【漫画】夏目アラタの結婚1話【感想・ネタバレ・考察】児童相談所職員の結婚相手は連続殺人鬼の死刑囚の女!?

夏目アラタの結婚1巻表紙

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徹底考察&推測【漫画 夏目アラタの結婚】品川真珠の正体&秘密の全貌は!?そして、物語の結末・ラストは…(49話時点)

ジョン・ウェイン・ゲイシーという殺人鬼をご存知だろうか?資産家の名士で、ボランティア活動でピエロに仮装して子供達を楽しませていた裏で少年33人を性的暴行を加えた上で虐殺した男で、キラークラウン…殺人ピエロの異名を持ち、70年代アメリカを震撼させた。

スティーヴンキングの『IT(イット)』に影響を与える等したその犯行の異様さもさることながら、その波乱に満ちた生い立ちや高値で取引された彼のピエロ画の存在も有名である。だが、そんなゲイシーに纏わるエピソードの中で彼の狡猾さと残忍さを特に表しているのはジェイソン・モスの事件だと言えるだろう。

わずか10歳で大統領顕彰の成績優秀学生賞を受賞したこともある天才的な頭脳を持っていた少年、ジェイソン・モス。彼の趣味は服役中の殺人犯に手紙を出し文通にこぎ着け、その深層心理を研究するといったものだった。その中で、ジェイソン少年は世間を騒がせたゲイシーにも興味を持ったが、カルト的な人気を誇るゲイシーの元には他にも沢山手紙が届く。…ただ手紙を出しただけではゲイシーの関心は得られないだろう。考えたジェイソン少年はゲイシーの生い立ちを調べ、少年時代のゲイシーの様な『親との関係や、自身が同性愛者であることに苦悩する少年』を手紙の上で演じた。結果、ジェイソン少年の目論見通り、ゲイシーはジェイソン少年に興味を持ち文通に漕ぎ着けることが出来た。18歳だったジェイソン少年は有名殺人鬼を手玉に取ったことで暫しの間、万能感と優越感に酔いしれた。

…しかし、それは長くは続かなかった。恐ろしく頭の回転が早いゲイシーは文通のやりとりでジェイソン少年に対して優位に立ち、わずかなヒントからジェイソン少年の自宅の電話番号まで割り出し、なんと直接電話を掛けてきたのだ。『直接会いに来たら、私が殺人を犯した本当の理由を教えてあげよう』ゲイシーからそう言われたジェイソン少年は好奇心に抗えず刑務所にいるゲイシーの元に向かう…。そこでジェイソン少年を待ち受けていた運命は…。

枕が長くなってしまったが、今回紹介したい『夏目アラタの結婚』は明らかにこのゲイシーとジェイソン・モスの事件を下敷きにしていると思われる。児童相談所職員の主人公が連続殺人鬼”品川ピエロ”の異名を持つ死刑囚の女と、事件の真実を引き出す目的で獄中結婚をするというサスペンスだ。作者は『医龍』『幽麗塔』でおなじみの乃木坂太郎。

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Contents

以下、あらすじとネタバレ

東京拘置所に婚姻届けを持ってやってきた夏目アラタ…彼が結婚しようとしている相手はなんと、死刑囚!?

葛飾区小菅にある東京拘置所。白いタキシードに身を包んだ青年、夏目アラタは一枚の紙…婚姻届けを手にし、持ち物検査を経て面会室へ通された。彼が今から会おうとする”相手”は3人…いや、4人をバラバラにして殺害した怪物なのだ。

面会室で”相手”がやってくるのを待つアラタ。すると、ガラスの向こうの扉が開いた。

「………久しぶり…!!」

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その人物は嬉しそうに口元を歪ませるのであった…。

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荒っぽい30代独身の児童相談所職員、夏目アラタは子供達を救うために尽力しており、結婚に夢を持っていなかった

話は遡る事3か月前。長身の体にオールバックとやや不良めいた見た目の児童相談所職員、夏目アラタは『子どもの泣き声が酷い』と通報された家庭が訪問に応じず子どもに会わせようとしなかったため、父親に掴みかかっていた。

「ガキいじめる奴ァ頭潰すぞ!!―コラァ!!」

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…しかし、結果は子どもが『新しいゲームが欲しい』と癇癪を起こしていただけで、アラタと同僚の桃山香は父親に深く謝罪することとなった。

その後、喫茶店で桃山はアラタを『お前は狂犬か』と叱りつける。アラタのやり方はいつも強引で『訴訟を起こされてもおかしくない』と桃山は危惧しているのだ。

だが、アラタは反省する様子もなく『むしろ望むところだ』と答える。体に痣を作った幼児、親に放置されて野良犬の様な眼になってしまった少年少女…毎日そういった光景を見て心を痛めているアラタ自身も15年前は児童相談所にお世話になっていた不良少年だったのだ。

現在勤めている児童相談所の所長は荒れていた頃のアラタの恩人で、アラタは所長に恩返しするために児相の配属を受けたのだ(この様な言い方をしているため、自治体の一般の地方公務員として採用されて、そこから児童相談所に配属されたと思われる)。所長は『15年前に児相一の問題児だったアラタなら同じ問題児の気持ちが分かる』と言ってはいるが、アラタはそうは思っていない。

「気持ちなんて分かんないっスよ。」
「そいつが―どんな「悪(ワル)」わかるだけで。」

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そう哀しそうに煙草を吸いながら笑うアラタ。所長や桃山を尊敬しているものの『オレの使い方を間違ってます』と言う。自分が本当に役に立つのは『相手が確実に子どもを虐待していると分かっていても警察や裁判所の許可がすぐにおりず手を出せない時』と考えているのだ。

「相手を半殺しにしてでも子供を守りたい時!」
「――俺は、そん時のための鉄砲玉っス!」

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そうアラタは宣言する。

そんな刹那的な価値観を語るアラタを桃山は心配する。桃山はアラタに『まだ若くて公務員で引く手あまたなんだから結婚を考えていないの?』と尋ねる。

しかし、アラタの母親は派手な美人でそれゆえ男遊びが激しかったこともあり、アラタは恋愛にも結婚にも夢を抱いていないのであった。

父親を殺人鬼に殺された14歳の少年、山下卓斗はアラタの名前を使って犯人に手紙を送っていた

その後、アラタと桃山は不登校の14歳の少年、山下卓斗の家庭を訪問する。卓斗の父親は世間を震撼させた連続バラバラ殺人事件の被害者であり、家族はその悲しみから未だに立ち直れずにいた。そして、卓斗は『アラタに直接謝りたいことと頼みたいことがある』と言うのだ。

訪問し、テーブルを挟んで卓斗と向かい合ったアラタ。すると、卓斗は父親が殺された事件について語る。バラバラ殺人の犯人の女は捕まったものの、卓斗の父親の首は未だに見つかっておらず、犯人は完全黙秘を続けている。『だから父の首の在処について犯人から聞き出してやろうと思った』…そう俯く卓斗の話を聞いてやったアラタ。しかし、こう言うのであった。

「でもさぁ、」
「俺の名前で犯人と文通を始めるのはナシでしょ?」

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自身が遺族である事を隠したかったのと、犯人の好み(被害者達)が30代男性だと考えた卓斗は、同じく30代男性であったアラタの名刺を使って夏目アラタの名を騙り犯人に手紙を送り文通をしていたのだ。卓斗の母親は必死にアラタに謝る。”謝罪”はその件についてであった。

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更に卓斗はアラタに『自分の代わりに犯人に会って、父親の首の在処を聞き出して欲しい』と言う…卓斗の心理を見抜いたアラタはその依頼を受ける

そして、”頼み”について口を開く卓斗。

「…んで。最後に来た手紙に一言書いてあった。」
「”今度、直接会って話そうよ…”」

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卓斗はアラタに『自分の代わりに犯人に直接会って、父親の首の在処を突き止めて欲しい』と言うのだ。卓斗の顔色を観察する様に眺めたアラタは卓斗に『とりあえず犯人から来た手紙を見せて』と言う。

自室にアラタを通した卓斗は机の中にしまっている手紙の束を見せる。その束を手に取り匂いを嗅いだアラタは『その殺人鬼に会いに行ってやる』と言い、卓斗は喜んだ表情を浮かべる。だが、アラタはそんな卓斗の襟首を掴むと『その代わり二度と犯人に手紙を出すな』と凄んで言うのであった。

その夜、仕事を終わると桃山は『少年の父を思う気持ちに応えたアラタくんを見直した』と褒め、アラタに夕食を奢った。だが、アラタは浮かない表情でこう答える。

「あのガキ、文通を面白がり始めてました」

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最初は純粋に『父親の首を見つけたい』と思っていたであろう卓斗。しかし、卓斗が手紙をキレイにコレクションしていた様子からアラタは卓斗が手紙を『有名な殺人鬼のSSRカード』…自慢の品と捉え、犯人とやりとりしていることに悦に入っていたと気付いたのだ。そんな卓斗の様子をアラタは『”悪”の側に一線を超えかけている』と思い、それを防ぐために殺人鬼と会う役目を買って出たのだ。

それを聞いた桃山は驚きながらも納得して言う。

「少しわかる気がする。」
「なんと言っても相手は―――
――あの、「品川ピエロ」だもんね……!!」

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連続バラバラ殺人鬼”品川ピエロ”…それはピエロに仮装した太った若い女であった

その事件が発覚したのは2年前の秋の事だった。古いアパートで異臭の通報があり、大家の協力のもと警察官が異臭の源である部屋に踏み込むと、そこにはピエロの扮装をした太った女がバラバラ死体をバッグに詰め込んでいる最中であった。女は品川真珠(しながわしんじゅ)、当時21歳。都内で発生していた連続バラバラ事件の犯人が若い女であったことは世間を震撼させた。

山下卓斗の父親を含む3名の被害者の共通点は『社会的に成功した30代の男性』であることだった。先に発見されていた2名の遺体はそれぞれ右足、左手が見つかっておらず、逮捕時に発見された卓斗の父親の遺体も、首は既に遺棄した後だったようで見つかっていない。

そして、更に室内の血痕からは”4人目”の被害者と思われるDNAが採取されたものの、この人物の身元は特定できず立件はされなかった。

その後、一審では品川真珠に死刑判決が下ったものの、法廷に現れた際は酷く痩せており、法廷画家が描いた長い黒髪で顔を覆い、歯並びの悪い口元のみを覗かせた姿と逮捕時のピエロ姿は人々に大きな衝撃を与えたのであった。

『そんな凶悪犯と会うのは怖いのではないか?』と心配そうに尋ねる桃山。しかし、アラタは『面会はたったの15分だけで、強化アクリルに仕切られており、道化師がそこを越えることはできないから』と笑って見せるのであった。

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朝一で拘置所に向かい、品川真珠との面会を勝ち取ったアラタ

そして、その日、アラタは朝一で葛飾区小菅の東京拘置所を訪れた。既に訪れたのは5回目だが、拘置所の収用者は『1日につき面会は1回まで』と決まっており早い者勝ち。今まで誰かが先に面会していたため、アラタは品川真珠に会うことが出来ず、しびれを切らして今朝は朝一でやってきたのだ。

その甲斐あって面会の許可が出てアラタはホッとする。事前にネットで品川真珠について調べたものの逮捕時の映像と法廷画家の絵しか出てこず、アラタは待合室で“品川ピエロ”の醜い素顔を想像しながら待った。また、品川真珠に学歴が無いという情報から『エリート公務員という体でマウントを取っていこう』と戦略を練った。

すると、電光掲示板にアラタの番号が表示され、身体検査を経てアラタは面会室に向かった。

面会室で品川真珠を待つアラタは高揚感と緊張感に包まれる。『ここ数年で一番の殺人鬼が自分のために時間を割いてくれる』…そう考えるとワクワクすらして、アラタは『卓斗の事を笑えない』と自嘲した。

そして、アクリル板の向こうの扉が開いた…。

アラタは品川真珠の意外な姿に驚く~一方、真珠はアラタの姿を見や否や面会を止めようとする…アラタが真珠の関心を買うために放った言葉は…

扉の向こうからやってきて、大人しく目の前にやって来たジャージ姿の女性。その様子を見たアラタは言葉を失う。

―――――え?
太ったピエロ…?
…21歳って、オイまるで高校生じゃねーのこれは!?
――マジで本人…?

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その女…品川真珠は華奢で、もみあげが伸びたショートカットに幼い顔立ちをしており、とても成人女性には見えないのだ。『この大人しそうな女が本当に3人も殺した殺人鬼なのか』と信じられないアラタ。

しかし、無言のまま真珠と対峙したアラタはその大きな瞳を見つめると何故か気圧され鳥肌が立つ。真珠の姿に動揺して出ばなをくじかれてしまったアラタは何をどう話すべきか悩みながらも『はじめまして』と挨拶をしようとした。

だが、それより先に真珠が口を開いた。

「夏目アラタ。」
「中学生みたいな字書く人だよね?」

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真珠の言葉に驚くアラタ。慌てて『育ちが悪いから…』と笑ってごまかすが、そのキレイな歯並びを真珠は見逃さなかった。そして、

「思ってたのと、違う。」

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そう無表情で言うと立ち上がり面会室から出て行こうとする。
『やっぱりバレたか』とアラタは焦る。『待って』と叫ぶと真珠は立ち止まりはするものの振り返らない。
『どうするべきか』…一瞬悩んだのち、アラタはなんとアクリル板を拳で強く殴り、振り返った真珠に笑いながらこう言うのであった。

「品川真珠~~~!!」
「俺と、結婚しよーぜ!!」

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すると、真珠は酷く醜い歯並びを見せて笑うのであった…。

以下、感想と考察

型破りな児童損談所職員と底知れぬ死刑囚の女の交際

序盤からインパクトのある『夏目アラタの結婚』。刹那的な生き方をする型破りな児童相談所職員の夏目アラタもキャラが立っているが、何よりも品川ピエロ…品川真珠が愛らしさもあるのにどこか不気味な魅力がある。八重歯とかならともかく、歯並びがここまで悪いヒロインというのはなかなか新鮮である。

ちなみに、実在の殺人ピエロ、ゲイシーとの面会を果たしたジェイソン・モスの末路は…

ちなみに、冒頭で紹介した殺人ピエロとジェイソン少年の話についてだが、殺人ピエロ、ゲイシーが収監されている刑務所を訪れたジェイソン少年はなんと、そこでゲイシーに殺害されかけたのだ。

運良くそこに看守が通りかかった事で命拾いをしたジェイソン少年。この犯行がきっかけでゲイシーが出していた再審請求は取り下げられ、死刑が執行された。そして、ジェイソン少年はその後、ネバダ大学ラスベガス校を卒業した後、連続殺人鬼の心理についての著書を出し、ロースクールに入学・卒業し、犯罪被害者の為の弁護士となり、その活躍を期待されていた。

しかし、ジェイソン・モスはそのわずか4年後、2006年6月6日突然自宅の浴槽で拳銃自殺をして命を絶った。遺書などはなく、その動機は未だ明らかになっていない。

ただ、ジェイソン・モスはゲーシーの死刑執行後も彼や他の死刑囚からの”電話、誘い”に悩まされ続けていたという。

19世紀の哲学者、ニーチェはこう語っている。
『怪物と戦う者は、自ら怪物にならぬよう用心したほうがいい。
あなたが長く深淵を覗いていると、深淵もまたあなたを覗き込む。』
…ジェイソン少年はゲイシー達の深い闇に飲み込まれてしまったのだ。

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