【漫画】まんがグリム童話 金瓶巻41巻【感想・ネタバレ・考察】西門家を去る春梅~そして嵐を呼ぶ新キャラ露々(るる)登場

金瓶梅41巻表紙

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【総評】まんがグリム童話 金瓶梅【既刊42巻】~あれ?面白い?レディコミを侮るなかれ【感想・あらすじ・少しネタバレ】ラスト・結末は?

瓶児がいなくなった西門家では比較的平和な日々が続いていた。しかし、金蓮の生活が大きく変わる出来事が起こる…。

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【漫画】まんがグリム童話 金瓶巻42巻・最新刊【感想・ネタバレ・考察】露々を追い出そうとする金蓮、しかし意外な行動を取ることに…

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Contents

以下、ネタバレ

西門家にやってきた蔡京のいとこ、蔡恩。春梅を気に入る

ある日、西門家に蔡京からの客人がやってきて、若い召使達が集められる。
蔡京は都で人事を預かっており、官職上で西門慶の上司に当たる人物。山東省では怖いもの無しの西門家が頭が上がらない存在である。何事かと若い召使を集める西門家。客人は優しい雰囲気を漂わせる猿の様な見た目の老人。それは、いつぞや春梅がお寺で薬を塗ってあげた老人であった。春梅を探しに来たというその老人は名を蔡恩と言い、蔡京のいとこであると名乗った。
しばらく西門家に逗留する間、春梅に専属で側にいて欲しいと頼む。

それを聞き、金蓮は反対する。あの冷酷な蔡京の血縁。どんなヒヒ爺か分かったものではないと春梅の身を案じたのだ。
それに対して、西門慶は既に都の志春(蔡京の息子。まともな神経をしている)に蔡恩の人となりを尋ねる書簡を出したと答える。蔡京の血縁者の機嫌を損ねるわけにはいかないと困る西門慶。春梅もおかしなことにならないように気をつけるという。

逗留している最中、酒の席でも穏やかで乱れる様子を見せない蔡恩。月夜の晩に空を眺め、春梅に亡き妻の思い出を語る。月明かりの下で白い花の中を2人で歩いたという蔡恩。
蔡恩は春梅に『いっしょに花の中を歩いてみたい男はいるか』と尋ねる。その瞬間、周菊軒の姿が思い浮かんだ春梅。しかし、その想いを打ち消し、『いたらいいと思う』とごまかすのであった。

その後も献身的に蔡恩の世話を焼く春梅。やはり蔡恩は心優しく穏やかである。かつては蔡京と組んで謀ばかりの日々を送っていたという蔡恩。しかし、そんな日々に疲れ今は隠居をしているという。蔡恩の従者の春猿(名前のままの猿顔、酷い名前だ)も春梅のおかげで蔡恩の心が癒されていると、春梅に礼を言う。

そして春梅を孫の様に思うと言い始める蔡恩。春梅に自身を『おじいちゃん』と呼ばせるようになる。やはり蔡恩は悪い人間ではないと思う春梅。西門慶と金蓮の元にも志春から返事が来て、そこには『蔡恩はかつては宮中で父(蔡京)と暗躍していたものの、5年前に最愛の妻を病で亡くしてから落ち込み隠居している哀れで無害な老人である』と記されてあった。
その書簡に金蓮は安心するのであった。

本性を現し、春梅を襲う蔡恩。抗えない春梅は養女として連れていかれてしまう…

ある日、蔡恩は春梅を連れて10日程旅行をしたいと西門慶に頼み込む。驚く慶に蔡恩は『どうしても白い花の中を春梅と歩きたい』と言う。これを最後に都に戻ると言う蔡恩に、当然断れない慶。
旅行と聞いて流石に反対する金蓮であったが、春梅は大丈夫だと言い、蔡恩と春猿の3人で旅立っていった。

本当の祖父と孫娘の様に旅路を楽しむ蔡恩と春梅。春猿が手配した道を行くと、そこには広大な白い花畑が広がっていた。はしゃぎながら蔡恩と進んでいく春梅。しかし、蔡恩の手を取った瞬間、周菊軒とこの花畑で過ごす様子を夢想してしまう。すぐに我に返る春梅であったが、その様子を見て蔡恩は一瞬怪しげな笑みを浮かべるのであった

夜になり、寝床に入った蔡恩の世話をする春梅。すると蔡恩は突然泣き出す。昼間の花畑で亡き妻を思い出してしまい、辛いと言う蔡恩。春梅に添い寝をしてほしいと頼む。快く引き受ける春梅。しかし、春梅が寝入ると蔡恩は豹変して春梅に襲う。蔡恩の蛮行に気付くも何故か抗うことが出来ない春梅。その様子を付人の春猿は『今回も見事な手口』と淡々と評するのであった。

一方、都では蔡京が自宅で冷酷な笑いを浮かべながら西門慶からの書簡を眺めていた。
慶が出した書簡は息子の志春に届くことなく、蔡京の手に渡っていたのだ。蔡恩は西門慶が志春宛てに自身の人となりを確かめる書簡を出すであろうことを見越して、事前に蔡京に手回しをしていたのだ。

蔡恩の趣味は自身の性技で若くて聡明な娘を堕とすことだった。そして既に52人もの妻を娶っており、その全員を性欲で狂った廃人にしているのであった。
山東省で春梅に目をつけて、53番目の妻にするために西門家にやってきたのだ。
春梅はそんな蔡恩の策略に見事にはまってしまったのである。

一方その頃、市から外れた街頭沿いの道、街の警備役の周菊軒が最近出没する山賊の行方を追っていた。正義感に溢れるその姿勢は変わらぬものの、嫁に行く直前に山賊に殺された女性の失われた未来を憂える発言をする様になった周菊軒の変化に、『愛人でもできたのか』の不思議がる部下達。
周菊軒は妻二人(干しエイの様な顔をした潔癖女の宇英といつもうさん臭い笑顔を浮かべている巧二児)を娶っても堅物のままで、女性を思いやるような発言をする様なことは以前なら無かったからである。
周菊軒は春梅のことを思い続けていた。
『もし自分が西門家をでることになったらかんざしを持って迎えに来てほしい』
そう笑った春梅との約束を胸に、周菊軒は日々責務をこなしているのであった。

春梅が蔡恩と旅に出て10日が過ぎた。付人が手際の悪い秋菊のみとなってイライラしている金蓮。金蓮も秋菊も共に春梅が戻ってくるのを心から待っていた。春梅が帰ってきたという知らせが来て喜ぶ金蓮と秋菊。しかし、春梅は金蓮に大事な話があるという。

呼び出される金蓮。そこには西門慶と第一夫人・大奥様の月娘、蔡恩、そして浮かない顔で蔡恩の横に座る春梅の姿があった。
『春梅のことが気に入ったので養女として連れ帰る』と言う蔡恩。突然の言葉に驚く金蓮。
冴えない様子の春梅の顔と、蔡恩が春梅の腰に手を回したことを見落とさなかった。春梅に問いただす。

「春梅!!あなたの、あなたの気持ちはどうなの!?」
「おまえの気持ちはどう?蔡恩様の娘になりたいの?」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 77-78/242

金蓮の態度を咎める月娘。すると春梅は取り繕う様に笑顔を作り『自分も蔡恩を本当のおじいちゃんの様に慕っている』『ずっとそばにいたいのだ』と言う。
西門慶も『春梅もその気なので自分達にも異存はない』という。

愕然とする金蓮。立場上、西門慶も月娘も蔡恩に逆らうことは出来ず、春梅もそれを理解しているのだ。
何も言えない金蓮に春梅は今までの感謝の意を述べて、西門家のことも金蓮のことも決して忘れないと言った。そして涙を浮かべながら金蓮を見つめた。

「奥様にお仕えできて、しあわせでした」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 82/242

ショックで泣き崩れる金蓮。そんな金蓮を慰める月娘。月娘自身、浮かない顔をしながらも、喜んで送り出すべきだと金蓮を諭す。しかし、金蓮は受け入れることが出来なかった。
春梅も本当は金蓮と離れたくなかった。しかし、旅行中宿で何度も抱かれた春梅。蔡恩の従者の春猿からは『蔡恩は淫性の化け物で彼のテクニックで女達は皆、それ無しでは生きていけなくなる』と告げられる。もう、先の52人の妻たちと同様、死ぬまで蔡恩の玩具になる他はないのだと。
そして助言をした従者の春猿に暴力を振るう等、更に凶悪な一面を見せるようになった蔡恩。蔡恩は春梅にも『逆らったり逃げ出したりしたら権力を使って西門家を潰し、全員を吊るして生きたまま獣に食わせてやる』と脅しつける。
そして、春梅自身、蔡恩に抱かれると何も考えられなくなり、判断力が無くなってしまうのだ。

私こんな人の妻にならなきゃいけないの?そんなのいや―
でも逆らったら

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 95/242

西門家の面々を思い浮かべる春梅。そして、周菊軒との約束を思い出すも

約束をいい出したのは私なのに守れないのは私―

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 95/242

そう思い諦めるのであった。

春梅を救い出すために動く金蓮、周菊軒と協力する

春梅がいなくなるなんて嫌だと泣き崩れる秋菊を叱咤しながら自室で考える金蓮。春梅が養女になりたいと言ったのは本心ではないのは分かっていた。
その後、こっそり蔡恩の部屋を覗きに行った。
蔡恩になすがままにされている春梅を見て、『やっぱり』と思う。それはかつて下働きをしていた屋敷の老主人と愛人関係に陥ってしまった、幼い頃の自分の姿と重なった。

だめよ春梅。そんな男を運命として受けとめるのは―
―でも、ここで私が出ていってはダメよ
春梅の運命を変えるのは彼でなくては―

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 99-100/242

エンレイを率いて周菊軒に会うため、周家にやってきた金蓮。しかし、金蓮を嫌う第一夫人・干しエイこと宇英は金蓮を通さない。しかし、その様子を見た第二夫人である巧二児がこっそり金蓮を家に上げる。菊軒が帰って来たら会わせてくれるという。愛想が良いものの、どこかうさん臭さを漂わせる巧二児に警戒しながらも協力してもらうことにした金蓮。

帰宅した周菊軒は巧二児に連れられた部屋の先に春梅の後ろ姿があるのを見て驚く。慌てて駆け寄るもドキドキして躊躇う菊軒。しかし、その菊軒の態度に春梅と同じ髪形をした金蓮が振り返り喝を入れる。
『いくじなし!!あなたがもっと早く春梅を娶っていればこんなことにならなかった』と怒る金蓮。金蓮の剣幕に唖然とするも、菊軒は春梅の身に何かが起きたことを瞬時に察したのであった。

そして春梅が西門家から出立する日がやってきた。着飾った春梅を皆が見送る。羨ましがる召使たち、泣き続ける秋菊、複雑な顔をする梨花。
出立する直前、金蓮は春梅を抱き寄せ耳元でささやいた。

「あんな猿(おとこ)をあなたの運命(おとこ)にしてはだめよ」
「必ずしあわせをえらぶのよ」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 110/242

何もかも金蓮は分かった上で見送っている…そのことに気付いた春梅は涙を流しながら蔡恩達と共に西門家を後にするのであった。

山賊に襲われる蔡恩と春梅、救い出そうとする周菊軒

嵐の中、ひとまず宿に到着する蔡恩と春梅達。早速、寝所で春梅を弄ぶ蔡恩。しかし、そこに山賊達が襲い掛かる。なんと蔡恩の従者である春猿が手引きしたというのだ。今までの蔡恩からの扱いに不満を持っていた春猿(宦官であることもバカにされていた)。蔡恩が春梅にうつつを抜かしている間に手はずを整え、自らが蔡恩の立場を乗っ取って生きていくつもりなのだ。
一方、山賊の首領は春梅を気に入り自分のものにしたいと言い出す。証拠を隠滅するため春梅を始末したい春猿は反対し、自身が蔡恩を始末している間なら春梅を好きにしていいと条件を出す。
そのやりとりを聞いていた春梅。実は金蓮から別れ際、正気を保つ気付け薬を持たされていた。それを含んでいたため、春梅は蔡恩に抱かれた直後であるにも関わらず頭は冴えていたのだ。

春猿は蔡恩に復讐するため、秘かに都から生き残っている妻たちを引き寄せていた。蔡恩の手によって性欲のみで動くゾンビと化した彼女らは拘束され身動きが取れない蔡恩に襲い掛かる。一方で春梅も山賊の首領に犯される。山賊の首領はこの後、自分の寝床に春梅を連れていくと言う。
春梅がその言葉に驚いていると春猿の悲鳴が聞こえてきた。山賊は春猿も蔡恩とその妻達と共に殺した。最初から春猿との約束を守るつもりなど無かったのだ。
春梅はそのまま山賊に連れ去られる。

翌朝、春梅達が泊まっていた宿にやって来た周菊軒は血だまりと死体の山を見て、近頃出没している山賊の仕業だと理解する。実は金蓮から春梅達が泊まる宿を聞き、春梅を奪いに来たのだった。
金蓮からは『蔡京の縁者の蔡恩に正攻法では太刀打ちできないので、春梅をこっそり盗み出すように』と言われていたのだ。春梅の姿を探す菊軒。すると、寝床の壁に紅で山賊の首領の寝床の手がかりが記されているのを見つける。山賊達の会話を聞いていた春梅が機転を利かせたのだ。

再会する春梅と周菊軒~しかし、二人の未来には受難が待ち受ける

山賊のねぐらで今度は山賊の首領に弄ばれる春梅。宿に山賊のねぐらの手がかりを記したものの、誰が見るとも分からない。絶望する一方で、絶対に生き延びたいとも思う春梅。
その時、周菊軒が山賊のねぐらに単身攻め込む。
山賊達を全員切り捨てた周菊軒。見事に春梅を救い出す。春梅に自身の服を着させた菊軒は外に春梅を連れ出した。

金蓮の後押しを得て春梅を盗み出しに来たことを告げる菊軒。金蓮には感謝しかないと言う。

「春梅さん、以前交わした約束を覚えているかい」
「もし君が西門家を出ることがあれば私の妻になってくれる―と」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 154/242

菊軒の言葉に複雑な表情を浮かべた春梅。涙を流しながら、
『既に蔡恩の性戯に溺れた淫乱な女になってしまったこと』『今は薬で正気を保っているが枕を交わしたらどうなるか自信がないこと』を菊軒に伝える。
そして、菊軒に嫌われるのが怖いと。

しかし、そんな春梅に菊軒ははっきりと伝える。大丈夫だと。

「むしろ心配なのは、君が私を好いてくれているかどうかだ」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 156/242

そんな菊軒の言葉に、『あなたのそばにいたい』と答える春梅。抱き合う二人。
すると慌てて思い出したように懐を探る菊軒。以前約束した通り、かんざしを持ってきたと言う。しかし、懐を探るも見つからない。落としてしまったのだ。
うろたえる菊軒に、側で美しく咲く花(梅?)を代わりに髪に挿して欲しいとねだる春梅。春梅と菊軒、お互いの想いが無事に通じ合ったのであった。

蔡恩は運悪く山賊に襲われ、山賊狩りで偶然居合わせた周菊軒が、たった一人無事だった蔡恩の養女を救い出した。そして二人はそこで見染め合い結ばれ、蔡恩の養女は周家の養女になった…世間ではそういったことになったこの一件。西門家にいる金蓮もこの結果には非常に満足していた。

一方で、周家にやって来た春梅。第一夫人、大奥様にあたる干しエイ…こと宇英に恭しく挨拶をする。しかし、春梅に対して厳しい態度を見せ正式に輿入れするまでは使用人と同じ扱いをすると宣言する宇英。
第二夫人の巧二児は春梅に優しく親切に接するが、その腹は分からない。

決して春梅の先に広がる未来の道は平坦ではないのだが、それはまた、別の回で語られるのだ…

波乱の新キャラ、西門慶の異母妹で青琴の娘、露々(るる)現る

春梅の一件が落ち着いた西門家。春梅が周菊軒と結ばれて満足した金蓮だったが、付人が気が弱く手際の悪い秋菊一人だけになったことでイライラしていた。
もう一人召使が欲しいと思う金蓮。

しかし、肝心の秋菊は新しい人は嫌だと文句を言い、だったら現在大奥様付の梨花に来てもらいたいと言う。秋菊の要望に納得した金蓮。早速大奥様、月娘にお願いしに行く。

第一夫人の月娘は梨花を金蓮の所へやるのに異存はないという。梨花も金蓮を強烈に慕っているので(やや恋愛感情に近い)、当初は金蓮の申し出に感激する。
しかし、秋菊を思い浮かべて一気にテンションが下がる。
梨花は根暗で鈍くさい秋菊が嫌いで今までも何度も衝突しているのだ。
金蓮のことはもの凄く好きであるが、梨花は『秋菊と上手くやっていく自信が無い』と言って断るのであった。

一方、庭で一人泣く秋菊。新しく来る人はきっと自分を暗い、グズ、ノロマ等いじめるだろう。だったら梨花の方が見知っている分マシだ…そう呟きながらめそめそしている秋菊。

「暗くてグズでノロマ…それを自分に許してしまうなんて、なんてかわいそうな役に立たない方。そういう人は―」
「死んだほうがいいと思う」

「あ、つい本当のことをいってしまったわ。失礼」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 172-173/242

秋菊が振り返ると見知らぬ少女が微笑んでいた。そしてそのまま立ち去る少女。その散々な物言いに秋菊は唖然とするのであった。

そして西門慶には来客があった。実父の西門伯とその従者の姜永鐘だ。
基本、慶への嫌がらせのためにしか来ないこの二人。追い出そうとする慶に、なんと伯は『青琴の娘を連れてきた』と言う。

青琴…それは西門慶のねえやで最初の妻であった女性だ。冷酷な伯から慶を守るため、裏で伯と姜永鐘からなぶり者にされ続け、結果伯の子を身籠り、出産後自ら死を選んだ青琴。
青琴が生んだ娘(つまり慶の異母妹)は西門家とは縁のないところに養女に出されたはずであった。

そんな青琴の娘を捜し当てたという伯。戸惑う慶の目の前に連れてくる。
露々(るる)というその娘は、初々しく愛らしい様子で、まさに青琴に生き写しであった。慶と自身の関係を全く知らされていないという露々。姜永鐘から紹介されて慶を見て、頬を赤らめる。

「なんてステキな方。この世にこんな方がいらしたなんて―」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 187/242

露々は間もなく生糸商の氾知伝と結婚することが決まっているという。嫁ぐ前に流行り歌にもなった色男の西門慶を一目見たいと言うので連れてきたと言う伯と姜永鐘。そしてすぐに3人は帰って行ったが、青琴そっくりの露々の姿に西門慶は動揺するのであった。

西門伯と姜永鐘、そして露々の策略にはまる西門慶と金蓮

一連の出来事を金蓮に話した西門慶。伯が何かしでかそうとしているのではないがと2人で警戒する。とりあえず、露々のことを探ろうと秘かに決意する金蓮。

一方、西門家をあとにした露々は帰りの馬車で溜息をついていた。慶に一目ぼれしたことを伯と姜永鐘に仄めかす露々。そんな露々を自宅で下ろしてやった姜永鐘は笑いながら伯に言う。

「大旦那様、露々ちゃんは坊っちゃん(慶)にひと目惚れですねえ。なんか活躍してくれそうですね」
「露々ちゃん外見が青琴で中身が大旦那様なら、コワイコワイ」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 196/242

その言葉に伯もまた笑ってみせるのであった。

自宅に戻った露々は冴えない婚約者、氾知伝の来訪に白けるも、本人には笑顔で接する。しかし、頭の中は西門慶のことで一杯であった。露々は西門伯と姜永鐘を利用して、どうにかして西門慶と結ばれようと考えていたのであった。

後日、王婆の元を尋ねた金蓮。いつものように王婆に金を払い、密偵として活躍してもらったのだ。依頼していたのは露々の身の上。隣県の生糸商の養女として大事に育てられたという露々。体が少し弱いくらいで、特に浮いた話、トラブルは無いという。しかし、婚約者である生糸商の氾知伝は既以前に3人の妻がいたと言うが、全員故人で『氾知伝が暴力を振るって殺した』という噂があるという。

それを聞いて顔色を変える金蓮。王婆に謝礼を支払い足早に立ち去る。
しかし、金蓮が立ち去った後、陰から姿を現す姜永鐘。実は伯と姜永鐘は事前に王婆を買収し、金蓮に偽の情報を掴ませたのであった。

伯と姜永鐘の読み通り、王婆から聞いた話を西門慶にそのまま伝える金蓮。話を聞いた西門慶は生前青琴が自身を庇って西門伯に殴打されていた様を思い出し動揺する。もし露々が青琴と同じような目に遭っていたら…そう考えるといてもたってもいられなかった。

しばらく経ったある日、西門家の門に顔に傷を作った露々がやってくる。医者は露々の体に見えない箇所にも乱暴された跡があると言う。氾知伝がやったのかと聞く西門慶。泣きながら『はい』と言い、頼るところが無くてここに来たと訴える露々。そんな露々と青琴を重ね合わせて『今度こそ助ける』と誓う西門慶。
この出来事を知った金蓮も露々を助けられて良かったと胸をなでおろすのであった。

そして刑部の長官(法律や刑罰、訴訟をつかさどる役所)という立場を利用して、早速殺人と虐待の罪で氾知伝を捕える西門慶。当然氾知伝は無実を訴えるが、その声を聞く者はいない。露々の傷を作ったのは共謀した姜永鐘なのだが、そのことを知る者はいないのだ。

西門家に居つく露々~追い出せない金蓮、本性を見抜くも空回りする梨花

しかし、その後そのまま露々は西門家から出ていかなくなる。『事件は解決したのだから実家に帰せ』と嫉妬深い金蓮は西門慶に文句を言う。しかし、慶は『まだ心が不安定だ』と露々を不憫がり庇う。金蓮は慶が露々を不憫がるあまりに、妻にすると言い出すのではないかと危惧しているのだ。

「露々は旦那様の異母妹なのですよ。そのことだけはお忘れなく。それに」
「あの娘は青琴ではありませんのよ」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 215/242

そう言って釘を刺す金蓮。慶は分かっていると言いながらもどうしても露々と青琴を重ねてしまうのであった。

一方、露々の世話を担うことになった梨花。怪我は治ってきているのに大げさに苦しみ、何かと西門慶を呼びつける露々の態度に疑問を持つ。
金蓮を慕い、金蓮の力になりたいと考えている梨花はそのことを金蓮に伝える。
金蓮は慶に『露々に新しい嫁ぎ先を見つけること』を提案する。
渋る慶だが、そのことを露々に伝える。
すると、露々は『旦那様のそばにいたい』『召使でも良い』と言って慶にすがる。
その様子を見た梨花はまた、その様子をそのまま金蓮に伝えてしまう。

激怒してすぐに露々の元に向かう金蓮。秋菊は『ああいった伝え方をすると金蓮は怒りで何も見えなくなってしまう』と梨花に注意する。
しかし、春梅達程深く金蓮のことをまだ理解できていない梨花は秋菊のその言葉に怒ってしまう。

一方で、露々の元に来た金蓮。露々の態度を咎めに来たのだが、金蓮が何か言う前にしおらしい態度で謝罪する露々に拍子抜けし、すぐに立ち去る。その様子にほくそ笑む露々。

その晩、露々は自ら手首を切って自殺を図った。それを梨花から聞かされる金蓮。だが、傷は浅いようで話を聞けば聞くほどに狂言自殺にしか思えない金蓮。しかし、西門慶は露々に付きっきりだと言う。

―あの女、とんだ曲者だわ

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 232/242

露々の本性に金蓮はやっと気付くのであった…。

恒例のおまけ漫画、閨秀小噺~やっぱり、なんだかんだ優しい雪蛾さん

庭で菓子を食べながら、春梅について話しているのは第二夫人嬌児付の夏花と第三夫人玉楼付の蘭香。蔡恩の養女になったかと思えば周菊軒の妻となった春梅を羨ましがり嫉妬を隠さない二人。大奥様月娘付の迎春がそんな二人を見て、その美味しそうな菓子はどうしたのかと尋ねる。
二人は雪蛾の厨房から『他の夫人が美味しい雪蛾のお菓子を所望している』と嘘をついて持ってきたものだと言う。『雪蛾はおだてるに弱い』と悪びれることなく言う夏花と蘭香に呆れる迎春。さらに二人は『何かあったら若輩の秋菊と梨花のせいにすれば良い』『秋菊と梨花は要領が悪い』と笑う。しかし、その様子を陰で雪蛾はしっかり聞いていた。
一方、別の庭では、泣く秋菊とうんざりしながらも寄り添う梨花の姿があった。未だに春梅を恋しがって泣く秋菊に困る梨花。すると、突然菓子を持った雪蛾が現れる。

「ちょっと」「これ美味しいから」

まんがグリム童話 金瓶梅 41巻 236/242

それだけ言うと出来立ての菓子を梨花に押し付けるようにして立ち去る雪蛾。驚きながら受け取る二人。寂しさはなくならないものの、美味しいお菓子を食べて、ちょっとだけ元気になるの秋菊と梨花だった。

以下、感想と考察

まさかの春梅退場~ラスト、最終回は近い!?

いやあ、驚いた。まさか、このタイミングで春梅が退場とは…。
周菊軒に嫁ぐのは原作通りなのだけど、この運びでそうなるとは…。
まあ、完全に物語から退場となるわけではないだろう。恐らく度々、周家の話は出てくるはず。あの干しエイ(宇英)と愛想は良いが何考えてるか分からない巧二児が既に妻としている周家。すんなり幸せになれるはずもなく、かといって金蓮のお付きとして活躍してきた春梅が大人しく苛められる訳もない。それはそれで波乱の展開が待っているだろう。

しかし、メインの西門家からは去ってしまった訳で…。『金瓶梅』のタイトルでもある、瓶児も春梅もいなくなったのは(もう、『金』しか残ってないよ)、いよいよラスト、西門家の終焉が迫っているのかと推測出来る。切り良く50巻位で終わらせるのかな。

瓶児以上の強敵になりかねない、新キャラ、露々(るる)

何より、終焉感を漂わせるのが、新キャラの露々(るる)の登場。青琴に娘がいた(しかも父親が西門伯)のは以前から分かっていたこと。絶対どこかで出てくるだろうと思っていたのだが、春梅と入れ替わりでメインストーリーに関わってくるとは…。姜永鐘の見立て通り、『見た目は青琴なのに中身は西門伯』な露々。
…最強(最凶)過ぎる。ただでさえ女に甘い慶なのに、露々には特に青琴の面影を見てしまい、正常な判断ができない様子。そして、露々自身も立ち回りが上手そう、賢そう。男の庇護欲を掻き立てるのが上手いものの、基本的に頭が悪く、性欲の赴くままにしか行動できない瓶児よりも厄介な存在になるだろう。彼女が西門家没落の引き金になりそうだ。
果たして春梅がいない挙げ句、王婆も実は西門伯側に寝返っている今、金蓮に打つ手はあるのか…。

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金瓶梅42巻の発売予定は、今後の展開は?

金瓶梅、次巻42巻の発売は2019年7月20日頃。予告では西門慶を異母兄と知らず、妻になりたいと迫る露々の姿が…。西門慶は流石に異母妹なので、拒むのか、それとも青琴の面影に引かれて手を出してしまうのか…。彼の選択に西門家の命運が掛かっているのだ。

次の巻、最新刊はこちら
【漫画】まんがグリム童話 金瓶巻42巻・最新刊【感想・ネタバレ・考察】露々を追い出そうとする金蓮、しかし意外な行動を取ることに…

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