとは述べないものの、大規模な震災が起こるということを示唆している。)『久遠寺家は神体を守り続ける代わりに政府は久遠寺家の安泰を約束。ただし、久遠寺に国を乗っ取られることを恐れた国は久遠寺家が直系の子孫を残すことを禁じたこと』を説明する織雅。
しかし、自由を求めた織雅は『好きな人との証が欲しくて子を作ってしまった』と言う。それが月兎だというのだ。そして、ステラが正式人間の新しい当主となる前に月兎を殺し、呪われた直系の力を手に入れ、ステラを殺して体を奪い新しい当主の座を手に入れると語った。(そんなこと出来るの?と思うくらい無茶苦茶言っている気もするが、きっと出来ちゃうのだろう。)
そして、マジェンタを使ってステラを拘束する織雅。足掻こうとするステラだが、戦魂(ラルヴァ)は現当主たる織雅を攻撃することは出来ないのであった。(攻撃しようとすると、頭が割れそうになる設定。)
しかし、窮地の中、ある秘策を思い付くステラ。自身の中にいるアリスに話そうとするが、アリスはすでにステラの考えを見抜いていた。
「おまえの考えてることぐらいお見通しだぜ」
「…それは母に逆らう唯一の方法だが、同時に母に勝つ確率がゼロに近いぞ」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 111/181
そう言いながらもアリスはステラに不敵に微笑んでいた。
織雅に銃を向けたステラ。何と、アリスを眠らせ戦魂無しで織雅に攻撃したのだ。
しかし、織雅を軽く傷付けることが出来たものの、大したダメージを与えられず、逆に織雅の能力に圧倒されてしまうのであった。
対織雅戦~織雅の実子はなんとステラであった。
だが、その攻撃によってステラと月兎は織雅の血を浴びたが、実子ならば浮かんでくるはずの紋章は月兎に浮かんでこなかった。驚くことに紋章が胸元に浮かび上がったのはステラだった。ステラこそが織雅の実子であったのだ。共に驚くステラと織雅。
そこに九重が院長を引き連れてやってきて説明する。織雅の実子が両性具有だったというのは嘘であった。生まれた子どもは男女の結合双生児であった。双子は出生後政府に取り上げられた後に切り離されたが、男児の方は死亡。その亡くなった男児の心臓を移植されたのが月兎だったのだ(なので織雅の子ではない)。そして院長は政府から送りこまれてきた存在で、織雅を騙し探究心のままに今まで行動していたに過ぎないのだ。
事実を知った織雅は激怒。
「もう…いいわ、何もいらない…」「みんなみんな…私から奪っていく…そして裏切って笑うのよ」「私の本当に欲しい物が永遠に手に入らないのなら、それ以外の全部…世界中の全部…!」「私の物にすることにしたからっ…!!」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 128-129/181
そう叫び力を解放する織雅。その時、是乃が躍り出て、壁の陰にステラを連れていく。この花園自体が母、織雅のテリトリー、胎内の様なもののため、ここで戦っても勝ち目がないことをステラに説明する是乃。再度、共に逃げようとステラに手を伸ばす。必ず守り抜くと言って。しかし、次の瞬間是乃は消え、ステラは織雅の体内に取り込まれてしまう。そして、母、織雅の強い意志に取り込まれ自我を失ってしまう。
一方、是乃はチェシャの次元移動の能力で間一髪で助けられたのだった。帰ろうと言うチェシャに是乃は自分をステラの元に戻すように頼む。自分に依存し一人では何も出来ないチェシャに自立するように諭しながら、自分とステラの関係もまた依存関係であったことに気付く。
織雅に取り込まれるステラと月兎~月兎の呼びかけで脱出
一方その頃、拘束を解かれた月兎がステラを救うべく織雅に立ち向かっていた。しかし、月兎もまた織雅にまた取り込まれてしまう。
しかし、月兎はそこでステラの精神世界の奥底に眠るアリスを起こし、協力してステラの自我を復活させる。そして、見事ステラと月兎は共に織雅の体内から脱出する。
共に逃げようと言う是乃へステラが返した答えは
織雅の体内から抜け出したステラに再び是乃が共に逃げるように言う。しかし、ステラは
「ありがとう」
「「是乃兄さん」をしてくれて」
「もしどこかで会えたなら、もう私を守ってくれなくてもいいよ」
「本当に私を必要としてくれるなら、今度は…」
「私を力づくで奪いにきてね」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 152-153/181
そして是乃の手を放し、月兎とアリスと命を捨てるつもりで織雅と戦う決意をする。
織雅の最期~決死の覚悟をして再び銃口を向けるステラ
そして、ステラ(=アリス)はジャバウォッキーを呼び出し再び織雅に銃口を向ける。そんなステラに驚きつつも嘲笑う織雅を九重が突然後ろから抱きしめた。九重は既に自分が三本柱の地位を捨て、一人の男として織雅と共に最期を迎えようとしていることを告げる。そして、ステラもまた母への愛と感謝を告げ、『織雅が本当は皆を深く愛していたこと』『それなのに世界が自分を拒んでいると思い込み、父や九重に大切なのに大切なことを伝えられなかったこと』を指摘する。
九重やステラの言葉に涙を浮かべる織雅。そして、母に命を賭して引き金を引くステラ。そんなステラと共に戦うアリスは幸せを感じ、ステラを相棒と認めるのだった。
ラスト~久遠寺家、当主となったステラ。その傍らには三本柱となった月兎。そして彼等に戦いを挑み続けるゼノ
当主たる母、織雅に殺したことで本来だったら死ぬはずであったステラと月兎。しかし、二人は織雅の最期の力で一命を取り留めることができた。ステラは織雅の隠し部屋で、織雅が長女、荊に描かせた絵を見つける。
~それから少しの歳月が流れる。
鷲宮教団では、レイジナが消失したことでヨハネが荒れ、久遠寺家への憎しみをたぎらせていた。ミセルは治癒を続けていて傍らには恋人のイオがいた。細零は織雅の死に複雑な感情を抱いており、静かに織雅の幻影を見ていた。
そして新たな久遠寺家の当主となったステラの元に、日本の総裁が挨拶にやって来ていた。非常に若いステラを侮るような態度を見せる総裁だったが、突然何者かによる襲撃に巻き込まれる。鷲宮の襲撃であった。襲撃者達を蹴散らし防御に当たっているのは長女、荊だ。ステラが蘇らせる兄姉として選んだのは荊であった(ただし、完全な蘇生は出来ず、戦闘本能のみの存在となってしまった)。三本柱に総裁を避難させる様に命じるステラ。そこには九重の代わりに三本柱の一人となった月兎の姿があった。
ステラの元にも鷲宮の刺客がやってくる。それは是乃だった。
「久遠寺家当主、久遠寺星(ステラ)!!今日こそ歪なこの永遠帝国を打ち砕く!」「その時こそおまえは俺のモノだ!!」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 174/181
そう叫ぶ是乃に銃を向けるステラと刀を構える月兎。二人の背後には荊が描いた家族皆が笑う油絵が飾ってある。
「さあ、お集まりの皆様。これから楽しいお茶会(マッド・ティー・パーティー)を始めましょうか」
架刑のアリス11巻 由貴香織里 176/181
~終わり~
以下、感想と考察
是乃(ゼノ)と月兎(つきと)、ステラが最後に選んだのは…
作中を通してずっと是乃と月兎の間で揺れ動いていたステラ。偽者だったとはいえ、久遠寺家に来てからずっと共に過ごし、恋人未満な甘い関係を構築してきた是乃。一方、幼少期に共に過ごした本物の是乃であり、このサバイバルゲームを支え続けてくれた月兎。一体どちらを選んだのか。
一応、結論としては、ステラは月兎を選んだと言って良いのだろうな…と考えている。やや自信無いのは、ちょっとこれ、人によっては解釈分かれるところかもしれないと思うから。
対織雅戦の中で、共に逃げようと言う是乃の手を離したステラ。
『今度は力づくで奪いにきてね』と言って。そして、死を覚悟して月兎と共に織雅と戦うことを選ぶ。そして、戦いのあと、久遠寺家の当主になることを選び、月兎を三本柱として側に置いていることから、月兎を選んだと言って良いのだと、私は考える。
ただ、ステラは上記の発言から分かる様に、はっきり是乃と決別した訳ではないし、是乃も上記の発言を受けて、『久遠寺家を潰し、ステラを解放し、自分のモノにするため』に久遠寺家とステラに戦いを挑み続けるというラストを迎えている。そして、月兎は三本柱となってしまった以上、その身は『久遠寺家のモノ』となってしまい、かつての織雅と九重の関係の様に、真にステラと結ばれることはなくなってしまったとも言える。そういった点を考えると、個人的には月兎を選んだのだと解釈するけど、断定した言い方は出来ないのだ。
しかし、10巻で是乃が母、オルガに言い放ったセリフが思い出される。
「母さん、あんたは好きな男2人を手に入れたつもりだろうけど、どっちも選べないのならどっちもあんたの物にはならないよ」
架刑のアリス10巻 由貴香織里 75/181
「永遠にね」
…これってステラにも当てはまってしまうのでは?まあ、ステラの場合、是乃と月兎どちらもステラを自主的に愛してくれているからちょっと違うのかもしれないけどね。
迷走していた月兎の設定・正体が遂に落ち着く
やっと月兎君の正体が確定した…というか落ち着いた。今までの流れを整理すると
九重の孫で霊媒体質のステラのストーカーです!
→本当はステラが慕っていた是乃本人だった!でも多重人格でその内の人格の一つに過ぎないけどね!そして、最初の茶会で姿を偽の是乃(灰(ラウム))に奪われていたのだ!
→織雅と九重の間に出来た実子でかつ、両性具有!?→織雅の生んだ子は両性具有じゃなくて、男女の双子だったんだよ!男の子の方は産後すぐ死んで、女の子の方がステラだったんだよ!織雅の実子ではなく、死んだ織雅の実子(ステラの双子)の心臓を移植されただけでした!霊媒体質じゃなくって、心臓に元々沢山の戦魂(ラルヴァ)が宿っていたんだよ!
…落ち着いた…のか?なんかどこか矛盾してる気がするが目をつぶろう…。まあ、『天使禁猟区』の吉良先輩並に複雑になっていた設定がとりあえず整理されたと言えるだろう。
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最後に蘇らせた兄弟は…なんと長女、荊(イバラ)~扱いが酷い
勝者は殺した兄弟のうち、一人を蘇らせることが出来る…忘れかけていたよ、そんな設定。
主人公が戦う動機が最愛の長男、是乃を生かすためでしたね、そういえば。でも肝心の是乃 が脱走したり、鷲宮教団でもエリュシオンの秘水があるから生存可能だったり…等でそこが重要じゃなくなっていたのも事実。
そして、その設定で最後に蘇ったのは長女、荊。
一瞬驚いたが、よくよく考えると長男・是乃(ゼノ)と次女・厘流(ミセル)は生きている。三男・太陽(ソル)と四男・海(マレ)の魂は成仏したっぽいし、次男・志度(シド)と末っ子・メルムは蘇らせる対象としては論外だろう。ステラを殺しにかかってくるだろうし。そして、死んだ兄弟達の中で最もステラと親しかったのは三女・紅亜(クレア)な訳だけど、『死後、化物になる怖い夢』の発言があった位なので、安らかに眠らせてあげることにしたのだろう。
…そこで、蘇らせたのが、長女・荊(イバラ)…。凄い消去法な感じが否めない!しかし、この荊さん、完全体として蘇生できず、戦闘本能のみの存在となっているって…。
キョンシーじゃん、ゾンビじゃん!いくらなんでも扱い酷すぎやしない?
まあ、敬愛していた母、織雅(オルガ)の死を知らなくて済むのはある意味幸せなことなのかもしれないけど…。大体、ステラとの戦闘後も心臓を潰されていて、死んだと思われていたのに、絵を描かせるためだけに、織雅に無理やり生かされていたり、なんとも都合の良い扱いをされ続けていて、なんだかなぁ…ともやもや。癖が強い鬼畜な兄弟姉妹の中ではかなりまともで人間らしい人だったのに、この扱いは…可哀想だよ。
良く言えばあっさり、悪く言えば中途半端なラスト・結末を迎えた『架刑のアリス』
最後が是乃の襲撃で終わるあたり、『俺達の戦いはまだまだこれからだっ!』的な少年漫画風の打ち切り感が漂う。いや、実際は打ち切りではないし、一応ちゃんと完結はしているのだけど、何だろう、ちょっと物足りなさがある。今までのくどさ…じゃなくて設定や伏線の量に対して、ラスト・結末のパートの分量が少なく感じられてしまうのかもしれない。いきなり織雅との戦いの後に後日談に飛んでしまっていきなりステラが久遠寺家の当主になっているから。
あと、細かいところでは、今一つ明かされなかった謎もあったりして、ジャバウォッキーが結局何だったのかとか、何故、突然レイジナさん消えちゃったのかとか。特にレイジナさんの消失はラストぎりぎり突然で、理由も何も説明が全くなされていない…まあ、本編とは関係ないと言えばないけれども。
戦魂(ラルヴァ)の定義も有耶無耶なままだったなぁと。多分、きっと設定自体はもっとあったのだろう。
作者である由貴香織里先生自身もあとがきで『私にしてはですが、いつもほどには全部を明かさない最終回です。』と書いている。確かにその通りだな。いつもは、くどく…じゃなくてかなり詳細に内情だとか真実の更に真実…みたいな書き方をする方なので…。
本当はもっと鷲宮教団の話も描きたかった様なことをあとがきで書いているけど、多分本当に描きたい様に書いていたらあと、3~4巻は必要になっていただろう。いや、もっとかな?全20巻位行ったかも知れないな。でも、連載元が『少年マガジンエッジ』と一応少年漫画なので、その辺りちょっとシビアだったのかもしれない。
でも、ラスト、銃や刀を構えるステラと月兎のバックが、織雅が荊に描かせていた絵…一家が勢揃いしている微笑ましい絵であるのは、とても良いと感じるけど。
最後まで改善されなかった絵
総評の記事でも指摘したが( 総評の記事はこちら→【総評】架刑のアリス【全11巻】 )、中盤からどんどん絵の質が落ちていっていた架刑のアリス。元々繊細な絵柄が売りでもあった、由貴香織里先生なのに、線やバランスが乱れまくりになっていて、何だかとても残念な感じに…。特に驚愕したり追い詰められた時の表情とかが雑で皆同じ顔になっていった。描き分けとは?
ラストに向けて持ち直すことを期待したのだけど、乱れていく一方。特に最終巻、ステラや月兎の顔がどんどん幼くなっている気がする(ステラは元々やや幼めに描かれていたけど)。そして、ステラに至っては最終話、正直あんまりもう、可愛くない…。やはりお年なのか、それか調子が悪いのか…ちょっと心配である。
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まとめ~突っ込み所満載だけど、飽きることなく楽しむことは出来た作品
上記の考察、何だか悪口みたいな感じになってしまったけど、『架刑のアリス』はちゃんと楽しむことが出来る作品だった。『先が気になる』様に描けるのは流石。設定自体に目新しさは無いけど、キャラクターを魅力的に描いて面白く話を構築出来るのは、本当に実力があるからだろう。突っ込み所は多いけど、それ以上に勢いがあるから、許せる。評価は分かれるだろうけど、個人的には佳作と言って良いと考える。由貴香織里ファンはもちろん、デスゲーム系好き、童話・アリスモチーフが好き、ゴシック的な世界観が好きな人には十分勧めることができるのだ。