【漫画】まんがグリム童話 金瓶巻44巻・最新刊【感想・ネタバレ・考察】ついにあの女が復活!?…西門家に忍び寄る長春花の影…

金瓶梅44巻表紙

『妖しい目をした女人にばかり惹かれてしまう…』そう悩む第一夫人、呉月娘の兄、慈生のために縁談を用意した西門家。縁談は中々成立しなかったものの、慈生は妹の月娘とよく似た清廉な美しさを持つ娘、張澄清に惹かれ結婚した。しかし、詩歌を作るのが趣味という澄清は詩を詠む際、妖しい目をするのであった…。

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→【漫画】まんがグリム童話 金瓶巻43巻【感想・ネタバレ・考察】周家で勃発する女の戦い~春梅に嫌がらせをする于英と取り入ってのしあがろうとする巧二児

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【総評】まんがグリム童話 金瓶梅【既刊44巻】~あれ?面白い?レディコミを侮るなかれ【感想・あらすじ・少しネタバレ】ラスト・結末は?

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Contents

以下、あらすじとネタバレ(感想あり)

197の巻~詩会を開くことになった西門家の妻達…一方、月娘の兄、慈生は妻となった澄清を抱くことが出来ず…

第一夫人である呉月娘の兄、慈生と張澄清の結婚式が無事に終わった事で、縁談を用意した西門家にもやっと落ち着きが戻って来た。

そのため、かねてから第三夫人の孟玉楼が望んでいた『みんなで詩歌を作りたい』という希望が通り、金蓮もその発表会のために苦手な詩歌を作る事になった。『手伝って下さいませ』と甘える金蓮に『私は恋文以外詠まないから』と笑って答える慶。

そんな風に睦言を交わす中、慶は金蓮に『慈生は金蓮の様な妖しい目の女人に魅かれてきたが、そんな女達と結婚したら身が破滅すると悩んでいた』と話す。

それを聞いた金蓮は、初めて会った時に慈生が逃げるように去っていたことを思い出し、『つまらない男』と内心笑う。そんな男にはお膳立てされた良家の子女がお似合いだと思うのであった。

一方、新婚の慈生はある悩みを抱えていた。それは、妻となった澄清との”夜の生活”のことであった。勢いで初夜は済ませたものの、翌朝隣で寝ている澄清を見た慈生は思わず『うわあ』と声を上げてしまう。何故ならやはり澄清は妹である月娘に似ていたからである(…絵的にはあまり似ていない気がするのだけど)。それ以降、慈生は『仕事が忙しい』と言い訳して澄清と夜を過ごすのを避けているのだ。澄清は寂しそうに笑って『分かりました』と答えるが、慈生は『このままでは子どもも望めず、澄清にも愛想を尽かされてしまう』と焦るが、『こんな事は妹の月娘はもちろん、誰にも相談できない』と悩むのであった。

一方、一人寂しく夜を過ごす澄清は夜空を見て『一人寝の寂しさに夜の目玉を抉ってかざす』という不吉な詩を詠む。その時、澄清の目が妖しい光を帯び始めるのであった…。

そして、西門家ではついに奥方達の詩歌の会が開かれた。初回の幹事は言い出しっぺの第三夫人孟玉楼で、彼女は縁起が良いからと5人しかしないが回の名前を”六花(りくか)の会”にしようと言い出す。更に玉楼は皆各々雅号を付けようと提案する。

月娘以外は内心面倒くさいと思いながらも最終的には同意し、月娘は”月桂麗君”、第二夫人の李嬌児は”金銀珠豊”、第三夫人の孟玉楼は”紫薫妃子”第四夫人の孫雪蛾は”美味老農”、そして第五夫人の金蓮は”花鬼龍人”という雅号で詩歌のお披露目をしていく。

初めての”六花の会は”嬌児が堂々と李白をパクったりしながらも恙なく終わり、次回の幹事は月娘が務めることになった。

…しかし、『自分は仕事の書類も判子を押すだけで目を通していない』と言い切る慶の潔さと言ったら。

あと金蓮が”六花の会”という名前に難色を示したのは、”六”と聞くと第六夫人であった瓶児を思い出してしまうからかな…なんて思ったり。そして、雪蛾姐さんの雅号が相変わらずな感じで好き。本当に食べ物の事しか頭にないんだなあ…。

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巷で繰り返し起きる少女の惨殺事件~その死体の様子は澄清が詠む詩と似ていた

そして、西門家の妻達が優雅に詩歌を楽しんでいた頃、巷では首を切り落とされた少女の死体が見つかる。椅子に縛り付けられた死体の前には潰された頭蓋骨が散乱しており、千戸(警察)の指揮を執る慈生は妙な引っ掛かりを感じる。以前から定期的に身なりの良い娘が惨殺される事件が起こっており、被害者達は皆顔が潰されているため身元が分からず迷宮入りになっているのだ。『犯人は同一人物なのではないか』という勘を持っている慈生であったが、今回の死体の様子に何故か既視感を抱いていたのだ。

夜になりそっと家に帰った慈生。新妻澄清は詩歌を詠みながら慈生の帰りを待っていた。『心が動くと詩歌を作ってしまう』と照れ臭そうに言う澄清を慈生は抱きしめるが、それ以上のことは出来ない。その晩も『仕事が残っている』と言って寂しそうな澄清を先に下がらせるのであった。

このままではマズイ…そう思った滋生は恥を忍んで妹の月娘の夫である西門慶に相談しに行った。『澄清が妹の月娘と似ているため営みが出来ない…』その相談に慶は驚きながらも悩める義兄に『灯りを消して後ろから抱けば良い』というシンプルな助言をする。早速、慶のアドバイスに従った滋生は無事に澄清を抱くことができた。

慶にお礼を言いに西門家を訪れた慈生は月娘から詩会の話を聞き、『澄清のことも是非誘ってやってくれ』と言う。

帰宅した慈生は澄清に西門家で詩会が開かれていることを告げ、『遊びに行っておいで』と言う。嬉しそうに微笑み礼を言う澄清を愛おしく感じた慈生は抱きしめ、『二人で幸せになろう』と言う。

すると、澄清は突然『私の心を震わせる罪深い舌は引き抜いて戌に食べさせよう』という不吉な歌をそらんじる。驚く慈生に澄清は『つい心が動いて詩を…』と言うが、一瞬澄清の目が妖しく輝くのを見逃すのであった。

そして、次の西門家の詩会に澄清がやってきた。各自が好きな雅号を名乗っていると知った澄清は”冥界公主”と名乗る。『ぶっそうな響きだ』と思う金蓮は一瞬、澄清の目が妖しい光を帯びたのを見逃さなかった。

―この目は…

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 39/235

一方、その頃慈生はまた娘の死体を目にしていた。今度の死体はずいぶん前に殺されたものの様で、白骨化しているだけでなく、体中に花の種が埋められていたのか、全身に花が咲いていた。おぞましいのか美しいのか分からない死体…それを目にした慈生はやはり何か引っかかるものを感じるのであった。

その後、帰宅した慈生を澄清が温かく迎え、西門家の詩会に行ったこと、それがとても楽しかったことを伝える。嬉しそうな澄清の様子に顔をほころばせる慈生であったが、澄清が『お題が”庭の花”だったので、昔作った詩を出した』『口に、胸に、体に花を咲かせ、私を花で埋め尽くして欲しい…』と言うと、慈生は顔色を変える。その歌はあまりに昼間に見た死体の様子に似ていたのだ。

慶のアドバイスが慈生の悩みを解決。慶が役に立つなんて珍しい。

198の巻~澄清に疑念を抱いた慈生は金蓮からあるアドバイスをもらう

『口に花を咲かせ、胸に花を咲かせ、体に花を咲かせ、私を花で埋め尽くして欲しい…』慶と閨を共にしながら、詩会で澄清が披露した詩を口にした金蓮。第一夫人の月娘と似た楚々とした雰囲気の澄清からは想像できない激しい情念と色気を感じさせる詩を気に入ったのだ。

一方、その頃慈生は澄清が過去に作った詩を読んでいた。澄清が作ったというその歌があまりにも少女の死体の様子と似ていることに気付いた慈生は『とてもいい詩だ、過去の作品も見せてほしい』と頼んだのだ。澄清は喜んでそれに応じたのだ。

その結果、澄清の詩はどれも過去の少女殺害事件の死体の様子を彷彿させるものであった。慈生は動揺し、『偶然、考えすぎだ』と自身に言い聞かせるものの、澄清の顔をまともに見ることが出来なくなってしまうのであった。

悩んだ慈生は再び西門家を訪れた。慈生は妹の月娘に『もっと澄清の人となりが知りたいから協力してほしい』と頼むが、月娘からは『それは夫婦で交流を深めて知っていくものだ』と言われてしまい、詳しい事情を話すわけにもいかずがっかりしながら屋敷を後にしようとする。ところが、そこで金蓮と出くわしてしまった。

妖しい目の持ち主である金蓮にドギマギする慈生であったが、金蓮が顔を隠すと普通に話す事ができた(単純)。金蓮はからかうつもりで慈生に『澄清さんのことで相談しに来たのでしょう』とはったりをかけるが、慈生の反応から量らずも図星をついたこと気付き、こう言うのであった。

「無理もありませんわ 澄清さんは私と同じくあなたを破滅に導く「妖しい目」の持ち主ですものね」
「澄清さんは心が動いて詩をうたう時そういう目をなさいます」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 52/235

そして、金蓮は迷いから澄清の顔をまともに見れない慈生に手鏡を渡す。

「よく映る手鏡ですわ」
「これでこっそりごらんになって」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 52/235

そう言われた慈生は金蓮に礼を言って立ち去る。ずっと澄清については妹の月娘と似ていると思うばかりで、一人の女性として見ようとしていなかったことに気付いたのだ。そんな慈生を金蓮は『果たしてあなたは”あの目を持つ女”と添い遂げることが出来るのか』と笑って見送るのであった…。

その晩、慈生はわざと澄清の前で事件についての調書を落す。『残酷な事件の物で、絵図も入っているから見ない方が良い』と慈生が言うも澄清は興味深そうに読み、花に囲まれた白骨死体の図を見ると、『愛しい人から便りが届き、大事に育んだ花の種が胸を突き破って咲いた』と歌い出す。慈生が『心が動いたのかい?』と問うと澄清は『はい』と答えた。

手鏡越しに澄清の様子を盗み見た慈生。その時、澄清はあの”妖しい目”をしていた。

平静を装う慈生であったが、一人になると苦悩する。

―あの目だ
澄清はあの「妖しい目」の持ち主だ

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 57/235

今になって気付くなんて…と落ち込む慈生。とっさに詠んだ詩も以前詠んだものの続きの様で、まるで死体に埋めた種の花が咲いたことを喜んだようなものであった。しかし、澄清は妻として申し分のない状態で、本当に例の事件と関係しているかも分からない。

『もし澄清が道に外れたことをしているのだとしたら自分が正さねばならない』…そう思った慈生は澄清を見張ることに決めたのであった。

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猟奇事件の犯人であることを認めた澄清は自ら命を絶った…しかし、澄清の身には…

それから数日後、また西門家の詩会の日がやってきた。しかし、澄清は『詩の出来がよくない』と浮かない顔をしている。慈生が『見てあげようか』と言うと、『旦那様には見せられません』と言う。そして、西門家まで送ると言う慈生に対して『一人で詩を練りながら歩いて行きたい』と断る。

一人西門家に向かう澄清は道中愛らしい少女を見つけ、妖しく目を光らせるのであった…。

その後、遅れて西門家の詩会にやってきた澄清は『来る途中で新しい詩が思い浮かんだ』と嬉しそうに言う。そして、『あなたの熱い血潮がしぶきをあげる時、あなたの目が私のために見開かれる時、私はあなたの姿を宝物にする』という相変わらず激しい詩を詠む。

しかし、もう一つ詩を用意してきたという澄清は『こちらは”冥界公主”らしくないから』と言って詠もうとしない。そんな澄清にしびれを切らした嬌児が強引に詩が書かれた紙をひったくって見てしまう。すると、それを見た西門家の妻達は『まあ』と驚く。

「そうねこちらは兄の―いえ旦那様の前でおひろめなさるといいわ」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 64/235

そう優しく微笑む月娘。すると、慈生が澄清のことを迎えに来るのであった。

慈生が迎えに来てくれたことを喜ぶ澄清。慈生に問われ、今日作った詩を詠んでみせる。しかし、慈生が澄清をある道に誘うと顔色を変え、『この道は嫌です』と言い出す。

だが、慈生は淡々と今日澄清を尾行していたこと、そして澄清が見知らぬ少女を連れて目の前のあばら家に入ったところを見ていたことを告げる。慈生があばら家の戸を開けるとそこには大量の血痕が残っていた。

『ここにいた少女は助けた』…そう硬い表情で告げた慈生は『聞かせてもらったお前の詩と状況がそっくりだったが、どう思う』と問う。

すると、

「どう思うって―」
「そんなの私がやったに決まってるじゃありませんか」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 68-69/235

そう妖しい目をして笑う澄清。唖然とする慈生に『小さい頃から女の子を殺すことが好きだった。心が動いていい詩ができるから』『いけないと分かっていても自分で止められない』と語る。

だが、慈生はそんな澄清の肩に手を置き、『私が止めて見せる。お前は私の妻だから一緒に罰を受ける』と言った。

すると、澄清は『私の心を震わす罪深い舌よ…』と詩を詠んだかと思うと、突然舌を噛み切った。必死の形相で澄清の名を呼ぶ慈生。『あなたの目が私のために見開かれるとき、私はあなたの姿を宝物にする』…死の間際、澄清は自身を助けようと抱き寄せる慈生を見て満足げに微笑むのであった…。

澄清の死は表向き『病死』ということになった。呉家の名声を守るため慶も裏で手を回したのだ。『澄清さんのことを見抜けなかった』と落ち込む月娘に慈生は『月娘が気にすることは無い』と言うものの『今回のことで当分結婚には目を向けられない』と零す。それは澄清が遺したある詩のためであった。

慈生が帰った後、月娘は他の妻達に『”冥界公主”が作ったもう一つの詩はなかったことにします』と言い、皆は同意する。

あの日、”冥界公主”…澄清が用意していたもう一つの詩はこうであった。

私の中の小さな瞳小さな手小さな足
雪の積もる頃にあなたの声を聞く
私はあなたに「宝」の名を付ける

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 76/235

…澄清はその身に慈生の子を宿していたのであった…。

…軽い話だと思っていたら、結構後味が悪くて驚いた。澄清がナチュラルボーンキラーなのは分かっていたからどうせ死ぬ流れになるとは予想していたけど、子供を宿していて誕生を楽しみにする詩を作っていたのがなんとも…。

199話~今度は断捨離にハマるトラブルメーカー李桂姐…彼女の裏にはこんまりもどきの尼僧が…

澄清の件の後も西門家では変わらず詩会”六花の会”が続いていた。金蓮や第四夫人の孫雪蛾は詩会に飽きていたが、第三夫人の孟玉楼は『詩を本にまとめたいから』と続けることを訴え、それをドケチの第二夫人、李嬌児は『金がかからないから』と擁護する。他の皆が真面目に詩を作るのに対して嬌児は適当に李白の詩をパクって作っているので気楽だったのだ。

そんな嬌児の元に姪っ子の李桂姐が訪ねて来る

トラブルメーカーの桂姐のこと…きっと金の無心に違いないと警戒する嬌児だが桂姐はこんなことを言い出すのだ。

「お片づけに困っていませんか?みんなきれいにしちゃいますぅ」

がグリム童話 金瓶梅 44巻 83/235

それを聞いた嬌児は何の冗談かと耳を疑う。桂姐は片づけが苦手で以前嬌児の部屋をゴミ溜めと化したこともあるのだ。

しかし、桂姐は『あの時とは違う。試しに片付いていない部屋をひとつ与えてほしい』とまで言う。疑う嬌児であったが、試しに召使の夏花の散らかった部屋に桂姐を通す。

すると、桂姐は物が捨てられないという夏花に『”幾春尼様”直伝の奥義があれば大丈夫』と言い、夏花に『捨てましょう爽やかな明日、私が輝くために』と言わせどんどんものを捨てさせる。桂姐は『自分の人生は自分が主役。片付かないのは”物”に主役の座を奪われているから』という誰かからの受け売りを話す。

桂姐の言う片づけが単なる片づけではなく物を”捨てる”のだということに気付いた嬌児は驚くが桂姐は『いらない物を捨てるのは快感』と言い、夏花も『すっきりしました』と満足そうだ。

困惑する嬌児。しかし桂姐が『捨てた物は全部寺に喜捨する』と言うのを聞くとあることを思いついてニヤリと笑い、桂姐に西門家全体の片づけに協力する様に言う。

めずらしく桂姐が金儲けの役に立つわ

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 88/235

ドケチで銭ゲバの李嬌児の企みはこうだ。桂姐に他の奥方の部屋の片づけ…もとい断捨離をさせ、こっそり金になりそうなものを回収して質屋に売るというものであった。早速嬌児は既に片づけを終えた第一夫人、呉月娘の捨てたものの品定めをするのであった。

一方、西門家の片づけを終えた桂姐は夜になると笑顔である寺を訪れる。

「皆さん元気に捨てていますか?気持ちよく捨てていますか?」
「捨てましょう 最も捨てた者が最高に豊かな者なのです」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 92-93/235

そこには沢山の信者に崇められた”幾春尼”という尼僧がそう説法していた。

慈悲深い様子で桂姐に『今日も上手に捨てられましたか?』と尋ねる幾春尼。桂姐は声を掛けられたことを喜び、『もっとがんばります』と笑顔を浮かべる。

しかし、桂姐や信者たちが去ると幾春尼とその手下の老婆(老爺?)はほくそ笑む。二人は桂姐が西門家の妻の姪であることを知っており、身ぐるみを剥ぐために近づいていたのだ。

その後も桂姐は調子よく、第四夫人の孫雪蛾の保存食も捨てて行く。だが、占いの趣味の第三夫人、孟玉楼は桂姐が古い書物を捨てようとすると泣いて止める。桂姐が玉楼を泣かせたと知った嬌児は流石に桂姐を止め、『玉楼は根に持つから怖い。それよりも金蓮のとこに行った方がいいのではないか』と消しかける。

元々飽きっぽい金蓮は『これももういらない』と桂姐に乗せられてどんどん衣服を捨てて行く。むしろ『新しいものを旦那様におねだりするのが楽しみ』とまで言う。

そんな金蓮に桂姐は『いつもしている耳飾りはそれほど高価なものでもないし捨てた方がいいのでは』と言う。だが、金蓮は『これは大事な思い出の品なの』と答え、桂姐が『思い出なんて心にとどめていれば十分』と言ってしつこく捨てるように勧めると激怒。桂姐の事をビンタして追い出すのであった。

『どうして金蓮姐さんが起ったのか分からない』…そう嬌児の部屋に逃げ込んで来てぼやく桂姐に嬌児は『大事なものだったんでしょう』と諭す。かくいう嬌児もお金が何より一番大事なのだ。しかし、桂姐は『今の自分には捨てられないものはない』と豪語する。桂姐は廓を物で溢れかえらせてしまったときに幾春尼から『物を捨てれば解決する』と教えられ救われたのだと語り、『すごいでしょ』と自慢げに言うが、嬌児は『あたりまえでしょう』と呆れる。しかし、桂姐のおかげで自分も小遣い稼ぎができたこともあり、強く言うことは出来ないのであった…。

…桂姐久しぶりに見た気がする…。そして、このお片づけの仕方のノリといい、どこかで聞いたことがあるなあ…と思っていたけど、幾春尼の見た目といい、やっぱりこんまりがモデルだよね。こんまりを不細工にした感じの幾春尼。

そして、今回の話、やたら桂姐が不細工に描かれているのが気になる。不細工というか適当。全体的にちょっと絵が汚い…?

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幾春尼は桂姐に嬌児を連れて来て財産を捨てさせるように唆す

その後も『皆さん元気に明るく捨ててますか?』と信者たちに問う幾春尼。そろそろ信者たちの喜捨した供物をお焚き上げすると言い、沢山の喜捨を持ってきた桂姐を褒める一方で『あなたの叔母の李嬌児さんは銀子(金)を捨てていない』『最も執着していて捨てられない金こそ捨てるべき』『お焚き上げに全財産を持ってくればあの世で財産を無尽蔵に増やして差し上げると李嬌児さんに伝えて連れてきなさい』というメチャクチャを言い出す。信憑性もない上に矛盾している幾春尼の言葉。しかし、元々アホの子な上、幾春尼を信じ切っている桂姐は喜んでそれを嬌児に伝えに行く。

『あの世でお金が倍になるの、すごいでしょ』と嬉々として語る桂姐に呆れ果てる嬌児であったが、桂姐を守るために『分かった。行くわ』とお焚き上げに同行することを約束する。

しかし、桂姐が去ると嬌児は『ここまでバカだとは思ってなかった。おかしな輩に騙されて』と姪の情けなさに一人泣き出してしまう。すると、それを桂姐のことで文句を言いに来た金蓮に見られてしまう。驚く金蓮に嬌児は打ち明けるのであった…。

そして、お焚き上げの日がやってきた。桂姐に連れられた嬌児は箱を抱えており、『こちらに全財産が入っています。倍にしてくださるというので参りました』と真面目な顔で言う。それを聞いた幾春尼は満面の笑みを浮かべる。

すると幾春尼は集まった信者達に『今日はあなた方が最後まで捨てられないと思い込んでいたものを思い切って捨ててごらんなさい』と言い出し、桂姐をお焚き上げの炎の前に立たせると、桂姐に一番捨てられないものを問う。そして、悩み答えられない桂姐にとんでもないことを言うのであった。

「「命」捨てましょう」
「そしてあの世で不死となるのです」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 113/235

そして、桂姐を炎の中に落とそうとする幾春尼。桂姐は『捨てるのはいいけど捨てられるのは嫌!』と絶叫し、嬌児に助けを求める。すると、嬌児は幾春尼に『桂姐と一緒に私の財産も燃やしてあの世で倍にして下さい』と叫ぶ。幾春尼は『お金は燃やさなくてもいい』と慌てるが、嬌児は箱の中のものを炎の中にぶちまける。

しかし、それは本物の金ではなく紙銭という供養の際に燃やす偽の金だったのだ。火がついた紙銭は舞い上がり、近くにいた幾春尼を襲う。そして、逃げようとした幾春尼はそのまま炎の中に落ち、悲鳴を上げながら燃えてしまうのであった。

それを見た信者たちは『幾春尼は自らをお捨てになった。なんと尊い』と感動し、幾春尼の付き人だった老人に促されると笑顔で炎の中に飛び込んでいく。いつの間にか嬌児と桂姐は逃げており、老人は『肝心の二人に逃げられた。もっと稼げると思ったけどここの“無尽蔵”は移動だ』と残念がりながら姿を消すのであった。

無事に逃げた嬌児と桂姐。嬌児は桂姐に『お金を倍にするという話はロクなもんじゃないのが相場でしょう』と頬を叩いて叱る。そして、泣きながら謝罪し『私を捨てないでくれてありがとう』と感謝する。嬌児はそんな桂姐を抱きしめてやりながら『今までのことを思い出したら私が桂姐を捨てる事が出来ないと分かりそうなものだけど』少し呆れるのであった。

その後の詩会“六花の会”では、嬌児は李白のパクリではなく自身の素直なお金への気持ちを詠った詩を披露する。それを聞く金蓮の頭には新しい豪華な髪飾りをつけていた。古い髪飾りを捨てたと皆に説明する金蓮はそれとなく嬌児に目配せをする。

あの日、嬌児は金蓮に桂姐のことを相談した。紙銭を持っていく案は金蓮が出したものだった。そして金蓮は『相談料は新しい髪飾りで』とそれとなく嬌児を揺すったのだ。

…そして、その頃、幾春尼の付き人をしていた老人はその経緯を幕越しにいる誰かに報告していた。すると、幕の向こうにいる女は笑うのであった。

「まあウフフ相変わらず」
「嬌児さんはお金が好きなのね」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 124/235

…こんまりもどきはアッサリ死亡。付き人の老人はしばらく出てきそうな感じ。嬌児と桂姐の絆が描かれる回だった。そして、ついにあの嫌われ者の女が復活か!?

200話〜絹物商の開く”料理大会”に参加して絹をタダで手に入れようとする金蓮と雪蛾…絹物商の娘佳月はハイカロリーな料理を好むのだが…

金蓮は客人が来ているのにボンヤリしている。それは、客人である絹物商の妻、楊夫人が身に纏っている絹があまりに美しいからだ。正直にそれを口にする金蓮に楊夫人は『月に一度娘の佳月に料理自慢の奥方様達が腕をふるう会を開いています。参加して頂いた奥様方にはお礼として好きな絹を10着分お渡ししています。そして佳月が一番気に入った料理の方には更に1着分の絹をお贈りしております』と言うのだ。普通に買えば非常に高価な楊夫人の店の絹をタダで手に入れる事ができる…。そう聞いた金蓮は早速料理命の第4夫人の孫雪蛾に声を掛ける。

雪蛾は丁度西域にあるというラクダの乳を発酵させた飲み物を作っていたが実物を飲んだ事がないため、上手く作れずに悩んでいた。西域と取引のある楊夫人の店に行けば何かヒントが得られるかもしれない…利害が一致した金蓮と雪蛾は“奥方様の料理自慢会”に二人で参加することにしたのであった。

大会の前の顔見せのお茶会に向かった金蓮と雪蛾。しかし、緊張した雪蛾は落ち着くからと普段来ているの平服で参加する。楊夫人の夫、程功も金蓮達に挨拶をしてきて、早速顔合わせが始まる。そして、そこで金蓮と雪蛾は自分達が大きな勘違いをしていたことに気付く。

”奥方様の料理大会”とはいうものの、名家の奥方達は自ら料理をするのではなく、皆家から庖人(料理人)を連れてきており、実質的には庖人達の腕を競う会だったのだ。そして、雪蛾はその質素すぎる格好のせいで金蓮が連れて来た庖人だと勘違いされてしまう。金蓮は慌てて否定しようとするが、雪蛾は『庖人扱いの方が落ち着く。絹は金蓮に全部あげるから』といって、西門家の庖人のフリをするのであった。

そして、奥方と庖人達の前に楊夫人と程功の娘、佳月が現れる。佳月は大変太っているがニコニコと笑顔で愛嬌のある娘で『食べることが大好き』と自己紹介する。金蓮は佳月が身に纏っている美しい絹に目を奪われる。

佳月は料理大会に向けて自身の好みを皆に伝える。

「脂と乳とお砂糖」
「この3つが大好き!!多いほどおいしいです!!いただきまぁす!!」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 137/235

そして、それら3つが大量に入ったお菓子を皆に振る舞いとても美味しそうに食べる。しかし、それは大変重く、金蓮は食べることが出来ず、他の奥方達も苦笑いするのであった。

その後、楊夫人は奥方達に新しい絹を紹介し始め、興味のない雪蛾は先に部屋を出る。部屋の外で庖人達が『自分ならもっと喜ばせる料理を作り出すことができる。チョロい』と語り合うのを聞いた雪蛾は『私だってもっと美味しいおやつを作れる』とほくそ笑む。その時だった。突然後ろから男が『のんきなもんだ』と声を掛けてきたのだ。

「あの娘が本当に喜んで食べてると思うか?」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 140/235

驚く雪蛾に男は『まあ、絹に目が眩んだ奥方に従うあんた達には興味がないだろうが』と冷笑する。男の言葉の真意が分からない雪蛾は『私はあの娘が喜ぶおやつを作る自身がある』と言うが、男は『奥方に絹が欲しいなら旦那様におねだりした方がいいと伝えておけ』と笑って去るのであった。

一方、楊夫人が薦める絹を見ていた金蓮は散財のし過ぎで嬌児に窘められたにも関わらず慶におねだりするつもりで絹を購入する。すると、居合わせた西域の行商人に『よくお似合いです』と褒められる。金蓮は雪蛾が”ラクダの乳を発酵させた飲み物”の情報を求めたことを思い出し、西域の行商人に尋ねるが商人は『存じません』と言われてしまいガッカリするのであった。

金蓮達が帰ると楊夫人と程功は『今日も良く売れた』と喜び合う。客に品物を手に取ってもらうためにも何か目立って気を引かなくてはならない…そう考えた二人はそのために佳月を使った”料理大会”を定期的に開いているのだ。そして、実際に佳月のおかげで店は繁盛している。楊夫人は部屋で休んでいる佳月を労いにいくが、佳月は寝台で眠っていた。最近佳月は食べているか寝ているか…そう気付きながらも楊夫人は特に気にも留めないのであった…。

その晩、西門家の台所で雪蛾は謎の男に言われた言葉について考えていた。『あの娘が本当に喜んで食べていると思うか』という言葉に対して雪蛾は『佳月が本当に喜んでくれるおやつを作ってみせる』と息巻く。そして、餡の代わりにバターを入れた饅頭を豚脂で揚げた蜂蜜を掛けた”超バタ揚げ饅頭”を試作する。試食した金蓮は『おいしい!』と驚くが饅頭はやはり重く金蓮は一口食べるのがやっとで『佳月は喜びそうだけどふつうなら毎日なんて食べられない』と率直な感想を述べる。それを聞いた雪蛾は同意しながらも『確かにこんなもの毎日食べられるはずがない』と違和感を持つ。だが、すぐに金蓮が『ラクダの乳の飲み物のことを西域の行商人に聞いたけど知らないと言われた』という話に気を取られてしまうのであった。

料理大会当日…佳月の体調と本音に気付いた雪蛾が取った行動は…そして、迫りくるあの女の影

そして、料理大会の日がやってきた。相変わらずにこやかな佳月は『今日が待ち遠しくて昨夜は眠れなかった』と皆に言い、笑いを誘う。そんな中、雪蛾は金蓮に『佳月に何か変わったところはある?本当に喜んでると思う?』とそっと尋ねる。雪蛾の意図が分からないものの、人の様子を見抜くのが上手い金蓮は佳月の頬紅がこの間より濃いことに気付き、それを雪蛾に指摘する。

そして、料理大会が始まった。料理を出す順番はくじ引きで決められ、雪蛾の料理は最後になった。佳月の前には次々に脂、乳、砂糖がふんだんに使われた菓子が運び込まれ、佳月は笑顔で平らげていく。それを眺める金蓮はその食べっぷりに感心するが、時折佳月がゼイゼイと苦しそうな息をしていることに気付く。しかし、他の奥方達はそれに全く気付くことなく、食べ続ける佳月をクスクス笑いながら眺めている。その様子に金蓮は言いようのない違和感を覚えるのであった。

一方、厨房にいる雪蛾は”超バタ揚げ饅頭”の仕上げに掛かっていた。すると、いつの間にか例の男が背後に立っており、雪蛾は男に『あなたはどちらの庖人?』と尋ねるが、男は答えず雪蛾の”超バタ揚げ饅頭”を見て『最高の爆薬だ』と皮肉気に笑う。その言葉に雪蛾は『失礼だわ』と怒ると男は『あの娘のためならもっとあの娘を見てやれ』と言って立ち去ってしまう。すると、金蓮が厨房にやって来て佳月の様子がおかしいことを告げる。

にこにことおいしいと言いながらありえない量の脂と乳と砂糖を食べ続ける佳月だったが、ゼイゼイと苦し気な呼吸をし大量の汗をかいていた。そして、参加している奥方達はそれを小馬鹿にするように笑い、両親も『もっとお食べ』と煽るだけ。雪蛾はやっとこの状況に異様さに気付き、『この子は本気で喜んでいなかった』と愕然とする。

そして、佳月が皿の上の料理を平らげ、雪蛾の料理の番がやってきた。”超バタ揚げ饅頭”を運ぶ雪蛾に佳月は笑って『いただきます』と言うが、雪蛾は『もう食べなくてもいい、こんなもの食べ続けたら死ぬわよ』と止めた。そして、『失礼ですよ!』と怒る楊夫人と程功に言う。

「私大事なことを忘れてました」
「何を食べるかは医者に手当を受けるのと同じ」
「佳月の食事は間違ってますわ」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 167/235

金蓮も西門家の薬店から医師を連れて来て佳月を診てもらうことを提案する。雪蛾が本当は佳月の体に良くないと分かってたのではないかと問うと楊夫人と程功は黙ってシラを切ろうとするが、その場で佳月が倒れてしまう。佳月は泣きながら苦しそうに『お店のために頑張ってきたけど、もう食べられない。ごめんなさい』と言い楊夫人と程功も娘のその言葉に涙を流す。他の奥方達がそそくさと退散する中で金蓮は医師を呼びに行き、楊夫人達から感謝される。『どういたしまして』と笑う金蓮は内心では『これで絹11枚が手に入る』とはしゃぐのであった。

一方雪蛾は男に礼を言うため店の中を探す。すると、そこには西域の行商人から『今回の手間賃だ』とお金を渡されている男がいた。西域の行商人が去ると雪蛾は男に『あなたは何者?』と問う。しかし、男は『名前は教えないし君の名前も知りたくない』と素っ気ない。そんな男を雪蛾は”名無し”と呼び、どうやって佳月が本当は苦しんでいることを見抜いたかを尋ねるが”名無し”は『料理人の勘だ。あんたは西門家の者が喜ぶものを作り続ければいいし、あの”超バタ揚げ饅頭”もたまに少量食べるなら美味しいだろう』と笑うのであった。そんな”名無し”に雪蛾は『噂で聞いた西域の飲み物について何か知ってたら教えてほしい』とすがるのであった…。

数日後、西門家の四阿では金蓮が貰った上質の絹で作った服を皆に自慢していた。そして、雪蛾が『西域の飲み物を作ったから試飲してほしい』と持ってくる。皆は雪蛾が作ったそれ…ヨーグルトドリンクを飲んで『美味しい!』と驚く。それは以前作ったものと似ている様で全然違っていた。金蓮がどうやって作ったのかと問うと、雪蛾は嬉しそうに『”名無し”に教えてもらった』と笑うのであった。

一方その頃、店にいた西域の商人は幕の向こうにいる相手に事の次第を報告していた。彼は西域の商人に成りすましていた偽物で、流れの料理人である”名無し”を雇って店に入り込んだのだ。

「まあウフフ 雪蛾さんも料理しかご興味がなく――」
「それに金蓮さんも……おかわりなくて何より」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 176/235

話を聞いたその女はそう言って笑うのであった…。

…以前から思っているけど、金蓮と雪蛾ってかなりいい組み合わせだと思うんだよね。この二人がタッグを組む回は結構好き。そして、じわじわとあの女が迫って来る…。

201の巻~占師の元に出掛ける金蓮よ玉楼…しかし、それは罠で…

第二夫人の李嬌児と姪の桂姐を助けたことで新しい髪飾りを、第四夫人の孫雪蛾と料理大会に参加したことで新しい絹を立て続けに手に入れることができた金蓮は上機嫌。『天は私に着飾れと言っている』とまで言う金蓮は今度は新しい靴が欲しくなる。とはいえいつも通りただ慶におねだりするのもつまらない…そんなことを思っていると金蓮の部屋に第三夫人の孟玉楼が訪ねて来る。

何か相談事がある様子の玉楼に金蓮は『新しい靴を一足買ってくれれば願い事を一つ引き受けますわよ』と言う。すると、玉楼は『占いで金蓮さんなら引き受けて下さると出てました』と大喜びする。玉楼の占いは大抵厄介ごとを引き起こすと骨身に沁みて分かっている金蓮は少し警戒するが玉楼の願いはいたってシンプルなものだった。

それは最近巷で評判の”占星君子団”という28名の占師の集団の握手会の券が当たったため、一緒に行って欲しいというものであった(握手会…)。個室で行われる個別鑑定の際、一人で行くと同衾(男女の仲)を世間に疑われかねないためだ。それ位ならお安い御用…そう金蓮は笑顔で引き受けるのであった。

今の自分は最高についている…そう上機嫌な金蓮はその後一人庭を散策していたが、そこで露々と鉢合わせしてしまう。互いに嫌味を言い合う金蓮と露々であったが金蓮が『あなたは旦那様の養子…”娘”なんだから、さっさと嫁いでこの西門家から出て行きなさい』と言うと露々は言葉に窮する。

そのまま立ち去った金蓮としては、まだ優しく言ってやったつもりであった。実は露々は今は亡き慶の最初の妻、青琴と慶の父である伯の間に生まれた子供で慶とは異母兄弟なのだ。『どんなに旦那様に恋してもあなたは枕を交わすことができない』…そう言ってやりたい気持ちはやまやまだが、露々の出自については慶と金蓮の間だけの秘密で他の奥方はもちろん、露々も知らない。金蓮は『私が本気でキレる前にどこか遠くへ行って欲しい』と強く願うのであった。

一方、残された露々は『私がここに来たのは旦那様のお嫁さんになるためなのに』と”養子”となってしまった現状に焦りを覚えるのであった。

そして、握手会当日になった。会場に着いた金蓮と玉楼であったがそこで大きな勘違いを知る。”占星君子団”とは都で大人気のお芝居の演目でこの握手会はその役者たちとの握手会の事だったのだ。真面目な玉楼は占師から占術の話を聞けると勘違いしており、役者達を見て大はしゃぎする夫人達を見てガッカリする。

すると、そんな玉楼と金蓮に一人の老人(199話でこんまりもどき、幾春尼の側にいた老人と同一人物)が声を掛ける。なんでも”占星君子団”の脚本家は黄山の仙人の元で修行した本物の占師で今なら話をすることが出来ると言うのだ。それを聞いた玉楼は喜んで話を聞くことにするのであった。

その占師は”胡影老”と名乗り、玉楼の庭に藤があること等を言い当ていく。そして、『あなたのお家はこの先重大な転機を迎えます。もしお家の中を見せて頂けたらもっと詳しくお伝えできる』と言い、すっかり信じてしまった玉楼は『ぜひいらしてください』と言い、早速帰宅すると第一夫人である呉月娘に話を通して胡影老を西門家に上げるのであった。

すると、胡影老は玉楼に『この家に未婚でご当主と親しい方はおられるか』と尋ねる。それに玉楼が『最近旦那様が養女として迎えた露々…江露人という者がおります』と答えると胡影老は『会わせてもらえませんか』と言い出すのであった。

胡影老が部屋を尋ねると、露々は『旦那様以外には会いたくない』と訴えるが、露々のワガママに慣れてしまった使用人の梨花は玉楼と胡影老を通した。胡影老は露々を見るとニンマリ笑い、そっと露々に『願いをかなえてあげよう』と耳打ちする。胡影老のその言葉を聞いた露々は彼が秘かに繋がっている薬師(その正体は西門伯…旦那様である慶の父親)が遣わしたものだと思い込み、一緒に庭に出るのであった。

散策しながら自分の素性(親の勧めで結婚した夫の暴力から逃げ西門慶の養女となったという微妙に嘘が入り混じった話)を語り、『旦那様を心から慕っており一生そばにいたい』という正直な気持ちを打ち明ける露々。それを聞いてますます嬉しそうに笑う胡影老に露々は『薬師のお知り合いですか?』と尋ねるが胡影老には何のことか全くわからないようで、露々は少しガッカリする。

そんな露々を胡影老は今は使われていない棟に連れて行く。そこの庭には長春花が咲き誇っていた。すると、胡影老はこう語りだす。

「この庭の主は旦那様をこよなく愛し そして旦那様も主のことをこよなく―相思相愛の仲でした」
「それを牡丹の悪気が染みこんだ女に妬まれてついにこの世を去るはめになってしまいました」
「ああおいたわしや おいたわしや―様」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 204-205/235

胡影老が一体誰のことを語っているのか知る由もない露々は『誰?』と尋ねる。その時だった。突然、胡影老は露々を押し倒すと薬を含んだ布を嗅がせる。そして薬のせいで抵抗できなくなった露々の裾をめくると下腹部を強引にいじり、苦痛で顔を歪ませる露々を見ると『女人の喜びを知らないお前は”器”にぴったりだ』と笑う。

「おまえはこれからあの方の魂の器となるのだ」
「これであの方がこちらに戻ってくる」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 207-208/235

そう言うと謎の道具(どう見ても猥褻なあれ)を露々に押し込む。

すると、その瞬間…露々は誰かに自分の居場所を奪われ一人暗闇に取り残されるのであった…。

そのまま気絶してしまった露々を眺めながら胡影老は『任務完了』と微笑み、露々に『お目覚め下さい』と声を掛けるのであった…。

(この老師のふりをしていた男は200話で西域の行商人のふりをしていた男と同一人物だと思われる)

露々の異変に気付く秋菊と梨花…露々の態度に金蓮は死んだはずの李瓶児の面影を見て戦慄する

その後、天気が崩れて雨が降り出した。金蓮に言われて簾を下ろそうとした秋菊はたまたま窓から外を歩く露々と胡影老を見かける。

しかし、一瞬露々が今はもういないはずの李瓶児に見え、立ち尽くしてしまうのであった…。

そして、露々の帰りを部屋で待っていた梨花も露々の様子に違和感を覚える。露々は妙に鷹揚な態度を取り、ずっと世話してきた梨花に対して名前を尋ねて来たのだ。

そんな中、胡影老は『これで西門家には安泰な気が流れるだろう』と言い玉楼に感謝されて西門家を後にする。しかし、根城に戻った胡影老は老人(199話200話に出て来る小さい老人)に毒殺されてしまうのであった。老人は『悪く思わないでくれ、あの方の命令だ』と淡々と言うのであった…。

その晩、秋菊は金蓮に昼間見た瓶児の影について語ろうとしたが慶が来るのを上機嫌で待ちわびている金蓮に言い出せずにいた。

すると、金蓮の部屋に梨花がやってきて『露々様が体調を崩したと言って旦那様を呼び出して放そうとしない』と告げる。金蓮は露々がいつもの仮病を使ったと怒り露々の部屋に向かおうとするが、そんな金蓮に梨花が『今夜の露々さんは怖い』と不安げに言う。そして、金蓮が困惑すると秋菊も『私も露々さんが怖いです』と訴える。普段全く気の合わない秋菊と梨花が同じことを言ったことに驚いた金蓮は二人の言葉を真摯に受け取って露々の部屋に向かうのであった。

一方その頃露々の部屋では露々の態度に慶が戸惑っていた。露々はしどけなく胸をはだけると『胸をさすってくれれば痛みが和らぐ』と迫り、強引に手を取ると『この温もり懐かしい』と言って慶に抱き付く。そして、慶が『やめなさい、仮病だとわかってるんだ』と突き放すと色気を放ちながら懇願する。

「抱いてくださいませ」
「そしてどうかお情けを―」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 225/235

その亡き第六夫人李瓶児を彷彿させる態度に慶はゾッとして固まってしまう。そんな慶に露々は自身の指をしゃぶりながら熱に浮かされた様に『お情けを…』と繰り返す。

その様子に駆け付けた金蓮は『いい加減にしなさい!小娘と思って手加減していたらつけあがって!』と怒鳴りつける。しかし、露々は全く動じることなくただ笑って言うのであった。

「まあうふふ」
「金蓮さんおかわりなく――」

まんがグリム童話 金瓶梅 44巻 227-228/235

露々のその言い方に金蓮もまた瓶児の影を見て『あなた…』と絶句するのであった…。

恒例のおまけ漫画、閨秀小噺~200話で登場した”超バタ揚げ饅頭”についてのお話

料理大会のために雪蛾が作り出したお菓子…爆薬こと”超バタ揚げ饅頭”。ハイカロリーだが美味しく少量食べる分には問題ないため、雪蛾は他の奥方達にふるまう。沢山作られた”超バタ揚げ饅頭”は各奥方から使用人たちにも行き渡り、皆舌鼓を打つのであった。金蓮も秋菊に上機嫌で『好きなだけ食べていいわよ』と言う。

すると秋菊は『露々様のお部屋にもおすそわけは…?』と尋ねる。すると金蓮は『あんな娘の元に行くわけないでしょ』と答え、秋菊は何やら考え込む。

そして秋菊は梨花の元を訪ねた。相変わらずつっけんどんな梨花に秋菊はおどおどしてしまうものの、”超バタ揚げ饅頭”の乗った皿を見せて『いっしょに食べたい』と言い出す。秋菊は露々の世話をする梨花が食べ損ねてしまうことを心配していたのだ。

秋菊の気遣いを悟った梨花は『しょうがないわね、一緒に食べてあげるから』とツンデレ気味に返すのであった…。

以下、感想と考察

料理回に登場した謎の男は再登場するか…雪蛾との今後が気になる

料理回に出てきた謎の男…今後また再登場しそう。というか『何よ失礼な奴!』からの『実は観察力のあるいい男!』というのは少女漫画的に恋に落ちる王道パターンな訳で…雪蛾姐さん恋に落ちそう。原作金瓶梅では雪蛾は西門慶の死後に来旺と駆け落ちした上、売られて女郎になり、周家の張勝と親しくなるのだけど…何か関係がある感じなのかね。

雪蛾姐さん最初の頃こそ嫌な女だったけど、今は真面目で不器用で料理一筋の良い人になってるから不幸にはならないでほしい。

ついに嫌われ者のあの女、李瓶児が復活!?

瓶児生きてた…!!…いや、39巻のあの感じからして本当に死んだとは思っていなかったけど。確実に死ぬ描写が無い時は死んだと信じてはいけないのが漫画の鉄則。

しかし、生きているのに”魂の器”として露々が必要だったのはこれ如何に?176ページのコマだと瓶児は濡れている?のか火傷どのような痕が体中にある風に描かれているから、普通に生きてけないような傷を負ってしまっているのだろうか。

あっさり身体を奪われてしまった露々。しかし、露々もそのままやられっぱなしのタマではないだろう。とりあえず次が気になる…。

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