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Contents
あらすじ
30代独身の型破りな児童相談所職員、夏目アラタは父親を殺された不登校の少年、卓斗から『自分の代わりに父親を殺した殺人鬼、品川真珠と面会してほしい。見つかっていない父親の首のありかを探って欲しい』と依頼される。卓斗はなんとアラタの名を騙って真珠と文通をしていたのだ。
卓斗の願いを聞き入れ真珠との面会に向かったアラタだったが、真珠はアラタを見た途端にアラタが文通の相手ではないと疑い、『思ってたのと違う』と言って立ち去ろうとした。そんな真珠の関心を引くためアラタは咄嗟に『品川真珠、結婚しよう』とプロポーズしてしまう。
その結果、真珠はアラタに興味を抱き『拘置所を出てアラタと一緒に暮らす』と言い出すのであったが…。
以下、夏目アラタの結婚の登場人物、キャラクターまとめ(第61話まで)
真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
→徹底考察&推測【漫画 夏目アラタの結婚】品川真珠の正体&秘密の全貌は!?そして、物語の結末・ラストは…(49話時点)
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【漫画】夏目アラタの結婚 最新話・59話【感想・ネタバレ・考察】裁判官、弁護人、検察官間で次の公判の方針が決まる中、神波裁判長は自身のある欲求に気
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夏目アラタ
30代(具体的な年齢については明らかではない)、独身の児童相談所職員。身長が高く、オールバックの髪型で、真珠からは『目つきの悪い経済ヤクザみたい』と言われる様な見た目をしている。古いドラマや映画、音楽を発掘するのが趣味で、スマートホンのソシャゲ(ソーシャルゲーム)にハマっている。喫煙者。
現在は公務員という堅い仕事についているが、約15年前は非常に荒れてケンカに明け暮れており、”児相一の問題児”と言われていた。その時にお世話になった所長に恩を返す為に児童相談所の配属を受けた(3話で宮前に『不本意ながら児童相談所に2年程勤めている』とも言っているので恐らく地方公務員として採用されたのち、児童相談所に配属されたのだと思われる)。虐待を受けている子供達を救うために尽力しているものの、煩雑な手続きや事務作業を嫌い、虐待をしている可能性がある親に対しては暴力も辞さない高圧的な対応をする等自身を『相手を半殺しにしてでも子供を守りたい時の鉄砲玉』と考えており、その際には責任を取って仕事を辞めようと考えている。
小学生の時に父親を亡くして以来、男遊びの激しく再婚と離婚を繰り返す母親に振り回された事もあり、結婚に夢を持っておらず生涯独身でいるつもりだった。そのため、来るもの拒まずで過去に何人もの女性と付き合っているものの相手に入れ込むことは無く、結果長続きせず、毎回相手からフラれる形で交際が終了しており、相手も『疑問を持っても洞察は出来ない』という様な頭の悪い女性ばかりであった。また、真珠との対話を通して自身が幼少期母親が男性に色目を使う様子に傷付いており、子供好きでありながら自身の子供を全く望んでいないという事に気付く。
一方、上述の派手で美人な母親に振り回された経験から母性に飢えており、好みのタイプについては 『薄ぽっちゃりでおっ母さんタイプ』 『昔の堀ちえみ(子沢山)』と公言しており、先輩職員である桃山についても好みのタイプとして語っている(ただし、異性として見ている訳ではなく、あくまで職場の尊敬できる先輩として接している)。
自身の名を騙って品川真珠と文通をしていた山下卓斗に代わって真珠と面会する。その際、『思ってたのと違う』と言って立ち去ろうとした真珠を引き留め、関心を買うために『結婚しよう』と言い出した。
当初は3人(4人?)を殺害した上、不可解な言動で周囲を翻弄し、時に神経を逆なでする言動を取る真珠に内心では不快感を抱いており、卓斗の父の首の在処を聞き出したら一刻でも早く関わるのを止めるつもりでいた。不良時代の経験から悪人を見抜く能力に自信を持っており、真珠はクロ…殺人鬼であると考えている。そのため、彼女の無実の主張を表面的には受け止め、真珠と宮前の前では控訴審を応援する素振りをしているが、本心では死刑に処されるべきだと思っており、真相を探るのもあくまで真珠を確実に死刑台に送れる証拠を掴むためであった。
しかし、真珠と面会を重ねその過去を知るうちに彼女に対して妙な情を抱き始め、真珠との交際に怒り『あんな気色の悪い女に対してお前が本当に惚れるわけがない』と言った所長に対して『真珠の愛され方が分からないゆえのぎこちない笑顔をいとおしく思っている』と言い返し、それが建前ではなく自身の本心から出た言葉だと気付き動揺する。真珠が時折見せる”心を許した子供の様な笑顔”に少なからず心を打たれるようになり、また『子供・赤ん坊』が真珠の弱点である事に気付き、桃山からそこを突破口にするように勧められた際は『トラウマを刺激するべきではない』と真珠を気遣う姿勢を見せた。
死刑囚アイテムコレクターの藤田と出会い、自身の真珠への態度を見直す。そして、真珠に対して『真珠の中に愛せる何かを捜し出したい』『人間らしくしてやりたい』と望むようになり、取り繕わず素顔で対話する様になった。
真珠へのスポーツブラの差入れがキッカケで周防沙菜と接触していたことが真珠にバレてしまい、激昂した真珠から『沙菜・卓斗と共に結婚詐欺で訴える』『それが嫌なら愛の誓いを立てるために控訴審が始まる前に記入済みの婚姻届を持ってこい』と迫られてしまう。沙菜や卓斗に累が及ぶことを懸念した結果、真珠と結婚することを決意し、記入済みの婚姻届を渡し結婚した。
控訴審では人定質問で真珠が“夏目真珠”と名乗ったことで世間に真珠との関係がバレる可能性があることに恐れを抱き、また実際に藤田から真珠との関係を疑われてしまう。
しかし、予想外に人気がある真珠の控訴審の傍聴で抽選にあたり続けることが難しいことから、開き直って藤田には自分が真珠の夫であることを明かし、“品川ピエログッズ”を渡すことを条件に、アラタが抽選に外れ、藤田だけが当たった場合の傍聴権の譲渡(注、禁止されている)、または情報の共有をすると約束させた。
控訴審開始以降は以前は気に留めていなかった”真珠の動機”について強く知りたいと願う様になり、真珠のルーツを求めて彼女が育った児童養護施設を訪ねる等、独自に行動を起こす様になる。その結果、真珠の不遇な幼少期を知り、事件についても『真珠なりに戦えるようになった結果がそれなら真珠を許してしまうかもしれない』とまで思う程に心境が変化しつつある。しかし、週刊誌に素性が暴かれ、また“殺人鬼の夫”という特殊な立場、そして真珠に対して抱く矛盾した感情から徐々に孤独感に苛まれていく。また、自身に対する執着を深める真珠に対して恐怖を抱くと同時に、これ以上深入りすると見捨てられなくなってしまうという思いから彼女との婚姻継続について悩み始めている。
さらに控訴審三日目で真珠が卓斗に優しい眼差しを向けたことに対し、激しい嫉妬と幻滅の念を抱き、自身が真珠を異性として見ていることを自覚し動揺する。しかし、そこで真珠が自身にとって唯一の”好敵手”であることを認め、『裁判なんか乗り越えて俺の目の前に立っていてほしい』と思い、真珠の裁判を応援するようになる。その後、真珠が法廷で死刑を望むよな言動をしたことにショックを受けたものの、直後傍聴席に飛び込んできた真珠を抱きとめ、一瞬触れ合ったことで真珠への愛情と絆を自覚し『真珠が戦えないなら俺が亭主として戦う』と決意する。
しかし、真珠の母、環の故郷に過去に真珠が隠したあるものを掘り返し、真珠の秘密と正体を知るとその内容に絶望し、自身の無力さに打ちひしがれると同時に真珠に強い憐憫の情を抱いてしまい、『もう一人の女として見れない』という苦悩する。その後、宮前や桃山との対話を通して『やはりしぶとく生きようとする真珠が好きだ』という真珠への愛情を自覚するものの、児童相談所職員という立場から真珠を愛することについて強い葛藤を抱くようになってしまう。
品川真珠(品川ピエロ)→夏目真珠
”連続バラバラ殺人事件”で3人(4人?)の男性を殺害した容疑で逮捕され、一審では死刑判決が下り現在では葛飾区小菅の東京拘置所に収容されている女性。アラタと出会った時点では21歳。山下卓斗の父親の死体損壊の容疑で現行犯逮捕された時にピエロの仮装をしていたことから、世間から”品川ピエロ”という通称で呼ばれている。取り調べと裁判を通して完全に黙秘を貫いており、その動機といまだ発見されていない被害者の体の一部の在処は謎に包まれている。
体重の増減と見た目の変化が激しく、時期によって全く異なる見た目をしている。幼少期は長い髪をした肥満児で、周防英介と交際していた際にはガリガリで、彼の好みに合わせて映画『レオン』のナタリー・ポートマンが演じたヒロイン、マチルダに似せたショートボブの髪型と服装をしていた。逮捕時には肥満体でのピエロの仮装、公判時にはガリガリで黒の長髪で顔を覆い隠すといった不気味な出で立ちで世間にインパクトを与えた。しかし、現在の真珠は明るい色の髪をもみあげだけ伸ばしたショートカット(真珠曰く宮前の好み)にしている、痩せ型で中性的な雰囲気を漂わせた美女。その小柄で華奢な体格と大人しそうで幼い顔立ちはアラタに『まるで高校生』と言わしめ、真珠自身も『ロリコンに人気がある』と語っている。一方で、歯並びが非常に悪く口を開けて笑うと不気味な印象を人に与える。
一人称は発音が少なくて済むからという理由で『ボク』。
初めて面会室でアラタを見た時は『思ってたのと違う』と失望して立ち去ろうとしたものの、突然『結婚しよう』と言い出したアラタに興味を持つ。そして、当初からアラタが真の文通相手ではなく、被害者の見つかっていない遺体の在処を探るために近付いて来たことを見抜いているものの、アラタへの執着を深めていく。
宮前を使ってアラタの家の様子を探るだけでなくアラタの身近な人物ともコンタクトを取ろうとしており、アラタから強引に母親の名前を聞き出したり、桃山に手紙を送り面会に誘い出したりもする。アラタが周防沙菜に会っている事を勘付いた際は激昂して、宮前を使ってあるワナを沙菜に仕掛け、アラタと沙菜が接触している確証を掴んだ。その後は宮前を通して『愛の証を立てるために控訴審前に婚姻届を出せ』『そうでなければ婚約不履行あるいは結婚詐欺で訴える』と迫り結婚。晴れて”夏目真珠”になった。
経歴では小中学校の勉強にもついていけず、その後看護高等学校に進むが2年で中退し、フリーターになったとされている、”中卒”。育児放棄気味の母子家庭で育ち、8歳の頃には『ママが真珠をいじめていると思われない様に』と米とツナ缶を過食することで自ら肥満体になっていた様子が宮前によって語られている。
しかし、実際は頭の回転が速い上に洞察力に優れ、初対面の時からアラタが手紙の主ではないと見抜き、手紙には実際に書かれていなかった単語の誤字について追及してカマをかける等、非常に用心深く狡猾。アラタの目的が見つかっていない被害者の遺体の在処であることも勘づいており、アラタが別れを切り出そうとしたタイミングで一部の遺体の在処を仄めかす等してアラタを繋ぎ止め翻弄する。さらに、アラタ自身が気付いていなかった幼少期の心の傷を指摘したりもする。
また、あえて幼少期に会った宮前の事を覚えていないふりをし、『自分に声を掛けてくれた王子様』と語ることで逆に宮前のヒロイズムをくすぐり心を掴む等、人の考えを読み心を掴むことに長けている。その場その場で周囲が最も望む表情や言動をすることが得意で、相手の様子次第で仮面を付け替えるが如く表情を変える様子はまさに道化師、ピエロである。控訴審の裁判長からは”人の心に忍び込む天才 ”、検事の桜井からは”反社会性パーソナリティ障害”、”少女の皮をかぶった怪物”と評される。
その一方、かなりの癇癪持ちでアラタが意に沿わない言動をすると、醜い表情で罵詈雑言を吐き、アクリル板に頭を打ち付けたり唾を吐きかけて暴れ出す。目尻を指で引っ張って顔を歪める奇妙な癖がある。また、アラタが桃山の事をタイプと語ると嫉妬する。そして、アラタから結婚式の理想を語られると心を奪われる等、若い女性らしい表情を垣間見せる時もある。面会に誘い出した桃山に対しても辛辣な言葉を浴びせかけた一方、その事を後悔する不器用さも併せ持つ等かなり複雑な性格をしている。また、アラタから差し入れられたスポーツブラをこっそり嬉しそうに付ける等、少しずつ変化が見られている。さらに、アラタと婚姻するに至った経緯はいささか脅迫めいたものであったものの、アラタが本当に記入済みの婚姻届を持ってくると涙を流して喜び、どんな状況でもアラタの味方になることを約束し、卑屈なまでにいかに自分がアラタの人生の邪魔をしないかを説いた。だが、その従順さについてアラタは『裏を返せば夫婦の人生について責任放棄しているとも言えるのでは』と疑問を呈している。
当初は事件について黙秘を続け、死刑判決も諦めて受け入れるつもりだったが、アラタからプロポーズをされると『じゃあ出るね』と言い、控訴審を起こし一転して無罪を主張するようになった。
未だその過去については謎が多く、若かりし頃の宮前の通報で8歳、小学2年生の冬に一度児童相談所に保護され、そこで問題行為を繰り返したため、田中ビネー知能検査を受けさせられ、その結果はほぼ平均値であった。しかし、”連続バラバラ殺人事件” で逮捕され精神鑑定を受けた際、8歳の時より知能指数が30以上高くなっているという結果が出た。田中ビネー知能検査は±10程度の誤差はあっても30のずれが出ることはまずありえないため、アラタからは『実は品川真珠本人ではないのでは』と疑われている。また、『子供』という言葉に激しい拒否反応を示しているため、桃山からは『望まぬ妊娠や堕胎をしたトラウマがあるのでは』と言われるが『そんなありがちな話ではない』と答え、アラタとの子供は欲しがっている。また、亡母である環について何らかの強いトラウマを抱いており、 アラタから環との関係を尋ねられ思い出の『赤とんぼ』を歌おうとした際は嘔吐してまい、『アラタに秘密を知ってほしいという気持ちが募るのが怖い』『ボクには一人ぼっちが似合っている』と告げ、記入済みの離婚届を送りつけしばらくの間はアラタの面会を拒否してしまうほどであった。
控訴審では完全黙秘を貫いた一審とは一転して、『人を殺していない』『ストーカーであった実父の三島正吾がバラバラ死体を家に置いて行った』と無罪を主張する様になった。また、一審では弁護団長を務めた竹中弁護士に真相を語ることを拒否し『早く起訴されたい』と望み、その結果死刑覚悟で完全黙秘を貫いたことが明らかになる。
控訴審では清楚なワンピース姿や女子高生時代の制服で登場し、一審の時とは打って変わった清純で愛らしい出で立ちで傍聴人たちを驚かせる。そして、裁判官から名前を問われた時に”夏目真珠”と名乗り結婚した旨を告げ、法廷をどよめかせた。さらに事件について父親である三島正吾が真犯人であることを主張し、三島正吾から金の無心や性的虐待を受けていたことを語り、不幸な境遇と無実の罪を着せられながらも前を向く健気でいじらしい女性を演じる。たびたび夫であるアラタとの絆を強調し、傍聴人や世間の同情を集め始めている。
控訴審2回目の直後の面会で、アラタが亡父の思い出話の中で何気なく語った『止まった時間を動かす』という言葉に強く感動し、『アラタがずっと待っていた運命の人だ』と言い未だかつてないほどの強い執着をアラタに向けるようになった。
だが、3回目の控訴審の直前で卓斗から全てを暴露されると、アラタに向けた事のないとうな優しい眼差しを卓斗に向けるようになった。
しかし、控訴審3日目に裁判長から品川環との親子関係を疑われると、環の娘であることは強調しつつも、自分が”品川真珠”ではないことを匂わせ、『もし自分が品川真珠ではなかったら、裁判はチャラになるのではないか?』と尋ねる。それに対して裁判長が『裁かれているのはあなた自身だから裁判が無効になることはない』と答えると自棄になり、死刑を望むような言動を取り始める。しかし、直後傍聴席のアラタの元に飛び込み、アラタに初めて触れると『本当にいたんだ』と言い、安心したような笑みを浮かべた。
控訴審3日目以降、アラタと面会で事件のことを直接話せなくなってしまうが、普通の会話を装いながら『母、環の故郷にある真珠のネックレス状のマークがついた墓標を見つけてほしい』というメッセージを送る。それをアラタが発見し掘り返すことで自身の根幹に関わるある秘密を知られることになり、そのことでアラタと自身の関係が変わり『もう夫婦でいられないかもしれない』と心配する一方で『アラタは他の男性達とは違うはず』という望みも抱いている。
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※以下、物語の核心に迫る重大なネタバレを含みます。ネタバレを見たくない方は飛ばしてください。
真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
→徹底考察&推測【漫画 夏目アラタの結婚】品川真珠の正体&秘密の全貌は!?そして、物語の結末・ラストは…(49話時点)
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その正体は、1歳程度で夭折した本物の品川真珠の妹、無戸籍児である。
本物の品川真珠の死を受け入れられなかった環は品川真珠の死を偽装することを決意し、そのスペアとして産み育てられたのが今の品川真珠である。それゆえ、品川真珠ではないものの、別の本物の名前があるわけでもなく、また自身の本当の誕生日も知らない。戸籍上は21歳であるが、実年齢は2歳程度下の18歳か19歳の未成年である可能性が高い。つまり、逮捕当時は20歳とされていたが、18歳か17歳の未成年であった可能性が高く、それこそが裁判を覆すための本当の切り札だったのだ。
なお、本物の品川真珠の遺体は環の死後、真珠が環の故郷である石川県七尾市のとある裏山に作った墓標の下にトランクごと埋められていた。本物の真珠の方はアラタからは”しんじゅ”、真珠からは”スピカ”と呼ばれている。
本物の真珠は弁護側、検察側双方のDNA鑑定の結果、三島正吾と品川環の間に生まれた子供だと判明した。そして、司法解剖の結果、死因が頸椎の骨折であることが判明した。唯一死亡時の状況を知る環が故人であるため真偽は不明だが、桜井検事は『事故であるならば環が真珠を抱きかかた状態で階段から転落するか激しく転倒してしまったことが原因ではないか』と想像している。
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宮前光一
品川真珠の私選弁護人。背の高い整った顔立ちの30代の青年で『玉森法律事務所』に所属している。一審の国選弁護団の一人だったが、一審終了後は自己負担で真珠の私選弁護人として真珠を支援している。
真面目で人がいい青年で真珠の無罪を信じており、当初は突然真珠に結婚を申し込んで来たアラタに対して『真珠さんを傷付ける真似をしないでほしい』『獄中結婚がどんなものか分かっているのか』と警戒し疑う態度を取っていたが、真珠がアラタに心を開いている様子を見て、アラタの事を共に真珠の無罪を勝ち取ろうとする仲間であると思っていた。
13年前、当時8歳だった真珠の近所に暮らしていたため真珠とは面識があった。明らかにネグレクトを受けながらも過食し太ることでそれを隠そうとしていた真珠に心を痛めながらも声を掛ける事しかできなかったこと、良かれと思って児童相談所に通報した結果、真珠がどこかへ引っ越してしまったことを悔いていた。そのため弁護士として被告人となった真珠と再会した際は運命を感じ、無償で彼女を支援することを決意した。真珠が自身のことを覚えていないこと、アラタを”王子様”と呼ぶことに寂しさを覚えているが、あくまで一弁護士として陰ながら彼女を支えていこうと考えている。
真珠の控訴審にあたって、情状酌量を狙うために真珠の過去を洗い直しており、その際に真珠の知能指数が8歳の頃よりも異常に高くなっていることを発見し、真珠の過去に彼女を大きく変えるような何らかの経験…“ブラックボックス”があると考え、その謎を解き明かすためにアラタに協力を求めている。
…しかし、内心ではアラタが何かしらの思惑を持って近づいている事、そして自身のことをバカにしていることを気付いており、そのうえで『万に一つでもアラタの気持ちが本物であってほしい』と信じてアラタに好意的に接していた。そのため、アラタが卓斗や沙菜と繋がっていることを知った時は怒りを露わにし、『愛の証を立てるために控訴審前に婚姻届を出せ』『そうでなければ婚約不履行あるいは結婚詐欺で訴える』と真珠の代弁をする形でアラタに真珠との結婚を迫った。アラタと真珠の婚姻届の証人となる。アラタと真珠の婚姻届を役所に提出し、その際にアラタには『僕がなれなかった”素敵な王子様”になってあげて下さい』と告げた。その後も表面上はアラタと協力体制を取っているが、真珠の無実を信じていないアラタに不快感を持っており、何かと衝突を繰り返した(純粋に性格が合わないということもあるが…)。
控訴審では世間が想像する姿と全く異なる真珠を法廷に出すことで世論に衝撃を与えることを狙い成功する。しかし、一方で、打ち合わせにないことを勝手に話す真珠に振り回され、一審の弁護団長を務めた竹中弁護士から『一審の黙秘の真相』を聞き困惑するなど、完全に心を開かず謎が多い真珠に苦心している。また、真珠の意に沿う形で動いているものの、真珠が訴えた三島正吾からの性的虐待については『父親憎さから話を盛っているのではないか』と内心疑念を抱いている。
上記の様な状況と、思惑の多いアラタを信用していないことから、密かに桃山に真珠の謎や心の内を探るように依頼した。結果、バレてアラタからは殴りつけられたものの、自身のこの行動について反省し、その後はぶつかり合いながらもアラタと協力体制を取っている。しかし、控訴審三日目で真珠が突然死刑を望むような言動を取り始めたため、苦慮している。
アラタの勤務する児童相談所の職員たち
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桃山香…桃ちゃん
夏目アラタが勤務する児童相談所の同僚職員。30代独身。アラタからは『桃ちゃん』、所長からは『桃』と呼ばれる。小柄でぽっちゃりした瞳の大きい童顔の女性。やり方が荒っぽく、『いつ仕事をやめてもいいと思っている』と語る刹那的なアラタを日頃から心配している。 『お母さん感がある』としてアラタから理想のタイプとされているがあくまで先輩後輩の関係であり、本人は『子どもいないのに』と複雑な思いを抱いている。
山下卓斗の代わりに品川真珠と面会する様になったアラタの相談相手となっている。しかし、当初は卓斗のために行動するアラタを応援していたが、事件に深入りするアラタを見て『自分が焚き付けるべきではなかった』と内心後悔している。
その親しみと愛嬌のある容貌や言動とは裏腹に洞察力が高く、内省的な性格をしている。アラタから真珠とのやりとりを聞いただけで『真珠が赤ん坊に恐怖を抱いている』と見抜いた。しかし、アラタとは異なり、対面での心理戦、駆け引きは不得手。
当初は真珠と直接的な関わりはなかったもの、真珠から『女性であるあなたにしか打ち明けられない話があるから聞いてほしい』という旨の手紙を受け取り、悩んだ末返事を出し、アラタには内緒で宮前同伴の元、面会した。しかし、『桃ちゃんがアラタの理想のタイプだから』と言って仕草や口癖を真似して来た真珠を注意すると、『若くして結婚できる自分の方が桃ちゃんよりも上だ』と真珠から攻撃的な態度を取られる。その上、結婚観について痛烈な批判をされた上、面会にきた理由について『どうして真面目な自分が結婚できないのに、こんな殺人鬼がアラタと結婚できるのかという好奇心と見下しがあったはずだ』と見抜かれた。
しかし、真珠の攻撃的な態度に傷付いたものの、それを被虐待児特有の”試し行為”と捉え受け入れ、真珠の辛辣な指摘については『少しその気持ちがあった』と認め、素直な本心を打ち明けることで真珠の心を掴んだ。以降も真珠とは文通を続けており、真珠を”パール”と呼び、下着等を差し入れる様になった。
現在は交際相手はいないものの、過去に付き合っていた男性と結婚話が持ち上がったことがある。しかし、相手が親の介護のため故郷である離島について来る様に求めたため断った。そのことについて『最低限の収入があって条件やタイミングが合う相手ではないと結婚できない』と自身に言い聞かせていたが、真珠から『どんなに理想の条件に合う相手がいても、”結婚しない”ための条件を新しく見つけて結婚しないだろう』と図星を突かれ、以降は『作家の眉村卓のように、妻のためにショートショートを毎朝作ってくれる人が本当の理想の相手』 と語る様になった。
控訴審開始後は宮前から真珠の内心やストーカーの男との関係を探るように依頼され、再度面会して真珠からストーカーの男との関係と一審の黙秘の理由を聞き出したが真珠の語った”真実”に少々違和感を抱いているが信じようとしており、桜井によってアラタに真珠と面会していたことがバレてしまった後は、『真珠は意外と嘘が苦手で、自分たちが思っている以上に本当のことを言っているのではないか』と主張し、また真珠を恐れるアラタに対して『見捨てられない自分を知ってるから、背負いたくないのではないか』と指摘した。
また、真珠の正体が明らかになった後、真珠をもう愛せないというアラタに対して『無理やり気持ちを抑え込もうとしている』と指摘し、『建前を捨てて幸せになるためなら児童相談所職員を辞めてもいいのではないか』と諭した。
やや面食いなのか宮前の様な誠実そうなイケメンがドストライクで、卓斗のことも美少年と呼ぶ。また、周囲から体系のことを『ぽっちゃり』と呼ばれると『うすぽっちゃり』と訂正する。
大高利郎…所長
アラタと桃山が勤務する児童相談所の所長。アラタ以上に強面で固太りした大柄な中年男性で口調も荒い。15年以上前、父の死と母親の再婚・離婚で荒れていたアラタの更生を児童相談所で見守った恩人。『児相一の問題児だったアラタなら子供の気持ちが分かる』と言ってアラタを児童相談所に誘った。
型破りな様に見えるが実際は真面目で冷静な人間であり、アラタには『児童相談所職員はヒーローではない』と現実を語り、地味な交渉や説得を厭わず子供達のために地道に働き続けている。また、昔から見守って来たアラタのことは『越えてはいけない一線をふんずけているタイプで、どちらの転ぶか分からない危なっかしい奴』と評し、我が子の様に心配している。アラタ自身も反発することもあるものの内心では彼のことを父親のように慕っている。
当初は真珠との婚約についてアラタからは内緒にされていたが、児童相談所に周防英介の遺族が尋ねてきたことで知ることとなった。その際はアラタと真珠の交際について激怒して反対し『あんな気色の悪い女に対してお前が本当に惚れるわけがない』 と吐き捨てた。しかし、アラタの 『真珠の気持ち悪い笑い方は、児童相談所にいる愛され方が分からずぎこちない笑顔をしか作れない子ども達と同じ』『真珠のそういう笑顔を愛おしいと思っている』という真摯な言葉に考えを改め、アラタと真珠の婚約を所内に秘密にし見守ることを決める。 また、アラタに言いくるめられアラタと真珠の婚姻届の証人となる。
しかし、控訴審開始後に週刊誌にアラタの情報が流れたことをきっかけに、児童相談所に来る親子への影響やアラタが孤独感をつのらせて憔悴している様子を考慮し、アラタに真珠と別れるように忠告するようになる。
アラタから真珠の正体について打ち明けられた後は、対処の難しさに悩み、真珠の正体が確定するまではアラタが担当する様に申し付けたものの、児童相談所として力になる姿勢を見せた。
”連続バラバラ殺人事件”の被害者達
被害者達の共通項はいずれも『社会的に成功を収めた30代の男性』というもの。全員真珠に対して何らかの援助をしていたと思われる。死因はいずれも毒物による中毒死。死亡後にバラバラにされどこかに遺棄された。犯行に使われた毒物は真珠が看護学校に通っていた頃に実習先の病院から盗み出されたものと一致している。
後にアラタは被害者全員が映画『レオン』のファンであったことに気付く。
周防英介
“連続バラバラ殺人事件”の最初の被害者とされている。左腕のみ見付かっていなかったが、真珠がその在処をアラタに仄めかし、警察がそれに従って捜索をしたところ、旧江戸川の河川敷から地中に埋められた左腕が発見された。
設計士で自身の建築事務所を経営していた独身の男性。やや長めの黒髪にあごひげを生やした穏和な印象の持ち主。妹の沙菜によれば梶芽衣子、柴咲コウ、大政絢等のハッキリした顔立ちの真珠とは異なる女性がタイプだった。近所の虐待されていた雑種の犬を引き取る等、慈悲深い性格をしており、真珠については『可哀想な子がいる』と語っており自身の事務所で雇おうと考えていたという。
古いドラマや音楽が好き等アラタと趣味が同じであり、沙菜も英介とアラタはよく似ていると語る。
真珠は英介とは18歳の時に海で出会い、交際し、初体験の相手だったと語っている。また、映画『レオン』のファンで、真珠にナタリー・ポートマン演じたヒロイン、マチルダの様な髪型やファッションをさせて喜んでいたという。
相沢純也
“連続バラバラ殺人事件”の2番目の被害者とされている、眼鏡を掛けたツンツン頭の男性。当初は右足がまだ発見されていなかった。
かつて法学部に在籍し3年間司法浪人をしていたが父親が身体を壊して働けなくなったため法曹を諦めて大手進学塾に就職した。講師として優秀でかなり評判が良かったため、事件時には”人気講師殺害”とマスコミに取り沙汰された。父親いわく優しい性格。
後に、真珠が事件当時、自身の住んでいたアパート近くで工事中であった一軒家の基礎の下にその右足を埋めたことを告白する。この告白後、警察が一軒家の床を掘り返すと右足が発見された。
右足が見つかった後にアラタが父親に接触し、部屋と遺品を確認したところ周防英介同様に古い音楽や映画を好んでいたことが分かった。所有していたDVDの内容から『70年代の映画作品が好み』ということと『『レオン』に代表される、未成熟な少女のためにいい年した男が命をかけるというストーリーが好みであったのではないか』とアラタは推測している。
山下良介(卓斗の父親)
“連続バラバラ殺人事件”の3人目の被害者とされており、真珠は彼のバラバラになった遺体をカバンに詰めている所を現行犯逮捕された。まだ頭部が見付かっていない。事件当時は37歳であった。明るい髪色の長髪に髭を生やしたサーファー風の陽気そうな容姿をしていた。
職業は美容師で、息子である卓斗には『キレイな髪の人が好みだ』と語っていた。妻である卓斗の母親のことは愛していたものの『髪質がゴワゴワでそこはマイナスだ』と卓斗にこぼしていた。また、他の被害者達同様、映画『レオン』のファンで、ある女性客について『手入れを全然していないけど本当はキレイで軽い髪質をしており、レオンのヒロイン、マチルダっぽい髪型にすれば似合う客がいる』と卓斗に対して熱く語った事があった。
4人目の被害者?ストーカー?真犯人?X、三島正吾
真珠の住んでいた部屋から発見された血痕の持ち主。上記の3名や真珠とは異なるDNAが検出されていることから、“連続バラバラ殺人事件”の4人目の被害者であると目されている。しかし、警察の懸命な捜索にも関わらず身元は特定されておらず、この人物の件については立件されなかった。
黙秘をやめた真珠の発言から、宮前はこの人物について真珠のストーカーだったのではないかと推測しており、実際に真珠の住んでいたアパートに不法侵入を繰り返したホームレス、白石文雄から『俺の真珠を出せ』と山下良介に掴みかかっていた人物がいたことが証言されている。宮前はこの人物が連続殺人事件の真犯人であると考えており、控訴審で主張する。
宮前はこの人物が真珠の父親である(あるいは真珠が父親と思い込んだ)と推測しており、真珠が彼を庇うために一審で起訴を早めるために死刑覚悟で完全黙秘を貫いたのではないかと考えており、真珠もそれを認めるような発言をしている。
控訴審では『X』という仮称で真珠に異様な執着を持ち付きまとった人物として語られ、後に真珠から『三島正吾』と言う名であることが明かされる。真珠の母親である環と高校の同級生で共に上京したものの、真珠が生まれてすぐに別れた。その後体を壊しホームレス暮らしをしていたところ、熱中症で緊急搬送された際に実習生として働いていた真珠を見つけ、彼女の母親譲りの容姿と“品川”という姓から『品川環の娘だろう?』としつこく尋ねてきたとされている。
そして、赤ん坊の真珠と環の三人で写っている写真を見せ、真珠の父親を名乗り、『一緒に暮らそう、体を壊して働けないから助けてほしい』と真珠に要求してきたという。そして、その後も真珠に付きまとい続け、彼女の交際相手が年上の男性ばかりだと知ると嫉妬し、『俺でもいいんじゃないか』と迫り性的虐待を加え、嫉妬から真珠の交際相手を次々殺害したという。
…だが、上記の真珠の話もどこまで真実であるか定かではない。
控訴審三回目で桜井検事からその実在が確かで、似たような人物がホームレスをしていたという目撃情報があったことが明かされた。また、環とのスナップ写真と共に、環と高校時代に交際していたことが報告される。高校時代は長い前髪を真ん中分けにした痩せぎすの少年であった。
そして、彼の祖母と真珠のDNA鑑定の結果、彼と真珠の間には親子関係がないという結果が出たことが桜井検事によって報告される。
写真を見たアラタからは『頭の悪そうなチャラ男』という印象を持たれており、『高校時代の友人”マサルくん”に似た、微妙なツラの癖にイケメン気取り』であったのではないかと推測されている。
被害者遺族達
山下卓斗
“連続バラバラ殺人事件”の3番目の被害者、山下良介の息子。物語冒頭では不登校で家に引きこもっていた。14歳。『品川ピエロの好みの30代男性だから』『アラタに対して少しムカついていたから』という理由で自宅にあったアラタの名刺に目を付け、アラタの名を騙って真珠に手紙を送り、文通をしていた。しかし、真珠から『直接会って話そう』という手紙を受け取り、『会いたいけど正体がバレたらおしまいだから』とアラタと桃山に全てを打ち明けた上で、『代わりに品川ピエロに会って、父の首の在処を聞き出して欲しい』とアラタに依頼した。
当初は『見つかっていない父の首の在処を聞き出す』という純粋に亡父を想う気持ちで真珠と文通をしていたが、次第に『有名な殺人鬼と文通をしている』という事に快感を覚え手紙をコレクションしていたことをアラタに見抜かれた。
その後は『学校に通い母親に心配をかけないこと』を条件にアラタから真珠との面会の様子を聞き、アラタの考えた文面の手紙を清書しているが、アラタからは真珠について興味を持たないようにするため、『とても老けた下品な喋り方の女』と嘘を吐かれている。アラタから真珠と結婚したことを聞かされた際は『僕のためにそこまで』と罪悪感を抱いたが、アラタからは気にせず高校受験に集中する様に言われる。
その後もアラタと定期的に連絡を取り合っていたが、控訴審が始まり真珠の法廷画が出回ると、アラタが真珠の容姿について嘘を吐いていたことを知り、また父良介が生前熱く語っていた”好みの髪質の女性”が真珠であったことに気付く。さらに、隠されていた他の被害者達の遺体の一部を真珠が次々と明かしていく中で、未だに父良介の首の在処だけが分からないことに次第に苛立ちを覚えていく。そのため、控訴審の傍聴を望む様になったが、卓斗を真珠と接触させまいとするアラタから『真珠はお前の手に負える様な相手ではない』と叱られたものの、むしろアラタへの反感を深めてしまう。その結果、真珠に直接手紙を送り、『アラタの名を騙っていたが自身こそが本当の文通相手であった』と全てを暴露したうえで3回目の公判の傍聴に臨んだ。
上記の手紙を真珠に送った際、『父が母よりあなたに惹かれていた理由が知りたい』『父はあなたをある映画のヒロインに重ねていた』と映画『レオン』のヒロイン『マチルダ』が着ていたものとよく似た服を贈った。そして、本当にそれを着て出廷し、笑顔を向けて来た真珠に心を奪われてしまう。
桃山からその整った容姿について『美少年』と言われている。また、“ハンドル”が“インド人”に見えてしまう程の悪筆である(なお、これは有名な”ゲーメストネタ”である)。
山下卓斗の母
山下卓斗の母で、“連続バラバラ殺人事件”の3人目の被害者、山下良介の妻。まだ夫の死から立ち直れてはおらず、事件後不登校になってしまった、息子の卓斗についても悩んでいた。
卓斗がアラタの名を騙って真珠と文通をしていた事を知り、桃山に連絡しアラタに深く謝罪した。
…その後はしばらく登場することは無かったが、実は週刊誌に品川ピエロの結婚相手としてアラタの情報を売ったのは彼女である。
夫である良介のことを深く愛しており、かなり押しまくった上の”デキ婚”であった。当初は良介の首が見つかることを強く望んでいたが作中話が進むほどに精神的に不安定になっていき、良介の首が見つかることを望んでいないような態度を取る様になっていく。
ちなみに髪質はゴワゴワであり、そのことについて髪がキレイな女性がタイプだった良介からは『そこだけはマイナス』と言われていた。
周防英介の母
“連続バラバラ殺人事件”の最初の被害者とされる周防英介の母。周防英輔の左腕が見つかった後、児童相談所にアラタを尋ねてやって来た。 『夏目さんのおかげで英介がうちに帰って来た』とアラタに泣きながら感謝を述べ、『犯人に死刑判決も出たことから、ようやくこことに一区切りつけられる』と語った。
娘の沙菜とは異なり、アラタが真珠と付き合っていると聞いても非難するつもりはなく、アラタに怒りをぶつける沙菜を窘めた。息子である英介の死による心労のためか、現在は車椅子。
周防沙菜
“連続バラバラ殺人事件”最初の被害者、周防英介の妹。髪型をお団子ポニーにした若い女性。スタイルが良い美女。会社員。周防英介の左腕が見つかった後、アラタにお礼を言いに来た母親に付き添う形で児童相談所にやって来る。
真珠と婚約しているアラタに対して当初は『児童を守る人間が3人も殺した女と仲良くするなんて信じられない』と怒りを露わにした。しかし、真珠との婚約に反対する所長に『愛を知らない子供を愛しいと感じる』『真珠のぎこちない笑顔を愛しく思っている 』と堂々と言い切ったアラタに英介の面影を見つけ一転して好意を抱き、アラタに生前の英介の様子を教えた。その後も度々アラタに協力して真珠への差し入れのTシャツや下着を選んだり相談に乗っている。
だが、その事が真珠に勘付かれてしまい、真珠から宮前を差し向けられる。その際、宮前とのやりとりでアラタとの関係をとぼけて否定したつもりが、真珠の考えたあるワナに引っかかってしまい、アラタと接触していたことが真珠にバレてしまう。その後は何者かに尾行されているような気配や家の郵便受けへのイタズラに怯えるようになる。
アラタが真珠と結婚したことを聞いた際は動揺し、アラタに『結婚は形だけ』と言われると安心し、その後様々な口実を付けて積極的にアラタを誰もいない実家に上げようとするが断られ、その後もアプローチを躱され続けている。。
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以下、軽いネタバレがあります。見たくないかたは飛ばして下さい。
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実は沙菜は周防英介の妹ではあるが、血は繋がっていない。亡父が英介の母と結婚したことで彼らと家族となった、いわゆるステップファミリーである。幼稚園児の時に出来た優しい兄である英介に好意を抱き続け、『自分は妻にはなれないから、連れているだけで一目置かれるかわいい妹、”トロフィーワイフ”ならぬ”トロフィーシスター”を目指す』と決意し自身を磨き続けて来た。
真珠が英介と交際していた事実を否定したのも、真珠の様な女性を英介の交際相手として認められないためであると考えられる。
しかし、英介への好意は一線を画して束縛に近いものだったようで、英介が実家を出ようとしていた時期に『ポストにゴミを入れられるという嫌がらせ』を受け、それを理由に英介が実家に残ることになった…つまり、嫌がらせを自演して、英介を引き留めたことがある。
そして、今度は好意を持ったアラタに対しても同じ様に嫌がらせを受けているということを口実に気を引こうとするも失敗し、密かに『ゴミくらいじゃ効果ナシか』と舌打ちをした。葛西の海に共に行って以降、アラタから距離を置かれているが、しつこくメッセージを送り続ける。
相沢純也の父
事件の2番目の被害者である相沢純也の父。小柄で垂れ目の中年男性。事件前から体を壊しており、階段の上り下りにも苦労するほど。村井からアラタの事情と要望を聞くと『是非会いたい』と言い出し、息子の脚の在処を真珠から聞き出したアラタに涙を流してお礼を言った。
息子純也の人となりについてアラタに語ったものの、真珠の存在はもちろん、純也の女性関係については把握していなかった。しかし、アラタに純也の使っていた部屋や遺品を見せることを申し出て、結果的にアラタが新しい手掛かりを見つける手助けをすることになった。
刑務官
井手刑務官
拘置所でアラタが真珠と面会する時に毎回立ち会っている刑務官。眼鏡をかけた中年男性。アラタや真珠の予想外の言動に驚かされ豊な表情を見せるものの、口を挟むことなく職務を全うする。ただし、アラタに無理矢理会話に巻き込まれたりすると、無言を貫きながらも表情で応じることはある。長らく名前が不明であったが、16話で明らかになった。
プライベートでは絵を趣味にしている。恋愛は不得手の様で、焼き肉屋で女性(恐らく同じ職場の人・あるいは同職の人)にアラタの真似をして突然壁ドンして『俺と結婚しようぜ』と迫りアッサリ振られてしまう(あたりまえだ)。
そこで偶然近くに座っていた、アラタと周防沙菜の会話からアラタが真珠に出された『24時間一緒に居られたら何をするか考えろ』という”宿題”に苦悩している事を知り、帽子で顔を隠し他人を装って『互いの生まれたままの姿を描くのはどうか。そうすれば互いの姿を目に焼き付けることが出来る』とアドバイスして立ち去った。彼の正体を知らないアラタは皮肉にも『恋愛の達人』だと思い込む。そして、結果的に井手のこの提案は真珠を喜ばせた。
岸田刑務官
控訴審で真珠に付き添ってやってくる若い男性刑務官。階級は看守。既に結婚をしている様で手袋の下の左手薬指に指輪をしている。控訴審2回目の休憩の際、真珠から結婚指輪に触れられ尋ねられた際、つい『普段付けているのは5千円の安いペアリング』と答えてしまい、もう一人の刑務官から私語について厳しく注意される。
これを目撃した裁判長からは真珠が自身がどれほど世間の同情を集められたかを試す為に使われ、彼自身が相当真珠に同情してしまっていると分析された。
実際に裁判長の読み通り、真珠に強い同情心を抱いてしまっており、休憩終了間近に真珠を拘置室から法廷に連れて行く際、こっそりと手袋を外し真珠に指輪を見せるといった逸脱行為をしてしまう。
男性刑務官
岸田刑務官と共に真珠の控訴審の付き添いをしている男性刑務官(少し、井手刑務官に似ているが、顔立ち的に別人であると思われる)。
岸田刑務官の上司あるいは先輩にあたり、控訴審2回目の休憩の際、結婚指輪について真珠に尋ねられて答えてしまった岸田刑務官をその場で厳しく叱りつけた。
しかし、休憩終了間近に岸田刑務官が手袋を外して真珠に指輪を見せたことには気付けなかった。
裁判関係者
神波裁判長(かんなみ)
真珠の控訴審を担当した裁判長。白髪混じりの眼鏡を掛けた穏やかな顔付きをした60歳前後くらいの男性。法廷で突拍子のない言動を繰り返す真珠に寛大な態度を取り、彼女の話に真摯に耳を傾ける。
…上記の態度から一見真珠にほだされているようだが、裁判中のメモ帳には真珠について『演技力 怪物』と書き込み、裁判官達に『人の心に忍び込む天才』と語る等、人が望む姿を演じきり真実を歪めていくという真珠の本質を多少なりとも見抜いている。経験が豊富で、3回目の公判で三島正吾との写真を見て取り乱したとされる真珠が、実は三島正吾ではなく実母の品川環を見てパニックに陥ったことも見抜いた。しかし、法廷での真珠の発言全てが嘘だとは考えておらず『あの被告の虚実織り交ぜた発言から真実を見極めるのは非常に難しい』と語り苦悩し、その上で他の裁判官二人には『判決はあくまで証拠にて下されるもの』『あの怪物(真珠)の心を覗き込まないように』と警告する。しかし、自身は真珠の一挙一動に注目し、些細なことでも疑問があれば積極的に問いかけ、真実の追及に尽くしている。傍聴していた藤田からは『基本に忠実でフェア』と評されている。
家庭ではお弁当の蓋を閉めるタイミングで悩んだり、娘の夏子に強くものを言えない様な、どこにでもいるごく普通の父親である。しかし、夏子から裁判について問われると『冤罪で人を死刑にすることはあってはならないし、ない』『反対に検察の立証や手続きにミスがあれば真犯人を無罪にすることもありえるが、それで真犯人が殺人を起こしてもそれは裁判官のミスではない』と言い切った。
…妻子を愛しており、周囲からも家庭的な愛妻家だと思われているが、実は妻が付き続けている”ある嘘”を観察し続けている。
男性裁判官
真珠の控訴審を担当する裁判官の一人。まだ若い生真面な雰囲気の面長の男性。真珠に翻弄される法廷に戸惑いを隠せない。アラタのことを『あの経済ヤクザみたいな男が被告人の旦那なのか』と裁判官達で休憩している間話題に出した。洞察力のある神波のことを尊敬している。
安西(女性裁判官)
真珠の控訴審を担当する裁判官の一人。男性裁判官よりも少し年上と思われる、真面目で落ち着いた雰囲気のおかっぱ頭の女性。男性刑務官同様、異様な雰囲気の法廷に少なからず困惑している様で、休憩中に裁判長に真珠への心証を尋ねた。
桜井検察官
真珠の控訴審を担当する検事。自信にあふれた壮年の体格の良い男性。東京地方検察庁所属。真珠が被害男性3名を殺害したと主張し、宮前と真っ向から対立する。
法廷においては真珠と宮前の証言を真正面から否定するが、常識や感性が人とはずれている真珠に対してやりにくそうにしている時がある。しかし、検察官としての実力は確かで、裁判長同様、3回目の公判で三島正吾との写真を見て取り乱したとされる真珠が、実は三島正吾ではなく実母の品川環を見てパニックに陥ったことも見抜いた。
控訴審2回目の後、真珠から二度も遺体の隠し場所を聞き出したアラタに興味を持ち、捜査という名目の元に児童相談所までやってきた。そこでアラタからは真珠と婚姻するに至った全ての事情を聞き出した。
独身主義であり、女性と交際をするものの相手が28歳になったら交際を終わらせると決めている。その理由については『交際していた女性がその後の結婚や出産が出来なくならないようにするため』と語るが、桃山からは『女性の若い時間だけつまみ食いしている』と非難される。アラタに対しては『真珠と婚姻届けを出したのは最悪の選択だった』と同情している。
真珠のことは ”反社会性パーソナリティ障害”、”少女の皮をかぶった怪物”と評しており、幼少期の虐待が原因で他人への共感や道徳心が育めていないと考えている。そのため、真珠に対して同情的な桃山の意見には真珠の演技に騙されていると否定的な態度を取る。
神波裁判長同様、控訴審三日目以降は真珠がアラタを“ある自分を有利にする真実”に誘導していると確信し、アラタに事件から手を引くように勧告した。そして、それに応じようとしないアラタに対しては『真珠の指示で証拠の隠滅や捏造に関わったら起訴する』と警告した。
プライベートでは犬を可愛がっている。
稲葉由之(白石文雄?)
ホームレスの中年男性。小太りで禿げ上がり、陽気だがやや品のない物言いをする。事件より前の三年以上前から現場となった真珠のアパートの空き室に秘かに入り込んでいた。事件前に被害者である山下良介が別の男と度々言い争うのを目撃していた。
新しい証拠探しをしていた宮前によって発見され、”真珠のストーカー”の存在を裏付けるために控訴審で証人として法廷に立つことになる。藤田からは法廷で証言する代わりに宮前にアパートの大家に住居侵入で訴えられない様に手を回してもらっているのではないかと言われている。
…なお、22話の控訴審初日では宮前は『目撃証人の白石文雄』と呼んでいたが、29話で証人として登場した際本人は『稲葉由之』と名乗った。(白石文雄と稲葉由之が別人なのか、あるいは名前の変更・誤記なのかは不明。ただし、22話のイメージで出て来た男性の姿は稲葉由之と同じ姿をしていたので、後者である可能性が高い)
竹中弁護士
真珠の一審での弁護団の団長を務めた高齢の男性弁護士。
控訴審に直接関わってはいないものの、控訴審初日に真珠から、『一審時に弁護をしやすくするために完全黙秘した方がよい』と指示し、真珠が世間から誤解される原因を生んだ人物として挙げられた。
しかし、その話に疑問を持った宮前が事務所まで尋ねに行くと、起訴前に真珠から『早く起訴されるようにしたい』と言われ、そのために真実を語る様に諭すも拒絶されてしまい、仕方なく『真実を語れないなら黙秘した方がいいでしょう』と言っただけであり、真珠に黙秘をすすめたのは本意ではなかったことを明かした。
その他
藤田
冴えない風貌の中年男性。自称”死刑囚アイテムコレクター”。死刑囚に強い興味を持ち、裁判を傍聴するのは勿論、死刑囚の絵を収集したり、文通したり、面会したりして独自に足跡を辿るのを趣味にしている。アラタが真珠への差入れを拘置所に拒否され困っていたところに出くわし助言をする。”品川ピエロ”にも強い興味を示している。
現在は2人の死刑囚と文通をしており、仕事でムシャクシャした時にストレス解消のために彼らと面会している。死刑囚達との面会について『リアル召喚モンスター』『死刑囚達は追ってこれないから飽きたら連絡を断てばいいだけ』『死刑囚達が寂しそうな顔で次回の面会の約束を取り付けようと縋って来るのがたまらない』等の発言をし、当初はアラタに嫌悪感を抱かれていた。
しかし、自身でもその趣味が卑しいと自覚しており、ただ死刑囚達を弄ぶだけではなく、実際に情が湧いてしまったり自己嫌悪に陥るなど葛藤も抱えている。その上で『自分の様な卑しい人間に弄ばれるのも死刑囚達への罰の一つ』と語り、この会話がアラタが真珠への姿勢を見直すきっかけとなった。
その後、真珠の控訴審初日に裁判所でアラタと再会した。何度も裁判の傍聴をしているため裁判制度にも詳しく、裁判の流れに疎いアラタに解説する。
一審で醜い出で立ちであった真珠が前以上に小汚くなっていることを期待し嘲笑うつもりでいたが、ワンピース姿で現れて見違えるほどに愛らしくなった真珠を見て愕然。更に真珠が”夏目真珠”と名乗り結婚したことを知って驚愕した。
しかし、過去の死刑囚との関わりや傍聴経験から真珠の見た目や態度に騙されず、事件の状況からも真珠がクロであると確信している。また、『真珠が看護学校に通ったのは毒物、薬物の知識と人体を解体する術を学ぶためだった』と推測し、真珠のことを『映画に出てくるシリアルキラーみたいで最高』と評している。
アラタと真珠が繋がっているのではないかと度々疑いその都度、アラタからははぐらかされていたが、控訴審初日アラタから真珠と結婚していることを打ち明けられ、“品川ピエログッズ”を分けてもらうことを条件に、傍聴の当たり抽選券の譲与、あるいは裁判情報の共有といった協力をすることを約束した。その後はアラタに真珠が育った児童養護施設の場所を教える等、早速役に立っている。
意外にも以前は結婚していおり、妻とは良好な関係を築いていたが、ある些細なことがきっかけで妻に幻滅。結果、互いに少しずつ心が離れていき、自身の商売が失敗した後、妻に不倫され離婚した。この経験から『いつ殺し殺されるか分からないのは夏目さんに限らずどこの夫婦でも一緒』『夫婦は二人の間に幻想(ファンタジー)がないと成立しない』という独自の結婚観を持っている。
当初はアラタから内心軽蔑され、互いの利害のために協力し合っているだけの関係であったが、上記の様な人生経験や価値観を語った事で打ち解け合い、現在ではアラタが真珠への屈折した感情等を吐き出せる数少ない相手となっている。
寺井綾子
アラタの母親。長らくアラタの回想にのみ登場しており、容貌がハッキリと明かされていなかったが、47話にて登場する。アラタが子供だった頃は長いウェーブの掛かった髪に派手な(ギャルっぽい)風貌をしていたが、現在は前髪を伸ばしサイドに流したショートカットに眼鏡を掛けており上品で落ち着いた装いをしている。が、口を開くとアラタ同様(あるいはそれ以上に)ガラが悪い。喫煙者。
若い頃は派手な美人で男性にモテて、アラタの父親が存命の時から幼いアラタを連れて頻繁に飲みに出掛けており、アラタの前でも男性に色目を使っていた。さらにアラタの父親と死別した後は再婚と離婚を何度も繰り返し、それらのことがアラタが結婚に対して夢を持てない原因の一つとなっている。また、アラタに対しては食事代のみ与えて放置する等、ネグレクトをしていた時期がある。
現在は大手金融系の役職付きの男性の後妻であり(言動から察するに4人目の再婚相手、つまり5人目の夫)、姓は寺井。再婚相手との間には小学校4年生の息子がいる。
上記のことからアラタとの交流は続いているものの、冷やかな目で見られていた。
47話にてアラタから環と真珠の謎に迫るため、母親の立場からの意見を求められ焼肉店に呼び出された。その際、無断でアラタが真珠と結婚したことや騒動に巻き込まれたことに怒りはしたものの、アラタの心情、立場に理解を示し、アラタの要請に応じた。
アラタの父親の死後に再婚、離婚を繰り返したのはあくまで『金のある男を捕まえることで、将来アラタに介護などで苦労させないためだった』とあくまでアラタのためであったと主張し、反省はしていない。
一方でネグレクト気味でアラタに寂しい思いをさせたことは内心認めており罪悪感を抱いている。また、最も愛していたのは死別したアラタの父親であると語っており、その面影を持つアラタを愛おしく思っている。児童相談所職員という心労の多い職務についているアラタを心配している。
アラタの父親
故人。アラタの回想にのみ登場している。トラック運転手で髭を生やしていたが顔立ちは成人後のアラタによく似ている。アラタが小学校3年生の時に交通事故で死亡した。
愛妻家であり、妻の綾子に心底惚れていた。また、アラタの回想から子煩悩であった様子も窺える。
顔に似合わずロマンチストで『女房というものは本当は天女で永遠に若くいられるが、夫と結婚することで止まっている時を動かして一緒に歳を取ってくれる』という自論を持っていた。彼のこの口癖が意外なところで真珠の謎を解くきっかけとなる。
平井
真珠が小学校2年生から過ごした児童養護施設『しらなみ園』の園長。温和な雰囲気の中年女性(全体的にもたいまさこに似ている)。真珠が事件を起こした動機を探るために訪れたアラタに幼少期の真珠や真珠の母親の様子を語る。また、真珠の美しい歌声を唯一聞いた人物。
真珠の母親の亡き後、真珠に資格を取る事を勧め、看護高等学校への進学を後押しした。真珠については『不愛想だけど人殺しをするような子ではないと思う』と語る。
須藤
○×区の児童相談所職員。丸顔で童顔の人の良さそうな中年男性。過去、真珠母子を担当していた。真珠の母親である品川環について知る数少ない人物。
環についてアラタから尋ねられると『普通だった』と答え、真珠がネグレクトで保護されたものの『この親子ならやり直せると思った』と語り、母子の間に確かな愛情があったことを語った。また、環が真珠を太らせていた理由について『目鼻立ちが整っていた真珠が変な男に目を付けられないようにするため、わざと見栄えを悪くしていたのではないか』と推測している。
品川環
真珠の実の母親。物語開始時には既に故人。女手一つで真珠を育てていたがネグレクト気味で、真珠が小学校2年生の時に宮前の通報がキッカケで児童養護施設に保護されて以降は引き取ることはせずに離れて暮らしていた。平井曰く、若くて美人だったとのこと。夜の店で働いていた。
真珠に対して無関心だったわけではないようで、児童養護施設で過ごす真珠の面会に頻繁に訪れていた。しかし、面会時に金を渡して『何か食べなさい』と言うように真珠の栄養状態をやたらと気にする一方で、歯の治療や教育には無頓着である等、親としてどこかアンバランスだった様子が児童養護施設、しらなみ園の園長、平井から語られている。
また、担当した児童相談所職員の須藤からは『よくいるオドオドした自信のない無責任な母親』と語られる。子供にはカロリー価が高いものを食べさせておけば良いと考えたり、虫歯の治療の必要性を理解しない等、だらしなく知恵や生活力に欠く一方で真珠と一緒に楽しそうに歌を歌い可愛がる等愛情を注いでいた。
真珠が中学生になってすぐにくも膜下出血で死亡した。
控訴審3回目で桜井検事により当時の交際相手であった三島正吾と写っているスナップ写真が提出され、その当時の環は黒髪のボブヘアーといった清純な雰囲気の、八重歯が特徴的な美少女であった。しかし、見た目とは裏腹に奔放な性格で三島と交際しながらも他の男性と関係を持つことがあったことが検察から語られた(桜井検事からは”発展家”、アラタからは”清楚系ビッチ”と称されている)。
さらに、真珠の回想から、幼い真珠に『歯の治療をしてしまうと大好きな真珠の歌声が失われてしまう』と嘘を吐き歯の治療を阻止していたことが明らかになる。また、真珠にパックのごはんとツナ缶だけを渡して平然と一週間帰ってこないといったネグレクト行為をしていたことが明らかになった。しかし、一方で真珠からは『良い母親になろうとした』と評され、アラタの母、綾子からは『母親として努力をしていたのではないか』とプロファイリングされいる。
石川県七尾市出身で、幼少期に両親と死別し遠縁の家で育った。そのためか温かい家庭に憧れており、学生時代の文集には『将来は素敵なお母さんになりたい』と書いており、赤ちゃんを抱いたイラストを描いていたりしていた。高校を卒業すると交際相手で会った三島正吾と共に上京し、間もなく真珠を出産するも三島正吾と籍を入れることはなく別れ、シングルマザーとなった。天体や星座を好み詳しかったことが真珠から語られる。
記者
『週刊実はね、』の記者を名乗る、貼り付いた様な笑みを浮かべた40代位の男性。控訴審2回目で真珠に対して存在をアピールするような行動に出たアラタを見ており、休憩時間中に『あなたが品川真珠の結婚相手の夏目さんですか?』と尋ねて来る。
咄嗟にアラタが否定し、また一緒にいた藤田が機転を利かせて彼を”栗林君”と呼んだため、いったんは立ち去ったものの、まだアラタを疑っている様子を見せ、その後アラタと藤田を尾行するも撒かれてしまった。
一戸建てに住んでいた若い子連れの夫婦
事件当時真珠が住んでいたアパートの近くに新築の一軒家を建てていた子連れの夫婦。建設の進捗状況を見に来ているところを偶然居合わせた真珠に見られていた。まだ赤子であった息子を抱っこ紐で抱えて優しそうな笑顔を浮かべる妻と、職人たちに親切に飲み物を差し入れている夫の様子は、真珠から”ボクには一生縁のない素敵な家族にかわいい家”と評され嫉妬され、腹いせに家の基礎の下に二人目の被害者の右足を埋められた。
その後2年以上の間、何も知らずに完成した家に住み続けていたが、控訴審2回目直後、真珠が右足の在処を告白したことで、突然床下を掘り返されることになった。
刑事がやって来た時に家にいた妻は令状を見せられ困惑しながらも息子を連れて警察の用意した車両に乗せられていった(具体的なことは不明だが、おそらく事情聴取のために任意同行を求められそれに応じたと思われる。証拠隠滅の共犯である可能性もあるため…)。夫の方は仕事に出ていたものの、妻から連絡を受け慌てて帰宅し、警察職員に『犯人に会わせろ』と叫び怒りをあらわにしていた。
この様子を見ていたアラタからは『仮に修繕費や建て替え費を警察からもらったとしても、もう住みたいとは思えないだろう。さらに引っ越したくてもこの家は”事故物件”ということで安く買い叩かれてしまうだろう』と同情された。
タム
外国人の少年。日本の小学校に通っているが周囲とうまく馴染めず、また父親がいなくなってしまったことで荒れておりケンカを繰り返している。かなりの長身で小学校に通っているが桃山曰く実年齢は14歳か15歳で、戸籍がいい加減なため正確な年齢がはっきりしていない。心情をよく理解してくれるアラタには心を開いており、定期的に母親と共に児童相談所に訪れている。
村井淑子
相沢純也の遺族についているベテランの女性弁護士。ショートカットの上品な婦人。遺族のケアを献身的に行う。死刑制度については存置派…つまり賛成派であるが、確定死刑囚に手紙を送り交流を持つなど死刑囚の心のケアも行っており、『裁判はゲームじゃないから判決後もちゃんと被告に向かい合うべきだ』と主張している。
アラタが宮前を通して相沢純也の遺族への面会を求めると快く応じ、相沢純也の父と共にアラタと面会した。
神波夏子
神波裁判長の娘。真ん中分けの黒髪のセミロングの女性。OLをしている。父親である裁判長のことはおちょくったりしつつも仲は悪くない。品川ピエロの裁判について興味を持っている。化粧前と化粧後でかなり顔が変わる。
神波の妻
神波裁判長の妻で、夏子の母。口元にホクロがある女性だが、未だハッキリと顔は描かれていない。世間からは神波とはオシドリ夫婦であると思われているが、神波から『金と生活のためにある”嘘”を吐き続けている』と思われておりずっと観察をされている。
マサルくん
アラタの高校時代の友人。アラタからは『微妙な顔のくせにイケメン気取り』と評されており、アラタに対しては下手に出ていたものの、女性に対しての押しは強く、かわいい彼女を持っていた。しかし、何らかの悪さをしてトラブルに巻き込まれ、知り合いから金を借りまくった挙句逃げる様に地元から姿を消した。
控訴審3回目で証拠として出された高校時代の三島正吾の写真と雰囲気が似ていたことからアラタに思い出された。
アラタの元カノ(マスク)
複数いたアラタの過去の交際相手のうちの一人。明るい髪色のロングヘアーで鋭い目つきのヤンキー風の女性。大体マスクをしている。現在は3人子供がいる。
複数いたアラタの元カノの中でも回想での登場頻度が高く、比較的交際期間が長い、あるいは印象深かった相手であると思われる。他の歴代彼女達と共に『話っぷりはバカで疑問を持っても洞察ができない』と評されているが、女性に対して真剣に向き合おうとしないアラタに対して『このまま自分達の関係はダメになる』と危機感をもって対話を持ちかけており、それが果たせなかったため別れた経緯がある。
しかし、現在でも友人として関係は続いているようで、真珠からの宿題に悩むアラタにアドバイスしたり、フードコートでばったり会った際には信頼して買い物の間の子守を頼んだりしている。
品川家の老人
石川県七尾市にある品川家の男性。幼い頃に両親と死別した真珠の母、環の育ての親にあたると思われるが、環とは疎遠であったようで、環の死の直後に真珠が一人でやって来た際も『環と親戚だとはいえ、元々は遠縁だし、環の娘だと言われてもどうしようもない』と考え、真珠に対して一応一泊だけするか尋ねたものの素っ気ない態度で接した。
真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
→徹底考察&推測【漫画 夏目アラタの結婚】品川真珠の正体&秘密の全貌は!?そして、物語の結末・ラストは…(49話時点)