【漫画】ハイスコアガール6巻【感想・ネタバレ・考察】ハルオと日高の決戦の行方、ハルオと接触する真、そして『ときメモ』『RPGツクール』『AOUショー』

ハイスコアガール6表紙

夏休みの前に『私が勝ったら付き合って』とハルオに決戦を挑んできた日高小春。戸惑うハルオであったが、家の教育方針が厳しくなりながらも一生懸命励む大野晶に恥じぬよう、何事にも全力で向き合うと決めたハルオは日高との勝負を受ける決意をする。

一方、日高はゴスロリの凄腕のゲーマー“二子玉川のフェリシア”こと“ニコタマちゃん”と出会い、彼女の開催する“夜ゲー”でハルオとの決戦に備えて修行する。

そして夏休みの終盤、二人の戦いの日がやってくるのであった…。

前の記事はこちら→【漫画】ハイスコアガールCONTINUE5巻【感想・ネタバレ・考察】決戦に備えて修行する日高~そして大野の姉、真が登場

最新刊・最終巻のあらすじ・ネタバレの記事はこちら
【漫画】ハイスコアガール10巻・最終巻【感想・ネタバレ・考察】ハルオと大野の最終決戦の行方は?~ラストに巻き起こる奇跡

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Contents

34 -CREDIT~『真サムライスピリッツ』と『KOF95』の勝負…勝利に執念を燃やす日高に対してハルオは…

ついにやってきたハルオと日高の決戦の時。

今まで積み重なった矢口君への思いを…片思いを…モニター画面を通して全力でぶつける…!!絶対に負けない!!

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 6/208

一戦目は『真サムライスピリッツ』。幻庵を選んだハルオと橘右京を選んだ日高。互いに牽制し合い、日高を応援するニコタマちゃん達、“夜ゲー”の仲間達も緊張感に包まれる。

先に動いたのは日高の右京で、その“中斬り”にハルオの幻庵も反応する。だが、日高が畳み掛けるように放った右京の“残像踏み込み斬り”は速く、ハルオの幻庵はダメージを受ける。“幻庵脱皮”をするも、そこを容赦なく斬りつけられてしまう。

その後、ハルオも“立ち大斬り”、“肉転突き”等コンボを決めて、見守っていた“夜ゲー”勢は『互角の勝負か』と叫ぶ。しかし、ニコタマちゃんは日高が勝つことを確信していた。昨晩、『真サムライスピリッツ』のハルオの持ちキャラが幻庵だと知ったニコタマちゃんは徹夜して幻庵を使って日高の猛特訓に付き合ったのだ。

ニコタマちゃんの予想通り、一本目を制したのは日高だった。しかし、日高は固い表情を崩さず、二本目も容赦しない。絶妙なタイミングで右京の“低空ツバメ返し”を入れ、ハルオの幻庵のスライディングをかわして反撃をする。

日高は使用しているこの、“橘右京”にシンパシーを感じていた。右京は他の男に嫁いだ領主の娘、小田桐圭に叶わぬ身分違いの恋をしており、肺結核を患いながらも圭に究極の花を届けるために魔界に赴くのだ。…まるで自分の様に一途な右京。

使用キャラの設定を知り…愛する事も強さに繋がる…!!

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 18-19/208

ハルオの幻庵を圧倒して二本目も勝った日高。『真サムライスピリッツ』は日高の勝利に終わった。

日高の勝利に沸く“夜ゲー”のゲーマー達は『日高氏の圧勝で相手の男(ハルオ)は大したことないのでは』等と言い合う。しかし、ニコタマちゃんは妙な違和感…『矢口君にあって、小春ちゃんには欠けているもの』を感じとるのであった。

そして、たまたまゲーセンに遊びに来ていた宮尾もギャラリーに加わる。

次の対戦は『KOF95』。先ほどの勝負で負けたものの、どこか余裕を持っているハルオは龍虎チームを選択し、日高が持ちキャラの女性格闘家チームで来ると予想していた。

ところが、日高はなんと裏技コマンドを入力してオメガ・ルガール、紫舟、そしてハイデルンを選択する。オメガ・ルガールは使用禁止の店があるほど強力なキャラクター。日高は事前にニコタマちゃんと『普段の持ちキャラとは別の、対策しにくい隠しキャラを土壇場で使って奇襲をする』という計画を練っていたのだ。

オメガ・ルガールの”ジェノサイドカッター”、”烈風拳”、”ゴッドプレス”で圧倒し、”ダークバリヤー”で攻撃を跳ね返す日高。ハルオの龍虎チームのロバートもタクマも圧倒言う間にやられてしまい、残すはリョウだけ…。ハルオは追い詰められる。

しかし、それでもハルオは笑みを浮かべていた。そして、”飛燕疾風脚”、”覇王翔吼拳”で的確にダメージを与え、ルガールを倒すのであった。

”夜ゲー”の面々は『ハルオはリョウ一人だが、日高氏は紫舟とハイデルンがまだ残っているから楽勝』と言い合うが、ニコタマちゃんは『技の性能で支えられているルガール無しでは、熟練されたリョウに対して付け焼刃の紫舟とハイデルンでは通用しない』と考える。そして、『真サムライスピリッツ』で抱いた違和感の正体を確信する。

小春ちゃんの勝利の執念に対して矢口君(あの子)はゲームを純粋に楽しみながら勝負している…

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 27/208

ゲームを楽しむ気持ち…それが今の日高には欠けているのだ。

そして、日高は紫舟も倒され、最後のハイデルンもリョウの”龍虎乱舞”で止めを刺されてしまう。勝ちに走り過ぎて、ルガールの他も持ちキャラを使わなかったことを後悔する日高。この時点ハルオと日高は同点。残すは『ヴァンパイアハンター』のみとなった。

35 -CREDIT~『ヴァンパイアハンター』での最終決戦…日高は敗北したものの、改めてゲームもハルオも諦めないと決意する

ここまで1対1のハルオと日高。最終決戦の『ヴァンパイアハンター』…緊張する日高にニコタマちゃんはリラックスするようにアドバイスする。

1P側のハルオはビシャモンを、2P側の日高はフォボスと互いに持ちキャラを選択した。

ちゃんと受けとめて矢口君
私の気持ち……!

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 36/208

闘いが開始した瞬間から”下段居合い”を入れたハルオ。距離を詰めるハルオのビシャモンに対して日高のフォボスは距離を開いて”ガードキャンセル”で応じる。

近距離型のビシャモンに対して遠距離型のフォボスは密着されると厳しく、相手と距離を取ることが勝負の要となる。密着しようとするハルオのビシャモンを”ガーキャン”で寄せ付けないようにする日高のフォボス。日高はビシャモンの”鬼首捻り”を警戒する。そして、激しい攻防の結果、ハルオが”辻疾風”を決めて、一本目を先取する。しかし、ハルオも日高もどちらの操作も巧みで”夜ゲー”のゲーマーや宮尾は圧倒されるのであった。

続く2戦目。各キャラ同士のダイアグラムをニコタマちゃんに叩き込まれていた日高。ビシャモン7に対するフォボス3…この差を技で埋めると決意した日高は開幕早々”コンフュ”を入れて”ファイナルガーディアン”、”EXマイト”、”コンフュ―ジョナー”の鬼コンボを決めてハルオのビシャモンをKOするのであった。

『矢口君に勝って、ゲームしたり、デートして手を繋いだり、恋人同士なことをしたい』…そう強く願いながら。

次の3回戦目で全ては決まる。しかし、ハルオはどこまでも冷静だった。そんなハルオに心の中のガイルが『日高も積み上げたものが沢山あるが、ハルオも必死に努力してきた』と語る。必死でバイトをして金を稼ぎ、更にその給料の半分は家に入れ、残った給料で沢山練習できるように雨の日も風の日も安いゲーセンに通っていたハルオ。ゲームの反省点についてノートにまとめる等して研究も重ねてきた。ハルオもまた、努力と執念を重ねてきたのだ。

3戦目、再び日高操るフォボスの”コンフュ”が入り、日高もニコタマちゃんも勝利を確信した。

その時、ハルオのビシャモンは”強K斬連打”で回避し”鬼炎斬”で日高が再び”小足”を入れて”コンフュ”を入れてこようとするのを防ぎ続ける。『一撃でいいからもう一度”小足”が入れば勝てる』と攻めてくる日高。

その攻防の刹那、ハルオは川崎に家出をしていた大野のプレイを思い出す。そして”ガードキャンセルEX鬼炎斬”を出して勝利するのであった。

皆が静まり返る中、ハルオは息を切らして立ち上がり、日高に言う。

「…ど~だ日高…ッ、見たか俺の実力…!!」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 58/208

日高のゲームの腕を褒めたたえるハルオ。黙ったままの日高に更に言う。

「日高の実力はすさまじいものだったが…それを乗り越えねーと”前”には進めなかった…」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 58/208

すると、そんなハルオを日高は泣きながらビンタした。『バカじゃないの!!!』と泣き叫んだ日高。負けたことに泣いているのではない。

「”前”ってのは…どーせ大野さんの事でしょ!?」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 60/208

自分との真剣勝負のはずだったのに、結局いつもの様にハルオが大野を見ていたことに激怒したのだ。皆に止められながらもハルオに掴みかかった日高は『今回の勝負だけじゃ勝ちとは認めない』と泣き叫ぶ日高。あまりの日高の剣幕に日高を応援していた”夜ゲー”の面子もハルオに怒りだし、ハルオと宮尾は慌ててゲーセンから逃げ出してしまった。

泣き続ける日高に『大丈夫?』とニコタマちゃんが声を掛ける。日高はハルオに負けたことも悔しかったが、あれほど練習したのに負けてしまった自分自身が悔しかったのだ。そんな日高にニコタマちゃんは微笑んで『その悔しさこそゲームを愛してる証拠で、その愛情と悔しさが次の強さに繋がる』言うのであった。

大好きになっちゃったんだから…しょうがない…
矢口君も格ゲーも諦めたくない…
次の強さに繋げてやるんだから…

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 64/208

泣きながら一人家に帰る日高。そう思いながらふと空を見上げると、持ちキャラのフォボスが優しく自身も見守っているのが見え、日高が涙ぐみながらも笑うのであった。

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36 -CREDIT~ハルオに興味を持った大野の姉、真はハルオに会いに行く

1995年9月。大野の運転手はじいやから無口な男に変わり、家庭教師の業田萌美の指導や稽古も厳しさを増し、大野は息の詰まる日々を送っていた。

しかし、無理が祟って10月下旬、大野は熱を出して寝込んでしまう。『この子は文句を言えないで溜め込んでしまうから』と心配する姉の真。さすがの萌美も『教育方針を改善する必要があるかも』と反省する。

自由奔放で親や萌美の教育方針に逆らってはいるものの、妹を可愛がっている真は寝込んでいる大野を世話する。すると、大野の枕の下に隠されたプリクラを見つける。大野はこのプリクラを心の支えにしていたのだ。以前、アメリカに発つ際に見送りに来たハルオのことを覚えていた真はハルオに興味を持ち始めた。

ゲーセンでシューティングゲームの『首領蜂』に圧倒されるハルオ。最近では『バーチャコップ2』や『スポーツフィッシング2』等、新しいゲームがどんどん出てきて一つ一つをやり込む暇がない。『大野が見たら喜ぶだろう』…そう思ったハルオは急に寂しさを覚える。

その時、『美少女雀士プリティセーラー18禁』の筐体の前にまさに大野の後ろ姿を見つけたハルオは『大野!』と叫ぶ。

だが振り返った女性は大野に似ているものの別人で『あんたがいきなり呼ぶから負けちゃったじゃない』と怒る。ビックリしながら謝るハルオ。

「ふん、まあいいわ、矢口ハルオ君…」
「プリクラと同じバカ顔(ヅラ)ね…」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 83/208

それは大野の姉、大野真であった。真はハルオに会うためにゲーセンに初めてやって来たのだ。

『ギャルズパニック3』等の”スケベなゲーム”が沢山あることに喜ぶ真は大野と違い良く喋るものの、初めての『ギャルズパニック3』をパーフェクトクリアし、何かあると暴力的にハルオに当たるところがそっくりだった。真は大野が熱で寝込んでいることを語り、ハルオに『アナタからってお見舞い品を渡したら、あの子は喜ぶ』と言ってクレーンゲームで景品を取る様に言うのだ。

そうは言いながらも自分がクレーンゲームを楽しみ、『ラッキークレーン』のスケベな景品(派手なパンツ)に大はしゃぎする真に振り回されるハルオ。『協力プレイ』と言いながら口出しする真に結果的に妨害されながらも何とかぬいぐるみ(絶妙に可愛くない)をゲットするのであった。

ゲーセンからの帰り道、『妹思いなんだな』と言うハルオに真は『晶への厳しい教育方針は私が家の教育方針に逆らったのが原因だから』と複雑な表情を見せる。そして、ハルオがプレイステーションを持っていることを知ると(厳密には日高から借りた物)ゲームショップで『ときめきメモリアル(ときメモ)』を今日のお礼だと言って買い与える。

「ハルオ君はもっと女心を勉強しなきゃいけないっぽいから、それやって精進しな!!」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 90/208

そう明るく笑って去る真。ハルオは呆然と『ときメモ』のソフトのパッケージを眺めるのであった。

屋敷に戻った真は早速ハルオが取ったぬいぐるみを大野に渡す。決して可愛くないぬいぐるみを嬉しそうに見つめる妹を見た真は、二人の仲を応援したいと思うのであった。

37 -CREDIT~日高と母と真の前で『ときメモ』をプレイする羽目になるハルオ

早速、真に買ってもらった『ときメモ』をプレイするハルオ。しかし、慣れない恋愛ゲームで苦戦し、母、なみえにもダメ出しをされてしまう。

その頃、大野の屋敷では大野の教育方針を巡って家庭教師の業田萌美と姉の真が口論していた。頑なにテレビやゲーム等の娯楽を認めようとしない萌美に対して『長く一緒にいるのに、晶のことを理解していない』とハッキリ言い放った真。萌美はその言葉に傷付くものの『晶さんの息抜きはどうせゲームで、ゲームなんて今のこの大事な時期に必要はない』と言い返す。しかし、萌美は内心、以前ハルオの母、なみえに言われた『子どもを心から理解した上で後悔しない育て方をするべき』という言葉を思い出し揺れるのであった。

ある日、じいやにハルオの家の場所を聞いた真が『ちゃんと女心を学んでいるか』を確認するためにやって来た。一途に『主人公が気にかけてる女の子だから』とメインヒロインの”藤崎詩織”の攻略を目指しているハルオに感心する真。ハルオの母、なみえと意気投合した真は二人でハルオのプレイにやじを飛ばして楽しむのであった。

(ちなみにハルオは気付いていないのだが、このゲーム、メインヒロインである”藤崎詩織”の攻略が最も難しい)

帰宅した真は大野のためにハルオから”ゲームボーイ”、”PCエンジンGT”等の携帯ゲーム機を借りてきており、大野に『ハルオ君が幕張のAOUショーに一緒に行きたがっている』と告げる。それが叶う事はないと思いながらも大野は頬を赤らめて喜ぶのであった。

そして、熱心に『ときメモ』をプレイしながらもゲーセン通いも怠らないハルオ。もうすぐセガの『ファイティングバイパーズ』の稼働も控えていた。すると、ハルオはゲーセンで日高と遭遇する。臆することなく以前の様に接するハルオに対して、複雑な気持ちになる日高。日高はハルオが最近大野と会ったり電話したりもしていない事を知ると『本当に変な関係』と言う。

しかし、ゲーセンからの帰り道、日高はハルオが『女心を勉強するために』と『ときメモ』をプレイしていると知ると『私の貸したプレステで大野さんのために女心を勉強しているなんてムカつく』と思い、『今すぐ私のプレステを返して』と迫る。すると再びハルオの『ときメモ』のプレイを見に来た真と遭遇する。

その結果、ハルオは日高、母なみえ、真の女3人の前で『ときメモ』をプレイさせられるという地獄の様な状況に陥った。

相変わらず一途に”藤崎詩織”を攻略しようとするハルオだが、上手くいかずになみえや真からダメ出しされるだけでなく、”片桐彩子”の誘いを断ると日高が『あんまり素っ気なくするのもどうかと思う』と悲壮な表情で訴える。

日高のその言動から日高とハルオの間に何かがあると察する真。3人から色々と言われながらプレイするハルオは最後はほとんどのキャラクターから激怒されたうえに、誰にも告白されず『女々しい野郎どもの詩』が流れるエンディングを迎える。『女心がますます分からなくなった』と苦悶するハルオ。

そんなハルオの様子を見た日高は『プレステはもう少し貸してあげる』と言いながらも『私にも爆弾(ときメモで主人公に冷たくされたキャラが抱えるアイコン、放っておくと爆発して大変なことになる)がある事を忘れないで』と捨て台詞を吐くようにして去っていく。その様子を見た真も『妹を泣かせたら私も爆弾が爆発する』と言い、母なみえまで『勉強を怠ったらお母さんの爆弾も爆発する』と笑う。疲れたハルオは『ときメモ』内の相談キャラ”好雄”にどこか似ている親友宮尾に電話したいと思うのであった。

ハルオから”バーチャルボーイ”を借りて帰ってきた真は自室でこっそり大野にプレイさせる。3D酔いする大野を見ながら真は『二人のために何かできることは無いか』と考えるのであった。

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38 -CREDIT~大野のために『RPGツクール』でゲームを作るハルオ~喜んでプレイする大野だったが、萌美に見つかってしまい…

ゲーセンに頻繁にやってくる様になった真はある日、ハルオに『晶が喜ぶ様な晶のためだけのゲームはないか』と言う。

「あるワケないけど作る事は可能だぜ」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 119/208

ハルオはスーパーファミコンの『RPGツクール』で大野の鬱憤を晴らすようなRPGゲームを作る事を決意するのだった。

容量が限られている上、ちゃんと大野を満足させる内容のものを作らなくてはならない。学校でもノートを広げ設定やキャラクターのセリフを細かく書き込んでいるハルオを親友の宮尾と土井は『ポエムを書いているのか?』と誤解する。

照れくさくて大野のためのゲームを作っていることを周囲に明かせないハルオ。しかし、『小学生の時の自分だったら大野がラスボスのゲームを作っていただろう』と考えて改めて自身と大野の関係の変化を感じるのであった。

ラスボスは家庭教師の業田萌美に設定し、舞台は大野の屋敷。敵キャラの種類は54種もあるので、考えて選んでいく。セリフや文字の入力が大変で、しっかり作ったつもりでもイベントが発生しない等のバグも生じる。敵の強さのバランスを調整するのが難しい。

今まで当たり前の様にプレイしていたゲームを作る事がいかに大変なのか…ハルオは痛感するのであった。

12月のある日、真は大野をテレビがあるじいやの部屋に呼ぶ。そして、そこでハルオが作った『おおのけクエスト』を大野にプレイさせるのであった。ハルオが自身のためにRPGゲームを作ってくれたことに感動する大野。

『おおのはきょうもいえでじごくのべんきょう』…主人公は大野自身でじいやがセーブポイント。敵は”こくごのもの”、”からてのもの”等、日々大野が向き合っている勉強や稽古を擬人化したものだった。

後ろから見ていたじいやは『このゲームは晶お嬢様に対するハルオ坊ちゃんのエールではないか』と言う。真もゲームの内容が大野が置かれている状況をよく理解して作られていることに感心する。…ただし、最初のボスが”おおののアネキ”となっていることを知ると激怒するのであった。

翌日も、息抜きとしてこっそりじいやの部屋を訪れて『おおのけクエスト』を進める大野。ゲームの中には最新のゲーム情報が込められていて、『おおのまってるぞー』といったハルオのメッセージも隠されていた。ハルオからのエールに勇気づけられた大野。

しかし、萌美にじいやの部屋から出る瞬間を見られてしまう。不審に思った萌美はじいやの部屋をチェックし、そこでスーパーファミコンと『おおのけクエスト』を発見するのであった。

夜、再びじいやの部屋を訪れた大野はゲームが無くなっているのを見て硬直する。そんな大野に『もうありませんよ』と後ろから言う萌美。驚いて振り返った大野に『あのようなモノを家に入れる事は許さないと言ったはずです』と言い、こう告げるのであった。

「問答無用で処分致しました」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 137/208

『おおのけクエスト』の内容と様子、そしてそれを作ったハルオの苦労を思い浮かべた大野は涙を流しながら萌美を睨みつけて立ち去る。

萌美は今まで見せたことのない大野の悲壮な表情に激しく動揺し、『晶さん』と慌てて声を掛けるが、大野は無視するのであった。

39 -CREDIT~ハルオに謝罪しに行く萌美…反省した萌美は気を利かせて大野をハルオの元に行かせる

ハルオは週末に開かれる幕張の『AOUショー』を心待ちにしていた。結局、母なみえを一緒に連れて行くことにし、なみえもゲームに詳しくないものの久しぶりの息子との外出を楽しみにしている。

一方、その頃『おおのけクエスト』を萌美に捨てられた大野は萌美の授業や稽古は受け続けているものの、それが済むと萌美を無視するようになった。二人の間に流れる険悪な空気を真とじいやは心配する。

『大野家の指南役として当然のことをしたまで』と主張し続ける萌美に真は『教え子に心を閉ざされて、人として辛いでしょ』と言う。そして引っ込みが付かなくて意固地になっている萌美に対して『この状態で晶が真っ当な人間として育つと思っているの?』と問い、『萌美先生を無視する晶の姿は見たくなかった』と正直な想いをぶつける。じいやも『晶お嬢様のために、嫌な人間にならないで…』と頼み込む。二人の懸命な訴えに萌美は考えるのであった。

『AOUショー』当日の早朝、弁当屋のバイトで積み込み作業に精を出すハルオ。すると、そこに突然萌美がやって来る。驚いたハルオに萌美は『お母様にここで働いていると聞いてやってきた』と告げるが、ハルオは積み込み作業に追われていて、仕方なく萌美はそれを手伝う。無事に積み込みを終えた萌美はその作業の大変さに驚く。現在人手不足になっており、ハルオはその分も懸命に働いているのだ。ハルオの意外な一面を知って驚く萌美。

そして萌美は早速、ハルオの私物であったスーパーファミコンと『おおのけクエスト』を処分してしまったことを告げ、謝罪する。『今思えば感情的な行動で大変恥じている』と真摯に謝る萌美。しかし、ハルオは『大野家がゲーム禁止と知っていたのに貸した自分にも非がある』『スーファミも昔大野が夏祭りで引き当てたものだから(2巻のSPECIALCREDITの内容)』とアッサリ受け入れる。

そして、『今回作ったものは自分的に納得していないし、もうすぐ”RPGツクール2”が出るからもっと良いモノを作れる』と前向きな発言をする。

そんなハルオに萌美は弁償のためと『ツインファミコン』と『ジーコサッカー』のスーパーファミコンのソフトを渡す。”分かっていない”チョイスにやや戸惑いながらもあり難く受けとるハルオ。しかし、ハルオはそんな萌美の態度から大野と何かあったことを察して尋ねる。

「…はい…おおいに嫌われてしまいました…」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 155/208

眼鏡を外し、涙を拭う萌美。『晶さんを立派に育てるために心を鬼にするべきと思っていたけど自分の独りよがりだったのかもしれない』『毎日晶さんと顔を合わせているのにどんどん理解できなくなっていく』…そう正直な気持ちを語った萌美はハルオに『あの子をどう思っていらっしゃるの?』と尋ねる。

ハルオは『越えられない壁であると同時に尊敬できる女で』『だけど放っておけなくて支えになりたいと思わせる存在』だと答える。

「ハルオさん、それがどういう気持ちかわかってるの…?」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 156/208

その問いに何も言えなくなるハルオ。その時、ハルオは主任に呼ばれる。手伝ってもらったこととツインファミコンと『ジーコサッカー』を貰ったことにお礼を言うハルオ。萌美もまた『気持ちが晴れ、そしてアナタが悪い虫じゃないと分かって良かった』と言って立ち去る。

屋敷に戻りながら萌美は自身が大野財閥という大きな存在の前に焦っていたことを自覚し、『心から理解して子どもを尊敬し慈しむ』『上から抑え込むだけでは伸びない』と考えるのであった。

その後、バイトを終えたハルオは母、なみえと共に『AOUショー』に行くために家を出た。すると、なんとそこに傘を持った大野がやって来る。

互いに驚くハルオと大野。先ほど萌美は突然大野に『以前矢口家に傘を借りたが合わせる顔が無いので晶さんに返しに行って欲しい。そして今日は授業や稽古はお休みにしましょう』と言い出したのだ。

母、なみえはハルオに『AOUショー』には大野と行くように告げ、『ときメモで学んだ全てをぶつけなさい』と笑って家に帰って行く。

お互いに何を話していいか分からないまま電車に乗るハルオと大野。しかし、混雑した京葉線の電車の中でよろめいた大野はハルオの手を握り、ハルオもまた握り返すのであった。

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40 -CREDIT~AOUショーを満喫するハルオと大野…ハルオはときメモで学んだことを活かそうとして…

広大な幕張メッセの中にアーケード業界を支えるメーカー達が新作ゲームをユーザーの前に並べる。そして、それらを参加者は無料でプレイし放題…そんな夢の様な『AOUショー』に興奮が止まらないハルオと大野。早速二人は『ソウルエッジ』の列に並び、ハルオは”ヴォルト”、大野は”ロック”を選びプレイする。飲み込みが早い大野に久しぶりに対抗心を燃やすハルオ。『大野を倒す』という目標を思い出すのであった。

『ファイティングバイパーズ』では互いに”バン”を選択し、ハルオは初めて大野とキャラクターが被ったことに驚く。

新作ゲームが溢れかえる『AOUショー』は想像以上に楽しく、ハルオはただただ面白いゲームを求めた小学校時代を思い出し、そして大野のゲームに対する純粋さが変わっていないことを感じる。『でも前よりも明るくなったかもしれない』と思いながら見つめるハルオ。見つめられていることに気付いた大野は照れるのであった。

帰りの混雑を避けるためにもファミレスで夕飯を食べるハルオと大野。(なお、他の席にいるオタクが騒いでいる『8話』というのはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のアスカの登場回の事。)

最近のゲーム事情について熱く語り続けるハルオとそれを楽しそうに聞き続ける大野。ハルオはふと『よく俺のゲームの話を嫌な顔せずに聞いてくれるな』と思い、『ときメモ』の”藤崎詩織”を想像して『男子と女子の普通の会話』をしてみようと考える。

しかし、それを意識した途端、急に言葉に詰まってしまうハルオ。大野も自身は無口なくせに沈黙には耐えられないらしく、妙に気まずくなってしまうのであった。

帰りの京葉線で大野は嬉しそうにクレーンゲームの戦利品を眺める。『いらねーもんばかり』とハルオが言うと大野は怒り、ハルオは『大野はゲットしたものは何でも大切にする』と思い出す。そして、『今まで何の景品が嬉しかった』と尋ねる。

すると、大野はペンダントにしていた小学生の頃ハルオが渡した指輪を見せる。ドキッとするハルオ。その瞬間、窓の外で花火が打ちあがる。丁度電車が舞浜の前(ディズニーランドの前)を通ったのだ。

「………なんでも印象的に見えるよ…大野と一緒にいると…」
「…こ……今度二人で行こうぜ、ここ…」

ハイスコアガール6巻 押切蓮介 194/208

ハルオのその言葉を聞いた大野は嬉しそうに頷くのであった。

その後、ハルオは大野を家の前まで送って行く。初めて大野の家を見たハルオはその大きさに驚く。すると、まだ帰りたくない大野がハルオの服を掴む。

その瞬間、『ときメモ』の様にハルオの頭に大野に掛けるべき言葉が浮かんでくる。『俺家でゲームするから帰るわ』『萌美さんが心配する』『今夜はお前を帰さない』…緊張しながら、一番最後のセリフを言おうとしたハルオ。しかし、その瞬間じいやの車にはねられる。じいやは帰りが遅い大野を迎えに行こうとしていたのだ。ハルオは倒れながらも『この感じも小学校時代を思い出す…』と思うのであった。

以下、感想と考察

簡単に断ち切れる訳ない恋心~敗北しても結局ハルオを諦められない日高小春

『負けたら引き下がる』と言っていたのに、結局『納得がいかない』と言ってハルオへの思いを断ち切れなかった日高小春。

この日高の言動について『諦めが悪い。しつこい』と思う読者も結構いそう。でも、『勝負で負けました、だから恋も諦めます』なんて出来る訳がないんだよな…。それが本当の恋なら尚更。

だって、冷静に考えるとハルオは日高を振っていないんだよなー。別にこれ、ハルオはキープするつもりでも弄んでいるのでもなくって、日高のことを本当に全く意識していないからこうなるんだよね…。日高も明確に振られていないから諦められないわけで…そう考えるとハルオも中々罪な男だ。

『ときメモ』の面白さと難しさ

全体的にこの6巻は内容がかなり濃い気がした。特に『ときメモ』や『RPGツクール』について掘り下げられていたからかな。

『ときメモ』は私自身はやっていなかったのだけど、親友(女子)が発狂しながらプレイしていたのを後ろからよく見ていた。子どもであればあるほど、とりあえずパッケージに描かれたメインヒロインを攻略したくなるよね。でも、そいつ(藤崎詩織)が滅茶苦茶攻略難しいというね…。

やり込むと『女心を知る』というよりは『女性不信』になるんじゃないかと思わなくもない。性格悪すぎるよ、藤崎詩織…。

ほぼ、付き合っているに等しくない?ハルオと大野

相変わらずハルオと大野の関係はもどかしい。もどかしいけど…一緒に遠方の幕張まで行ったり、電車で手を繋いだり、『今度二人でディズニーランド行こう』と約束したり…これ、ほぼ付き合ってるよね?これ、交際し合ってる男女の行動だよね?ねえ!?

日高のことは母に言われないと家まで送って行かなかったのに、大野の事は家まで送って行ったハルオ。一回、『女の子を夜道一人で歩かせないの』と怒られて学んだのか、『ときメモ』効果なのか、純粋に無意識に大野を大事にしてるから出る行動なのか…。

そして、じいやに車で撥ねられなかったら本当に大野に『今夜は帰さない』って言ってたのかな、ハルオ…。気になる。

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