【漫画】金魚妻~出前妻②【感想・ネタバレ・考察】夫の実家の優しさに気付いた杏奈…しかし、五味田との関係が夫にバレてしまい…

金魚妻3巻表紙

この『出前妻』も『金魚妻』についで反響があったためか、続編が出ている。

夫であるあつしの実家で同居し、蕎麦屋の仕事を手伝う杏奈は真面目に働いているものの、常連客である敦の元カノ、祥子をちやほやするあつしの家族達に疎外感を抱いており、また不妊であることに苦しんでいた。杏奈はその心の穴を出前先の常連客、五味田と関係を持つことで埋めていた。

夫、あつしは今の環境が杏奈にとって良くないと気付いており、引っ越して不妊治療に専念することを杏奈に提案する。喜ぶ杏奈であったが、五味田から『杏奈ちゃんのことが好きになった』と言われ心が揺れるのであった…。

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Contents

出前妻②のあらすじ・ネタバレ

杏奈は五味田との情事後の姿を、五味田がコーチするサッカーチームの小学生、祥太に見られてしまう

雨のため、出前先である五味田の家で雨宿りしていた杏奈。不倫関係になっていた五味田に杏奈はもうすぐ夫、あつしと共にこの町を出て行く事、そこで不妊治療に専念することを告げるが五味田から『杏奈ちゃんのことを好きになった』と言われ動揺する。そして雨が上がったため帰ろうとするも、『晴れ間は一時のもので、すぐにまた崩れる』と引き留められた。

一方、その頃、昼の営業が終わった蕎麦屋”岡崎庵”ではあつしが元カノの祥子に誘惑されていた。あつしは『杏奈とは死ぬまで一緒に居たいと思っている』と言うが、祥子から『私に気持ちが戻るのが怖いんじゃないの?』と問われると何も言えないのであった。

…そして、結局五味田の言う通り、晴れ間はすぐに終わりまた豪雨がやってきた。帰るタイミングを失った杏奈はそのまま五味田に抱かれる。

「あんな家族捨てちゃえよ」
「杏ちゃん」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

行為中、杏奈にそう言う五味田。”岡崎庵”のために身を粉にして働く杏奈を差し置いて、頻繁に客としてやってくる祥子をちやほやするあつしの家族。里帰り中の妊婦のあつしの妹の里美にいたっては『祥子ちゃんとしまいになりたかった』とまで言った。

しかし、杏奈は『そんなこと言わないで』と言い返し、避妊をしなかった五味田に怒る。五味田は『今夜旦那ともやって誤魔化せばいい』と悪びれず、杏奈は『最低』と叫ぶ。

そんな中、突然五味田の家に一人の小学生の男の子が駆け込んで来た。半裸だった杏奈は悲鳴を上げるが、同じく下半身に何も身につけていなかった五味田は『雨でパンツまで濡れちゃったんだ、入る時はノックしろ』と冷静に誤魔化す。

”祥太”というその少年は五味田がコーチを務めるスポ少サッカーチームに所属している近所の子であるという。祥太は今日の練習の有無を確認しに来たのだ。

五味田は練習は中止だと告げるが、祥太は杏奈に『五味田コーチの彼女さんですか?』と笑顔で尋ねる。杏奈は慌てて否定するが、五味田は『うん』と答える。

小さい町だ。祥太に顔を覚えられでもしたら大変だ…そう思った杏奈はまだ外は大雨であるにも関わらず外に飛び出しバイクに股がる。そんな杏奈に五味田は『家にいられなくなったら俺のところに来な』と親指を立てる。バイクを走らせながら『バカ』と吐き捨てる杏奈に『旦那の家族の前でも今みたいにガツンと言いなよ!』と笑うのであった。

その後、五味田は祥太から『ドリブルが苦手で次の試合のサイドハーフの役目をこなせる自信が無い』と相談を受ける。それを聞いた五味田は『人は与えられた役割をこなそうとしてしまうもので、祥太は無意識に周りから決めつけられた”ドリブルが苦手キャラ”を演じてしまっている』と指摘する。最近見たテレビ番組の受け売りだったが、祥太は感心する。すると、五味田は杏奈のことを思って『本来なら気の強い元気な女でも”夫の実家の蕎麦屋でかいがいしく働く健気な嫁”という役目を与えられたら、それらしく振る舞ってしまうのだろう』と言う。

祥太には何のことかよく分からなかったが、五味田にこう尋ねる。

「それを壊すのがコーチの役目ってことすか?」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

祥太にそう言われた五味田は『かっこいい事言うな』と喜ぶのであった。

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店に戻った杏奈は夫あつしを口説く祥子に毅然とした態度を取る

その後、杏奈はびしょ濡れになりながら”岡崎庵”に戻って来た。家の方ではあつしの祖父も父も妹の里美も昼寝しており、杏奈はそっと店の中に入る。すると、そこには祥子に後ろから抱きしめられたあつしの姿があった。

咄嗟に物陰に身を隠した杏奈は二人のあつしと祥子の会話を盗み聞く。祥子はあつしに抱き付いたまま『私たちはいつもタイミングが合わない』と言う。高校時代に付き合って別れた後、あつしに恋人がいないときには祥子に恋人がいて、祥子に恋人がいないときにはあつしに恋人がいて…ということを繰り返してきたと。

『こういうことはやめてほしい』というあつしに祥子は『真面目だなー』と笑う。そして、『仕事に戻らなくていいのか』と問われると『自分は成績トップだから誰も文句を言わない』と答える。

「私…悔しいの」
「私が座るはずだった席を偶然近くを歩いていただけという人に盗られてしまったみたいで…」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

濡れたまま盗み聞いていた杏奈は心細い気持ちで体育座りをする。五味田には『ガツンと言ってやれ』と言われたがそんなことは出来そうにもない。

しかし、杏奈を邪魔者扱いする祥子にあつしは『おれが杏奈と妥協で結婚したと思ってるんだな』と言い、こう続ける。

「杏奈は俺が惚れて何度も何度も交際を申し込んでやっとの思いで結婚できた相手だよ」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

あつしのその言葉に自信を取り戻した杏奈は意を決して『ただいま』という声と共にあつしと祥子の前に姿を現した。動揺した様に祥子を振り払うあつし。しかし、杏奈は淡々と『入口ののれんが下がってなかった』と言い、祥子に『どうぞ』と微笑み戸口に向けて手で出ていくように促す。

だが、祥子もそれ位のことでは怯まず、微笑みながら『今日里美ちゃんが『祥子ちゃんと姉妹になりたかった』と言ってたのを気にしないでくださいね』と嫌味を言って去っていく。

その後ろ姿を見送った杏奈は『祥子さんに舐められてる』と落ち込む。あつしは『祥子は杏奈のことを知らないから…』と言って慰めるのであった…。

その後、昼寝から覚めた里美は杏奈の姿を探していた。里美は昼間祥子に『祥子さんと姉妹になりたかった』と言っているのを杏奈に聞かれたことを流石にまずかったと思っており、謝罪しようとしていたのだ。父親は『杏ちゃんはそんなことで怒る子じゃない』と笑い飛ばすが、それを二人の会話を聞いていた祖父が叱り飛ばす。

祖父はあつしから『杏奈と不妊治療のできる病院がある町に引っ越したい』と打ち明けられていたのだ。『杏ちゃんの優しさに甘んじおって、馬鹿たれが。杏ちゃんがいなくなったら…』と震えるのであった。

杏奈とあつしの馴れ初め…旅先で出会った杏奈に熱烈なアプローチをしたあつし

雨で濡れてしまった杏奈はあつしと共に風呂に入った。杏奈は五味田に言われた通りに積極的にあつしを誘う。そして、あつしと抱き合いながら馴れ初めを思い出すのであった。

杏奈とあつしが出会ったのはある東南アジアの国だった。水に慣れず3日でめげそうになっていたあつし。そんなあつしに既に1か月滞在していた杏奈は胃腸薬を瓶ごとくれたのだ。

『女性の一人旅は危険なんじゃないのか』…そう心配してきたあつしに杏奈は『危険です』と笑いながらもこう答える。

「この度で私はどこででも生きていけるっていう自信をつけたいんです」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

そうハッキリ言った杏奈にあつしは強く惹かれた。そして、土産を持ち帰るために荷造りに難儀していた杏奈に『土産は自分が預かる』と申し出た。杏奈は何度も断ったがあつしが食い下がらなかったため、結局は折れて荷物を預けて先に帰国した。その後、あつしが帰国するのを待って”岡崎庵”を尋ねると、あつしの家族は杏奈を恋人だと思って歓迎し、あつしも終電が過ぎるまで杏奈を帰そうとしなかった…それが杏奈とあつしの馴れ初めであった。あつしの家族は『こんなに強引なあつしは初めて見た』と言った。

しかし、結婚して3年経つのにあつしと杏奈の間に子どもは出来なかった。二人で病院のスクリーニングテストを受けた結果、杏奈の子宮があつしの精子を異物と認識して殺してしまっていることが発覚した。そして、頻繁にやってくる祥子の影に自分の足元が崩れてしまうような不安感に襲われるようになり、あつしと正反対のタイプの五味田を心の支えにする様になったのだ。

五味田は避妊をしない。しかし、あつしと同じ血液型だ…。杏奈はそんな打算をしてしまう自分を嫌悪し罪悪感を抱きながらも五味田で日々の空虚さを埋め続けていたのだ…。

杏奈が風呂から出ると里美が『ちょっといいですか』と声を掛けて来る。里美が杏奈に言った事…それは意外な事であった…。

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里美達から意外な言葉を掛けられた杏奈は安堵すると同時に強い罪悪感を抱く

そして、夕方になった。雨は弱まるどころか強くなり、家から外の様子を見ていた五味田は呟く。

「もう一荒れくるか…?」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

豪雨であるにも関わらず”岡崎庵”は込み合っていた。しかし、この時は身重の里美も店に出てオーダーを取っていた。心配する杏奈に対して里美は『ちょっとは運動しなくちゃ』と笑いはりきって働く。

すると、扉が開いた。杏奈は振り返りながら『カウンターでいいですか?』と声を掛けてハッとする。

入って来たのは子供を2人連れた祥子でだったのだ。小学生くらいの男の子は帽子を目深に被り、ゲームをしており、乳児の女の子は祥子の腕に抱かれている。昼間来たにも関わらずまたやって来た祥子は高圧的に『座敷用意して』と言い放つ。

たじろぎながらも『座敷にはもうすぐ予約のお客様が来る』と告げる杏奈。すると、祥子は杏奈を鼻で笑い、『里美ちゃん、おじさん!』と声を張り上げる。そして、やってきた里美に『子供も一緒なのにカウンターしかないって言われちゃって…』とすがるように言う。だが、里美は『ごめんね、祥子ちゃん』と笑いながらもこう答えるのであった。

「杏奈さんの言う通り座敷は空いてないの!ほんとごめんね!」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

その里美の言葉に祥子は驚き目を見開く。

…時間は少し遡る。昼過ぎに風呂から上がった杏奈は里美から『話がある』と声を掛けられた。それは、祥子に関することであった。

『祥子ちゃんは男癖が悪くて地元の女性達から嫌われている』…そう家族の前で話し始めた里美。里美は自分の夫を絶対に紹介したくないと言い、実はあつしの祖父も祥子に高い健康食品を買わされそうになったことがあると打ち明ける。

それでも自分達は接客業をする上、客として来た祥子を邪険にすることはできない、ついつい過剰に褒めすぎることもあるかもしれない…そう語る里美。しかし、ハッキリこう言い切る。

「お兄ちゃんはもちろん おじいちゃんもお父さんも私も」
「一番大切なのは杏奈さんだから」
「それは信じて」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

里美がそう言うと一緒に聞いていたあつし、父、祖父も杏奈に微笑みかける。

杏奈は思わず涙を流した。しかし、それはただの安堵の涙でなかった。

自分の居場所はちゃんとあったのに、家族を裏切ってしまった…その罪悪感と後悔から流した涙だったのた…。

裁きは突然に…杏奈と五味田の関係は突然にバレてしまった

里美が自分の肩を持ってくれたことを驚き喜ぶ杏奈。一方、カウンター席に通された祥子は不機嫌になる。そんな祥子を顔見知りらしき女性客たちが『祥子ちゃんまた離婚したんだって』『怪しいパー券や健康食品を売りつけてくるから仲良くしない方がいい』と噂する。それが耳に入り居心地悪くなったのか、祥子の息子は俯いて『トイレに行ってくる』と席を立った。そして、近くにいたあつしに『トイレどこですか?』と尋ねた。そして、蕎麦を運ぶために横を通った杏奈と目が合った少年はちょっと嬉しそうにこう言った。

「……あれ…?」
「五味田コーチの彼女」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

帽子を取りながら笑顔で杏奈を指差した祥子の息子…それは昼間、五味田の家で出くわしてしまった祥太だったのだ。

ちょうどその時、里美が産気付いて店は騒然としていた。しかし、祥太のその発言は杏奈の真後ろにいたあつしにはしっかりと聞こえてしまい、あつしは呆然とする。杏奈は振り返ることが出来ないなであった…。

裁きは突然に…

金魚妻 黒澤R 出前妻②

その頃、一人家から外を眺めていた五味田は大きな雷が落ちたのを見て驚くのであった…。

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五味田の元に掛かってきた杏奈からの電話…あつしに不倫がバレた杏奈は…

それから数日後、スポ少サッカーチームのコーチをしていた五味田の携帯に突然杏奈から電話が掛かってきた。今まさに試合の真っ最中で祥太が見事なパスを決めたところだった。

子供達を応援しながら淡々と世間話をする五味田。里美が無事に出産を終えたこと、杏奈が愚痴っていた祥子が、サッカーチームの保護者達から嫌われ者の祥太の母親と同一人物で驚いたこと、今保護者達の話題は“祥子が蕎麦屋の旦那に振られたこと”であることを語った。

電話の向こうの杏奈は『そっか、ふふふ』と笑い声を上げながらも『あれから大変だったんだよ』と言う。そんな杏奈に五味田は『今どこ?』と尋ねる。

「ホテル…」
「服も靴もぜんぶ隠されちゃって外に出られないの…」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

そう答えた杏奈は全裸でカーテンの隙間から外を見ながら電話をしていた。足首には繋がれた様なが残っている。

全てを知ったあつしは杏奈と共に車で里美の産院に行き赤ちゃんを見に行ったものの、その後ホテルに向かいそのまま杏奈を監禁し続けているのだ。

『こんな目に遭うのは一人海外でバックパックしてた時以来』とのんびり言う杏奈に五味田は『助けを求めているのか』と聞く。しかし、杏奈は後ろを振り返りながら慌てて『違うの、違う…』と答える。

「お店…いつ戻れるかわからないから…」
「しばらく出前はお休みします」

金魚妻 黒澤R 出前妻②

そう言った杏奈の背後にはあつしが居るのであった…。

以下、感想と考察

不倫がバレてサスペンス展開になった出前妻

この出前妻、前の①で終わらせた方が余韻が残って良かったんじゃないかと 蛇足感は否めないものの②も何だかんだ面白かったり。

しかし、不倫がバレて突然サスペンス調に。全裸でホテルの一室に監禁って…あつし…。普段真面目な人の方がキレると怖かったりするよね。でも、小学生の祥太の発言位だったら上手い事誤魔化せたんじゃないかなとか思ってしまったり。

ラストでの杏奈の様子からして、自ら進んで罰を受けた感じがする。本気で逃げようと思えば逃げられるわけだしね。

あつしの家族が反省している様には思えない件

しかし、それにしても前から思っていたけど、この蕎麦屋、女手は杏奈しかいないよね。あつしの家族もあつしの父と祖父という…。そんなところに里美わざわざ里帰りしてきたのか…?その上みんなお店を回して忙しいのに。それなのにここに里帰りしてきたのはなんか杏奈をあてにしてるんじゃないかと邪推してしまう。

大体『実はあつしの家族はいい人達でした』みたいな雰囲気になっているけど、彼らが反省したのはそれも結局『あつしと杏奈に出て行かれたら店がやばいから機嫌取っておこ☆』みたいな感じがしてちょっと…。祥子のことをちやほやしてたのは『お客さんに悪い扱いはできないから』とか言っているけど、そのせいで①では『常連客との慣れ合いが酷い』と低評価レビュー付けられたりしているわけで…。祖父の『杏ちゃんがいなくなったら、わし…』と言う言葉の後に来るのは『困るわ』じゃないのかな。

やっぱり、取って付けた様な言い訳にしか聞こえず誠意を感じられないよ…。

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