【漫画】モンキーピーク4巻【感想・ネタバレ・考察】精神的に追い詰められ疑心暗鬼に陥る社員達~そして新たな犠牲者が…

モンキーピーク4巻 表紙

前巻までのあらすじ…レクリエーションとして『しらび山』に登山しにやって来た藤谷製薬の40人の社員達。しかし、ナタや弓を持った『猿』に襲われ、次々と殺害され、遂には社長まで命を落としてしまう。生き残った社員達は山小屋で救助が来るのを待っていたが、そこで営業部長の氷室が『猿』の仕業に見せ掛けて経理の辻を殺害したことが発覚したことをきっかけに、社員達は対立を深めていく。更に、そんな山小屋に一般登山者の八木兄妹がやってきて、世間では藤谷製薬の社員達が戻って来ていないことが知られていないこと…救助隊が来ていないことが発覚する。絶望する社員達は、山小屋を出て下山を目指すものと、山小屋で救助を待ち続けるものとで分裂してしまうのであった。

社員達の早乙女への態度に失望した宮田は林、岡島、長谷川部長と共に下山を目指すが、猿に追跡され襲撃を受けてしまう。そのピンチに駆け付けたのは、猿と一緒に崖から落ちたものの、生き延びていた早乙女だった…。

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→モンキーピーク、登場人物・キャラクター最新まとめ~wikiより詳しく、ネタバレあり

前巻の記事はこちら
【漫画】モンキーピーク3巻【感想・ネタバレ・考察】追放される早乙女~八木兄妹登場、そして分裂する社員達

最新刊・最終巻の記事はこちら
【漫画】モンキーピーク12巻・最新刊・最終巻【感想・ネタバレ・考察】岩砕山山頂…ラスト生き残るのは?そして結末は…真のヒロインは佐藤さん

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Contents

4巻時点での生き残り

山小屋を出て、カニ歩きにいる社員達

早乙女稜(主人公)…営業23歳 一度は猿の仲間だと疑われ安斎達に拷問にかけられたのち、山小屋から追放された。その後猿との死闘の果て、崖下に転落するも、奇跡的に無傷で、田中と共に再び山小屋を目指す。しかし、途中で山小屋を出て下山を目指す宮田達が猿に追跡されていることを悟り、再び下山して宮田達を追いかけ、彼らが猿に襲われている現場に駆け付ける。

宮田…営業23歳 早乙女の中学生時代の同級生で友人。早乙女の無実を信じている。社員達の早乙女への態度に失望し、山小屋を出て下山することを目指す。上司である氷室に騙され、一人スーツに革靴で山に来てしまったため、右足の親指と人差し指の爪が剥がれてしまうなど下山中次第に消耗していく。現在、カニ歩きで猿に襲われている。

林…庶務21歳 茶髪ボブヘアーの女性。穏やかで誰にでも優しいが芯が強い。早乙女のことを信じている。 宮田と共に山小屋を出た。

岡島…開発室B27歳 運動が苦手で臆病。宮田と共に山小屋を出た。

長谷川人事部長…50歳 登山に詳しく、皆を支える人格者。宮田と共に山小屋を出たが、カニ歩きで猿の襲撃に遭い、姿を消し現在行方不明に。

山小屋で救助を待つ社員達

安斎…法務34歳 殺害された社長に代わり皆をまとめるが、拷問等の非情な手段を取る。アメフトをやっており、体格がいい。

佐藤…経理31歳 黒髪ロングヘアーの女性。自分にも他人にも厳しい。

遠野…開発室A28歳 眼鏡で小柄。知識が豊富

氷室…営業部長43歳 猿の仕業に見せて経理の辻を殺害。安斎に拷問に掛けられるも、猿と早乙女に指示されたと嘘を吐く。激しい拷問の結果左足の小指と薬指を失っている。現在も拘束されている。

飯塚…開発室A26歳 藤芝と『同盟』を結び、彼女を使って早乙女を陥れる。早乙女への拷問にも加わる。

藤柴…庶務24歳 お団子頭の女性。飯塚と『同盟』を結んでおり、不本意ながら早乙女を陥れることになる。本当は宮田達と共に下山したかったのだが、飯塚に止められてしまう。

南…開発室B32歳 早乙女を嫌っており、早乙女への拷問に積極的に参加した。右腕を骨折している。

黒木…開発室Bリーダー45歳 早乙女への拷問に積極的に参加した。右足を骨折している。

田中…開発室Aリーダー48歳 矢ノ口落としの下で待機中、猿に襲撃され、以降行方不明になっていた。滑落し遭難していたところを、猿との死闘で崖から落ちてきた早乙女と合流。その後、二人で社員達がいる山小屋を目指す。途中で宮田達を追って再び下山することとなった早乙女から山小屋の社員達に向けたある伝言を託される。

八木兄妹

八木満と八木薫という登山家の兄妹。偶然山小屋を訪れ、社員達に『藤谷製薬の社員達が行方不明になっているというニュースは無い』と告げる。携帯電話(衛星電話)を持っていたが、氷室に奪われ、崖下に落とされてしまう。
愛想が良く、下山を目指す宮田にランタンを貸し助言をする一方、死体を興味深そうに眺めたり、社員達に降りかかる非常事態を傍観する等ドライな態度を取り続ける。異様に兄妹間の距離が近く、藤柴からは『普通の兄妹ではない』と言われている。夜明けを待って、宮田達を追う形で下山する予定。

以下、あらすじ・ネタバレ

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第31話 カニ歩き②~自分の命と岡島の命…一瞬迷った宮田、そして猿に渾身の一撃を加えた早乙女

3日目の夕方、中岳小屋に辿り着いた田中。田中が生きていたことに驚く社員達。『水…』と呻く田中に安斎は炭酸飲料を飲ませてやる。そして、今までの経緯を語る田中の話から早乙女が生きていることを知り、社員達はまた驚くのであった。早乙女が宮田達を追っていったと聞いた佐藤は『無事に宮田達は三ツ倉小屋に着けたかな』と窓の外を見て呟く。すると、それを聞いた八木兄妹は『彼らは難所の通称“カニ歩き”にいるだろう』と語った。崖に貼り付いて横歩きしなければならないそこは三ツ倉小屋までのコース一番の難所だと笑うのであった。

その“カニ歩き”では今、早乙女と猿がにらみ合い、それを宮田と林が固唾を飲んで見守っていた。岡島はなんとか鎖にしがみついているものの、滑落する寸前である。

早乙女が生きていたことを喜ぶ宮田と林。早乙女は共に滑落したものの生き延びた猿に『もう逃がさない』と言い、宮田と挟み撃ちにしようとする。

すると、猿は岡島が掴んでいる鎖に飛び移る。そして、そのまま下方、岡島のいる方へ移動していく猿。『来るなー!』と絶叫する岡島。猿は下の足場に移り、そこで岡島を殺すつもりなのだ。

しかし、宮田は猿が鎖に飛び付いた勢いで、最後の一本となった楔が岩から抜けそうになっていることに気付く。このままポールが抜ければ猿は鎖を掴んだまま滑落死するだろう。しかし…

でも…その時は岡島さんも死ぬ!!そして、俺は助かる

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 19/209

その時、楔が岩から抜けた。一瞬迷った宮田は…楔を掴んで猿と岡島を支えるのであった。林と早乙女もそれに加勢する。

しかし、この後どうするべきか迷う三人。猿に投石しようにも下手をすれば岡島に当たってしまう。『猿をせっかく追い詰めたのに逃がすしかないのか』と悔しく思う早乙女だったが、あることを思いつき、下方にいる岡島に『崖に貼り付いて!』と呼びかけた。そして、早乙女は自身の上着に石を詰め、鎖に結んで猿に投げつける。石は鎖に掴まっていた猿にぶつかった。

第32話 カニ歩き③~体勢を立て直し再び襲ってくる猿、皆を鎖で支える宮田は岡島と猿を引っ張り上げることを決意する

見事、石は猿に命中した。猿は石と一緒に落ちていく。岩に貼り付いていた岡島は悲鳴を上げるも巻き込まれずに済む。しかし、猿は転落する途中で鎖を掴み、体勢を立て直し再び崖に貼り付いた。岡島の下方で崖にしがみ付く猿はその眼を早乙女達に向ける。『なんて奴だ』と唖然とする宮田。猿はすごい速さで岡島の方に向かって這い上がって来る。

宮田に『まだ大丈夫か』と尋ねた早乙女。宮田は早乙女の意図を察し、体に鎖を巻き付けて言う

「行けサッチー!!死んでもこの鎖は離さねぇ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 34/209

宮田が支える鎖を掴んで岩場を降りていく早乙女。猿を恐れて揺れ動く岡島、そして上ってくる猿。三人分の体重をその身に受けて呻く宮田。猿は激しく鎖を揺らし始める。

「コイツまさか…」
「このまま俺達を道連れにガケ下に落ちる気か!?」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 38-39/209

猿の意図に気付いた早乙女。鎖にぶら下がり揺らし続ける猿、そしてパニックを起こす岡島。鎖に締め付けられる宮田は苦しみながらも『離さねえ』と叫び続ける。

『このままでは宮田が持たず全滅する』そう考えた早乙女はイチかバチか、鎖から少し離れた岩場に飛びついた。無事落ちることなく岩場に移動できた早乙女。鎖に掴まる岡島と猿を見て飛び蹴りを入れられるか否か悩む。すると、そんな早乙女に宮田が『余計なことを考えるな、俺に任せろ』と叫んだ。そして、立ち上がり鎖を引っ張り上げ叫ぶのだ。

「猿ごとここまで引き上げてやらぁああ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 46/209

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第33話 カニ歩き④~皆を助けるため、自ら猿と落ちる道を選んだ岡島

岡島と猿を鎖で引っ張り上げようとする宮田。しかし、早乙女は『ムチャだ!』と叫ぶ。猿が弱っているからか、鎖はわずかに引きあがるが、岡島は完全にぶら下がった状態だ。早乙女は岡島に『宮田がもたないから崖に乗り移ってくれ』と言うも、臆病な岡島は『無理』『コワイ』と叫ぶ。仕方なく早乙女は岡島の方に向かって直接助けに行こうとするも、岡島のところに向かうルートが見当たらない。そして宮田の体力も尽きようとしていた。

また、岡島も手に力が入らなくなっていく。泣き叫ぶ岡島。心の底から思うのであった。

誰か、ボクを助けて

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 53/209

…『嫌です』そう言ったのは小学校の同級生の女子だ。体育の授業、岡島と同じチームになると勝てなくなるから嫌だと担任に言う。皆、『こんなデブ嫌だ』と岡島を押し付け合っていた。中学時代はパシリにされ、高校時代は『ブタ島』と罵られ一人でトイレの個室で弁当を食べる日々が続いた。『今まで誰も助けてくれなかった』そう思っていた岡島。しかし、ふと気が付く。今、目の前にいる早乙女、そして鎖で支えてくれている宮田と林は懸命に自分を助けようとしてくれているのだと。

そして、そんな人達が今、自分を助けるために危険な目に遭っており、このままでは自分のせいで死んでしまうのだとハッキリと意識した岡島。

「それだけはイヤだ――っ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 58/209

そう叫び、懸命に岩を掴んだ岡島。しかし、その岩は不安定だった。岡島が掴んだ岩の不安定さに気付いた早乙女は『早くこっちへ』と岡島に手を伸ばす。しかし、岡島は急に静かになって目の前の岩を見つめている。『まさか…』と思う早乙女。

次の瞬間から岡島は叫びながら自身の掴まる岩を揺らして剥がし始める。岡島は岩を剥がして猿と共に落ちるつもりなのだ。

「悪い猿めぇ~~っ」
「あっち行けえ~~っ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 60-61/209

岩が剥がれ、落ちるその刹那、岡島は涙を流しながら笑っていた。そして一瞬早乙女に対して手を上げ、猿に岩をぶつけ一緒に崖下に消えていくのであった。

響く轟音、崖の上にいた宮田、林は支えていた猿と岡島が落ちて、その反動で後ろにひっくり返ってしまうが、一体何が起きたか分からなかった。『岡島さんは!?』と早乙女に尋ねる林。早乙女は涙を浮かべて『ちくしょう』た叫んだ。崖下には岩に潰された岡島と猿の死体があった…。

第34話 カニ歩き⑤~岡島の死に涙を流す早乙女、一方中岳小屋では新たな問題が勃発する

岡島と猿が岩と共に落ちた音は中岳小屋にまで響いていた。『守れなかった、死なせてしまった』と叫び、自身を責める早乙女。猿は元々早乙女と中岳小屋の崖から落ちた時に深手を負っていた。だから自分達のうちの誰かを道連れに死ぬ気だったのだ。『防げたはずだった』と早乙女は繰り返す。するとそんな早乙女に林は涙ぐみながらも言う。

「あなたは誰よりも戦った…そんなに自分を責めないで」
「早乙女君…おかえりなさい」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 70/209

林の言葉に救われた早乙女。小さく『ただいま』と答えるのであった。そして、辺りはすっかり暗く寒くなっていくのであった。

その頃、中岳小屋でも社員達は寒さに震えていた。喉の渇きを訴える南に、安斎は次の配給を待つように言う。飲み物は炭酸飲料のペットボトル3本弱しか残っていなかった。

中岳小屋でほとんど飲み物も飲まず、しかも裸足でいる早乙女のことを心配する藤芝と佐藤。『裸足』と聞いた八木兄は『それはダメだな。今夜は氷点下の予想だから』と言うのであった。

三ツ倉小屋に向かおうとする早乙女、宮田、林だったが、暗くなり道が分からなくなってしまう。ライトも無く、風も急激に冷たくなり、三人は風をしのげる場所を探し座り込んだ。

そこで、早乙女は『カニ歩きで最後尾を歩いていた長谷川部長が猿の襲撃の際、行方不明になった』と聞き、呆然とする。『俺が足手まといになったからだ』と泣き出す宮田。

長谷川部長の優しさを思い出す早乙女。以前、宮田と共に長谷川部長に飲みに連れていってもらった早乙女は『何故自分を採用したのか』と尋ねた。早乙女は愛想良く振る舞えず、薬のこともなかなか覚えられずにいられた。しかし、そんな早乙女に長谷川部長は『今のままでいい』と言ってくれたのだ。

「お前は人に信頼される男だ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 78/209

その時のことを思い出し『ちくしょう』と涙をこぼした早乙女。宮田は『ライトも水も全て長谷川部長が持っていたので、自分達は何も持っていない』と早乙女に説明する。『せっかく岡島さんが猿を殺してくれたのに』『俺達はこの夜を越せるのか』…そう宮田は不安げに言うのであった。

一方、中岳小屋の前で見張りをしていた安斎。定めた水の配分の時間になったため、横になっていた社員達を起こし水を配ろうとする。しかし、そこで安斎は炭酸飲料のペットボトル(空いていたもの)が一本無くなっていることに気付く。

『盗んだのは誰だ?』『今名乗り出れば許す』そう社員達を見回して言う安斎。しかし、名乗り出る者はなく、南は『もう猿は死んだのだからそこまで神経質にならなくても良いのでは』と言う。

しかし、安斎は『猿はまだいる』と皆に告げる。早乙女が田中に託した伝言は『猿はまだ生きている』というものだったのだ。田中は『伝言はもう一つある』と言おうとするが、安斎は『それは今はいい』と制止する。

『猿がまだ生きていて、いつ襲撃を受けてもおかしくない状況下、皆の一層の団結と献身が求められる』…そう皆に向かって言う安斎。炭酸飲料を盗んだ者を目撃したものはいないかと問うが誰も答えられない。

すると安斎は八木兄妹に突然外の見張りを頼む。『明日、朝早いから』と断ろうとする八木兄妹。しかし、安斎から『これから起こることを見ない方がいい』と言われると、黙って外に出ていった。二人が出たのを確認した安斎は上着を脱ぎ、拳を鳴らし、社員達に言う。

「…さて」
「“団結”と“献身”だ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 86/209

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第35話 凍える夜①~また拷問を行う安斎…その相手は…、そしてあることを告白する宮田

『もう一度だけ聞く』そう改めて飲み物を盗んだのは誰か社員達に問う安斎。しかし、誰も名乗り出ないため、『全員の荷物検査をする』と言い出す。『プライバシーの侵害でやり過ぎだ』と反対する佐藤。しかし、安斎は『個人を尊重している場合ではない』といい放つ。残った炭酸飲料は計1Lで、9人いる社員で、これだけで明後日まで凌ぐのは厳しいのだ。

すると、壁際で縛られ転がされていた氷室が突然声を上げた。

「俺…見てたぜ、犯人」
「見てたぞ佐藤ォ~」
「お前がペットボトルを盗むのなぁ~」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 90-91/209

氷室のその言葉にどよめく社員達。『デタラメ言わないで』『ウソツキの殺人者』と言い返す佐藤。しかし、氷室は『全部話す。猿の仲間は佐藤』『佐藤のリュックを調べれば分かる』と言う。

『猿の仲間なのか』と佐藤を睨み付ける安斎。佐藤は無実を証明するために自身のリュックを開け、困惑する。佐藤のリュックの中には炭酸飲料のペットボトルが入っていた。

慌ててリュックを背後に隠した佐藤。しかし、そんな佐藤に他の社員達は何とも言えない眼差しを向ける。すると、佐藤は田中が挙動不審であることに気付き、田中に飛び掛かる。

「田中ーっ」
「あんたが入れたんでしょ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 96/209

田中を揺さぶる佐藤を引き離す安斎。佐藤は『田中が自分のリュックのそばにずっとおり、ハメたに違いない』と叫ぶ。安斎は佐藤に『言い分があるなら聞く』と言う。しかし、同時に『男女の差別はしない』とも言い、その意味を理解した佐藤は恐怖に表情をひきつらせるのであった。

中岳小屋の外で見張りをしていた八木兄妹。『せっかく二人で縦走する予定だったのに』と拗ねる妹。しかし、兄は仕方がないと答え、笑って言う。

「今夜は“猿”…来るかなあ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 98/209

その言葉に妹も微笑むのであった。

一方、その頃岩場の陰で風をしのいでいた早乙女、宮田、林。強烈な寒さに、特に宮田の衰弱が激しい。『自分はもうダメだ』と弱気になる宮田。上手く手を動かせなくなっていた。『スーツを着てきた自分が悪い』と言う宮田に『騙した氷室が悪い』と慰める早乙女。しかし、宮田は告白するのであった。

宮田の上司、営業部長だった氷室は宮田に対してミスを押し付け、取引先の前で頭から水を掛けるといった屈辱的な仕打ちをしていた。普段からも嫌味ばかりを言う。今回の登山で『スーツで来い』と氷室に言われたとき、宮田はそれが嘘と分かっていながら、氷室の評判を下げ、同情を集めるため、わざと騙されたのだ。

『こんな自分は死んで当然』とまで言う宮田。上着を失った早乙女に『自分の服を着て生き延びろ』と言った。

しかし、宮田のその発言に早乙女は怒り、宮田の襟元を掴んで『ばか野郎』と叫ぶ。

「まだ生きてんだろうがお前!!」
「これぐらいの寒さ何だ!!」
「生き残るんだ!!あきらめるな!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 105/209

その頃、中岳小屋では佐藤が小屋の柱に縛り付けられていた。他の社員達が見守るなか、安斎は佐藤に言う。

「今から拷問するからな」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 106/209

第36話 凍える夜②~縛り付けられる佐藤、拷問するよう強いられる藤柴

水泥棒の疑惑を掛けられ、柱に縛り付けられた佐藤。『佐藤が水泥棒だ!』と叫ぶ氷室に『ウソツキヤロウ!!』と叫び返す佐藤だったが、南からも『何かと班長だからと主導権を取りたがっていたのは、企みがあったからではないか、猿の仲間だろ!』と言われてしまう。

その様子を怯えながら見ている藤柴は『これも飯塚が仕組んだことなのではないか』と疑うも、何も言い出すことができない。そして、そんな藤柴の様子を安斎は見逃していなかった。

『拷問って何をするんだ?』と怯えながら尋ねる田中。田中は皆からはぐれて遭難していたため、氷室や早乙女が安斎から凄惨な拷問を受けたことを知らないのだ。

自身の指2本も切断された足を見せ、『安斎はイカれてる』と田中に言う氷室。それを見て田中は震え上がるのであった。

『誰かがやらなければならない、悪く思うなよ』…そう言って佐藤に近付く安斎。佐藤は恐怖に目を見開き、『待って、分かったから…』と叫ぶ。そして『何か話す気になったのか?』と尋ねる安斎に向かって言った。

「藤柴だ!!藤柴が水泥棒だわ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 112/209

突然自分に矛先が向き驚く藤柴。佐藤は『藤柴が隠れてジュースを飲んだと告発したが本当かも分からない。早乙女は隠れてジュースを飲む人間ではない』『早乙女は猿の仲間ではなかった』『藤柴こそ猿の仲間だ』と捲し立てる。

皆に見つめられるなか反論出来ず、たじろぐ藤柴。飯塚に目で助けを求めるも、目を逸らされてしまう。そして、安斎からも『さっきずっとうつむいていたのはやましいことがあるからか?』と言われてしまう。すると、そのとき、

「藤柴はないんじゃないかな」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 114/209

ずっと黙っていた飯塚が口を開いた。『藤柴はずっとここにいた』『早乙女は確かに猿の仲間ではないと思うが、信用はできないと思う』そう言って藤柴を庇うのであった。

胸を撫で下ろす藤柴であったが、今度は安斎から『お前が佐藤に質問し、殴れ』とシャベルを差し出されてしまう。その発言に固まる藤柴と佐藤。安斎は再び『団結と献身』と言い、藤柴に猿と戦う闘志を見せるように迫る。そして、震えてシャベルを受け取らない藤柴に『お前達はグルなのか』と凄む。後ろで聞いていた南も『二人で疑われないように藤柴と佐藤が言い争った可能性がある』と皆の不安を煽るような物言いをする。

『違う』と必死に否定する藤柴は『やれ』と安斎に迫られ、『わー』と叫びながら睨み付ける佐藤の額をスコップで殴るのであった。

殴られた佐藤は額から血を流し怒りと憎しみに顔を歪める。

「ふじ…っしっば~~~っ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 114/209

佐藤のあまりの剣幕に藤柴は悲鳴を上げ、スコップを取り落とし、うずくまる。そして、『できないよー!』と泣き出してしまうのであった。安斎はその様子を見て、『仕方がない』と言い、黙ってみていた遠野の名前を呼ぶ。

その頃、外のベンチに寄り添って座っていた八木兄妹は一段と寒くなってくる中で、『早く中に入れてほしい』と不満を漏らしていた。その時、妹の薫は屋根の方から物音がしたような気がしたが、兄の満は風だろうと言うのであった。

そして、中岳小屋の中では、今度は遠野が安斎にスコップを持たされていた。震えながらも『自分だけ何もしないわけにはいかない』『猿の情報を手に入れるためならなんでもする』と自分に言い聞かせながら、怯える佐藤に近付いていく。

そのとき、背後から聞こえた物音に振り向いた遠野。そこにはナタを持った猿が階段を下りてくる姿があった…。

第37話 凍える夜③~突如2階から現れたナタの猿、さらに槍の猿も…

突如、山小屋の2階から姿を表したナタを持った猿。社員達は悲鳴を上げパニックになる。特に柱に縛り付けられている佐藤は『縄をほどいて』と絶叫する。

遠野からスコップを奪い取り、猿へ殴りかかる安斎。猿はナタでスコップを防ごうとするも、安斎に押され追い詰められていく。『安斎さんスゲエ』と喜ぶ南。しかし、安斎はそんな南達を横目で見て叫んだ。

「みんなも武器を取れ、戦うんだ!!」
「全員でかかれば勝てる!!」
「今がチャンスだぞ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 133/209

しかし、社員達は安斎のその言葉に戸惑い、誰も前に出ようとはしない。佐藤は相変わらず『縄を早くほどいて』と叫び続けていたが、ほどきに来るものはいない。遠野は小さなシャベルを握りしめてはいるものの、恐怖から動けない。

すると、騒ぎを聞き付けた八木兄妹が山小屋の中に入ってきた。そして、猿を見た八木兄妹は驚愕し、歓喜の笑みを浮かべる。

『これが猿!?やっと…』以前山頂に猿の影を見たことのある二人。

「やっぱりあれは見間違えじゃなかったんだ」「薫!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 135/209

そう興奮して笑いながら言い、妹、薫の方を振り返った兄の満。しかし、それに答えようとした薫の左胸を刃物が貫通していた。

倒れる八木妹。すると、その後ろから、もう一匹、槍を持った猿がやってくる。

早乙女が田中に託した伝言は2つあった。一つは『猿は死んでいない』ということ。もう一つは、

猿は一匹じゃない

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 138/209

悲鳴を上げ2階へ逃げる南。すると他の社員達もそれに続く。『ほどけー、ちくしょーっ』と泣き叫ぶ佐藤。胸から血を流し、また口からも吐血する妹に『しっかりしろ、薫』と呼び掛ける八木兄。安斎も猿が2匹に増えてしまったことから、迂闊に動けなくなり戸惑う。

すると、槍を持った猿が、右足を骨折していて逃げ遅れてしまった黒木に向かって行く。『待て』と叫ぶ安斎。しかし、猿がそれを聞き入れる訳もなく、槍の猿は黒木の左胸を槍で貫く。断末魔の叫びを上げる黒木。その叫びは二階に逃げた社員達を恐怖させる。そして、黒木はそのまま事切れた。

呻く安斎。そのまま猿二匹は後退りし、山小屋の出入口に向かって行く。出入口のそばでは、八木兄が妹を抱きかかえていたが、睨み付ける八木兄に猿達は手を出さない。

そのまま逃げていった猿2匹。八木妹は泣きながら『寒い』と言うとそのまま絶命してしまう。

「ダメだ――っ」
「薫――っ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 145/209

八木兄の絶叫が響き渡る中岳小屋。スコップを握ったまま立ち尽くす安斎。転がる黒木の死体。小屋の外では強風が吹き荒れていた。

第38話 凍える夜④~水泥棒の真の犯人は…全てを話した氷室

「このっ根性なしがああっ」
「お前らが戦えば勝てたんだーっ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 148-149/209

そう叫びながら逃げた社員を一人ずつ殴り倒す安斎。黒木に八木妹、二人も犠牲者が出てしまった。『献身の心がない』『戦っていたのは俺一人だった』と怒り狂う安斎。

また、まだ縛り付けられている佐藤もまた、怒鳴り散らす。特に自分を拷問するよう遠野に対してだ。『猿の情報を得るためなら何でもすると私を拷問する気だったくせに、猿が来たら逃げてるんじゃねーか』『理系の坊っちゃんがイキがりやがって』…そう遠野を罵倒する佐藤。そして、

「誰一人私のロープをほどいてくれなかった…」
「絶対に許さないからね…っ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 151/209

そう歯を食い縛って泣くのであった。

そんな中、安斎は氷室に『取引』を提案する。このままだと猿が何匹いるかも分からず対策も立てられず、佐藤の件も解決しないからだ。

『やった事知っている事全て話せば縄をとき、炭酸飲料一本やったうえで逃がしてやる』『そして告白したことを警察には言わないと約束する』『ただしウソをつき説得力のない話をしたら朝まで時間をかけて殺す』

そう言う安斎の提案を氷室も他の社員達も受け入れた。

まず『猿は何匹いるのか』と氷室に尋ねる安斎。すると氷室は『猿の仲間ではない』と答える。そして、凄む安斎に氷室は意外な告白をする。

「辻を殺したのは俺だ…」
「辻のヤツ、俺をゆすってたんだよ!!」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 156/211

営業部長であった氷室は接待交際費の一部を私的に流用していた。それを経理の辻に気づかれ金を要求されていたため、今回の騒動をチャンスと考え、猿の仕業と見せ掛けて辻を殺害したのだ。昨日の夜、裏口を開けようとしたのは、辻と同じ経理である佐藤を殺そうとしたためだと言う。佐藤が辻から接待費流用の話を聞いているかもしれないと考えていたのだ。

『安斎が佐藤を拷問して殺してくれたらラッキーだ』と考えて佐藤を水泥棒に仕立てたと明かす氷室。そして言うのだった。

「水泥棒は佐藤じゃない。本当の犯人は―」
「田中だ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 159/209

やっぱり…と田中を睨む佐藤。田中は『許してくれ』と叫び佐藤に土下座する。山小屋に来たばかりの田中は水がこんなに貴重だと知らなかったのだと言う。皆が凄い勢いで犯人探しをし始め、怖くなったためつい、佐藤のリュックに炭酸飲料を入れてしまったのだと語る。そして、佐藤を拷問をしようとする安斎を見て尚更名乗り出ることが出来なくなったのだ。

氷室と田中の話をつじつまが合うと判断した安斎は田中に佐藤の拘束を解かせる。その様子を見て『氷室は猿の仲間じゃなかったんだ』と胸を撫で下ろす藤柴。しかし、傍らの飯塚は『最悪』と呟く。『結局猿の情報は何も手に入らず、この中に猿の仲間がいるかもしれないという状態が続いている』と言う飯塚。そして、外では八木兄…満が社員達の死体と共に並べられた、妹の薫の死体を見つめ、涙を流し続けていた。

そして、その頃早乙女、宮田、林は吹き荒ぶ寒風に苦しんでいた。三人でくっつき合うも、寒さから徐々に体の感覚を失っていく。『このままでは凍傷になるから指を動かすように』と宮田と林に言う早乙女。しかし、そう言う早乙女は裸足なのであった…。

第39話 凍える夜⑤~凍傷を負ってしまう早乙女、一方山小屋の社員達は下山を目指すこととなる

岩場の陰で寒風をしのぐ早乙女、宮田、林。しかし、宮田の意識が朦朧とし始める。体感温度は1mで1度下がると聞いたことがある早乙女。更に標高が100m上がると気温は0.6度下がると林に言う。今この場は標高2500m、風は10m以上であると推測する。

「気温で15度、風で10度」
「地上と比べて体感温度で25度以上下がっているはず…」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 169/209

今の時期の東京の最低気温は10度…それよりも25度低い…林は早乙女の説明に愕然とする。早乙女と林は宮田を守るためにも風よけの石を増やすのであった。

早乙女に『何故山小屋に戻らずこちらに来たのか』と尋ねる林。早乙女が『猿に追われているかもしれないと思った』と答えると『助けに来てくれたんだ』と林は涙ぐむ。『助けるなんて考えちゃいない』と返した早乙女は『猿は一匹じゃない』と林に告げた。

度々猿と戦っている早乙女は弓の猿とガケにダイブした際、ナタの猿より体が細いことに気付いたのだ。早乙女の言葉に『じゃあ猿は何匹いるの?』と叫ぶ林。早乙女は山小屋には田中に伝言を頼んでいると語り、『もっと早く林達に追いつき伝えられていれば長谷川と岡島が命を落とさずに済んだかもしれない』と悔いる。すると、林はハッと目を見開き、早乙女に言う。

「…早乙女君…裸足…だったよね!?」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 173/209

早乙女の岩石に傷付いた足は長らく冷風を浴び続けていた。林の発言を受けて自身の足を触り確認する早乙女。しばしの沈黙の後、『大丈夫』と笑って見せるが、林は『ウソが下手だ』と悲しそうに応えた。そんな林に早乙女は正直に足の感覚が全くないことを告げた。慌てて山小屋に戻ることを提案する林であったが、既に暗いうえ、宮田を動かすことはできない。

『足の指くらいで死なない』『今は3人で生き残ることを考えよう』と言う早乙女に林はタオルを足に巻くようにと差し出す。タオルを林からもらった早乙女は『ションベン』と言って林達から離れる。そしてこっそり、もらったタオルに自身の小便を染み込ませ、絞って飲むのであった。自身の小便の臭さに震撼する早乙女。しかし、タオルを足に巻くより、こうした方が体が暖まると判断したのだ。そして、これは24時間ぶりの飲み物だった。こんな行為をする自分を『彼女ができないわけだ』と自嘲するも、早乙女は『これでまだ生きられる』と気合を入れ、宮田と林を絶対に守ると誓うのであった。

その頃、中岳小屋内の社員達も寒さに震えていた。『長谷川さんたちは無事に三ツ倉小屋に着いているよね』と横で寝ている飯塚に不安げに尋ねる藤柴。しかし、それを聞いた安斎は『期待はできない』と言う。『猿が複数いると分かった今、救助は来ないものだと考えるべきだ』『長谷川さん達も襲われただろう』と主張する安斎。水も食料も底を突き、助けは来ないのに猿はまたやって来る。そして一人二人と死んでいく…『このままではゆるやかに全滅する』と安斎は皆に言う。そして、『あることを決めた』と宣言する。

すると、小屋の中に戻ってきた八木兄も『賛成です』と言う。

「皆で下山しましょう」
「”強行突破”だ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 186/209

驚く社員達に凄まじい笑みを浮かべ、八木はそう言うのであった。

第40話 四日目①~助けを求めるために姿を消してしまった宮田…そして、早乙女達の前に現れたのは…

時刻は4日目の午前3時を過ぎた。早乙女達のいる中岳と三ツ倉山の中間点は標高2577mで、気温は-2.7度、風速は12m…早乙女の推測通り、体感気温は-14.7度であった。宮田と林と抱き合い、励ます早乙女は父のことを思い出していた。

岩砕山登山中、早乙女に山の景色の良さを語る父。早乙女は『興味ない』と言うが、父は『見たことのない景色を見ることが人間の本能だ』と言った。そして、『これからも一緒に色んな所へ行こう』と笑ったのであった。

一瞬、意識を失っていた早乙女。飛び起きるといつの間にか宮田の上着を着ており、宮田の姿は無かった。早乙女は慌てて同じく意識を失って眠っていた林を叩き起こし、宮田がいないことを告げる。林は『宮田君は私達を助けるために出て行ったのではないか』と青ざめる。

林の予想通り、宮田は助けを呼ぶため、強い寒風の中震えながら前を進んでいた。しかし、体が思う様に動かず、すぐに倒れてしまった。遠のく意識の中、服を早乙女に着せることが出来たこと、足手まといの自分が早乙女、林の二人の側から離れたことに満足する宮田。

…もう俺は……ここまでで…いいか…眠い……

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 201/209

そう思い瞳を閉じた宮田。すると、その時、そんな宮田を明かりが照らす。

その頃、残された早乙女と林はただただ座り込むことしかできずにいた。眠ってしまい服を着せられたこと、宮田が去ったことに気付けなかったことを悔いる早乙女。林もまた早乙女に起こしてもらえなかったらあのまま死んでいたと涙ぐむ。『みんな消えていってしまう』と涙を浮かべる早乙女。だが、その時、林が遠くから灯りが近づいてくることに気付いた。

『オーイ』と呼びかけるその声が宮田であることに気付き、笑顔を浮かべた早乙女。戻ってきた宮田は『助けを呼びに行っていた』と消耗しきった顔で笑う。宮田は八木を連れて戻ってきたのだ。

林は八木にどうして来てくれたのかと尋ねる。すると八木は『誰か生き残っているかもしれないと思った』と答え、ここで野営をするという。そして、早乙女、宮田、林に言うのであった。

「それにしても若いのが生きててくれてよかった」
「猿を殺すのに人では多い方がいい」
「”反撃開始”ですよ」

モンキーピーク4巻 原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 207/209

八木の言葉に驚く早乙女達。

その頃、山の別の場所には3匹の猿が佇んでいた…。

以下、感想と考察

岡島の死に驚く

ここで岡島が死ぬとは思っていなかった。『足手まといキャラ』としてもう少し生き延びるものだと思っていたので、ビックリ。しかし、あまり良いところが無いキャラだったが、パニック映画でよくある、『臆病者が最期に勇気を出して皆を助ける』という、王道パターンを見事にやってのけた。

八木妹殺した辺り、猿は社員と一般人を区別しない!?区別できていない!?

そして、岡島の死以上に驚いたのは、八木兄妹の妹、薫が死亡した事。色々と怪しさ全開だった八木兄妹、絶対に何か裏にあると思っていたので、片割れの薫がここで死亡するのに驚く。

どう考えても、この猿による大量虐殺と、藤谷製薬が過去に起こしたとされる薬害事件は関係があるのだろうが、だとすると社員でない薫が殺されたのは何故だろう。猿たちは『とりあえず山にいる奴はみんな殺す』というスタンスなのか。それとも、社員と一般登山者だった薫を区別できなかったのか。

私は後者、『区別できなかった』と推測する。何故なら、八木妹を殺した槍の猿は背後から攻撃したうえ、退却する時、八木兄の顔を確認したうえ殺さないで去ったから。

…無関係な薫を殺してしまったことに気付いたとき、槍の猿は『あ…やべぇ』とか思ったのだろうか。

山小屋の水泥棒騒動

そしてこの4巻の見どころの一つは『水泥棒騒動』だろう。氷室、本当に嫌な奴だ。こいつと関わるとロクなことがない。何よりも佐藤さんが可哀そうすぎる。追い詰められた社員達の嫌なところが出てきた。今後ももっと『人間の醜さ・怖さ』的な展開が来るのだろうな…。

楽しみである。

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