【漫画】機能不全家族6(夏目ユキ)【感想・ネタバレ・考察】自身も統合失調症になるかもしれないと恐れるユキは就職したブラック企業に追い詰められていく…

機能不全家族表紙 

躁うつ病を患う母から虐待を受けていたユキ、トモ、ヒロの三兄弟は両親の離婚後父に引き取られた。しかし、医師である父との生活は金銭的には恵まれていたものの、父は子供たちに無関心で家族は次第にバラバラになっていく。そんな中、末っ子長男のヒロが大学進学後、カラオケで暴れて警察に保護されるという事件を起こす。ヒロは統合失調症を発症していたのだ…。

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【漫画】機能不全家族5(夏目ユキ)【感想・ネタバレ・考察】暴れて警察に保護された弟ヒロは統合失調症を発症していて…

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Contents

以下、あらすじとネタバレ

統合失調症は遺伝!?自身も発症するかもしれないとユキは悩むようになる

父からの電話で弟のヒロが統合失調症になったと聞いて戸惑うユキ。そもそも”統合失調症”というものを知らなかったのである。さらに、『ヒロは目を離すと自殺しようとしてしまうので、病院に入院の上、保護室で拘束されている』と聞いて仰天する。

父は『ショックを受けるからあまり統合失調症について知らない方がいいと思う』と言って電話を切ったが、気になったユキはそれ以降、統合失調症について調べるようになる。

『幻覚・妄想』『脳の機能が正常に働かなくなり思考や感情がまとまりにくくなる』というこの病気について、『環境やストレスが発症のきっかけ』という文言を見て、ユキは心当たりが沢山あった。ヒロは物心をついた頃から母の虐待を受け続け、その後も問題を起こしても父やユキとトモからも見て見ぬふりをされ煙たがれ、ずっと孤独だったのだ。そして、『前兆期に焦りの気持ちが強くなる』というのを知ったユキはヒロが以前『勉強に集中できなくなった』と相談してきていたのを思い出す。『ヒロは相談してきていて、ちゃんとサインがあったのに放置してしまった』…そうユキは気付いて落ち込んだ。

しかし、ユキはそれ以上に『統合失調症には遺伝的な要素がある』『女性の発症は男性よりも遅いことが多い』というネットの文献を見てショックを受ける。

私もこれからこの病気になる可能性があるということ…?

機能不全家族6 夏目ユキ 6/27

そう思ったユキはどこにいても何をしていてもそのことばかり考えてしまうようになっていった。

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統合失調症になる可能性を考え続けたユキは大学で過呼吸を起こし、それ以降大学から足が遠のいてしまう

卒業論文の発表を済ませたユキは、発表後具合が悪くなり、建物の外に出た。その時、ふと『私も統合失調症になってしまうかもしれないのに、こんな卒業論文なんて頑張って何か意味があるのだろうか』と思ってしまった。

すると、突然涙が止まらなくなりユキは過呼吸を起こしてしまう。その場は学生相談所の職員に助けてもらったものの、泣き出したり過呼吸を起こしてしまうことを恐れて大学から足が遠退いてしまう。

しばらくして気持ちが落ち着いて久々に大学に行ったユキ。教授から顔を出さなかったことを咎められ、『身内が病気になっていたので…』と答えた。すると教授はユキに説教をする。

「でもそんなこと誰にでもあるんだから。あなただけじゃないのよ」
「そんなことでいちいちクヨクヨしてたらキリがないわよ」

機能不全家族6 夏目ユキ 10/27

その教授の言葉に怒りを覚えたユキ。もちろん自分と同じ状況で頑張れる人ボイルだろう。でも、『人の感情を自分の物差しで測るな』と強い反感を抱くのであった。

ユキが就職した会社は新卒の半分が1年でやめるブラック企業であった

なんとか大学を卒業したユキはインテリア関係の会社で働き始めた

配属早々、先輩の一人から煙草を買ってきたりコーヒーを作るよう命じられるユキ。しかし、社会人なりたてのユキは『お茶汲みみたいなものか』と疑問を抱かなかった。そして、入社3か月は試用期間で定時上がり(それゆえ残業代も出ない)のはずなのに、定時後も仕事を頼まれる。疑問に持ちながらも『少しくらいしょうがないのか』と、女性の多い職場で和を乱したくなかったユキは断れなかった。

新人研修では『最初の3か月は試用期間で定時に必ず退社してください』と言われたのに、人事部から新人に送られてきたメールには『もう遅くまで業務に励んでいる事と思いますが頑張って下さい』と書かれている。ユキは自分が就職した会社が新卒の半分が1年で辞めてしまうブラック企業だとまだ知らなかった。

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ブラックな職場に疑問を持ちながらも、『もっと大変な人がいる』と思うユキは我慢し続ける

入社から1か月後、再び新人向けの研修が行われた。そこで同期入社の仲間と再会したユキは既に辞めてしまった人がいることを知って驚く。ユキは内心『本当にそんなことする人いるんだ』と軽蔑したが、同期の女の子が『あれはやめても無理がない』と言うのを聞き、『なにがあったんだろう』と思うも聞けなかった。そして、同期の子が『明け方まで仕事してタクシーで帰ったり、休日出勤することもある』と語るため、ユキは自分はまだ楽な方だと思うのだ。

仕事少し頼まれるとか帰りが遅いくらいで弱音はいてちゃだめだな

機能不全家族6 夏目ユキ 18/27

だが、ユキはどんどん先輩からも仕事を押し付けられるようになっていく。断れないユキは心身ともに疲弊し、帰宅後玄関で気絶する様に眠ってしまう様な状態が続いてしまう。その結果、仕事にもミスが出始め、『目が見えてるのに何でミスするの?ミスするならその目、必要あるの』『前日休みだったから今日は疲れてるはずがない、休日は遊ぶ日じゃなくて仕事の休息をとる日だ』等、上司から人格否定を交えた叱責を受けるようになっていった。『怒られるのは自分が悪いから』とユキは自分でも自身を責める様になっていく。

しかし、給与明細を見ると残業を沢山しているのに給料が安い(差引支給合計17万円)。ユキの残業代は『固定残業手当』という扱いにされていたのだ。残業時間込みで時給換算すると700円台になることに気付いたユキは愕然とする。

職場のトイレで泣くようになったユキ…そして全身にじんましんが出て、父に相談しようとするも…

それでも必死に働き続けたユキであったが、ある日職場の人達が『いくらイジメても泣きやしない』と笑いながら悪口を言っているのを聞いてしまう。

『自分の前でしか自分を壊せない』…そう思っていたユキはつらいときは人気のないトイレで泣いてから仕事場に戻っていたのだ。

幸い土日はしっかり休みだったので『休日出勤の子達より恵まれてる』と自身に言い聞かせながら休日ベッドで横になったユキ。しかし、疲れているはずなのに一日半ベッドに入っていても全く眠れない。シャワーでも浴びたら眠れるかと思い服を脱いだユキは自身の体を見てショックを受ける。ユキの全身には蕁麻疹が出ていたのだ。

『もう限界だ』そう思い涙が止まらなくなるユキ。心身が限界に来ていることを認めた。しかし、まだ入社半年も経っておらず、転職もできるかどうかも分からない。

誰に相談していいのかも分からなかったユキは父に電話する。泣きながら『仕事が辛い事』『職場でいじめられている事』を訴えたユキ。すると父はこう言った。

「甘いんじゃないの?」
「誰だってあるよそういうこと」

機能不全家族6 夏目ユキ 25/27

いつかの大学の教授の発言と同じようなことを言う父にユキは落胆する。辛くても頑張っている人がいるなんて分かっている。でも自分達は家族なのに、何故父はそんな他人の様なことをいうのか。『私の事愛してないの?』と絶望するユキ。しかし、同時に父と同じようなことを弟ヒロにもしていたのだと気付くのであった。

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以下、感想と考察

人の痛みを自分の物差しで測ってはいけない

『よくあることだから』と言って人の痛みや苦しみを矮小化したり、黙らせようとする人が本当に嫌い。『よくあること』『誰もが経験すること』だったら悲しんだり苦しんだりしちゃいけないのかい?

私も学生の頃、知人を亡くして落ち込んでいたときに就職支援室みたいな所の職員に『それくらいで落ち込むなよ!私はもっと親しい人を亡くしたことがある』と言われて、『人が死んでるのに“それくらい”って何だよ!?そこに親しさ関係あんのか!?』とキレて以後顔を出すのをやめた。苦労とか痛みとかをマウンティングの対象にする人は嫌いだー。

ブラック企業でボロボロになるユキ

それにしてもブラック企業の描写がキツイ。社会人なりたてって他の会社の人との比較がし辛いから多少理不尽なことがあっても『そういうもんなのか』と思ってしまう。私も最初に配属された部署で『残業代は残業した時間の8割分が支給されます』と言われ、『ふーん』位に思っていたのだけど、今思うとすごいおかしい。

果たしてユキはこのブラック企業から逃れられるのか、そして苦しむユキの元に何やらメールが来ていたが、それは…!?

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