【漫画】機能不全家族7(夏目ユキ)【感想・ネタバレ・考察】恋人に救われ会社を辞めるユキだったが、辛い幼少期の記憶に悩まされ…

機能不全家族表紙 

母から激しい身体的虐待を受けていたユキ、トモ、ヒロの三兄弟は両親の離婚後は医師で裕福だが子どもに無関心な父に引き取られた。そして家族は次第にバラバラになっていき、末っ子長男のヒロは統合失調書を発症。そして、長女のユキはブラック企業にボロボロにされるも、助けを求めた父に突き放され更に追い詰められていく…。

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【漫画】機能不全家族6(夏目ユキ)【感想・ネタバレ・考察】自身も統合失調症になるかもしれないと恐れるユキは就職したブラック企業に追い詰められていく…

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Contents

以下、あらすじとネタバレ

ユキは久しぶりに会った同級生の菅原に仕事の悩みを打ち明ける~菅原に勧められて病院に行ったユキは”抑うつ”と診断され、休職することになる

ストレスで蕁麻疹が出るほど会社に追い込まれてボロボロになってしまったユキ。だが泣きながら電話で助けを求めたユキに父は『甘いんじゃないの』と冷たく突き放すだけだった。

なんでお父さんが助けてくれるなんて思ったんだろう

機能不全家族7 夏目ユキ 3/27

ガッカリしながらも冷静にそう考えるユキ。思えば、母から虐待を受けていた時も父は助けてくれなかった。ユキは『二度捨てられた』という気持ちになった。

そんなユキの元に高校の同級生の男性、菅原から食事に誘うメッセージが届く。たまたま成人式で再会して以降、菅原とは他の同級生達を交えてよく飲みに行くことがあった。高校生の頃、寂しさから誰とでも寝る癖があったユキは突然の2人きりの食事の誘いに『体目的か?』と思いながらも、『OK』と返事をする。例え体目的であっても、誰かに依存したいという気持ちが強かったのだ。

居酒屋で久しぶりに菅原と会ったユキ。銀行員をしているという菅原は、ユキのインテリア系の事務について『どんな感じの仕事?』と尋ねるが、仕事を思い出した瞬間、ユキは涙を流してしまう。慌てて誤魔化そうとするユキだったが菅原は『話せる事だったら話して』と真面目に言う。

その言葉にユキは、大して親しくもなかった菅原に仕事の悩みを全て吐き出した。すると、菅原は『仕事をしている場合じゃない。明日にでも会社を休んで尿院に行きな』と親身にアドバイスをしてくれた。

『他人が自分を心配してくれた』…そう驚くユキ。今まで下心でユキに近づいて来る人は沢山いたが、本気で心配してくれる人なんていなかったのだ。

翌日、菅原に言われた通り、会社を休んでメンタルクリニックを訪れたユキ。医師はユキの『眠れず、突然涙が出てきたりする。仕事が辛い』という話を聞き、『診断書を出して休職する』ということを勧める。診断名は”抑うつ状態”。”うつ”という響きに”躁うつ状態”であった母を思い出したユキは『自分も母と同じようになるのか』と不安になる。

そしてユキはその足で会社に行き、上司に診断書を渡して休職を申し出た。上司はアッサリ認め、労うどころか『あんたうつっぽいもんね』と笑ってくるのであった。

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統合失調症に処方される薬を出されて絶望するユキ~菅原から交際を申し込まれ、居場所欲しさにOKする

休職するも、母から虐待されていた時も、仕事で苦しんでいた時も父から突き放されたショックでうなされて眠れないユキ。最初にメンタルクリニックで処方された”不安を和らげる薬”が合わないようで、副作用に苦しんだユキは医師に相談して薬を変えてもらう。すると、夜もしっかり眠れて副作用もなくなった。

だが、処方された薬を調べたユキは、それが”統合失調症”に主に処方される薬だと知って絶望する。大学生の時から弟と同じ”統合失調症”になることを怖れていたユキはショックを受け、『死にたい』と思う様になっていった。

そんなユキに、ある日菅原が『付き合わない?』と言い出す。『こんなメンヘラ女、嫌じゃないの?』と尋ねるユキに菅原は自身の母親がうつ病を患っていることを打ち明け、『嫌じゃないよ』と答える。ユキはそんな菅原に『じゃあ、よろしくお願いします』と言い、二人は付き合うことになった。

だが、この頃ユキは菅原に対して本当は恋愛感情を抱いておらず、ただ、『依存する場所が欲しい』と考えていただけだった。そして、早速『来週、温泉旅行に行こう』と誘った菅原に対して『体目的、セックスしたら終わりだろう』と思っていたのだ。

抑うつが悪化したユキは菅原との温泉旅行で食事も取れず泣き出してしまう~そんなユキに菅原は…

ユキは日に日に仕事ができない罪悪感と自己嫌悪から、体調が悪化し、薬を飲まないと何もできなくなってしまう。そして、そんな中、菅原との温泉旅行の日がやって来てしまった。

当然、買い物も何も楽しめないユキ。楽しそうに笑っている人を見てもただこう思ってしまうのだ。

みんな何が楽しくて笑ってるんだろう
この世に楽しいことなんて何もないのに

機能不全家族7 夏目ユキ 15/27

そして、旅館の豪勢な食事を前に気分が悪くなったユキはついに泣き出してしまう。『ごめんなさい』とただ謝ることしかできないユキ。食欲がない事が悲しいのか、用意してもらった料理に対して申し訳ないのか、もはや自分の感情すらよく分からない。旅館の仲居に『彼女の具合が良くないから』と料理を下げてもらう様に頼む菅原。旅館は快く応じ、更に『夜お腹が空いたときの為に』とおにぎりを用意してくれた。ユキは泣きながら『菅原を幻滅させてしまった』と思う。

だが、菅原は笑顔でユキに『いい旅館だね』と言う。

「また元気になったら来ようよ、一緒に」

機能不全家族7 夏目ユキ 19/27

その菅原の言葉に『この旅行でセックスしたら終わり』と考えていたユキは驚く。そして、『未来に希望を持っていいんだ』と思えたのであった。

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退職して菅原の転勤先についていったユキ~幸せな新生活を送るも過去のつらい記憶に悩まされる

その後、旅館でユキは菅原から『転勤が決まった。もし良かったら一緒に来て欲しい』と言われる。転勤先は静かな田舎で、ユキの心身を休めるにはいいのではないかというのだ。

ついてく』と答えたユキは、会社に退職届を出しに行った。上司は『どうせまた新しい子入ってくるから』と特に引き留めもしなかった。入社1年で退職することになったユキだったが、その頃には同期の半分がすでに退職していた。

新天地は海の見える小さな街だった。東京を離れて、心が落ち着いたユキは精神科に通うことをやめ、薬も飲むと何も考えられなくなってしまうので、どうしてもだめな時だけ飲むのにとどめた。相変わらず不眠症やだるさに悩まされたものの、傍らに心を開ける菅原がいるだけで、ユキに気持ちは楽になっていった。

そして、少し元気になったユキは仕事を探し始める。菅原は『まだ、何もしなくてもいい』と言ってくれたものの、ユキは『せっかく大学まで出してもらったのに』という焦りを持っていた。そして、就職に失敗したことのある自分を『出来損ないの人間』だと思ってしまう。

「そんなんだから誰にも愛されないんだよ」

機能不全家族7 夏目ユキ 25/27

そう自分の中のもう一人の自分から冷笑されるユキ。薬を飲まなくなって頭がしっかりしてくると、母に虐待され父に冷たくされた過去が甦る。そして、自分のことを『大切な人にさえ守ってもらえない無駄な存在』と思ってしまい、涙が止まらなくなり眠れなくなるのだ。

どんなに前向きになろうとしても、この幼少期の記憶がユキの足を引っ張り苦しめるのであった。

以下、感想と考察

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虐待、毒親、機能不全家族、そしてブラック企業に追い込まれて抑うつ状態になったユキ

虐待、毒親、機能不全家族、ブラック企業…この一つ取っても十分病むのだから、これらが揃って病まない方がおかしい。ユキが抑うつ状態になるのは当然だ。

そして、心を病んだときに、周りが何故笑っているのか分からなくなる…というのはあるある。

だが、薬の止めどきは難しい。ユキは自己判断で薬を止めて上手く行ったみたいだけど、下手をすると病状が悪化しかねないので薬を減らしたり止めたりするのは、医者と相談してからの方が良い。

恋人となる菅原がいい人で良かった

前回の終わりで、誰かからメッセージが届いた様子が描かれて終わり、『またユキに何か落とし穴が!?』と警戒していた。

…なので、救いのある展開でホッとした。菅原さん、いい人。そして、うつ病に理解ある人で良かった。

人との縁って大事で不思議。ユキは菅原と再会出来たことで、病院に行き、仕事を休職&退職することができ、そして菅原と付き合い、転勤について行くことになる。それまではただの高校の同級生に過ぎなかったのに。付き合い始め、ユキは『依存先が欲しい』と、それぞ下心のある交際をしていた訳だけど、本当に菅原はかけがえのない存在になっていく。…何というか、この作品初のいい話かもしれない。

そして、ユキが働いていた会社、どんだけブラックなんだよ。

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