【漫画】モンキーピーク3巻【感想・ネタバレ・考察】追放される早乙女~八木兄妹登場、そして分裂する社員達


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前巻までのあらすじ…主人公早乙女達、藤谷製薬の40人の社員達は団結を深めるべく『しらび山』に一泊二日の登山にレクリエーションのためにやってきていた。しかし、ナタを持った猿の様な化け物に襲撃を受け続け、次々と殺害された。生き残った社員達は山小屋まで辿り着いたもののそこでも猿の襲撃を受け、ついに社長まで命を落としてしまう。そこで更に営業部長の氷室が猿の仕業に見せ掛けて経理の辻を殺害したことが発覚。法務の安斎が氷室を拷問にかけて真実を吐かせようとするが、氷室は主人公早乙女が主犯であると嘘をつく。皆から疑われた早乙女は無実であるにも関わらず安斎から拷問を受けることとなった。しかし、その時、山小屋の外に猿の姿が現れて…。

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→モンキーピーク、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり

前巻の記事はこちら→【漫画】モンキーピーク2巻【感想・ネタバレ・考察】続く猿の襲撃~誤解から疎外、拷問される早乙女

最新刊・最終巻の記事はこちら
【漫画】モンキーピーク12巻・最新刊・最終巻【感想・ネタバレ・考察】岩砕山山頂…ラスト生き残るのは?そして結末は…真のヒロインは佐藤さん

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Contents

3巻冒頭時点の生き残り

早乙女稜(主人公)…営業23歳 氷室の虚言から猿の仲間だと疑われ安斎達から拷問を受けている

宮田…営業23歳 早乙女の友人であり、早乙女の無実を信じている。上司である氷室に騙され、一人スーツに革靴で山に来てしまった。

林…庶務21歳 茶髪ボブヘアーの女性。誰にでも優しく、早乙女のことを信じている。

長谷川人事部長…50歳 登山に詳しく、皆を支える人格者

岡島…開発室B27歳 運動が苦手で臆病。

佐藤…経理31歳 黒髪ロングヘアーの女性。自分にも他人にも厳しい。

遠野…開発室A28歳 眼鏡で小柄。知識が豊富

安斎…法務34歳 殺害された社長に代わり皆をまとめるが、拷問等の非情な手段を取る。アメフトをやっており、体格がいい。

氷室…営業部長43歳 猿の仕業に見せて経理の辻を殺害。安斎に拷問に掛けられるも、猿と早乙女に指示されたと嘘を吐く。

飯塚…開発室A26歳 藤芝と『同盟』を結び、彼女を使って早乙女を陥れる。早乙女への拷問にも加わる。

藤芝…庶務24歳 お団子頭の女性。飯塚と『同盟』を結んでおり、不本意ながら早乙女を陥れることになる

南…開発室B32歳 早乙女を嫌っており、早乙女への拷問に積極的に参加した。右腕を骨折している。

黒木…開発室Bリーダー45歳 早乙女への拷問に積極的に参加した。右足を骨折している。

田中…開発室Aリーダー48歳 矢ノ口落としの下で待機中、猿に襲撃され、以降行方不明になっている。

以下、あらすじ・ネタバレ

第21話 中岳小屋の夜⑤~早乙女を逃がすために一芝居打った宮田達

『猿が出た』という宮田の叫びに山小屋の1階から飛び出した安斎。しかし、猿の姿はすぐに消えてしまう。入り口で猿を待ち構える安斎。そして長谷川部長は戸締まりの確認として早乙女への拷問に加わっていた南と飯塚を連れて2階へと向かった。

すると宮田は早乙女のいる1階に残っていた拷問メンバーの黒木に『声を上げたら殴る』と脅して、岡島と共に吊るされていた早乙女の拘束を解くのであった。

安斎に殴られ続けボロボロになった早乙女に宮田は『逃げてくれ』と告げる。実は外にいた猿は林が扮したもので、宮田、長谷川部長、佐藤、岡島、遠野、藤芝は安斎達拷問推進派の横暴に耐えられず、早乙女を助けるために、『猿が出た』と一芝居打ったのだ。しかし、

「今だけは助けるが、今後一緒には行動できないって言うのが俺達の選択」「…つまり――追放する」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 17-18/209

皆の誤解や反感を買うことが度重なってしまった早乙女。拷問を止めさせたとて、今後も紛争の種になりかねない。宮田の言葉に驚く早乙女だったが、『すまない』と謝る宮田に『いいんだ』と答え、氷室も連れていくという。このままここにいても氷室は殺されてしまうだろうと。

しかし、氷室の拘束を解こうとした瞬間、気絶した氷室は目を覚まし、『早乙女が逃げるぞー!』と叫びだした。事態に気付き戻ってくる安斎。早乙女は仕方なく裸足のまま窓から山小屋を飛び出し逃走した。

戻ってきた安斎は早乙女を逃がした宮田に怒るが、長谷川部長を始め多くの社員が宮田に賛同したと知ると、『仲間割れは自分も望んでいない。お前達を責めはしない』と諦める。しかし、それでもなお、『自分が絶対正義だ』と言いきる安斎に社員達は戦慄を覚えるのだった。

そして、寒い岩場に裸足で飛び出した早乙女は今後どうすべきか思案するのであった。

第22話 中岳小屋の夜⑥~早乙女の過去、そして再びやってきた猿

山小屋を飛び出した早乙女は、山小屋からさして離れていない岩場に身を潜めていた。寒さと、そして裸足であることから動くことができないのであった。

一方、山小屋の中では安斎が再び氷室を拷問にかけようとするのを、長谷川部長が制止していた。『あと1日堪えれば警察が来る。後のことは警察に任せれば良いだろうと』。

早乙女を嫌悪し、拷問に賛成していた南は宮田達が早乙女の肩を持つことが気に食わず、『あいつは人殺しだぞ』と吐き捨てる。佐藤は早乙女と同じ中学だったという宮田に『早乙女が人を殺した』という話の真偽を問う

『中学三年生の時に友人と二人で無免許であるにも関わらずバイクを盗み、転倒して友人が死亡した』『ハンドルを握っていたのは早乙女だった』と説明する宮田。それを聞いて、『やはりクズだ』と言う南。しかし、宮田が『早乙女本人がハンドルを握っていたと言っているだけでそうではない可能性がある』と言うと一同は静まり返る。

次いで『二人殺した』ということの真偽を問う佐藤。『詳細は知らないが友人を亡くした事故の翌年春に早乙女は父親も亡くしている』と答える宮田。中学生の頃の早乙女は喧嘩っ早く、絡んできた上級生を抱えながら2階からダイブするなどしたため、周囲からは避けられていたと話す宮田。しかし、『本当は悪いやつじゃない。いじめもしない。やり返すだけ。仏頂面で損しているだけ』と宮田は皆に訴える。宮田の話に佐藤、遠野は少し納得した様子だが、安斎は『何をするか分からない信用ならん人種』と吐き捨てるのであった。

それからしばらく経つと、中岳小屋に近付く猿の姿がそこにはあった。猿は窓の外から中に掛けて弓を構えた。その時、矢を握り締めた早乙女が飛び出し、叫び声を上げながら猿の胸に矢を突き刺すのであった。

第23話 中岳小屋の夜⑦~一人猿と戦う早乙女…猿と共に崖から落ちて消える

早乙女は社長達の死体が寝かされているビニールシートの中に潜み、猿を待ち伏せしていたのだ。猿の胸に矢を直接突き刺す早乙女。しかし、猿はそのまま崖下に逃げ出し、早乙女から距離を取ると早乙女の顔面に向けて矢を放つ。だが、早乙女はなんとそれを歯で受け止め、その矢を掴んで崖の下の猿に向かって飛び降りていった。

早乙女の叫び声を聞き、中岳小屋から社員達が飛び出してくる。宮田達が崖下を照らす中、早乙女と猿は揉み合いになるが、猿の力は圧倒的で、早乙女は一方的に殴られ続ける。

『本物の怪物だ』『どうすれば』圧倒的な力の差の前で戦いながら悩む早乙女。すると『サッチー』と早乙女を応援する宮田、長谷川部長、岡島の姿が見え、早乙女はある決意をする。

早乙女は頭上の宮田達に下手くそな笑いを浮かべると、猿に抱きつき、崖の淵に追いやると、なんと、そのまま一緒に崖下に落ちていったのだった。

第24話 中岳小屋の夜⑧~奇跡的に助かった早乙女は行方不明だった田中と合流する

宮田の呼び掛けもむなしく、早乙女は暗闇の中に猿と共に消えていった。立ち尽くす社員達。早乙女を疑い拷問にまでかけた安斎も『猿と刺し違えたか…』『見事だ』と愕然としながら呟く。そんな安斎に怒りを抑えられず掴み掛かる宮田。長谷川部長に制止されるも安斎の所業を警察に全部ぶちまけると叫ぶ。逃げないで責任は取ると返す安斎。早乙女が消えていった方向を見つめる社員達。夜が明けようとしていた。

一方早乙女は中学時代、バイク事故で死んでしまったユージの夢を見ていた。上級生を抱えながら2階からダイブした早乙女を怖がることなく明るくからかうユージ。

目を覚ます早乙女。自身の名を呼ぶ田中の顔が目の前にあった。早乙女は奇跡的に岩場の間のわずかな茂みに落ち、気絶しただけで助かったのだ。辺りに猿の姿はない。

行方不明になっていた田中が無事であったことに驚く早乙女。田中は矢ノ口落としの下で猿に教われ逃げる際、滑落してしまい、助かったものの、それ以降の2日間道に迷っていたのだという。早乙女が水も食料も持っていないことを知り落胆する田中。

早乙女はそんな田中に上には水と食料があると告げ、『山小屋のところまで登りましょう』と言う。猿と揉み合いになったときに、『あること』に気付いた早乙女。皆にそれを伝えなければならないと決意したのだ。

一方朝を迎えた中岳小屋では安斎が外に立って見張りをし、救助を待っていた。小屋の中では救助が来ないことに社員達が不満を漏らし始める。また、変わらず吊るされたままの氷室は手足が限界だと訴え、長谷川部長は氷室を下ろしてやることを検討していた。

時を同じくして、二人の男女が中岳小屋の近くまでやって来ていた。

第25話 三日目①~中岳小屋にやってきた八木兄妹…彼らは衛生電話を持っていたが…

中岳小屋の前のベンチに座る安斎。すると登山服の男女二人が社長達の死体を覗き込んでいることに気づく。救助隊だと思った安斎は慌てて駆け寄り話し掛けるが、どうも話が噛み合わない。

そして、山小屋の扉を開ける男女二人。二人の姿を見た社員達も彼等を救助隊だと思い、歓喜する。しかし、拘束を解かれている最中の、血に塗れた氷室を見た二人は社員達に近づいて来ないように指示を出すと、『119番だ』と電話を取り出した。

しかし、次の瞬間、拘束を解かれた氷室が走りだし、男性が手にしていた電話を奪い取った。安斎が追いかけ押し倒す様にして捉えるも、電話は氷室の手から抜けて、崖の下に落ちていってしまった。

呆然とする社員達。怒った宮田が氷室に馬乗りになり責めると、氷室は『警察は嫌だ、見逃してくれ、自分は猿の仲間ではない』というばかりであった。岡島と遠野は登山服の男女二人に『他に電話はないのか』と必死にすがるが、男性は『電波が悪いここには、さっきの衛生電話1台しか持ってこなかった』と答える。『救助隊じゃないのか』と叫ぶ岡島の必死の形相に、男女二人は顔を見合わせるのであった。

「八木 薫といいます」「八木 満、兄妹です

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 101/209

二人はただの登山者で、救助隊ではないという。これまでの経緯を必死に説明する社員達。『もう28人も殺された』『社員40人も行方不明になっているのにニュースになっていないのか』そう尋ねる社員達に八木兄妹は淡々とその様なニュースは無いと答える。動揺する社員達。

この事について、遠野が『社内に猿の仲間がいて、社員の家族や関係各所に1週間は戻らないという様に根回し済みであれば捜索願いが出されなくてもおかしくない』と推測する。社員達は遠野の言葉にざわめく

『世間は藤谷製薬の社員達がこの山で猿に殺戮され、遭難しているということを知らない』そして、『社員の中にやはり猿の仲間がいる…そして、猿の仲間はこの山小屋の中にいるのかもしれない』…この2つの事実に社員達はただただ戦慄するのであった。

一方、山のどこか。中岳小屋の崖から落ちた衛生電話をナタで叩き割る猿の姿があった。

第26話 三日目②~猿神について語る兄妹、一人出ていこうとする宮田

『世間は遭難に気付いていない』『社員の中に猿の仲間がいる』この2つの事実に絶望の叫びを上げる社員達。事前に出した登山計画書も上書きされている可能性が高い。つまり、救助は来ないのだ。

山小屋の外の死体を淡々と観察する八木兄妹。安斎が長谷川部長と佐藤と共に、『平気なのか』と尋ねると、登山経験を積んでいる二人は死体を見慣れていると答える。

そして八木兄妹はなんと『猿を知っている』と語る。土地に根付く猿神伝説について言及する兄妹。しかし、それだけでなく八木兄妹はこの先にある岩砕山山頂近くで『猿神』のシルエットを見たことがあると嬉しそうに言うのだ。

そんな二人に安斎達は『協力して欲しい』と頼み込む。下山して救助を呼んで欲しいと。当然そのつもりだと語る八木兄。しかし、出発するのは明日の朝で、下山出来るのも早くて明日の16時になると説明する。今日中の下山が不可と聞き、少し落胆しつつも、安斎、長谷川部長、佐藤の三人は八木兄妹に頭を下げて『よろしくお願いします』と言うのであった。

その後、中岳小屋の中で寛ぐ八木兄妹。その様子を訝しげに眺める藤芝は横にいる岡島に『あの二人は信用できない』と告げる。考えすぎだと言う岡島に藤芝は『あの二人、兄妹ではない』『距離が近すぎる』と言う。八木兄妹の様子を見て、藤芝の言葉に納得した岡島は怯えたような表情を浮かべるのであった。

口々に不満を言い合いながらぼんやりと山小屋で過ごす社員達。すると突然宮田が炭酸飲料を一本取って荷物をまとめ、『出ていく』と言い出した。社員達と共に過ごすのが嫌になったのだという。『夜までに下山は不可能で、途中の山小屋『三ツ倉小屋』に辿り着く前に暗くなる』と笑顔のまま警告する八木兄妹。そして、安斎もまた、勝手な行動は許さないと凄む。しかし、宮田は怯む様子を見せず、『会社を辞める』とまで言い、そのまま出ていこうとする。

すると、林が自分も共に出ていくと言い出す。更に長谷川部長も自分も一緒に行くと言い出す。動揺する社員達。するとその様子を見た安斎は社員達にこう告げるのであった。

「他にも出ていきたい奴は出ていくがいい」「俺か宮田か選べ」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 126/209

第27話 三日目③~山小屋を出る宮田達…八木兄は宮田にある忠告をするが…

安斎の言葉に『分裂するのか』と動揺する社員達。宮田は南に対しては早乙女を迫害し続けたことから連れていかないと宣言。藤芝は宮田達に着いていこうとするも、飯塚から『同盟』を盾に、『勝手なことをするな』と脅され断念。遠野は『生き残るのは安斎の方』と語るなど、それぞれの思惑が交錯するなか、結果的に、宮田、林、岡島、長谷川部長の4人が中岳小屋から出ていくことになった。

出発しようとする4人に八木兄妹はランタンを1つ渡し、スーツに革靴の宮田に対して『社員の遺体のアウターと靴を使った方が良い』とアドバイスする。しかし、死者から装備を借りることに抵抗を覚えた宮田はそれを拒否。八木兄妹は宮田達に明日には追って下山することを約束し簡単な道の説明をして、宮田達を見送るのであった。

残った安斎達もまた、離れた所から去っていく宮田達の姿を見ていた。『反抗的な者がいると邪魔であるし、少人数の方が監視しやすい』そう言って厳しい表情を浮かべる安斎は『この中に猿の仲間がいると見ている』と告げ、社員達は恐怖するのであった。

宮田達は運動が苦手で体力の無い岡島に合わせて進んでいく。一方で中岳小屋で佐藤から『宮田達は無事に三ツ倉小屋に辿り着けるのか?』と尋ねられた八木兄は『問題は彼かな』と明るく答える。

彼…宮田の革靴が問題だと。あの靴では先に進むのは難しいと淡々と語る八木兄に対して、『なぜ止めなかったのか』と非難する佐藤。しかし、八木兄は警告はしたし、後は自己責任…『それが山というものだ』と笑いながら語るのであった。

一方、山小屋の裏では飯塚が藤芝に、『何故宮田側に行こうとしたのか』と笑顔を浮かべながらも問い詰めていた。安斎が怖かったと答える藤芝に飯塚はこう語る。

「自分より弱い奴がいる方につく。生き残るためにはそれが簡単だ」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 140/209

宮田達の方ではオトリにできるのは岡島だけだが、安斎側なら負傷者が黒木、南、氷室と三人もいると説明する飯塚。そして、複雑な表情を浮かべた藤芝に足元の石をどかして見せる。するとそこには複数の桃缶や炭酸飲料が隠されていた。山小屋の中を探索したときに発見し、いくつか抜き取って隠しておいたと語る飯塚は『二人で食べようぜ』と明るく桃缶を藤芝に差し出す。一瞬躊躇いを見せるも空腹に耐えられず桃を口にする藤芝。そんな藤芝を見ながら飯塚はほくそ笑む。そう、生き延びるために、常に自分より弱い人間を作っておくのだと。

一方で宮田達は思った以上に早く中岳山頂に辿り着き喜ぶ。しかし、眼前に広がる岩砕山とそこへ繋がる道のあまりの険しさに愕然とするのであった。

第28話 三日目④~革靴で崖を下る宮田の足に異変が起きる

先の道の険しさに絶句する宮田達。岡島が弱音を吐くも、長谷川部長は岩砕山に行くわけではなく、途中で下山コースに向かうと説明し、落ち着かせる。風が出て来たため、急ぐこととした。

一方その頃、早乙女は田中とともに中岳小屋を目指して迂回しながら崖を登っていた。岩肌に張り付き登るような形になり、裸足の早乙女の足はすでに血塗れであった。実は早乙女と田中は宮田達のすぐ近くにいたのだが、互いに気付くことはなかった。

早乙女達とは反対下っていく宮田達は、崖に背と尻を押し当てて降りていく。ここに来て宮田は急に足の指に強い痛みを感じるようになっていた。そして休憩を取ったとき、靴を脱いだ宮田は言葉を失う。

宮田の右足の親指と人差し指の爪が剥がれていたのだ。ここで八木兄の言葉の意味を理解した宮田。しかし、この事を誰にも言わないで黙っておくのであった。

三ツ倉小屋に向かったら助けとなるものを見つけて自身は中岳小屋に戻ると語る長谷川部長。その言葉に驚く岡島。一方で宮田はそのまま下山を続けると語る。社員達も八木兄妹も信用できないからだ。『猿の仲間はまだこの山にいるのだろうか』と不安がる林。しかし、宮田は『考えても仕方がない』と言い、先を急ぐのであった。

そして、その頃、早乙女と田中は中岳山頂にたどり着いていた。このまま下っていけば中岳小屋に辿り着ける。早乙女は叫ぶのであった。

「…帰ってきたぜ、猿ヤロー」「もう誰も殺させねぇ!!」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 166/209

第29話 三日目⑤~宮田らの危機を察知する早乙女、一方宮田は衰弱していく

中岳小屋を見て『水が飲める』と涙を流し喜ぶ田中。そこで、早乙女は宮田の足跡を発見する。革靴の宮田の足跡は特徴的なのだ。そして、同時に血痕も見つけた早乙女。早乙女はその血痕が猿のもので、猿が崖側から宮田達を追跡していることに気付く。早乙女は中岳小屋にいる社員達へ向けた『伝言』を田中に託すと、引き返して宮田達を追いかけることとした。

一方三ツ倉小屋を目指す宮田達であったが、林が宮田の体調の変化に気付く。息が上がり足が震えている宮田。長谷川部長は宮田を先頭にし、自身が最後尾についてペースを落とすことにする。

そして、宮田達を追う早乙女は陽が落ちて来たことに焦る。しかし、裸足で岩場を下ると激痛が走り思うように進めない。『このまま夜になったらどうなってしまうのか』と不安を持ちながらも先を急ぐのであった。

その頃宮田達は急なカーブに差し掛かっていた。岩場に打ち込まれた鎖を見て不安がる岡島に、長谷川部長は『三点確保』を守れば問題ないと言い、コツを皆に説明する。

なんとか鎖場を越えた宮田達。しかし、宮田は疲労を隠せなくなっていた。寒い、痛い、眠い…水や温かいごはんが恋しい。そんな宮田を見かねた長谷川部長は宮田の荷物は自分が持つと言い出す。断る宮田だが、『立ち往生された方が迷惑だ』と言われてしまい、渋々リュックを長谷川部長に渡す。慰めようとした岡島にも声を荒らげてしまい、悲しそうに見つめる林に気付いて、自己嫌悪に陥るのであった。

このままじゃ…皆を助ける前に俺が死んじまう。山が…怖い。山に殺される

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 181/209

山への恐怖に震える宮田。しばらく進むとまた鎖場に出るが、宮田は足を踏み外しかけるなど動きが覚束ない。『スーツにパーカーの宮田は強く冷たい風に体力を奪われている』と気付いた林。岡島はリュックを背負っていた方が防寒になるのではないかと言う。林は最後尾で宮田のリュックも持っている長谷川部長にそう伝えようと声を掛ける。しかし、岩場の陰に隠れてしまっているのか長谷川部長の姿はない。少しすると物音とともに、姿を現したのは、長谷川部長ではなく、猿であった。

第30話 カニ歩き①~鎖場で猿に襲われる宮田達、そしてピンチに駆け付けた早乙女

長谷川部長の代わりに姿を現したのは死んだはずの猿だった。パニックを起こし叫ぶ岡島と対照的に、宮田はぼんやりと『長谷川部長は殺されたんだ』『もう終わった』と考え、諦めの境地に達していた。

しかし、林が『猿が負傷している』と指摘する。早乙女と崖から落ちたときに負傷したのか、猿は体から血を流していた。

「大丈夫!逃げられる!!」「あきらめちゃダメ!!」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 192-193/209

林の叫びに正気を取り戻した宮田。必死に進もうとする、が、しかし寒さから思うように動けず、最前列の宮田が進まないことから、続く林、岡島も詰まってしまい、猿が近づいてくる。特に最後尾で最も猿が近い岡島はパニックを起こして『あっち行け』と鎖を揺すり始める。反動で岩場に叩きつけられる猿だったが、同時に宮田や林も揺られてしまう。さらにその衝撃で鎖の楔が抜けてしまうのであった。

滑落は免れたものの、鎖にしがみついてぶら下がる形になってしまった三人。宮田、林はなんとか登って体勢を立て直したが、岡島は登ることができない。そして、岩場に張り付いた猿はそんな岡島に対して投石を繰り返す。石が頭に直撃し、意識を失いかける岡島。しかし、なんとか鎖にしがみつき続ける。『助けて』と叫ぶ岡島。しかし、宮田と林は身動きが取れない。そのとき、

「そこまでだ」
「また会ったな、猿」
「さあ、決着をつけようぜ」

モンキーピーク3巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 207-208/209

早乙女が駆け付けたのであった。

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以下、感想と考察

どこか不気味な八木兄妹

山小屋に偶然やってきた八木兄妹。ここで社員以外の人間が物語に参加。ストーリーにどう影響するのかが気になるところ。

しかし、二人から漂うサイコパス感が半端じゃない。別に社員達を害する行動はしてないし、むしろ助けてくれてるのに、なんか怖い。不気味で不吉。藤芝じゃないけど、二人の笑顔はなんだか怖い。特に八木満、兄の方。常に目をかっぴらいている。

しかも、藤芝が言うようになんか距離感がおかしい。兄妹というよりは恋人っぽい。雰囲気は似てるけど血は繋がっているのだろうか?この二人の関係はどこまで物語に関わってくるのだろう。

自分より弱い人間を作る飯塚

『生き抜くためには自分より弱い者が必要』という信条を語った飯塚。ドヤ顔も相まってなんかムカつくな、コイツ。しかし真理でもある。猿は優先順位なく、弱い者から殺戮している。だから負傷者と一緒にいた方が逃げられる可能性は高い。計算高いな飯塚。

そして、もう一つの意味で『自分より弱い者』…藤芝を手放さない。常にコントロールできるところに藤芝を置いておき、今後も上手いこと使っていくのだろう。藤芝も意思は弱いものの、悪い子ではないから、飯塚の真意に気付いて欲しいな…難しそうだけど。八木兄妹ほどの不気味さはないものの、飯塚も十分に怖い人間だ。

まとめ~早乙女の追放、八木兄妹の登場、社員の分裂と話が大きく動いた3巻

この3巻では死者は出なかったものの(長谷川部長は生死不明か?)、主人公の早乙女が皆から追放されたり、八木兄妹という外部の人間が現れ、宮田達が安斎達から離反する等話が大きく動いた。そして宮田達のピンチに主人公らしく駆け付けた早乙女。猿との決着はなるのか?次巻の記事も追って書いていきたい。

次の巻はこちら→【漫画】モンキーピーク4巻【感想・ネタバレ・考察】精神的に追い詰められ疑心暗鬼に陥る社員達~そして新たな犠牲者が

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