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いわゆる『ママ友』ものは一定の人気があり、題材としてよく取り上げられます。ドラマでは2011年『名前をなくした女神』、2015年『マザーゲーム』、2016年では『砂の塔』、小説だと桐野夏生『ハピネス』、金原ひとみ『マザーズ』・・・思い浮かぶだけでざっとこんな感じです。
大体が、『お受験』が絡んだり、様々な『階級』の女性たちが入り乱れて『マウント取り合戦』をするといった複雑な様相を見せます。
しかし、今から紹介する本作は、上記の様な展開は無くシンプルです。メインとなるママも二人だけで、二人のことだけが淡々と描かれていきます。しかし、無駄がないだけに余計にリアルで胸に突き刺さる・・・そんな作品です。長くなってしまったので前後編に分けます。
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Contents
あらすじ・ネタバレ
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①「なんでこんなことになってしまったんだろう」幼稚園の送り迎えの憂鬱
朝。専業主婦の田中サキは幼稚園年長の娘ミイちゃんに急いで支度をさせています。娘と他愛無いお喋りしながら幼稚園に向かいますが、内心焦っており、また憂鬱です。何故ならこの時間に着くとあの人に会ってしまうからです。
幼稚園に到着すると、彼女が危惧していた通り、あの人・・・久保田リエがママ友たちと立ち話しているところに出くわしてしまいます。
笑顔で挨拶するサキ。しかし、無視されます。
子どもを送り終えたにも関わらず、ずっと立ち話をしている彼女たち。「いったいそんなに何の話をしてるのかしら・・・しってる。私の悪口」そう考えながら幼稚園を後にするサキ。サキは彼女たちからどんなに無視されても笑顔で挨拶をすると決めていたのでした。
家に帰り脱力するサキ。ずっとリエのことを考えてしまいます。
「いったいなんでこんなことになってしまったんだろう・・・私たちあんなに仲良しだったのに」
彼女たちが出会ったのは、子ども達が幼稚園に入園にて間もない頃。登園を嫌がり愚図る娘に手を焼いていたところ、リエの方から声を掛けてくれたのです。彼女の娘のののちゃんも泣いていて、同じ境遇で共感しあう二人。ミイちゃんとののちゃんは次第に仲良しになり、二人はすぐに愚図らず登園できるようになりました。喜ぶサキとリエ。そしてサキをお茶に誘ってくれたリエ。彼女はサキにできたはじめてのママ友でした。
サキの家にはリエやその娘のののちゃんの写真が飾ってあります。
幼稚園の帰りにはいつも4人で公園に行ってました。いつの間にか「リエちゃん」「サキちゃん」と呼び合う仲になりました。
それなのに、年中に上がってしばらくしてから、急に無視されるようになったのです。
夕方になり幼稚園の保護者会が開かれます。憂鬱な気持ちで参加するサキ。園の夏祭りについての話し合いです。近くにサキが座ると離れた場所に移動し、話し合いではさりげなく買い出し係をサキに押し付けるリエ。そして他のママと一緒に小声でサキに悪態をついてきます。そして帰り際にはわざとらしく「田中さん」と呼んだうえで更に仕事を押し付けます。笑顔で了承するサキ。しかし、帰り道一人になった途端涙がこぼれます。
リエが無視や仲間外れをする意地の悪い、小さい人間だと見抜けなかったこと。そしてそんな人間と仲良しになったことを後悔しているのです。
「下の名前でなんて呼び合わなければよかった・・・こんなふうになるなんて思ってもみなかったよ”リエちゃん”」
②無視されるようになったきっかけ、そして迎える夏祭り。更に追い詰められていくサキ
夏祭りの買い出しをするサキ。ジュースを入れる紙コップの色に悩みます。間違っていたらきっとネチネチ嫌味を言われるでしょう。ママ友全員がリエに同調して無視して意地悪をしてくるわけではないのに、紙コップひとつ買うのにこんなにビクビクしている自分に嫌になります。
そんな中でもリエと過ごした楽しかった日々を思い出してしまいます。料理上手で明るくて楽しいリエ。自宅に上げて共に酒を飲んだことも、他のママ友、子どもたちとも一緒に皆でバーベキューしたこともあります。
そして、無視されるきっかけとなった出来事に思いを馳せます。幼稚園の年中になりクラスには新しい子が増えました。娘のミイちゃんから、『リエの娘の、ののちゃんが新しい子を仲間外れにしようとしている』という話を聞きます。それに対し『みんなで仲良くしなきゃダメ』と言うサキ。その後、何事もなく日々は過ぎていき、夏祭りが終わり、秋のおゆうぎ会が終わった後、急にリエから無視されるようになるサキ。他のママ友に探りを入れたところ驚くことを言われます。サキがののちゃんのことを『みんなで仲良くできないいじわるな子』と言っていたという話がリエの耳に入り怒っていると。娘に諭した言葉が子どもたちを通してゆがんだ形で広まっていたのです。慌てて誤解を解こうとしたサキですが、電話も取り合ってもらえず、他のママ友も巻き込んで無視や仲間外れにされるようになっていったのです。
夏祭り当日になりました。案の定、リエは紙コップにケチをつけてきました。ジュースを入れるコップが透明でないと、中身が分からなくて不便だと言います。保護者会の委員長はサキを庇ってくれますが、耐えきれなくなったサキはプラスティックコップを買いに走ります。本当はそう言い返してやりたい。でも「もしも子どもまでいじめられたらどうしよう」そう考えると何も言い返せませんでした。最初に買った紙コップは自腹になります。その後、明るくはしゃぎながら夏祭りを運営するリエ達と離れて働くサキ。リエたちはこの後打ち上げに行くようですが、当然サキは誘われませんでした。
帰宅後、サキは娘とともに眠ってしまい、休日出勤から帰ってきた夫に起こされます。夕飯が出来ていないことを詰る夫。サキが自身も疲れていることを伝えますが大変さを理解してもらえません。そんな中、タイミング悪く夫の母から電話がかかってきます。実は義母からの電話もストレスになっていたサキ。姑はいい人なのですが、しつこいアドバイスと、二人目の子どもの催促の電話を頻繁にしてくるためサキには苦痛なのでした。結局電話には夫が応対するのですが、サキは夫から冷たいと言われてしまいます。その言葉に思わず涙をこぼしてしまうサキ。そしてそんな彼女を受け止めるどころか、夫はうんざりした態度を見せます。サキは耐えきれなくなり家から飛び出してしまいます。
夜道を一人涙を流しながら歩くサキ。子どもが生まれて幸せなはずなのに、社会から隔絶されたような孤独感を味わってきました。そして、その気持ちを打ち明けた時に、共感し受け止めてくれたのもリエでした。だからこそ、リエに『心を全開にしてしまった』サキ。
リエもサキと同じく周囲の「二人目」の声に悩んでいました。一緒に子宝の神社に行ってみよう・・・そんな約束もしていました。
過去を思い返しながら歩いていると、雨が降ってきてしまいました。雨に打たれながら歩き続けるサキでしたが、ある女性に声を掛けられます。彼女は娘のクラスメイト、井上たくみくんの母親でした。ほとんど話したことのない間柄でしたが、彼女はサキに傘を一本貸してくれました。多く語ることもなくすぐに立ち去る彼女に、「一生忘れないかも」という恩を感じるサキ。そして同時にいかに自分が追い詰められているかを改めて自覚するのでした。
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③リエの妊娠、そしてサキは・・・
朝がやってきます。サキは胃痛に悩まされるようになっていました。薬を飲んでいても幼稚園が近づくと、胃が痛み始めます。幼稚園の教諭から心配される程顔色の悪いサキ。そんな時、子ども達の会話からあることを知ってしまいます。
リエが二人目の子どもを妊娠しているということを。
呆然とするサキ。その時、はっきりリエとの間に大きな隔絶を感じます。『無視されてもリエ達に笑顔で挨拶をする』と決めていたサキでしたが、彼女たちから背を向け、足早に幼稚園を後にします。
家で薬を飲みながらも胃痛に苦しむサキ。
「私はこんなに苦しいのに、つらいのに・・・あいつは笑っている。お腹に赤ちゃんまでいて」
思わず、部屋に飾ってある自身とリエとのツーショット写真をハサミで切り裂き、コンロでリエが写った部分に火をつけてしまいます。あんなやついなくなればいいというどす黒い感情が沸き上がります。
ところが、写真を燃やしたことで火災報知器が鳴り響きます。慌てて止めようとしてイスに乗るサキ。しかし、動揺しすぎた結果、イスから転倒してしまいます。
床に転がりながら我に返るサキ。するとマンションの隣室に住む女子大生が彼氏と共にやってきました。火災報知器の音に駆けつけてきたのです。転倒しているサキを心配してくれる二人。サキは謝り、お礼を言います。女子大生の楽しそうな雰囲気、キラキラしたネイルに眩しさを覚えます。
二人が立ち去った後、鏡を見て自身がひどい顔をしていることに気付きます。そして、焦げ付いてしまったシンクを掃除しながら決意します。
「こんなことで自分をなくしちゃダメだ」「私がもったいない」「黒いドロドロになんかのみこまれるもんか」
「さようなら”リエちゃん”」
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感想・考察
仲の良かったママ友から無視され悩むサキ。その葛藤や悩み方が、ほのぼのとした簡素な絵柄に対して非常に生々しく描かれており、胸に突き刺さります。
それでもきっと「幼稚園の送り迎えで顔を合わせるだけの仲で何をそんなに悩むのか、くだらない」そう思われる方も少なくはないでしょう。これは経験が無いと分かり辛いかもしれないのですが、ママ友同士の関係って、小中学校の閉鎖的な環境に通じるところがあるのです。
子育て中・・・特に乳幼児を抱える専業主婦は子育て中心で、それ以外では社会から隔絶されがちです。関わりあうのは主に同じママ友中心になっていきます。大半の人は小中学生の頃は、世界がまだまだ狭く、人間関係の大半が学校・クラスだったのではないでしょうか。クラスメイトからのいじわるや、友人だったはずの子から無視されたり・・・そういったことで傷付き、一日中悩み続けたといった経験は誰しもあるでしょう。だってそれは、世界の全てがひっくり返るくらいに重大なことに感じられるのだから。狭い閉鎖的な環境では、些細なトラブルが非常に大きなことに感じられます。
ネタバレにも書いてますが、サキは全員から無視されたり意地悪されているわけでもありません。保護者会の委員長や、井上さん等、優しく接してくれる人はいます。リエの取り巻きにも一応挨拶は返してくれる人もいます。積極的にいじわるしてくるのはほんの二、三人と言ったところです。
それでも辛いものは辛いのです。小中高生のいじめ自殺でも、いじめていたのはたったの二人だけだった・・・そんな例は少なくありません。
特にサキはリエと非常に仲が良く、「全開に心を開いていた」と称する程でした。最初から意地悪だったらこの仕打ちに対してここまで傷付きません。信頼していたからこそ、裏切られた気持ちと「どうして」という戸惑いが怒りや悲しみといった複雑な気持ちとなり彼女の心に絡みついていたのです。
しかし、変わろうと決めたサキ。彼女はどういった行動に出るのでしょうか。また、後編ではリエの心情が明らかになります。
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