真珠の正体は、夭折した本物の品川真珠の妹で無戸籍児であった。真珠の母、環の故郷に埋められていた本物の品川真珠の遺体から毛髪を採取したアラタ。この毛髪がDNA鑑定に出され本物の品川真珠であることを証明できれば、今の真珠が事件当時及び現在も未成年であることを証明することができ、一審を覆すことが出来るのだ。
しかし、真珠の壮絶な生い立ちを知ったことでアラタは真珠のことを哀れな少女としてしか見ることが出来なくなり、そのことに気付いた真珠は死を望むような発言を繰り返す様になった。宮前や桃山との対話を通して真珠への愛情を改めて実感したアラタは真珠と人生を共にして生きる希望を与えていこうと決意するが…。
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真珠の正体についての個人的な推測・考察記事
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Contents
以下、あらすじとネタバレ
アラタは今後、真珠と面会できなくなる??宮前は本物の品川真珠の遺髪を採取したことについてアラタが証拠を捏造の共犯とみなされる可能性を指摘する
夜に落ち合ったアラタと宮前。宮前から真珠がやりたいことについて”鳥葬”を挙げたことを聞いたアラタは『キモいけど真珠らしいわ』と素直な感想を述べ、被害者男性のうち2人のバラバラ死体が野ざらしになっていたことに対して、『真珠なりの弔いだったのかね』と言った。
そんなアラタに宮前がまだ石川県にある本物の品川真珠の遺体について警察に通報していないかと確認する。宮前の指示通りまだ通報していないと答えると、宮前は言った。
「―あれは、圧倒的に真珠さんに有利な証拠ですから。」
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「当然捏造を疑われます。真偽がはっきりするまでは、夏目さんにも共犯の疑いがかかることになるでしょう。」
それを聞いたアラタは『どうなんの?逮捕?』と慌てる。そんなアラタに宮前は『いえ』と答えたものの、真珠との面会に制限が掛かる可能性があると告げた。
「ですから、遺体発見の通報をする前に、」
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「真珠さんと最後の面会を―」
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最後になるかもしれない面会…完全な本音で話すことを決意したアラタは真珠に『お前を無罪だと思ったことはない』とハッキリ言う。すると真珠は…
宮前から当分真珠と面会できなくなる可能性が高いことを告げられたアラタは早速真珠の元に向かった。
面会室で真珠と直接事件のことを話すことができないアラタは真珠に『お前の母ちゃんの田舎は空気がキレイで星もキレイだな』と切り出す。すると、真珠は『そんなところで育ったせいかママは星や星座が好きで、星座が80個以上もあると教えてくれた』と答える。
そんな雑談もそこそこに切り上げ、アラタは『宮前から当分会えなくなるかもと言われたから、今までハッキリ言えなかったことを伝えようと思う』と言い出す。興味津々な様子で『何?』と尋ねる真珠に、アラタは少し困ったような笑顔を浮かべ、椅子から立ち上がると真珠を指さしてこう言った。
「お前は人殺しだ。」
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そしてさらに続ける。
「無罪だと思ったことはない。一度も。」
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その言葉に真珠も驚いた様に椅子から腰を浮かすと、こう答えた。
「初めて言ってくれたね。」
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真珠はとても満足した様な穏やかな笑みを浮かべていた。
そんな真珠とアクリル板越しに慈しみ合う様に手を合わせながらアラタは実感する。
―そう、これが俺らの現実だ。
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目をそらしちゃいけないスタートラインなんだ。
真珠が出所してからの未来を語ろうとするアラタ。しかし、真珠は哀しそうに『スピカ(姉)の方がアラタにふさわしかった』と言い出して…
真珠をクロだと思っていることをハッキリ告げたアラタ。そしてそれを否定せず、笑顔で受け入れた真珠。
そんな真珠にアラタは『(真珠が未成年であることが証明されたら)ほぼ死刑になることはないだろう』と言うが、『それでもお前が外に出てこれるのは十年は先だろう』とも言う。そして『その時、俺は40代半ばのオッサンだけど、それでもいいのか?』と尋ねた。
すると真珠は『アラタは意外にいい男だから渋くなってるんじゃない?』と答える。その言葉にアラタは素直に照れてながらも、『背負うものが多い生活になるけど、かわいい家を用意して待ってるぜ』と言い切った。
これが、2人の最後の15分だ。
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今日は、―全部本音だぜ!
駆け引きもブラフも無しに、今日は純粋に真珠と向き合う決意をしてきたのだ。
すると、真珠は伏し目がちに『犬とか飼って裏山みたいなところで一緒に走る』と言い出した。真珠が明るい未来像を挙げたことにアラタは喜び、『いいね!』と答えた。さらに真珠は『美味しい夕食を作って、夜は2人で星を見る』と続け、アラタは『やりたい事あるじゃん!』と喜び叫んだ。
…だが、
「そんなのが、幸せな人に生まれたかった。」
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「心の底から、……そう思うんだ。」
悲しい笑みを浮かべる真珠にアラタは言葉を失う。
『でもやっぱりダメなの』と苦しそうに目を瞑った真珠はこんなことを言い出す。
「―多分ね、アラタと赤い糸でつながってたのは、」
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「スピカのほう。」
突然真珠が言い出した”スピカ”という言葉に『なんだ?』と困惑するアラタ。
すると、真珠が『星だよ』と説明する。
乙女座の中で最も光輝く一等星であるスピカには”真珠星”という和名がある。そして、そのスピカは実際には二つの星が近距離でグルグルと廻り合っている連星なのだが、近過ぎて地球からは一つの星に見えるのだと。
「それがボクたち―」
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「スピカと、真珠。」
唖然とするアラタに真珠は更に言う。
「スピカが生きてたらボクよりずっとアラタにお似合いだよ。」
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スピカなら自分よりアラタに近いし、素直に育っていて、そしてきっと自分より母の環に似て可愛くて明るかったはずだと。
真顔で『やめろ』と制止するアラタ。しかし、真珠は聞こえないように続ける。
スピカだったら教会で式を挙げ、そしてお色直しで和装だろう。可愛いスクーターで新婚旅行に出るだろう。そして、南の島で遊んで踊って…と。
アラタが耐えきれず『やめろっつってんだろ』と怒鳴って遮ると、真珠は暗い目で言うのであった。
「でもそれはボクじゃない。」
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自分の女房は真珠ただ一人だと言うアラタに、真珠は『呼んだら来て、叫んだら助けに来て』と意味深な発言を繰り返す
死んでしまった姉の方がアラタにふさわしいという絶望的な妄想を語る真珠に『スピカなんか知らねえ!俺の女房はお前一人だ!!』と叫ぶアラタ。
すると、真珠は唐突にこんなことを言い出す。
「―ねえ、呼んだら来て。」
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「ボクきっと叫ぶから、助けに来て…ね?」
何のことか分からないアラタだったが、真珠が宮前を通して次の法廷で裁判所でずっと待っていてほしいと伝えて来たことを思い出し、『まさか脱走する気か?そんな事には手を貸さねえ!』と怒鳴る。
しかし、真珠はそれには答えず、『呼んだら来て』と繰り返すばかりで、アラタは『俺は犬か!?』と言う。
すると、真珠はふと一瞬黙ると、『いいじゃん、犬』と嬉しそうに笑ってこう続けた。
「「アラタ」って、」
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「ボクの声が聞こえたら来る。」
「それだけ守ってくれればいい。」
「わかった?」
優しくそれだけ言う真珠。アラタは自身が首輪をつけられた犬になったような錯覚に陥るのであった…。
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以下、あらすじとネタバレ
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各巻表紙に隠されていた意味…改めて4巻の表紙を見ると
今回一番ゾッとした表現は、真珠がアラタとスピカの結婚生活について語っている最中に、各巻の表紙の絵が出て来たこと。
結婚式したり、2人でツーリングしたり、南国行って水着着たりドレス着て踊ったりと基本的にアラタと真珠がイチャついてる風の絵が描かれてきた各巻の表紙。私はずっとこれを『2人が結婚式したり新婚旅行したらこうなるだろうというイメージ』『アラタあるいは真珠が空想したイメージ』と捉えていた。
しかし、違ったのだ。
これは真珠が『もしスピカ(姉)が生きていてアラタと結ばれたらこうなっていたであろう』と空想したあまりにも悲しいイメージなのだ。だってスピカが生きていたら真珠は生まれなかったわけで、これは真珠の自己否定の空想とも言えるのだ。
そして、改めて4巻の表紙を見てみると
真珠が口を開けている画像なのだが、ちょっと真珠の特徴的ともいえるあの歯が描かれていないように見える(他の表紙だとそもそも口を開けていない)。拡大してみるとちょっとギザギザしてるけど、真珠だったらもっとすきっ歯でボロボロなはずだ。意図的に白っぽくして誤魔化されていたのだが、そもそもこの子は真珠ではなかったのだ!真珠が想像した姉、スピカだったのだ!そういや5巻の表紙の水着の真珠を見た時に、『真珠こんなに胸ないだろ…』とか思ったな。この子も真珠じゃなくてスピカだったのだから当然と言えば当然だ。
この演出には仰天を通り越して恐怖を感じた。確かに本編でこんな屈託のない笑顔なかなか見せないものね、真珠は…。騙された…。
自分(真珠)じゃなくてスピカ(姉)だったら…真珠はずっとこんな残酷な空想に苦しめられてきたのだろう
今回、真珠の希死念慮の要因の一つが明らかになった。
それは常に真珠の中に『もしスピカ(姉)が生きていたら』という思いが強くあったということだ。
これも当然と言えば当然だ。何故なら真珠は幼少期から母、環に夭折した姉であるスピカ(本物の品川真珠、”しんじゅ”)であるかの様に振舞うことを求められていたのだ。だから、常に『もしスピカだったら…』『もしスピカが生きていたら』というのを意識しながら生活していたのだ。
スピカの死を隠匿するために、肥え太らされ、世間の目から逃れる様にこそこそと生きていかなければならなかった真珠。実年齢より2学年ほど上の勉強や学校生活についていくことを強いられ、結果落ちこぼれていじめられ続けた真珠。そして、そんな生活を送った結果、児童相談所に保護された真珠。
もし、スピカが死んでいなければ。そもそも、死を隠匿するため世間の目から逃れる必要もないため、環は普通に一か所にとどまって育児も出来たし、隣近所との付き合いもできて、保育園に入園したりもして、スピカは真珠の様に環が仕事の時に一人でアパートに閉じ込められるネグレクト同然の生活を送ってはいなかっただろう。環も夜の仕事ではなく、昼間の仕事についていたかもしれないし。
そして、ツナ缶、パックごはんの様なカロリー価だけを重視した食事ではなく、ちゃんと栄養バランスの整った食事を与えられ、虫歯になったら治療を受けられただろう。
そして、適切な年齢で小学校に入学して、普通に同級生達と交流しながら学び成長したはずだ。
…
こんな、こういう『在ったかもしれない可能性』というのが一番、人の心を蝕む。真珠は苦境に立つ度、『もしスピカだったら…』という一見甘い様で実は自分を傷つけるだけの空想に逃げ込んでいたのだろう。そして、それは著しく自尊心を損ねる。『こういう自分になりたい』という空想なら理想であって人を前向きにさせるけど、真珠のこの空想は『もし自分ではなくスピカだったら』という、言い換えれば『スピカが死なずに自分が誕生しなければ』という自己否定から始まるものだから、とても質が悪い。
真珠は自分の人生について、『本来はスピカのもののはずだった』という前提で常に考えているのではないか。だからこそ、自分が幸せになるための行動を取れず、希死念慮に繋がっているのではないか。
『呼んだら来て、叫んだら助けて』の意味は?
それにしても、またしても真珠は意味深な『呼んだら来て、叫んだら助けて』という発言をした。一体次の法廷で何をやらかすつもりだ。
アラタが脱走をするのかと尋ねたら、真珠は肯定も否定もしなかった。ので、脱走に近い何かをする可能性がある。
前回の感想で真珠が自殺でもするのではないかと思ったが、『叫んだら助けて』と言うので、ちょっとその線は違うかもしれない。
誰かが真珠を殺しにでも来るのか?卓斗の母でも襲撃してくると言うのか?
果たして次回はどうなる…??
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