【漫画】夏目アラタの結婚 最新話・57話【感想・ネタバレ・考察】無事、遺体から毛髪を採取したアラタ。一方、真珠は宮前との面会で意味深な発言を繰り返し…

夏目アラタの結婚 7巻表紙

真珠の正体は本当の”品川真珠”の妹であった…。アラタは真珠の母、環の故郷にある裏山で、夭折した本物の”品川真珠”の遺体を発見した。今の真珠は一歳程度で死亡した”品川真珠”の死を隠匿するために品川環に産み育てられた無戸籍児だったのだ。そして、本当の生年月日は不明であるが、事件当時、そして現在も未成年である可能性が高く、その事実こそが、今までの裁判を覆す真の切り札であったのだ。

しかし、真珠の壮絶な出生を知ったを前にアラタは真珠を哀れな少女としか思えなくなり、以前の様に接することが出来なくなる。そして、その事に気付いた真珠は絶望し、死を望むような言動をするようになる。

苦悩するアラタだったが、宮前や桃山に相談する中で、『しぶとく生きようとする真珠のことが好きだ』と真珠への思いを再認識し、本物の”品川真珠”のDNAを採取するべく再び環の故郷、石川県七尾市に向かうのであった…。

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Contents

あらすじとネタバレ

七尾市の裏山で本当の品川真珠の遺体の髪の毛を採取したアラタは、その死の真相について思いを馳せ、真珠に生きる希望を与えようと決意する

再び、石川県七尾市の環の故郷にやって来たアラタ。環が育った家の裏山にある、切り株。真珠のネックレス状の模様は、かつて中学生になったばかりの真珠が、姉の墓標にするために彫ったものだ。

アラタは墓標の前にそっと一本線香を上げて手を合わせて念じた。

何度も墓をあばくことになって―
すまん!姉の「しんじゅ」!!

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妹の真珠のためだ、事が終わったらちゃんと供養するから祟らないでほしい…そう心の中で詫びて、アラタはそっと墓標の前を掘り返す。下から出て来たトランクを周囲に人がいないことを確認してから開けると、ミイラ化した”しんじゅ”の遺体が見えた。アラタはピンセットで数本”しんじゅ”の髪を抜くとそれをジッパー付きポリ袋に入れた。

一仕事終えて緊張がほぐれたアラタは脱力して、息をつき地面に座り込んだ。そして、真珠がバラバラ事件さえ起こさなければこの”しんじゅ”はここでこのまま眠っていた方がよかったのかもしれないと思った。かつての真珠も姉の”しんじゅ”の冥福を祈ってここに葬ったのだからと。

そして、アラタは考えるのであった。

いずれ調べればわかるんだろうけど、この子の死因はなんだったんだろう?

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一歳くらいで死んでしまった”しんじゅ”。もし、事故だったら母親であった環はすぐに警察等を頼ったはずだ。

かといって虐待もしっくりこなかった。色々と調べたが、環は暴力的な加虐性はなかった。”しんじゅ”の死を隠し、妹の真珠を姉の”しんじゅ”であるように見せかけようとした結果、妹の真珠への虐待行為に繋がったものの、基本的に環は優しく愛情深く真珠に接していたのだ。

『ワンオペ育児に疲れて何か大きなミスをしてしまったんじゃないか』…再びトランクを土に中に戻しながらそう推理するアラタ。

たった一人で”しんじゅ”を育てていた環。例えば、熱湯をひっくり返してしまった、熱中症にさせてしまった、はたまた授乳中に居眠りをしてつい窒息死させてしまった…。そんな風に、過失で”しんじゅ”を失ってしまったのではないかと。

アラタは想像する。動かなくなってしまった”しんじゅ”に愕然とし、そして抱きしめながら絶望で泣き叫ぶ環の姿を。

がんばってたんだろ…?
「いい母親」になろうとして……さ。
だから、「いい母親」になる夢から…覚めたくなかった。

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そして、環は”しんじゅ”の死を無かったことにするべく、妊娠し出産。そうして生まれたのが今の真珠だ。『環のやったことの結果は殺人鬼を一人生み出したという最悪なもの』…そう皮肉気に考えて煙草を吸い出したアラタだったが、すぐに『違う』と気付いた。

最悪じゃねえ…!!。
環の悪あがきのおかげで俺は、
―俺は、
真珠に会えた。

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真珠が自分を愛しているわけではなく、ただ”運命”や”絶望”を終わらせるための装置としてしか捉えていない…そうアラタは理解していた。

それでも、つがいとして生きていくなら、
何かを与えられるんじゃねーのか…?

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今すぐは無理でも、焦らず何年もかけて少しずつ真珠に生きていく希望を与えよう…木にもたれるように座って煙草を吸いながらアラタはそう決意するのであった。

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一方、拘置所で真珠は宮前から今後の裁判の流れについて説明される。未成年であることが明らかになっても結局裁判が待っていることに不満を持つ真珠に、宮前は改めて『本当に死体損壊と遺棄しかしていないのか?』と尋ねるが…

翌日。東京拘置所にいる真珠の元に宮前が面会にやって来た。

宮前はアラタから真珠の正体について全て聞いたこと、そしてアラタから今朝、”しんじゅ”の遺体の髪の毛を受け取り、早速DNA鑑定に出したことを告げた。

これで真珠に姉がいたことを証明できれば、真珠が起訴時点でほぼ間違いなく未成年であったことを証明できるのだ。

「家裁不経由手続き違反により第一審の判決は、破棄され公訴棄却!」
「つまり死刑判決はなかったことになると思われます!」

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興奮を隠せない笑顔でそう言った宮前。しかし、真珠は薄く笑いながらも『そうなんだ』とどこか投げやりな返事をした。

そんな真珠の態度に一瞬困惑しながらも、宮前は説明を続けた。本来なら公訴棄却の判決がでるまで14日かかかるが、今回は特殊な事情とみなされ、その場で裁判所は上訴権の放棄を求め早期に処理するだろうと。

すると、真珠は『その間ボクはどうなるの?』と尋ねた。

『いつもの裁判と同じです』と答える宮前。法廷が閉じたら裁判所の地下の拘置室に入り、夕方になったら拘置所に移動。そして…

「おそらくその時点で、再逮捕されると思います。」

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『結局また捕まるわけなのか』と諦めたような笑みを浮かべた真珠に宮前は『仕方ないですよ』と答える。要は以前の裁判手続きにミスがあって裁判をやり直すというだけなのだ。真珠は再逮捕された後、今度は通常の少年事件と同様に家裁送致される。しかし、重大事件であるため、検察庁に送られ、その後起訴されて”一審”が開かれるのだ。

『今度の一審は勝てます!』と自信満々に拳を作る宮前。何故なら”一審”であれば裁判員裁判となり、真珠の本当の生い立ちを語れば裁判員はきっと真珠の味方になるだろうと。

「ボクの演技力なら大丈夫だよね。二審で練習したし。」

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真珠の言葉に『え』と固まる宮前。すると、真珠は吹き出し、『チャラ―ン』と冗談めかして笑った。その様子に宮前は『冗談はやめてくださいよ、人が悪いな』と笑って見せたが、ふと真顔になって『本当に三件の殺人事件に関しては死体損壊及び遺棄のみしかしていないのですよね』と尋ねた。

すると、真珠は薄く笑いながら『ずっと前にアラタにそう言った。アラタには本当のことを話している』とだけ答えた。そんな真珠に宮前は『”彼には”…ね』と寂しそうに呟くのであった…。

『一緒に生活を始めたらやりたい20のことを考えて』という宿題をアラタに出された真珠は突然、『自分が死んだら鳥葬にしてほしい』と言い出す

すると、真珠は宮前にこんなことを言い出した。

「その日、絶対に裁判所にくるようにアラタに言っといて。」
「抽選に外れても帰らないでって。法廷がおわってもずっと裁判所にいてって。」

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真珠の必死な様子にたじろぎながらも『ええ』と答えた宮前。そして、『夏目さんからも伝言があります』とアラタから預かったメモを取り出す。

以前、真珠がアラタに『24時間一緒にいられたらどんなデートがしたいか』という宿題を出してきたように、今度はアラタが真珠に対して『一緒に生活を始めたらしてみたい20のことを考えておいてくれ』という宿題を出したのだ。なんでもいい、歳とって死ぬまでに2人でやりたいことを…と。

メモにはアラタがやりたいことが書いてあった。

18禁カレーに挑戦、無人島で10日間サバイバル、住居のDIY…読み上げていた宮前は思わず『ユーチューバーか!』と突っ込みを入れてしまう。

すると真珠は『バカみたい』と笑って見せたものの、『20もいらないよ』と言い出す。そして唖然とする宮前にこう言い出した。

「鳥葬って知ってる…?」

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死者の体をバラバラにして高所に置き、鳥に食べてもらうことで弔うという異国の葬儀…真珠は楽しそうに語りながら『なんでもいいならボクをそうしてほしい』と言うのだ。灰にはなりたくないと。

「あの3人みたいに、体は空に還るんだ…」

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夏目アラタの結婚 6巻表紙

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以下、感想と考察

扉絵が授乳クッションに乗せた”しんじゅ”を愛おしそうに抱く環の姿。幸せそうだな…。環は沢山の愛情を以ってしんじゅを育てていたはずだったのに…。辛いな。

いきなり逮捕展開がなくて本当に良かった

それにしても、アラタが突然逮捕とかされなくてよかった。前回、前々回位から、『すでに桜井検事が手をまわしていて、アラタが七尾市で遺体掘り返したり、戻したりしてるところを現行犯逮捕される展開が来るんじゃないか』ととてもドキドキしていたから。

とりあえず、無事にDNA鑑定に出せて良かったよ。

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全ての始まりとなった”しんじゅ”の死について思いを馳せる

環と本物の品川真珠…アラタがいうところの”しんじゅ”の身に一体何が起こったのかを知る人はもういない。環はもう故人であるし、真珠もある程度話を聞いているかもしれないけど、本当のことはもう分からない。”しんじゅ”が司法解剖されたらある程度の死因は分かるかもしれないけど。

私もアラタと同じく、環は意図的に”しんじゅ”を殺したのではなく、”しんじゅ”の死は不幸な事故だったのだと思う。アラタの予想するような事故か、熱中症か、それか添い寝中の事故か。そうでなくても乳児は乳幼児突然死症候群(SIDS)という恐ろしいものがあるから…。本当にいつ何で死んでもおかしくない。1歳児なんて特にハイハイしたり、立ったり、歩き出したりもするから…。

慣れない都会で、三島正吾と別れた後、たった一人で”しんじゅ”を育てていた環。周囲に頼れる知人なんていなかっただろうし、行政サービスを頼れた、というか頼ろうとしたかも怪しい。本当に壮絶なワンオペ育児だっただろう。高校卒業後に地元を飛び出した環はきっと金銭的にも厳しかっただろうし。

そんな中、唯一の心の拠り所であり、昔からの夢だった”可愛い赤ちゃん”、”しんじゅ”を失ってしまったら…。環はそんな現実を受け入れることが出来なくて、ただそれを無かったことにすることだけが何よりも一番の目的になってしまったのだ。

でもそれを一言で狂気と言い表していい物なのか…。子を持つ身としては何とも言えない。だってもし自分だったら子を失った現実を受け入れられる気なんてしないし。

それでも普通だったら葬式を執り行ったり、社会生活を送る中で周囲の支えがあって少しずつ、少なくとも形だけでも子の死を受け入れざるをえないわけだけど、知人もいない都会でのワンオペ育児という環の孤独な状況が『子供の死を否定する』『隠蔽する』『妹を作って、姉のふりをさせる』ということを可能にさせてしまった。

元凶はもちろん環なのだけど、なんだか以前ほど環のことを責められないというか…同情してしまう。

『その日裁判所に絶対来て』という真珠の真意は何か

そして、真珠と宮前の面会パートだけど…。

今までどこか真珠に対して腫物を扱うような態度を取り続けていた宮前だったけれども、『本当に死体損壊と遺棄だけか』と確認したりするとか、だいぶ踏み込むようになってきたな…。宮前もだいぶ成長してきている感じがする。

しかし、今回の真珠の発言は引っかかる。主に二つ。

一つ目は『 その日、絶対に裁判所にくるようにアラタに言って。抽選に外れても帰らないでって。法廷がおわってもずっと裁判所にいて 』というもの。

その日というのは恐らく次の控訴審で、多分その時に今までの裁判が無効になると思うのだけど、ここで真珠は何かをしでかすつもりなのだろう。やたらその日の手続きの流れを気にしていて、宮前に聞いているし。

一体何をするのか。アラタに法廷が終わるまで帰らないでと言うくらいだから、アラタも巻き込むつもりだ。

考えられるのは、脱走、脱走と行かずまでも刑務官の目をかいくぐってアラタと接触、あるいは自殺か。

鳥葬発言から分かるように既に生を諦めて死の事ばかり考えている真珠。次の法廷で自分の出生がある程度世間に知れたら、もうそれで良くて、自殺でもしてアラタに看取ってもらうつもりなのか。

何にせよ嫌な予感しかしない。

『あの3人みたいに体は空に還るんだ』について考える

そして、もう一つ気になるのは鳥葬発言のあとの、『あの3人みたいに体は空に還るんだ』という発言について。

真珠は迂遠な言い回しを好むが基本的に嘘は吐かない。

鳥葬はバラバラにするのだけど、『あの三人みたいに』という言い方をしているところからして、真珠がバラバラにしたのは、周防英介、相沢純也、山下良介だけで、すくなくとも真珠が三島正吾のことを”バラバラ殺人”していないことが分かる。

三島正吾は現在公式には生死不明で、多分死んでいるのだけどバラバラ殺人ではないのだ。遺棄されている可能性は高いが一体どこにあるのやら。

また、 『体は空に還るんだ』 という言い方も妙にポジティブ。真珠が鳥葬の知識をいつ得たのか分からないが、事件前から知っていたなら、バラバラにしたのも隠すためだけではなく葬儀的な意味もあって、さらに言えば市街者たちにあまり悪感情を抱いていなかったことの現れでもあるのではないか。

未だに見つかっていないのは三人目の被害者の山下良介の首と三島正吾の遺体。山下良介の首については真珠が『首は見つからなくてもいい』と言っているように、また裁判を覆すような何かを持っている可能性が高く、山下の妻の様子からしても、その死に山下の妻が関わっている可能性が高い。さらに三島正吾と山下良介は生前トラブルになっている様子が目撃されているので、山下良介の首と三島正吾の死体がセットになっている可能性もある。

個人的には真珠の父親が山下良介である可能性もあると考えているのだが、一体どうだろうか…。

続きが気になる…。

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