『サファイア映像』を立ち上げた村西(山田孝之)とトシ(満島真之介)と川田(玉山鉄二)であったが、その知名度は低く、宿敵の池沢(石橋凌)の牽引するAV業界トップのポセイドン企画には遠く及ばなかった。人のありのままの姿を映したAVを作ろうと模索していた村西は、ポセイドン企画の専属女優だった南みく(川上奈々美)を使って、”本番行為”を撮る。その結果、出来上がった作品の評判は上々だったものの、池沢の怒りを買い、みくは見せしめのために逮捕。さらに『サファイア映像』に対して”女優の締め出し”を行う。作品を撮れなくなってしまった『サファイア映像』は倒産の危機に瀕してしまうのであった…。
一方、ディスコで偶然、村西とみくのやりとりを見ていた恵美(森田望智)は村西に興味を持ち、彼の名刺を拾い大事に隠し持っていた。潔癖で束縛してくる母の加代(小雪)が家庭のある男性と関係を持ち、自身を産んだことを知ってしまった恵美は人生の岐路に立つ。
前回の記事はこちら →【ドラマ】全裸監督4話「本物」【感想・ネタバレ・考察】リアルさを追及し”本番行為”を撮った村西…その代償は大きく…
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Contents
あらすじ・ネタバレ
池沢は『日本ビデオ規制委員会』を立ち上げ、更に村西達を締め付ける…そしてトシをヤクザの世界に誘う古谷
ポセイドン企画の社長、池沢は『日本ビデオ規制委員会』を立ち上げた。
『AVの世界に参入する業者が増え、モザイクを付けない等の違法な制作も増えてきている。モザイクの基準を定める等して本番をしなくて済む様、女優達を守っていかなければならない』集まった関係者達にそう熱弁を振るう池沢。
それを見守っていた武井(リリー・フランキー)は笑う。池沢のその主張は建前に過ぎず、規制委員会を盾にAV業界を都合よくコントロールし牛耳り、気に入らない業者を締め出そうというのが真の目的なのだ。
早速、池沢はビデオ委員会の会長として村西と川田を呼び出し、『サファイア映像のモザイクは規定より薄い』『作品を全て自主回収して作り直せ』と一方的に告げ、従わないとサファイア映像を委員会に加盟させないと言う。
そんなこと現実的に不可能で、委員会に加盟出来なくても構わないと村西達が言うと委員会は『委員会に加盟しないなら作品の流通をストップする』と脅しを掛ける。
脅しに屈せず立ち去った村西と川田。村西は『馬鹿げている』と憮然としていたが、川田は今後は委員会の声が主流になるだろうと見越し、警戒していた。
そして、トシはヤクザ古谷(國村準)の元を訪れていた。表向きは旅館であるそこではモザイクの無い、無修正の”裏ビデオ”が作られていた
みくの逮捕も武井と繋がっている池沢の仕業であったことを古谷の舎弟の藤原から聞かされたトシ。
『村西と川田が前線で頑張っているのだから俺も何か力になりたい』と古谷に訴えるのであった。
古谷はそんなトシに『表の世界は資本力を持つものが圧倒的に強いが、最後に勝つ奴はどんなやつだと思う?』と問いかけた。古谷の言わんとしていることが分からず困惑するトシ。すると古谷は後ろからトシの肩を掴み、言った。
「表も裏も牛耳ったもんだよ」
全裸監督5話 「開花」
「何で俺がお前をここに呼んだか、分かるか?」
暗に古谷からヤクザの世界に誘われている事に気付いたトシは怯え、その場から立ち去る。そんなトシを見送った古谷は『まだ早いか』と嗤うのであった。
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イタリア留学を夢見、そしてありのままの姿で生きることを望む恵美はついに村西の元へやってくる
母、加代に反対されたものの、恵美はまだイタリア留学を諦めた訳では無かった。図書館で留学費用を計算していた恵美は加代に黙って友人の家に泊めて貰った。翌日、無断外泊したことを咎めた母に、恵美は納屋で見つけたアルバムを突き付けた。
今まで父親のことを黙り隠し続けてきた加代は動揺しながらも恵美の父親が生きており、自身が妻子ある男性との間に恵美を設けたことを認めた。今まで誰よりも厳格で性的なものから恵美を遠ざけ、縛り付けてきた母親、加代。そんな加代こそが誰よりも”女”であったのだ。
「私もお母さんの様に好きに生きることにします」
全裸監督5話 「開花」
そう母親に宣言した恵美。そして、隠し持っていた村西の名刺を持って新宿歌舞伎町に向かい、サファイア映像の会社の場所を探していたところを偶然ヘアメイク担当の順子(伊藤沙莉)に声を掛けられた。
社内の円卓で騒がしく食事をしていたサファイア映像の社員達。そこに順子が恵美を連れて来る。
真面目そうで上品な佇まいの恵美に皆はここがどういう会社か分からないで映像やメイクを学びに来たお嬢さんだと思う。しかし、恵美が『出演を』と言ったため、みなビックリして食事の手を止めた(ラグビー (後藤剛範) だけは食べ続けてる…)。
とりあえず一緒に食べようと恵美を円卓に座らせるサファイア映像の社員達。手を洗おうとした恵美に構わないからと言う社員達は楽しそうで、恵美はそんな彼らに驚きながらもどこかホッとした表情を浮かべるのであった。
心が通じ合う村西と恵美~そして黒木香が誕生する
食後、村西は面接を通して深く恵美を知ろうとする。村西が何故ビデオに出演したいのかと問うと、恵美は『イタリアに留学したいから、その資金集め』と答え、更に言った。
「それと、本当の自分でいたくなったから」
全裸監督5話 「開花」
「自由で奔放で、もしかすると汚らしい自分です。ありのままを生きたいんです。どうしたらいいですか」
そう笑いながらも強く言う恵美。そんな恵美に村西は『君は男性に何をしてほしいのか』と尋ねた。『安心させて、抱きしめて欲しい』…そう恵美が答えると村西はその場で恵美を抱きしめ、撫でてやった。恵美はずっとこうして欲しかったと安心したような表情を浮かべ、二人はそのままキスし、絡みあっていく。
不意に村西が恵美に『好きな色はなんだ』と聞いた。そして『黒』と恵美が答えると村西は言った。
「今日から君は黒木…黒木香だ」
全裸監督5話 「開花」
名を与えられて喜ぶ恵美。『全てさらけ出すんだぞ』と言う村西に『それ以外に何があるのか』と逆に問う。そして、恵美は突然服を脱ぎ出し強い眼で村西を見て言う。
「ちゃんと見てくださいね」
全裸監督5話 「開花」
「これが私です」
恵美の両腋にはしっかりと腋毛が生えていた。
剃れば…というトシに『剃りたくありません』とハッキリ主張する恵美。村西はそんな恵美に『剃る必要はない、すごく素敵だ』と言い、嬉しいと感激した恵美は『私、今日から黒木香になります』と意気込むのであった。
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名作『SMぽいの好き』の撮影が始まる
村西は社員達に最高の準備を整える様に命じた。
恵美の持つ不思議な魅力について語り合う村西、トシ、川田。村西は日本ビデオ規制委員会が掲げるモザイクの規定について『敢えて乗ってやる』『バカが作ったルールをアイデアで乗り越えればいい』と言った。そして『目がダメなら耳だ』と、突然トシに笛を急いで用意する様に言う。困惑しながらもトシは笛を求めて歌舞伎町を駆けずり回る。
そんな中、村西は美しく化粧を施されベッドの前に来た恵美に2つ条件を課す。一つは『手の使い方』。情感は手に出ると語る村西は、恵美に決して手が死なないよう意識する様に注意する。
二つ目は『眼を閉じないこと』。恵美の眼が物語の全てであると村西は念押しし、この2つの条件さえ守れば感じたまま自由に動いて良いと言った。
そして監督である村西もパンツ一丁になりベッドの前にやって来た。
「お待たせしました、お待たせしすぎたのかもしれません」
全裸監督5話 「開花」
『監督自らが男優をするのは前代未聞だ』と言う川田に自信満々に『セールスマンをやっていたから人前で喋るのは得意だ』と語る村西。そこにトシが息を切らして戻ってくる。トシの手には怪しげな雑貨店で購入してきた小さなホラ貝の笛があった。
ホラ貝の笛を見て最高だと言った村西。笛を恵美に持たせると早速カメラを回し撮影を始める。
パンツ一丁の村西はホラ貝の笛を持った恵美…黒木香にセールス口調で『まあまあ感じてきたら1回、もっと感じてきたら2回、たまらなくなったら3回吹いて下さい』と語り掛ける。そして、黒木香にどのようにしてほしいか尋ねる。
『荒々しくしてほしい』と答えた黒木香。すると村西はその要望を叶え様子を実況していく。恥じらいを捨てて獣の様に乱れ笛を吹き続ける黒木香。社員達はその気迫に息を呑みながらも懸命に撮影していく。
当初は村西にエスコートされていた香であったが、次第に香の方が主導権を握っていく。『首を絞めて欲しい』等と村西により過激な要求をする香。それを見た川田は『まるでSMの様だ』と呟いたのであった。
そして撮影が終わった。疲れながらもいい絵が撮れて満足する社員達。しかし、香はまだ満足していないようでその様子に唖然とする社員達。村西も体に毒だと止めようとするが、なんとそのまま香にベッドに引きずり込まれてしまった。
化け物だ…そうドン引きしながらも社員達は再びカメラを回し始める。そうして撮影は夜通し続けられるのであった。
「得体のしれねーもんができちまったな(トシ)」
全裸監督5話 「開花」
「初めてですよ。こんなに女性主導の作品は(順子)」
「確かに。どっちかっていうと監督がヤられてますよね(三田村(柄本時生))」
「こんなビデオ見たことないです(ラグビー)」
出来上がった作品を見て各々がそう感想を述べる。それほどまでに恵美…黒木香のデビュー作は異質だったのだ。
ハード過ぎて売れないのではと心配するトシ。モザイクも規制委員会の規定に反さぬよう濃くしてある。それに対して『笛の音が効果的でかえって想像を掻き立てる』と川田は言う。この作品を高く評価した川田は『こいつで勝負を掛けましょう』と意気込むのであった。
規制委員会に乗り込み販売を中止するように訴える加代…委員会はこれを口実に黒木香の作品の流通を止め、サファイア映像は窮地に立たされる
母、加代が待つ家に帰宅した恵美。加代は恵美が性的な絵を描き綴っていたスケッチブックを突き付け怒るも、恵美は臆することなく『イタリア留学をする』と主張する。そして、『そんなお金は用意できない』と言う加代に『私初めて働いてきたの』と言い、アダルトビデオに出演したことを告げた。
それを聞いた加代はショックを受け、泣き出す。その様子に恵美は胸を痛めたものの、
「見たことない人に頼るんじゃなくて、自分の手で生きたいの」
全裸監督5話 「開花」
そう言い、後悔はしないのであった。
しかし、恵美がAVに出たこと、そしてそんな作品を作った村西達を許せない加代は日本ビデオ規制委員会に駆け込み、『娘は騙され洗脳された』と訴えるのであった。
そんなことになっているとは知らないトシは上機嫌でレンタルビデオ店メルヘンの店主(ピエール滝)の元を訪れていた。AV業界の興隆もあり、店舗数を増やし羽振りが良くなっている店主は自身もサファイアのファンだと語り、『委員会の規制さえクリアすればサファイアの作品を置く』と約束する。そんな店主にトシは良い作品が出来たと笑顔で告げるのであった。
しかし、その頃、会社の方には規制委員会の職員と加代がやってきていた。
村西に怒りをぶつける加代。規制委員会は『面接に来た日に撮影した』『それも監督自らが男優をした』という点が問題だと言い、
『今回の訴えをふまえ、我が日本ビデオ規制委員会ではは事実調査が終わるまでこの作品の販売は見送ることといたしました』…そう一方的に告げた。
『そんなバカな』と叫ぶ川田。サファイアは規制委員会に加盟すらしていないのにそんなことを言われる筋合いはないと主張する。
しかし、村西は素直に『分かりました作品は販売いたしません』と言い、加代に謝罪し、言った。
「今度はあなたがあの子を自由にしてください」
全裸監督5話 「開花」
しかし加代にはその言葉の意味が分からず、憤然としながら帰っていった。
村西は残っていた規制委員会の二人に『お前らに従ったわけではないと』と言った。すると規制委員会の職員は『おたくらこの先もどんどん追い込まれて行くからな』と脅して立ち去った。
そこに帰ってきたトシは事情を聞いて狼狽えるのであった。
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作品は販売店から全て返品…しかし、村西は恵美から勇気をもらう
そしてサファイア映像の作品は販売店から全て返品されてしまった。規制委員会が本格的に手を回したのだ。
『これから先は1円の売り上げも入らなくなる』と嘆く川田。他の社員達の士気も下がっていた。村西も流石に堪えた様子で『少し考える』と会社から出て行ってしまった。
向かった先は喫茶店だった。そこで恵美と密会した村西。恵美は『自分の母のせいだ』と落ち込んでいた。しかし村西は恵美や恵美の母、加代を非難することはなく、ただ恵美…黒木香を評価した。『今までの女性像を覆された』と。
「監督が扉を開けてくれたから、あの時自分を肯定できたんです」
全裸監督5話 「開花」
そう答えた恵美に、村西は『この仕事をする中で恵美との出会いが一番の幸運だった。君と出会えてよかった』と言った。そして、二人は静かに見つめ合う。
すると、これからどうするか決めていないという村西に恵美は『監督にはこれからもずっと良い作品を作って欲しい』と言った。その言葉に村西は励まされ立ち上がる。別れ際、喫茶店の戸口に立った村西はまたしても恵美と見つめ合った。そして、新たな構想を練るべく、会社へと戻るのであった。
ハワイで新しい作品を撮ると言い出した村西に『誇大妄想だ』と否定する川田…そのやりとりを見たトシは
恵美の言葉に励まされた村西は夜遅くまで新しい脚本を書き続けていた。
そんな村西に川田は『今回ばかりは現実を見なくてはならない』と告げるが、村西は何事もないかのような態度を取り続け、その上『ハワイで往年のポルノスターを使ってアクションとエロスが融合した作品を作る。飛行機も使う』と告げた。
すると耐えられなくなった川田は『いい加減にしてくれよ…』と絞り出すように言い大声を出した。
「狂ったのか…誇大妄想にも程がある」
全裸監督5話 「開花」
すると村西はハッキリと言い返す。
「俺は監督だ。俺が撮りたいものを撮る」
全裸監督5話 「開花」
立ち上がり、金はどうするんだと村西に詰め寄る川田。しかし、村西は机を叩き『私たちは新しい作品を作るしかない』と言い切る。
そんな村西に珍しく声を荒げる川田。川田だって村西を応援したい。しかし、『このまま村西の好きな様にしていればこのサファイア映像は間違いなく潰れる』と泣きそうになりながら村西に告げる。そしてなおも『いい作品を作りさえすれば絶対に潰れない』と主張する村西に『ただの現実逃避だ』と叫ぶ。
「やりたいようにやりゃいいんだよ。ハワイでも何でも、オッサンが好きなようにやりゃいいんだよ」
全裸監督5話 「開花」
そう言って村西と川田の言い争いを止めたのはタバコをふかしたトシであった。
「あんた(村西)がここの対象なんだからよ。おめえ(川田)は参謀らしく最後まで大将を支えろ」
全裸監督5話 「開花」
その言葉に川田は『次にこけたらサファイア映像はもうおしまいだ』と言いながらも、しぶしぶ村西の”ハワイ計画”を支えることにしたのであった。
ハワイでの作品の構想を社員達に説明する村西。本当にそんなことができるのかという順子達に村西は『今の俺達に出来ないことはない』と発破をかける。そして、『世界で大ヒットさせるアダルトビデオを作る』と豪語するのであった…。
以下、感想と考察
恵美…黒木香役の森田望智の体当たり過ぎる演技
今回の話の何が見どころって、やはり一番は黒木香役の森田望智の演技だろう。2~4話でも母親に束縛された優等生的な佇まいでありながら、その内に強い性への興味を持っている…というかなり難しくて際どい役を自然にこなしていた 森田望智。ここまででも、存在感があって凄いなと思っていたのだけど、今回の演技で…もうビックリ。まだ22歳というのがまた。
『なんかもう、もの凄い女優が出てきてしまった』としか言えない。色んな意味で山田孝之を食っていた。うわあっ。
トシと川田のスタンスの違いについて考える
そして、個人的に面白いと感じたのは北大神田書店時代から共に村西を支え続けるトシと村西のスタンスの違いがハッキリと分かったところ。川田の村西に抱いている感情が憧れと敬意だとしたら、トシのそれは愛情に近い。
よくよく観察すると、川田は変態的なところがあって(それが黒木香の作品を高評価する等の先見の明に繋がっているのだけれど)、その欲求を満たしてくれる作品を作る村西の才能に付いていってる感じ。
一方、トシはその辺り淡白。“エロ”に対してこれといったこだわりも無く、作品それ自体に対する思い入れも無さそうだ。ただ、『おっさんのやりたいようにさせてあげたい』の一点で支え続けている。トシ、お前は女房か何かか。悪態吐きながらも村西のために笛を求めて歌舞伎町を駆け回り、見つけたホラ貝を村西に褒められるとめっちゃ喜ぶ。…実はヒロイン?助けてもらった恩を忘れない忠犬?
ただ、川田に『お前は最後まで』と言ったのが気になる。ヤクザの古谷さんから闇の世界に勧誘を受けており、『村西のために身を犠牲にする』フラグが立ってしまった。嫌だなあ、トシには幸せになって欲しい…けれども見た目的にも立ち位置的にも別離が待ってそうだ。
まるで恋愛映画の様な一幕…村西と黒木香の不思議な絆
村西と恵美…黒木香の不思議な絆が描かれた5話。ただの体の関係だけでなく、魂で惹かれ合う二人。撮影前に抱き合う様子や喫茶店のシーンなんて、まるで恋愛映画の様なロマンチックさがある。
恵美の『監督にいい作品を作り続けて欲しい』と言われて再び立ち上がった村西。なんとハワイで往年のポルノスターを使って大作を作ると言う。果たしてそれは成功するのか…。
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